JP3722244B2 - 急速開閉ダイヤフラム弁用駆動部 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は120度以内のハンドル回転で弁が全開又は全閉する急速開閉ダイヤフラム弁の駆動部に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
急速開閉ダイヤフラム弁は実開平3−80163号により公知である。その公知ダイヤフラム弁は、ステムをボンネットに回転は自在であるが、軸方向には摺動しないように軸受けし、そのステムに直径方向に突出するカムピンを固定し、そのカムピンと係合する確動カム溝を筒状の移動カムに設け、その移動カムをボンネットに回転はしないが、軸方向には移動するように取り付け、その移動カムにコンプレッサを吊り下げ、そのコンプレッサでダイヤフラムを開閉する構造であった。又、ステムはボンネットにスリーブを介して軸受けされ、そのスリーブのボンネットに対する上下位置を調節することにより、ステムの限度位置、すなわち弁の締付け位置を微調整する方式であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のダイヤフラム弁は、円筒状の移動カムに刻設する確動カム溝の加工に手間を要するため、全体として製作コストが非常に高くなるという問題があった。又、弁の締付け位置を微調整するために、ハンドル操作とは別にスリーブの取付位置を調節することは必ずしも容易な作業ではなかった。
【0004】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、急速開閉ダイヤフラム弁の製作コストを低減させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明が採用する手段は、ステムをボンネットに回転自在かつ軸方向摺動可能に軸受けし、ボンネット内のステムに円筒状移動カムを一体に固定し、移動カムの環状端面に連続する第1及び第2カム面を形成し、その第1及び第2カム面と係合して移動カムを上下させる固定カムをボンネットに一体に設け、移動カムによってダイヤフラムを上下させて弁を開閉し、固定カムが第1カム面と係合するときは、ダイヤフラムが比較的早く開閉位置の間を上下し、固定カムが第2カム面と係合するときは、ダイヤフラムが閉位置において比較的ゆっくり上下するように第1及び第2カム面を傾斜させたことにある。
【0006】
第1及び第2カム面は円筒の外端面であるから、従来の確動カム溝に比べると、加工も仕上げも著しく容易である。
閉位置においてハンドルを回すと、ダイヤフラムはゆっくり上下するから、ハンドルを回して弁の締付け位置を微調整することができる。
第1カム面の傾斜角度を第2カム面の傾斜角度よりも大きくして、第1カム面と固定カムが係合するときの移動カムの上下速度を第2カム面と固定カムが係合するときよりも早くする。
【0007】
第2カム面は自動止めの傾斜角度とするか、又は傾斜のない平坦面とすることが望ましい。第2カム面の傾斜を自動止めにすると、弁を開閉するハンドルを放しても戻ることがないので、ハンドル操作による弁締付け位置の微調整が可能となる。第2カム面が平坦面の場合は、移動カムに逆ねじの軸孔を設け、その軸孔にスピンドルをねじばめし、そのスピンドルを介してダイヤフラムを上下させる。平坦な第2カム面と固定カムが係合するとき、移動カムは回転しても上下しないが、逆ねじによってスピンドルがゆっくり上下するから、ハンドルを操作して弁の締付け位置を微調整することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に示す第1実施例に基づいて説明する。
図1に示すように、ダイヤフラム弁10のボンネット11にステム12を回動自在かつ軸方向摺動自在に軸受けする。ステム12の下端部に直径方向に突出するピン22を介して円筒状の移動カム13を取り付け、その移動カムの下端部にコンプレッサ14を取り付ける。コンプレッサ14はステム12と共に軸方向に往復動するが、回動することはできない。コンプレッサ14に弁を開閉するダイヤフラム35を取り付ける。
【0009】
ステム12にばね受け15を相互回動自在に取り付け、そのばね受けとボンネット11上面のばね受け面23の間にコイルばね16を挿入する。ステム12の上端部にキー17を固定し、そのキーをはめるキー溝18をカバー20のトップ19に設ける。キー17とキー溝18を介してカバー20をステム12に一体回転するが軸方向に相互摺動自在に取り付ける。カバー20にはレバー状のハンドル21を一体に設ける。
【0010】
ハンドル21を弁が閉じる方向に回すと、移動カム13により、ステム12は回動しながら下降し、ばね受け15はコイルばね16を圧縮する。そこで、ハンドル21を弁が開く方向に回すと、ステム12は回動しながら上昇する。このとき、コイルばね16の反発力に助けられ、ハンドル21は軽く回る。ボンネット11の上内面に固定カム24を設け、その固定カムと係合するカム面25を移動カム13の上端面に設ける。
【0011】
図2の展開図に示すように、移動カム13のカム面は円周方向に連続する第1及び第2カム面25、26からなり、第1カム面26は比較的大きな傾斜角度の斜面であるが、第2カム面26自動止め作用を有する小さな傾斜角度の斜面である。第1及び第2カム面25、26の両側には第1及び第2ストッパ27、28を設ける。
図2(a)に示すように、ハンドルが開位置にあるとき、固定カム24は移動カム13の第1ストッパ27に当たる。ここで、ハンドルを弁が閉じる方向に回すと、移動カム13はA矢印方向に移動するが、同時に第1カム面25が固定カム24と摺接するため、移動カム13はB矢印方向に下降し、それにより弁は閉じる。
【0012】
図2(b)に示すように、ハンドルを閉位置まで回すと、固定カム24は移動カム13の第2カム面26と接する。このとき自動止めとなるから、ハンドルを放しても、移動カム13がコイルばね16の反発力によって戻ることはない。
固定カム24と第2カム面26が接する領域は、ハンドルを回すと、移動カム13はゆっくり下降するから、弁の締付け位置を微調整することができる。しかし、固定カム24が第2ストッパ29に当たると、それ以上ハンドルを回すことはできないから、ダイヤフラムの過度の締付けは未然に防止される。
【0013】
固定カム24及び移動カム13の第1及び第2カム面25、26はいずれも円筒体の端面を加工して仕上げる消極カムであるから、加工に要する手間は溝形の確動カムに比べると大幅に節減される。
【0014】
【実施例】
図3及び図4に示す第2実施例について説明する。
ボンネット11の上内面に設けた固定カム24は第1実施例と同一である。移動カム13の上端面には連続する第1及び第2カム面31、32と、その第1及び第2カム面31の片側に第1及び第2ストッパ33、34をそれぞれ設ける。第1カム面31は斜面であり、その傾斜角度は第1実施例の第1カム面と同一であるが、第2カム面32は水平な平坦面である。移動カム13の下半部の軸孔29に逆ねじを設け、その軸孔にスピンドル30の上部をねじ込む。スピンドル30にコンプレッサ14を取り付ける。実施例2の上記以外の構成は実施例1と同様である。
【0015】
図4(a)に示すように、ハンドルが開位置にあるとき、固定カム24は移動カム13の第1ストッパ27に当たる。ここで、ハンドルを弁が閉じる方向に回すと、移動カム13はA矢印方向に移動するが、同時に第1カム面31が固定カム24と摺接するため、移動カム13はB矢印方向に下降する。このとき、スピンドル30は回転しないから、逆ねじによって移動カム13に対して相対的に少し下降する。
【0016】
図4(b)に示すように、ハンドルを閉位置まで回すと、固定カム24は移動カム13の水平な第2カム面32と接する。このとき、ハンドルを放しても、移動カム13がコイルばね16の反発力によって戻ることはない。ここで、さらにハンドルを回すと、移動カム13は回動しても下降しないが、スピンドル30は移動カム13の回動によって徐々に下降するから、弁の締付位置を微調整することができる。固定カム24が第2ストッパ34に当たると、それ以上ハンドルを回すことはできないから、ダイヤフラムの過度の締付けは未然に防止される。
【0017】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明の急速開閉ダイヤフラム弁の駆動部は、従来の回転するが軸方向には摺動しないステムにカムピンを設け、そのカムピンと係合する確動カム溝を円筒形の移動カムに設け、その移動カムをボンネットに回転はしないが軸方向には往復可能に装着した方式とは異なり、回転しながら軸方向に摺動することができる。ステムに円筒形の移動カムを一体に固定し、その円筒形移動カムの上端面に消極カムのカム面を形成し、そのカム面と係合する固定カムをボンネットの上内面に設けたから、カム面の加工及び仕上げに要する手間が大幅に節減され、それによって、ダイヤフラム弁のコストが低減するという優れた効果を奏する。
【0018】
又、従来の駆動部はステムをスリーブに軸受けし、そのスリーブをボンネットに上下位置調整可能にねじばめし、スリーブの上下固定位置を調節して弁締付け位置を微調整する方式のため、弁締付け位置の微調整は熟練を要する厄介な作業であったが、本発明の駆動部は開閉ハンドルを回すだけで簡単に弁締付け位置を微調整することができるという格別の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の第1実施例の駆動部を備えたダイヤフラム弁の要部縦断面図であり、ステムは上昇位置にある。
【図2】は第1実施例のカム展開図であり、(a)は弁の開位置を、(b)は弁の閉位置をそれぞれ示す。
【図3】は第2実施例の図1に相当する図であり、ステムは下降位置にある。
【図4】は第2実施例のカム展開図であり、(a)は弁の開位置を、(b)は弁の閉位置をそれぞれ示す。
【符号の説明】
10:ダイヤフラム弁
11:ボンネット
12:ステム
13:移動カム
14:コンプレッサ
15:ばね受け
16:コイルばね
17:キー
18:キー溝
19:トップ
20:カバー
21:ハンドル
22:ピン
23:ばね受け面
24:固定カム
25:第1カム面
26:第2カム面
27:第1ストッパ
28:第2ストッパ
29:軸孔
30:スピンドル
31:第1カム面
32:第2カム面
33:第1ストッパ
34:第2ストッパ
35:ダイヤフラム

Claims (1)

  1. ダイヤフラム弁(10)のボンネット(11)にステム(12)の上部を回動及び軸方向摺動可能に軸受けし、前記ボンネットの上内面に固定カム(24)を設け、前記ステムの下部に円筒状の移動カム(13)を固定し、前記移動カムの上端面に円周方向に連続して前記固定カムと消極カム係合する第1及び第2カム面(25、26)を設け、前記第1及び第2カム面を前記固定カムへ押圧するばね機構(16)を設け、前記移動カムによってダイヤフラム(35)を上下させて弁を開閉し、前記第1カム面が前記固定カムと係合するとき、前記ダイヤフラムは急速に開位置と閉位置の間を上下し、前記第2カム面が前記固定カムと係合して摺動するとき、前記ダイヤフラムは閉位置において比較的ゆっくり上下するように前記第1及び第2カム面を形成したダイヤフラム弁用駆動部において、前記移動カム( 13 )の下部に前記ステム( 12 )の回転方向とは逆方向のねじを有する軸孔( 29 )を設け、前記軸孔にスピンドル( 30 )をねじばめし、前記スピンドルと共に前記ダイヤフラム( 35 )を上下させ、第1カム面( 31 )は傾斜角度の比較的大きな斜面に、第2カム面( 32 )は傾斜のない平坦面に形成したことを特徴とする急速開閉ダイヤフラム弁用駆動部。
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