JP4419064B2 - 納豆の粘質物抱埋おからの製造方法とその製品 - Google Patents
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Description
そこで、従来、納豆の利用分野の拡大を計るため、納豆から粘質物を分離し、分離した粘質物と粘質物を除かれた納豆の形態とし、色々な食品分野に添加され健康食品として利用する発明が刊行物に開示されている。その刊行物を以下に例示する。
特開昭54−55747号公報には、納豆に水又は温水を加えた後撹拌混和し、該粘質物が該豆質部からほゞ離れた時点で該混和物を遠心分離機にかけ、豆質部と粘質部とに分離し、分離した粘質部は真空凍結乾燥し、豆質部は吸水させた後真空凍結乾燥する納豆の加工方法とその夫々の利用例が記載されている。
特開平2−76554号公報には、納豆に水分を添加して両者を充分に混合し、この混合物を遠心分離機に投入し、該遠心分離機により大豆と粘質物とを分離するようにした引糸納豆から粘質物を分離する方法が記載されている。
特開平5−56762号公報には、納豆に水を加え、納豆の粘質物が水中に溶け込み粘りが出て来るまで充分に撹拌し、その混和物を裏漉し大豆と粘液とに分離し、分離した粘液をビニールシート上で送風乾燥し、粉末としたものに重炭酸ナトリウムを添加し、ミルで撹拌して加粘性調味料を製造すること及びその利用例が記載されている。
特開昭60−19466号公報には、前記の特開平5−56762号公報と同様に、納豆に、水分によって糸引性を欠損させるイオンを電離する水酸化カルシウムなどの水溶液を少量添加撹拌し、納豆の粘質物を凝集させ、ピンセットで大豆の一粒づつを粘質物の凝集物を箸で押さえ乍ら大豆の一粒づつをピンセットで摘み出して粘質物と分離することが記載されている。
特開昭52−28964号公報には、納豆を真空凍結乾燥した後、その乾燥物を篩で振盪し、納豆の外層部、即ち、種皮を含む粘質部の大部分を篩目をパスさせる一方、納豆の内層部を篩上に残すように分離することと、その夫々の利用例が記載されている。
特許文献2に記載の発明も、特許文献1に記載の発明と同様に、除粘納豆と粘質物との分離作業は非能率であり、その粘質物の水溶液につき、特許文献1の発明と同様の不都合をもたらす。
特許文献3に記載の発明も、特許文献1,2に記載の発明と同様に、除粘納豆と粘質物との分散作業は非能率であり、また、その利用は加粘性調味料にとゞまる不都合をもたらす。
特許文献4に記載の発明も又、納豆から粘質物を除去するためには、上記の特許文献1〜3と同様に、水を溶媒として使用する点で同じ技術思想であり、従って、除粘納豆と粘質物との分離作業は極めて非能率であり、そのうえ、大量を取扱う産業上の利用には全く不適であり、また、粘質物に凝集作用をもたらす水酸化カルシウムなどの凝集剤を必要とし、不経済であるなどの不都合をもたらす。 特許文献5に記載の発明によれば、納豆に真空凍結乾燥を施すので、装置及び製造コストの増大をもたらすばかりでなく、分離した外層部と内層部とを利用するに当たり、解凍する必要が不可欠であるなどの不都合をもたらす。
本発明は、上記従来の技術に鑑み、上記の課題を解消し、粘質物を納豆から分離するために水を溶媒として使用したり、納豆を凍結乾燥したりする面倒な手段を必要とすることなく簡単な作業で納豆から粘質物を高能率且つ経済的に除去し得られると共に、おからの食用又は飼料としての利用価値の向上をもたらす納豆の粘質物の抱埋おからの製造方法とその製品を提供することを目的とする。
更に本発明は、上記の本発明の製造方法により得られた粘質物抱埋おからに存する。
而も、このようにして得られた粘質物を除かれた豆粒から成る納豆(以下除粘納豆と言う)と粘質物を抱埋した粒子から成る抱埋おからとの混合物は、全体として、粘着性も糸引性もないさらさらした混合物として得られるので、これを篩にかけるだけで、篩目をパスした抱埋おからと篩上に除粘納豆とに分離することができる効果をもたらす。而も、おからには上記の健康保持効果を有する粘質物を含有するので、従来、単に、おからを使用し、種々の分野の食品の製造や、薬効を有する健康食品の製造に添加したり、飼料に添加する場合に比し、栄養価の向上した食品、薬効のある健康食品、或いは栄養価の向上した飼料をもたらす。
従って、全体として、糸引性やネバのないかゝるバラバラに混在する豆粒から成る除粘納豆と粘質物を保持した粒子から成る粘質物含有おからとから成る混合物が得られるので、これを篩にかける簡単な作業により、粘質物含有おからと除粘納豆とに簡単に分離することができる。
また、粘質物を奪取したおからの粒子はその粘質物により粒子相互が結着することなく、更に、指で摘み圧力をかけても結着し集塊を作ったり、団子状となったりすることなく、揉めば直ちにバラバラの粒子にほぐれ、粘質物により糸を引くこともなく、含有水分で単に湿った感触を与えるバラバラの粒子として存在するという現象が確認された。かゝるおからのこの意外な現象は、おからの繊維間の微孔内に粘質物が入り込むからであろうかと推察するが、これだけでは、この意外な現象を説明できない。今後、追求されるべき問題である。
そこで、本発明では、上記のおからの特異な現象をもたらす粘質物を奪取した粒子から成るおからを「粘質物抱埋おから」と定義する。
そこで、豆腐や豆乳の製造過程で得られるおからを、所望により上記の乾燥方法で乾燥し、乾燥したおからを納豆に添加、撹拌するようにしてもよく、この場合は、納豆からの粘質物の奪取、抱埋性能を未乾のおからに比し著しく増大できる。
尚、該混合物や分離した除粘納豆及び抱埋おからは、必要に応じ、ミルなどで微粉砕して粉末状の製品とすることもできる。
また、粘質物抱埋おからは、粘質物を含有するので、従来のおからのみを食用又は飼料として利用するに比し、栄養に富み且つ薬効を有し、その利用価値を向上する。その利用に当たり、そのまゝ或いはミルで粉砕して健康食品加工に利用する。
実施例1
市販納豆100gと自家製おから100gを容器に投入し、その配合物を撹拌したところ、瞬時に納豆の各豆粒の粘質物は除去され、糸引性のない除粘豆粒となると同時に、おからの各粒子は、粘質物抱埋粒子となり、且つ夫々の粒子は粘質物による相互結着も、糸を引くこともなく、バラバラの状態で除粘納豆の多数の豆粒と混在し、全体として湿った状態で且つ非粘着性で粒子分散状態の混合物が得られた。次いで、この混合物を冷蔵庫に入れ24時間後取り出したところ、全体として乾いたさらさらの混合物となっていた。次いで、この乾燥混合物を篩にかけたところ、粘質物抱埋おからの粒子は篩目をパスさせ、約35gの粘質物抱埋おからを得た。一方、篩上に約95gの除粘納豆が得られた。
実施例2
実施例1を繰り返して得られた乾燥した粘質物抱埋おからの堆積物から100gを取り出し、これを市販納豆100gとを配合し、撹拌混合したところ、瞬時に、市販納豆の粘質物が除去された豆粒から成る除粘納豆と粘質物を納豆から奪取した粘質物抱埋おからから成る全体としてさらりとした混合物を得た。これを、常温で風乾すると、各豆粒の表面が乾燥した除粘納豆と乾燥抱埋おからとから成る全体としてさらさらの乾燥混合物が短時間に得られた。次いで、これを篩にかけ、除粘納豆と粘質物抱埋おからを分離取得した。
実施例3
自家製おからを常温で風乾したものを100gと市販納豆300gとを配合し、これを掻き混ぜると、瞬時に、非粘着性の除粘納豆と非粘着性の粘質物抱埋おからとから成る全体としてさらさらした状態の混合物を得た。この混合物を篩にかけると、粘質物抱埋おからは篩目をパスし、篩上に除粘納豆を得た。このように、乾燥したおからを使用するときは、未乾のおからに比し、約3倍の納豆の除去ができることが判った。
比較例1
黄な粉100gと納豆100gとを容器に投入し、これを撹拌したところ、黄な粉の粒子は納豆の各豆粒表面の粘質物に絡み付き団子状となり、黄な粉による納豆からの粘質物の除去はできなかった。
比較例2
黄な粉に代え小麦粉を使用したが、黄な粉と同様の現象を生じ、小麦粉による納豆からの粘質物の除去はできなかった。
Claims (2)
- 納豆におからを添加、撹拌混合して納豆から粘質物をおからに抱埋奪取させた後、除粘納豆と篩分けることを特徴とする納豆の粘質物抱埋おからの製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法で得られた粘質物抱埋おから。
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