JP4415147B2 - 新規ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規ゼオライトの製造方法に関するものであり、更に詳しくは、化学組成が[(Si36-X・O72)・MZ ](式中、MはLi、Na、K、Rb、Csに代表されるアルカリ金属イオンを表し、xは0≦x≦3.0、zは0≦z≦3.0の範囲を表す。)で表され、Si−Oの4面体配位の繰り返し単位をシリケート基本構造に持ち、ケイ素5員環及び8員環からなる細孔構造を有する、新規ゼオライトCDS−1の製造方法に関するものである。
本発明は、近年、高機能触媒として非常に注目されている新しい構造を有する高シリカゼオライトの技術分野において、例えば、分離・吸着剤、形状選択性固体触媒、イオン交換剤、クロマトグラフィー充填剤、化学反応場等に用いることのできる高シリカ組成のゼオライトを、その前駆体を比較的低温でゼオライトへ転換することにより作製することを可能とする新規な高シリカ組成のゼオライトの製造方法を提供するものとして有用である。
ゼオライトは、原子レベルで規則的に配列したマイクロ孔(3−10Å)を有し、例えば、骨格構造の構成元素が、Si、Al、Oからなるアルミノシリケートは、形状選択的な、あるいは骨格構造に起因した、化学的・物理的吸着作用を持つことから、モレキュラーシーブ(分子ふるい)、分離吸着剤、イオン交換体、石油関連触媒等としての機能を有する。従来、天然及び合成ゼオライトとして、140種類ほどの異なる構造が知られており、それと骨格元素の組成を組み合わせることで、目的に合わせた化学的性質や構造安定性、耐熱性を兼ね備えた多孔質材料のゼオライトが、石油化学を中心とする幅広い産業分野で用いられている。
各ゼオライトは、規則的な細孔構造を持つ結晶構造により区別され、一義的なX線回折パターンを与える。そして、その結晶構造は、ゼオライトの細孔や空孔の形や大きさを規定する。各モレキュラーシーブの吸着特性や触媒性能は、部分的には、その細孔や空孔の形や大きさで決まる。したがって、特定の応用を考えた場合、ある特定のゼオライトの有用性は、少なくとも部分的には、その結晶構造に依存する。実用に供されているゼオライトは、構造面から分類すれば、10数種類にすぎない。これは、使用に当たっての機械的強度や耐熱性が低いものが多いことによる。
高シリカ組成のゼオライトは、耐熱性が高い、及び疎水性が高い、という2つの意味で、低シリカ組成よりも優れており、充分な機械的強度を備えている。これらの性質は、ゼオライトを、有機反応の触媒として使用する場合に重要である。ゼオライト合成研究の初期の段階では、シリカ/アルミナ比の低い生成物しか得られていなかったが、シリカ源からなる出発ゲル中に、有機結晶化調整剤を加えることで、はるかにシリカ/アルミナ比の高い組成を持つゼオライトの合成が可能になった(非特許文献1参照)。例えば、MFI型ゼオライト(シリカライト)は、高い疎水性を有し、分離吸着剤として用いられている。
ゼオライトの触媒性能や吸着特性は、細孔や空孔の大きさや形状、すなわち、その結晶
構造に依存するが、現在、工業利用が可能なゼオライトの種類は限られており、更に用途を拡大するためには、新規の結晶構造を有するゼオライトの合成が望まれる。特に、新規構造を持った、耐熱性の優れた高シリカゼオライトの合成は、近年、注目されている気相ベックマン転位による、例えば、ナイロンの原料であるε−カプロラクタムの生成反応などにおける高機能触媒として、非常に有用であると考えられる(特許文献1、特許文献2参照)。
これらのゼオライトは、一般に、水熱合成法、すなわち、大量の水と、アルミニウム源、シリカ源、アルカリ金属、及びアミン類などの有機結晶化調整剤(生成するゼオライトの細孔を形成する鋳型剤)とを、所望の化学組成になるように調合し、オートクレーブ等の圧力容器にそれらを封じ込めて、加熱することにより、自己圧下で製造されている。近年、触媒・材料分野では、より大孔径の高シリカゼオライトの合成が、課題となっている。
そのためのアプローチの一つとして、有機結晶化調整剤の空間的なサイズを大きくすることで、生成ゼオライトの細孔径も広がるものと期待される。今日では、有機結晶化調整剤は、ゼオライトの結晶化プロセスに重要な役割を担うと考えられている。有機アミンあるいは4級アンモニウムカチオンを調整剤として使用することは、1960年代初頭に最初に報告された(非特許文献2参照)。その後、このアプローチにより、多くの新規ゼオライトが発見されるに至っただけでなく、生成する結晶性生成物の化学組成範囲を、従来よりも広げた。
しかし、4級アンモニウムカチオンなどの一部の有機結晶化調整剤を除いて、多くの有機結晶化調整剤では、ゼオライト骨格を形成するための分子設計の指針も確立しておらず、そのような有機結晶化調整剤を用いたゼオライトの合成では、高度な技術と時間を要する。また、工業的には、それらの有機結晶化調整剤を燃焼させ、ゼオライト中から除去するプロセスも必要となり、コストや環境面で、問題がある。また、水熱合成法では、結晶化のメカニズムが、いまだ明確にはなっていないという問題がある。
また、従来の水熱合成法は、一段合成の場合であり、そのため、新規な結晶構造を有するゼオライトを合成するには、様々な合成条件を細かく試行・調査するしかなく、特に、骨格構造を任意に作り上げることは、困難とされていた。この問題は、従来型の合成法では、物質設計に関する、明確な設計プロセスが構築されていないために生じると考えられている。多機能なゼオライト化合物を新たに製造するための1つの考え方として、原子レベルで高度に規則化した層状珪酸塩化合物の基本骨格部位(ナノパーツ)を用い、積み木細工のように新化合物を設計し、組織化させることが考えられる。しかしながら、所望のパーツのみを均一に合成すると同時に、それらを効率的につなぎ合わせる論理的方法は、難しいとされてきた。
また、これまで、TMA型のマガディアイト(TMA−Magadiite)を加熱処理すると、SOD型ゼオライトである結晶性ミクロポーラスアルカリ金属メタロシリケートが得られ、更に、非減圧下にて焼成しても、その基本構造が保持されることは知られていた(特許文献3参照)が、本発明に係るゼオライト(CDS−1)の前駆体である有機結晶化調整剤含有層状珪酸塩(PLS−1)を加熱処理する手段としては、非減圧下にて焼成するという手段などは考えられていなかった。
特開2000−256308号公報 特開2000−256309号公報 特開2003−73115号公報 R. M. Barrer,「Hydrothermal Chemistry of Zeolites」, New York,AcademicPress Inc.,pp.157-170 (1982) R. M. Barrer and P. J. Denny, J. Chem. Soc., pp.971-982 (1961)
本発明が取り扱うゼオライトCDS−1は、ナノパーツをつなぎ合わせることにより製造された最初の例であるが、その製造過程では、高真空下での排気焼成という、非常に制限された特殊な作業環境、操作が必要であった。すなわち、高真空条件を整えるための設備、操作などのコストを考慮すると、産業利用への応用には難しい部分があった。また、条件によっては、層状珪酸塩中に含まれる有機アミンを完全に除去して、良質なゼオライトを得るために、再度精製のための焼成を行わなくてはならないが、これは、二度手間となり、しかも大変高度な操作上の技術を必要とするのと同時に、エネルギー、コストの大幅な消費となる場合があった。
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、効率的で産業への応用にも適した簡便な技術操作により、それらのナノパーツをつなぎ合わせる技術手法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、効率的な新規ゼオライトCDS−1の製造方法を確立することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明は、新しい結晶構造を有する高シリカ含有ゼオライトを、効率的に製造することを可能とする新規なゼオライトの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)化学組成が[(Si36−X72)・M](式中、MはLi、Na、K、Rb、又はCsのアルカリ金属陽イオンを表し、xは0≦x≦3.0、zは0≦ z ≦3.0の範囲を表す。)で表され、粉末X線回折パターンにおける格子面間隔d(Å)が少なくとも下記表1に記載されたものであるゼオライトの製造方法であって、1)前駆体の有機結晶化調整剤含有層状珪酸塩を、純酸素流通下もしくは存在下において、脱水重縮合させること、2)脱水重縮合させる際の加熱温度が、300℃〜700℃であること、3)脱水重縮合させる際の加熱温度に達するまでの昇温速度が、毎分0.1℃〜50℃であること、4)300℃〜700℃に達してから、その温度に少なくとも5時間保持すること、を特徴とするゼオライトの製造方法。
Figure 0004415147
(2)前駆体の層状珪酸塩が、シリカ源、アルカリ金属陽イオンを生成するアルカリ金属源、直径3.0オングストローム以上の有機結晶化調整剤及び水からなる混合溶液から、水熱合成法により製造した有機結晶化調整剤含有層状ケイ酸塩であることを特徴とする、前記(1)に記載の製造方法。
(3)シリカ源が、SiOであり、アルカリ金属源が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩からなる群のうちの一種以上であることを特徴とする、前記(2)に記載の製造方法。
(4)直径3.0オングストローム以上の有機結晶化調整剤が、テトラアルキルアンモニウム塩であることを特徴とする、前記(2)に記載の製造方法。
(5)前駆体の層状ケイ酸塩の化学組成が、[(Si18−X38)・M・(TMA)・(HO)w](式中、Mはアルカリ金属陽イオン、TMAはテトラアルキルアンモニウム陽イオンを表し、xは0≦
x ≦1.2、yは0.5≦
y ≦1.5、zは6≦
z ≦8、wは0.02≦
w ≦1.5の範囲を表す。)で表されるものであることを特徴とする、前記(1)に記載の製造方法。
純酸素の流量が、製造するゼオライト35ミリグラム当たり、毎分10ミリリットル以上であることを特徴とする、前記(1)に記載の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
CDS−1ゼオライトの前駆体となる結晶性層状珪酸塩は、固体NMRによる測定から、Si−Oの4面体配位の繰り返し単位をシリケート基本構造に持ち、層状シリケートの層間内に有機結晶化調整剤を含んでいる。そして、この前駆体の有機結晶化調整剤含有層状珪酸塩は、シリカ源、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属イオンのアルカリ源、直径3.0オングストローム以上のアミン等の有機結晶化調整剤及び溶媒からなる混合溶液から合成される(池田卓史、秋山義勝、水上富士夫,第18回ゼオライト研究発表会予稿集,第76頁(2002)参照)。
シリカ源としては、好適には、例えば、SiO(具体的には、Cab−O−Sil
M5、CABOT Co.製)等が使用されるが、これらに制限されるものではない。この製造方法で用いる有機結晶化調整剤としては、層間内にアクセスできるものであり、層間を広げることができるもの、あるいはシリケート骨格構造を形成する鋳型としての作用を有するものであれば、従来公知のものが全て使用できる。例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などの四級アルキルアンモニウム塩及びアミン類、ホスホニウムイオン(R4P+:Rは,水素、炭素数10以下のアルキル基あるいはアリール基)などが挙げられる。本発明で好ましく使用されるのは、テトラメチルアンモニウム塩である。
この製造方法における、反応成分とその反応モル比は、一般式が[(Si18−X38)・M(TMA)・(HO)](式中、MはNa、K、Li等のアルカリ金属陽イオン、TMAはテトラアルキルアンモニウム陽イオンを表し、xは0≦ x ≦1.2、yは0.5≦ y ≦1.5、zは6≦ z ≦8、wは0.02≦ w ≦1.5の範囲を表す。)で表される。
原料を混ぜ合わせてできるゾル・ゲル混合溶液からの、結晶性層状化合物の合成の反応プロセスでは、多量の水が存在する状態で加熱処理をする場合、オートクレーブなどの反応容器中でゾル・ゲル混合溶液を加熱して、反応を進行させる。加熱温度は、特に制限はないが、好ましくは、140から170
℃、反応時間は、好ましくは、7から15日である。得られた粉体は、アセトンと水で洗浄し、乾燥させる。
この生成物は、粉末X線回折パターンから、表2に示される回折ピークで表される結晶構造を有する。本明細書において、この層状珪酸塩を、PLS−1と記載する。また、図1に、PLS−1の粉末X線回折(XRD)チャートを示す。測定方法については、粉末X線回折(XRD)パターンは、マックサイエンス社M21Xを使用し、CuKα線を用いて、0.02゜間隔のステップスキャンにより得た。窒素吸着等温線は、島津製作所社ASAP2010により、77K(液体窒素)にて測定した。また、生成物の化学組成は、ICP分析(セイコーインスツルメント株式会社製SPS−1500R)により決定した。29Si−MASNMRについては、ブルカーバイオスピン社AMX−500を使用した。
Figure 0004415147
このようにして得られたPLS−1のみを、パイレックス(登録商標)製又は石英製の管に入れ、純酸素流通下もしくは存在下、こ純酸素を流しながら加熱処理(焼成)して、脱水重縮合を行うことにより、CDS−1を得る。本発明においては、純酸素、乾燥空気(参考例)使用される。本発明では、好適には、前駆体の有機結晶化調整剤含有珪酸塩1グラム当たり、純酸素を毎分1リットル以上接触させることにより、脱水重縮合させる。
具体的には、加熱処理(焼成)は、例えば、管状石英管(内径35ミリ、長さ400ミリ)中に、試料であるPLS−1を入れ、セラミックス電気管状炉中で純酸素を流しながら行う。加熱処理温度は、毎分0.1℃〜50℃の昇温速度、好ましくは、毎分5℃以下の昇温速度で、常温から300℃〜700℃まで昇温し、300℃〜700℃に達してから、その温度に5時間以上保持する。本発明では、上記加熱処理工程において、昇温速度を所定の範囲に制御することが重要である。ゼオライトは、規則的な周期を持つ結晶であることから、急激な昇温焼成に伴う結晶構造の破壊を防ぎ、良質、均一な結晶構造を持ったゼオライトを製造するには、上記加熱処理時に、昇温速度を調節することにより所望のゼオライトが得られようにすることが必要である。
図2に、PLS−1を上記管状石英管に入れ、常温から毎分1℃の昇温温度で400℃まで昇温し、その温度で5時間保持した場合の、粉末生成物のXRDチャートを示す図1に示した前駆体の層状結晶性化合物PLS−1とは明らかに異なる、結晶性の化合物へと変化したことが見て分かる。
本発明の方法により得られた、前記粉末が、ゼオライトであることは、以下の、1)及び2)の方法により確認した。
1)図3には、前駆体のPLS−1とゼオライトCDS−1の、窒素脱・吸着等温図を示してある。前駆体のPLS−1とは異なり、CDS−1は、大幅に吸着窒素体積が増加しており、細孔構造を持った吸着表面積の大きなゼオライト化合物へと変化したことが分かる。
2)図4には、この方法により製造されたゼオライトCDS−1とその前駆体であるPLS−1の、29Si−MAS
NMRのスペクトル図を示してある。PLS−1は、層状結晶性化合物であり、QとQ骨格から起因するピークが確認されるが、CDS−1には、Qに帰属されるピークのみ確認された。通常、ゼオライトは、結晶外表面を除き、完全に閉じたSi−Oネットワーク構造であるために、統計的にはQシグナルのみが観測される。このことからも、局所構造が、ゼオライトに特有な細孔構造に起因したものであることが分かる。
このように、本発明の製造方法により得られる物質は、ゼオライトのX線結晶構造解析パターンを示し、窒素脱・吸着からは、吸着表面積の大きな細孔構造を有するゼオライト化合物であることを確認した。また、NMRスペクトルからは、本発明の製造方法により得られる物質は、Qに帰属されるピークのみが観測され、ゼオライト特有のSi−Oネットワークから構成される結晶性物質であることを確認した。
本発明は、新規ゼオライトの製造方法に係るものであり、本発明により、(1)新しい結晶構造を有し、低コストで、シリカ含有量が高いゼオライトが得られる、(2)このゼオライトは、マイクロ孔を有することから、金属担持用固体、分離・吸着剤、形状選択性固体触媒、イオン交換剤、クロマトグラフィー充填剤材料及び化学反応場などへ適用させることができる、(3)新しい結晶構造を有するCDS−1ゼオライトを、簡便な操作で容易に、しかも効率的に形成させることができる、(4)本発明の方法は、前駆体の骨格構造を、そのまま脱水重縮合させ、より高次元の構造体を得る方法であり、従来、非常に困難であった新規ゼオライトの、原子レベルでの構造設計について、新しい指針を与えるものである、(5)また、本発明の方法は、脱水重縮合の程度により、得られるゼオライトの物理的、化学的性質を異ならせる可能性を有しており、ゼオライト合成の新しい調製方法としての新しい概念を提供できる、(6)比較的低温で、ゼオライトへの転換が可能であるため、高温では分解するような金属酸化物を導入できる可能性を有しており、新規な骨格置換型ゼオライトの製造が可能になる、という効果が奏される。
次に、本発明を参考例及び実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
[参考例1]
(焼成温度の検討)
50ミリグラムのPLS−1を、非減圧下、毎分1℃の昇温温度で、支燃性ガスとして乾燥空気を毎分10ミリリットルの流量で流しながら、焼成を行った。図5は、200℃から700℃の間で、50℃間隔で、焼成温度を変えた場合の、得られた粉末のXRDチャートである。焼成温度の保持時間は、5時間とした。
この方法で良質なCDS−1ゼオライトを得るためには、焼成温度は、好ましくは、約300℃から約700℃未満の範囲、より好ましくは、350℃から500℃の範囲である。焼成温度が300℃未満では、目的のCDS−1ゼオライトへの構造の転換の進行が、遅くなり過ぎる。また、焼成温度が700℃以上の高温では、CDS−1由来の構造であるが、非晶質部分が多く存在するようになり、良質なCDS−1を得ることが、困難になる。
[参考例2]
(昇温速度の検討)
図6は、50ミリグラムのPLS−1を、非減圧下、支燃性ガスとして乾燥空気を毎分10ミリリットルの流量で流しながら、毎分1℃から20℃の間で、昇温速度を変えて400℃に昇温し、それぞれ5時間保持することで得られる粉末のXRDチャートである。
また、次の、a)〜d)についても、確認した。
a)毎分0.5℃の昇温でも、粉末XRD測定から、CDS−1と同一とみなされる生成物が得られた。
b)毎分0.1℃の昇温でも、粉末XRD測定から、CDS−1と同一とみなされる生成物が得られた。
c)毎分30℃の昇温でも、粉末XRD測定から、CDS−1と同一とみなされる生成物が得られた。
d)毎分50℃の昇温でも、粉末XRD測定から、CDS−1と同一とみなされる生成物が得られた。
以上のことから、昇温速度の違いより、得られるCDS−1ゼオライトについて、粉末X線結晶構造解析から著しい構造の相違点は認められないことが分かった。しかしながら、層状結晶性シリケートPLS−1に含まれる有機テンプレートの急激な焼成に伴う結晶構造の破壊を防ぐために、好ましくは、毎分5℃以下での昇温が望ましい。
[参考例3]
(焼成保持時間の検討)
焼成の保持時間については、これを特に指定しない。図7に、50ミリグラムのPLS−1を、乾燥空気(毎分10ミリリットル)の流量で流しながら、毎分1℃で400℃まで昇温し、それぞれの保持時間で焼成した場合の、XRDチャートを示す。
これにより、次の、a)〜c)が確認された。
a)焼成保持時間が短い場合、若干着色した粉末が得られるが、XRD測定から、この粉末は、CDS−1と同一の生成物であることが確認された。
b)長時間保持した場合、白色粉末として得ることができるが、XRD測定から、この粉末は、CDS−1と同一の生成物であることが確認された。
c)図7に示してはいないが、保持時間20時間でも、XRD測定から、CDS−1と同一とみなされる生成物が得られた。
以上のことから、焼成保持時間により、得られるゼオライトCDS−1の構造には、顕著な変化が認められないことが分かった。
[実施例1]
(支燃性ガスの検討)
50ミリグラムのPLS−1を、非減圧下、毎分1℃の昇温温度で、純酸素を毎分10ミリリットルの流量で流しながら、400℃で5時間、焼成を行った。得られる粉末は、XRD測定から、CDS−1と同一とみなされる生成物であった。
[参考例4]
(スケールアップでの検討)
10グラムのPLS−1を用い、マッフル炉にて、毎分1℃の昇温温度で、400℃に昇温し、10時間保持した。支燃性ガスとして、乾燥空気を用い、毎分13リットルの流量で流した。この方法により、7.21グラムの粉末を得た。XRD測定から、CDS−1と同一とみなされる生成物が得られた。
[参考例5]
(スケールアップでの検討)
9.51グラムのPLS−1を用い、マッフル炉にて、毎分1℃の昇温温度で、450℃に昇温し、10時間保持した。支燃性ガスとして、乾燥空気を用い、毎分13リットルの流量で流した。この方法により、6.70グラムの粉末を得た。XRD測定から、CDS−1と同一とみなされる生成物が得られた。
[参考例6]
(スケールアップでの検討)
5.27グラムのPLS−1を用い、マッフル炉にて、毎分1℃の昇温温度で、500℃に昇温し、10時間保持した。支燃性ガスとして、乾燥空気を用い、毎分7リットルの流量で流した。この方法により4.01グラムの粉末を得た。XRD測定から、CDS−1と同一とみなされる生成物が得られた。
以上詳述したように、本発明は、新規ゼオライトの製造方法に係るものであり、本発明により、新しい結晶構造を有し、低コストで、シリカ含有量が高く、マイクロ孔を有するゼオライトが得られる。このゼオライトは、金属担持用固体、分離・吸着剤、形状選択性固体触媒、イオン交換剤、クロマトグラフィー充填剤材料及び化学反応場などへ適用させることができる。
新しい結晶構造を有するCDS−1ゼオライトを、簡便な操作で容易に、低コストで、しかも効率的に形成することができる。本発明の方法は、前駆体の骨格構造を、そのまま脱水重縮合させ、より高次元の構造体を得る方法であり、従来、非常に困難であった新規ゼオライトの、原子レベルでの構造設計について、新しい指針を与えるものである。脱水重縮合の程度により、得られるゼオライトは、物理的、化学的性質が異なる可能性を有しており、本発明の方法は、ゼオライト合成の新しい調製方法としての概念を提供できる。比較的低温でゼオライトへの転換が可能であるため、高温では分解するような金属酸化物を導入できる可能性を有しており、新規な骨格置換型ゼオライトの製造が可能になる。本発明は、新たな構造と機能を有するゼオライトを、簡便な方法により、安価に供給することを可能にするものであり、ゼオライト利用分野において、新技術・新産業の創出を可能とするものである。
本発明に係るCDS−1ゼオライトの前駆体である、結晶性層状珪酸塩PLS−1の、粉末X線結晶構造解析のチャートを示す。 図1におけるPLS−1を、毎分1℃で400℃まで昇温し、5時間、焼成を行い得られたCDS−1ゼオライトの粉末X線結晶構造解析のチャートを示す。 図1におけるPLS−1及び図2におけるCDS−1ゼオライトの、窒素脱・吸着等温線を示す図(各履歴カーブにおいて、上が脱着等温線、下が吸着等温線)を示す。 図1におけるPLS−1及び図2におけるCDS−1ゼオライトの、29Si−MASNMR測定によるスペクトル図を示す。 参考例1の、毎分1℃でそれぞれの温度まで昇温し、各々の温度で5時間焼成して得られたCDS−1ゼオライトの粉末X線結晶構造解析のチャートを示す(比較のために、一番下に、前駆体の層状結晶性化合物PLS−1のXRDチャートを示す)。 参考例2の、400℃までそれぞれの昇温の速さで昇温し、5時間焼成して得られたCDS−1ゼオライトの粉末X線結晶構造解析のチャートを示す。 参考例3の、毎分1℃で400℃まで昇温し、それぞれの時間で焼成して得られたCDS−1ゼオライトの粉末X線結晶構造解析のチャートを示す。

Claims (6)

  1. 化学組成が[(Si36−X72)・M](式中、MはLi、Na、K、Rb、又はCsのアルカリ金属陽イオンを表し、xは0≦x≦3.0、zは0≦ z ≦3.0の範囲を表す。)で表され、粉末X線回折パターンにおける格子面間隔d(Å)が少なくとも下記表1に記載されたものであるゼオライトの製造方法であって、1)前駆体の有機結晶化調整剤含有層状珪酸塩を、純酸素流通下もしくは存在下において、脱水重縮合させること、2)脱水重縮合させる際の加熱温度が、300℃〜700℃であること、3)脱水重縮合させる際の加熱温度に達するまでの昇温速度が、毎分0.1℃〜50℃であること、4)300℃〜700℃に達してから、その温度に少なくとも5時間保持することを特徴とするゼオライトの製造方法。
    Figure 0004415147
  2. 前駆体の層状珪酸塩が、シリカ源、アルカリ金属陽イオンを生成するアルカリ金属源、直径3.0オングストローム以上の有機結晶化調整剤及び水からなる混合溶液から、水熱合成法により製造した有機結晶化調整剤含有層状ケイ酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. シリカ源が、SiOであり、アルカリ金属源が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩からなる群のうちの一種以上であることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
  4. 直径3.0オングストローム以上の有機結晶化調整剤が、テトラアルキルアンモニウム塩であることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
  5. 前駆体の層状ケイ酸塩の化学組成が、[(Si18−X38)・M・(TMA)・(HO)w](式中、Mはアルカリ金属陽イオン、TMAはテトラアルキルアンモニウム陽イオンを表し、xは0≦
    x ≦1.2、yは0.5≦
    y ≦1.5、zは6≦
    z ≦8、wは0.02≦
    w ≦1.5の範囲を表す。)で表されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  6. 純酸素の流量が、製造するゼオライト35ミリグラム当たり、毎分10ミリリットル以上であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
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