JP4416905B2 - デジタルtv放送システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiple:直交周波数多重変調)方式の地上波デジタルTV放送システム(SFN(Single Frequency Network:単一周波数網)システム)に係り、特に、スタジオ(演奏所)から各送信所間の各遅延時間の自動調整を行うことができるデジタルTV放送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアナログTV放送システムにおけるSTL(Studio Transmitter Link )/TTL(Transmitter Transmitter Link)システムについて図3を用いて説明する。図3は、従来のアナログTV放送システムにおけるSTL/TTLシステムの構成図である。
従来のSTL/TTLシステムは、スタジオ、親局、子局/中継局2、子局/中継局3、複数のテレビ受像機(TV−RX)16,26,36から基本的に構成されている。
尚、スタジオと親局との間はマイクロ波を用いてリンクするSTL単区間通信であり、親局と子局/中継局2との間及び子局/中継局2と子局/中継局3との間はマイクロ波を用いてリンクするTTL単区間通信である。
また、周波数f10,f21,f32は、A〜CバンドのSTL/TTL用周波数であり、周波数f1-1,f2-2,f3-3は、それぞれ異なるTV放送用周波数である。
【0003】
次に、図3のシステムにおける各部の構成を具体的に説明する。
スタジオは、撮影した映像及び音声をSTL信号(放送用IF信号)に変調するスタジオ用変調器(MOD)5と、変調されたSTL信号を周波数f10にて送信するSTL送信機(STL−TX0 )2とを備えている。
MOD5では、OFDM(直交周波数多重変調)が為される。
【0004】
親局は、STL信号の周波数f10を受信するSTL受信機(STL−RX1 )11と、STL受信機11で受信されたSTL信号を中継波IF信号として入力し、周波数f21のTTL信号で送信するTTL送信機(TTL−TX1 )12と、受信されたSTL信号を放送波IF信号として入力し、TV放送用周波数f1-1 でテレビ受像機(TV−RX)に送信する放送用送信機(BC−TX1 )13とを備えている。
【0005】
子局/中継局2は、TTL信号の周波数f21を受信するTTL受信機(TTL−RX2 )21と、TTL受信機21で受信されたTTL信号を中継波IF信号として入力し、周波数f32のTTL信号で送信するTTL送信機(TTL−TX2 )22と、受信されたTTL信号を放送波IF信号として入力し、TV放送用周波数f2-2 でテレビ受像機(TV−RX)に送信する放送用送信機(BC−TX2 )23とを備えている。
【0006】
子局/中継局3は、TTL信号の周波数f32を受信するTTL受信機(TTL−RX3 )31と、TTL受信機31で受信されたTTL信号を放送波IF信号として入力し、TV放送用周波数f3-3 でテレビ受像機(TV−RX)に送信する放送用送信機(BC−TX3 )32とを備えている。
【0007】
テレビ受像機(TV−RX1,TV−RX2,TV−RX3 )16,26,36は、親局、子局/中継局2、子局/中継局3からそれぞれ異なるTV放送用周波数f1-1,f2-2,f3-3 (それぞれ異なるTVチャンネル)を受信し、放送番組を放映する。
【0008】
ここで、各送信所(親局、子局/中継局2、子局/中継局3)からはそれぞれ違う周波数(それぞれ違うT∨チャンネル)が送信され、各放送用受信機(各家庭のTV)では同じ周波数を受けることはないようになっている。故に、従来のアナログTV放送のSTL/TTLシステムでは、チャンネル毎の遅延時間の調整は行われておらず、必要もない。
【0009】
尚、デジタル放送に関する従来技術としては、平成11年(1999年)4月9日公開の特開平11−98104号「階層伝送による多重方式とその送信装置、中継装置」(出願人:株式会社次世代デジタルテレビジョン放送システム研究所、日本電気株式会社、発明者:樋口裕二他)がある。
この発明は、OFDM方式による通信又は放送において、階層変調により中継用の信号と中継装置の制御信号とを階層変調多重し、伝送するものであり、各中継装置に制御、中継装置の動作状態の監視、連絡回線の設定を有線等による別回線を用いることなく実現するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、地上波デジタルTV放送システム(SFNシステム)については、以下に説明する課題がある。
デジタルTV放送システムでは、システムの構成上、各放送用受信機(TV−RX)は複数の送信所から同じ周波数を受けることになり、また、放送用受信機にてデジタル変調の同一の信号を受け取るため、各送信所からの送信波の絶対時間をなるべく同じにしてやる必要がある。その為にはスタジオ(演奏所)から送信所間の相対遅延時間を調整して同じにする必要がある。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、スタジオ(演奏所)から各送信所間の相対遅延量を自動調整し、安定性に優れたデジタルTV放送システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、デジタルTV放送システムにおいて、スタジオと各送信所とは制御線で接続され、スタジオには、発信した信号を制御線を介して返信される時間を遅延時間として各々測定する遅延時間測定手段と、遅延時間測定手段にて測定された遅延時間を基にして各送信所からテレビ受像機に放送用電波を送信するタイミングが同じになるよう、各送信所での遅延量を決める遅延量信号を発生させる遅延量信号発生手段と、スタジオで撮影された映像及び音声を変調する変調手段と、変調された信号を送信すると共に遅延量信号を送信する送信手段とが備えられているスタジオであり、各送信所は、スタジオから発信された信号を制御線を介して受信し、遅延時間測定手段に返信する返信手段と、スタジオから送信された信号を受信する受信手段と、受信手段で受信された中継信号を次段へ送信する送信手段と、受信手段で受信された中継信号を受信した当該送信所での遅延量信号に示す遅延量で遅延する遅延手段と、遅延手段で遅延された中継信号を放送電波に変換して送信する放送用送信手段とを備える送信所であり、各送信所の返信手段は、当該送信所における遅延手段で遅延した信号を制御信号として入力し、接続する制御線を介してスタジオの遅延時間測定手段に返信する返信手段であり、遅延時間測定手段は、各制御線を介して返信手段から返信された制御信号の時間差を測定し、測定結果を遅延量信号発生手段に出力する遅延時間測定手段であり、遅延量信号発生手段は、遅延時間測定手段で測定された返信信号の時間差が適正な時間差であるかを判定し、不適正な時間差であれば各送信所での遅延量を調整して遅延量信号を再発生させる遅延量信号発生手段であることを特徴としており、テレビ受像機に放送用電波が同じタイミングで送信され、安定したシステムとすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0014】
本発明に係るデジタルTV放送システムの上位概念は、スタジオと各送信所との間を各々制御線で接続し、スタジオから発信した信号が返信される時間を遅延時間として各々測定し、測定された遅延時間を基にして各送信所からテレビ受像機に放送用電波を送信するタイミングが同じになるよう、各送信所での遅延量を決める遅延量信号をスタジオから各送信所に送信し、各送信所では受信した当該送信所での遅延量に従って中継信号を遅延させて放送電波にてテレビ受像機に送信するものである。
これにより、テレビ受像機に放送用電波が同じタイミングで送信され、安定したシステムとすることができる。
【0015】
また、本発明に係るデジタルTV放送システムの中位概念は、スタジオと各送信所とは制御線で接続され、スタジオには、発信した信号を制御線を介して返信される時間を遅延時間として各々測定する遅延時間測定手段と、遅延時間測定手段にて測定された遅延時間を基にして各送信所からテレビ受像機に放送用電波を送信するタイミングが同じになるよう、各送信所での遅延量を決める遅延量信号を発生させる遅延量信号発生手段と、スタジオで撮影された映像及び音声を変調する変調手段と、変調された信号を送信すると共に遅延量信号を送信する送信手段とが備えられ、各送信所は、スタジオから発信された信号を制御線を介して受信し、遅延時間測定手段に返信する返信手段と、スタジオから送信された信号を受信する受信手段と、受信手段で受信された中継信号を次段へ送信する送信手段と、受信手段で受信された中継信号を受信した当該送信所での遅延量信号に示す遅延量で遅延する遅延手段と、遅延手段で遅延された中継信号を放送電波に変換して送信する放送用送信手段とを備えるものである。
これにより、テレビ受像機に放送用電波が同じタイミングで送信され、安定したシステムとすることができる。
【0016】
ここで、遅延時間測定手段は図1の遅延時間測定器(CONT)3に相当し、遅延量信号発生手段は図1の時刻整合信号発生器(T−ADJ−SIG−SG)4に相当し、変調手段はスタジオ用変調器(BST−OFDM MOD)1に相当し、スタジオの送信手段はSTL送信機(STL−TX0 )2に相当し、返信手段は制御信号折り返し器(CONT−RE1 )15、25,35に相当し、受信手段はSTL受信機(STL−RX1 )11又はTTL受信機(TTL−RX2,TTL−RX3 )21,31に相当し、送信所の送信手段はTTL送信機(TTL−TX1,TTL−TX2,TTL−TX3 )12,22,32に相当し、遅延手段は遅延等価器(DLY1,DLY2,DLY3 )14、24,34に相当し、放送用送信手段は放送用送信機(BC−TX1,BC−TX2,BC−TX3 )13、23,33に相当する。
【0017】
また、本発明に係るデジタルTV放送システムは、上記システムにおいて、各送信所の返信手段は、当該送信所における遅延手段で遅延した信号を制御信号として入力し、接続する制御線を介してスタジオの遅延時間測定手段に返信するものであり、遅延時間測定手段は、各制御線を介して返信手段から返信された制御信号のタイミングを測定し、測定結果を遅延量信号発生手段に出力するものであり、遅延量信号発生手段は、遅延時間測定手段で測定された返信信号のタイミングを判定し、各送信所での遅延量を調整して遅延量信号を再発生させるものである。
これにより、放送用電波が各送信所から同時に送信されるタイミングの精度を向上させることができる。
【0018】
本発明の実施形態に係るデジタルTV放送システムについて図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るデジタルTV放送システムの構成図である。尚、図3と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して説明する。
本実施の形態のデジタルTV放送システムにおけるSTL/TTLシステムは、図1に示すように、スタジオ、親局、子局/中継局2、子局/中継局3、複数のテレビ受像機(TV−RX)16,26,36から基本的に構成されている。
尚、スタジオと親局との間はSTL単区間通信であり、親局と子局/中継局2との間及び子局/中継局2と子局/中継局3との間はTTL単区間通信である。
また、周波数f10,f21,f32は、A〜CバンドのSTL/TTL用周波数であり、周波数f1-1,f1-2,f1-3は、それぞれ同じTV放送用周波数である。
【0019】
次に、図1における各部の構成を具体的に説明する。
スタジオは、撮影した映像及び音声をBST−OFDM変調してSTL信号(放送波IF信号)を出力するスタジオ用変調器(BST−OFDM MOD)1と、変調されたSTL信号をSHF帯の電波に変換し、周波数f10にて送信するSTL送信機(STL−TX0 )2と、各送信所から送信される遅延時間測定信号を受信して遅延時間を測定する遅延時間測定器(CONT)3と、遅延時間の測定結果から各送信所への時刻整合信号を発生する時刻整合信号発生器(T−ADJ−SIG−SG)4とを備えている。
【0020】
親局(第1の送信所)は、STL信号の周波数f10を受信して中継波IF信号に変換するSTL受信機(STL−RX1 )11と、STL受信機11で受信された中継波IF信号を入力し、第2のSHF帯の電波に変換し、周波数f21のTTL信号で送信するTTL送信機(TTL−TX1 )12と、受信された中継波IF信号を特定時間遅延させ、一方を放送波IF信号として出力すると共に他方を時刻整合信号として出力する遅延等価器(DLY1 )14と、遅延された放送波IF信号を入力し、放送用電波に変換し、TV放送用周波数f1-1 でテレビ受像機(TV−RX)に送信する放送用送信機(BC−TX1 )13と、時刻整合信号をスタジオの遅延時間測定器3にループバックする制御信号折り返し器(CONT−RE1 )15とを備えている。
【0021】
子局/中継局2(第2の送信所、第2のTTL中継局)は、TTL信号の周波数f21を受信して中継波IF信号に変換するTTL受信機(TTL−RX2 )21と、TTL受信機21で受信された中継波IF信号を入力し、周波数f32のTTL信号で送信するTTL送信機(TTL−TX2 )22と、受信された中継波IF信号を特定時間遅延させ、一方を放送波IF信号として出力すると共に他方を時刻整合信号として出力する遅延等価器(DLY2 )24と、遅延された放送波IF信号を入力し、放送用電波に変換し、TV放送用周波数f2-2 でテレビ受像機(TV−RX)に送信する放送用送信機(BC−TX2 )23と、時刻整合信号をスタジオの遅延時間測定器3にループバックする制御信号折り返し器(CONT−RE2 )25とを備えている。
【0022】
子局/中継局3(第3の送信所、第3のTTL中継局)は、TTL信号の周波数f32を受信して中継波IF信号に変換するTTL受信機(TTL−RX3 )31と、TTL受信機31で受信された中継波IF信号を特定時間遅延させ、一方を放送波IF信号として出力すると共に他方を時刻整合信号として出力する遅延等価器(DLY3 )34と、遅延された放送波IF信号を入力し、放送用電波に変換し、TV放送用周波数f3-3 でテレビ受像機(TV−RX)に送信する放送用送信機(BC−TX3 )32と、時刻整合信号をスタジオの遅延時間測定器3にループバックする制御信号折り返し器(CONT−RE3 )35とを備えている。
【0023】
テレビ受像機(TV−RX1,TV−RX2,TV−RX3 )16,26,36は、親局、子局/中継局2、子局/中継局3から同一のTV放送用周波数f1-1,f1-2,f1-3 (同一のTVチャンネル)を受信し、放送番組を放映する。
また、スタジオの遅延時刻測定器3と各送信所の制御信号折り返し器15,25,35との間は、制御線(1)17、制御線(2)27、制御線(3)37とで双方向に信号のやりとりができるよう接続されている。
【0024】
本発明の実施の形態に係るデジタルTV放送システムにおける映像及び音声のデータ送信の技術自体は従来のものと変わらないが、データ送信のタイミングを調整する部分に本発明の特徴がある。以下、本システムにおけるデータ送信のタイミングを制御する構成及び動作について具体的に図1、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態に係るデジタルTV放送システムにおける遅延処理を行うタイミングチャート図である。
【0025】
スタジオの遅延時間測定器(CONT)3は、親局、子局/中継局2、子局/中継局3の各送信所における遅延時間を測定し、測定結果を時刻整合信号発生器4に出力する。
ここで、遅延時間とは、遅延時間測定器3から遅延時間測定信号を各送信所に制御線(1)(2)(3)を介して送信し、その遅延時間測定信号が返信されるまでの時間を測定し、各送信所における遅延時間としている。
【0026】
これにより、各送信所における遅延時間が決定される。特に、本発明の実施の形態においては、各送信所から遅延時間測定信号が戻ってくる時間を遅延時間としている。すなわち、遅延時間=(遅延時間測定器3から遅延時間測定信号が発信されて戻ってくるまでの時間)/2ということになる。
図2に示すように、スタジオと第1の送信所(STL送信所:親局)との間では遅延時間1が測定され、スタジオと第2の送信所(TTL送信所:子局/中継局2)との間では遅延時間2が測定され、スタジオと第3の送信所(TTL送信所:子局/中継局3)との間では遅延時間3が測定されている。
【0027】
スタジオの時刻整合信号発生器(T−ADJ−SIG−SG)4は、遅延時間測定器3で測定された遅延時間の内、最長の時間を基準として時刻整合信号を生成する。
時刻整合信号とは、各送信所において予め異なる相対遅延時間を設定させるための信号であり、当該各相対遅延時間に従って各送信所がテレビ受像機16,26,36に放送用電波を送信すればテレビ受像機に各送信所から電波が同時に送信され、テレビ受像機で同時に電波が受信できるというものである。
【0028】
具体的には、図2に示すように、第3の送信所(子局/中継局3)における遅延時間3が最長であるので、第3の送信所における遅延時間以上の遅延を第1の送信所、第2の送信所において行う必要がある。
第3の送信所での遅延量を遅延量3とすると、第2の送信所での遅延量2は遅延量3に第3の送信所の遅延時間3を加算したものとなり、また、第1の送信所での遅延量1は遅延量2に第2の送信所の遅延時間2を加算したものとなる。換言すると、第1の送信所での遅延量1は遅延量3に遅延時間3と遅延時間2とを加算したものとなる。
これにより、第1の送信所では遅延量1で、第2の送信所では遅延量2で、第3の送信所では遅延量3で、それぞれ相対遅延時間分遅延させるよう、時刻整合信号発生器4が時刻整合信号をSTL送信機2を介して各送信所に送信する。
【0029】
遅延等価器14,24,34は、STL受信機11、TTL受信機21,31から入力される時刻整合信号に基づいた遅延量1,2,3を設定し、その遅延量で放送波IF信号を遅延させる。
また、遅延等価器14,24,34は、入力された信号が時刻整合信号であればその時間整合信号を、入力された信号が放送波IF信号であればそれを時間整合信号として遅延量1,2,3で遅延させて制御信号折り返し器15,25,35に出力する。
【0030】
制御信号折り返し器15,25,35は、遅延等価器14,24,34から入力される時刻整合信号を制御線17,27,37を介してスタジオの遅延時間測定器3にループバックする。
【0031】
また、スタジオの遅延時間測定器3は、ループバックされた時刻整合信号の時間差を測定して時刻整合信号発生器4に出力する。すると、時刻整合信号発生器4は、時刻整合信号の時間差から適正時間差にてループバックされたかどうか判断でき、更に精度良く遅延等価回路14,24,34での遅延量を制御する時刻整合信号を発生させることができるものである。
【0032】
次に、各送信所における遅延量の制御方法について一連の流れで説明しておく。
まず、スタジオの遅延時間測定器3は、遅延時間測定信号を制御線17,27,37を介して各送信所の制御信号折り返し器15,25,35に送信する。
制御信号折り返し器15,25,35は、遅延時間測定信号を折り返して制御線17,27,37を介して遅延時間測定器3に返信する。
【0033】
遅延時間測定器3は、遅延時間測定信号の送信と受信のタイミングから各送信所における遅延時間1,2,3を測定し、測定した遅延時間1,2,3を時刻整合信号発生器4に出力する。
時刻整合信号発生器4は、送信所において処理に必要な遅延量と測定した遅延時間を基に各送信所での遅延量1,2,3を決定し、各送信所に各遅延量1,2,3が設定されるよう時刻整合信号を発生させ、STL送信機2を介して各送信所に送信する。
【0034】
各送信所のSTL受信機11、TTL受信機21,31は、受信した時刻整合信号をTTL送信機12,23に出力すると共に遅延等価器14,24,34に出力する。
遅延等価器14,24,34は、入力された時刻整合信号に基づいて遅延量1,2,3を設定し、当該遅延量に相当する時間の経過後に接続する制御信号折り返し器15,25,35に時刻整合信号を出力する。
制御信号折り返し器15,25,35は、時刻整合信号が入力されると、当該時刻整合信号を制御線17,27,37を介して遅延時間測定器3に送信する。
【0035】
遅延時間測定器3は、各制御線17,27,37を介して時刻整合信号を受信し、受信した信号の時間差を測定して時刻整合信号発生器4に出力する。
時刻整合信号発生器4は、遅延時間測定器3で測定された時刻整合信号の時間差が本来予定していた適正な時間差であるかどうかを判断し、不適切であれば各送信所に設定した遅延量1,2,3を調整し直す。
【0036】
また、各送信所の遅延等価器14,24,34は、中継波IF信号を設定された遅延量1,2,3に従って遅延させて放送波IF信号として放送用送信機13,23,33に出力すると共に、その遅延させた中継波IF信号を時刻整合信号として制御信号折り返し器15,25,35に出力する。
【0037】
制御信号折り返し器15,25,35は、入力される時刻整合信号を制御線17,27,37を介して遅延時間測定器3に出力する。
【0038】
すると、遅延時間測定器3は受信した時刻整合信号の時間差を測定し、時刻整合信号発生器4に出力する。時刻整合信号発生器4は、遅延時間測定器3で測定された時間差が適正な時間差であるか判定し、不適正であれば再度、適正な時刻整合信号を発生させ、STL送信機2を介して各送信所に時刻整合信号を送信する。
【0039】
このように、本発明の実施の形態に係るデジタルTV放送システムでは、制御線17,27,37を用いて各送信所からの遅延時間を測定し、当該遅延時間を基にして各送信所から放送用電波が送信されるタイミングが同じになるよう、各送信所における遅延量を決定する時刻整合信号を送信し、遅延等価器14,24,34で受信した遅延量で中継IF信号を遅延させるようにしているので、各送信所の放送用送信機13,23,33からテレビ受像機16,26,36に放送用電波が同じタイミングで送信され、安定したシステムとすることができる効果がある。
【0040】
また、本発明の実施の形態に係るデジタルTV放送システムでは、各送信所で設定された遅延量に基づいて遅延された中継波IF信号を時刻整合信号として制御信号折り返し器15,25,35から制御線17,27,37を介してスタジオの遅延時間測定器3にループバックし、時刻整合信号発生器4でループバックされた信号の時間差が適性であるかどうか判断し、不適正であれば、適正な遅延量となるよう時刻整合信号を生成し、各送信所に再度適正な遅延量を設定するようにしているので、放送用電波が各送信所から送信されるタイミングの精度を向上させることができる効果がある。
【0041】
また、STL/TTL回線区間が気象条件により伝送状態が変化して、この区間の遅延量が変化しても、前述の方法を繰り返し行うとで、スタジオ(演奏所)〜各送信所の遅延時間を整合させることができ、安定なSFNシステムを提供できるものである。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、スタジオと各送信所とは制御線で接続され、スタジオには、発信した信号を制御線を介して返信される時間を遅延時間として各々測定する遅延時間測定手段と、遅延時間測定手段にて測定された遅延時間を基にして各送信所からテレビ受像機に放送用電波を送信するタイミングが同じになるよう、各送信所での遅延量を決める遅延量信号を発生させる遅延量信号発生手段と、スタジオで撮影された映像及び音声を変調する変調手段と、変調された信号を送信すると共に遅延量信号を送信する送信手段とが備えられているスタジオであり、各送信所は、スタジオから発信された信号を制御線を介して受信し、遅延時間測定手段に返信する返信手段と、スタジオから送信された信号を受信する受信手段と、受信手段で受信された中継信号を次段へ送信する送信手段と、受信手段で受信された中継信号を受信した当該送信所での遅延量信号に示す遅延量で遅延する遅延手段と、遅延手段で遅延された中継信号を放送電波に変換して送信する放送用送信手段とを備える送信所であり、各送信所の返信手段は、当該送信所における遅延手段で遅延した信号を制御信号として入力し、接続する制御線を介してスタジオの遅延時間測定手段に返信する返信手段であり、遅延時間測定手段は、各制御線を介して返信手段から返信された制御信号の時間差を測定し、測定結果を遅延量信号発生手段に出力する遅延時間測定手段であり、遅延量信号発生手段は、遅延時間測定手段で測定された返信信号の時間差が適正な時間差であるかを判定し、不適正な時間差であれば各送信所での遅延量を調整して遅延量信号を再発生させる遅延量信号発生手段であるデジタルTV放送システムとしているので、テレビ受像機に放送用電波が同じタイミングで送信され、安定したシステムとすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタルTV放送システムの構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るデジタルTV放送システムにおける遅延処理を行うタイミングチャート図である。
【図3】従来のアナログTV放送システムにおけるSTL/TTLシステムの構成図である。
【符号の説明】
1…BST−OFDM変調器、 2…STL送信機、 3…遅延時間測定器、4…時刻整合信号発生器、 5…変調器、 11…STL受信機、12,22…TTL送信機、 13,23,33…放送用送信機、 14,24,34…遅延等価器、 15,25,35…制御信号折り返し器、 16,26,36…テレビ受像機、 17,27,37…制御線

Claims (1)

  1. スタジオと、複数のテレビ受像機と、前記スタジオから送信された信号を多段に中継すると共に中継途中でテレビ受像機に放送電波を送信する複数の送信所とを有するデジタルTV放送システムにおいて、
    前記スタジオと前記各送信所とは制御線で接続され、
    前記スタジオには、発信した信号を前記制御線を介して返信される時間を遅延時間として各々測定する遅延時間測定手段と、前記遅延時間測定手段にて測定された遅延時間を基にして前記各送信所から前記テレビ受像機に放送用電波を送信するタイミングが同じになるよう、前記各送信所での遅延量を決める遅延量信号を発生させる遅延量信号発生手段と、スタジオで撮影された映像及び音声を変調する変調手段と、変調された信号を送信すると共に前記遅延量信号を送信する送信手段とが備えられているスタジオであり、
    前記各送信所は、前記スタジオから発信された信号を前記制御線を介して受信し、前記遅延時間測定手段に返信する返信手段と、前記スタジオから送信された信号を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された中継信号を次段へ送信する送信手段と、前記受信手段で受信された中継信号を受信した当該送信所での遅延量信号に示す遅延量で遅延する遅延手段と、前記遅延手段で遅延された中継信号を放送電波に変換して送信する放送用送信手段とを備える送信所であり、
    前記各送信所の返信手段は、当該送信所における遅延手段で遅延した信号を制御信号として入力し、接続する制御線を介してスタジオの遅延時間測定手段に返信する返信手段であり、
    前記遅延時間測定手段は、各制御線を介して返信手段から返信された制御信号の時間差を測定し、測定結果を遅延量信号発生手段に出力する遅延時間測定手段であり、
    前記遅延量信号発生手段は、前記遅延時間測定手段で測定された返信信号の時間差が適正な時間差であるかを判定し、不適正な時間差であれば各送信所での遅延量を調整して遅延量信号を再発生させる遅延量信号発生手段であることを特徴とするデジタルTV放送システム。
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