JP4423891B2 - 超伝導3端子素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速電子回路や超伝導コンピュータ等に用いられる超伝導トランジスタ等の超伝導素子、あるいは半導体ウエハの不純物検査やX線蛍光分析の際に用いられる放射線検出素子として利用可能な超伝導素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの超伝導体を絶縁体や常伝導体で挟んだジョセフソン接合を超伝導トランジスタや超伝導放射線検出素子等の超伝導素子に用いることが提案されている。
【0003】
ジョセフソン接合を有する超伝導トランジスタとして、2つの超伝導体をそれぞれ電界効果トランジスタ(FET)のソース電極及びドレイン電極として用い、ジョセフソン接合部にゲート電極を接続したものがある。このような超伝導トランジスタでは、ジョセフソン接合部に印加する制御電圧や該接合部に流す制御電流を制御することによりジョセフソン接合の臨界電流値を変化させ、それによりソース電極−ドレイン電極間の電流値を制御することができる。ここで、臨界電流値とは、ジョセフソン接合部に印加する電圧を0とした時に流れる電流の値を指す。
【0004】
ジョセフソン接合を有する超伝導放射線検出素子は、検出方法や構造の違いにより様々な種類のものが知られている。その1つに、ジョセフソン接合部に放射線吸収体を熱的に接続したマイクロカロリメータ型検出素子がある。この素子では、放射線吸収体に放射線が入射すると、放射線吸収体がそのエネルギーを熱に変換し、この熱が接合部に伝えられる。接合部の電子温度が変化すると、臨界電流値が変化するため、この臨界電流値の変化量を検出することにより、放射線吸収体に入射した放射線のエネルギーを計測することができる。臨界電流値の変化は、例えば非特許文献1に記載のように、このジョセフソン接合を含むSQUID(超伝導量子磁束干渉計)アンプを用いて増幅して検出する。なお、本明細書では、「放射線」には、α線、β線、中性子線、電子線、X線、γ線等の他に、赤外線、可視光線、紫外線を含むものとする。
【0005】
これらの超伝導トランジスタや超伝導放射線検出素子等の超伝導素子に用いられるジョセフソン接合には、大きく分けてトンネル型とマイクロブリッジ型がある。トンネル型ジョセフソン接合は、トンネル電流が流れる程度に薄い絶縁体膜を2つの超伝導体の間に設けたものである。しかし、トンネル型ジョセフソン接合は、薄い絶縁体膜を作製するために高度な技術が必要であり、また、接合部の断面積を小さくすることができないことから低ノイズ化が困難であるため、超伝導トランジスタや超伝導放射線検出素子に用いるには不向きである。一方、マイクロブリッジ型ジョセフソン接合は、2つの超伝導体を電気的に弱い結合によって接続したものである。このマイクロブリッジ型ジョセフソン接合は、トンネル型のものよりも容易に作製でき、ノイズも小さい。
【0006】
マイクロブリッジ型ジョセフソン接合の1つに、2つの超伝導体を常伝導体で弱結合した、いわゆるSNS(Superconductor-Normal metal-Superconductor)ジョセフソン接合がある。
【0007】
非特許文献2には、超伝導体から成る2つの電極の間に、厚さ1μm以下の常伝導体を挟んだジョセフソン接合を有する素子が記載されており、この常伝導体に制御用の電流を流し、該制御電流の値を変化させることで、2つの超伝導体電極間の電流値を制御できることが示されている。この素子は、2つの超伝導体電極をソース電極及びドレイン電極とし、常伝導体をゲート電極とする超伝導トランジスタとして用いることができる。また、常伝導体に放射線吸収体を接続することにより、超伝導放射線検出素子として用いることもできる。
【0008】
SNSジョセフソン接合のもう一つの構成例として、特許文献1には、2つの超伝導体の間に厚さ5nm〜40nm程度の絶縁体を挟み、この絶縁体中に局所的に絶縁性を持たない領域を作り出すことにより、2つの超伝導体を弱結合させる部分を形成したジョセフソン接合が記載されている。この領域は、例えば、酸化物絶縁体や窒化物絶縁体に集束イオンビームを照射して絶縁体内の酸素イオンや窒素イオンをはじき出すことにより形成することができる。このとき、前記領域は、絶縁体が常伝導体を酸化又は窒化させたものである場合には常伝導領域となり、絶縁体が超伝導体を酸化又は窒化させたものである場合には超伝導領域となる。以後、このように形成された局所的な常伝導領域や超伝導領域を「局所伝導領域」と呼ぶ。
【0009】
【特許文献1】
特開平7-235701号公報([0017]〜[0018],図1)
【非特許文献1】
E. J. Tarte他, "アシンメトリ モジュレーティド スクイド", スーパーコンダクター サイエンス アンド テクノロジー, (英国), アイオーピー パブリシング, 2000年, 第13巻, 983〜988ページ(E. J. Tarte et al., "Asymmetry modulated SQUIDS", Superconductor Science & Technology, (UK), IOP Publishing Ltd., 2000, vol. 13, p. 983〜988)
【非特許文献2】
A. Morpurgo 他, "ホット エレクトロン チューナブル スーパーカレント", アプライド フィジックス レターズ, (米国), アメリカン インスティテュート オブ フィジックス, 1998年, 第72巻, 966〜968ページ(A. Morpurgo et al., "Hot electron tunable supercurrent", Applied Physics Letters, (US), American Institute of Physics, 1998, vol. 72, p. 966〜968)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
SNSジョセフソン接合を用いた超伝導トランジスタや超伝導放射線検出素子において、トランジスタの特性や放射線検出性能を最適化するためには、製造される素子の臨界電流値が設計値にほぼ一致するように、ジョセフソン接合を高精度且つ再現性よく作製する必要がある。非特許文献2に記載されたジョセフソン接合においては、その臨界電流値が常伝導体の膜厚と面積に依存するため、常伝導体薄膜の堆積処理や集束イオンビーム法等によるパターニング処理の精度が重要となる。また、常伝導体薄膜の質(結晶性や不純物の有無等)も臨界電流値に影響を及ぼす。しかし、非特許文献2のジョセフソン接合では、1μm2以下の微小な領域における処理が必要となるため、これらの処理を高精度且つ再現性よく行うことが難しい。
【0011】
一方、特許文献1に記載のジョセフソン接合では、前記のように集束イオンビームの照射により絶縁体中に形成された局所伝導領域によって、2つの超伝導体を弱結合する。そのため、絶縁体の厚さや照射する集束イオンビームの強度等によって、弱結合の強さを制御することができ、比較的容易に、高精度且つ再現性よくジョセフソン接合を作製することができる。しかし、局所伝導領域が形成されるのは絶縁体膜中のごく微小な領域であるため、該局所伝導領域にゲート電極や放射線吸収体を接続することは非常に難しい。そのため、特許文献1に記載のジョセフソン接合を超伝導トランジスタや超伝導放射線検出素子に用いることは困難である。
【0012】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、高精度且つ再現性よく作製することができ、接合部にゲート電極や放射線吸収体等の端子を容易に接続することができる、超伝導トランジスタや超伝導放射線検出素子等のジョセフソン接合を用いた超伝導3端子素子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明に係る超伝導3端子素子は、
a)第1の超伝導体層と、
b)前記第1超伝導体層に積層された常伝導体層と、
c)前記常伝導体層に積層された絶縁体層と、
d)前記絶縁体層に積層された第2の超伝導体層と、
e)前記絶縁体層内に局所的に形成された局所伝導領域と、
f)前記第1の超伝導体層に接続された第1の端子と、
g)前記第2の超伝導体層に接続された第2の端子と、
h)前記常伝導体層に接続された第3の端子と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の超伝導3端子素子は、常伝導体層に前記第3端子として、ゲート電極を接続することにより超伝導トランジスタとなり、放射線吸収体を接続することにより超伝導放射線検出素子となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る超伝導3端子素子は、第1超伝導体層、常伝導体層、絶縁体層、第2超伝導体層が順に積層された構造を有する。絶縁体層は、常伝導体又は超伝導体が局所的に形成された局所伝導領域を有する。
【0016】
この超伝導3端子素子では、絶縁体層に形成された局所伝導領域と、局所伝導領域の直上の近傍にある常伝導体層の一部領域とが一体となって、第1超伝導体層と第2超伝導体層とを電気的に弱結合させ、マイクロブリッジ型ジョセフソン接合を形成する。一方、ジョセフソン接合を形成する前記一部領域以外の常伝導体層の部分は、ジョセフソン接合の特性にほとんど影響を与えない。以下、本発明の超伝導3端子素子において、局所伝導領域と常伝導体層の前記一部領域とを合わせた部分を「弱結合部」と呼ぶ。
【0017】
局所伝導領域は、絶縁体層が酸化物である場合には酸素イオンの低濃度化により、絶縁体層が窒化物である場合には窒素イオンの低濃度化により、それぞれ作製することができる。これらは、例えば、特許文献1に記載されたように、絶縁体層にイオンビームを照射することにより作製することができる。その際、マスクを用いるか、或いは集束イオンビームを用いることにより、所定の領域にのみイオンビームが照射されるようにする。このようにイオンビームを照射した領域に含まれる酸素イオン又は窒素イオンの一部がはじき出されることにより、その領域の酸素イオン又は窒素イオンの濃度が低くなり、その部分の絶縁性が失われて局所伝導領域となる。局所伝導領域は、絶縁体層が常伝導体を酸化又は窒化させたものである場合には常伝導領域となり、絶縁体層が超伝導体を酸化又は窒化させたものである場合には超伝導領域となる。
【0018】
常伝導体層には、超伝導3端子素子の使用目的に応じた所定の端子が接続される。この端子から常伝導体層に電流や熱を与えることにより、弱結合部の電子温度を制御して、その結果、2つの超伝導体層の間を流れる電流の大きさを制御することができる。特許文献1のジョセフソン接合で局所伝導領域に端子を接続することが非常に難しいため超伝導3端子素子に用いることが困難であるのに対して、本発明では局所伝導領域ではなく常伝導体層に端子を接続するため、比較的容易に接続を行うことができる。
【0019】
局所伝導領域が超伝導領域である場合には、超伝導転移温度以下の温度域において超伝導ギャップが形成されることにより電子のエネルギー状態が常伝導体層と大きく異なるのに対して、局所伝導領域が常伝導領域である場合には、電子のエネルギー状態に関して常伝導体層との大きな違いはない。そのため、常伝導体層から局所伝導領域に電流や熱を供給する効率は、通常、局所伝導領域が超伝導領域である場合よりも常伝導領域である場合の方が高い。従って、局所伝導領域は常伝導領域であることが望ましい。更に、常伝導体層から局所伝導領域に電流や熱を供給する効率を高めるために、局所伝導領域と常伝導体層とを同じ材料とすることがより望ましい。例えば、常伝導体層の表面を酸化又は窒化させて絶縁体層を形成し、該絶縁体層に集束イオンビームを照射することにより、常伝導体層と同じ材料から成る局所伝導領域を作製することができる。
【0020】
本発明の超伝導3端子素子を超伝導トランジスタとして用いる場合には、端子としてゲート電極を常伝導体層に接続する。また、第1超伝導体層及び第2超伝導体層にも電極を接続し、それぞれソース電極及びドレイン電極とする。この超伝導トランジスタにおいては、ゲート電極に流す電流を制御することにより、ソース電極−ドレイン電極間に流れる電流値を制御することができる。
【0021】
一方、本発明の超伝導3端子素子を放射線検出素子として用いる場合には、端子として放射線吸収体を常伝導体層に接続する。放射線吸収体は、放射線を吸収して、それによりに発生する熱を常伝導体層に伝えるためのものである。接続部において熱伝導率が低下しないように、放射線吸収体には常伝導体層と同じ材料を用いて、両者を一体のものとすることが望ましい。
【0022】
放射線吸収体が放射線を吸収すると、弱結合部に熱が供給されて電子温度が変化し、第1超伝導体層−第2超伝導体層間の電流値が変化する。この電流値の変化を検出することにより、放射線吸収体に入射した放射線のエネルギーを計測する。電流値の変化の検出は、このジョセフソン接合を含むSQUID(超伝導量子磁束干渉計)アンプを用いて増幅した電流を検出することにより行うことが望ましい。
【0023】
【発明の効果】
本発明の超伝導3端子素子においては、絶縁体層に形成された局所伝導領域と常伝導体層の一部領域とにより弱結合部が形成され、該弱結合部の特性が局所伝導領域により決まるため、絶縁体層の厚さや、局所伝導領域を作製する際に照射する集束イオンビームの強度等により、弱結合の強さを容易に制御することができる。これにより、高精度且つ再現性よくジョセフソン接合を作製することができるため、素子の性能も向上する。また、電極や放射線吸収体等の端子を常伝導体層に接続するため、製造が容易である。
【0024】
【実施例】
本発明の超伝導3端子素子の第1実施例として、超伝導トランジスタの一実施例の斜視図を図1(a)に示す。また、(a)に示した断面A-A'における断面図を図1(b)に示す。
第1超伝導体層11はニオブ(超伝導転移温度Tc=9.23K)やアルミニウム(Tc=1.196K)等の超伝導体から成り、端部にソース電極15を有する。第1超伝導体層11の一部分の上に、銅等から成る常伝導体層12が積層される。常伝導体層12の上に、酸化銅、酸化ニオブ、酸化アルミニウム等の酸化物、又は窒化銅、窒化ニオブ、窒化アルミニウム等の窒化物から成る絶縁体層13が積層される。絶縁体層13の上には第2超伝導体層14が積層され、その端部にドレイン電極16が形成される。
【0025】
常伝導体層12に、常伝導体から成るゲート電極17を接続する。このゲート電極17は、常伝導体層12と同じ材料により作製することが望ましい。また、常伝導体層12とゲート電極17は、一体のものとして作製することが望ましい。
【0026】
絶縁体層13の、常伝導体層12とゲート電極17との接続部の略直上の側部表面の領域18にアルミニウムイオンや銅イオンから成るイオンビームを照射することにより、絶縁体層13内に局所伝導領域19が形成される。これは照射されたイオンが絶縁体層13の表面からある一定の深さ(イオンビームの強度により決まる)まで達した際に、その位置にある酸素イオン又は窒素イオンがはじき出され、これらのイオン濃度が低下するためである。こうして形成された局所伝導領域19及びその直上にある常伝導体層12の一部分とが一体となって、2つの超伝導体層11及び14を電気的に弱結合させる弱結合部を形成する。
【0027】
この超伝導トランジスタの動作について説明する。まず、第1超伝導体層11及び第2超伝導体層14の超伝導転移温度以下まで超伝導トランジスタを冷却する。ゲート電極17−ドレイン電極16間にゲート電圧Vgを印加しない場合、直流ジョセフソン効果により、ソース電極15−ドレイン電極16間にジョセフソン電流Isdが流れる。ここで、ソース電極15−ドレイン電極16間の電圧Vsdが0の時に流れるジョセフソン電流Isdの大きさを臨界電流値Icと呼ぶ。それに対して、ゲート電圧Vgを印加すると、Vgの値が大きくなるにつれて臨界電流値Icが減少する(図2参照)。そして、ゲート電圧Vgを所定の値Vg1以上とすると、ジョセフソン電流Isdはほとんど流れなくなる。こうして、ゲート電圧のOFF/ONによりソース電極−ドレイン電極間の電流をON/OFFすることができる。
【0028】
上記において、ゲート電圧Vgの値が大きくなるにつれて臨界電流値Icが減少する理由は、Vgの増大と共に、ゲート電極17に接続された常伝導体層12を介して弱結合部の電子温度が上昇するためである。その結果として、非特許文献2に記載されたように、ジョセフソン接合の臨界電流値Icが減少する。
【0029】
本実施例の超伝導トランジスタの製造方法の一例を、図3を用いて説明する。まず、基板上に、スパッタリング等の方法により超伝導体薄膜を形成して、フォトリソグラフィーを用いて所定の形状にパターニングすることにより、ソース電極15を含む第1超伝導体層11を作製する((a))。次に、同様にスパッタリング及びフォトリソグラフィーを用いて、常伝導体層12及びゲート電極17を作製する((b))。次に、常伝導体層12の上に絶縁体層13を積層し、更に絶縁体層13の直上部のみに第2超伝導体層14の一部を積層する((c))。絶縁体層13の、常伝導体層12とゲート電極17との接続部の略直上の側面に集束イオンビームを照射することにより、局所伝導領域19を形成する((d))。その後、第1超伝導体層11及び常伝導体層12のうち、素子の完成後に第2超伝導体層14と接触する側面131を陽極酸化等の方法により酸化絶縁させた後、ドレイン電極16を含む第2超伝導体層14の残りの部分を積層させてパターニングする((e))。
【0030】
なお、図3(d)において、イオンビームを照射する領域18に上記のように集束イオンビームを照射する代わりに、領域18の周囲をマスクしてイオンビームを照射してもよい。
【0031】
本実施例の超伝導トランジスタでは、局所伝導領域19及びその直下にある常伝導体層12の一部分とが一体となって弱結合部を形成するが、該局所伝導領域19がイオンビームの照射により形成されることから、高精度且つ再現性よくジョセフソン接合を作製することができる。また、ゲート電極17が常伝導体層12に接続されるため、弱結合部とゲート電極17との接合が容易である。
【0032】
次に、本発明の超伝導3端子素子の第2実施例として、超伝導放射線検出素子の一実施例の斜視図を図4(a)に示す。また、(a)に示した断面A-A'における断面図を図4(b)に示す。
第1超伝導体層21、常伝導体層22、絶縁体層23及び第2超伝導体層24は、第1実施例の超伝導トランジスタと同様の構成である。第1超伝導体層21及び第2超伝導体層24は、それぞれ検出電極25及び26を有する。また、局所伝導領域29も第1実施例と同様に形成され、局所伝導領域29とその直下にある常伝導体層22の一部分とが一体となって、弱結合部を形成する。
【0033】
常伝導体層22に、放射線吸収体27を接続する。本実施例では、常伝導体層22と放射線吸収体27は同一の材料(銅等)により一体のものとして形成される。放射線吸収体27は平板状とする。
【0034】
この超伝導放射線検出素子は、第1実施例の超伝導トランジスタと同様の方法により製造することができる。
【0035】
この超伝導放射線検出素子の動作について説明する。まず、第1超伝導体層21及び第2超伝導体層24の超伝導転移温度以下まで超伝導放射線検出素子を冷却する。放射線吸収体27に放射線が入射すると、放射線吸収体27の温度が上昇する。この放射線吸収体27の熱が常伝導体層22を通して弱結合部に伝導する。これにより、弱結合部の電子温度が上昇し、検出電極25−26間の臨界電流値Icが減少する。この臨界電流値Icの変化を検出することにより、放射線吸収体27に入射した放射線のエネルギーを計測する。
【0036】
超伝導放射線検出素子は、弱結合部の温度変化に感応するため、ゲート電圧の変化により動作する超伝導トランジスタよりも熱的なノイズの影響を受けやすい。熱的なノイズを避けるために、超伝導放射線検出素子は、できるだけ低い温度で使用することが望ましい。また、臨界電流値Icの変化は超伝導トランジスタの場合よりも小さいため、検出電極25−26間の電流をSQUIDアンプ等により増幅して検出することが望ましい。
【0037】
本実施例の超伝導放射線検出素子では、前記超伝導トランジスタと同様に、高精度且つ再現性よくジョセフソン接合を作製することができる。また、放射線吸収体27が常伝導体層22に接続されるため、弱結合部と放射線吸収体27との間の熱的な接合が良好である。超伝導放射線検出素子では、放射線吸収体と弱結合部との間の熱的な接合の良否が放射線の検出感度に大きく影響を及ぼすため、本発明の構成により検出感度を向上させることができる。
【0038】
本発明の超伝導3端子素子の他の構成例を図5及び図6に示す。図5はこの超伝導3端子素子の斜視図であり、図6は、図5に示した切断面A-A'における断面図である。第1超伝導体層31、常伝導体層32、絶縁体層33及び第2超伝導体層34の順に積層され、常伝導体層32と同一の材料から成る端子37が常伝導体層32に接続される。ここで、端子37として、ゲート電極を作製すればこの素子は超伝導トランジスタになり、放射線吸収体を作製すればこの素子は超伝導放射線検出素子になる。
【0039】
絶縁体層33の、常伝導体層32と端子37との接続部の略直上の側面にイオンビームを照射することにより局所伝導領域39が形成される。本実施例は、イオンビームの照射に関して特徴を有する。図6に示すように、常伝導体層32、絶縁体層33及び第2超伝導体層34の断面の形状は台形であるため、各層の表面が斜面状に露出する。その斜面に向けて素子の真上からイオンビームを照射すると、絶縁体層33のうち、該斜面の表面からある距離だけ離れた部分のみが局所伝導領域となる。この距離は、イオンビームの強度により制御することができる。このように、本実施例では、局所伝導領域を形成する領域を正確に制御することができるため、より精度の高いジョセフソン接合を、より再現性良く作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の超伝導トランジスタの一実施例を示す斜視図。
【図2】 本発明の超伝導トランジスタの動作を説明するためのグラフ。
【図3】 本発明の超伝導トランジスタの製造方法を示す斜視図。
【図4】 本発明の超伝導放射線検出素子の一実施例を示す斜視図。
【図5】 本発明の超伝導3端子素子の他の実施例を示す斜視図。
【図6】 本発明の超伝導3端子素子の他の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
11、21、31…第1超伝導体層
12、22、32…常伝導体層
13、23、33…絶縁体層
14、24、34…第2超伝導体層
15…ソース電極
16…ドレイン電極
17…ゲート電極
18、28、38…イオンビーム照射領域
19、29、39…局所伝導領域
25、26…検出電極
27…放射線吸収体
37…端子

Claims (8)

  1. a)第1の超伝導体層と、
    b)前記第1超伝導体層に積層された常伝導体層と、
    c)前記常伝導体層に積層された絶縁体層と、
    d)前記絶縁体層に積層された第2の超伝導体層と、
    e)前記絶縁体層内に局所的に形成された局所伝導領域と、
    f)前記第1超伝導体層に接続された第1の端子と、
    g)前記第2超伝導体層に接続された第2の端子と、
    h)前記常伝導体層に接続された第3の端子と、
    を備えることを特徴とする超伝導3端子素子。
  2. 前記絶縁体層が酸化物絶縁体又は窒化物絶縁体から成り、前記局所伝導領域が、前記絶縁体層よりも酸素イオン又は窒素イオンの濃度が低い領域から成ることを特徴とする請求項1に記載の超伝導3端子素子。
  3. 前記局所伝導領域が常伝導領域であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超伝導3端子素子。
  4. 前記局所伝導領域が前記常伝導体層と同じ材料から成ることを特徴とする請求項3に記載の超伝導3端子素子。
  5. 前記局所伝導領域が前記絶縁体層にイオンビームを照射することにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超伝導3端子素子。
  6. 前記絶縁体層の側面が斜面状に露出し、前記局所伝導領域が該側面に前記イオンビームを照射することにより形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の超伝導3端子素子。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の超伝導3端子素子の前記第3端子をゲート電極としたことを特徴とする超伝導トランジスタ。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の超伝導3端子素子の前記第3端子を放射線吸収体としたことを特徴とする超伝導放射線検出素子。
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