JP4414083B2 - 支管継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水管などにおいて本管に対して支管を接続するために使用される支管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に、下水管などにおいて本管Mに支管Bを接続するために使用される従来の支管継手100を示す。
この支管継手100は、本管Mに形成された削孔A上に載置されるスカート部101と支管Bが挿入される円筒部102とからなる継手本体103と、スカート部101を本管Mに固定するバンド104と、支管Bを円筒部102に固定する円筒部102内壁に設けられたゴム輪105とを備えている。円筒部102はスカート部101の略中央部に穿けられた孔Hから突設されていて継手本体103の形状は略T字状をしている。
【0003】
本管Mと支管Bを接続するには、継手本体103のスカート部101の下面に湿式の接合剤G、例えばエポキシ系接着剤や塩ビ系接着剤などを塗布した後、本管Mの側壁に形成された削孔Aにスカート部101に穿けられた孔Hの位置を一致するようにして載置し、2本のバンド104を使用することによって継手本体103が本管Mに固定される。そして、継手本体103の円筒部102に支管Bを挿入するとともに、ゴム輪105を使用することによって支管Bが円筒部102に固定され、本管Mと支管Bの接続が完了する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように本管Mに対する継手本体103の取付けは接合剤Gを使用した湿式工法であるため、接合剤Gが硬化するまでに時間が必要で何らかの要因で継手本体103が動くといった問題がある。
また、湿式工法のため本管Mと継手本体103との間の水密性に関しては、施工作業者の熟練度に左右されるところが大きく、接着の不均一により施工品質の安定化が図れないおそれがある。
【0005】
そこで本発明の目的は、施工時間の短縮を図るとともに、施工品質を安定化して十分なシール機能を確保することのできる支管継手を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の支管継手は、本管(M)の側壁に支管(B)を接続するもので、支管(B)との接続のために形成された本管(M)の削孔(A)上に載置され、本管(M)の削孔(A)の周囲を覆う断面円弧状のスカート部(11)と、スカート部(11)の略中央部に穿けられた孔(H)から突設された、支管(B)が挿入される円筒部(12)とからなる継手本体(13)と,継手本体(13)のスカート部(11)を本管(M)に固定する紐状又はリング状の継手本体固定部材(14)と,及び、支管(B)を継手本体(13)の円筒部(12)に固定する支管固定部材(15)と,を備える支管継手(10)において、スカート部(11)の略中央部に穿けられた孔(H)の周囲を取り囲むように、内周側に乾式の水膨脹ゴム(20)を、かつその外周側にスポンジゴム(21)をそれぞれスカート部(11)の下面に設置し、さらにスポンジゴム(21)の外側のスカート部(11)下面の領域に湿式の接合剤(G)を塗布して、スカート部(11)を本管(M)に固定することを特徴とする。
なお、継手本体(13)を構成するスカート部(11)と円筒部(12)とは一体型でも別体型でもよい。
【0007】
また、請求項2に記載の支管継手は、前記スポンジゴム(21)の肉厚を、前記水膨脹ゴム(20)の肉厚よりも大きくしたことを特徴とする。
【0008】
なお、上記の課題を解決するための手段に記載された括弧内の記号は図面及び後述する発明の実施の形態に記載された記号に対応するものである。
【0009】
請求項1に記載の支管継手によれば、継手本体のスカート部に、湿式の接合剤を塗布するとともに、乾式の水膨脹ゴムを設置して、スカート部を本管に固定するようにしたものであり、接合剤の1次防水効果に加えて、水膨脹ゴムがスカート部に穿けられた孔を取り囲むように設置されているので2次防水効果も発揮する。したがって、従来のように接合剤だけのものと比較して施工作業者の熟練度に左右される施工バラツキを吸収することができるとともに優れた防水効果が得られる。
また、水膨脹ゴムと接合剤との間にはスポンジゴムが介在されているので、スカート部の取付け時に圧着により広がった接合剤が水膨脹ゴムに侵入し、水膨脹ゴムを硬化させることにより水膨脹ゴムが有する防水機能を失わせるような事態が防止される。よって、一層安定した防水効果が得られる。
【0010】
また、請求項2に記載の支管継手によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、前記スポンジゴムの肉厚を、前記水膨脹ゴムの肉厚よりも大きくしたので、接合剤の水膨脹ゴムへの侵入防止が一層高められる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る支管継手10について説明する。なお、従来例と同一の部分には同一の符号を記した。図1は本発明の実施形態に係る支管継手10が使用された状態を示す斜視図であり、図2は同じく支管継手10が使用された状態を示す正面図であり、右半分には断面図を示した。また、図3は支管継手10の側面図であり、右半分には断面図を示した。さらに、図4はスカート部11の下面(裏面)を示す平面図である。
【0012】
本発明の実施形態に係る支管継手10は、図1及び図2に示すように、塩ビの本管Mの側壁に同じく塩ビの支管Bを垂直に接続するものであって、本管Mの削孔Aの周囲を覆うスカート部11と支管Bが挿入される円筒部12とからなる継手本体13と、継手本体13のスカート部11を本管Mに固定する紐状又はリング状の継手本体固定部材たるステンレスバンド14(番線でもよい)と、支管Bを継手本体13の円筒部12に固定する支管固定部材たるゴム輪15と、及びスカート部11の下面に塗布された接合剤Gと、同じくスカート部11の下面に貼着された水膨脹スポンジゴム20と、スポンジゴム21とを備える。
【0013】
継手本体13は、樹脂製でスカート部11と円筒部12とが一体成形されたものである。より具体的には、円筒部12はスカート部11の略中央部に穿けられた孔Hから突設されていて継手本体13の形状は略T字状をしている。
スカート部11は、本管Mの略上半部に密接して確実に覆うように断面円弧状とされ、略中央部に穿けられた孔Hは一体成形される円筒部12の内部と連通するようになっている。またスカート部11は、その孔Hを支管Bとの接続のために形成された本管Mの削孔Aに一致させるように位置決めした後に載置される。
【0014】
ゴム輪15は、図3に示すように、円筒部12の内壁上部に設けられていて挿入される支管Bの側壁に弾接することにより支管Bを円筒部12に固定するようになっている。また、円筒部12の内壁下部には支管Bを挿入する際に支管B端部に当接するストッパー16が設けられ、ストッパー16の下端部には削孔Aの縁部に係合する突出部17が形成されている。
【0015】
水膨脹スポンジゴム20とスポンジゴム21は、図4に示すように、スカート部11の略中央部に穿けられた孔Hの周囲を取り囲むように円形状にスカート部11の下面に設置されている。より具体的には、内周側に水膨脹スポンジゴム20が設置され、その外周側にスポンジゴム21が設置されている。そして、スポンジゴム21のさらに外側に湿式の接合剤Gが塗布されている(図4において接合剤Gの塗布領域を斜線で示した)。なお、水膨脹スポンジゴム20の設置は、例えば、粘着材や両面テープで取付けてもよいし、型成形によりスカート部11と一体成形してもよい。
このようにスポンジゴム21は水膨脹スポンジゴム20と接合剤Gとの間に設置され、スカート部11の取付け時に圧着により広がった接合剤Gが水膨脹スポンジゴム20に侵入して硬化させ水膨脹スポンジゴム20本来の機能を失わせることを防止するための堰の役割を果たしている。したがって、図5に示すように、スポンジゴム21の肉厚は水膨脹スポンジゴム20の肉厚よりも大きい方が好ましい。
【0016】
水膨脹スポンジゴム20とスポンジゴム21は、図6及び図7に示すように、展開した状態では材料費を抑えるために帯状(短冊状)であり、設置するときに円形状になるように一定間隔で切り欠き20a,21aが設けられている。
スポンジゴム21の材質としては特に限定しないが、半連泡タイプで水膨脹スポンジゴム20よりも柔らかい方がよい。また、湿式の接合剤Gとしては、例えばエポキシ系接着剤や塩ビ用接着剤が使用される。
【0017】
以上のように構成された支管継手10を使用して、本管Mと支管Bとを接続するには、先ず継手本体13のスカート部11の下面に穿けられた孔Hの周囲を取り囲むように円形状に、内周側に水膨脹スポンジゴム20を設置し、その外周側にスポンジゴム21を設置する。そして、スポンジゴム21のさらに外側に湿式の接合剤Gを塗布する。
そして、本管Mの側壁に形成された削孔Aにスカート部11に穿けられた孔Hの位置を一致するようにして継手本体13を載置し、2本のステンレスバンド14を使用することによって継手本体13を本管Mに固定する。
その後、継手本体13の円筒部12のストッパー16に当接するまで支管Bを挿入するとともに、ゴム輪15によって支管Bが円筒部12に固定され、本管Mと支管Bとの接続が完了する。
【0018】
このように、湿式の接合剤Gと乾式の水膨脹スポンジゴム20とを併用して継手本体13のスカート部11を本管Mに固定するようにしたものであるので、湿式の接合剤Gだけを使用して固定するものと比較して施工作業者の熟練度に左右される施工バラツキによる影響を受け難い。すなわち、接合剤Gの1次防水効果に加えて、水膨脹スポンジゴム20がスカート部11の下面に穿けられた孔Hの周囲を取り囲むように設置されている点で2次防水効果をも発揮するので、何らかの要因で接合不具合が発生してもあまり影響を受けることなく、優れた防水効果が得られる。したがって、施工品質の安定化により十分なシール機能が得られる。
【0019】
なお本実施形態では、図6及び図7に示すように、水膨脹スポンジゴム20及びスポンジゴム21として帯状(短冊状)のものを使用したが、切れ目のない円形状のものを使用してもよい。
また本実施形態では、継手本体13をスカート部11と円筒部12とで一体成形したが、別体で構成するようにしてもよい。また、支管固定部材として機能するゴム輪15を円筒部12の内壁に設けたが、別体で構成された円筒部12をゴム製とした場合には、スカート部11固定用のステンレスバンド14のようにバンドや樹脂リングを円筒部12の外側から巻いて支管Bを円筒部12に固定するようにしてもよい。
【0020】
また、水膨脹スポンジゴム20は、水膨脹ゴムの一例であるので特に限定されるものではなく、例えば他に水膨脹ソリッドゴムやこれらの複合体であってもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上のとおり、請求項1に記載の支管継手によれば、継手本体のスカート部に、湿式の接合剤を塗布するとともに、乾式の水膨脹ゴムを設置して、スカート部を本管に固定するようにしたものであり、接合剤の1次防水効果に加えて、水膨脹ゴムがスカート部に穿けられた孔を取り囲むように設置されているので2次防水効果も発揮する。したがって、従来のように接合剤だけのものと比較して施工作業者の熟練度に左右される施工バラツキを吸収することができるとともに優れた防水効果が得られる。
また、水膨脹ゴムと接合剤との間にはスポンジゴムが介在されているので、スカート部の取付け時に圧着により広がった接合剤が水膨脹ゴムに侵入し、水膨脹ゴムを硬化させることにより水膨脹ゴムが有する防水機能を失わせるような事態が防止される。よって、一層安定した防水効果が得られる。
【0022】
また、請求項2に記載の支管継手によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、前記スポンジゴムの肉厚を、前記水膨脹ゴムの肉厚よりも大きくしたので、接合剤の水膨脹ゴムへの侵入防止が一層高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る支管継手が使用された状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る支管継手が使用された状態を示す正面図であり一部に断面図を示した。
【図3】本発明の実施形態に係る支管継手を示す側面図であり一部に断面図を示した。
【図4】スカート部の下面を示す平面図である。
【図5】図4に示す水膨脹スポンジゴム及びスポンジゴムの取付け状態を示す拡大断面図である。
【図6】図4に示す水膨脹スポンジゴムの拡大展開図である。
【図7】図4に示すスポンジゴムの拡大展開図である。
【図8】従来例に係る支管継手が使用された状態を示す正面図であり一部に断面図を示した。
【符号の説明】
10 支管継手
11 スカート部
12 円筒部
13 継手本体
14 ステンレスバンド
15 ゴム輪
16 ストッパー
17 突出部
20 水膨脹スポンジゴム
20a 切り欠き部
21 スポンジゴム
21a 切り欠き部
100 支管継手
101 スカート部
102 円筒部
103 継手本体
104 バンド
105 ゴム輪
A 削孔
B 支管
G 接着剤
H 孔
M 本管

Claims (2)

  1. 本管の側壁に支管を接続するもので、
    支管との接続のために形成された本管の削孔上に載置され、本管の削孔の周囲を覆う断面円弧状のスカート部と、該スカート部の略中央部に穿けられた孔から突設された、支管が挿入される円筒部とからなる継手本体と,該継手本体のスカート部を本管に固定する紐状又はリング状の継手本体固定部材と,及び、支管を継手本体の円筒部に固定する支管固定部材と,を備える支管継手において、
    前記スカート部の略中央部に穿けられた孔の周囲を取り囲むように、内周側に乾式の水膨脹ゴムを、かつその外周側にスポンジゴムをそれぞれスカート部の下面に設置し、さらにスポンジゴムの外側のスカート部下面の領域に湿式の接合剤を塗布して、スカート部を本管に固定するようにしたことを特徴とする支管継手。
  2. 前記スポンジゴムの肉厚を、前記水膨脹ゴムの肉厚よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の支管継手。
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