JP4415476B2 - パネルのジョイント構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁面を構成するパネルのジョイント構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来のパネルのジョイント構造の一例を示す正面図、図12は図11のXII−XII断面図である。
【0003】
図11、図12において、1は建物開口の上部にある躯体、2は建物開口の下部にある躯体を示しており、壁面を構成するガラスパネル、アルミニウムパネル、断熱材の入った鋼板パネルなどのパネル3は、上縁と下縁とを躯体1、2にボルトなどの締結具4(図12参照)で固定し、必要に応じ横棧5を配置してパネル3の中間部をボルトなどの締結具4で横棧5にも固定し、複数のパネル3を躯体1、2間にならべて壁面を構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した図11、図12に示す従来のパネルのジョイント構造は、パネル3をボルトなどの締結具4で躯体1、2に固定する構造になっているため、躯体1、2間の寸法とパネル3上下の固定位置の寸法とが合わなかったり、構築の際に締結具4で固定する作業に手間がかかる問題があった。また、隣接するパネル3の間の隙間が大きくなって隙間から雨水が侵入したり、パネル3が躯体1、2および横棧5に固定されているため、地震などの層間変位によってパネル3が破損するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決し、構築が簡単で、隣接するパネルの間に隙間が生じたりパネルが破損するのを防止したパネルのジョイント構造を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、躯体に固定された上枠および下枠と、前記上枠および下枠に締結することなく建て込まれた複数のパネルとを備え、隣接する前記パネルの相対する縁の一方には縦方向に延在する凸部を設け、前記パネルの相対する縁の他方には縦方向に延在する凹部を設け、該凹部の両側に位置して凹部の側面を構成する凹部側部材のいずれか一方または双方を、パネルに対し着脱可能にし、前記凸部と凹部とを嵌合させて前記複数のパネルを並べたことを特徴とするパネルのジョイント構造を提供する。上記のパネルのジョイント構造は、パネルの上縁と下縁とを上枠および下枠に嵌め込むだけで建物の壁面を構成することができ、パネルの相対する縁は凸部と凹部とが嵌合して、隙間を生じることがなく、またパネルは躯体などに固定されていないので、地震などの層間変位によってパネルが破損することもない。更に、上記のパネルのジョイント構造は、凹部の側面を構成する凹部側部材を取り除くことにより、パネルの一部を簡単に取り外すことが可能になる。
【0007】
請求項2の発明は、躯体に固定された上枠および下枠と、前記上枠および下枠の角部に固定したコーナポスト部材と、前記上枠および下枠に締結することなく前記コーナポスト部材に隣接して建て込まれたパネルとを備え、前記コーナポスト部材とパネルとの相対する縁の一方には縦方向に延在する凸部を設け、前記コーナポスト部材とパネルとの相対する縁の他方には縦方向に延在する凹部を設け、該凹部の両側に位置して凹部の側面を構成する凹部側部材のいずれか一方または双方を、パネルまたはコーナポスト部材に対し着脱可能にし、前記凸部と凹部とを嵌合させてコーナ部を構成したことを特徴とするパネルのジョイント構造を提供する。上記のパネルのジョイント構造は、パネルの上縁と下縁とを上枠および下枠に嵌め込むだけで建物の壁面を構成することができ、壁面に角部がある場合、角部がコーナポスト部材によって保護され、コーナポスト部材とパネルとは固定されていないので、地震などの層間変位によってパネルが破損することもない。更に、上記のパネルのジョイント構造は、凹部の側面を構成する凹部側部材を取り除くことにより、角部のパネルを簡単に取り外すことが可能になる。
【0010】
請求項の発明は、凸部と凹部との嵌合が水平方向に外れないようにする係止部片を前記凸部と凹部との嵌合部に設けたことを特徴とするパネルのジョイント構造を提供する。上記のパネルのジョイント構造は、凸部と凹部との嵌合を簡単に行なうことができ、嵌合させたパネルやコーナポスト部材は外れることがなく、また固定されていないので、地震などの層間変位によってパネルが破損することもない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図9は、本発明におけるパネル建て込み状態を示す縦断面図である。本発明においては、図9に示すように建物開口の上部にある躯体1に沿って、下向きコ字状の溝6を有する上枠7をボルトなどの締結具8により水平に固定する。また建物開口の下部にある躯体2には、上向きコ字状の溝9を有する下枠10を、上記上枠7の真下で平行するように埋め込みなどの手段によって固定する。
【0013】
11は、壁面を構成するガラスパネル、アルミニウムパネル、断熱材の入った鋼板パネル、またはこれらのパネルにガラス窓を嵌め込んだパネルなどの長方形のパネルであって、パネル11の縦方向の寸法は、パネル11の上縁を上枠7の溝6に深く嵌め込んだのち、パネル11の下縁を下枠10の溝9に落とし込むことにより、パネル11を上枠7と下枠10とに建て込むことができる寸法になっている。そして複数のパネル11を上枠7と下枠10との間に並べて建て込むことにより、壁面を構成するようになっている。
【0014】
図1は、本発明の概念の一例を示す水平断面図である。
【0015】
上述したように、上枠7や下枠10に締結することなくたんに上枠7と下枠10とに建て込み、しかも相互に締結することなく図1に示すようにたんに並べて相互に隣接するように建て込んだパネル11においては、図1における右側に位置しているパネル11の左側の縦方向の縁には縦方向に長く延びている凸部12が設けられており、図1における左側に位置しているパネル11の右側の縦方向の縁には、縦方向に長く延びていて上述の凸部12が嵌入し得る凹部13が設けられている。
【0016】
このように隣接する縦方向の縁の凸部12と凹部13とをたがいに嵌合させながら上枠7と下枠10(図9参照)との間に複数のパネル11を並べて建て込むことにより、複数のパネル11間には素通しになるような隙間が生ずることがなく、しかも凸部12と凹部13とは、上下方向およびパネル11の面方向には相対的に変位できるため、地震などによってパネル11が破損するようなこともない。なお、たがいに嵌合している凸部12と凹部13との間に、ゴムパッキン、ゴムチューブなどのシールを介在させることも可能である。
【0017】
図2は本発明の概念の他の例を示すもので図10のII−II断面図であり、図10は本発明の実施の形態の建物の角部を示す斜視図である。
【0018】
建物の角部の壁面を構築する場合には、図10に示すように上枠7の角部14と下枠10の角部14との間に鉛直のコーナポスト部材15を固定し、上枠7および下枠10の角部14に建て込んだ直角方向に隣接するパネル11、11の角部をコーナポスト部材15で保護させる。
【0019】
このコーナポスト部材15には、図2に示すように縦方向に長く延びる凹部13を設け、パネル11の縁の縦方向に長く延びている凸部12をコーナポスト部材15の凹部13に嵌合させる。なお、コーナポスト部材15に凸部12を設け、パネル11の縁には縦方向に長く延びる凹部13を設けて、たがいに嵌合させてもよい。これにより、コーナポスト部材15と、これに隣接するパネル11との間には、素通しになるような隙間が生じることがなく、また地震などによってパネル11が破損するようなこともない。
【0020】
図3は本発明の実施の形態の具体例を示す水平断面図、図4は図3の実施の形態に使用しているパネルの具体例を示す水平断面図、図5は図3の実施の形態に使用しているパネルの他の具体例を示す水平断面図である。
【0021】
図3は壁面の角部になっている箇所を示していて、コーナポスト部材15の図3における右方と上方とに、それぞれパネル16、17が交互に並べて建て込まれている。なお図示したパネル16、17は、複層のガラス板16a、17aを備えた場合を示している。
【0022】
交互に並べて建て込まれている一方のパネル17は、図4に示すように左右の縦方向の縁に縦方向に長く延びている凹部13が設けられている。この凹部13の図4における上側の側面を構成している凹部側部材18は、締結具19でパネル17に着脱可能に取り付けられている。そして凹部側部材18の先端部内側には、金属または合成樹脂などの弾性材料で作った係止部片20が締結具21で取り付けられ、さらにパネル17の部材強度を高めるための補強部材22が締結具23で取り付けられている。上述の凹部側部材18は、締結具23を外して補強部材22を取り除いたのち締結具19を外すことにより、パネル17から取り外すことができる。
【0023】
交互に並べて建て込まれている他方のパネル16は、図5に示すように左右の縦方向の縁に縦方向に長く延びている1対の凸部12が設けられており、さらに縦方向の縁に近接した側面に係合凹部24が設けられている。
【0024】
図3に示すようにコーナポスト部材15にも凹部13が設けてあって、その一側の先端部内側には、金属または合成樹脂などの弾性材料で作った係止部片20が締結具21で取り付けられている。そしてコーナポスト部材15の図3における右方と上方の凹部13にパネル16の凸部12を差し込むと、コーナポスト部材15の係止部片20がパネル16の係合凹部24に係合する。
【0025】
このようにコーナポスト部材15に隣接して建て込んだパネル16の凸部12に対し、パネル17の凹部13を嵌合させながらパネル17を建て込むと、パネル17の係止部片20がパネル16の係合凹部24に係合する。これによってパネル16に対してパネル17は、上下方向には変位可能であるが横方向には抜け出すことができないように建て込まれることになる。
【0026】
図3に示すように隣接して建て込んであるパネル16、17のいずれかを取り替える必要が生じたとき、取り替える必要があるのがパネル16である場合には両側に隣接しているパネル17の凹部側部材18を取り外し、また、取り替える必要があるのがパネル17である場合にはそれ自体の凹部側部材18取り外す。凹部側部材18は、図4で説明したように締結具23、補強部材22、締結具19を外すと、パネル17から取り外すことができ、その後パネル16、17を持ち上げることにより取外し、取り替える必要があるパネル16、17に交換することができる。
【0027】
図6は、本発明の実施の形態のさらに他の具体例を示す水平断面図である。
【0028】
図6の実施の形態においては、パネル17の左右の縦方向の縁に縦方向に長く延びている凹部13の両側の側面を構成している凹部側部材18を締結具19でパネル17に着脱可能に取り付けている。この実施の形態では、凹部13のいずれの側の凹部側部材18でもパネル17から取り外すことが可能であり、パネル16、17を取り替える際には、パネル16、17を都合のよい側に取り外すことができることになる。
【0029】
図7は、本発明の実施の形態のさらに他の具体例を示す水平断面図である。
【0030】
図7の実施の形態においては、コーナポスト部材15に凸部12を設け、このコーナポスト部材15の凸部12にパネル17の凹部13を嵌合させながらパネル17を建て込み、このパネル17の凹部13にパネル16の凸部12を差し込んでパネル16を建て込むようにしている。この実施の形態のパネル17の凹部13は、両側の凹部側部材18を着脱可能にしたものと、片側の凹部側部材18を着脱可能にしたものとになっている。
【0031】
図8は、本発明の実施の形態のさらに他の具体例を示す水平断面図である。
【0032】
図8の実施の形態においては、コーナポスト部材15に被覆金具25を締結具26で着脱可能に取り付け、コーナポスト部材15に設けた凹部13の凹部側部材を被覆金具25が兼ねているもので、被覆金具25をコーナポスト部材15から取り外すことにより、コーナポスト部材15に隣接して建て込んであるパネル16の凸部12をコーナポスト部材15の凹部13から外すことが可能になる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1の発明は、パネルの上縁と下縁とを上枠および下枠に嵌め込むだけで建物の壁面を簡単に構成することができ、パネルの相対する縁は縦方向の凸部と凹部とが嵌合しているため、パネル相互間に隙間が生じることがなく、パネルが固定されていないためにパネルが地震などによる層間変位で破損を生じない効果がある。更に、凹部の側面を構成する凹部側部材を取り除くことにより、隣接するパネルの凸部を凹部からずらして、パネルの一部を簡単に取り外すことができる効果がある。
【0034】
請求項2の発明は、壁面角部がコーナポスト部材によって保護され、コーナポスト部材とパネルの相対する縁との間に隙間が生じることがなく、パネルが固定されていないためにパネルが地震などによる層間変位で破損を生じない効果がある。更に、凹部の側面を構成する凹部側部材を取り除くことにより、角部のパネルを任意の側に簡単に取り外して交換できる効果がある。
【0037】
請求項の発明は、凸部と凹部との嵌合を簡単に行なうことができ、嵌合させたパネルやコーナポスト部材は外れることがなく、パネルが固定されていないためにパネルが地震などによる層間変位で破損を生じない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の概念の一例を示す水平断面図である。
【図2】 本発明の概念の他の例を示すもので図10のII−II断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態の具体例を示す水平断面図である。
【図4】 図3の実施の形態に使用しているパネルの具体例を示す水平断面図である。
【図5】 図3の実施の形態に使用しているパネルの他の具体例を示す水平断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態のさらに他の具体例を示す水平断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態のさらに他の具体例を示す水平断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態のさらに他の具体例を示す水平断面図である。
【図9】 本発明におけるパネル建て込み状態を示す縦断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態の建物の角部を示す斜視図である。
【図11】 従来のパネルのジョイント構造の一例を示す正面図である。
【図12】 図11のXII−XII断面図である。
【符号の説明】
1、2 躯体
7 上枠
10 下枠
11 パネル
12 凸部
13 凹部
14 角部
15 コーナポスト部材
16、17 パネル
18 凹部側部材
20 係止部片

Claims (3)

  1. 躯体に固定された上枠および下枠と、前記上枠および下枠に締結することなく建て込まれた複数のパネルとを備え、隣接する前記パネルの相対する縁の一方には縦方向に延在する凸部を設け、前記パネルの相対する縁の他方には縦方向に延在する凹部を設け、該凹部の両側に位置して凹部の側面を構成する凹部側部材のいずれか一方または双方を、パネルに対し着脱可能にし、前記凸部と凹部とを嵌合させて前記複数のパネルを並べたことを特徴とするパネルのジョイント構造。
  2. 躯体に固定された上枠および下枠と、前記上枠および下枠の角部に固定したコーナポスト部材と、前記上枠および下枠に締結することなく前記コーナポスト部材に隣接して建て込まれたパネルとを備え、前記コーナポスト部材とパネルとの相対する縁の一方には縦方向に延在する凸部を設け、前記コーナポスト部材とパネルとの相対する縁の他方には縦方向に延在する凹部を設け、該凹部の両側に位置して凹部の側面を構成する凹部側部材のいずれか一方または双方を、パネルまたはコーナポスト部材に対し着脱可能にし、前記凸部と凹部とを嵌合させてコーナ部を構成したことを特徴とするパネルのジョイント構造。
  3. 凸部と凹部との嵌合が水平方向に外れないようにする係止部片を前記凸部と凹部との嵌合部に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルのジョイント構造。
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