JP4423133B2 - 折畳式車両用シート装置 - Google Patents
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Description
この特許文献1の発明では、車両床面に前後方向を向くロアレールを固定し、このロアレールにアッパーレールを前後方向に摺動自在に組み付け、アッパーレールとロアレールの間にアッパーレールを前方に向けて付勢するばね手段を設け、さらにアッパーレールのロアレールに対する摺動を禁止または許容するスライドロック機構を備えている。アッパーレールには車両用シートの座部の前端部が左右方向の軸回りに回転可能として枢着されており、座部をアッパーレール(車両床面)と平行をなす着座位置とアッパーレールに対して略直交する(垂直をなす)跳上位置との間で回転可能としている。座部には背凭れが、座部に対して起立位置と折畳位置との間で回転可能として枢着されており、さらに、座部には、車両床面に設けたストライカを把持及び解放する回動ロック機構が設けられており、座部が上記着座位置にある状態で回動ロック機構がストライカを把持すると、シートは着座位置に保持される。
まず、本発明を適用した車両用折り畳みシートと、その周辺部材について説明する。
図1〜図3は、自動車(図示略)内の車両床面100と、車両床面100に回転可能に設けられた折り畳み式シート10を示しており、車両床面100の折り畳み式シート10の前方には凹部100Aが凹設されている。
折り畳み式シート10は、座部11と、リクライニング機構RMを介して、座部11の後端に左右方向(図1〜図3の紙面の表裏方向を左右方向、図1〜図3の左側を前方、右側を後方とする)の軸回りに回転可能として枢着された背凭れ12とを具備している。リクライニング機構RMの働きによって、背凭れ12は、座部11に対して略直交する起立位置(図1参照)と座部11と略平行をなす折畳位置(図2参照)の間を前後方向に回動可能であり、リクライニング機構RMは背凭れ12を起立位置に保持する機能を備えている。さらに、図4に示すように、リクライニング機構RMは、座部11の内部に埋設された金属製のシートクッションフレーム70に突設された左右方向を向く回転軸RMA回りに回転可能なレバーRMLを具備している。このレバーRMLは、背凭れ12に設けられ、背凭れ12と一体的に回転する押圧ピンPに押圧されることにより回転するものであり、その一端にはワイヤ(リクライニング・ロック連動手段)W1の一端が固着されている。
座部11の底面には前後方向を向くとともに下面が開口する樋形状をなすアッパーレール20が左右一対として固着されている。そして、左右のアッパーレール20は、断面視においてアッパーレール20を囲む形状(上面が開口する樋形状)をなす前後方向を向くロアレール30に対して前後方向に移動可能(摺動可能)となっている。
スライドロック機構40は、ブラケット41とロックレバー43とブラケット49を備えるものである。アッパーレール20の上面に載置されたブラケット41は、アッパーレール20の上部とブラケット41とを貫通するボルトB1を、シートクッションフレーム70のねじ孔(図示略)に螺合することにより、アッパーレール20に固着されている。ブラケット41の端部には上下方向を向く枢着ピン42によって、略前後方向を向くロックレバー43の中間部が枢着ピン42回りに回転可能に枢着されている。ロックレバー43の前端部にはつまみ部44が突設されており、つまみ部44の先端部には係止孔45が穿設されている。さらに、ロックレバー43の後端部には前後一対のロック爪46が突設されており、ロックレバー43の上面には長孔47が穿設されている。
ロアレール30の底面の前端部には金属製のレール側ブラケット81が溶着されており、レール側ブラケット81には左右一対の側片82が形成されている。両側片82には互いに同心をなす貫通孔83が穿設されており、さらに外側の側片82(図14では右側)の前端上部は側面視で略直線形状の押圧部84となっている。
左右のレール側ブラケット81と対をなす床面側ブラケット86の左右の側片87同士の間隔はレール側ブラケット81の左右の側片82同士の間隔より狭く、左右の側片87には互いに同心をなす前後一対の貫通孔88A、88Bが穿設されており、その底部89には前後一対の取付孔90(図4参照)が穿設されている。左右の床面側ブラケット86は、レール側ブラケット81の左右の側片82の間に位置しており、左右の貫通孔88Aが左右の貫通孔83とそれぞれ重合しており、各貫通孔83、貫通孔88Aを左右方向を向く枢着ピン92が回転可能に貫通しており、この枢着ピン92によってレール側ブラケット81と床面側ブラケット86は枢着ピン92回りに回転可能に枢着されている。さらに、レール側ブラケット81と床面側ブラケット86とで囲まれた空間には捻りコイルばねからなるダンブルスプリング93が配設されており、その環状部94を枢着ピン92が貫通し、その両端部95がレール側ブラケット81の天井面と左右の貫通孔88Bに嵌合した係止ピン91にそれぞれ弾性接触している(係止ピン91の先端には抜け止め用のワッシャWAが装着されている)。
上記レール側ブラケット81、床面側ブラケット86、係止ピン91、枢着ピン92、ダンブルスプリング93、及びワッシャWA、WBが回転支持機構80の構成要素である。
上記押圧部84、枢着ピン92、ケーブル巻取ドラム96、及びワイヤW2は回転・スライド連動手段の構成要素であり、押圧部84、枢着ピン92、及びケーブル巻取ドラム96はワイヤ牽引機構の構成要素である。
車両床面100の回転支持機構80の後方には、車両前側から視たときに逆U字形をなす左右一対のストライカ101が突設されている。
図16〜図27に詳しく示すように、左右の回動ロック機構LMは、ブラケット110の垂下部112とブラケット115の間に支持された回転軸120回りに回転可能なフック125と、フック125の前方に位置し、垂下部112とブラケット115の間に支持され、その外端部がブラケット115の外側に突出する回転軸130回りに回転可能なポール135と、ブラケット115の外側において回転軸130に該回転軸130回りに回転可能として取り付けられた背凭れ連動回転部材140と、背凭れ連動回転部材140に枢着されたポール制御部材145とを備えている。
フック125は、左右のブラケット110、ブラケット115の間に位置しており、ストライカ101が進入可能な係合溝126と、ポール135と係脱可能な係合突部127と、垂下部112側の側面に突設された案内ピン128とを備えている。垂下部112には、案内ピン128が係合する回転軸120を中心とする円弧状の円弧孔114が穿設されており、フック125の反時計方向への回転は、円弧孔114の右側端面に案内ピン128が当接するロック解除位置(図18の位置)で規制されており、このロック解除位置から時計方向へ回転することによりロック位置(図16の位置)に到達する。係合溝126にストライカ101が係合した状態で、フック125がロック位置に移動することにより、フック125がストライカ101をロックする。
フック125とポール135の間には引張ばねS2が張設されており、この引張ばねS2の付勢力によって、フック125は図16〜図25の反時計方向に回転付勢され、ポール135は時計方向に回転付勢されている。
図16は、折り畳み式シート10が、その座部11(及びアッパーレール20とロアレール30)が進入溝113と略平行をなす着座位置に位置し、かつ、その背凭れ12が起立位置(図1参照。座部11に対して略直交する位置)にあるときの回動ロック機構LMとストライカ101を示している。図示するように、ストライカ101は進入溝113内においてロック位置にあるフック125の係合溝126に係合しており、ポール135は係合位置においてフック125の係合突部127に係合し、フック125とストライカ101のロック状態を保持している。捻りコイルばねS4によってポール制御部材145は背凭れ連動回転部材140に対して反時計方向に回転付勢されているが、ポール制御部材145の凹部146にポール135の係合ピン137が嵌合することにより、ポール制御部材145の反時計方向の回転が規制されている。
さらに、このように折り畳み式シート10全体を着座位置側に回転させると、レール側ブラケット81(押圧部84)の回転に伴ってケーブル巻取ドラム96が側面視で時計方向に回転し、引張ばねS1の付勢力によってロックレバー43がロック位置まで回転し、その両ロック爪46が係止孔23、係止孔31、貫通孔54、及び長孔65に嵌合するので、アッパーレール20(折り畳み式シート10)のロアレール30に対する前後方向移動(摺動)が不能となる。
しかも、折り畳み式シート10(アッパーレール20及びロアレール30)が跳上位置まで回転すると、アッパーレール20(折り畳み式シート10)はその自重によってロアレール30に対して自動的に下方(前方)に移動(摺動)するので、先行技術文献のようにレール装置に内蔵したばね手段の付勢力によって折り畳み式シート10を前方に移動させるものに比べて、折り畳み式シート10を確実に前方(下方)の移動端まで移動させられる。
さらに、先行技術文献のようにレール装置にばね手段を内蔵していないので、折り畳み式シート10が使用状態(通常着座状態)にあるときに、手動によりロックレバー43を操作してスライドロック機構SLMのロックを解除すれば、先行技術文献の装置に比べて軽い力により、折り畳み式シート10(アッパーレール20)を前後方向に移動させることができる。
また、折り畳み式シート10及びアッパーレール20がロアレール30に対して、その自重により前方の移動端まで摺動した際に、アッパーレール20とロアレール30の間の緩衝作用をするダンパ(図示略)をアッパーレール20とロアレール30の間に設けてもよい。
さらに、折り畳み式シート10全体が跳上位置まで回転したときに、折り畳み式シート10とアッパーレール20が、ロアレール30に沿って下方に摺動するのを助ける付勢力が極めて弱いばね勢手段(図示略)を、アッパーレール20とロアレール30の間に設けても良い。このようなばね手段の付勢力は、使用状態(通常着座状態)にある折り畳み式シート10(アッパーレール20)のスライド動作にとって殆ど抵抗とならないので、このようなばね手段を設けても、使用状態にある折り畳み式シート10を軽快にスライドさせることが可能である。
11 座部
12 背凭れ
20 アッパーレール
21 拡幅上昇傾斜部
22 縮幅上昇傾斜部
23 係止孔
30 ロアレール
31 係止孔
32 33 側部空間
34 底板
35 貫通孔
40 スライドロック機構
41 ブラケット
42 枢着ピン
43 ロックレバー
44 つまみ部
45 係止孔
46 ロック爪
47 長孔
48 係止孔
49 ブラケット
50 突部
51 案内ピン
52 垂下片
53 係止孔
54 貫通孔
60 リテーナ
61 62 支持用凹部
63 64 ボール
65 長孔
70 シートクッションフレーム
80 回転支持機構
81 レール側ブラケット
82 側片
83 貫通孔
84 押圧部
86 床面側ブラケット
87 側片
88A 88B 貫通孔
89 底部
90 取付孔
91 係止ピン
92 枢着ピン
92a 非円形断面部
93 ダンブルスプリング
94 環状部
95 端部
96 ケーブル巻取ドラム
97 取付孔
98 フランジ
98a 当接面
99 巻取面
100 車両床面
100A 凹部
101 ストライカ
110 ブラケット
110a 貫通孔
111 水平部
112 垂下部
113 進入溝
114 円弧孔
115 ブラケット
116 進入溝
117 円弧孔
118 取付片
120 回転軸
125 フック
126 係合溝
127 係合突部
128 案内ピン
130 回転軸
135 ポール
136 係止部
137 係合ピン
140 背凭れ連動回転部材
141 回転軸
142 取付ピン
145 ポール制御部材
146 凹部
147 ストッパ面
150 ワイヤ支持部材
B1 ボルト
B2 ボルト
B3 ボルト
LM 回動ロック機構
P 押圧ピン
RM リクライニング機構
RMA 回転軸
RML レバー
S1 引張ばね
S1a 係止部
S1b 係止部
S2 引張ばね
S3 捻りコイルばね(トーションばね)
S4 捻りコイルばね(トーションばね)
SP ストッパピン
W1 ワイヤ(リクライニング・ロック連動手段)
W2 ワイヤ(回転・スライド連動手段)(第1のワイヤ)
Claims (3)
- アッパーレールを前後方向に摺動可能に支持するロアレールを、その前後のいずれか一方の端部を中心に、車両床面と略平行をなす着座位置と該車両床面に対して略直交する跳上位置との間を回転可能とし、かつ、上記ロアレールを上記跳上位置に向けて回転付勢する回転支持機構と、
ロアレールが上記着座位置にあるときに、該ロアレールを車両床面にロックまたはロック解除して上記回転支持機構による回動を阻止し又は許容する回動ロック機構と、
上記アッパーレールとロアレールの相対摺動をロックしまたはロック解除するスライドロック機構と、
該アッパーレールに固定されたシートの座部に対してその背凭れを、折畳位置と起立位置との間で回転可能とすると共に該折畳位置に回転付勢し、かつ、上記背凭れを該起立位置に保持し又は保持解除するリクライニング機構と、
上記リクライニング機構による上記背凭れの上記起立位置での保持を解除して該背凭れを折畳位置側へ回転させるとき、該回転に連動して上記回動ロック機構のロックを解除し、上記回転支持機構の回転付勢力によって上記ロアレールが上記跳上位置に回転するのを許容するリクライニング・ロック連動手段と、
上記回転支持機構により上記ロアレールを上記跳上位置側に回転させるとき、該回転に連動して上記スライドロック機構のロックを解除し、上記アッパーレールが、その自重によって上記ロアレールに沿って下方の移動端まで移動するのを許容する回転・スライド連動手段と、を備えることを特徴とする折畳式車両用シート装置。 - 請求項1記載の折畳式車両用シート装置において、
上記座部と上記車両床面の一方に設けた上記回動ロック機構が、
上記座部と上記車両床面の他方に設けられたストライカを把持するロック位置と、該ストライカを解放するロック解除位置との間を回転可能なフックと、
上記ロック位置にあるフックと係合して該フックが上記ロック解除位置側に回転するのを禁止する係合位置と、上記フックから離れて該フックが上記ロック解除位置側に回転するのを許容する非係合位置との間を回動可能なポールと、を具備する折畳式車両用シート装置。 - 請求項1または2記載の折畳式車両用シート装置において、
上記回転・スライド連動手段が、上記回転支持機構と上記スライドロック機構を連係する第1のワイヤと、該回転支持機構が上記ロアレールを上記跳上位置へ回転させると該第1のワイヤを牽引して、上記スライドロック機構のロックを解除するワイヤ牽引機構とを備える折畳式車両用シート装置。
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