図1は、本発明の画像形成装置としてのレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図である。図1において、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に、定着媒体としての用紙3を給紙するための給紙部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
給紙部4は、給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7と、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ8および給紙パット9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向下流側(以下、用紙3の搬送方向下流側を「搬送方向下流側」、用紙3の搬送方向上流側を「搬送方向上流側」と省略して説明する。)に設けられる紙粉取りローラ10および11と、紙粉取りローラ10および11に対し搬送方向下流側に設けられるレジストローラ12とを備えている。
用紙押圧板7は、用紙3を積層状にスタック可能とされ、給紙ローラ8に対して遠い方の端部において揺動可能に支持されることによって、近い方の端部が上下方向に移動可能とされており、また、その裏側から図示しないばねによって上方向に付勢されている。そのため、用紙押圧板7は、用紙3の積層量が増えるに従って、給紙ローラ8に対して遠い方の端部を支点として、ばねの付勢力に抗して下向きに揺動される。給紙ローラ8および給紙パット9は、互いに対向状に配設され、給紙パット9の裏側に設けられるばね13によって、給紙パット9が給紙ローラ8に向かって押圧されている。
用紙押圧板7上の最上位にある用紙3は、用紙押圧板7の裏側から図示しないばねによって給紙ローラ8に向かって押圧され、その給紙ローラ8と給紙パット9とで挟まれた後、給紙ローラ8が回転されることで、1枚毎に給紙される。そして、給紙された用紙3は
、紙粉取りローラ10および11によって、紙粉が取り除かれた後、レジストローラ12に送られる。
レジストローラ12は、1対のローラから構成されており、用紙3をレジスト後に、画像形成位置に送るようにしている。なお、画像形成位置は、用紙3に感光ドラム27上のトナー像を転写する転写位置であって、本実施形態では、感光ドラム29と転写ローラ31との接触位置とされる。
また、この給紙部4は、さらに、マルチパーパストレイ14と、マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3を給紙するためのマルチパーパス側給紙ローラ15およびマルチパーパス側給紙パット16とを備えている。マルチパーパス側給紙ローラ15およびマルチパーパス側給紙パット16は、互いに対向状に配設され、マルチパーパス側給紙パット16の裏側に配設されるばね17によって、マルチパーパス側給紙パット16がマルチパーパス側給紙ローラ15に向かって押圧されている。マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3は、マルチパーパス側給紙ローラ15の回転によってマルチパーパス側給紙ローラ15とマルチパーパス側給紙パット16とで挟まれた後、1枚毎に給紙される。そして、給紙された用紙3は、紙粉取りローラ11によって、紙粉が取り除かれた後、レジストローラ12に送られる。
画像形成部5は、スキャナ部18、プロセス部19、熱定着装置としての定着部20などを備えている。
スキャナ部18は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず。)、回転駆動されるポリゴンミラー21、レンズ22および23、反射鏡24、25および26などを備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー21、レンズ22、反射鏡24および25、レンズ23、反射鏡26の順に通過あるいは反射して、プロセス部19の感光ドラム29の表面上に高速走査にて照射される。
プロセス部19は、スキャナ部18の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されるドラムカートリッジ27内に、現像カートリッジ28、感光ドラム29、スコロトロン型帯電器30および転写ローラ31などを備えている。
現像カートリッジ28は、ドラムカートリッジ27に対して着脱自在に装着されており、現像ローラ32、層厚規制ブレード33、供給ローラ34、トナーホッパ35などを備えている。
トナーホッパ35内には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分のトナーが充填されている。このトナーとしては、重合性単量体、たとえば、スチレンなどのスチレン系単量体や、アクリル酸、アルキル(C1〜C4)アクリレート、アルキル(C1〜C4)メタアクリレートなどのアクリル系単量体を、懸濁重合などの公知の重合方法によって共重合させることにより得られる重合トナーが用いられている。このような重合トナーは、略球状をなし、流動性が極めて良好であり、高画質の画像形成を達成することができる。
なお、このようなトナーには、カーボンブラックなどの着色剤やワックスなどが配合されるとともに、流動性を向上させるために、シリカなどの外添剤が添加されている。その粒子径は、約6〜10μm程度である。
そして、トナーホッパ35内のトナーは、トナーホッパ35の中心に設けられる回転軸36に支持されるアジテータ37により、矢印方向(時計方向)に攪拌されて、トナーホ
ッパ35から供給ローラ34に向けて開口されているトナー供給口38から放出される。なお、トナーホッパ35の両側壁には、トナーの残量検知用の窓39が設けられており、トナーホッパ35内のトナーの残量が検知可能とされている。また、この窓39は、回転軸36に支持されたクリーナ40によって清掃される。
トナー供給口38に対してトナーホッパ35と反対側の対向位置には、供給ローラ34が回転可能に配設されており、また、この供給ローラ34に対向して、現像ローラ32が回転可能に配設されている。そして、これら供給ローラ34と現像ローラ32とは、そのそれぞれがある程度圧縮するような状態で互いに当接されている。
供給ローラ34は、金属製のローラ軸に、導電性の発泡材料からなるローラが被覆されており、図示しないモータにより矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。
また、現像ローラ32は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料からなるローラが被覆されている。より具体的には、現像ローラ32のローラは、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ本体の表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。なお、現像ローラ32には、現像時には、図示しない電源から現像バイアスが印加され、図示しないモータにより矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。
また、現像ローラ32の近傍には、層厚規制ブレード33が配設されている。この層厚規制ブレード33は、金属の板ばね材からなるブレード本体の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部41を備えており、現像ローラ32の近くにおいて現像カートリッジ28に支持されて、押圧部41がブレード本体の弾性力によって現像ローラ32上に圧接されるように設けられている。
そして、トナー供給口38から放出されるトナーは、供給ローラ34の回転により、現像ローラ32に供給され、このとき、供給ローラ34と現像ローラ32との間で正に摩擦帯電され、さらに、現像ローラ32上に供給されたトナーは、現像ローラ32の回転に伴って、層厚規制ブレード33の押圧部41と現像ローラ32との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ32上に担持される。
感光ドラム29は、現像ローラ32に対して供給ローラ34の反対側の対向位置において、ドラムカートリッジ27において回転可能に支持されている。この感光ドラム29は、ドラム本体が接地され、その表面がポリカーボネートなどから構成される正帯電性の感光層により形成されており、図示しないモータにより矢印方向(時計方向)に回転駆動される。
スコロトロン型帯電器30は、感光ドラム29の上方において、感光ドラム29と接触しないように、所定間隔を隔てて対向配置されている。このスコロトロン型帯電器30は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、図示しない電源からの電圧の印加により、感光ドラム29の表面を一様に正極性に帯電させるように設けられている。
転写ローラ31は、感光ドラム29の下方において、この感光ドラム29に対向配置され、ドラムカートリッジ27に回転可能に支持されている。この転写ローラ31は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料からなるローラが被覆されており、転写時には、図示しない電源から転写バイアスが印加され、図示しないモータにより矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。
そして、感光ドラム29の表面は、感光ドラム29の回転に伴なって、まず、スコロトロン型帯電器30によって一様に正極性に帯電された後、次いで、スキャナ部18からのレーザビームにより静電潜像が形成され、その後、現像ローラ32と対向した時に、現像ローラ32の回転により、現像ローラ32上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光ドラム29に対向して接触する時に、感光ドラム29の表面上に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム29の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給され、選択的に担持されることによってトナー像が形成され、これによって反転現像が達成される。
その後、感光ドラム29の表面上に担持されたトナー像は、用紙3が感光ドラム29と転写ローラ31との間を通る間に、転写ローラ31に印加される転写バイアスによって、用紙3に転写される。
定着部20は、プロセス部19に対して搬送方向下流側に配設され、図2および図3に示すように、定着部材および定着ローラとしての加熱ローラ42と、加熱手段としての定着ヒータ43と、押圧部材としての複数、本実施形態では2つの加圧ローラ44と、搬送機構部45と、複数、本実施形態では4つの剥離爪46(図5参照)と、サーミスタ47と、サーマルカットオフ手段としての複数、本実施形態では2つのサーモスタット48とを備えており、これらが支持手段としての定着フレーム49に支持されている。
すなわち、定着フレーム49は、図2に示すように、加熱ローラ42を軸方向に挟んで対向する1対の支持板50を備えており、各支持板50には、加熱ローラ42を回転可能に支持するための軸受部材51がそれぞれ設けられている。各軸受部材51は、加熱ローラ42の外周面を回転可能に軸受けできるように加熱ローラ42の外径に対応する内径を有するリング状に形成されている。また、各軸受部材51は、このレーザプリンタ1において、用紙3上に転写されたトナー像を熱定着させるための熱定着温度(たとえば、220℃)を超えると軟化する材料(たとえば、ポリフェニレンサルファイド:融点280℃)によって形成されている。
また、各支持板50には、複数の加圧ローラ44を支持するための加圧ローラ支持板52がそれぞれ設けられている。各加圧ローラ支持板52には、各加圧ローラ44に対応する加圧ローラ取付溝53がそれぞれ形成されている。各加圧ローラ取付溝53内には、ばね54がそれぞれ設けられている。各ばね54は、その一端が加圧ローラ取付溝53に固定され、その他端が加圧ローラ44のローラ軸59に取り付けられている。
また、各加圧ローラ支持板52は、各支持板50に揺動可能に設けられており、各支持板50に揺動可能に支持されている押圧レバー55が、この加圧ローラ支持板52と係合して、各押圧レバー55を揺動させることにより、各加圧ローラ支持板52が揺動し、これによって、各加圧ローラ44の加熱ローラ42に対する圧接およびその解除がなされるように構成されている。
また、この定着フレーム49は、各支持板50の間に架設される架設フレーム56を備えている。
この架設フレーム56は、図3に示すように、用紙3の搬送方向において、加熱ローラ42と後述する搬送ローラ61との間に配置され、横カバー板74と、その横カバー板74から略直角に屈曲形成される縦カバー板75とが一体的に形成される断面略L字板状をなし、横カバー板74の遊端部が加熱ローラ42の上部と対向し、縦カバー板75の遊端部が搬送ローラ61の搬送方向上流側側部と対向する状態で、図2に示すように、各支持板50の間に、その長手方向が加熱ローラ42の軸方向に沿うように支持されている。
また、この架設フレーム56には、第1ガイド部材76が設けられている。この第1ガイド部材76は、加熱ローラ42の軸方向に沿って延びる金属の鋼鈑からなり、支持片76aとガイド片76bとが一体的に形成される断面略L字平板状をなし、加熱ローラ42と搬送ローラ61との間に配置されている。そして、この第1ガイド部材76は、支持片76aが縦カバー板75に接合され、ガイド片76bが、その搬送方向上流側遊端部が加熱ローラ42の表面と対向し、その搬送方向下流側基端部(支持片76aとの連続部分)が搬送ローラ61の表面と対向するように、配置されている。
なお、この第1ガイド部材76は、加熱ローラ42の軸方向に沿って対向状に設けられているが、後述する各剥離爪46が設けられる位置には、ガイド片76bにおいて各剥離爪46を露出させるための図示しない開口部が形成されている。
また、この架設フレーム56には、図2に示すように、搬送機構部45の後述するピンチローラ62を支持するためのピンチローラ支持部65が設けられている。このピンチローラ支持部65は、加熱ローラ42の軸方向に沿って互いに所定間隔を隔てて複数、本実施形態では4つ設けられている。
各ピンチローラ支持部65は、平面視略コ字状に形成され、互いに所定間隔を隔てて対向配置される樹脂製の第2ガイド部材85を備えている。各第2ガイド部材85は、架設フレーム56の縦カバー板75から搬送方向下流側に向かって板状に突出形成されており、図5に示すように、搬送ローラ61の上方において、搬送ローラ61の表面に沿う湾曲状に形成されている。
また、各第2ガイド部材85には、後述するピンチローラ62を支持する支持軸86を受け入れるための支持溝87が、下方が開放される側面視略逆U字状として、用紙3の搬送方向に沿って互いに所定の間隔を隔てて2つ形成されている。
また、この定着フレーム49において、図2に示すように、一方の支持板50には、軸受部材51を外嵌する加熱ローラ駆動ギヤ57と、その加熱ローラ駆動ギヤ57の側方において加熱ローラ駆動ギヤ57と噛み合うように配置され、図示しないモータからの動力が入力される入力ギヤ58が設けられている。なお、この入力ギヤ58と加熱ローラ42の軸方向で重なる位置には、入力ギヤ58および後述する搬送ローラ61のローラ軸63に設けられる図示しない搬送ローラ駆動ギヤと噛み合う伝達ギヤ77(図3参照)が設けられている。
加熱ローラ42は、アルミニウムなどの金属の引き抜き成形により、円筒形状に形成されており、その軸方向両端部が各軸受部材51に圧入されている。これによって、加熱ローラ42は、図示しないモータから、入力ギヤ58および加熱ローラ駆動ギヤ57を介して動力が入力されると、矢印方向(時計方向、図1参照)に回転駆動される。
定着ヒータ43は、通電により発熱するハロゲンヒータなどからなり、加熱ローラ42内において軸心に配置され、加熱ローラ42を加熱するために、加熱ローラ42の軸方向に沿って設けられている。この定着ヒータ43は、定着時において図示しないCPUにより駆動またはその停止が制御され、加熱ローラ42の表面を、設定された熱定着温度で維持するようにしている。なお、この定着ヒータ43には、図示しない電源から通電される配線69が接続されている。
加圧ローラ44は、図3に示すように、加熱ローラ42の下方において、その加熱ローラ42と対向するように用紙3の搬送方向に沿って複数、本実施形態では2つ設けられて
いる。各加圧ローラ44は、金属製のローラ軸59に耐熱性のゴム材料からなるローラ60が被覆されており、図2に示すように、ローラ軸59の各軸端部が、各加圧ローラ支持板52の加圧ローラ取付溝53内に挿入され、ばね54が取り付けられた状態でそれぞれ支持されている。これによって、各加圧ローラ44は、押圧レバー55が加圧ローラ42に対して各加圧ローラ44を圧接させる方向に揺動されている状態において、ローラ軸59がばね54によって付勢されることにより、加熱ローラ42に向けて圧接されている。なお、各加圧ローラ44は、加熱ローラ42が回転駆動されると、その加熱ローラ42の回転駆動に従動して矢印方向(反時計方向、図1参照)に回転される。
このように、加圧ローラ44を複数設ければ、それら複数の加圧ローラ44によって、加熱ローラ42に用紙3を圧接させることができるので、用紙3の加熱ローラ42に対する接触面積を増大させることができる。そのため、用紙3を迅速かつ確実に定着させることができ、熱定着の高速化(たとえば、印刷速度にして100mm/sec程度)および小型化を図ることができる。
搬送機構部45は、加熱ローラ42および加圧ローラ44に対して、搬送方向下流側に配置されており、搬送ローラ61と、その搬送ローラ61の上方において対向配置される複数のピンチローラ62とを備えている。
搬送ローラ61は、図3に示すように、金属製のローラ軸63に、ゴム材料からなる弾性体のローラ64が被覆されており、用紙3の搬送方向において架設フレーム56を挟んで加熱ローラ42と対向するように配置され、図2には図示されないが、各支持板59にローラ軸63が挿通されることにより、これら支持板59の間において、加熱ローラ42の軸方向に沿って回転可能に支持されている。
そして、搬送ローラ61は、図示しないモータから、入力ギヤ58、伝達ギヤ77および図示しない搬送ローラ駆動ギヤを介して動力が入力されると、矢印方向(反時計方向、図1参照)に回転駆動される。
ピンチローラ62は、図2に示すように、定着フレーム49の各ピンチローラ支持部65において、搬送ローラ61と上方から用紙3の搬送方向において順次対向および接触するように複数対(2対)設けられている。
すなわち、各ピンチローラ支持部65の互いに対向する第2ガイド部材85の間には、図5に示すように、2つの支持軸86が、各支持溝87に受け入れられた状態で、係止金具88によって回転自在および上下方向に遊動自在に支持されている。各支持軸86には、2つのピンチローラ62が1対として軸方向に並列して設けられている。なお、各ピンチローラ62は、搬送ローラ61が回転駆動されると、その搬送ローラ61の回転駆動に従動して矢印方向(時計方向、図1参照)に回転される。
また、この搬送機構部45では、搬送ローラ61と各ピンチローラ62とによって用紙3を搬送する速度が、加熱ローラ42と加圧ローラ44とによって用紙3を搬送する速度よりも速くなるように、搬送ローラ61の回転速度が加熱ローラ42の回転速度よりも若干速く、本実施形態では、加熱ローラ42の回転速度100%に対して搬送ローラ61の回転速度を、100%を超えて103%以内程度に設定されている。
剥離爪46は、図2に示すように、定着フレーム49の架設フレーム56における各ピンチローラ支持部65が設けられている位置において、図5に示すように、搬送方向下流側から上流側に向かって加熱ローラ42と対向する状態で、加熱ローラ42と接離可能に揺動するように複数、本実施形態では4つ設けられている。
各剥離爪46は、爪本体91と、加熱ローラ42の表面と接触する先端部分92と、加熱ローラ42から剥離された用紙3と接触して先端部分92を加熱ローラ42の表面から離間させるための接触部分93と、剥離された用紙3を搬送機構部45に案内するための案内部分94とを備えており、たとえば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの耐熱性の樹脂の一体成形によって、一体に形成されている。
また、各剥離爪46は、その爪本体91が、図5に示すように、架設フレーム56におけるピンチローラ支持部65が設けられている位置において、その架設フレーム56から下方に向けて突出形成されている剥離爪取付板95に、常には先端部分92が自重によって加熱ローラ42の表面と接触するように重心が配置される位置で、揺動軸96を介して揺動自在に設けられている。これによって、先端部分92が、加熱ローラ42の回転方向における加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との接触部分の下流側において、加熱ローラ42の表面に対して加熱ローラ42の回転方向の対向方向から接触するように配置される。
サーミスタ47は、接触式の温度センサであって、図2に示すように、弾性を有する平板矩形状に形成されており、加熱ローラ42の回転方向における加熱ローラ42と各加圧ローラ44との接触部分の上流側であって、加熱ローラ42の軸方向中央部分において、その遊端部が加熱ローラ42の表面に接触するように、その基端部が定着フレーム49の架設フレーム56の横カバー板74において支持されている。
そして、このサーミスタ47では、加熱ローラ42の表面温度を検知して、その検知信号を図示しないCPUに入力するようにしており、CPUでは、このサーミスタ47からの検知信号に基づいて、定着ヒータ43の駆動およびその停止を制御し、加熱ローラ42の表面温度を、設定された熱定着温度に維持するようにしている。
サーモスタット48は、加熱ローラ42における加圧ローラ42の反対側の上方であって、加熱ローラ42の回転方向における加熱ローラ42と各加圧ローラ44との接触部分の上流側において、軸方向に沿って重なるように複数、本実施形態では2つ設けられている。なお、以下の説明において、各サーモスタット48を区別する場合には、加熱ローラ42の軸方向外側に配置されるサーモスタット48を第1サーモスタット48a、軸方向内側に配置されるサーモスタット48を第2サーモスタット48bとする。
第1サーモスタット48aは、加熱ローラ42の軸方向最外側のピンチローラ支持部53と、搬送方向上流側において対向するように配置され、定着フレーム49の上方を覆うカバー部材70(図5参照)に支持されている。また、第2サーモスタット48bは、第1サーモスタット48aと対向するピンチローラ支持部53と加熱ローラ42の軸方向内側において隣り合うピンチローラ支持部53と、搬送方向上流側において対向するように配置され、定着フレーム49の上方を覆うカバー部材70(図3参照)に支持されている。
また、これら第1サーモスタット48aおよび第2サーモスタット48bは、ともに、加熱ローラ42における用紙3のトナー像が形成されている画像領域と接触する定着領域と対向するように配置されている。
各サーモスタット48は、図4に示すように、収容部としてのバイメタルケーシング66と、そのバイメタルケーシング66内に収容されるバイメタル67とを備えている。
バイメタルケーシング66は、下部が開放される有底円筒形状をなし、その上部には、
常にはバイメタル67に対して離間状態とされ、バイメタル67が熱変形したときに、その熱変形されたバイメタル67と接触される接点73が設けられている。
バイメタル67は、熱により変形する金属からなり、たとえば、熱定着温度(たとえば、220℃)を10〜30℃超えると熱変形する合金により形成されている。このバイメタル67は、バイメタルケーシング66の開放された下部から加熱ローラ42に向けて対向状に露出されており、その露出された表面には、加熱ローラ42の表面に向いてバイメタルケーシング66から湾曲状に突出する突起部としての突出部材72が設けられている。
また、定着フレーム49内には、図2に示すように、各サーモスタット48の接点73に接続される導通板68が設けられている。この導通板68は、略L字状に屈曲形成されており、その屈曲部に対して一方側が、加熱ローラ42の上方において加熱ローラ42の軸方向に沿って延び、各サーモスタット48の接点73に順次接続されており、その屈曲部に対して他方側が、一方の軸受部材51と対向するように延び、定着ヒータ43に接続されている配線69に接続されている。
そして、この導通板68は、接点73との接触を契機として、配線69の通電を遮断する過電流が流れるように、図示しない電源と接続されている。
また、各サーモスタット48には、バイメタル67と加熱ローラ42との間に介在され、それらの表面と接触するスイッチ手段および熱伝導率の高い部材としての熱伝導部材71が設けられている。
各熱伝導部材71は、たとえば、図3に示すように、用紙3の搬送方向において各サーモスタット48よりも下流側において、支持されている。
より具体的には、第1サーモスタット48aには、第1熱伝導部材71aが設けられている。この第1熱伝導部材71aは、図6および図7に示すように、弾性を有する略矩形平板状をなし、その基端部がバイメタルケーシング66の下部に固定され、その遊端部がバイメタルケーシング66から露出するバイメタル67の突出部材72の表面と接触するように配置されている。
また、第2サーモスタット48bには、第2熱伝導部材71bが設けられている。この第2熱伝導部材71bは、図6および図8に示すように、弾性を有する略L字平板状をなし、その基端部が、図2に示すように、定着フレーム49の架設フレーム56における第2サーモスタット48bと対向するピンチローラ支持部53の加熱ローラ42の軸方向外側に、ねじ止めにより固定され、その遊端部がバイメタルケーシング66から露出するバイメタル67の突出部材72の表面と接触するように配置されている。
そして、第1熱伝導部材71aは、図5に示すように、正常状態(後述する過熱状態でない状態、以下同じ。)においては、その表面が第1サーモスタット48aのバイメタル67の突出部材72と常に接触し、その裏面が加熱ローラ42の定着領域において加熱ローラ42の表面と常にはわずかな隙間を隔てて対向するように配置されている。また、第2熱伝導部材71bは、図4に示すように、正常状態においては、その表面が第2サーモスタット48bのバイメタル67の突出部材72と常に接触し、その裏面が加熱ローラ42の定着領域において加熱ローラ42の表面と常にはわずかな隙間を隔てて対向するように配置されている。
なお、これら熱伝導部材71は、熱伝導率が空気よりも高い材料、たとえば、リン青銅
、金、銀、銅、鉄、ステンレスなど、好ましくは、熱伝導性およびばね性に優れることよりリン青銅から形成されている。
そして、この定着部20においては、図1に示すように、転写位置から搬送されてくる用紙3を、加熱ローラ42と複数の加圧ローラ44との間で挟持しつつ順次通過させる間に、その用紙3上に転写されたトナー像を熱定着させ、その後、その用紙3を、搬送機構部45において、搬送ローラ61とピンチローラ62との間で挟持しつつ搬送して、排紙パス78に搬送するようにしている。
このとき、この定着部20では、加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間を通過した用紙3の先端部(搬送方向下流側端部)は、図5に示すように、まず、加熱ローラ42と常時接触している剥離爪46の先端部分92と接触して、加熱ローラ42の表面から引き剥がされる。その後、加熱ローラ42の表面から引き剥がされた用紙3の先端部が、剥離爪46の接触部分93と接触し、案内部分94によって案内されながら、搬送機構部45に到達し、その搬送機構部45において、搬送ローラ61とピンチローラ62との間で挟持しつつ搬送される。
このとき、用紙3は、搬送方向上流側において加熱ローラ42と各加圧ローラ44との間で挟持され、搬送方向下流側において搬送ローラ61と各ピンチローラ62との間で挟持されるので、それらの間で張力が付与される。そうすると、その張力によって用紙3と接触する剥離爪46の接触部分93が、爪本体91からの突出方向と逆方向、すなわち、斜め上方に向かって押圧されるので、その結果、剥離爪46は、揺動軸96を支点として時計方向に揺動され、先端部分92が加熱ローラ42の表面から離間される。
その後、用紙3の後端部が加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間を通過すると、上記した用紙3の張力がなくなるため、剥離爪46は、自重により、その先端部分92が再び加熱ローラ42の表面と接触するように揺動される。
その結果、この定着部20では、定着動作中において、用紙3が、加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間を通過する毎に、剥離爪46の先端部分92を加熱ローラ42の表面から離間させることができる。
そのため、大掛かりでコストのかかる機構を必要とせずとも、簡単な構成で、定着動作中において、剥離爪46を、用紙3が加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間を通過する毎に、必要なとき(つまり、用紙3の先端部が加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間を通過するとき)以外は、できるだけ加熱ローラ42と離間させることができる。その結果、定着動作中において、剥離爪46が加熱ローラ42に常時接触している場合に比べて、剥離爪46にトナーが堆積して、その堆積したトナーが再び加熱ローラ42に付着して、用紙3に汚れが生じたり、あるいは、定着動作中の常時接触によって、加熱ローラ42が磨耗して耐久性が低下することを、低減することができる。
より具体的には、たとえば、用紙3がA4サイズである場合には、その用紙3の先端部30mm程度が加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間を通過する間、および、用紙3の後端部30mm程度が加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間を通過する間を除いて、残りの中間部240mmが加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間を通過している間は、剥離爪46の先端部分92を加熱ローラ42の表面から離間させることができる。
その後、排紙パス78に送られた用紙3は、図1に示すように、排紙ローラ79に送ら
れて、その排紙ローラ79によって排紙トレイ80上に排紙される。
また、このとき、たとえば、加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間を通過した後の用紙3の先端部に、加熱ローラ42の表面形状と同方向の円弧状のカールがついていても、図3に示すように、そのカールのついた用紙3の先端部は、まず、第1ガイド部材76のガイド片76bに当接し、その用紙3の加熱ローラ42と各加圧ローラ44との間からの送り出しに伴なって、第1ガイド部材76のガイド片76bによって、搬送機構部45における用紙3の搬送位置(搬送ローラ61および搬送方向上流側のピンチローラ62との接触部分、以下同じ。)に案内される。そして、カールのついた用紙3の先端部は、次いで、搬送位置の搬送方向上流側において、搬送ローラ61と、加熱ローラ42と接触した面と反対側の面で接触して、その搬送ローラ61によって用紙3の先端部のカール方向と逆方向に押し延ばされながら搬送位置に搬送される。そのため、用紙3の折れ曲がりなどに起因するジャムの発生を防止しつつ、用紙3を搬送位置に向けて確実に案内することができる。
また、このレーザプリンタ1には、図1に示すように、用紙3の両面に画像を形成するために、反転搬送部81が設けられている。この反転搬送部81は、排紙ローラ79と、反転搬送パス82と、フラッパ83と、複数の反転搬送ローラ84とを備えている。
排紙ローラ79は、1対のローラからなり、正回転および逆回転の切り換えができるように設けられている。この排紙ローラ79は、上記したように、排紙トレイ80上に用紙3を排紙する場合には、正方向に回転するが、用紙3を反転させる場合には、逆方向に回転する。
反転搬送パス82は、排紙ローラ79から画像形成部5の下方に配設される複数の反転搬送ローラ84まで用紙3を搬送することができるように、上下方向に沿って設けられており、その上流側端部が、排紙ローラ79の近くに配置され、その下流側端部が、反転搬送ローラ84の近くに配置されている。
フラッパ83は、排紙パス78と反転搬送パス82との分岐部分に臨むように、揺動可能に設けられており、図示しないソレノイドの励磁または非励磁により、排紙ローラ79によって反転された用紙3の搬送方向を、排紙パス78に向かう方向から、反転搬送パス82に向かう方向に切り換えることができるように設けられている。
反転搬送ローラ84は、給紙トレイ6の上方において、略水平方向に複数設けられており、最も上流側の反転搬送ローラ84が、反転搬送パス82の後端部の近くに配置されるとともに、最も下流側の反転搬送ローラ84が、レジストローラ12の下方に配置されるように設けられている。
そして、用紙3の両面に画像を形成する場合には、この反転搬送部81が、次のように動作される。すなわち、一方の面に画像が形成された用紙3が搬送機構部45によって排紙パス78から排紙ローラ79に送られてくると、排紙ローラ79は、用紙3を挟んだ状態で正回転して、この用紙3を一旦外側(排紙トレイ80側)に向けて搬送し、用紙3の大部分が外側に送られ、用紙3の後端が排紙ローラ79に挟まれた時に、正回転を停止する。次いで、排紙ローラ79は、逆回転し、フラッパ83が、用紙3が反転搬送パス82に搬送されるように、搬送方向を切り換えて、用紙3を前後逆向きの状態で反転搬送パス82に搬送するようにする。なお、フラッパ83は、用紙3の搬送が終了すると、元の状態、すなわち、搬送機構部45から送られる用紙3を排紙ローラ79に送る状態に切り換えられる。次いで、反転搬送パス82に逆向きに搬送された用紙3は、反転搬送ローラ84に搬送され、この反転搬送ローラ84から、上方向に反転されて、レジストローラ12
に送られる。レジストローラ12に搬送された用紙3は、裏返しの状態で、再び、レジスト後に、画像形成位置に向けて送られ、これによって、用紙3の両面に画像が形成される。
そして、この定着部20では、図示しないCPUや回路の誤動作により、定着ヒータ43が正常に動作せず、加熱ローラ42の表面が、設定された熱定着温度(たとえば、220℃)以上に過熱され、たとえば、その加熱ローラ42の表面が熱定着温度を、たとえば、10〜30℃超えるバイメタル67の熱変形温度に到達すると、その熱が、加熱ローラ42とわずかの隙間を隔てて対向配置されている各熱伝導部材71を介して各サーモスタット48のバイメタル67の突出部材72に伝導され、バイメタル67の熱変形が生じる。そうすると、そのバイメタル67の熱変形によりバイメタル67と接点73が接触し、それに続いて接点73と導通板68が接触するので、それを契機として導通板68に過電流か流れて、定着ヒータ43に接続されている配線69が遮断される。その結果、定着ヒータ47への通電が遮断され、加熱ローラ42の過熱が防止される。
また、この定着部20では、各サーモスタット48のバイメタル67が熱変形せずとも、さらなる過熱によって軸受部材51が軟化する温度(たとえば、260℃位)になると、その軸受部材51が軟化する。そうすると、加熱ローラ42は、加圧ローラ44から圧接される付勢力によって、付勢方向、つまり上方に向けて移動されるので、各熱伝導部材71を押圧するようになり、その結果、各サーモスタット48のバイメタル67の突出部材72が、各熱伝導部材71によって機械的に押圧され、それによって、各バイメタル67が機械的に変形する。そうすると、そのバイメタル67の機械的変形によりバイメタル67と接点73が接触し、それに続いて接点73と導通板68が接触するので、それを契機として導通板68に過電流か流れて、定着ヒータ43に接続されている配線69が遮断される。これによって、定着ヒータ47への通電が遮断され、加熱ローラ42のさらなる過熱を確実に防止することができる。
すなわち、この定着部20では、加熱ローラ42が過度に加熱されたときには、各サーモスタット48のバイメタル67の熱変形により定着ヒータ47の通電を遮断することができる他、たとえバイメタル67が熱変形せずとも、軸受部材51の軟化により、その軸受部材51に支持されていた加熱ローラ42が上方に移動して、各熱伝導部材71と接触して機械的に通電を遮断する。つまり、過熱時には、加圧ローラ44の圧接によって加熱ローラ42を確実に上方に移動させて、各熱伝導部材71と機械的に接触させて通電を遮断することができる。そのため、このような通電の遮断により、応答性の向上を図ることができ、定着ヒータ47の通電を確実に遮断することができ、確実な過熱防止を達成することができる。
また、この定着部20では、各サーモスタット48においては、バイメタル67と加熱ローラ42との間に、熱伝導部材71を介在させて、その熱伝導部材71をバイメタル67の突出部材72に作用させている。すなわち、加熱ローラ42の表面が過熱されたときには、その熱を熱伝導部材71を介してバイメタル67の突出部材72に伝導させることにより、バイメタル67を熱変形させて定着ヒータ47への通電を遮断し、また、加熱ローラ42の表面が軸受部材51の軟化溶融温度に到達したときには、加熱ローラ42の熱伝導部材71の押圧により、バイメタル67を機械的に変形させて定着ヒータ47への通電を遮断している。そのため、各サーモスタット48のバイメタル67の熱変形による通電の遮断と、熱伝導部材71の押圧によるバイメタル67の機械的な変形による通電の遮断との、通電を遮断する2重の手段をコンパクトに設けつつ、応答性の向上を図ることができる。
また、この定着部20では、加熱ローラ42を付勢する部材を格別に設けずとも、加熱
ローラ42の表面が軸受部材51の軟化溶融温度に到達したときには、加圧ローラ44によって加熱ローラ42を押圧して、加熱ローラ42を熱定着部材71を介してバイメタル67と接触させることができるので、構成の簡略化および部品点数の低減化を図ることができる。
また、この定着部20では、各サーモスタット48において、バイメタル67の突出部材72が、熱伝導部材71を介して加熱ローラ42の表面と接触するので、この突出部材72により、加熱ローラ42の表面との確実な接触を確保することができる。そのため、より一層確実な過熱防止を達成することができる。
また、各サーモスタット48では、過熱時には、各バイメタル67が、各熱伝導部材71を介して加熱ローラ42の定着領域と接触するので、定着領域が設定された熱定着温度よりも過熱された場合に、迅速に定着ヒータ47の通電を遮断することができる。そのため、より一層確実な過熱防止を達成することができる。
しかも、各熱伝導部材71は、正常状態においては、加熱ローラ42の表面の定着領域とは常には非接触となるように設けられているので、加熱ローラ42と加圧ローラ44との間に挟まれて熱定着される用紙3のトナー像に影響を与えることなく、また、常に接触している場合に比べて、各熱伝導部材71および加熱ローラ42の表面の互いの損傷を低減することができ、装置の耐久性を向上させることができる。
また、この定着部20では、各サーモスタット48の熱伝導部材71は、図3に示すように、加熱ローラ42の回転方向において、各サーモスタット48よりも上流側に支持されているので、加熱ローラ42と搬送方向下流側の加圧ローラ44との間から送り出される用紙3の先端部が、加熱ローラ42に巻き付いた場合でも、その巻き付いた用紙3の当接により各熱伝導部材71が損傷することを低減することができる。
また、この定着部20において、第1サーモスタット48aでは、第1熱伝導部材71aがバイメタルケーシング66に設けられているので、バイメタルケーシング66とともに第1熱伝導部材71aを組み付けることができるので、確実な組み付けにより、確実な過熱防止を達成することができる。
また、第2サーモスタット48bでは、第2熱伝導部材71bが、バイメタルケーシング66とは別の架設フレーム56に設けられているので、組み付けにおいて、レイアウトの自由度を高めることができ、効率的な配置を達成することができる。
そして、このレーザプリンタ1では、このようにして確実な過熱防止を達成することのできる定着部20を備えているので、装置の信頼性を向上させることができる。
なお、以上の説明においては、各熱伝導部材71を、正常状態において、その表面が各バイメタル67の突出部材72と常に接触し、その裏面が加熱ローラ42の定着領域において加熱ローラ42の表面と常にはわずかな隙間を隔てて対向するように、各バイメタル67と加熱ローラ42との間に介在させたが、たとえば、サーモスタット48を、加熱ローラ42の表面における定着領域の外側と対向配置させて、図9に示すように、熱伝導部材71を、正常状態において、その表面がバイメタル67の突出部材72と常に接触し、その裏面が加熱ローラ42の表面における定着領域の外側と常に接触するように、バイメタル67と加熱ローラ42との間に介在させてもよい。
熱伝導部材71を、このようにバイメタル67および加熱ローラ42の表面の両方に接触させれば、加熱ローラ42の表面が過度に加熱され、バイメタル67の熱変形温度に到
達すると、加熱ローラ42に向けて露出しているバイメタル67が、加熱ローラ42の表面と空気を介さずに接触して通電を遮断する。つまり、加熱ローラ42の表面からの熱が、まず、熱伝導部材71に伝導され、次いで、熱伝導部材71からバイメタル67に伝導され、その伝導された熱によってバイメタル67が熱変形して通電を遮断する。そのため、空気を介する伝導に比べて、応答性の向上を図ることができ、定着ヒータ43の通電を迅速に遮断することができ、確実な過熱防止を達成することができる。
とりわけ、図9に示す態様では、バイメタル67は、加熱ローラ42の表面と、空気よりも熱伝導率の高い熱伝導部材71を介して接触するので、迅速な応答性を確実に確保することができる。
なお、図9に示す態様では、熱伝導部材71を加熱ローラ42の表面における定着領域の外側において常に接触させているので、たとえ熱伝導部材71と加熱ローラ42の表面との互いに接触によりこれらが磨耗しても、熱定着に与える影響を低減することができる。
また、図9に示す態様では、バイメタル67と加熱ローラ42の表面とをバイメタル67を介して接触させたが、たとえば、図10に示すように、熱伝導部材71を設けずに、バイメタル67の突出部材72と加熱ローラ42の表面とを、加熱ローラ42の表面における定着領域の外側において、直接接触させてもよい。
このように、バイメタル67の突出部材72と加熱ローラ42の表面とを直接接触させることによっても、迅速な応答性を確実に確保することができる。
なお、図10に示す態様でも、バイメタル67の突出部材72を加熱ローラ42の表面における定着領域の外側において接触させているので、上記と同様に、たとえバイメタル67の突出部材72と加熱ローラ42の表面との互いに接触によりこれらが磨耗しても、熱定着に与える影響を低減することができる。
また、上記の説明では、各サーモスタット48のバイメタル67に突出部材72を設けたが、たとえば、各熱伝導部材71に、加熱ローラ42の表面と接触させるために、加熱ローラ42の表面に向かって突出する突出部材を設けてもよい。