JP4416904B2 - 塩水精製装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソーダ工業において使用される塩水精製装置に関し、特に、沈殿槽内で原塩溶解液中に含まれる不純物を沈降分離させて原塩溶解液を精製する塩水精製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学工業等の分野において広く用いられているカセイソーダ(水酸化ナトリウム)は、食塩電解プロセス(例えば、隔膜電解プロセス)によって製造されるのが一般的である。食塩電解プロセスには、原料塩を溶解させた原塩溶解液(飽和食塩水)から、マグネシウム、カルシウム、鉄分、硫酸根といった不純物を取り除くことにより、原塩溶解液を精製する塩水精製プロセスが含まれている。そして、塩水精製プロセスにおいて得られた所望の塩水に対して隔膜電解処理等を施すことにより、カセイソーダ、塩素及び水素が製造される。
【0003】
図7は、従来から知られている塩水精製プロセスを示す系統図である。この塩水精製プロセス100によって原塩溶解液を精製する場合、原塩貯留槽101に貯留されている原料塩は、コンベヤ102によって原塩供給ホッパ103に給送され、原塩供給ホッパ103から原塩溶解槽104に供給される。原塩溶解槽104では、原料塩は、図示しないタンク等から供給される溶媒としての水と混合させられ、得られた原塩溶解液(飽和食塩水)は、反応槽105に供給される。また、原塩溶解槽104で沈殿した原塩は、泥槽106、ろ過装置107を介し、ろ過槽108に送られ、再度、原液溶解液とされた上で反応槽105に供給される。反応槽105内には、NaOH,NaCO3等の薬液が供給される。これにより、原液溶解液に含まれている不純物は、カルシウム塩、マグネシウム塩(CaCO3,Mg(OH)2等)等からなる微細フロックを形成する。
【0004】
カルシウム塩等の微細フロックを含む原塩溶解液は、反応槽105から塩水精製装置(連続精製槽)110に導入される。また、塩水精製装置110には、添加剤貯留タンク109から所定の添加剤(凝集剤)が注入される。添加剤の作用により、原塩溶解液に含まれている不純物の微細フロックは、互いに凝集して凝集フロックを形成し、槽内で沈降分離する。これにより、原塩溶解液中の不純物が槽内に沈殿するので、塩水精製装置110からは、所望の純度、濃度をもった塩水が得られる。塩水精製装置110によって精製された塩水は、塩水貯留槽111に貯留された後、電解処理される。このような塩水精製プロセス100に適用される塩水精製装置110としては、従来、回分式静置型を改良した攪拌機構を持たない精製槽、集泥機構を備えたドル型の精製槽、クラリファイア型の精製槽等が適用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の塩水精製装置は、原塩溶解液の処理速度、処理量の面で満足のいくものとはいえなかった。すなわち、従来の塩水精製装置(連続精製槽)に対しては、原塩溶解液は固定された1本の供給管を介して供給されるので、原塩溶解液が塩水精製装置(精製槽)の周辺付近まで直ちに達してしまう(短絡してしまう)。また、不純物が形成したカルシウム塩、マグネシウム塩等と添加剤とを反応させるために、塩水精製装置の内部は、ある程度高温(50〜70℃)に維持されるが、かかる高温下では、添加剤の効果は極めて短時間しか維持されない。
【0006】
このため、従来の塩水精製装置では、不純物の微細フロックが含まれている原塩溶解液を、添加剤の有効時間内に不純物の沈降ゾーン(ろ過ゾーン)に導くことが困難となり、比較的処理速度が速いクラリファイア型の塩水精製装置であっても、不純物(凝集フロック)の沈降速度を、0.5〜1.5m/h程度にしか設定できなかった。このように、従来の塩水精製装置では、多量の原塩溶解液を高速で処理することは困難であり、大量の原塩溶解液を精製するためには、塩水精製装置のサイズ(槽断面積)をいきおい大きくせざるを得なかった。
【0007】
そこで、本発明は、原塩溶解液を高速で効率よく精製可能であると共に、容易にコンパクト化することができる塩水精製装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明による塩水精製装置は、沈殿槽内で原塩溶解液中に含まれる不純物を沈降分離させて原塩溶解液を精製する塩水精製装置であって、沈殿槽内に固定されており、原塩溶解液及び添加剤が導入される混合槽と、混合槽内に配されると共に混合槽の中心軸周りに回転駆動され、原塩溶解液と添加剤とを混合攪拌する攪拌タービンと、混合槽の下端部に接続されると共に混合槽の中心軸周りに回転自在であり、原塩溶解液を混合槽から沈殿槽内に吐出させる吹出管をもった分配供給機とを備えることを特徴とする。
【0009】
この塩水精製装置は、一般的な塩水精製プロセスに含まれる反応槽等に接続される。すなわち、この塩水精製装置を使用して原塩溶解液を精製する場合、予め、原塩溶解液に対して、NaOH,NaCO3等の薬液を注入し、反応槽内で原塩溶解液中の不純物と薬液とを予め反応させる。原塩溶解液に含まれているカルシウム、マグネシウム、鉄分、硫酸根等の不純物は、カルシウム塩、マグネシウム塩(CaCO3,Mg(OH)2等)等からなる微細フロックを形成する。そして、反応槽から、カルシウム塩等の微細フロックを含む原塩溶解液を塩水精製装置の沈殿槽内部に固定されている混合槽内に導入する。
【0010】
原塩溶解液が導入される混合槽の内部には、ポリアクリル酸ソーダ系高分子凝集剤等からなる添加剤が注入される。混合槽内において、原塩溶解液と添加剤とは、回転駆動される攪拌タービンによって混合、攪拌される。そして、原塩溶解液中の不純物が形成した微細フロックは、互いに凝集して凝集フロック(初期フロック)を形成する。凝集フロックを含む原塩溶解液は、回転する分配供給機の吹出管から沈殿槽内に分配供給される。これにより、沈殿槽内には、均等な上昇流が発生する。また、高分子凝集剤の有効時間内に凝集フロックが沈降分離ゾーンに導かれる。従って、沈殿槽内の上部には、所望の純度、濃度をもった塩水の層が形成される。一方、原塩溶解液中の凝集フロックのうち、沈殿槽内で沈降分離したものは、沈殿槽の下部に堆積して濃縮不純物の層を形成する。
【0011】
このように、この塩水精製装置では、回転する分配供給機の吹出管から沈殿槽内に分配供給された原塩溶解液は、上昇流を形成する。従って、凝集フロックを含む原塩溶解液を添加剤の有効時間内に沈降分離ソーンに導くことが可能となり、添加剤の効果が最大限に活用されることになる。この結果、凝集フロック(不純物)の沈降速度を、5〜8m/h程度に設定することが可能となるので、多量の原塩溶解液が高速で効率よく精製されることになる。また、この塩水精製装置は、大量の原塩溶解液を効率よく処理することができるので、容易にコンパクト化(沈殿槽の槽断面積を小さく)することができる。
【0012】
また、混合槽内の原塩溶解液に対して、添加剤を分割して注入可能な添加剤注入手段を更に備えると好ましい。
【0013】
この場合は、例えば、複数の注入ノズルを混合槽の高さ方向に配設し、添加剤注入ポンプ等を作動させて、各注入ノズルから原塩溶解液に添加剤を注入する。これにより、添加剤による効果を長時間持続させることが可能となり、混合槽内に沈降性の良好な凝集フロックが形成されることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による塩水精製装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明による塩水精製装置を示す部分断面図である。同図に示す塩水精製装置1は、反応槽等から導かれる原塩溶解液から、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄分、硝酸根といった不純物を取り除くための沈殿槽2を有する。この沈殿槽2は、槽深4000〜5000mm程度の有底円筒状に形成されている。また、沈殿槽2の槽径は、設置スペース等に応じて、1500〜30000mm程度の範囲内で任意に設定される。
【0016】
沈殿槽2は、塩水精製装置1を設置するスペースに設けられたベース部3上に固定されている。ベース部3はコンクリート等によって形成されている。また、沈殿槽2の外周は、グラスウール等によって形成された保温材31によって覆われており、沈殿槽2の内部には、液面の上方を覆うカバー32が固定されている。これにより、沈殿槽2の内部は、原塩溶解液に含まれる不純物を反応させるのに好適な温度(50〜70℃)に維持される。
【0017】
この塩水精製装置1は、沈殿槽2の上縁部に架設された架台4を備える。架台4は、主として、各種メインテナンス作業時に作業員の作業スペースとされるものである。この架台4の中央部からは、混合槽5が垂設されている。混合槽5は円筒状に形成されており、その高さは、例えば、沈殿槽2の槽深のおよそ3分の2程度に設定されている。混合槽5は、その中心軸を沈殿槽2の中心軸と一致させた状態で架台4に固定されている。これにより、混合槽5は、沈殿槽2内に直立する状態で配置されると共に、混合槽5の下縁部と沈殿槽2の底面との間に所定の間隔(空間)が形成される。
【0018】
混合槽5の上部側面には、反応槽等に接続されている原液供給管6aと連なっている原液導入管6が接続されている。原液導入管6は、塩水精製装置1の運転中における塩水液面、及び、混合槽5内の液面よりも下方に設けられている。また、混合槽5内には、図2に示すように、原塩溶解液を混合槽5内に導入するための原液導入管6と直接連通する原液受容チャンバ50が設けられている。被処理液受容チャンバ50は、円環状の板体からなる環状部材51と、円筒状に形成された筒状部材52とによって構成(画成)されており、容易に形成可能である。環状部材51は、被処理液受容チャンバ50の底部、すなわち、チャンバ底部50aを形成し、筒状部材52は、被処理液受容チャンバ50の側壁部、すなわち、チャンバ側壁部50bを形成する。
【0019】
チャンバ底部50a(環状部材51)及びチャンバ側壁部50b(筒状部材52)と、混合槽5の内周面5aとの間には、被処理液を流通させる空間が画成される。環状部材51及び筒状部材52のサイズは、この空間の容積を必要十分に確保することができるように設定されている。また、環状部材51は、混合槽5の内周面5aに対して、被処理液導入管6よりも下方に位置するように固定されている。更に、環状部材51の内周部に固定された筒状部材52の上端部は、被処理液導入管6よりも上方に位置する。これにより、被処理液は、混合槽5内に流入する前に、被処理液受容チャンバ50内を確実に流通することになる。
【0020】
加えて、被処理液導入管6の近傍において、混合槽5の内周面5aと筒状部材52の上端部との間には、溢流防止板53が設けられている。これにより、被処理液導入管6から被処理液受容チャンバ50に流入する被処理液の流速が高くても、被処理液導入管6の近傍において被処理液受容チャンバ50から被処理液が直ちに溢れ出てしまうことを防止することができる。
【0021】
また、チャンバ底部50a、すなわち、環状部材51には、図3に示すように、原液受容チャンバ50内で堆積してしまう堆積物(カルシウム塩等の不純物)を混合槽5内に排出させるための排出口55が形成されている。この塩水精製装置1では、排出口55は、90°間隔で計4箇所に配設されている。この場合、排出口55の総面積(個々の排出口55の合計面積)は、チャンバ底部50aの面積の1/4〜1/2であると好ましい。これにより、原液受容チャンバ50内に流入した原塩溶解液が排出口55から混合槽5内に過剰に流出してしまうことを防止可能であると共に、排出口55が堆積物によって閉塞してしまうことを防止できる。排出口55が堆積物によって閉塞してしまうことを防止するためには、その開口幅W(図3参照)を少なくとも、30mm以上に設定するとよい。
【0022】
このように、チャンバ底部50a(環状部材51)に排出口55を設ければ、原液受容チャンバ50内の原塩溶解液に含まれている比重が大きいカルシウム塩、マグネシウム塩等は、排出口55を介して混合槽5内に沈降し、また、チャンバ底部50a上の堆積物も、原液受容チャンバ50内における原塩溶解液の流れにより、排出口55を介して混合槽5内に排出される。これにより、原液導入管6の出口60が閉塞してしまうといったようなトラブルは解消され、塩水精製装置1の運転性能は良好に維持される。
【0023】
混合槽5には、図1に示すように、原塩溶解液中の不純物等を凝集させる各種添加剤を注入するための注入ノズル7(添加剤注入手段)が複数配備されている。混合槽5内に導入する添加剤としては、ポリアクリル酸ソーダ系高分子凝集剤等が採用される。各注入ノズル7は、混合槽5の高さ方向に配設されており、例えば、混合槽5の上段部、中段部、及び、下段部に各2体づつ設けられる(図1においては、1列のみ示す)。また、各注入ノズル7は、ヘッダ7a(添加剤注入手段)を介して添加剤注入ポンプ7b(添加剤注入手段)に接続されており、添加剤注入ポンプ7bの吸込口には、添加剤貯留タンク7c(添加剤注入手段)が接続されている。添加剤の注入量は各注入ノズル7毎に設定可能とされている。
【0024】
また、混合槽5には、原塩溶解液と添加剤とを混合攪拌するための攪拌タービン8が内蔵されている。攪拌タービン8は、図4に示すように、中空の円筒体80を備え、円筒体80は、その中心軸が混合槽5の中心軸と一致する状態で架台4から回転自在に垂設されている。この円筒体80の外周面には、複数(この場合、3×4=12枚)の攪拌翼81が固定されている。塩水精製装置1の運転時には、架台4上に載置されたタービン駆動部8aを作動させ、攪拌タービン8を混合槽5の中心軸周りに回転駆動する。
【0025】
更に、混合槽5には、分配供給機10が固定された主軸9が配されている。主軸9も、その中心軸が混合槽5の中心軸と一致する状態で架台4から回転自在に垂設されており、架台4上に載置された駆動部9aによって混合槽5の中心軸周りに回転駆動される。塩水精製装置1では、図4に示すように、分配供給機10が固定される主軸9は、攪拌タービン8(円筒体80)の中心部を貫通するように配されている。そして、攪拌タービン8の円筒体80の少なくとも下端部には、主軸9を外方から支持する軸受部材82が複数(例えば、90°間隔で4個)固定されている。これにより、攪拌タービン8及び分配供給機10の双方を効率よく回転駆動できると共に、沈殿槽2内のスペース効率を向上させることができる。
【0026】
主軸9に固定された分配供給機10は、混合槽5の下端に接続されて混合槽5の底部として機能すると共に、主軸9の回転によって混合槽5の中心軸周りに回転自在である。これら混合槽5と分配供給機10との間の間隙には、図4に示すように、いわゆる非接触型のシール部14が設けられている。シール部14は、混合槽5の下部に形成された二重筒部15に、分配供給機10の上部に設けられた円筒状の係合部10bを差し込むことにより構成されている。これにより、原塩溶解液が混合槽5と分配供給機10との間の間隙から直接沈殿槽2内に吐出(短絡)することが防止される。この場合、非接触式のシール部14の代わりに、パッキン等の接触式シール部を設けてもよい。
【0027】
分配供給機10は、複数本(例えば4本、図5参照)の吹出管11を有し、各吹出管11の下部には、複数の吹出孔11a(図4等参照)が形成されている。塩水精製装置1の運転時には、分配供給機10が駆動部9aによって回転され、各吹出管11の各吹出孔11aからは、不純物(カルシウム塩、マグネシウム塩等)の凝集フロックを含む原塩溶解液が沈殿槽2内に吐出する。これにより、沈殿槽2内には、偏流や短絡流が生じることはなく、均等な上昇流が形成される。
【0028】
また、分配供給機10には、各吹出管11の下方に位置するバッフルプレート12が取り付けられている(図1参照)。これにより、吹出孔11aから吐出した原塩溶解液は、バッフルプレート12を介して沈殿槽2の下方へ供給されるので、吹出管11から吐出する原塩溶解液によって凝集フロックが攪拌されてしまうことが防止され、塩水精製装置1の沈降分離効率はより向上する。なお、吹出管11の径を大きくすると、沈殿槽内に旋回流を過剰に引き起こすおそれがあることから、吹出管11は、細径のものとして形成するとよい。また、沈殿槽2の槽径が大きい場合には、6、8、10、又は12本といったように吹出管11の本数を増やしていくとよい。
【0029】
更に、分配供給機10の底部10aには、堆積物を沈殿槽2内に排出させるための開口部16が形成されている。この分配供給機10には、図5に示すように、開口部16が底部10aの主軸9付近に1個設けられている。更に、図4及び5に示すように、混合槽5には、分配供給機10の底部10aに堆積した堆積物を開口部16から沈殿槽2内に排出させるための掻寄せブレード17が設けられている。
【0030】
すなわち、混合槽5の下部内周面には、取付ブロック18が固定されており、この取付ブロック18には、アングル材等によって形成された支持部材19の上端がボルト等を介して固定されている。支持部材19は、主軸9と平行に、すなわち、鉛直方向に延在する。掻寄せブレード17は、アングル材等によって形成されており、略L字の断面形状を有する。掻寄せブレード17は、支持部材19の下端部に固定されており、その背板部17aは、分配供給機10の正転方向における前側に位置し、その底板部17bは、底部10aの上面と略平行に延在する。なお、掻寄せブレード17の底板部17bと分配供給機10の底部10aとの間の間隔は、1〜50mm程度に設定すると好ましい。
【0031】
ここで、図5に示すように、分配供給機10の底部10aに対して、掻寄せブレード17と略平行をなす共に、主軸9の中心を通り半径方向に延びる直線(直径)を径線R1として設定すると、掻寄せブレード17は、その全体が、径線R1よりも、分配供給機10の逆転方向(図5における白抜矢印参照)側に位置するように配置されている。掻寄せブレード17をこのように配置することにより、掻寄せブレード17の背板部17a(の前面)と当接する堆積物には、向心方向(主軸9に向かう方向)の力が作用することになる。従って、掻寄せブレード17が分配供給機10に対して回転すれば、堆積物は掻寄せブレード17によって主軸9に向かうように掻き寄せられることになる。
【0032】
沈殿槽2内の分配供給機10の下方には、開口部16を介して沈殿槽2内に流出する原塩溶解液の流れを遮る短絡防止部材20が設けられている。短絡防止部材20は、図4及び5に示すように、板材を円盤状に形成したものであり、開口部16の下方に位置するように、すなわち、その外周が開口部16の外縁よりも外側に位置するように主軸9に固定されている。短絡防止部材20は、主軸9が回転すると分配供給機10と共に回転する。
【0033】
一方、上述した分配供給機10が固定されている主軸9の先端は、図1に示すように、沈殿槽2の底面近傍まで達する。そして、主軸9の先端には、分配供給機10と共に回転するレーキ21及びコーンスクレーパ22が取り付けられている。レーキ21は、吹出管11から吐出して沈殿槽2の底部に堆積する原塩溶解液中の不純物(汚泥)を攪拌するためのものである。これにより、沈殿槽2内の分配供給機10よりも下方の領域に濃縮不純物(濃縮汚泥)の層が形成されることになる。
【0034】
沈殿槽2は、その底面中央部でベース部3内を貫通する不純物引抜管23と連通しており、コーンスクレーパ22は、この沈殿槽2と不純物引抜管23との接続部に配されている。不純物引抜管23は、引抜ポンプ24及び返送ポンプ25に接続されている。スラッジブランケット運転を行う際には、沈殿槽2内に設けた界面検知計(図示せず)の指示値に基づいて引抜ポンプ24を作動させ、沈殿槽2内の濃縮不純物を系外へ排出することによりスラッジブランケット層の界面高さを一定範囲内に保つ。この際、コーンスクレーパ22が回転しているので、沈殿槽2内の濃縮不純物は均等に排出される。また、スラッジ循環運転を行う際には、界面検知計の指示値に基づいて、返送ポンプ25を作動させて濃縮不純物を返送循環させる。
【0035】
次に、上述した塩水精製装置1を用いて原塩溶解液を精製する手順について説明する。
【0036】
塩水精製装置1は、一般的な塩水精製プロセスにおける従来の連続精製槽(塩水精製装置)に代えて用いることができるものであり、原塩溶解槽等から原塩溶解液が導入される反応槽(図7参照)に接続される。すなわち、この塩水精製装置1を使用して原塩溶解液を精製する場合、予め、原塩溶解液に対して、NaOH,NaCO3等の薬液を注入し、反応槽内で原塩溶解液中の不純物と薬液とを反応させておく。原塩溶解液に含まれているカルシウム、マグネシウム、鉄分、硫酸根等の不純物は、カルシウム塩、マグネシウム塩(CaCO3,Mg(OH)2等)等からなる微細フロックを形成する。そして、このようなカルシウム塩等の微細フロックを含む原塩溶解液A(図1参照)を反応槽から、原液導入管6を介して、塩水精製装置1の沈殿槽2内部に固定されている混合槽5内に導入する。
【0037】
原液導入管6から流出する原塩溶解液Aは、まず、混合槽5内の原液受容チャンバ50に流入する。そして、原塩溶解液Aは、チャンバ底部50a、チャンバ側壁部50b、及び、混合槽5の内周面5aとによって画成される空間を流通した後、原液受容チャンバ50の上部から混合槽5内に流出する(溢れ出る)ことになる。これにより、カルシウム塩やマグネシウム塩等が混合槽5内で沈降し、分配供給機10の底部10aに堆積してしまうことを極めて効果的に低減させることができる。この結果、吹出管11の原液流入口が閉塞してしまうことが防止されるので、沈殿槽2内には、常に原塩溶解液Aが効率よく分配供給され、塩水精製装置1の運転性能は良好に維持される。
【0038】
原液受容チャンバ50から混合槽5内に流れ込んだ原塩溶解液Aに対しては、多段に分割して設けられた注入ノズル7の何れか又はすべてから添加剤が連続的又は任意のタイミングで注入される。これにより、添加剤による効果が長時間持続すると共に、沈降性の良好な凝集フロックが形成されることになる。そして、混合槽5内の原塩溶解液Aと添加剤とは、タービン駆動部8aによって回転駆動される攪拌タービン8によって攪拌され、原塩溶解液A中の不純物が形成した微細フロックが凝集して凝集フロック(初期フロック)を形成する。
【0039】
凝集フロックを含む原塩溶解液Aは、駆動部9aによって回転駆動される分配供給機10の吹出管11から沈殿槽2内に分配供給される。この際、混合槽5から分配供給機10に向けて下降する原塩溶解液Aのうち、混合槽5と分配供給機10との間隙に入り込もうとする原塩溶解液Aの流れは、シール部14によって遮られる。凝集フロックを含む原塩溶解液Aは、回転する吹出管11の吹出孔11aから沈殿槽2内に均等に分配される。これにより、沈殿槽2内に均等な上昇流が発生する。また、原塩溶解液A中の凝集フロックのうち、沈殿槽2内で沈降分離したものは、沈殿槽2の下部でレーキ21によって中央に掻き寄せられて濃縮不純物の層Dを形成する。
【0040】
その一方で、混合槽5内では、一部の粒子や粗大フロック等が沈降し、各吹出管11に流入することなく分配供給機10の底部10aに堆積する。ここで、この塩水精製装置1の運転中、分配供給機10は、混合槽5に対して回転するので、混合槽5に対して固定されている掻寄せブレード17は、逆に、分配供給機10に対して回動することになる。これにより、塩水精製装置1の運転中に分配供給機10の底部10aに堆積した堆積物は、掻寄せブレード17によって開口部16まで掻寄せられ、開口部16を介して沈殿槽2内に排出させられることになる。
【0041】
この結果、分配供給機10の底部10aに汚泥等が過剰に堆積することは一切なく、吹出管11の原塩溶解液流入口が閉塞してしまうといったようなトラブルが防止され、沈殿槽2内には、常に原塩溶解液Aが効率よく分配供給される。また、分配供給機10内の堆積物が軸受部材82と主軸9との間に入り込み、主軸9や軸受部材82を摩耗・損傷させてしまうことや、主軸9が混合槽5の中心軸上から逸脱してしまう、いわゆる軸ぶれも防止される。従って、塩水精製装置1の運転性能は良好に維持される。
【0042】
また、開口部16を介して混合槽5(分配供給機10)内から沈殿槽2内に流出する原塩溶解液Aの流れは、沈殿槽2内の分配供給機10下方に形成される濃縮不純物の層D等に達する前に、短絡防止部材20によって遮られることになる。同様に、開口部16から流出する原塩溶解液A中のカルシウム塩、マグネシウム塩等は、分配供給機10の下方に設けられた短絡防止部材20によって受け止められ、掻寄せブレード17によって開口部16から沈殿槽内に排出されられた堆積物も、短絡防止部材20によって一旦受け止められる。そして、短絡防止部材20は分配供給機10と共に回転するので、短絡防止部材20上の堆積物は遠心力の作用によって沈殿槽2下部に徐々に、かつ、低速で沈降していく。
【0043】
これにより、開口部16を介して沈殿槽2内に流出する原塩溶解液Aが濃縮不純物の層D等に直接達してしまう、いわゆる短絡現象や、分配供給機10から沈殿槽2内に排出される堆積物等によって、沈殿槽2内の分配供給機10下方に形成される凝集フロックや濃縮不純物の層D等が希釈、攪拌されてしまうことが防止される。濃縮不純物の層Dからは、図示しない界面検知計の指示値に基づいて制御される引抜ポンプ24によって濃縮不純物Eが随時引抜かれ、所望の純度、濃度をもった塩水Bが沈殿槽2内を上昇し、沈殿槽2の上部に設けられた流出口26から流出する。
【0044】
このように、この塩水精製装置1では、回転する分配供給機10の吹出管11から沈殿槽2内に分配供給された原塩溶解液Aは、上昇流を形成する。従って、凝集フロックを含む原塩溶解液を、添加剤の有効時間内に沈降分離ゾーンに導くことが可能となり、添加剤の効果が最大限に活用されることになる。この結果、凝集フロック(不純物)の沈降速度を、5〜8m/h程度に設定することが可能となるので、多量の原塩溶解液Aを高速で効率よく精製される。また、この塩水精製装置1は、大量の原塩溶解液Aを効率よく処理することができるので、容易にコンパクト化(沈殿槽2の槽断面積を小さく)することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明による塩水精製装置は、以上説明したように構成されているため、次のような効果を得る。すなわち、沈殿槽内に固定された混合槽内で攪拌タービンを回転させて原塩溶解液と添加剤とを混合攪拌し、混合槽の下方で回転する分配供給機の吹出管から原塩溶解液を沈殿槽内に分配供給することにより、原塩溶解液を高速で効率よく精製可能となる。また、この塩水精製装置は、容易にコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による塩水精製装置を示す部分断面図である。
【図2】混合槽と原液導入管との接続部付近を示す拡大部分断面図である。
【図3】図3におけるIII−III線についての断面図である。
【図4】混合槽と分配供給機との接続部付近を示す拡大部分断面図である。
【図5】図4におけるV−V線についての断面図である。
【図6】一般的な塩水精製プロセスを説明するための系統図である。
【符号の説明】
1…塩水精製装置、2…沈殿槽、5…混合槽、5a…内周面、6…原液導入管、7…注入ノズル(添加剤注入手段)、7a…ヘッダ(添加剤注入手段)、7b…添加剤注入ポンプ(添加剤注入手段)、7c…添加剤貯留タンク(添加剤注入手段)、8…攪拌タービン、9…主軸、10…分配供給機、10a…底部、10b…係合部、11…吹出管、11a…吹出孔、12…バッフルプレート、14…シール部、15…パッキン、16…開口部、17…掻寄せブレード、18…取付ブロック、19…支持部材、20…短絡防止部材、21…レーキ、22…コーンスクレーパ、23…不純物引抜管、24…引抜ポンプ、25…返送ポンプ、26…流出口、31…保温材、32…カバー、50…原液受容チャンバ、50a…チャンバ底部、50b…チャンバ側壁部、51…環状部材、52…筒状部材、53…溢流防止板、55…排出口、80…円筒体、81…攪拌翼、82…軸受部材。
Claims (2)
- 沈殿槽内で原塩溶解液中に含まれる不純物を沈降分離させて前記原塩溶解液を精製する塩水精製装置であって、
前記沈殿槽内に固定されており、前記原塩溶解液及び添加剤が導入される混合槽と、
前記混合槽内に配されると共に前記混合槽の中心軸周りに回転駆動され、前記原塩溶解液と前記添加剤とを混合攪拌する攪拌タービンと、
前記混合槽の下端部に接続されると共に前記混合槽の中心軸周りに回転自在であり、前記原塩溶解液を前記混合槽から前記沈殿槽内に吐出させる吹出管をもった分配供給機とを備えることを特徴とする塩水精製装置。 - 前記混合槽内の原塩溶解液に対して、前記添加剤を分割して注入可能な添加剤注入手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の塩水精製装置。
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