JP4031355B2 - Ofdm変調信号伝送方法及びその送信側装置と受信側装置 - Google Patents

Ofdm変調信号伝送方法及びその送信側装置と受信側装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はOFDM変調信号伝送方法及びその送信側装置と受信側装置に関し、OFDM変調信号を単一周波数網の複数箇所の放送機に伝送するOFDM変調信号伝送方法及びその送信側装置と受信側装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地上デジタルテレビジョン放送では、複数チャンネルのテレビジョン放送信号それぞれを周波数効率の良いOFDM(直交周波数分割多重)でデジタル変調して放送される。OFDMはマルチパスの干渉にも強く、伝送信号中にガードインターバルという時間的なガードを設けることにより、遅延時間の長いマルチパスの妨害による信号劣化を抑えることができることから、同じ放送内容を同一の周波数で放送する単一周波数網(SFN:Single Frequency Network)が可能となり、これにより周波数を大きく節約することができる。
【0003】
単一周波数網を構築するためには、SFNサービスエリア内で発生するキャリア間干渉を抑えるため、送信周波数差はお互いの放送波間で1Hz以内であることが要求され、また、シンボル間干渉を抑えるため、各SFN放送機におけるOFDM変調波の基準クロックの周波数が一致していることが要求される。
【0004】
図3は、従来のOFDM変調信号伝送方法で構成した単一周波数網の一例のブロック図を示す。同図中、演奏所10に配置されたOFDM変調器12はデジタルテレビジョン放送信号をOFDM変調する。得られたOFDM変調信号は光送信機14で光信号に変換されてアナログ光回線16に送出される。アナログ光回線16を伝送された光信号は光受信機18A,18Bで受信され、電気信号のOFDM変調信号に変換される。このOFDM変調信号は遅延調整装置19A,19Bでそれぞれある一定の遅延量だけ遅延されて遅延調整された後、放送機20A,20BからSFNサービスエリア22に無線送信される(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
図4は、従来のOFDM変調信号伝送方法で構成した単一周波数網の他例のブロック図を示す。同図中、演奏所10に配置されたOFDM変調器12はデジタルテレビジョン放送信号をOFDM変調する。得られたOFDM変調信号はSHF送信機24でマイクロ波に変換されマイクロ波固定無線回線で送信される。無線伝送路25A,25Bを伝送されたマイクロ波はSHF受信機26A,26Bで受信され、OFDM変調信号に変換される。このOFDM変調信号は遅延調整装置27A,27Bでそれぞれある一定の遅延量だけ遅延されて遅延調整された後、放送機28A,28BからSFNサービスエリア22に無線送信される。
【0006】
また、OFDM変調信号の伝送を行うものではないが、放送TS(Transport Stream)をATM回線を使用して伝送するものが、従来から知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【0007】
【非特許文献1】
古川電工時報 第105号,平成12年1月,p101−104
【非特許文献2】
映像情報メディア学会誌 Vol.56,No.2,pp.165〜167(2002)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の図3に示す方法では、アナログ光回線16を使用している。アナログ光回線では、同期がとりやすいものの、送信機の送信レベルは0dBm、標準受光レベルは−5dBm程度であり、光ファイバの伝送損失は0.3〜0.5dB/kmとされているため、伝送距離10〜15kmでしか適正レベルでの通信を行うことができず、それ以上に伝送距離が大きくなると光受信機18A,18BにおけるC/N(Carrier/Noise)が悪化し、放送機20A,20Bにおいて実際の送信可能な程度のC/Nを得ることができないという問題があった。
【0009】
また、従来の図4に示す方法では、OFDM変調信号はマイクロ波固定無線回線で伝送されるために、必要な周波数の確保が難しく、SHF送信機24及びSHF受信機26A,26Bの無線設備にコストがかかり、また、マイクロ波固定無線回線のフェージングの影響を受け、C/Nが劣化するという問題があった。
【0010】
また、ATM回線を使用して複数の送信所に伝送された放送TSを各送信所でOFDM変調してSFNサービスエリアに無線送信することが考えられるものの、ATM回線のジッタの影響を受けるため、各送信所におけるOFDM変調器の同期をとるためには、例えばGPS(Global Positioning System)等の外部信号で同期をとらねばならず、GPS等の別システムに依存するために信頼性が低くなるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、別システムからの外部信号を必要とせず、単一周波数網を構築可能なOFDM変調信号のC/Nを確保しつつ長距離伝送することができるOFDM変調信号伝送方法及びその送信側装置と受信側装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、OFDM変調信号を複数箇所の放送機から同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するためのOFDM変調信号伝送方法において、デジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信し、前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、OFDM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM変調し、前記PCM変調で得たPCM変調信号を前記デジタル光回線網により複数箇所に伝送し、前記複数箇所それぞれで前記デジタル光回線網からPCM変調信号を受信し、前記複数箇所それぞれで前記デジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信し、前記複数箇所それぞれで前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、前記複数箇所それぞれで生成した前記基準クロックを用いて受信したPCM変調信号をPCM復調してOFDM変調信号を得て、放送機から前記同一サービスエリアに送信することにより、
別システムからの外部信号を必要とせず、単一周波数網を構築可能なOFDM変調信号のC/Nを確保しつつ長距離伝送することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、OFDM変調信号を複数箇所の放送機から同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するためのOFDM変調信号伝送方法において、ATM網から供給されるネットワーククロックを受信し、前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、OFDM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM変調し、前記PCM変調で得たPCM変調信号をATMセルに組み立てて前記ATM網により複数箇所に伝送し、前記複数箇所それぞれで前記ATM網から受信したATMセルを分解してPCM変調信号を得、前記複数箇所それぞれで前記ATM網から供給されるネットワーククロックを受信し、前記複数箇所それぞれで前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、前記複数箇所それぞれで生成した前記基準クロックを用いて前記PCM変調信号をPCM復調してOFDM変調信号を得て、放送機から前記同一サービスエリアに送信することにより、
別システムからの外部信号を必要とせず、単一周波数網を構築可能なOFDM変調信号のC/Nを確保しつつ長距離伝送することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、送信側はOFDM変調信号をPCM変調しデジタル光回線網を介して複数箇所の受信側に送信し、前記複数箇所の受信側は受信しPCM復調したOFDM変調信号を同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するOFDM変調信号伝送システムで用いられる送信側装置であって、デジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信するネットワーククロック受信手段と、前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成する基準クロック生成手段と、OFDM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM変調するPCM変調手段と、前記PCM変調手段で得たPCM変調信号を前記デジタル光回線網に送出する信号送出手段を有し、
請求項4に記載の発明は、送信側はOFDM変調信号をPCM変調しデジタル光回線網を介して複数箇所の受信側に送信し、前記複数箇所の受信側は受信しPCM復調したOFDM変調信号を同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するOFDM変調信号伝送システムで用いられる受信側装置であって、前記デジタル光回線網からPCM変調信号を受信する受信手段と、前記デジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信するネットワーククロック受信手段と、前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成する基準クロック生成手段と、生成した前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを用いて受信したPCM変調信号をPCM復調してOFDM変調信号を得るPCM復調手段と、PCM復調した前記OFDM変調信号を同一サービスエリアに送信する放送機を有することにより、
請求項1の発明を実現できる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、送信側はOFDM変調信号をPCM変調しATM網を介して複数箇所の受信側に送信し、前記複数箇所の受信側は受信しPCM復調したOFDM変調信号を同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するOFDM変調信号伝送システムで用いられる送信側装置であって、ATM網から供給されるネットワーククロックを受信するネットワーククロック受信手段と、前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成する基準クロック生成手段と、OFDM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM変調するPCM変調手段と、前記PCM変調で得たPCM変調信号をATMセルに組み立てて前記ATM網に送出するATMセル送出手段を有し、
請求項6に記載の発明は、送信側はOFDM変調信号をPCM変調しATM網を介して複数箇所の受信側に送信し、前記複数箇所の受信側は受信しPCM復調したOFDM変調信号を同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するOFDM変調信号伝送システムで用いられる受信側装置であって、前記ATM網から受信したATMセルを分解してPCM変調信号を得るATMセル分解手段と、前記ATM網から供給されるネットワーククロックを受信するネットワーククロック受信手段と、前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成する基準クロック生成手段と、前記PCM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM復調してOFDM変調信号を得るPCM復調手段と、PCM復調した前記OFDM変調信号を同一サービスエリアに送信する放送機を有することにより、
請求項2の発明を実現できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のOFDM変調信号伝送方法で構成した単一周波数網の第1実施例のブロック図を示す。同図中、演奏所30に配置されたOFDM変調器31はデジタルテレビジョン放送信号のOFDM変調を行う。このOFDM変調信号は例えば周波数37.15MHzでガードインターバルが設けられている。得られたOFDM変調信号は帯域制限フィルタ32にて後段のA/D変換器での量子化処理のため希望周波数帯域以外の周波数成分を除去されて周波数変換部33に供給される。周波数変換部33では周波数発振器34から供給される基準信号を用いて帯域制限フィルタ32からのOFDM変調信号の搬送波周波数を量子化のための適切な周波数に変換する。
【0017】
帯域制限フィルタ35は、OFDM変調信号から周波数変換で発生した不要周波数成分を除去してA/D変換器36に供給する。A/D変換器36は、周波数発振器37から供給される量子化基準クロックを用いて帯域制限フィルタ35からのOFDM変調信号をA/D変換(PCM変調)する。A/D変換器36の出力する数値データは、数値処理部38でデジタル光回線インタフェース39におけるデータレートに整合がとられ、PCM(パルス符号変調)信号としてデジタル光回線インタフェース39を介しデジタル光回線網45に送出される。
【0018】
デジタル光回線インタフェース39は接続されているデジタル光回線網45からネットワーククロックを供給されている。このネットワーククロックはデジタル光回線インタフェース39からPLL回路40,41に供給される。PLL回路40は周波数発振器34がネットワーククロックに同期した基準信号を発生するよう制御し、また、PLL回路41は周波数発振器34がネットワーククロックに同期した量子化基準クロックを発生するよう制御する。
【0019】
上記のOFDM変調器31,帯域制限フィルタ32,35,周波数変換部33,周波数発振器34,37,A/D変換器36,デジタル光回線インタフェース39,PLL回路40,41で送信側装置が構成されている。
【0020】
デジタル光回線インタフェース39は接続されているデジタル光回線網45からネットワーククロックを供給され、このネットワーククロックはデジタル光回線インタフェース39からPLL回路40,41に供給されて、PLL回路40,41はネットワーククロックに同期した基準信号及び量子化基準クロックを周波数発振器34,37に発生させている。このために、PCM変調器の出力するPCM信号はデジタル光回線網45のネットワーククロックに同期したものとなり、PCM信号の周波数安定度はネットワーククロックに依存する。
【0021】
PCM信号はデジタル光回線インタフェース39からデジタル光回線網45に送出され、デジタル光回線インタフェース50A,50Bで受信される。デジタル光回線インタフェース50A,50Bそれぞれはデジタル光回線網45から供給されるPCM信号を数値処理部51A,51Bそれぞれに供給し、ネットワーククロックをPLL回路52A,53Aと、52B,53Bとのそれぞれに供給する。
【0022】
数値処理部51A,51Bはデジタル光回線網45からのPCM信号をD/A変換器54A,54Bで変換可能なデータ形式に変換すると共に、それぞれある一定の遅延量だけ遅延して遅延調整する。なお、数値処理部51A,51Bにおける遅延量は、放送機60A,60Bそれぞれから送信されたOFDM変調信号をSFNサービスエリア61で受信した際の時間差がガードインターバルの範囲内となるように各数値処理部51A,51B毎に設定された値である。
【0023】
数値処理部51A,51Bの出力する変換データはD/A変換器54A,54Bで周波数発振器55A,55Bから供給される量子化基準クロックを用いてD/A変換(PCM復調)され、アナログのOFDM変調信号とされる。このOFDM変調信号は帯域制限フィルタ56A,56BにてD/A変換で発生した希望周波数帯域以外の周波数成分を除去される。
【0024】
周波数変換部57A,57Bそれぞれでは周波数発振器58A,58Bから供給される基準信号を用いて帯域制限フィルタ56A,56BからのOFDM変調信号の搬送波周波数を希望の搬送波周波数に変換する。周波数変換されたOFDM変調信号は帯域制限フィルタ59A,59Bにて希望周波数帯域以外の周波数成分を除去されて放送機(もしくは中継器)60A,60BからSFNサービスエリア61に無線送信される。
【0025】
上記のデジタル光回線インタフェース50A,数値処理部51A,PLL回路52A,53A,D/A変換器54A,周波数発振器55A,58A,帯域制限フィルタ56A,59A,放送機60Aで受信側装置が構成され、同様にデジタル光回線インタフェース50B〜放送機60Bで受信側装置が構成されている。
【0026】
デジタル光回線インタフェース50A,50Bそれぞれは接続されているデジタル光回線網45からネットワーククロックを供給され、このネットワーククロックはデジタル光回線インタフェース50A,50BそれぞれからPLL回路52A,53Aと、52B,53Bとのそれぞれに供給されて、PLL回路52A,53Aはネットワーククロックに同期した量子化基準クロック及び基準信号を周波数発振器55A,58Aに発生させており、PLL回路52B,53Bはネットワーククロックに同期した量子化基準クロック及び基準信号を周波数発振器55B,58Bに発生させている。
【0027】
従って、それぞれのPCM復調器から出力されるOFDM変調信号はデジタル光回線網45のネットワーククロックに同期したものとなり、OFDM変調信号の周波数安定度はネットワーククロックに依存する。通常のデジタル光回線網ではネットワークセンタに置かれたセシウム原子発振器で発生したネットワーククロックを基に通信を行っているため、デジタル光回線インタフェース39,50A,50Bそれぞれにおけるネットワーククロックは伝送遅延差を別にして周波数的には完全に一致している。このように、放送機60A,60BそれぞれからSFNサービスエリア61に送信されるOFDM変調信号は周波数的に一致しているため、単一周波数網(SFN)を構成することができる。
【0028】
また、デジタル光回線網の場合、OFDM変調信号に求められるC/Nを50dBとすると、A/D変換器36においてOFDM変調信号の10ビット量子化を行えば約60dBが確保され、距離の大きさによらず60dBのC/Nを確保した伝送が可能である。
【0029】
図2は、本発明のOFDM変調信号伝送方法で構成した単一周波数網の第2実施例のブロック図を示す。同図中、演奏所69に配置された再多重器70にはMPEG−2に準拠したTS(Transport Stream)信号を多重した通常TS信号を供給される。再多重器70はこの通常TS信号に地上デジタルテレビジョン放送信号の多重フレーム構造を与えOFDM変調器への入力を可能とすると共に、変調情報、モード情報、ネットワーク情報等の制御情報を付加し、放送TS信号としてOFDM変調器71に供給する。
【0030】
OFDM変調器71はテレビジョン放送信号のOFDM変調を行う。このOFDM変調信号は例えば周波数37.15MHzでガードインターバルが設けられている。得られたOFDM変調信号は帯域制限フィルタ72にて後段のA/D変換器での量子化処理のため希望周波数帯域以外の周波数成分を除去されて周波数変換部73に供給される。周波数変換部73では周波数発振器74から供給される基準信号を用いて帯域制限フィルタ72からのOFDM変調信号の搬送波周波数を量子化のための適切な周波数に変換する。
【0031】
帯域制限フィルタ75は、OFDM変調信号から周波数変換で発生した不要周波数成分を除去してA/D変換器76に供給する。A/D変換器76は、周波数発振器77から供給される量子化基準クロックを用いて帯域制限フィルタ75からのOFDM変調信号をA/D変換(PCM変調)する。A/D変換器76の出力する数値データは、数値処理部78でクラッド(CLAD)回路79におけるデータレートに整合がとられ、PCM(パルス符号変調)信号としてクラッド回路79に供給される。クラッド回路79はPCM信号をATMセルのフォーマットに組み立ててATM網85に送出する。
【0032】
クラッド回路79は接続されているATM網85からネットワーククロックを供給されている。このネットワーククロックはクラッド回路79からPLL回路80,81に供給される。PLL回路80は周波数発振器74がネットワーククロックに同期した基準信号を発生するよう制御し、また、PLL回路81は周波数発振器74がネットワーククロックに同期した量子化基準クロックを発生するよう制御する。
【0033】
上記の再多重器70,OFDM変調器71,帯域制限フィルタ72,75,周波数変換部73,周波数発振器74,77,A/D変換器76,クラッド回路79とPLL回路80,81で送信側装置が構成されている。
【0034】
クラッド回路79は接続されているATM網85からネットワーククロックを供給され、このネットワーククロックはクラッド回路79からPLL回路80,81に供給されて、PLL回路80,81はネットワーククロックに同期した基準信号及び量子化基準クロックを周波数発振器74,77に発生させている。このために、PCM変調器の出力するPCM信号はATM網85のネットワーククロックに同期したものとなり、PCM信号の周波数安定度はネットワーククロックに依存する。
【0035】
ATM網85を伝送されたATMセルはクラッド回路90A,90Bで受信される。クラッド回路90A,90Bそれぞれは供給されるATMセルを分解してPCM信号を得る。クラッド回路90A,90BそれぞれはATM網85から供給されるPCM信号を数値処理部91A,91Bそれぞれに供給し、ネットワーククロックをPLL回路92A,93Aと、92B,93Bとのそれぞれに供給する。
【0036】
数値処理部91A,91BはATM網85からのPCM信号をD/A変換器94A,94Bで変換可能なデータ形式に変換すると共に、それぞれある一定の遅延量だけ遅延して遅延調整する。なお、数値処理部91A,91Bにおける遅延量は、放送機100A,100Bそれぞれから送信されたOFDM変調信号をSFNサービスエリア101で受信した際の時間差がガードインターバルの範囲内となるように各数値処理部91A,91B毎に設定された値である。
【0037】
数値処理部91A,91Bの出力する変換データはD/A変換器94A,94Bで周波数発振器95A,95Bから供給される量子化基準クロックを用いてD/A変換(PCM復調)され、アナログのOFDM変調信号とされる。このOFDM変調信号は帯域制限フィルタ96A,96BにてD/A変換で発生した希望周波数帯域以外の周波数成分を除去される。
【0038】
周波数変換部97A,97Bそれぞれでは周波数発振器98A,98Bから供給される基準信号を用いて帯域制限フィルタ96A,96BからのOFDM変調信号の搬送波周波数を希望の搬送波周波数に変換する。周波数変換されたOFDM変調信号は帯域制限フィルタ99A,99Bにて希望周波数帯域以外の周波数成分を除去されて放送機(もしくは中継器)100A,100BからSFNサービスエリア101に無線送信される。
【0039】
上記のクラッド回路90A,数値処理部91A,PLL回路92A,93A,D/A変換器94A,周波数発振器95A,98A,帯域制限フィルタ96A,99A,放送機100Aで受信側装置が構成され、同様にクラッド回路90A〜放送機100Bで受信側装置が構成されている。
【0040】
クラッド回路90A,90Bそれぞれは接続されているATM網85からネットワーククロックを供給され、このネットワーククロックはクラッド回路90A,90BそれぞれからPLL回路92A,93Aと、92B,93Bとのそれぞれに供給される。PLL回路92A,93Aはネットワーククロックに同期した量子化基準クロック及び基準信号を周波数発振器95A,98Aに発生させており、PLL回路92B,93Bはネットワーククロックに同期した量子化基準クロック及び基準信号を周波数発振器95B,98Bに発生させている。
【0041】
従って、それぞれのPCM復調器から出力されるOFDM変調信号はATM網85のネットワーククロックに同期したものとなり、OFDM変調信号の周波数安定度はネットワーククロックに依存する。ATM網85はネットワークセンタに置かれたセシウム原子発振器で発生したネットワーククロックを基に通信を行っているため、クラッド回路79,90A,90Bそれぞれにおけるネットワーククロックは伝送遅延差を別にして周波数的には完全に一致している。このように、放送機100A,100BそれぞれからSFNサービスエリア101に送信されるOFDM変調信号は周波数的に一致しているため、単一周波数網(SFN)を構成することができる。
【0042】
また、ATM網の場合、OFDM変調信号に求められるC/Nを50dBとすると、A/D変換器76においてOFDM変調信号の10ビット量子化を行えば約60dBが確保され、距離の大きさによらず60dBのC/Nを確保した伝送が可能である。
【0043】
なお、帯域制限フィルタ32,35,周波数変換部33,周波数発振器34,37,A/D変換器36,PLL回路40,41、または、帯域制限フィルタ72,75,周波数変換部73,周波数発振器74,77,A/D変換器76が請求項記載のPCM変調手段に対応し、デジタル光回線インタフェース39が信号送出手段に対応し、デジタル光回線インタフェース50A,50Bが受信手段に対応し、数値処理部51A,51B,PLL回路52A,53A,52B,53B,D/A変換器54A,54B,周波数発振器55A,58A,55B,58B,帯域制限フィルタ56A,59A,56B,59B、または、数値処理部91A,91B,PLL回路92A,93A,92B,93B,D/A変換器94A,94B,周波数発振器95A,98A,95B,98B,帯域制限フィルタ96A,99A,96B,99BがPCM復調手段に対応し、クラッド回路79がATMセル送出手段に対応し、クラッド回路90A,90BがATMセル分解手段に対応する。
【0044】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1に記載の発明は、デジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信し、ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、OFDM変調信号を、生成した基準クロックを用いてPCM変調し、PCM変調で得たPCM変調信号をデジタル光回線網により複数箇所に伝送し、複数箇所それぞれでデジタル光回線網からPCM変調信号を受信し、複数箇所それぞれでデジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信し、複数箇所それぞれでネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、複数箇所それぞれで生成した基準クロックを用いて受信したPCM変調信号をPCM復調してOFDM変調信号を得て、放送機から前記同一サービスエリアに送信することにより、別システムからの外部信号を必要とせず、単一周波数網を構築可能なOFDM変調信号のC/Nを確保しつつ長距離伝送することができ、単一周波数網を容易に構築できるため周波数の利用率向上につながる。
【0045】
また、請求項2に記載の発明は、ATM網から供給されるネットワーククロックを受信し、ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、OFDM変調信号を、生成した基準クロックを用いてPCM変調し、PCM変調で得たPCM変調信号をATMセルに組み立ててATM網により複数箇所に伝送し、複数箇所それぞれでATM網から受信したATMセルを分解してPCM変調信号を得、複数箇所それぞれでATM網から供給されるネットワーククロックを受信し、複数箇所それぞれでネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、複数箇所それぞれで生成した基準クロックを用いてPCM変調信号をPCM復調してOFDM変調信号を得て、放送機から前記同一サービスエリアに送信することにより、別システムからの外部信号を必要とせず、単一周波数網を構築可能なOFDM変調信号のC/Nを確保しつつ長距離伝送することができ、単一周波数網を容易に構築できるため周波数の利用率向上につながる。
【0046】
また、請求項3及び請求項4に記載の発明によれば、請求項1の発明を実現できる。
【0047】
また、請求項5及び請求項6に記載の発明によれば、請求項2の発明を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のOFDM変調信号伝送方法で構成した単一周波数網の第1実施例のブロック図である。
【図2】本発明のOFDM変調信号伝送方法で構成した単一周波数網の第2実施例のブロック図である。
【図3】従来のOFDM変調信号伝送方法で構成した単一周波数網の一例のブロック図である。
【図4】従来のOFDM変調信号伝送方法で構成した単一周波数網の他例のブロック図である。
【符号の説明】
30,69 演奏所
31,71 OFDM変調器
32,35,56A,56B,59A,59B,72,75,96A,96B,99A,99B ,帯域制限フィルタ
33 周波数変換部
34,37 周波数発振器
36 A/D変換器
39,50A,50B デジタル光回線インタフェース
38,78,51A,51B,91A,91B 数値処理部
40,41,52A,52B,53A,53B,70,71,92A,92B,93A,93B PLL回路
45 デジタル光回線網
54A,54B D/A変換器
60A,60B,100A,100B 放送機
61,101 SFNサービスエリア
70 再多重器
79,90A,90B クラッド回路
85 ATM網

Claims (6)

  1. OFDM変調信号を複数箇所の放送機から同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するためのOFDM変調信号伝送方法において、
    デジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信し、
    前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、
    OFDM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM変調し、
    前記PCM変調で得たPCM変調信号を前記デジタル光回線網により複数箇所に伝送し、
    前記複数箇所それぞれで前記デジタル光回線網からPCM変調信号を受信し、
    前記複数箇所それぞれで前記デジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信し、
    前記複数箇所それぞれで前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、
    前記複数箇所それぞれで生成した前記基準クロックを用いて受信したPCM変調信号をPCM復調してOFDM変調信号を得て、放送機から前記同一サービスエリアに送信することを特徴とするOFDM変調信号伝送方法。
  2. OFDM変調信号を複数箇所の放送機から同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するためのOFDM変調信号伝送方法において、
    ATM網から供給されるネットワーククロックを受信し、
    前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、
    OFDM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM変調し、
    前記PCM変調で得たPCM変調信号をATMセルに組み立てて前記ATM網により複数箇所に伝送し、
    前記複数箇所それぞれで前記ATM網から受信したATMセルを分解してPCM変調信号を得、
    前記複数箇所それぞれで前記ATM網から供給されるネットワーククロックを受信し、
    前記複数箇所それぞれで前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成し、
    前記複数箇所それぞれで生成した前記基準クロックを用いて前記PCM変調信号をPCM復調してOFDM変調信号を得て、放送機から前記同一サービスエリアに送信することを特徴とするOFDM変調信号伝送方法。
  3. 送信側はOFDM変調信号をPCM変調しデジタル光回線網を介して複数箇所の受信側に送信し、前記複数箇所の受信側は受信しPCM復調したOFDM変調信号を同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するOFDM変調信号伝送システムで用いられる送信側装置であって、
    前記デジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信するネットワーククロック受信手段と、
    前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成する基準クロック生成手段と、
    OFDM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM変調するPCM変調手段と、
    前記PCM変調手段で得たPCM変調信号を前記デジタル光回線網に送出する信号送出手段を
    有することを特徴とする送信側装置。
  4. 送信側はOFDM変調信号をPCM変調しデジタル光回線網を介して複数箇所の受信側に送信し、前記複数箇所の受信側は受信しPCM復調したOFDM変調信号を同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するOFDM変調信号伝送システムで用いられる受信側装置であって、
    前記デジタル光回線網からPCM変調信号を受信する受信手段と、
    前記デジタル光回線網から供給されるネットワーククロックを受信するネットワーククロック受信手段と、
    前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成する基準クロック生成手段と
    生成した前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを用いて受信したPCM変調信号をPCM復調してOFDM変調信号を得るPCM復調手段と、
    PCM復調した前記OFDM変調信号を同一サービスエリアに送信する放送機を
    有することを特徴とする受信側装置。
  5. 送信側はOFDM変調信号をPCM変調しATM網を介して複数箇所の受信側に送信し、前記複数箇所の受信側は受信しPCM復調したOFDM変調信号を同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するOFDM変調信号伝送システムで用いられる送信側装置であって、
    前記ATM網から供給されるネットワーククロックを受信するネットワーククロック受信手段と、
    前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成する基準クロック生成手段と、
    OFDM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM変調するPCM変調手段と、
    前記PCM変調で得たPCM変調信号をATMセルに組み立てて前記ATM網に送出するATMセル送出手段を
    有することを特徴とする送信側装置。
  6. 送信側はOFDM変調信号をPCM変調しATM網を介して複数箇所の受信側に送信し、前記複数箇所の受信側は受信しPCM復調したOFDM変調信号を同一サービスエリアに送信して単一周波数網を構成するOFDM変調信号伝送システムで用いられる受信側装置であって、
    前記ATM網から受信したATMセルを分解してPCM変調信号を得るATMセル分解手段と、
    前記ATM網から供給されるネットワーククロックを受信するネットワーククロック受信手段と、
    前記ネットワーククロックに同期した基準クロックを生成する基準クロック生成手段と、
    前記PCM変調信号を、生成した前記基準クロックを用いてPCM復調してOFDM変調信号を得るPCM復調手段と、
    PCM復調した前記OFDM変調信号を同一サービスエリアに送信する放送機を
    有することを特徴とする受信側装置。
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