JP4418657B2 - シリンダヘッドガスケット - Google Patents

シリンダヘッドガスケット Download PDF

Info

Publication number
JP4418657B2
JP4418657B2 JP2003325055A JP2003325055A JP4418657B2 JP 4418657 B2 JP4418657 B2 JP 4418657B2 JP 2003325055 A JP2003325055 A JP 2003325055A JP 2003325055 A JP2003325055 A JP 2003325055A JP 4418657 B2 JP4418657 B2 JP 4418657B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
groove
bead
compound layer
cylinder head
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003325055A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005090634A (ja
Inventor
克則 松木
仁 姫崎
重郎 大垣
清治 大村
哲 安木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Uchiyama Manufacturing Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Uchiyama Manufacturing Corp
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Uchiyama Manufacturing Corp, Toyota Motor Corp filed Critical Uchiyama Manufacturing Corp
Priority to JP2003325055A priority Critical patent/JP4418657B2/ja
Priority to US10/942,818 priority patent/US7744095B2/en
Priority to CN200410078664A priority patent/CN100585155C/zh
Priority to DE102004045142A priority patent/DE102004045142A1/de
Publication of JP2005090634A publication Critical patent/JP2005090634A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4418657B2 publication Critical patent/JP4418657B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装されるシリンダヘッドガスケットに係り、詳しくは、ゴムに繊維材が混入されたコンパウンド材を、鋼板製芯金の表裏両面にコーティングしてコンパウンド層が形成された複合基材を用いて構成され、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装されるシリンダヘッドガスケットに関するものである。
この種のガスケットとしては、石綿以外の圧縮性無機繊維等から成る基材繊維、ゴム材、及び無機充填材等を含有したコンパウンド層を、板状の芯金の表面にコーティングして構成されたものがあり、このようなガスケットは、例えば特許文献1と2において開示されている。このものでは、単にゴム材を芯金にコーティングして成るガスケットに比べて、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に締付け装着された場合のトルクダウンが少ない、コーティング層が芯金から剥離し難い、耐熱温度が高い等の利点を有している。
また、シリンダヘッドガスケットにおいて、より優れた気密性を得たい場合には、その対象となる部分(シリンダボア等)の周りに、部分的に肉盛りされた突条(凸条)であるビードを形成するのが有効であることが知られている。このような例としては、特許文献3の第7図や第8図、或いは特許文献4において開示されたものがある。
そこで、芯金とコンパウンド層とを有した複合層構造の前記前者(特許文献1,2)のガスケット、即ちラバーコートメタルガスケットに前記後者(特許文献3,4)の技術を加味したもの、即ち、コンパウンド層にビードが形成されたラバーコートメタルガスケットを作成することにより、前記両従来技術の双方の利点を備えた優れたシリンダヘッドガスケットを実現させることが考えられた。
ところが、繊維入りゴム材は、型成形時の流動性がゴム材だけの場合に比べて明確に劣るため、前記後者の従来技術のように、コンパウンド層と同時にビードを一体形成することが非常に困難であって事実上できないものであった。そこで、ビード付きのラバーコートメタルガスケットとしては、図11に示すように、芯金3の表裏にコンパウンド層2をコーティングしてガスケット1の形態に加工処理した後に、コンパウンド層2,2を芯金3と共に凸状に屈曲形成することにより、ビード部6を形成させていた。
この後加工によるビード形成手段では、芯金自体を曲げているので、細い凸条のビード等、幅の細いビードは形成できないという大きさの制約を受ける欠点があるとともに、芯金の曲げによる反力が大きく、シリンダブロックとシリンダヘッドとの締結力が小さい小型エンジン等には適用できないといった使用箇所の制約もある等、使い勝手の悪い面があるため、改善の余地が残されているものであった。
特公平06−084785号公報 特開昭63−096359号公報 実開昭62−077366号公報 特開2000−055206号公報
そこで、本発明の目的は、繊維材がゴム材に混入されたコンパウンド材が芯金にコーティングされた複合基材で構成されるシリンダヘッドガスケットを、形状や大きさ、並びに使用箇所の制約を受けず、設計自由度の高い状態で形成されたビードを有するものとして実現させる点にある。
請求項1の構成は、ゴムに繊維材が混入されたコンパウンド材を、鋼板製芯金の表裏両面にコーティングしてコンパウンド層が形成された複合基材を用いて構成され、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装されるシリンダヘッドガスケットであって、
前記複合基材には、シリンダボアの周辺対応位置のコンパウンド層を除去することで環状の溝を形成し、その溝にゴム材料を装入して前記コンパウンド層よりも厚み方向で突出するビードを形成してあり、前記溝の側辺部には、前記複合基材の厚み方向に凹んだ段差が形成され、
前記段差は、前記側辺部のコンパウンド層を成形金型で圧縮させることにより形成されたものであり、前記側辺部のコンパウンド層を成形金型で圧縮させることにより、前記段差が形成された状態でゴム材料を前記溝に射出成形して前記ビードを形成させたことを特徴とする。
請求項2の構成は、請求項1の構成において、溝は、その溝底に芯金が露出するように形成されていることを特徴とする。
請求項1の構成によれば、コンパウンド層とビードとの形成は各別のものとなり、実現が困難なコンパウンド層とビードとの同時一体形成を行う必要がないとともに、ビードは、加工時の流動性に優れるゴム材料を用いるので、設定形状を無理無く円滑に成形できるようになる。溝はコンパウンド層を除去するという後加工で形成するものであって、コンパウンド層の成形時には溝を考慮する必要は無いから、コンパウンド材を芯金にコーティングしてのコンパウンド層の形成自体は、特別な処理無く従来通りに行うことができるとともに、溝形状や大きさ等の設計変更が自在に行い易い。これにより、幅が狭いとか枝分かれする等の複雑な形状のビードも形成可能になる。
そして、成形が困難であるコンパウンド材とは別のゴム材料を溝に装入してビードを形成するので、ビードの形状や寸法を自由に設定することができる。また、溝であるが故に、装入されるゴム材料は、溝の底面及び両側面に三次元的に接するので、これら両者を各別のものとしながらも、簡単に剥離することなく強度十分に一体化させることが可能になる。
その結果、コンパウンド層を除去することで複合基材におけるシリンダボアの周辺対応位置に環状の溝を形成し、その溝にゴム材料を装入することでビードを形成させる工夫により、良好なシール作用によって気密性保持に有効なビードを、その形状や寸法設定の自由度が高く設計の融通が効く便利なものとしながら、複合基材との一体化強度も十分となる状態で実現できるシリンダヘッドガスケットを提供することができた。
また請求項1の構成によれば、溝の側辺部には複合基材の厚み方向に凹んだ段差が形成されており、この段差はビードの横側近傍に存在することになる。これにより、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に組み込まれて締付けられた際の締付け力が規定以上である等により、シリンダヘッドガスケットが、即ちビードが過圧縮された場合に、その過圧縮による変形で押し出されたゴム材料の逃げ場として段差が機能するようになる。
そして、請求項1の構成は、ゴムに繊維材が混入されたコンパウンド材の持つ特性、即ち、圧縮形状の保持性が向上している点を活かしたものである。つまり、コンパウンド材は、圧縮によって塑性変形できる性質があるので、コンパウンド層における溝の側辺部を金型で圧縮させることで段差を形成できるとともに、その段差は金型を離型させた後も維持することができる。そして、その側辺部が圧縮された状態で溝にゴム材料を射出すれば、金型とコンパウンド層(側辺部)とが強く圧接されているために、これら両者の間にゴム材料が入り込む(廻り込む)現象(いわゆるゴム廻り)が生じない良好な状態でビードを形成することができる。
請求項2の構成によれば、溝に装入されたゴム材料は直接芯金に接触するので、接着や加硫接着等を用いて直接芯金との結合処理も可能になり、ビードの一体化強度をより向上させることができる。そして、ビード部分のゴム材料の厚みが厚くなるので、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間で締付けられた際の応力上昇を低く抑えて、耐久性向上に寄与できるとか、ビード突出量を大きくして、シール性を向上させるといったことも可能になり、より高機能なシリンダヘッドガスケットを提供することができた。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2には、エンジンにおけるシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装されるシリンダヘッドガスケット1が、そして、図3には複合基材における溝mが夫々示されている。このシリンダヘッドガスケット1は、鋼板製の芯金3と、補強材としての繊維材がゴムに混入されたコンパウンド材を芯金3の表裏両面にコーティングして成るコンパウンド層2とで成る複合基材(所謂ラバーコートメタル)から構成されている。
繊維材としては、ガラス繊維、セラミック繊維、岩綿、鉱滓綿、溶解石英繊維、化学処理高シリカ繊維、溶融硅酸アルミナ繊維、アルミナ連続繊維、安定化ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、チタン酸アルカリ繊維、ウィスカー、炭素繊維、金属繊維、ボロン繊維等の無機繊維を用いることができる。また、芳香族ポリアミド繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ尿素系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリフルオロカーボン系繊維、フェノール繊維、セルロース系繊維等の有機繊維を用いることもできる。
そして、ゴム(ゴム材料)としては、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FPM)、シリコーンゴム(Si)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エチレン酢ビゴム(EVA)、塩化ポリエチレン(CPE)、塩化ブチルゴム(CIR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ニトリロイソプレンゴム(NIR)、天然ゴム(NR)等を用いることができる。また、これらのゴム材、例えばSBRにナフテン系のプロセス油が添加された油展ゴムを用いることもできる。
芯金3としては、SPCCやSPHC等の圧延鋼板、アルミニウム板、ステンレス鋼板等の種々のものが使用できる。
ここで、図1及び図2に示されるシリンダヘッドガスケット1の製造方法について簡単に説明しておく。シリンダヘッドガスケット1の原材となる複合基材fは、図9に示すように、上下の回転ロール31,32を用いた圧延ロール工法が用いられる。即ち、上下のロール31,32間に芯金3を挟み、各ロール31,32と芯金3との間に流動状態のコンパウンド材20を送り込みながら各ロール31,32を回転駆動させることにより、各ロール31,32の回転方向下手側に、芯金3の両面に所定厚みのコンパウンド材20が芯金3の両面にコーティングされてコンパウンド層2となる複合基材fに成形されて送り出されてくる。
そして、ロール成形された板材状の複合基材fを取り出して、板状に伸展させてから、図10に示すように、打ち抜きプレス成形並びに各孔加工用のプレス成形を行い、所定形状に加工されたシリンダヘッドガスケット1を得るのである。
図1〜図3において、4は燃焼室(シリンダボア)用の大円孔、多数の5は冷却水通過用の冷却用孔であり、特に高い気密性が要求される大円孔4周りの部分については、その大円孔4を囲繞する環状のビード6が、表裏の両コンパウンド層2に形成されている。ビード6は、単一材のゴム材料(無機或いは有機繊維材が混入されたゴム材料でも可能)を、コンパウンド層2に形成されたリング状の溝mに装入することにより、コンパウンド層2の外面2aよりもガスケット厚み方向で突出する状態に形成されている。
次に、ビード6について説明する。ビード6は、溝形成工程と射出工程とによって形成される。溝形成工程は、図3に示すように、複合基材におけるシリンダボア周辺対応位置のコンパウンド層2を除去して溝mを形成する工程である。即ち、溝形成工程においては、芯金3の両面にコンパウンド層2がフラットにコーティングされた状態において、サンドブラスト等の手段によって、コンパウンド層を芯金3まで達する状態に削り取り、リング溝mを形成する。
コンパウンド層2を除去して溝mを形成する加工手段としては、レーザ加工やブラスト等の機械的な剥し、化学的、生物的な侵食作用により形成しても良い。また、コンパウンド材を芯金にコーティングするときに芯金にマスキングしておき、コーティング後にマスキングテープを剥がすことにより、コンパウンド層を除去して環状の溝を形成しても良い。
射出工程は、図4に示すように、上下の金型7,8を用いて未加硫のゴム材料を射出成形によって溝mに装入させる工程である。即ち、図4(a)に示すように、使用する上下の金型(プレス型)7,8は、上下対称の形状であり、上金型7で説明する。図4に示すように、上金型7には、溝mに対応させた位置において、環状の内突出型部9、環状の外突出型部10、及びこれら内外の突出型部9,10間に位置する環状の凹入型部11とが形成されている。
各突出型部9,10は、基準プレス面12よりも外方(図4では下方)に張り出しており、内外の各突出型部9,10は、共に断面形状がほぼ矩形状に張り出た形状であり、コンパウンド層2における溝mの内及び外側辺部2b,2cにまで達する範囲に形成されている。そして、基準プレス面12よりも内方(図4では上方)に凹入した凹入型部11は、頂部が円弧状で裾広がりした凹入形状に設定されている。尚、内外の側辺部2b,2cの「内外」は、ボアに相当する大円孔4の中心を基準として規定している。
射出工程におけるビード6の形成手順は次のようである。まず、図4(a)に示すように、リング溝mが形成された未加硫状態のシリンダヘッドガスケット1を、上下の金型7,8間に用意する。次いで、図4(b)に示すように、上下の金型7,8を互いに接近移動させて、それらの基準プレス面12がコンパウンド層2の外表面2aに軽く接触する限度位置まで強制移動させる。このとき、内外の突出型部9,10が溝mに位置するとともに内外の側辺部2b,2cに食込み、これら内外の側辺部2b,2cを上下方向に圧縮する。
そして、溝mの位置において上下のプレス型7,8及び芯金3で囲まれた空間部に、図4(c)に示すように、未加硫のゴム材料30を射出して装入させるのであり、凹入型部11に入り込んだゴム材料により、ビード6が形成される。このように、コンパウンド層2における溝mの両側辺部2b,2cを圧縮しながらゴム材料を射出すれば、射出されたゴム材料30がコンパウンド層2と金型7,8との間に廻り込む現象(いわゆるゴム廻り)を無くせて好都合である。
各側辺部2b,2cの圧縮率は30%以上が望ましく、そうすれば、ビード6の近傍に新たな凹溝(請求項3,4に言う「段差」の一例)omを明確に形成できるので、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間にてビード6が過圧縮された場合に、押出されたゴム材料30の逃げ場として凹溝omが機能する利点がある。尚、凹溝omは、側片部2b,2cの圧縮による部分のみでも良く、また、凹溝omとなる段差は、コンパウンド層2の形成時に、溝mの形成予定箇所の厚みを予め薄く設定しておくことで形成させても良い。
その後、図5(a)に示すように、上下のプレス型7,8を離型させ、上下のゴム材料30に環状のビード6が形成された状態のシリンダヘッドガスケット1を取り出すのである。取出されたシリンダへドガスケット1は、図5(b)に示すように、加硫釜16に入れる等して加硫処理を行い、ゴム材料30並びにコンパウンド層2を加硫させて形状及び組成を安定させる。このようにして、コンパウンド層2に後加工によってゴム材料によるビード6が形成されたシリンダヘッドガスケット1[図5(c)及び図1参照]を得るのである。
つまり、この実施形態においては、コンパウンド層2を除去することでシリンダボアの周辺対応位置に環状の溝mを形成し、その溝mにゴム材料30を装入してコンパウンド層2よりも厚み方向で突出するビード6を形成するに当り、コンパウンド層2における溝mの内側辺部2b及び外側辺部2cを、その厚み方向に金型7,8で圧縮させた状態で、溝mにゴム材料30を射出成形によって装入させてビード6を形成するのであり、その後に仕上げの加硫処理を行う、というものである。
このように溝mを、溝底に芯金3が露出する深いものに構成すれば、ゴム材料30が直接芯金3に接するので、その露出された芯金に接着剤を塗布した状態で、ゴム材料30を溝mに装入させることにより、ゴム材料30の持つ熱によって接着剤が熱せられて硬化が促進され、芯金3とゴム材料30とが強固に接着一体化される加熱接着(「焼付け接着」と言うこともある)を行うことができる。また、接着剤の種類により、図5(b)に示す加硫処理時の熱によって、芯金3とゴム材料30とを強固に接着一体化させる加硫接着を行わせることも可能である。
尚、コンパウンド層2やゴム材料30は、未加硫の状態でビード6を成形後に加硫処理するが、半加硫の状態でビード6を成形させることも可能である。また、コンパウンド層2を加硫処理してから溝mを形成し、溝mにゴム材料30を装入してビード6を形成することも可能である。
溝mに装入されるゴム材料30の形状は、図6に示すように、金型の形状設定により、ビード6とその両サイドの凹溝omとが滑らかな曲線で繋がる構造としても良い。この場合、コンパウンド層2における溝mの側辺部2b,2cは、厚み方向に圧縮されない状態としてあるが、先の実施形態(図2、図5参照)のように圧縮して段差を生じさせても良い。
また、図7、図8に示すように、大円孔4の外周側に内外2組の環状のビード6r,6sを適当な間隔を空けて形成するとともに、これら内ビード6rと外ビード6sどうしを短絡する横ビード部6yを、大円孔4を中心とした放射状に複数形成して、大円孔4の周囲に二重環状の複合ビードが形成されたシリンダヘッドガスケット1でも良い。この複合ビードも射出成形やその他の手段によって形成することができる。尚、図8(a)は、図7のイ−イ線断面図、図8(b)は、図7のロ−ロ線断面図である。
このように二重のビード6r,6s及び横ビード6yによる複合ビードを形成すれば、鋳巣対策に極めて有効となる。鋳巣とは、鋳鉄製(ダイカストを含む)のシリンダブロックやシリンダヘッドに、その鋳造時に混入した気泡によって鋳物内部に生じた中空部のことであり、その鋳巣がシリンダブロック等の接合面に現れると、そこに穴があいてしまうという不都合が生じる。図7において符号27〜29が付されて一点破線で描かれたものが、シリンダブロックやシリンダヘッドの接合面に現れた鋳巣による穴(以下、鋳巣穴と呼ぶ)の平面視形状の例である。
例えば、図7に示すように、内ビード6rを内外に跨ぐ鋳巣穴29が存在する場合には、内ビード6rの内外が鋳巣穴29によって連通されてしまい、内ビード6rによるシール機能が損なわれるおそれがあるが、外ビード6sや横ビード6yによってそれ以上には連通しないように遮断されるので、良好なシール性能を維持できるようになる。また、同様に、外ビード6sを内外に跨ぐ鋳巣穴27が存在する場合でも、内ビード6rや横ビード6yによって良好なシール性能を維持できるようになる。
また、隣合う一対の横ビード部6yと、内外のビード6r,6sとで囲まれた部分に鋳巣による穴28が存在する場合には、その四方が囲まれた部分以外には連通されないので、やはりシリンダヘッドガスケット1による良好なシール性能を維持することができるのである。このように、内外二重のビード6r,6sと複数の横ビード6yとによる複合ビードを形成すれば、シリンダブロックやシリンダヘッドの鋳巣穴による悪影響を、殆どの場合は阻止できるという利点が得られる。
溝mを、その底が芯金3にまでは達せず、コンパウンド層2の厚みの範囲内に存在する状態に形成して、溝mに装入されたゴム材料30の底面及び両側面がすべてコンパウンド層2に接する構造(図示省略)のシリンダヘッドガスケットでも良い。また、ビード6が、冷却水や冷却油の経路である冷却用孔5の周辺対応位置に形成されたシリンダヘッドガスケットも可能である。
以上説明したように、本発明は、ゴムに繊維材が混入されたコンパウンド材を、鋼板製芯金の表裏両面にコーティングしてコンパウンド層が形成された複合基材を用いて構成され、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装されるシリンダヘッドガスケットにおいて、複合基材には、シリンダボアの周辺対応位置のコンパウンド層を除去することで環状の溝を形成し、その溝にゴム材料を装入してコンパウンド層よりも厚み方向で突出するビードを形成してあることを特徴とする。
その結果、コンパウンド層の形成自体は楽に行えるものとしながら、良好なシール作用によって気密性保持に有効なビードを、その形状や寸法設定の自由度が高く設計の融通が効く便利なものとしながら、コンパウンド層や芯金との一体化強度も十分となる状態で実現できるシリンダヘッドガスケットを提供することができた。また、請求項2のように、溝底に芯金が露出する構成とすれば、ゴム材料と芯金との一体化強度を、焼付け接着や加硫接着によってより高めることができる利点がある。
請求項3のように、溝の側辺部に段差を形成すれば、ビードが過圧縮された場合に押出されたゴム材料の逃げ場になり、良好なシール性が維持できるようになり、請求項4のように、ゴム材料の溝への射出成形において、溝の側辺部のコンパウンド層を成形金型で圧縮させることで段差を形成するようにすれば、射出成形時に金型と側辺部との間にゴム材料が入り込む、ゴム廻り現象が回避できる利点がある。
本発明のシリンダヘッドガスケットの一例を示す部分平面図 図1におけるイ−イ線断面図 コンパウンド層に溝が形成されたシリンダヘッドガスケットの部分断面図 ビード成形の要部を示す図であり、(a)は射出成形直前の断面図、(b)は金型がセットされた状態の断面図、(c)は溝にゴム材料が射出された状態の断面図 (a)は射出成形終了時の断面図、(b)は加硫工程を示す図、(c)はビードが形成されたシリンダヘッドガスケットの概略の全体斜視図 別形状のビードを示すシリンダヘッドガスケットの部分断面図 複合ビードと鋳巣との関係を示す平面図 (a)は図7のイ−イ線断面図、(b)は図7のロ−ロ線断面図 複合基材の製造方法を示す原理図 成形された複合基材からシリンダヘッドガスケット形状を打抜く作用図 従来のシリンダヘッドガスケットの一例を示す部分断面図
符号の説明
1 シリンダヘッドガスケット
2 コンパウンド層
2b、2c 溝の側辺部
3 芯金
6 ビード
30 ゴム材料
m 溝
om 段差

Claims (2)

  1. ゴムに繊維材が混入されたコンパウンド材を、鋼板製芯金の表裏両面にコーティングしてコンパウンド層が形成された複合基材を用いて構成され、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装されるシリンダヘッドガスケットであって、
    前記複合基材には、シリンダボアの周辺対応位置のコンパウンド層を除去することで環状の溝を形成し、その溝にゴム材料を装入して前記コンパウンド層よりも厚み方向で突出するビードを形成してあり、前記溝の側辺部には、前記複合基材の厚み方向に凹んだ段差が形成され、
    前記段差は、前記側辺部のコンパウンド層を成形金型で圧縮させることにより形成されたものであり、前記側辺部のコンパウンド層を成形金型で圧縮させることにより、前記段差が形成された状態でゴム材料を前記溝に射出成形して前記ビードを形成させたことを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
  2. 請求項1において、
    前記溝は、その溝底に前記芯金が露出するように形成されているシリンダヘッドガスケット。
JP2003325055A 2003-09-17 2003-09-17 シリンダヘッドガスケット Expired - Fee Related JP4418657B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003325055A JP4418657B2 (ja) 2003-09-17 2003-09-17 シリンダヘッドガスケット
US10/942,818 US7744095B2 (en) 2003-09-17 2004-09-17 Cylinder head gasket
CN200410078664A CN100585155C (zh) 2003-09-17 2004-09-17 汽缸盖密封垫
DE102004045142A DE102004045142A1 (de) 2003-09-17 2004-09-17 Zylinderkopfdichtung

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003325055A JP4418657B2 (ja) 2003-09-17 2003-09-17 シリンダヘッドガスケット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005090634A JP2005090634A (ja) 2005-04-07
JP4418657B2 true JP4418657B2 (ja) 2010-02-17

Family

ID=34455616

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003325055A Expired - Fee Related JP4418657B2 (ja) 2003-09-17 2003-09-17 シリンダヘッドガスケット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4418657B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006322538A (ja) * 2005-05-19 2006-11-30 Uchiyama Mfg Corp シールリング及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005090634A (ja) 2005-04-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7744095B2 (en) Cylinder head gasket
CA1284566C (en) Making gasket having roller coated secondary seals
JP4418657B2 (ja) シリンダヘッドガスケット
KR101638518B1 (ko) 타이어 제조용 가류 금형
IT201800020110A1 (it) Motore a combustione interna diesel
CA1315504C (en) Process for production of a torsional vibration damper
JP4580631B2 (ja) シリンダヘッドガスケット
JP2005214369A (ja) ガスケットのシール構造
KR101933093B1 (ko) 타이어 몰드
US20090250884A1 (en) Process for Producing Gasket and Gasket
JPS5986717A (ja) クラッチドラムの成形方法
KR20170095911A (ko) 다층식 고정 가스켓, 개선된 정지 영역을 갖는 간격층 및 그 제조 방법
JP2005163944A (ja) ガスケットのビード形成方法
WO2004002707A1 (ja) 積層モールドの製造方法及び積層モールド
JP5190339B2 (ja) 環状ガスケット
US20070262537A1 (en) Method for the Production of a Flat Seal, and Flat Seal
JP6439161B1 (ja) 金属製ガスケット
JP2000238062A (ja) 積層ゴム支承体の成型方法および成型装置
CN109737197B (zh) 齿轮及齿轮制造方法
CN108016058B (zh) 一种轮胎模具侧板及轮胎模具
JP2002327775A (ja) 自動変速機用ピストン及びその製法
JP4206145B2 (ja) 樹脂製シールリング
JP4752379B2 (ja) 射出成形用金型
JPH0528016Y2 (ja)
WO2019039043A1 (ja) タイヤ加硫成形用金型

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090331

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090520

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121204

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121204

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131204

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees