JP4416451B2 - 印字器 - Google Patents

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Description

本発明は印字自動送り機能を有する印字器に関する。
数字等の印字を自動送りする印字器としては、ゴム帯体車の側面に固定した数字送りギアに対して送り爪を選択係合する機構を備えたナンバーリングが知られている。又、印字面にインクを供給する手段として、レバーの先端に取り付けられたスタンプパッドが本体の上下動により揺動して印字面に当接し、押印時に開放される機構が用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、これら従来の印字器は、これらの諸機構が組み込まれて複雑であり、かつ嵩高で取り扱いにくい。
特開平11−147357号公報(第2頁、第1〜14図)
本発明は、これら問題点に鑑みコンパクトで筆記具感覚で印字できる印字自動送り印字器を提供しようとする。
本発明の要旨とするところは、押印用の数字を刻印した字型部を表面の周方向に列配した無端状ベルトと、一対の巻掛部から成り該無端状ベルトが周方向に送り動可能に掛け渡される掛け渡し部とを含んで構成される印字部と、
送り爪と
を含んで成り、
前記無端状ベルトに前記送り爪と係合する係合部が各前記字型部に対応して設けられ、
前記送り爪が前記係合部に係合して移動することにより、前記無端状ベルトが前記係合部を介して周方向に送られることを特徴とする印字器であることにある。
又、本発明の要旨とするところは、押印用の数字を刻印した字型部を表面の周方向に列配した無端状ベルトと、一対の巻掛部から成り該無端状ベルトが周方向に送り動可能に掛け渡される掛け渡し部とを含んで構成される印字部と、
該印字部と近接又は乖離可能に結合された枠体と、
該枠体に連結されて該枠体の該印字部との近接又は乖離に伴って移動する送り爪と
を含んで成り、
前記無端状ベルトに前記送り爪と係合する係合部が各前記字型部に対応して設けられ、
前記送り爪が前記係合部に係合して移動することにより、前記無端状ベルトが前記係合部を介して周方向に送られることを特徴とする印字器であることにある。
前記印字器においては、前記係合部が鋸刃状突起を有し得、前記送り爪によりラチェット送りされ得る。
前記係合部は、各前記字型部の、前記周方向と直交する方向に隣接してそれぞれ設けられ得る。
前記印字部は、前記字型部にインクを供給するインク供給手段を備え得る。
前記印字器は、
前記印字部が前記掛け渡し部を保持する枠を備え、
一の前記巻掛部がシャフトと回転送り駒とカムを備え、該シャフトの長手方向が前記無端状ベルトの周方向と直交し、該回転送り駒が該シャフトを介して前記枠に軸着し、該カムが該回転送り駒に固定されて該回転送り駒と同軸で回転可能とされ、
前記インク供給手段が、開口部を有しインクを内蔵した箱体と、該開口部に嵌入して該インクに接し外部に露出する露出面を有するインク含浸体と、前記カムに当接するカム当接部とを有するインクカートリッジを備え、
該インクカートリッジが、1の定められた位置にある前記字型部から近接又は乖離可能に配され、前記露出面が該字型部の表面に面して配され、
前記当接部が前記カムに当接して、該インクカートリッジが、該字型部から近接又は乖離し、近接時に前記露出面が該字型部の表面に接触して該表面にインクが付着する
ように構成され得る。
前記字型部を構成する素材はインクを含浸可能な多孔質体から成り得る。
本発明により、コンパクトで筆記具感覚で印字できる印字自動送り印字器が提供される。
本発明に係る態様を図面に基づいて詳しく説明する。なお、本明細書においては、各図にわたって記される同じ符号は同一又は同様の部材やものを示す。図1は本発明の印字器2の態様を示す機構透視図であり、図1(a)図1(b)はそれぞれ正面図、側面図である。図1において、印字器2は、印字部4、枠体6及び送り爪8を備える。印字部4は、表面の周方向に押印用の一連の数字14を順次刻印した字型部16を列配した無端状ベルト18と、無端状ベルト18が掛け渡される掛け渡し部20と掛け渡し部20を保持する枠30を備える。掛け渡し部20は、一対の巻掛部22、24から成る。送り爪8は枠体6に軸29を介して軸着して連結され、枠体6と印字部4とは枠30に設けられたあり継ぎ部28を介して近接又は乖離可能に結合されている。枠体6は印字器2の頭頂側と印字側にそれぞれ開口11、13を有する筒体である。図1は枠体6と印字部4とが最も乖離した状態の印字準備モードの配置である。枠体6と印字部4とが最も近接した状態の印字モードで被印字物23に対して印字が行なわれる。
一方、無端状ベルト18には送り爪8と係合する係合部32が各字型部16に対応して各字型部16の側部に、無端状ベルト18の周方向と直交する方向に隣接して、設けられている。送り爪8の先端が係合部32の方向に不図示の付勢手段により付勢されている。係合部32には鋸刃状の急峻に立ち上がる急峻面36となだらかに立ち下がるスロープ面38とを有する鋸刃形状の突起34が形成されており、枠体6と印字部4との近接に伴って移動する送り爪8が、急峻面36を押し出して無端状ベルト18が周方向に送り出される。枠体6と印字部4とが乖離するときは送り爪8の先端がスロープ面38上を摺動して無端状ベルト18は動かない。このようなラチェット駆動に類似の駆動を本明細書においては、ラチェット送りと称する。
巻掛部22は印字器2の印字側に位置し、断面正方形の印字側回転送り駒40と、印字側回転送り駒40の軸心を貫通するシャフト42を備える。シャフト42は、長手方向を無端状ベルト18の周方向と平行に配置されて両端それぞれが枠30の内がわ面に固定されている。印字側回転送り駒40はシャフト42を軸として回転自在である。無端状ベルト18が印字側回転送り駒40に巻き掛けられる。印字側回転送り駒40の断面正方形の一辺は、字型部16の無端状ベルト18の周方向にみた長さのピッチと略等しい。印字準備モードにおいては、1個の字型部16a及び対応の係合部32aの裏面の全体が、印字側回転送り駒40の1個の表面41aに、はみ出しや引き込みのない状態に重畳され、印字側回転送り駒40が90度回転した次の印字準備モードにおいてはその1個の字型部16aに隣接の字型部16b及び対応の係合部32の裏面の全体が、印字側回転送り駒40の、その1個の表面41aに隣接の表面41bに、はみ出しや引き込みのない状態に重畳される。
巻掛部24は印字器2の頭頂(52)側に位置し、断面正六角形の頭頂側回転送り駒54と、頭頂側回転送り駒54の軸心を貫通するシャフト56を備える。シャフト56は、長手方向を無端状ベルト18の周方向と平行に配置されて両端それぞれが枠30の内がわ面に固定されている。頭頂側回転送り駒54はシャフト56を軸として回転自在である。無端状ベルト18が頭頂側回転送り駒54に巻き掛けられる。頭頂側回転送り駒54の断面正六角形の一辺は、字型部16の無端状ベルト18の周方向にみた長さのピッチと略等しい。印字準備モードにおいては、字型部16c及び対応の係合部32cの裏面の全体が、頭頂側回転送り駒54の1個の表面43cに、はみ出しや引き込みのない状態に重畳される。
又、印字部4には字型部16にインクを供給するインク供給手段60が備えられている。インク供給手段60は枠30及び枠30の頭頂(52)側のキャップ62の内側に内蔵されて位置する。インク供給手段60はインクカートリッジ63を備える。インクカートリッジ63は、開口部66を有しインクを内蔵した箱体68と、開口部66に嵌入して該インクに接し外部に露出する露出面80を有するインク含浸体70と、カム72に当接するカム当接部74とを備える。
カム72は、頭頂側回転送り駒54の断面正六角形よりひとまわり大きい正六角形の板73から成り、頭頂側回転送り駒54に固定されて板73の面に直交する中心軸のまわりに頭頂側回転送り駒54と同軸で回転可能とされている。
一方、インクカートリッジ63は、印字準備モードにおける最も頭頂側に位置する字型部16に向けて近接したりその字型部16から乖離することが可能なように挿入ガイド孔76に挿入されて、露出面80が字型部16cの表面に面するように配される。挿入ガイド孔76は、枠30に固定された挿入ガイド床78に形成されている。カム72が回転すると、インクカートリッジ63が、字型部16cから近接又は乖離し、インクカートリッジ63の近接時に露出面80が字型部16cの表面に接触してその表面にインクが付着する。
インクカートリッジ63はカートリッジ付勢手段90により字型部16cに向けて付勢されている。カートリッジ付勢手段90はコイルバネ92とバネホルダ94により構成されるが、他の、例えば板バネ等の弾性部材を用いた構成であってもよい。コイルバネ92とバネホルダ94はキャップ62の内壁面とインクカートリッジ63との間に配されている。
符号102は、頭頂側回転送り駒54を介して無端状ベルト18を手動送りする手動円板である。手動円板102は頭頂側回転送り駒54に隣接してシャフト56に中心部を貫通させてシャフト56を軸として回転可能に装着され、頭頂側回転送り駒54と側面同士で係合している。手動円板102の手動回転により頭頂側回転送り駒54が回転し無端状ベルト18が手動送りされる。手動円板102が頭頂側回転送り駒54に固定されていてもよい。
字型部16は図2に示すように、ケース部17に字型ブロック19が嵌めこまれた構成となっている。字型ブロック19は表面に字型35が形成されたブロックであり、インクを含浸して保持できる多孔質体から成る。ケース部17は上方に開口され無端状ベルト18の表面に連接して設けられている。インクカートリッジ63からインク含浸体70(図1)を介して字型35に付与されたインクは、字型35に含浸されて保持されるので、字型35はかすれることなく印字でき、複数回の印字も出来る。
図1の印字準備モードの状態(図3(a))から、枠体6の開口13の縁部15を基盤25上に載置された被印字物23に当接させ、印字部4を被印字物23に向けて押し付ける方向に移動して中間の状態(図3(b))を経て印字モードの直前(図3(c))に至る態様を示す。
更に、本発明においては、無端状ベルト18に、桁上がり時に送り爪8を係合部32に選択的に作用させるための桁上がり開口が設けられる。この態様を図4に示す。図4においては、送り爪8aが1位の桁の無端状ベルト18aに対応し、送り爪8bが10位の桁の無端状ベルト18bに対応する。1位の桁から桁上がりするための桁上がり開口88が無端状ベルト18aに設けられる。無端状ベルト18bに設けられる桁上がり開口88bは10位の桁から桁上がりするためのものであり、100位の桁用の無端状ベルトが併設された場合に機能する。送り爪8aと送り爪8bは共通の中空軸シャフト90に各根元で固定され連動する。
無端状ベルト18aが、桁上がり直前の文字(図4では数字9)以外の文字(図4では数字0〜8)を印字するモードに位置するときに、送り爪8aの先端尖部37aが係合部32aと無端状ベルト18aの周方向に連接する平坦部39の上面に当接し、先端尖部37aはそれ以上無端状ベルト18aの内側方向に移行することはない。なお、平坦部39も印字部4の無端状ベルト18aの周方向と直交する方向の側部に設けられる。平坦部39の上面は、係合部32のスロープ面38の立ち下がった端と面一となっている。係合部32の急峻面36は平坦部39の上面端から立ち上がっている。
このような構成により、送り爪8bは、無端状ベルト18aが、桁上がり直前の文字(図4では数字9)以外の文字(図4では数字0〜8)を印字するモードに位置するときに、一定の位置にとどまり、それ以上無端状ベルト18bの内側方向に移行することがなく、その位置においては、送り爪8bの先端尖部37bが無端状ベルト18bの係合部32bの立ち上がりの先端よりも、無端状ベルト18bからみた外側に位置するので、送り爪8bと係合部32bとが係合せず、無端状ベルト18bは送り爪8bにより送り移動されない。無端状ベルト18aが、桁上がり直前の文字(図4では数字9)を印字するモードに位置するときに、送り爪8aの先端尖部37aが平坦部39に設けられた桁上がり開口88に挿入され、無端状ベルト18aが、桁上がり直前の文字以外の文字を印字するモードに位置するときに比べて更に無端状ベルト18aの内側方向に移行する。これにより、送り爪8bの先端尖部37bが、無端状ベルト18aが桁上がり直前の文字以外の文字を印字するモードに位置するときに比べて更に無端状ベルト18bの内側方向に移行し、送り爪8bが係合部32bに係合して、送り爪8bの無端状ベルト18bの周方向への移動で、無端状ベルト18bが送り移動され桁上がりが行なわれる。
なお、無端状ベルト18(18a、18b等)は、断面矩形の無端状基礎ベルト18sと、無端状基礎ベルト18sのおもて面に、周方向に列配された字型部16と、字型部16の無端状基礎ベルト18sの周方向と直行する方向に隣接して、無端状基礎ベルト18sのおもて面に、周方向に交互に列配された平坦部39と係合部32とから構成されている。
図5に示す態様の一例のように、枠体6は印字部4から乖離する方向に付勢される。枠体6は枠30を介して枠体付勢手段94により付勢される。枠体付勢手段94は、枠体6の開口11の縁部から頭頂に向けて突設されたガイド棒96と、枠30の内側側面から内側に突出して設けられ、ガイド棒96を挿通させる孔98を有するブラケット99と、ガイド棒96を挿通させてブラケット99と開口11の縁部の間に収められた圧縮コイルバネ100とから構成される。
本発明の印字器2は、無端状ベルト18に送り爪8を係合する係合部32を設けることにより、又、更に無端状ベルト18に桁上がり開口88を設けることにより、ゴム帯体車の側面に固定した数字送りギャーを必要とせずきわめてコンパクトで組み立て作業の容易な構造を実現出来る。本発明の印字器の組み立て構成の一例を図6の分解図に示す。図6においては、枠30(図1)に相当する枠が、外側壁部130、内側壁部132、前面部134、後面部136、カートリッジ挿入面138から構成され、内側壁部132が内側前壁部132aと、内側後壁部132bとに分割されている。前面部134と一対の内側前壁部132aとは一体に成形されている。後面部136と一対の内側後壁部132bとは一体に成形されている。符号140は印字器2の不使用時に枠体6の開口13を着脱自在に覆う着脱自在キャップである。なお、インクカートリッジ63はカム72のサイズにあわせた形状となっており、図1に示す態様と形状が若干異なる。符号89は手動円板102の、頭頂側回転送り駒54の側面に面接する面接面に設けられた逆回転止め突起であり、頭頂側回転送り駒54の側面に形成された不図示の係合陥没部に係合して、手動円板102の回転により、一方向のみに頭頂側回転送り駒54が駆動される。逆回転止め突起89は鋸刃状の急峻に立ち上がる急峻面93となだらかに円周方向に立ち下がるスロープ面95とを有する。急峻面95は、円周方向と直交している。又、図6においては、送り爪8の付勢手段、枠体付勢手段94及びカートリッジ付勢手段90が不図示である。符号157は止め輪、符号159は止め輪溝である。
なお、図6においては、枠30及びキャップ62の形状が図1に示す態様と異なっている。図6に示す印字器2の組み立てられた外観図を図7に示す。本発明の印字器2は購買意欲をそそる外観と、筆記具感覚で印字出来る使いやすさが実現されている。このように、本発明の印字器のコンパクトな内部機構により、従来のメカニックで厳つく角張った外観をなくした形状と、使いやすい形状デザインの実現が可能となった。図7(a)は着脱自在キャップ140を外した状態、図7(b)は着脱自在キャップ140を装着した状態である。更に、本発明の印字器は、キャップ62を印字部4と反対方向に延出させ全体をペン状にすることにより、筆記の操作と同様の持ち方で印字することができるような形状の実現が可能である。
枠体6は、透明樹脂を用いて成形されて成ることが好ましい。枠体6が透明であると印字するときに印字の位置を透視できるので印字の作業性が向上する。又、枠30の外面は弾性樹脂で被覆されていることが好ましい。弾性樹脂の被覆により滑りにくくかつ、感触も良好となる。
本発明においては、字型部16へのインクの付与がこのようなインクカートリッジ63により行なうことが出来るので、非使用時に字型部16をカバーする着脱自在キャップ140がきわめてコンパクトなものでよい。従来の印字器においては、字型部へのインクの付与が大きく揺動するインク付与アームを用いて行なわれるので、非使用時の字型部に付着しているインクが他の物に付着するのを防止するため印字器に着脱自在なカバーを付けることを試みても、そのカバーは嵩高なものとなり、現実にはそのようなカバーは採用されていない。
着脱自在キャップ140は、透明樹脂を素材として成形されて、非使用時に字型部16が透視可能とされてもよい。字型部16が透視可能であることにより、例えば書体あるいはインクの色の異なる複数の印字器から所望の印字器を着脱自在キャップ140を装着したままで選別出来る。
本発明の他の態様においては、図8に示す印字器2aのように、字型部16へのインクの付与が挿入型インクカートリッジ120により行なわれる。挿入型インクカートリッジ120は枠30aの側壁に形成された挿入口122から枠30aの内部に挿入されて無端状ベルト18aaの周の内側に装着される。又、無端状ベルト18aaの手動送りは頭頂側回転送り駒54a用のシャフト56aの一端に設けられ枠30aの外側に位置する回転つまみ124の手動回転を介して行なわれる。
回転つまみ124の手動回転による頭頂側回転送り駒54aの駆動は、シャフト56aと回転伝達円盤170を介して行なわれる。回転伝達円盤170はシャフト56aに中心の貫通孔を貫通されて頭頂側回転送り駒54aの側面に面接して装着されている。図11に示すように、回転伝達円盤170は貫通孔172の周面に回り止め溝174が形成され、シャフト56aの表面に設けられた回り止め突起175(図8)に係合する。シャフト56aの回転が回り止め突起175を介して回転伝達円盤170に伝達される。又、回転伝達円盤170はシャフト56aの長手方向に摺動可能となっている。
一方、図11に示すように、回転伝達円盤170の、頭頂側回転送り駒54aの側面182に面接する面接面176に逆止突起178が形成されている。逆止突起178は、鋸刃状の急峻に立ち上がる急峻面180となだらかに円周方向に立ち下がるスロープ面182とを有する。急峻面180は、円周方向と直交している。
回転伝達円盤170の側面182には逆止突起178と対応する位置に、係合陥部184が形成されている。係合陥部184は、側面182から急峻に陥没する急峻陥没面186と急峻陥没面186の最深部から側面182に向けてなだらかに円周方向に立ち上がる陥没スロープ面188とを有する。逆止突起178が係合陥部184に係合して、回転伝達円盤170の回転が一方向にのみ頭頂側回転送り駒54aに伝達される。側面182が逆止突起178に乗り上げようとするときには、押しバネ190(図8)が歪んで面接面176と側面182とが乖離する。押しバネ190は、シャフト56aに同軸に固定された固定円盤192と回転伝達円盤170の間に設けられている。
挿入型インクカートリッジ120の働きを説明すると、挿入型インクカートリッジ120はインクを内蔵し、両側部に開口128を有する箱体130と、開口128に嵌入して該インクに接し外部に露出する露出面132(図10)を有するインク含浸体134とから構成される。
一方、図9の断面模式図に示すように、無端状ベルト18aaは、長手方向に延びる層構造を有しており、表裏両面の最外層142、144が、非透水性の素材から構成される。表側の最外層142と、裏側の最外層144にサンドイッチ状に挟まれてインクを含浸する多孔質体156から成るインク含浸層146が設けられる。裏側の最外層144には各字型部16xに対応してインク用開口150を備える。インク用開口150の縁部152が周の内側に向けて突出している。縁部152に囲まれた多孔質体156が外部に露出して裏側露出面160を形成している。字型部16xはインクを含浸する多孔質体から成り、インク含浸層146と面接している。図10に示すように、無端状ベルト18aaが移動して裏側露出面160が露出面132と順次接触することにより、挿入型インクカートリッジ120中のインクがインク含浸層146に含浸され、更に字型部16xの印字面に達する。
図8に示す態様は、挿入型インクカートリッジ120が無端状ベルト18aaの周の内側に装着され、かつ、手動円板102やカム72(図1)を要しないのでよりコンパクトで簡易な構造を得ることが出来る。
本発明の更に他の態様においては、図12に示すように、各字型部16aの無端状ベルト18abの周方向の側部170が送り爪8と係合する係合部32gとなっている。この態様は、図1の態様にくらべて更にコンパクトな構成が得られる。但し、送り爪8が印字部の方向に移動するとき、送り爪8の先端が字型部16aの表面をこすることになる。
図13に、図12に示す態様において送り爪8が印字部の方向に移動するとき、送り爪8aの先端が字型部16aの表面をこすらないようにする態様の一例として、カム機構180の態様を示す。カム機構180は、枠30bの側壁182に設けられ、側壁182に一の面を面接させながら揺動自在に軸着したカムベース板184と、カムベース板184に固定された略への字型に折られたカム板186と、送り爪8aの側面に固定されたスライダ突起188と、側壁182に取り付けられ、カムベース板184が下降したときカムベース板184の下縁部に当接するストッパ190と、側壁182に取り付けられ、カムベース板184を下方に付勢するスプリング部185とから構成される。符号194は、側壁182とカムベース板184との軸着部である。カム板186は、折り目線196をカムベース板184の面と直交させて、折り目線196を間にする長板部200と、短板部202とから成る。長板部200の長手方向は送り爪8aの腕204と略平行に配されている。
図14にカム機構180の作動態様を示す。(a)は送り爪8aが字型部を押し切った直後に図面視左方に移動を開始した状態であり、更に図面視左方に移動して(b)の状態に移行する。このとき送り爪8aの先端が、スライダ突起188が短板部202の上面を摺り上がることにより上昇する。スライダ突起188が長板部200の上面を摺動する(b)の状態から長板部200の左端に至る(c)の状態に達し、長板部200の左端からはずれて下降し(d)の状態になる。(b)の状態では送り爪8aの先端は字型部の表面の上方を通過する。(d)の状態で送り爪8aの先端は再び字型部と係合し、(e)の状態で字型部を押出しながら図面視右方に移動する。このとき、スライダ突起188は長板部200の下面の下方を通過する。(f)の状態でスライダ突起188が短板部202の下面に当接し、これによりカム板186が軸着部194を支点として上方に揺動する((g)の状態)。スライダ突起188が短板部202の先端を通過するとカム板186が上方に軸着部194を支点としてスプリング部185の付勢力により下降して(h)の状態となり送り爪8aが字型部を押し切った状態となる。次いで(a)の状態に戻る。
図15は、枠体6と枠30(図1)が乖離するときに送り爪8dが無端状ベルト18dの係合部32dに係合して字型部16を送り出す態様の一例である。この場合、図16に示すように、印字器2dは、枠体6と枠30dとが乖離する方向に枠付勢手段210を備える。枠付勢手段210は、枠体6の縁部から印字器の頭頂に向けて立設された一対の支柱212を備える。支柱212は、挿入ガイド床78を貫通して、キャップ62dの内側に達し、先端にバネ受け板214を備える。バネ受け板214とキャップ62dの頭頂側の内面との間に付勢ばね216が配されて、枠体6が、バネ受け板214及び支柱212を介して、枠体6と枠30dが乖離する方向に付勢される。この態様は、枠体6と枠30dとが近接して印字されるときに字型部16が送り出されないようにする機構が簡単である点で好ましい。
本発明においては、無端状ベルト、掛け渡し部、インク供給手段から成る印字ユニットは上述のように2個併設する態様以外に、3個以上併設して3桁以上の印字を行なう態様であってもよい。
又、例えば、図17に示す態様の、印字ユニット220を5個併設した印字器2gは、複数頁にわたる文書の頁数の表記に好適に用いられる。印字器2g(枠、枠体等は不図示)においては、印字文字の左側の2文字が、連番の頁数を表し、中間にスラッシが印字され、右側の2文字が総頁数を表す。連番の頁数を印字する無端状ベルト18−1、18−2は送り爪8により自動送りされ、総頁数を印字する無端状ベルト18−4、18−5及びスラッシを印字する無端状ベルト18−3は各手動円板102により手動送りされる。印字器2gのような態様は、月/日の印字にも好適に適用される。
本発明においては、係合部32、係合部32gのような係合部と係合する送り爪が使用する人の指で直接駆動されてもよい。この場合は、枠体(例えば枠体6)が印字部と近接又は乖離可能に結合された機構は不要となる。この態様の一例を図18の印字器2xに示す。図18においては、無端状ベルト18に設けられた係合部32に係合する送り爪8pが、押し駒256に連結され、押し駒256を指で押し上げることにより、送り爪8pを介して無端状ベルト18が駒送りされる。押し駒256と送り爪8pが可動部品250の構成要素となっている。送り爪8pは、一端に爪部88pを備えた帯状の板バネ251から成り、可動部品250は、送り爪8pと、送り爪8pの他端が固定された板状駒252と、板状駒252と連結片254を介して連結固定された押し駒256とから構成される。押し駒256の上面には指で押されたときの指とのすべり止めのため多条の筋溝260が形成されている。押し駒256の下面は平面状であり、板状駒252と間隔を隔てて平行に配されている。爪部88pが係合部32に係合する。
可動部品250は、無端状ベルト18を掛け渡し部20を介して保持する枠30pに、枠30pの壁面に沿って上下摺動可能に取り付けられている。即ち、枠30pに形成された上下方向のスリット262の間隙に連結片254が位置して、板状駒252と押し駒256とで枠30pの壁が挟まれた状態となっている。押し駒256をスリット262の長手方向に沿って指で図面視上方に押し上げることにより、送り爪8pと係合した係合部32が図面視上方に押し上げられて字型部16が駒送りされる。可動部品250が図面視下方に移動するときには、板バネ251が撓んで爪部88pの先端が係合部32を乗り越え、次の係合部32と係合する。可動部品250は押しバネ259を備えた押し駒付勢手段257により、無端状ベルト18の送り方向と逆方向(図面視下方向)に付勢されている。
図19は、図18に示す印字器2xの斜視図であり、図19(a)、図19(b)はそれぞれ、印字器2xの不使用時に枠体30pの開口13pを着脱自在に覆う着脱自在キャップ140pの装着時と非装着時である。
図18に示す印字器2pは、2本の無端状ベルト18が併設され、それぞれに押し駒256及び送り爪8pが備えられているが、図20の斜視図に示す印字器2qのように2本の無端状ベルト18−1、18−2が1個の共通の押し駒256を介してそれぞれ図21に示す送り爪8q1と送り爪8q2により駆動されてもよい。図20(a)、図20(b)はそれぞれ、印字器2qの不使用時に枠体30qの開口13qを着脱自在に覆う着脱自在キャップ140qの装着時と非装着時である。
図21に示すように、送り爪8q1と送り爪8q2は、それぞれ図4に示す送り爪8a、送り爪8bと同様の構造を有し、図4におけるように送り爪8q1と送り爪8q2は共通の中空軸シャフト90qに各根元で固定され連動する。中空軸シャフト90qは板状駒252qに軸29qを介して軸着して連結されている。送り爪8q1と送り爪8q2はV字板バネ40qにより無端状ベルト18の方向に付勢される。
図22に示すように、板状駒252qは連結片254を介して押し駒256qに連結固定される。板状駒252qと押し駒256qとは図18と同様の態様で枠30qに取り付けられている。押し駒256qの上下動即ち送り爪8q1と送り爪8q2の上下動による2本の無端状ベルト18−1、18−2の駒送りは図4における送り爪8a、送り爪8bによる無端状ベルト18a、18bの桁上がりを含む駒送りの態様と同様である。この駒送りの態様を矢印の順におって図23に示す。
又、図18に示す印字器2pは、スタンプ台を用いて字型部16の印字面に手動でインクを供給するが、図24に示す態様の印字器2rは、図8の印字器2aと同様の無端状ベルト18aaが用いられ、同様の挿入型インクカートリッジ120を内蔵して、図8の印字器2aと同様の機構で字型部16の印字面にインクが供給される。字型部16の駒送りは、図18の印字器2pと同様の機構で手動でなされる。あるいは、図22に示す印字器2qと同様の機構でなされてもよい。
以上本発明の印字器の態様を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものであり、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
本発明の印字器は、人が手で持って印字する態様のみならず、印刷機に取り付けて印刷と連動させて字を送りながら印字する用途にも適用出来る。
本発明の印字器の態様の一例を示す機構透視図であり、図1(a)、図1(b)はそれぞれ正面図、側面図である。 図1に示す印字器の字型部の構成を示す要部斜視模式図である。 図1に示す印字器の印字準備モードの状態(図3(a))から、中間の状態(図3(b))を経て印字モードの直前(図3(c))に至る態様を示す説明図である。 図1に示す印字器の印字部の構成を示す要部斜視図である。 図1に示す印字器の枠体付勢手段の構成の一例を示す機構透視模式図であり、図5(a)、図5(b)はそれぞれ正面図、側面図である。 本発明の印字器の組み立て構成の一例を示す分解図である。 図6に示す印字器の組み立てられた外観図を示す斜視図であり、図7(a)はキャップを外した状態、図7(b)はキャップを装着した状態である。 本発明の印字器の他の態様の構成を示す機構透視図であり、図1(a)、図1(b)はそれぞれ正面図、側面図である。 図8に示す印字器に用いられる無端状ベルトの構成を示す断面模式図である。 図8に示す印字器における無端状ベルトと挿入型インクカートリッジとの配置の関係を示す断面模式図である。 図8に示す印字器に用いられる回転伝達円盤と頭頂側回転送り駒54の形態を示す要部斜視模式図である。 本発明の更に他の態様における送り爪と係合部との関係を示す要部斜視模式図である。 図12に示す態様において送り爪の運動を制御するカム機構の態様の一例を示す正面図図12(a)、平面図12(b)、側面図12(c)である。 図13に示すカム機構の作動態様を(a)〜(h)に順次示す説明図である。 本発明の又更に他の態様における送り爪と係合部との関係を示す要部斜視模式図である。 図15に示す態様の印字器における、枠体と枠とが乖離する方向に付勢される枠付勢手段の一例を示す機構透視図であり、図16(a)、図16(b)はそれぞれ正面図、側面図である。 本発明の図1とは異なる態様の印字器の要部の構成を示す斜視図である。 本発明の図1とは更に異なる態様の印字器の構成を示す正面図(機構透視図)である。 図18に示す印字器の外観を示す斜視図であり、図19(a)、図19(b)はそれぞれ着脱自在キャップの装着時と非装着時である。 本発明の図19とは異なる態様の印字器の外観を示す斜視図であり、図19(a)、図19(b)はそれぞれ着脱自在キャップの装着時と非装着時である。 図20に示す印字器に用いられる送り爪の構成を示す分解斜視図である。 図20に示す本発明の印字器の構成を示す正面図(機構透視図)である。 図22に示す本発明の印字器における無端状ベルトの駒送りの態様を矢印の順に示す説明図である。 本発明の図18とは異なる態様の印字器の構成の一例を示す正面図(機構透視図)である。
符号の説明
2、2a、2d、2p、2q,2r:印字器
4:印字部
6:枠体
8:送り爪
16:字型部
18、18a、18aa、18d:無端状ベルト
20:掛け渡し部
30、30p、30q:枠
22、24:巻掛部
32:係合部
40:印字側回転送り駒
42:シャフト
54:頭頂側回転送り駒
56:シャフト
60:インク供給手段
62:キャップ
63:インクカートリッジ
68:箱体
66:開口部
80:露出面
70:インク含浸体
72:カム
74:カム当接部
90:カートリッジ付勢手段

Claims (2)

  1. 押印用の数字を刻印した字型部を表面の周方向に列配した無端状ベルトと、一対の巻掛部から成り該無端状ベルトが周方向に送り動可能に掛け渡される掛け渡し部とを含んで構成される印字部と、
    送り爪と
    を含んで成り、
    前記無端状ベルトに前記送り爪と係合する係合部が各前記字型部に対応して設けられ、
    前記送り爪が前記係合部に係合して移動することにより、前記無端状ベルトが前記係合部を介して周方向に送られる印字器であって、
    前記印字部が、前記字型部にインクを供給するインク供給手段を備え、
    前記印字部が前記掛け渡し部を保持する枠を備え、
    一の前記巻掛部がシャフトと回転送り駒とカムを備え、該シャフトの長手方向が前記無端状ベルトの周方向と直交し、該回転送り駒が該シャフトを介して前記枠に軸着し、該カムが該回転送り駒に固定されて該回転送り駒と同軸で回転可能とされ、
    前記インク供給手段が、開口部を有しインクを内蔵した箱体と、該開口部に嵌入して該インクに接し外部に露出する露出面を有するインク含浸体と、前記カムに当接するカム当接部とを有するインクカートリッジを備え、
    該インクカートリッジが、1の定められた位置にある前記字型部から近接又は乖離可能に配され、前記露出面が該字型部の表面に面して配され、
    該インクカートリッジが、該字型部から近接又は乖離し、近接時に前記露出面が該字型部の表面に接触して該表面にインクが付着する印字器。
  2. 前記字型部を構成する素材がインクを含浸可能な多孔質体から成る請求項1に記載の印字器。
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