JP3539522B2 - 直交周波数分割多重信号の伝送方法ならびにその送信装置および受信装置 - Google Patents
直交周波数分割多重信号の伝送方法ならびにその送信装置および受信装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重(Orthogonal FrequencyDivision Multiplexing;以下、OFDMと称す)伝送方法に関し、より特定的には、有線または無線の伝送路を介し、送信側と受信側との間で、所定長のシンボルと当該シンボル間に配置された所定長のガードタイムとを含む直交周波数分割多重信号を用いてデータを伝送する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のごとく、OFDM伝送方式は、符号化したデータを分割して、数百以上の搬送波に振り分け、これを多重して伝送する方式である。近年、移動体向けディジタル音声放送や、地上ディジタルテレビ放送等において、OFDM信号を用いた通信が着目されている。なぜならば、OFDM信号は、多量のデータの高速伝送が可能で、波形等価器なしでも反射波による特性劣化が少なく、その信号波形がランダム雑音に近い形となるので、他のサービスに混信妨害を与えにくい等の特質を有しているからである。
【0003】
このようなOFDM信号を用いた伝送方式は、1993年10月1日付け発行のNIKKEI ELECTRONICS BOOKS「データ圧縮とディジタル変調」の第207〜222頁において、郵政省,通信総合研究所の福地一により書かれた「数百以上の搬送波を使うOFDMディジタル放送の移動受信に向く」に開示されている。
【0004】
図13は上記先行文献に開示された従来のOFDM信号の送信装置の構成を示すブロック回路図であり、図14は図13の送信装置から送信されるOFDM信号の構成を示す図である。図13において、送信装置5は、直並列変換器52と、逆フーリエ変換器53と、並直列変換器54と、D/A変換器55と、ローパスフィルタ56とを備える。なお、図14において、(a)はOFDM信号の直接波を示し、(b)はOFDM信号の反射波を示し、(c)はOFDM信号の合成波を示し、(d)は時間窓Wを示している。
【0005】
送信装置5の直並列変換器52には、入力シンボル列が供給されている。入力シンボル列は、ディジタル変調された送信データであり、1伝送シンボル中には複数のデータ値が含まれている。なお、ディジタル変調方式としては、QPSK(quadriphase phase shift keying)変調や、16QAM(quadrature amplitude modulation)等が採用される。直並列変換器52は、入力シンボル列を、1シンボル毎に、直並列変換して、より低速な複数のシンボル列にする。ここでの並列度は、逆フーリエ変換回路53で使用する複数の搬送波(相互に位相が直交している)の数(数十〜数千、たとえば512)と同じになる。このような操作により、直並列変換器52は、逆フーリエ変換回路53で使用する複数の搬送波のそれぞれの振幅および位相を決定するための搬送波変調信号群を出力する。
【0006】
逆フーリエ変換回路53は、搬送波変調信号群を、1シンボル毎に、周波数軸上に並ぶ各搬送波に割り当て(これによって、1シンボル分のデータが周波数軸上で多重された信号となる)、これらに対して一括的に逆フーリエ変換を施すことにより、時間軸上の多重信号(この段階では、並列のディジタル信号である)に変換する。
【0007】
並直列変換器54は、時間軸上の多重信号を並直列変換することにより、離散的なOFDM信号を生成する。D/A変換回路55は、離散的なOFDM信号を、アナログのOFDMベースバンド信号に変換する。ローパスフィルタ56は、エイリアシングによるチャネル間干渉が生じないようにするため、OFDMベースバンド信号に帯域制限をかける。
【0008】
上記のような一連の操作の結果、送信装置5は、伝送路に対し、図14に示すようなガードタイムGm とシンボルSm とを含むOFDM信号を出力する。図示しない復調装置は、伝送路を介して受信したOFDM信号に対して変調装置5と逆の信号処理を行い、入力シンボル列と同じ出力シンボル列を再生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、伝送路上では、いわゆるマルチパスが発生する。このため、受信装置側では、送信装置から送信されてきたOFDM信号の直接波と、直接波から時間遅延した反射波とを重なって受信する。シンボルSm を例にとると、直接波(図14(a)参照)にマルチパスによる反射波(図14(b)参照)が重なった場合、合成波(図14(c)参照)のシンボルSm の前端部に反射波のガードタイムGm との干渉部αm が生じ、ガードタイムGm の前端部に反射波のシンボルSm-1 との干渉部βm が生じる。このとき、干渉部βm は、時間窓Wからはずれているため、シンボルSm のフーリエ変換には影響を及ぼさない。しかしながら、干渉部αm は、時間窓W内に生じ、かつガードタイムGm のデータ成分が「0」であるため、フーリエ変換後の各シンボルSm の周波数軸上のデータ成分に波形歪みを生じるという第1の問題点があった。
【0010】
また、伝送路の遅延特性や、送信側のD/A変換器および受信側のA/D変換器のクロックが一致していないことに起因してサンプリングのタイミングにずれが生じる等の理由から、送信装置から受信装置に到達するまでの間に、OFDM信号に時間遅延が発生する。このため、受信装置では、時間窓Wを時間軸上で調整する必要があるという第2の問題点もあった。
【0011】
また、直並列変換器52から出力される搬送波変調信号群は、その位相が相互に異なっているだけでなく、その位相がすべて同一の場合もありうる。例えば、ディジタル音声放送では無音状態を1シンボル期間を超えて送信する場合に、地上ディジタルテレビ放送では一色の映像を1シンボル期間を超えて送信する場合に、搬送波変調信号群の位相がすべて同一になる。また、有音状態を送信する場合や、多色の映像を送信する場合においても、QPSK変調や、16QAM等のようなディジタル変調方式では、位相の異なる信号点の配点数が限られるため、搬送波変調信号群の位相がすべて同一になりやすい。
【0012】
このように、搬送波変調信号群の位相がすべて同一になった場合、この搬送波変調信号群を逆フーリエ変換すると、時間軸上で各搬送波の節が一致し、加算増加箇所が時間軸上で一箇所に集中するため、時間軸上のOFDM信号の信号波形がインパルス状になり、電力集中が生じる。この様子を図15に示す。
【0013】
図15(a)は、相互に直交するn本の搬送波をそれぞれ変調するn個の搬送波変調信号群の複素平面上での位相がすべて同一の場合を示している。図15(b)は、図15(a)のn個の搬送波変調信号群で変調されたn本の搬送波を時間軸上で多重した状態を示している。このように搬送波変調信号群の位相がすべて同一の場合には、OFDM信号は、インパルス状の波形信号になる。なお、図15(c)は、相互に直交するn本の搬送波をそれぞれ変調するn個の搬送波変調信号群の複素平面上での位相がランダムな場合を示している。また、図15(d)は、図15(c)のn個の搬送波変調信号群で変調されたn本の搬送波を時間軸上で多重した状態を示している。このように、搬送波変調信号群の位相がすべて異なる場合には、OFDM信号は、時間軸上に平均的に拡散され、ランダム状の波形信号になる。
【0014】
上記のように、搬送波変調信号群の位相がすべて同一になった場合、OFDM信号がインパルス状になり、最大電力が極端に大きくなるため、OFDM信号は、送受信装置や伝送路に含まれる中継増幅器(衛星やCATVなど)等の非線形性の影響を受けやすくなるという第3の問題点もあった。この場合、OFDM信号がインパルス状になっても、非線形性の影響を与えないように、送受信装置や中継増幅器等のダイナミックレンジを大きくすることも考えられるが、送受信装置や中継増幅器等が高価になるという別の問題が発生する。
【0015】
それ故に、本発明の目的は、マルチパスにより反射波が直接波に重なった場合でも、フーリエ変換後の各シンボルの周波数軸上のデータ成分に波形歪みを生じないOFDM信号の伝送方法ならびにその送信装置および受信装置を提供することである。
本発明の他の目的は、送信側から受信側に到達するまでの間に、OFDM信号に時間遅延が発生しても、時間窓の時間軸上での調整が容易なOFDM信号の伝送方法ならびにその送信装置および受信装置を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、安価な構成で、OFDM信号に対する非線形性の影響を軽減したOFDM信号の伝送方法ならびにその送信装置および受信装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明の第1の局面は、有線または無線の伝送路を介し、送信側から受信側に対して、所定長のシンボル毎に直交周波数分割多重信号を伝送する方法に向けられており、
周波数軸上で互いに直交する複数のキャリアの位相と振幅とを決定する搬送波変調信号群をシンボル毎に逆フーリエ変換することにより、時間軸上の直交周波数分割多重信号に変換する第1のステップと、
直交周波数分割多重信号の各シンボルに対し、その前部にその後端部と同じデータを含む前部ガードタイムを付加するとともに、その後部にその前端部と同じデータを含む後部ガードタイムを付加して、受信側に送信する第2のステップとを備えている。
【0017】
上記のように、第1の局面では、OFDM信号の各シンボルを送信する際に、各シンボルの前部および後部に、そのシンボルの一部と同じデータを含む前部ガードタイムおよび後部ガードタイムを付加するようにしているので、受信側では、フーリエ変換時における時間窓が受信信号のシンボル区間から多少ずれても、時間軸上に並ぶ1シンボル区間内のすべてのデータ成分を再生することができる。従って、送信側から受信側に到達するまでの間に、OFDM信号に時間遅延が発生しても、時間窓をシンボル区間に正確に一致させる必要がなくなり、時間窓の時間軸上での調整が容易になる。また、マルチパスにより直接波のシンボル区間と反射波のガードタイムとが重なっても、受信側でフーリエ変換後の周波数軸上に現れる各データ成分の振幅位相歪みは、各シンボル間ですべて一様なものとなる。したがって、簡単な演算処理(乗算、加算等)によって、受信側での1シンボル区間の周波数軸上のデータ成分から、容易にそれらの波形歪みを除去することが可能となる。
【0018】
上記第1の局面において、好ましい実施形態では、搬送波変調信号群と基準複素数信号群とを周波数軸上で複素乗算し、この複素乗算結果をOFDM信号に変換して、受信側に伝送するようにしている。また、受信側では、送信側から送信されてきたOFDM信号を受信搬送波変調信号群に変換し、この受信搬送波変調信号群を、基準複素数信号群により、周波数軸上で複素除算するようにしている。これによって、送信側と受信側との間でOFDM信号に時間遅延が発生しても、受信側で時間遅延の影響のない復調データを得ることができる。
【0019】
なお、搬送波変調信号群に複素乗算される基準複素数信号群としては、搬送波変調信号群の各シンボルについて、その一定シンボル前に複素乗算した結果を用いても良い。
【0020】
また、予め定められた特定パターンを有し、かつ各信号の位相がランダムに変化している複素数信号群を、基準複素数信号群として用いても良い。ただし、この場合、常時は第3のステップで得られた複素乗算結果がOFDM信号に変換され、定期的に基準複素数信号群がOFDM信号に変換される。これによって、搬送波変調信号群の各信号の絶対基準位相がランダムな値になり、逆フーリエ変換によって得られたOFDM信号に電力の時間集中がおこるのを抑制できる。従って、送信装置、受信装置および伝送路のダイナミックレンジを大きくする必要がなく、安価な構成で、送受信器や中継増幅器等の非線形性がOFDM信号に与える影響を軽減することができる。
【0021】
本発明の第2の局面は、有線または無線の伝送路を介し、受信側に、所定長のシンボル毎に直交周波数分割多重信号を送信する装置に向けられており、
基準複素数信号群を記憶するメモリ手段と、
周波数軸上で互いに直交する複数のキャリアの位相と振幅とを決定する搬送波変調信号群と、メモリ手段に記憶された基準複素数信号群とを周波数軸上で複素乗算し、送信搬送波変調信号群を出力する複素乗算手段と、
複素乗算手段から出力される送信搬送波変調信号群に対して、各シンボル毎に逆フーリエ演算を施すことにより、当該送信搬送波変調信号群を、時間軸上の直交周波数分割多重信号に変換する逆フーリエ変換手段と、
逆フーリエ変換手段から出力される直交周波数分割多重信号の各シンボルに対し、その前部にその後端部と同じデータを含む前部ガードタイムを付加するとともに、その後部にその前端部と同じデータを含む後部ガードタイムを付加するガードタイム付加手段と、
前部ガードタイムおよび後部ガードタイムの付加された直交周波数分割多重信号を、各シンボル毎に受信側に送信する送信手段とを備えている。
【0022】
上記第2の局面において、好ましい実施形態では、メモリ手段は、複素乗算手段の一定シンボル前の複素乗算結果を、基準複素数信号群として記憶している。
【0023】
上記第2の局面において、他の好ましい実施形態では、メモリ手段は、予め定められた複素数信号群を、基準複素数信号群として記憶する。また、複素乗算手段は、搬送波変調信号群と、メモリ手段に記憶された基準複素数信号群とを周波数軸上で複素乗算して出力する。さらに、逆フーリエ変換手段は、常時はシンボル毎に複素乗算手段から出力された複素乗算結果を直交周波数分割多重信号に変換し、定期的にメモリ手段から出力された基準複素数信号群を直交周波数分割多重信号に変換する。
【0024】
上記第2の局面において、メモリ手段は、基準複素数信号群として、疑似雑音信号を発生する疑似雑音信号発生手段の出力を保持しても良いし、周波数掃引信号を発生する周波数掃引信号発生手段の出力を保持しても良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るOFDM信号の伝送方法ならびその送信装置および受信装置について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は本発明の第1の実施形態の送信装置を示すブロック図であり、図2は本発明の第1の実施形態の受信装置の構成を示すブロック図であり、図3は本発明で用いるOFDM信号の構成の一例を示す図である。なお、図3において、(a)はOFDM信号の直接波を示し、(b)はOFDM信号の反射波を示し、(c)は時間遅延が生じた場合のOFDM信号の直接波を示し、(d)は時間遅延が生じた場合のOFDM信号の反射波を示し、(e)は時間窓Wを示している。
【0029】
図1の送信装置1と、図2の受信装置2とは、同軸ケーブルや、光ファイバケーブル等の伝送路(図示せず)で接続されている。このような送信装置1および受信装置2は、たとえばディジタルCATVシステムにおいて用いられる。送信装置1は、OFDM信号を用い、受信装置2に対して、たとえばテレビの多チャンネル分の映像データを伝送するように構成されている。
【0030】
図1において、送信装置1は、搬送波変調信号発生器12と、複素乗算器13と、メモリ14と、逆フーリエ変換器15と、ガードタイム挿入部16と、同期信号多重部17と、D/A変換器18と、ローパスフィルタ19とを備えている。
【0031】
送信装置1の搬送波変調信号発生器12には、受信装置2に送信すべき送信ディジタルデータ(ビットストリーム信号)が入力されている。搬送波変調信号発生器12は、入力された送信ディジタルデータを、ディジタル変調すると共に、1シンボル区間毎に直並列変換し、相互に直交するn本(n=数十〜数千、たとえば512)の搬送波を変調するためのn個の搬送波変調信号を含む搬送波変調信号群に変換する。なお、ディジタル変調方式としては、QPSK変調や、16QAM等が採用される。この段階での搬送波変調信号群は、従来の直並列変換器52(図13参照)から出力される搬送波変調信号群と同様である。搬送波変調信号発生器12から出力される搬送波変調信号群は、複素乗算器13に与えられる。メモリ14は、複素乗算器13から出力される搬送波変調信号群D’m を1シンボル分記憶することができる。また、メモリ14は、複素乗算器13に搬送波変調信号群Dm が入力されたときに、内部に記憶している1シンボル前の搬送波変調信号群D’m-1 を、所定の基準複素数信号群として、複素乗算器13に出力する。複素乗算器13は、入力された送信信号群Dm と、1シンボル前の基準複素数信号群D’m-1 とを、周波数軸上で、複素乗算することにより、搬送波変調信号群
D’m (D’m =Dm ×D’m-1 )
を作成する。
【0032】
より具体的に説明すると、複素乗算器13に入力された搬送波変調信号群(n個の搬送波変調信号を含む)のうち、k(k=1,2,…,n)番目の搬送波変調信号の実数部をDm [k]realとし、その虚数部をDm [k]imagとし、メモリ14に記憶したk番目の搬送波変調信号の実数部をD’m-1 [k]realとし、その虚数部をD’m-1 [k]imagとした場合、複素乗算器13は、各搬送波変調信号の実数部および虚数部それぞれについて、乗算処理を行い、
D’m [k]real=Dm [k]real×D’m-1 [k]real
D’m [k]imag=Dm [k]imag×D’m-1 [k]imag
を出力する。メモリ14は、複素乗算器13から出力された実数および虚数の搬送波変調信号D’m (D’m [k]realおよびD’m [k]imagを含む)を記憶保持する。図4に示すように、メモリ14および複素乗算器13は、上記のような動作を繰り返し実行する。
【0033】
逆フーリエ変換器15は、複素乗算器13から出力される搬送波変調信号群D’m 中のそれぞれの搬送波変調信号を、シンボル区間毎に、順次周波数軸上に並ぶ各搬送波に割り当て、これらに対して一括的に逆フーリエ変換を施し、さらに並直列変換を行うことにより、周波数軸上で各データ成分が多重された搬送波変調信号群を、時間軸上で各データ成分が多重されたOFDM信号D’mtに変換する。
【0034】
ガードタイム挿入部16は、逆フーリエ変換器15から出力されるディジタルのOFDM信号D’mtを、各シンボル区間毎に、一旦、内部のバッファに蓄える。次に、ガードタイム挿入回路16は、各シンボルSm に対して、その前部に前部ガードタイムGhmを、その後部に後部ガードタイムGemを、それぞれ付加する(図3参照)。なお、前部ガードタイムGhmの時間長tg1および後部ガードタイムGemの時間長tg2は、それぞれ伝送路で発生するマルチパスによる直接波と間接波との時間差および送信装置1のD/A変換器18と受信装置2のA/D変換器22との間のサンプリングのずれによる時間遅延を考慮して定められる。また、前部ガードタイムGhmには、対応するシンボルSm の後端部Semと同じデータD’emt が含められ、後部ガードタイムGemには、対応するシンボルSm の前端部Shmと同じデータD’hmt が含められる。これにより、実質的なシンボル長が、tg1+ts+tg2に延長されることになる。ガードタイム挿入部16は、前部ガードタイムGhm、シンボルSm 、後部ガードタイムGemを使用して、データD’emt 、D’m 、D’hmt を順次出力する。
【0035】
同期信号多重部17は、シンボルの区切りを示すため、シンボル毎に、同期信号を、ガードタイムの付加されたOFDM信号に時間軸上で多重し、D/A変換器18に出力する。同期信号は、たとえば、図5(a)に示すようにOFDM信号に対し、周期的に既知の無変調搬送波と抑圧信号等とから構成する。
【0036】
D/A変換器18は、同期信号多重部17から出力される、ガードタイムおよび同期信号が付加されたディジタルデータのOFDM信号を、アナログのOFDMベースバンド信号に変換する。ローパスフィルタ19は、エイリアシングによるチャネル間干渉が生じないようにするため、OFDMベースバンド信号に帯域制限をかける。
【0037】
上記のような一連の操作の結果、送信装置1は、伝送路に対して、ガードタイムおよび同期信号を含むOFDM信号を出力する。
【0038】
図2において、受信装置2は、ローパスフィルタ21と、A/D変換器22と、エンベロープ検波器23と、同期再生部24と、フーリエ変換器25と、メモリ26と、複素除算器27と、送信データ再生器28とを備えている。
【0039】
ローパスフィルタ21は、伝送路を介して受信したOFDM信号から、不要な高周波域のスペクトル成分を除去する。
【0040】
ここで、マルチパスや伝送路の遅延特性等による時間遅延Δtを考慮し、受信装置2において受信したOFDM信号をZD’mtとする。なお、Zは、
Z=expj2πfcΔt
であり、信号の遅延分を表している。
【0041】
A/D変換器22は、アナログのOFDM信号の前部ガードタイムGhm、シンボルSm 、後部ガードタイムGemにそれぞれ含まれるデータZD’emt 、ZD’mt、ZD’hmt を、ディジタルのOFDM信号に変換する。
【0042】
エンベロープ検波器23は、OFDM信号をエンベロープ検波することにより、図5(b)に示すエンベロープ検波信号を、シンボル毎に出力する。同期再生部24は、エンベロープ検波器23から出力されたエンベロープ検波信号に基づいて、図5(c)に示す基準タイミング信号を、シンボル毎に出力する。この基準タイミング信号は、フーリエ変換器25およびメモリ26に入力される。
【0043】
フーリエ変換器25は、基準タイミング信号に同期して、A/D変換器22から出力されるOFDM信号を、シンボル長tsと同じ長さの時間窓W(図3(e)参照)を介して覗くことにより、各シンボルの必要なデータ部分だけを抽出する。また、フーリエ変換器25は、この抽出されたデータ部分に対して、フーリエ変換演算を施すことにより、時間軸上のOFDM信号を、周波数軸上の受信搬送波変調信号群に変換する。
【0044】
メモリ26は、フーリエ変換器25から出力される受信搬送波変調信号群を、1シンボル分記憶する。ここで、送信装置1からデータD’m が送られてきた場合、メモリ26には、それに対応するデータとして、データZD’m が格納されることになる。データZD’m は、データD’m にマルチパスや伝送路等によって生じた時間遅延分Zを加えたものである。すなわち、
ZD’m =D’m ×expj2πfcΔt
となる。メモリ26は、基準タイミング信号に同期して、データZD’m を複素除算器27に出力する。複素除算器27は、同期を確立した上で、フーリエ変換器25から出力されるシンボルSm+1 のデータZD’m+1 を、メモリ26に保持されているデータZD’m によって複素除算する。すなわち、複素除算器27は、
ZD’m+1 /ZD’m =D’m+1 /D’m =Dm+1
の演算を行う。図6に示すように、フーリエ変換器25、メモリ26および複素除算器27は、上記のような動作を繰り返し実行する。
【0045】
前述したように、マルチパスに起因して、図3(a)に示す直接波と図3(b)に示す反射波との間に、相対的な時間遅延が生じる。また、送信装置1のD/A変換器18と受信装置2のA/D変換器22とにおけるサンプリングタイミングが異なることに起因して、直接波および反射波にそれぞれ固有の時間遅延が発生する(図3(c)および図3(d)参照)。フーリエ変換器25において、基準タイミング信号は、これらの時間遅延を考慮していないため、図3(e)に示すように、時間軸上における受信側の時間窓Wの位置は、受信信号のシンボル区間からずれている。
【0046】
しかしながら、受信側のフーリエ変換器25で、時間窓Wが正確なシンボル区間からずれていても、前部ガードタイムGhmおよび後部ガードタイムGemには、それぞれデータZD’emt およびZD’hmt が含まれているため、時間窓Wを介して覗いたデータには、1シンボル区間に本来含まれるべき時間軸上のすべてのデータZD’mtが含まれていることになる。このため、この時間遅延および反射波の重なりは、周波数軸上において各データ成分毎に一様な振幅位相歪みとなって現れる。また、時間遅延および反射波の特性が一様であれば、各シンボル区間毎に振幅位相歪みの大きさは等しくなる。本実施形態では、複素除算器27は、フーリエ変換器25から出力されたシンボルSm+1 のデータZD’m+1 を、メモリ26に保持されているデータZD’m で複素除算することにより、データの遅延分Zをキャンセルし、遅延の無い元の搬送波変調信号群Dm+1 を得ている。すなわち、複素除算器27が、
ZD’m+1 /ZD’m =D’m+1 /D’m =Dm+1
の演算を行うことにより、振幅位相歪みは打ち消されることとなり、各シンボルについて、位相・振幅歪みのないデータDm が得られる。
【0047】
以上のように、上記実施形態では、各シンボルの前後にそのシンボルの後端部および前端部と同じデータを含むガードタイムを付加して送信するようにしているので、受信側では、時間窓W内に直接波および反射波の両方について、時間軸上に並ぶ1シンボル区間内のすべてのデータ成分を再生することができる。このため、マルチパスにより反射波が直接波に重なり、直接波のシンボル区間と反射波のガードタイムとが重なっても、フーリエ変換後に周波数軸上に現れる各データ成分の振幅位相歪みは、すべて一様なものとなる。したがって、送信側および受信側で適当な演算処理(乗算、除算)を実行することで、1シンボル区間の周波数軸上の受信搬送波変調信号群から、容易に波形歪みを除去することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、送信側と受信側との間で、OFDM信号に時間遅延が発生しても、周波数軸上で受信搬送波変調信号群を所定の基準複素数信号群で複素乗算、複素除算することにより、時間遅延のない復調データを得ることができる。その結果、時間窓をシンボル区間に正確に一致させる必要がなくなる。
【0049】
送信データ再生器28は、複素除算器27から出力された受信搬送波変調信号群Dm の信号点を複素平面上にマッピングし、信号点を判定することにより、送信装置1の送信ディジタル信号群と同値の受信ディジタル信号群を得る。前述したように、受信搬送波変調信号群Dm からは、位相歪みや振幅歪みが除去されている。したがって、送信データ再生器28は、複素平面上へのマッピング位置から、正確かつ容易に元のデータを判定することができる。
【0050】
なお、本願発明者は、計算機を使用して、マルチパスによる遅延波の影響と、時間軸遅延の影響とについて、従来のシステムと本実施形態のシステムとを比較するシミュレーションを行った。なお、このシミュレーションは、キャリア数が512本、256番目のキャリアのデータだけが振幅「1」,位相「0」、他のキャリアのデータはすべて「0」を条件として実施された。
【0051】
図7は、マルチパスによる遅延波の影響について、従来のシステムと本実施形態のシステムとを比較したシミュレーション結果を示す図である。なお、図7において、(a),(b),(c),(d)は、それぞれ、従来のシステムにおける直接波,間接波,合成波,合成波をフーリエ演算することにより周波数軸上の信号に変換した場合のデータ歪みを示している。また、図7において、(e),(f),(g),(h)は、それぞれ、本実施形態のシステムにおける直接波,間接波,合成波,合成波をフーリエ演算することにより周波数軸上の信号に変換した場合のデータ歪みを示している。
【0052】
従来のシステムでは、ガードタイムにいかなるデータも挿入されていないため(図7(b)のα1参照)、合成波の時間窓W中に干渉部α2が発生している(図7(c)参照)。したがって、合成波を時間窓Wでフーリエ演算することにより周波数軸上の信号に変換すると、図7(d)に示すように、256番目のキャリアのデータのスペクトルが拡がるとともに、他のキャリアの本来「0」であったはずのデータに歪みが生じる。したがって、送信データ再生器28で誤判定が起き易くなる。さらに、他のキャリアについても、送信データ再生器28で誤判定が起き易くなる。一方、本実施形態のシステムでは、ガードタイムにデータが挿入されているので、他のキャリアのデータに影響を及ぼさない。
【0053】
図8は、伝送路等による時間遅延の影響について、従来のシステムと本実施形態のシステムとを比較したシミュレーション結果を示す図である。図8において、(a)は256番目のキャリアのデータだけが振幅「1」,位相「0」の場合のスペクトルを示し、(b)は(a)のデータを逆フーリエ演算することにより時間軸上の信号に変換した場合の信号波形を示している。また、図8において、(c),(d)は、それぞれ、従来のシステムにおける時間遅延を生じた合成波,合成波をフーリエ演算することにより周波数軸上の信号に変換した場合のデータ歪みを示している。また、図8において、(e),(f)は、それぞれ、本実施形態のシステムにおける時間遅延を生じた合成波,合成波をフーリエ演算することにより周波数軸上の信号に変換した場合のデータ歪みを示している。
【0054】
従来のシステムでは、ガードタイムにいかなるデータも挿入されていないため(図8(c)のα1参照)、図7(c)の場合と同様に、合成波の時間窓W中に干渉部α2が発生する。したがって、図8(d)に示すように、合成波を時間窓Wでフーリエ演算することにより周波数軸上の信号に変換すると、256番目のキャリアのデータのスペクトルが拡がるとともに、他のキャリアの本来「0」であったはずのデータに歪みが生じる。したがって、他のキャリアについても、送信データ再生器28で誤判定が起こり易くなる。一方、本実施形態では、ガードタイムにデータが挿入されているので、他のキャリアのデータに影響を及ぼさない。
【0055】
図9は、本発明の第2の実施形態の送信装置の構成を示すブロック図である。なお、図9の送信装置3において、図1の送信装置1の構成と対応する部分には、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。図9の実施形態で注目すべき点は、メモリ14が、特定パターン発生器31の出力、すなわち、予め定められた特定パターンを有し、かつ各信号の位相が相互にランダムに変化している複素数信号群D0 を保持していることである。このような複素数信号群D0 は、たとえば0〜1の間のレベルの疑似ランダム信号を発生するPN系列疑似ランダム信号発生器と、この疑似ランダム信号と2πとを乗算する乗算器とを備え、位相が0から2π間でランダムな値を持ち、かつ振幅が1の単位ベクトル信号を生成する疑似雑音信号発生器により形成することができる。また、このような複素数信号群は、位相が0から2πまでのランダムな値を持った既知の周波数掃引信号を発生する、周波数掃引信号発生器により形成することもできる。
【0056】
複素乗算器13は、各シンボル区間のデータDm が入力される毎に、データDm とデータD0 とを周波数軸上で複素乗算して、データD’m (D’m =Dm ×D0 )を作成し、搬送波変調信号群中の各搬送波変調信号の相互の位相を特定パターンにランダム化する。
【0057】
図10は、複素乗算器13における複素乗算の動作を示す図である。特に、図10(a)は変調方式に16値QAMを用いた場合の搬送波変調信号の取り得る信号点配置を示し、図10(b)は位相がランダムに変化する単位ベクトルiを示し、図10(c)は位相を特定パターンにランダム化された搬送波変調信号を示している。
【0058】
図10(a)において、今、一つの搬送波に割り当てられる搬送波変調信号群中の一つの搬送波変調信号が、複素平面上の信号点Aに配点されたと仮定する。信号点Aは、その実数部が3、その虚数部が1の大きさを持つ。また、単位ベクトルiは、この時、位相角3π/4を持ったと仮定する。複素乗算の結果、図10(c)に示す搬送波変調信号A’が得られる。搬送波変調信号A’は、実数部が−2.8、虚数部が1.4となり、16値QAMの配置にはない信号点をとることになる。このように、単位ベクトルiの位相がランダムに変化するため、搬送波変調信号発生器12から出力された搬送波変調信号群中の各搬送波変調信号の位相が、たとえ同一であっても、複素乗算器13は、位相が相互にランダム化された搬送波変調信号群を、逆フーリエ変換器15に出力する。
【0059】
複素乗算器13は、このような動作を所定の期間繰り返す。また、複素乗算器13は、定期的にデータD0 だけを出力する。この時の一連の動作を、図11に示す。すなわち、データD0 が挿入されるシンボルをS0 とすると、送信装置3は、図12に示すように、定期的にシンボルS0 のデータD0 を、その他の場合はシンボルSm のデータD’m を出力することになる。逆フーリエ変換器15は、搬送波変調信号群D’m を、シンボル毎に、周波数軸上に並ぶ各搬送波に割り当て、これらに対して一括的に逆フーリエ変換および並直列変換を施すことにより、ディジタルのOFDM信号に変換する。この結果、搬送波変調信号群の絶対基準位相が、0から2πまでのランダムな値になり、逆フーリエ変換器15から出力されたOFDM信号に電力集中が起こるのを抑制できる。したがって、送信装置、受信装置のダイナミックレンジを大きくする必要がなく、安価な構成で、OFDM信号への送受信器や中継増幅器等の非線形性からの影響を軽減することができる。送信装置3における他の回路ブロック、すなわちガードタイム挿入部16〜ローパスフィルタ19は、送信装置1の場合と同様に動作する。
【0060】
なお、ガードタイム挿入部16は、シンボルSm の場合と同様に、シンボルS0 の後端部と同じデータ成分D0 を対応する前部ガードタイムに挿入するとともに、シンボルS0 の前端部と同じデータ成分を対応する後部ガードタイムに挿入している。
【0061】
図9に示す送信装置3を用いた場合、基本的には、図2に示す受信装置2と同じ構成の受信装置を用いることができる。ただし、受信装置のメモリ26には、送信装置3のメモリ14に記憶される基準複素数信号群D0 の受信データZD0 を記憶させることになる。
【0062】
上記した図9の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、マルチパスにより反射波が直接波に重なり、直接波のシンボル区間と反射波のガードタイムとが重なっても、フーリエ変換後に周波数軸上に現れる受信搬送波変調信号群の振幅位相歪みがすべて一様なものとなり、その除去を簡単な演算処理(乗算、除算)で行える。また、送信側と受信側との間でOFDM信号に時間遅延が発生しても、時間遅延の影響のない復調データを得ることができ、時間窓の時間軸上の調整が容易になる。
【0063】
なお、上述の各実施形態は、有線の伝送路を介してデータを伝送するようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、無線の伝送路を介してデータを伝送するようにしてもよい。また、上述の各実施形態では、多チャンネル分のテレビの映像データを各搬送波に乗せるようにしたが、1チャンネル分の映像データを時間分割して並列に並び替え、各搬送波に割り当てるようにしてもよい。さらに、映像データに替えて、音声データ、テキストデータ等を各搬送波にのせるようにしてもよい。さらに、CATVに替えて、LAN、WAN等の他のシステムにおいて本発明を実施してもよい。
【0064】
さらに、図9の送信装置3では、メモリ14から出力された基準複素数信号群を、定期的に、複素乗算器13を介して逆フーリエ変換器15に入力するようにしたが、基準複素数信号群を、逆フーリエ変換器15に直接入力してもよい。
【0065】
さらに、図9の送信装置3では、搬送波変調信号群に含める基準複素数信号群として、予め定められた特定パターンを有し、かつその位相が相互にランダムに変化している複素数信号群D0 を使用したが、OFDM信号に生じる電力集中が生じないような状況下では、搬送波変調信号群に含める基準複素数信号群として、予め定められた特定パターンを有し、かつ各信号の位相が相互に同一の複素数信号群を使用しても良い。この場合でも、第1の実施形態と同様、簡単な演算処理(乗算、除算)を行うことで、振幅位相歪みを除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の送信装置1から送信されるOFDM信号の構成を示す図である。
【図4】図1のメモリ14と、複素乗算器13との動作を示す図である。
【図5】図1の送信装置1から出力されたOFDM信号に対する受信装置2のエンベロープ検波器23と同期再生部24との動作を示す図である。
【図6】図2のメモリ26と、複素除算器27との動作を示す図である。
【図7】マルチパスによる遅延波の影響について、従来のシステムと第1の実施形態のシステムとを比較したシミュレーション結果を示す図である。
【図8】伝送路等による時間遅延の影響について、従来のシステムと第1の実施形態のシステムとを比較したシミュレーション結果を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の送信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図9の複素乗算器13における搬送波変調信号群と複素数信号群との複素乗算の様子を示す図である。
【図11】図9のメモリ14と複素乗算器13との動作を示す図である。
【図12】図9のOFDM信号の送信装置から送信されるOFDM信号の構成を示す信号構成図である。
【図13】従来のOFDM信号の送信装置の構成を示すブロック図である。
【図14】図13の送信装置5から送信されるOFDM信号の構成を示す図である。
【図15】相互に直交する搬送波に割り当てられた搬送波変調信号群の位相状態とOFDM信号との関係を示す信号波形図である。
【符号の説明】
1,3…送信装置
12…搬送波変調信号発生器
13…複素乗算器
14…メモリ
15…逆フーリエ変換器
16…ガードタイム挿入部
17…同期信号多重部
18…D/A変換器
19…ローパスフィルタ
31…特定パターン発生器
2…受信装置
21…ローパスフィルタ
22…A/D変換器
23…エンベロープ検波器
24…同期再生部
25…フーリエ変換器
26…メモリ
27…複素除算器
28…送信データ再生器
Claims (10)
- 有線または無線の伝送路を介し、送信側から受信側に対して、所定長のシンボル毎に直交周波数分割多重信号を伝送する方法であって、
周波数軸上で互いに直交する複数のキャリアの位相と振幅とを決定する搬送波変調信号群をシンボル毎に逆フーリエ変換することにより、時間軸上の前記直交周波数分割多重信号に変換する第1のステップと、
前記直交周波数分割多重信号の各シンボルに対し、その前部にその後端部と同じデータを含む前部ガードタイムを付加するとともに、その後部にその前端部と同じデータを含む後部ガードタイムを付加して、前記受信側に送信する第2のステップとを備える、直交周波数分割多重信号の伝送方法。 - 前記搬送波変調信号群と、基準複素数信号群とを周波数軸上で複素乗算する第3のステップをさらに備え、
前記第1のステップは、前記第3のステップで得られた複素乗算結果を、前記直交周波数分割多重信号に変換する、請求項1に記載の直交周波数分割多重信号の伝送方法。 - 前記第3のステップは、前記搬送波変調信号群の各シンボルについて、その一定シンボル前に複素乗算した結果を、前記基準複素数信号群として各前記搬送波変調信号群に複素乗算する、請求項2に記載の直交周波数分割多重信号の伝送方法。
- 予め定められた特定パターンを有し、かつ各信号の位相がランダムに変化している複素数信号群をシンボル毎に発生する第4のステップをさらに備え、
前記第3のステップは、前記搬送波変調信号群の各シンボルについて、前記第4のステップで得られた複素数信号群を、前記基準複素数信号群として使用し、
前記第1のステップは、常時は前記第3のステップで得られた複素乗算結果を前記直交周波数分割多重信号に変換し、定期的に前記基準複素数信号群を前記直交周波数分割多重信号に変換する、請求項2に記載の直交周波数分割多重信号の伝送方法。 - 所定長のシンボル毎に前記送信側から送信されてきた前記直交周波数分割多重信号を、前記搬送波変調信号群に対応する受信搬送波変調信号群に変換する第5のステップと、
前記第5のステップで得られた受信信号群を、所定の基準複素数信号群により、周波数軸上で複素除算する第6のステップとを備える、請求項2に記載の直交周波数分割多重信号の伝送方法。 - 有線または無線の伝送路を介し、受信側に、所定長のシンボル毎に直交周波数分割多重信号を送信する装置であって、
基準複素数信号群を記憶するメモリ手段と、
周波数軸上で互いに直交する複数のキャリアの位相と振幅とを決定する搬送波変調信号群と、前記メモリ手段に記憶された前記基準複素数信号群とを周波数軸上で複素乗算し、送信搬送波変調信号群を出力する複素乗算手段と、
前記複素乗算手段から出力される送信搬送波変調信号群に対して、各シンボル毎に逆フーリエ演算を施すことにより、当該送信搬送波変調信号群を、時間軸上の前記直交周波数分割多重信号に変換する逆フーリエ変換手段と、
前記逆フーリエ変換手段から出力される前記直交周波数分割多重信号の各シンボルに対し、その前部にその後端部と同じデータを含む前部ガードタイムを付加するとともに、その後部にその前端部と同じデータを含む後部ガードタイムを付加するガードタイム付加手段と、
前記前部ガードタイムおよび前記後部ガードタイムの付加された前記直交周波数分割多重信号を、各シンボル毎に前記受信側に送信する送信手段とを備える、直交周波数分割多重信号の送信装置。 - 前記メモリ手段は、前記複素乗算手段の一定シンボル前の複素乗算結果を、前記基準複素数信号群として記憶する、請求項6に記載の直交周波数分割多重信号の送信装置。
- 前記メモリ手段は、予め定められた複素数信号群を、前記基準複素数信号群として記憶し、
前記複素乗算手段は、前記搬送波変調信号群と、前記メモリ手段に記憶された前記基準複素数信号群とを周波数軸上で複素乗算して出力し、
前記逆フーリエ変換手段は、常時はシンボル毎に前記複素乗算手段から出力された複素乗算結果を前記直交周波数分割多重信号に変換し、定期的に前記メモリ手段から出力された前記基準複素数信号群を前記直交周波数分割多重信号に変換する、請求項6に記載の直交周波数分割多重信号の送信装置。 - 前記メモリ手段は、前記基準複素数信号群として疑似雑音信号を発生する疑似雑音信号発生手段の出力を保持していることを特徴とする、請求項8に記載の直交周波数分割多重信号の送信装置。
- 前記メモリ手段は、前記基準複素数信号群として周波数掃引信号を発生する周波数掃引信号発生手段の出力を保持していることを特徴とする、請求項8に記載の直交周波数分割多重信号の送信装置。
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