JP4421782B2 - 動弁装置のバルブクリアランス調整機構 - Google Patents

動弁装置のバルブクリアランス調整機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の動弁装置におけるバルブクリアランス調整機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の動弁装置では、高速運転時における吸気弁及び排気弁の追従性を高めて動弁性能を向上させるため、バルブクリアランス調整機構が設けられている。機械式のバルブクリアランス調整機構としては、特開平7−54617号公報に開示されているものがある。これは、ロッカーアームの揺動支点を支承するボルトタイプのピボットを、エンジンヘッドにねじ込んだ構造になり、ピボットを回転させてそのエンジンヘッドからの突出高さを変えることにより、ロッカーアームの揺動支点の高さを調整するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のバルブクリアランス調整機構では、調整済みのピボットを回転不能にロックする手段として、ピボットの外周の雄ネジ部にロックナットを螺合し、このロックナットを回転させてそのロックナットの下面をエンジンヘッドの上面に押し付け、その軸線方向の押し付けに起因する摩擦力によってピボットの回転を規制する構造がとられている。
しかし、軸線方向の押圧力による摩擦で回転規制するロック手段では、次のような不具合が懸念される。即ち、ピボットの雄ネジ部のネジ山と雌ネジ孔の雌ネジ部のネジ山との間には、ピボットの回転を円滑に行わせるために軸線方向に僅かなクリアランスが確保されているのであるが、ロックナットを締め付けて軸線方向の押圧力をピボットに作用させたときに、上記ねじ山間のクリアランスの分だけピボットの位置が軸線方向に狂う虞がある。
【0004】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、調整済みのピボットを回転規制状態にロックする際に、そのピボットの調整位置が軸線方向に狂うのを防止することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、エンジンヘッドに設けた雌ネジ孔に螺合したピボットによりロッカーアームの揺動支点を支承し、カムにより前記ロッカーアームを揺動させることでバルブを駆動するようにした動弁装置において、前記ピボットを軸線方向に螺進させることにより前記ロッカーアームの揺動支点の高さを変えるようにしたバルブクリアランス調整機構において、前記エンジンヘッド側と前記ピボット側との間の径方向の押圧力に起因する摩擦抵抗によって前記ピボットを回転規制するロック手段を備えており、前記ロック手段は、前記ピボットにその先端側から同軸状に形成した中心孔と、前記中心孔に臨むように設けられ、前記ピボットに対する軸線方向への相対変位を規制され且つ径方向への相対変位を可能とされた可動手段と、前記中心孔内に収容され、前記可動手段を前記雌ネジ孔の内周に対して径方向外向きに押圧させるロック位置と、前記可動手段に対する押圧を解除するロック解除位置との間で軸線方向に移動可能なテーパ部材とを備えている構成とした。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ピボットには、その外周面における複数箇所から前記中心孔に連なるように複数の切欠部が形成され、これらの切欠部によって周方向に分割された形態の複数の前記可動手段が設けられている構成とした。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記中心孔にはロック用雌ネジ部が形成されているとともに、前記テーパ部材には前記ロック用雌ネジ部に係合されるロック用雄ネジ部が形成されている構成とした。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記ロック用雌ネジ部が、その軸線方向における全域に亘って前記切欠部と対応するように配され、そのロック用雄ネジ部と前記ロック用雌ネジ部とはテーパ状に形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0009】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
エンジンヘッド側とピボット側との間の摩擦抵抗を、径方向の押圧力によって生じさせるようにしたので、摩擦抵抗によってピボットを回転規制するときに、ピボットが軸線方向に変位して調整位置が狂う、ということがない。
また、テーパ部材をロック位置へ移動させると、このテーパ部材により可動手段が雌ネジ孔の内周に対して径方向外向きに押圧され、この径方向の押圧に起因する摩擦力によってピボットが回転規制状態にロックされる。テーパ部材をロック解除位置へ移動させると、可動手段の雌ネジ孔の内周への押圧が解除されるので、ピボットは回転可能となる。ロック手段を雌ネジ孔とピボットの内部に配することができるので、省スペース化を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明]
可動手段がピボットと一体に形成されているので、可動手段をピボットとは別体部品とした場合に比べると、部品点数が少なくて済む。
請求項3の発明]
テーパ部材は、そのロック用雄ネジ部と中心孔のロック用雌ネジ部との係合により、ロック位置とロック解除位置との間で螺進する。テーパ部材をねじ込みによって移動させるようにしたので、テーパ部材を移動規制する手段が不要である。
【0012】
請求項4の発明]
テーパ部材を螺進させていくと、ロック用雄ネジ部とロック用雌ネジ部のテーパによって、可動手段が径方向外向きに変位させられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1及び図2を参照して説明する。
まず、動弁装置について説明すると、動弁装置は、エンジンヘッド10の上面からバルブクリアランス調整機構20を構成するピボット21を突出させ。そのピボット21の上端部によりロッカーアーム11の揺動支点部11Aを下から支承するとともに、そのロッカーアーム11の揺動端部11Bを上下動可能に設けられたバルブステム12の上端に上から当接させ、ロッカーアーム11の略中央部に設けたカムローラ13に対しその上方からカムシャフト14のカム15を当接させた構造になる。カムシャフト14が回転すると、ロッカーアーム11がその揺動支点部11Aを支点として上下方向に揺動し、そのロッカーアーム11の揺動にともなってバルブステム12が上下動することによりバルブ(図示せず)が開閉される。
【0014】
この動弁装置におけるバルブクリアランス調整機構20は、エンジンヘッド10からのピボット21の突出高さ、即ちロッカーアーム11の揺動支点部11Aの高さを変えることによってバルブクリアランスを調整するようになっている。また、調整済のピボット21は、ロック手段22によって回転規制状態にロックされるようになっている。以下、その構成を詳しく説明する。
エンジンヘッド10には、その上面に開口するとともに軸線を上下方向に向けた円形の雌ネジ孔23が設けられ、この雌ネジ孔23の内周における略下半分領域には、調整用雌ネジ部24が形成されている。また、雌ネジ孔23の内周における略上半分領域には、調整用雌ネジ部24と同軸の円形をなすロック用被押圧面25が形成されている。
【0015】
ピボット21の外周における略下半分領域には調整用雄ネジ部26が形成されている。また、ピボット21の内部には、その上端面から同軸状に下向きに穿設された円形の中心孔27が形成されている。中心孔27の上端部は非円形(例えば、六角形など)の調整用嵌合孔28となっており、この調整用嵌合孔28にはピボット21を回転させるための調整用工具(図示せず)が嵌合されるようになっている。また、中心孔27における調整用嵌合孔28よりも下方の領域の内周には、ロック用雌ネジ部29が形成されている。
【0016】
さらに、ピボット21には、その外周面における180°の角度を空けた2位置間を貫通する径方向のガイド孔30が形成されている。このガイド孔30は、ピボット21の中心を通過するとともに中心孔27の下端部に連通されている。かかるガイド孔30には、一対の可動ピン31(本発明の構成要件である可動手段)が径方向への移動を可能に挿入されている。この可動ピン31は、ピボット21に対し、軸線方向の相対変位及び軸線周りの相対変位を規制されている。可動ピン31における径方向外側の端面は、雌ネジ孔23のロック用被押圧面25と同じ曲率の円弧状をなすロック用押圧面32となっている。尚、ロック用押圧面32は、円弧状に限らず、平坦面状や三角形状に尖った形状にしてもよい。一方、可動ピン31における径方向内側の端面は、軸線がピボット21と同軸であり、下方に向かって縮径する円錐曲面状をなすテーパ状受け面33となっている。尚、テーパ状受け面33は、円錐状に限らず、平坦面状にしてもよい。
【0017】
中心孔27内には、テーパ部材34が収容されている。テーパ部材34の外周にはロック用雄ネジ部35が形成されていて、このロック用雄ネジ部35がロック用雌ネジ部29に螺合されている。このロック用雄ネジ部35とロック用雌ネジ部29の螺合により、中心孔27内においてテーパ部材34がピボット21に対して軸線方向へ相対移動し得るようになっている。また、テーパ部材34の下端面には、テーパ部材34と同軸状であり、下方に向かって縮径するような円錐形をなすテーパ状押圧部36が突出形成されている。このテーパ状押圧部36は可動ピン31のテーパ状受け面33に対して密着可能となっている。また、テーパ部材34の上端面には、非円形(例えば、六角形など)のロック用嵌合孔37が形成されており、このロック用嵌合孔37にはテーパ部材34を回転させるためのロック用工具(図示せず)が嵌合されるようになっている。
【0018】
上記したピボット21の中心孔27と、一対の可動ピン31と、テーパ部材34は、ロック手段22を構成している。
バルブクリアランスを調整する際には、ロッカーアーム11の揺動支点部11Aに形成した貫通孔11C(必要に応じてキャップ等で塞ぐ)から中心孔27内にロック用治具(図示せず)を差し込んでテーパ部材34のロック用嵌合孔37に嵌合させ、そのロック用治具の操作によりテーパ部材34を可動ピン31から離間させるように上方のロック解除位置へ螺進させておく。このロック解除位置では、可動ピン31はテーパ部材34によって径方向外向きに押圧されることはない。テーパ部材34を螺進させた後は、ロック用工具を抜き取る。
【0019】
かかる状態で、ロッカーアーム11の貫通孔11Cから調整用工具(図示せず)を調整用嵌合孔28に嵌合し、その調整用工具の操作によってピボット21を回転させ、上方又は下方へ螺進させる。このピボット21の上下方向への螺進により、バルブクリアランス(ロッカーアーム11の揺動支点部11Aの高さ)が調整される。このとき、可動ピン31は径方向外向きに押圧されておらず、ロック用被押圧面25との間で大きな摩擦を生じることがないので、ピボット21の回転は円滑に行われる。調整後は、調整用工具を抜き取る。
【0020】
ピボット21が所定の高さに調整されたら、再び、ロック用嵌合孔37にロック用治具を差し込み、そのロック用治具の回転操作によりテーパ部材34を下方のロック位置へ螺進させる。このロック位置にある状態では、テーパ状押圧部36の外周面が可動ピン31のテーパ状受け面33に押し付けられる。このテーパ状押圧部36の外周面とテーパ状受け面33は、ピボット21の軸線方向(テーパ部材34の螺進方向)とピボット21の径方向(テーパ部材34の螺進方向と直交する方向)の双方に対して斜めをなしているので、テーパ部材34側からの軸線方向の押圧力によって可動ピン31がガイド孔30に案内されつつ径方向外向きに押動され、押動された可動ピン31のロック用押圧面32が雌ネジ孔23のロック用被押圧面25に対して径方向に押圧される。かかる状態でピボット21に回転力が作用しても、径方向の押圧力に起因してロック用押圧面32とロック用被押圧面25との間に生じる摩擦抵抗により、ピボット21は回転規制状態にロックされる。
【0021】
一般的なネジ構造がそうであるように、本実施形態におけるピボット21の調整用雄ネジ部26のネジ山と雌ネジ孔23の調整用雌ネジ部24のネジ山との間にも、ピボット21の回転を円滑に行わせるために軸線方向に僅かなクリアランスが確保されているのであるが、ピボット21を回転規制するためのロック手段として、ピボット21に螺合したロックナットを締め付けて軸線方向の押圧力をピボット21に作用させる構造とした場合には、ねじ山間のクリアランスの分だけピボット21の位置が軸線方向に狂う虞がある。
【0022】
しかしながら本実施形態においては、ピボット21を回転規制状態にロックするに際し、エンジンヘッド10側のロック用被押圧面25とピボット21側のロック用押圧面32との間の摩擦抵抗を、径方向の押圧力によって生じさせるようにしたので、摩擦抵抗によってピボット21を回転規制するときに、ピボット21が軸線方向に変位して調整位置が狂う、ということがない。
また、ロック手段22である中心孔27、可動ピン31、及びテーパ部材34を雌ネジ孔23とピボット21の内部に配したので、ロック手段を雌ネジ孔23の外部やピボット21の外部に配した構造に比べると、省スペース化が実現されている。
【0023】
また、一対の可動ピン31は、ピボット21の軸線に関して対称に配置されていて、ロック用被押圧面25に対して互いに正反対の向きに押圧するので、ロック状態の安定性が高い。
また、テーパ部材34をねじ込みによって移動させるようにしたので、テーパ部材34をロック位置やロック解除位置に保持するための移動規制手段が不要である。
[実施形態2]
次に、本発明を具体化した実施形態2を図3及び図4を参照して説明する。
【0024】
本実施形態2のバルブクリアランス調整機構40とロック手段41について説明すると、エンジンヘッド10には、その上面に開口するとともに軸線を上下方向に向けた円形の雌ネジ孔42が設けられ、この雌ネジ孔42の内周には調整用雌ネジ部43が形成されている。ピボット44の外周には調整用雄ネジ部45が形成されており、この調整用雄ネジ部45が調整用雌ネジ部43に螺合されることにより、ピボット44が雌ネジ孔42(エンジンヘッド10)に対して軸線方向に螺進されるようになっている。
【0025】
ピボット44の内部には、その上端面から下端面まで貫通するとともに、ピボット44と同軸状をなす円形の中心孔46が形成されている。中心孔46の上端部は非円形(例えば、六角形など)の調整用嵌合孔47となっており、この調整用嵌合孔47にはピボット44を回転させるための調整用工具(図示せず)が嵌合されるようになっている。また、中心孔46の下端部は比較的小径の連通部48となっている。さらに、中心孔46における調整用嵌合孔47と連通部48との間の領域は、連通部48よりも径が大きくなっており、その領域の内周にはロック用雌ネジ部49が形成されている。
【0026】
さらに、ピボット44には、その外周面における180°の角度を空けた2位置から連通部48に連なるような径方向のスリット状をなす一対の切欠部50が形成されている。この一対の切欠部50は、ピボット44の下端面にも開口(連通)されており、その下端面において両切欠部50が一直線状に配されている。かかる一対の切欠部50により、ピボット44の下端部は、周方向に分割された形態の2つの可動部51(本発明の構成要件である可動手段)となっている。この2つの可動部51はその上端(切欠部50の上端と同じ高さ)を略支点として径方向へ弾性的に変位し得るようになっている。
【0027】
また、切欠部50の幅寸法は連通部48の内径よりも小さく設定されており、ロック用雌ネジ部49の下端と連通部48の上端との間の境界となる径方向の段差面においては、連通部48の口縁が一対の円弧状をなすガイド縁部52として形成されている。このガイド縁部52は、可動部51の上端(可動部51の変位の略支点)よりも低い高さとされており、このガイド縁部52に対して径方向外向きの押圧力が作用すると、可動部51がその上端を支点として径方向外向きに拡開するように弾性変位するようになっている。
【0028】
中心孔46内には、テーパ部材53が収容されている。テーパ部材53の外周にはロック用雄ネジ部54が形成されていて、このロック用雄ネジ部54がロック用雌ネジ部49に螺合されている。このロック用雄ネジ部54とロック用雌ネジ部49の螺合により、中心孔46内においては、テーパ部材53が、ピボット44に対し軸線方向と平行にロック位置とロック解除位置との間で相対移動し得るようになっている。また、テーパ部材53の下端部は、テーパ部材53と同軸状であり、下方に向かって縮径するような円錐形をなすテーパ状押圧部55となっている。このテーパ状押圧部55の外周面は、可動部51のガイド縁部52に当接するようになっている。また、テーパ部材53の上端面には、非円形(例えば、六角形など)のロック用嵌合孔56が形成されており、このロック用嵌合孔56にはテーパ部材53を回転させるためのロック用工具(図示せず)が嵌合されるようになっている。
【0029】
上記したピボット44の中心孔46と、一対の可動部51と、テーパ部材53は、ロック手段41を構成している。
バルブクリアランスを調整する際には、ロッカーアーム11の揺動支点部11Aに形成した貫通孔11C(必要に応じてキャップ等で塞ぐ)から中心孔46内にロック用治具(図示せず)を差し込んでテーパ部材53のロック用嵌合孔56に嵌合させ、そのロック用治具の操作によりテーパ部材53をガイド縁部52から離間させるように上方のロック解除位置へ螺進させておく。テーパ部材53を螺進させた後は、ロック用工具を抜き取る。
【0030】
かかる状態で、ロッカーアーム11の貫通孔11Cから調整用工具(図示せず)を調整用嵌合孔47に嵌合し、その調整用工具の操作によってピボット44を回転させ、上方又は下方へ螺進させる。このピボット44の上下方向への螺進により、バルブクリアランス(ロッカーアーム11の揺動支点部11Aの高さ)が調整される。調整後は、調整用工具を抜き取る。
ピボット44が所定の高さに調整されたら、再び、ロック用嵌合孔56にロック用治具を差し込み、そのロック用治具の回転操作によりテーパ部材53を下方のロック位置へ螺進させ、テーパ状押圧部55の外周面を可動部51のガイド縁部52に押し付ける。このテーパ状押圧部55の外周面は、ピボット44の軸線方向(テーパ部材53の螺進方向)とピボット44の径方向(テーパ部材53の螺進方向と直交する方向)の双方に対して斜めをなしているので、テーパ部材53側からの押圧力によって可動部51がその上端を略支点として径方向外向きに押動され、押動された可動部51の外周(調整用雄ネジ部45)の下端縁部が雌ネジ孔42の内周(調整用雌ネジ部43)に対して径方向に押圧される。かかる状態でピボット44に回転力が作用しても、径方向の押圧力に起因して可動部51の外周と雌ネジ孔42の内周との間に生じる摩擦抵抗により、ピボット44は回転規制状態にロックされる。
【0031】
本実施形態においては、ピボット44を回転規制状態にロックするに際し、エンジンヘッド10側の雌ネジ孔42の内周とピボット44側の可動部51の外周との間の摩擦抵抗を、径方向の押圧力によって生じさせるようにしたので、摩擦抵抗によってピボット44を回転規制するときに、ピボット44が軸線方向に変位して調整位置が狂う、ということがない。
また、ロック手段41である中心孔46、可動部51、及びテーパ部材53を雌ネジ孔42とピボット44の内部に配したので、ロック手段を雌ネジ孔42の外部やピボット44の外部に配したロック構造に比べると、省スペース化が実現されている。
【0032】
また、可動手段である可動部51がピボット44と一体に形成されているので、可動手段をピボット44とは別体部品とした場合に比べると、部品点数が少なくなっている。
また、テーパ部材53をねじ込みによって移動させるようにしたので、テーパ部材53をロック位置やロック解除位置に保持するための移動規制手段が不要である。
また、一対の可動部51は、ピボット44の軸線に関して対称に配置されていて、雌ネジ孔42の内周に対して互いに正反対の向きに押圧するので、ロック状態の安定性が高い。
【0033】
尚、上記実施形態1と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
[実施形態3]
次に、本発明を具体化した実施形態3を図5を参照して説明する。
本実施形態3のバルブクリアランス調整機構60とロック手段61について説明すると、エンジンヘッド10には、その上面に開口するとともに軸線を上下方向に向けた円形の雌ネジ孔62が設けられ、この雌ネジ孔62の内周には調整用雌ネジ部63が形成されている。ピボット64の外周には調整用雄ネジ部65が形成されており、この調整用雄ネジ部65が調整用雌ネジ部63に螺合されることにより、ピボット64が雌ネジ孔62(エンジンヘッド10)に対して軸線方向に螺進されるようになっている。
【0034】
ピボット64の内部には、その上端面から下方へ穿孔された形態であり、ピボット64と同軸状をなす円形の中心孔66が形成されている。中心孔66の上端部は非円形(例えば、六角形など)の調整用嵌合孔66Aとなっており、この調整用嵌合孔66Aにはピボット64を回転させるための調整用工具(図示せず)が嵌合されるようになっている。また、中心孔66の内周の下端部にはロック用雌ネジ部67が形成されている。このロック用雌ネジ部67は、下方に向かって縮径する形態のテーパ状をなしている。
【0035】
さらに、ピボット64には、その外周面における180°の角度を空けた2位置から中心孔66の下端部に連なるような径方向のスリット状をなす一対の切欠部68が形成されている。この一対の切欠部68は、ピボット64の下端面にも開口(連通)されており、その下端面においては両切欠部68が一直線状に配されている。かかる一対の切欠部68により、ピボット64の下端部は、周方向に分割された形態の2つの可動部69(本発明の構成要件である可動手段)となっている。尚、この切欠部68と可動部69は、上記実施形態2のものと同様である。
【0036】
また、切欠部68の上端は、ロック用雌ネジ部67の上端よりも更に高い位置に設定されており、換言すると、ロック用雌ネジ部67はその軸線方向における全域に亘って切欠部68と対応するように配さていることになる。かかる一対の可動部69は、その上端部(切欠部68の上端と同じ高さ)を略支点として径方向へ弾性的に変位し得るようになっている。このとき、可動部69の内面に位置するロック用雌ネジ部67は、可動部69と一体となって径方向へ変位することになる。
【0037】
中心孔66内には、外周にロック用雄ネジ部71の形成されているテーパ部材70が収容されている。このテーパ部材70の外周は下方に向かって円錐状に縮径する形態とされているため、ロック用雄ネジ部71はテーパ状をなしている。このロック用雄ネジ部71はロック用雌ネジ部67に螺合されており、この螺合により、中心孔66内においては、テーパ部材70が、ピボット64に対して上方のロック解除位置と下方のロック位置との間で軸線方向と平行に相対移動し得るようになっている。そして、テーパ部材70が下方(即ち、縮径方向)へ螺進されると、テーパ部材70の外周から可動部69に対して径方向外向きの押圧力が作用するようになっている。また、テーパ部材70の上端面には、非円形(例えば、六角形など)のロック用嵌合孔72が形成されており、このロック用嵌合孔72にはテーパ部材70を回転させるためのロック用工具(図示せず)が嵌合されるようになっている。
【0038】
上記したピボット64の中心孔66と、一対の可動部69と、テーパ部材70は、ロック手段61を構成している。
バルブクリアランスを調整する際には、ロッカーアーム11の揺動支点部11Aに形成した貫通孔11C(必要に応じてキャップ等で塞ぐ)から中心孔66内にロック用治具(図示せず)を差し込んでテーパ部材70のロック用嵌合孔72に嵌合させ、そのロック用治具の操作によりテーパ部材70を上方のロック解除位置へ螺進させておく。この状態では、テーパ部材70から可動部69に対して径方向の押圧力は作用しない。テーパ部材70をロック解除位置へ螺進させた後は、ロック用工具を抜き取る。
【0039】
かかる状態で、ロッカーアーム11の貫通孔11Cから調整用工具(図示せず)を調整用嵌合孔66Aに嵌合し、その調整用工具の操作によってピボット64を回転させ、上方又は下方へ螺進させる。このピボット64の上下方向への螺進により、バルブクリアランス(ロッカーアーム11の揺動支点部11Aの高さ)が調整される。調整後は、調整用工具を抜き取る。
ピボット64が所定の高さに調整されたら、再び、ロック用嵌合孔72にロック用治具を差し込み、そのロック用治具の回転操作によりテーパ部材70を下方へ螺進させる。すると、テーパ部材70のロック用雄ネジ部71がそのテーパによって可動部69のロック用雌ネジ部67を内側から押圧し、この押圧によって可動部69がその上端を略支点として径方向外向きに押動され、押動された可動部69の外周(調整用雄ネジ部65)の下端縁部が雌ネジ孔62の内周(調整用雌ネジ部63)に対して径方向に押圧される。かかる状態でピボット64に回転力が作用しても、径方向の押圧力に起因して可動部69の外周と雌ネジ孔62の内周との間に生じる摩擦抵抗により、ピボット64は回転規制状態にロックされる。
【0040】
本実施形態においては、ピボット64を回転規制状態にロックするに際し、エンジンヘッド10側の雌ネジ孔62の内周とピボット64側の可動部69の外周との間の摩擦抵抗を、径方向の押圧力によって生じさせるようにしたので、摩擦抵抗によってピボット64を回転規制するときに、ピボット64が軸線方向に変位して調整位置が狂う、ということがない。
また、ロック手段61である中心孔66、可動部69、及びテーパ部材70を雌ネジ孔62とピボット64の内部に配したので、ロック手段を雌ネジ孔62の外部やピボット64の外部に配したロック構造に比べると、省スペース化が実現されている。
【0041】
また、可動手段である可動部69がピボット64と一体に形成されているので、可動手段をピボット64とは別体部品とした場合に比べると、部品点数が少なくなっている。
また、テーパ部材70をねじ込みによって移動させるようにしたので、テーパ部材70をロック位置やロック解除位置に保持するための移動規制手段が不要である。
また、一対の可動部69は、ピボット64の軸線に関して対称に配置されていて、雌ネジ孔62の内周に対して互いに正反対の向きに押圧するので、ロック状態の安定性が高い。
【0042】
尚、上記実施形態1と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
[実施形態4]
次に、本発明を具体化した実施形態4を図6を参照して説明する。
本実施形態4のバルブクリアランス調整機構80とロック手段81について説明すると、エンジンヘッド10内には、その外側面10Sに近い位置に有底筒体82が圧入などによって固定されている。この有底筒体82の内部は、エンジンヘッド10の上面側に開口するとともに軸線を上下方向に向けた円形の雌ネジ孔83とされており、この雌ネジ孔83の内周には調整用雌ネジ部84が形成されている。
【0043】
ピボット85の外周に調整用雄ネジ部86が形成されており、この調整用雄ネジ部86が調整用雌ネジ部84に螺合されていることにより、ピボット85が雌ネジ孔83(エンジンヘッド10)に対して軸線方向へ螺進し得るようになっている。ピボット85には、その上端面に開口する非円形(例えば、六角形など)の調整用嵌合孔87が形成されており、この調整用嵌合孔87にはピボット85を回転させるための調整用工具(図示せず)が嵌合されるようになっている。また、ピボット85の下端面には、調整用雄ネジ部86よりも径が小さく、ピボット85と同軸の円柱形をなすロック用受け部88が形成されている。
【0044】
エンジンヘッド10には、有底筒体82の周壁の下端部をエンジンヘッド10の外側面10Sに臨ませるための窓孔89が形成されており、有底筒体82の周壁の下端部には、その外周から内周に貫通するとともに窓孔89に連通するロック用雌ネジ部90が形成されている。このロック用雌ネジ部90の軸線は、ピボット85の径方向と平行(ピボット85の軸線と直交する方向)に向けられている。このロック用雌ネジ部90には、外周がロック用雄ネジ部92とされたロック部材91が螺合されている。ロック部材91の外側の端面には、非円形(例えば、六角形など)のロック用嵌合孔93が形成されており、このロック用嵌合孔93にはテーパ部材を回転させるためのロック用工具(図示せず)が嵌合されるようになっている。また、ロック部材91の内側の端面は押圧面94とされており、この押圧面94は、ピボット85のロック用受け部88の外周面と対向している。
【0045】
上記したピボット85のロック用受け部88と、ロック用雌ネジ部90と、ロック部材91、ロック手段81を構成している。
バルブクリアランスを調整する際には、エンジンヘッド10の窓孔89からロック用治具(図示せず)を差し込んでロック部材91のロック用嵌合孔93に嵌合させ、そのロック用治具の操作によりロック部材91をロック用受け部88から離間させるようにピボット85の径方向外側のロック解除位置へ螺進させておく。ロック部材91をロック解除位置へ螺進させた後は、ロック用工具を抜き取る。
【0046】
かかる状態で、ロッカーアーム11の揺動支点部11Aに形成した貫通孔11C(必要に応じてキャップ等で塞ぐ)から調整用工具(図示せず)を調整用嵌合孔87に嵌合し、その調整用工具の操作によってピボット85を回転させ、上方又は下方へ螺進させる。このピボット85の上下方向への螺進により、バルブクリアランス(ロッカーアーム11の揺動支点部11Aの高さ)が調整される。調整後は、調整用工具を抜き取る。
【0047】
ピボット85が所定の高さに調整されたら、再び、ロック用嵌合孔93にロック用治具を差し込み、そのロック用治具の回転操作によりロック部材91をピボット85の径方向内側のロック位置へ螺進させる。すると、ロック部材91の押圧面94が、ピボット85のロック用受け部88の外周面に対し径方向に押圧される。かかる状態でピボット85に回転力が作用しても、径方向の押圧力に起因して押圧面94とロック用受け部88との間に生じる摩擦抵抗により、ピボット85は回転規制状態にロックされる。
【0048】
本実施形態においては、ピボット85を回転規制状態にロックするに際し、エンジンヘッド側の押圧面94とピボット85側のロック用受け部88との間の摩擦抵抗を、径方向の押圧力によって生じさせるようにしたので、摩擦抵抗によってピボット85を回転規制するときに、ピボット85が軸線方向に変位して調整位置が狂う、ということがない。
【0049】
[実施形態5]
次に、本発明を具体化した実施形態5を図7を参照して説明する。
本実施形態5のバルブクリアランス調整機構100とロック手段101について説明すると、エンジンヘッド10には、その上面に開口するとともに軸線を上下方向に向けた円形の雌ネジ孔102が設けられ、この雌ネジ孔102の内周には調整用雌ネジ部103が形成されている。ピボット104の外周には調整用雄ネジ部105が形成されており、この調整用雄ネジ部105が調整用雌ネジ部103に螺合されることにより、ピボット104が雌ネジ孔102(エンジンヘッド10)に対して軸線方向に螺進されるようになっている。
【0050】
ピボット104の内部には、その上端面から下端面まで貫通するとともに、ピボット104と同軸状をなす円形の中心孔106が形成されている。中心孔106の上端部は非円形(例えば、六角形など)の調整用嵌合孔107となっており、この調整用嵌合孔107にはピボット104を回転させるための調整用工具(図示せず)が嵌合されるようになっている。また、中心孔106の下端部は比較的小径の連通部108となっている。さらに、中心孔106における調整用嵌合孔107と連通部108との間の領域は、連通部108よりも径の大きい円形断面のガイド空間109となっている。
【0051】
さらに、ピボット104には、その外周面における180°の角度を空けた2位置から連通部108に連なるような径方向のスリット状をなす一対の切欠部110が形成されている。この一対の切欠部110は、ピボット104の下端面にも開口(連通)されており、その下端面において両切欠部110が一直線状に配されている。かかる一対の切欠部110により、ピボット104の下端部は、周方向に分割された形態の2つの可動部111(本発明の構成要件である可動手段)となっている。この2つの可動部111はその上端(切欠部110の上端と同じ高さ)を略支点として径方向へ弾性的に変位し得るようになっている。
【0052】
また、切欠部110の幅寸法は連通部108の内径よりも小さく設定されており、ガイド空間109の下端と連通部108の上端との間の境界となる径方向の段差面においては、連通部108の口縁が一対の円弧状をなすガイド縁部112として形成されている。このガイド縁部112は、可動部111の上端(可動部111の変位の略支点)よりも低い高さとされており、このガイド縁部112に対して径方向外向きの押圧力が作用すると、可動部111がその上端を支点として径方向外向きに拡開するように弾性変位するようになっている。
【0053】
ガイド空間109内には、円形断面のテーパ部材113が収容されている。テーパ部材113の外周面とガイド空間109の内周面とは、上下方向への摺動を可能に、且つ作動油の漏出(流通)を不能に密着されている。尚、この摺動可能にシールする密着構造は、ガイド空間109とテーパ部材113の嵌め合い公差を適切に設定することで成立させている。
また、テーパ部材113の下端部は、テーパ部材113と同軸状であり、下方に向かって縮径するような円錐形をなすテーパ状押圧部113Aとなっている。このテーパ状押圧部113Aの外周面は、可動部111のガイド縁部112に当接するようになっている。
【0054】
さらに、ガイド空間109におけるテーパ部材113よりも上方の位置には、下面が開放されたキャップ形状をなすリテーナ114が、その下端縁の周方向のリング状密着部114Aをガイド空間109の内周面に密着させる形態で圧入により固定されている。このリング状密着部114Aの外周とガイド空間109の内周面との間では、作動油の漏出を不能にするシール状態とされている。
このガイド空間109内に固定されているリテーナ114とガイド空間109内を上下移動可能とれさているテーパ部材113との間には、テーパ部材113を下方(テーパ状押圧部113Aをガイド縁部112へ押し付ける方向)へ付勢するスプリング115が介装されている。
【0055】
また、ピボット104には、その外周を全周に亘って連続するように凹ませた形態の周方向の連通溝116が形成されているとともに、その連通溝116とガイド空間109内とを径方向に連通させる連通孔117が形成されている。この連通孔117は、ガイド空間109の内周面におけるテーパ部材113とリテーナ114との間の高さに開口されている。
一方、エンジンヘッド10には、雌ネジ孔102の内周における連通溝116と対応する高さに開口する供給孔118が形成されている。この供給孔118は、通常設けられるエンジン内の油圧回路に接続されていて、その油圧回路の作動油が、供給孔118を通して連通溝116内、連通孔117内及びガイド空間109内におけるテーパ部材113とリテーナ114との間の空間内に供給、充填されている。したがって、作動油の油圧がテーパ部材113に対して下方への押圧力として作用し得るようになっている。尚、テーパ部材113の下方の空間、即ち、切欠部110の空間及び雌ネジ孔102におけるピボット104よりも下方の空間は、雌ネジ孔102の底面からエンジンヘッド10の外部へ連通する開放孔119を介して大気に開放されている。
上記したピボット104の中心孔106と、一対の可動部111と、テーパ部材113は、ロック手段101を構成している。
【0056】
エンジンを停止した状態では、油圧回路の油圧ポンプが作動しないので、作動油の油圧がテーパ部材113には作用しない。但し、テーパ部材113のテーパ状押圧部113Aは、スプリング115の付勢により、押圧部111を若干拡開変位させる程度の小さい力でガイド縁部112に当接し、これによって、押圧部111の外周(調整用雄ネジ部105)の下端部が雌ネジ孔102の内周(調整用雌ネジ部103)に押圧される。このときのスプリング115の付勢力は、テーパ部材113に油圧が作用しない状態でもピボット104が遊動回転せず、且つ調整用工具を用いてのピボット104の回転操作には支障がない程度の摩擦抵抗が、押圧部111の外周と雌ネジ孔102の内周との間に生じるような大きさに設定されている。
この状態で、ロッカーアーム11の揺動端部11Aに形成した貫通孔11C(必要に応じてキャップ等で塞ぐ)から調整用工具(図示せず)を調整用嵌合孔107に嵌合し、その調整用工具の操作によってピボット104を回転させ、上方又は下方へ螺進させる。このピボット104の上下方向への螺進により、バルブクリアランス(ロッカーアーム11の揺動支点部11Aの高さ)が調整される。調整後は、調整用工具を抜き取る。
【0057】
上記のようにしてピボット104が所定の高さに調整された状態で、エンジンが始動すると、油圧ポンプが作動して作動油の油圧がテーパ部材113の上面に作用する。すると、テーパ部材113は、テーパ部材113の上方空間の油圧とテーパ部材113の下方空間の大気圧との圧力差により下方へ移動し、このテーパ部材113の下方への移動により、テーパ状押圧部113Aの外周面が可動部111のガイド縁部112に押し付けられる。このテーパ状押圧部113Aの外周面は、ピボット104の軸線方向(テーパ部材113の移動方向)とピボット104の径方向(テーパ部材113の移動方向と直交する方向)の双方に対して斜めをなしているので、テーパ部材113側からの押圧力によって可動部111がその上端を略支点として径方向外向きに押動され、押動された可動部111の外周(調整用雄ネジ部105)の下端縁部が雌ネジ孔102の内周(調整用雌ネジ部103)に対して径方向に強く押圧される。かかる状態でピボット104に回転力が作用しても、径方向の押圧力に起因して可動部111の外周と雌ネジ孔102の内周との間に生じる摩擦抵抗により、ピボット104は回転規制状態にロックされる。
【0058】
本実施形態においては、ピボット104を回転規制状態にロックするに際し、エンジンヘッド10側の雌ネジ孔102の内周とピボット104側の可動部111の外周との間の摩擦抵抗を、径方向の押圧力によって生じさせるようにしたので、摩擦抵抗によってピボット104を回転規制するときに、ピボット104が軸線方向に変位して調整位置が狂う、ということがない。
また、ロック手段101である中心孔106、可動部111、及びテーパ部材113を雌ネジ孔102とピボット104の内部に配したので、ロック手段を雌ネジ孔102の外部やピボット104の外部に配したロック構造に比べると、省スペース化が実現されている。
また、可動手段である可動部111がピボット104と一体に形成されているので、可動手段をピボット104とは別体部品とした場合に比べると、部品点数が少なくなっている。
【0059】
また、一対の可動部111は、ピボット104の軸線に関して対称に配置されていて、雌ネジ孔102の内周に対して互いに正反対の向きに押圧するので、ロック状態の安定性が高い。
また、ピボット104を回転規制するロック手段101としてエンジンの油圧回路の油圧を利用し、バルブクリアランスを調整する時、即ちエンジンが停止しているときにはテーパ部材113が自動的にロック解除され(但し、ロック解除状態では、テーパ部材113に油圧が作用しないときでもピボット104がカム15側からの軸方向への押圧力によって遊動回転せず、且つ調整用工具を用いてのピボット104の回転操作には支障がない程度の摩擦抵抗が、押圧部111の外周と雌ネジ孔102の内周との間に生じる)、エンジンが始動するとテーパ部材113が自動的にロック状態に変位するようにしたので、テーパ部材113を手作業でロックしたりロック解除したりする作業が不要となっている。
尚、上記実施形態1と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0060】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0061】
(1)上記実施形態2及び3ではピボットと一体をなす可動手段を2つとしたが、本発明によれば、1つのピボットに3つ以上の可動手段を一体形成してもよい。
(2)上記実施形態2及び3ではピボットと一体の可動手段をピボットの下端部に片持ち支持された形態で形成したが、本発明によれば、ピボットの軸線方向(高さ方向)における途中の位置に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の動弁装置の断面図
【図2】バルブクリアランス調整機構の拡大断面図
【図3】実施形態2のバルブクリアランス調整機構の拡大断面図
【図4】図3のA−A断面図
【図5】実施形態3のバルブクリアランス調整機構の拡大断面図
【図6】実施形態4のバルブクリアランス調整機構の拡大断面図
【図7】実施形態5のバルブクリアランス調整機構の拡大断面図
【符号の説明】
10…エンジンヘッド
11…ロッカーアーム
12…バルブステム
15…カム
20…バルブクリアランス調整機構
21…ピボット
22…ロック手段
23…雌ネジ孔
27…中心孔
31…可動ピン(可動手段)
34…テーパ部材
40,60,80,100…バルブクリアランス調整機構
41,61,81,101…ロック手段
42,62,83,102…雌ネジ孔
44,64,85,104…ピボット
46,66,106…中心孔
49,67…ロック用雌ネジ部
50,68…切欠部
51,69,111…可動部(可動手段)
53,70,113…テーパ部材
54,71…ロック用雄ネジ部

Claims (4)

  1. エンジンヘッドに設けた雌ネジ孔に螺合したピボットによりロッカーアームの揺動支点を支承し、カムにより前記ロッカーアームを揺動させることでバルブを駆動するようにした動弁装置において、前記ピボットを軸線方向に螺進させることにより前記ロッカーアームの揺動支点の高さを変えるようにしたバルブクリアランス調整機構において、
    前記エンジンヘッド側と前記ピボット側との間の径方向の押圧力に起因する摩擦抵抗によって前記ピボットを回転規制するロック手段を備えており、
    前記ロック手段は、
    前記ピボットにその先端側から同軸状に形成した中心孔と、
    前記中心孔に臨むように設けられ、前記ピボットに対する軸線方向への相対変位を規制され且つ径方向への相対変位を可能とされた可動手段と、
    前記中心孔内に収容され、前記可動手段を前記雌ネジ孔の内周に対して径方向外向きに押圧させるロック位置と、前記可動手段に対する押圧を解除するロック解除位置との間で軸線方向に移動可能なテーパ部材とを備えて構成されていることを特徴とする動弁装置のバルブクリアランス調整機構。
  2. 前記ピボットには、その外周面における複数箇所から前記中心孔に連なるように複数の切欠部が形成され、これらの切欠部によって周方向に分割された形態の複数の前記可動手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の動弁装置のバルブクリアランス調整機構。
  3. 前記中心孔にはロック用雌ネジ部が形成されているとともに、前記テーパ部材には前記ロック用雌ネジ部に係合されるロック用雄ネジ部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の動弁装置のバルブクリアランス調整機構。
  4. 前記ロック用雌ネジ部が、その軸線方向における全域に亘って前記切欠部と対応するように配され、そのロック用雄ネジ部と前記ロック用雌ネジ部とはテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の動弁装置のバルブクリアランス調整機構。
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