JP4424302B2 - 半導体チップの製造方法 - Google Patents
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Description
分割する予定のラインの加工方法として、近年では、レーザ光を用いた加工方法(レーザダイシング)の検討や研究が進められており、例えば、下記特許文献1にレーザによる半導体基板の加工技術が開示されている。図6は、レーザ光を用いたダイシング工程を示す説明図である。図6(A)はレーザ光の照射による改質領域形成工程の説明図であり、図6(B)は半導体基板の分割工程の説明図である。
図6(A)に示すように、シリコン等の半導体からなり、基板面に半導体素子Dが形成された半導体基板Wを用意し、基板面の裏面を延伸性を有する樹脂製のシートSに接着する。シートSの半導体基板Wを接着する面には、紫外線硬化型接着剤などが塗布された接着層Bが全面に形成されており、半導体基板Wは裏面の全面が接着層Bに接着される。
レーザ光Lを照射するレーザヘッドHは、レーザ光Lを集光する集光レンズCVを備えており、レーザ光Lを所定の焦点距離で集光させる。改質領域形成工程では、レーザ光Lの集光点Pが半導体基板Wの表面から深さdの箇所に形成されるように設定したレーザ光照射条件で、半導体基板Wを分割する分割予定ラインDL上に沿って(図中手前方向)レーザヘッドHを移動させ、レーザ光Lを半導体基板Wの表面から照射する。これにより、レーザ光Lの集光点Pが走査された深さdの経路には、多光子吸収による改質領域Kが形成される。
改質領域Kは、分割予定ラインDLに沿って集光点Pの深さdを調整し、半導体基板Wの厚さ方向へ集光点Pを移動させることにより、半導体基板Wの厚さの範囲内で任意の深さの複数箇所に形成することができる。
ここで、多光子吸収とは、物質が複数個の同種もしくは異種の光子を吸収することをいう。その多光子吸収により、半導体基板Wの集光点Pおよびその近傍では、光学的損傷という現象が発生し、これにより熱ひずみが誘起され、その部分にクラックが発生し、そのクラックが集合した層、つまり改質領域Kが形成される。
続いて、図6(B)に示すように、半導体基板Wの面内方向(図中矢印F1、F2で示す方向)に応力を負荷することにより、改質領域Kを起点にして、基板厚さ方向にクラックを進展させて、半導体基板Wを分割予定ラインDLに沿って分割し、半導体チップCを得る。
また、上記の現象を避けるために、半導体基板Wの裏面近傍にレーザ光Lを照射しないようにすると、分割の起点となる裏面近傍を狙って十分な量の改質領域Kが形成することができないため、分割するために大きな力が必要となり、半導体基板Wの割り残しの原因になるという問題があった。
また、半導体基板の接着面近傍にレーザ光を照射しても、レーザ光が半導体基板を透過して、シートに照射されるおそれがないので、分割の起点となる接着面近傍を狙って十分な量の改質領域を形成することができる。
つまり、分割予定ラインに照射されるレーザ光が半導体基板を透過してシートに集光されることによりシートが変質することを防止し、かつ、シートの接着面が接着された基板面近傍を狙って、半導体基板の分割のために十分な量の改質領域を形成することができる半導体チップの製造方法を実現することができる。
また、改質領域形成工程において、半導体基板内に照射されたレーザ光を基板面に形成した反射材により反射させて、反射したレーザ光の集光点を半導体基板内部で合わせることにより、改質領域を形成するため、反射したレーザ光のエネルギーを有効に利用して、効率よく改質領域を形成することができる。
この発明に係る半導体チップの製造方法の第1実施形態について、図を参照して説明する。図1は、半導体基板の構成を示す説明図である。図1(A)は、半導体基板の平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)の1A−1A矢視断面図である。図2は、半導体基板にレーザ光の照射を行う方法を示す説明図である。図3は、半導体基板に形成されたアルミニウム膜によりレーザ光が反射される様子の模式図である。
なお、いずれの図においても、説明のために一部を拡大して誇張して示している。
図1(A)に示すように、シリコンからなる薄板円盤形状の半導体基板21を用意する。半導体基板21は、基板面21aの裏面21b(図1(B))が、接着剤などにより全面に接着層52(図1(B))が形成されている延伸性を有する樹脂製のシート41に接着されている。シート41は、シート41が張った状態になるようにその外周部が円環状のフレーム42により保持されている。
半導体基板21の外周の一部には、結晶方位を示すオリエンテーションフラットOFが形成されている。半導体基板21の基板面21aには、拡散工程等を経て形成された半導体素子24が碁盤の目のように整列配置されている。
各半導体素子24間の基板面21aには、半導体基板21を厚さ方向に分割する予定のラインである分割予定ラインDL1〜DL14が、裏面21bに向かって半導体基板21の厚さ方向に設定されている。分割予定ラインDL1〜DL7は、オリエンテーションフラットOFに略垂直方向に設けられ、それぞれが相互に平行になるように設定されている。分割予定ラインDL8〜DL14は、オリエンテーションフラットOFに略平行方向に設けられ、それぞれが相互に平行になるように設定されている。つまり、分割予定ラインDL1〜DL7と分割予定ラインDL8〜DL14とは相互に垂直に交差している。
半導体基板21の裏面21bには、スパッタ法により、全面に厚さが数μmのアルミニウム膜25が形成されている(図1(B))。アルミニウム膜25は成膜が容易であるとともに、半導体基板21への密着力及びレーザ光の反射効率が高い。また、アルミニウム膜25はドライプロセスであるスパッタ法により形成されているため、成膜プロセスにおいて半導体素子24が影響を受けるおそれがない。
これらの半導体チップ22a〜22fを分割するために、7本の分割予定ラインDL1〜DL7及び図1(B)では図示されていない分割予定ラインDL11、DL12(図1(A))が設定されている。分割予定ラインDL1〜DL7、DL11、DL12には、分割の起点となる改質領域K(図2)が後述する方法により半導体基板21の厚さ方向に形成される。
図2に示すように、半導体チップの製造装置1には、レーザ光Lを照射するレーザヘッド31が設けられている。レーザヘッド31は、レーザ光Lを集光する集光レンズ32を備えており、レーザ光Lを所定の焦点距離で集光させることができる。ここでは、レーザ光Lの集光点Pが半導体基板21の基板面21aから深さdの箇所に形成されるように設定されている。
続いて、図2に示すように、レーザヘッド31を分割予定ラインDL4に沿って走査し(図中F4方向)、レーザ光Lを基板面21aから照射することにより、レーザ光Lの集光点Pが走査された深さdの経路に、多光子吸収による改質領域Kが適正に形成される。
ここで、レーザ光Lの集光点Pの深さdを調整することにより、半導体基板21の厚さの範囲内で任意の深さに任意の層数の改質領域Kを形成することができる。例えば、厚さが比較的厚い場合は、その厚さ方向へ集光点Pを移動させて、改質領域Kを分割予定ラインDLの厚さ方向に連続状、または複数箇所に形成することにより、半導体基板21を確実に分割することができる。
つまり、半導体基板21の裏面21b近傍にレーザ光Lを照射しても、レーザ光Lが半導体基板21を透過して、シート41に集光されるおそれがないので、分割の起点となる裏面21b近傍を狙って改質領域Kを形成することができる。
他の分割予定ラインDLについても、分割予定ラインDL4と同様に裏面21b近傍に改質領域Kを形成する。
続いて、シート41を面方向に拡張することにより、半導体基板21に応力を負荷し、改質領域Kを起点にしてクラックを進展させて、半導体基板21を分割予定ラインDLに沿って厚さ方向に分割する。
シート41を拡張する方法としては、例えば、フレーム42を固定した状態で、半導体基板21の裏面21bとほぼ同じ大きさの平坦面を有する図示しない押圧装置を用いて、シート41の裏側から半導体基板21を押し上げるように押圧することにより、シート41を面方向に拡張して半導体基板21の面内方向に応力を負荷するという公知の方法を用いることができる。
(1)半導体基板21の裏面21bにレーザ光Lを反射するアルミニウム膜25が形成されているため、レーザ光Lが半導体基板21を透過して、シート41に集光点Pが合うことを防止できる。
また、半導体基板21の裏面21b近傍にレーザ光Lを照射しても、レーザ光Lが半導体基板21を透過して、シート41に照射されるおそれがないので、裏面21b近傍を狙って分割の起点となる十分な量の改質領域Kを形成することができる。
つまり、分割予定ラインDLに照射されるレーザ光Lが半導体基板21を透過して、シート41内部で集光することによりシート41が変質することを防止し、かつ、半導体基板21の裏面21b近傍に、分割のために十分な改質領域Kを形成することができる半導体チップ22の製造方法を実現することができる。
この発明に係る半導体基板の接着方法の第2実施形態について、図を参照して説明する。図4は、アルミニウム膜25で反射させたレーザ光Lを集光させて、改質領域Kを形成する方法を示す説明図である。
なお、以下では、レーザ光Lの照射による改質領域Kの形成工程のみ説明するとともに、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用し、説明を省略する。
集光点Pの位置は、図2に示すレーザヘッド31のレーザ光Lの出射面と基板面21aとの距離Mによって定まり、アルミニウム膜25が形成されていない場合には、この距離Mが短いほど、集光点Pはシート41側に移動する。
図4に示すように、レーザ光L1〜L5を照射する場合には、この順で距離Mが短くなるように設定されている。
したがって、改質領域KはK4→K3→K5→K2→K1の順に形成することが望ましく、レーザ光LがL4→L3→L5→L2→L1の順に照射されるようにレーザヘッド31と基板面21aとの距離M(図2)を制御する。
(1)改質領域形成工程において、半導体基板21内に照射されたレーザ光Lを裏面21bに形成したアルミニウム膜25により反射させて、反射したレーザ光Lの集光点Pを半導体基板21内部で合わせることにより、改質領域Kを形成するため、反射したレーザ光Lのエネルギーを有効に利用して、効率よく改質領域Kを形成することができる。
(1)図5は、アルミニウム膜25を裏面21bの少なくとも分割予定ラインDL上に形成する構成の断面説明図である。図5に示すように、アルミニウム膜25は分割予定ラインDL3〜DL5上に、半導体チップ22の1辺の例えば約1/10の幅を有する帯状に形成されている。半導体基板21の裏面21b全体を見ると、アルミニウム膜25は、分割予定ラインDL1〜DL14上に格子形状に形成されている。この構成を使用した場合にも、アルミニウム膜25が分断予定ラインDLに照射されたレーザ光を反射することができるため、第1実施形態及び第2実施形態の効果を奏することができる。更に、裏面21bのアルミニウム膜25が形成されている領域以外の大部分の領域が、接着層52と直接接着されているため、半導体基板21をシート41に強固に接着することができるので、分割工程において、半導体基板21に確実に応力を負荷し、確実に分割することができる。
また、接着層52上の分割予定ラインDLに対応する位置に、アルミニウム箔などの金属箔を格子形状に配置してもよい。
裏面21bが請求項1に記載の一方の基板面に、アルミニウム膜25が反射材にそれぞれ対応する。
21 半導体基板
21b 裏面(一方の基板面)
22、22a〜22f 半導体チップ
24 半導体素子
25 アルミニウム膜(反射材)
31 レーザヘッド
41 シート
52 接着層
DL、DL1〜DL14 分割予定ライン
K、K1〜K5 改質領域
L レーザ光
M レーザヘッドのレーザ光の出射面と基板面との距離
P、P1〜P5、Pa、Pb、Pm、Pn 集光点
Claims (3)
- 一方の基板面にシートの接着面が接着された半導体基板を用意し、
この半導体基板をその厚さ方向に分割するための分割予定ラインに沿って、レーザ光を前記半導体基板に対して相対移動させながら、前記半導体基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、前記集光点に多光子吸収による改質領域を形成する改質領域形成工程と、
この改質領域形成工程を経た前記半導体基板を、前記シートを拡張することにより、前記改質領域を起点にして、前記分割予定ラインに沿って厚さ方向に分割して半導体チップを得る分割工程と、を備えた半導体チップの製造方法において、
前記基板面の少なくとも前記分割予定ライン上に、前記レーザ光を反射する反射材が形成されており、
前記改質領域形成工程において、前記半導体基板内に照射された前記レーザ光を前記基板面に形成した前記反射材により反射させて、反射した前記レーザ光の集光点を前記半導体基板内部で合わせることにより、前記改質領域を形成することを特徴とする半導体チップの製造方法。 - 前記反射材が金属膜で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップの製造方法。
- 前記金属膜が主にアルミニウムにより形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体チップの製造方法。
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