JP4413792B2 - ろう付け方法及びろう付け構造物 - Google Patents
ろう付け方法及びろう付け構造物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4413792B2 JP4413792B2 JP2005024718A JP2005024718A JP4413792B2 JP 4413792 B2 JP4413792 B2 JP 4413792B2 JP 2005024718 A JP2005024718 A JP 2005024718A JP 2005024718 A JP2005024718 A JP 2005024718A JP 4413792 B2 JP4413792 B2 JP 4413792B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- brazing
- diffusion
- joining member
- substrate
- atoms
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
Description
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、接合部材のろう付けに際し、ろう付け部に優れた耐食性が得られるろう付け方法及びろう付け部の耐食性に優れたろう付け構造物を提供することを目的とする。
また、ろう材を10〜20%のNi、0.2〜1.0%のSiを含有したCu−Ni−Si合金で形成すると共に、その厚さ(後述するろう材層を備えた第1接合部材を用いる場合は、そのろう材層の厚さ)を20〜60μmとし、拡散抑制層をCrを20〜40%含有したNi−Cr合金で形成したので、仮組立体を1180℃以上、1200℃以下の比較的低いろう付け温度で、30〜60min 保持することにより、ろう付け部のNi量が30%以上、及びCr量が10%以上となるように、Ni量及びCr量を容易に高濃度化して自己凝固させることができる。前記ろう付け部は、自己凝固した組織を有し、Niの作用によりろう付け部を形成するCu合金の耐食性が向上すると共に、Crの作用によりろう付け部の表面が高耐食性、高耐酸化性のあるCr酸化膜で覆われ、さらにSiの作用によりCr酸化膜の内側にSi酸化物(主としてSiO)が分散したSi酸化物層が形成される。これらの作用によって、優れた耐食性及び耐酸化性を有するろう付け部が形成される。また、本発明は、ろう付け温度を1200℃以下とすることができるので、汎用の加熱炉を用いて容易にろう付けを実施することができる。
また、上記ろう付け方法において、前記第2接合部材は、前記第1接合部材と同様、鉄鋼材で形成した基板と、前記基板に積層形成した拡散抑制層を備えた構造とすることができる。これにより、第2接合部材も基板を安価な鉄鋼材で形成しながら、ろう付け部の耐食性劣化を防止することができる。また、前記基板を形成する鉄鋼材としては、ステンレス鋼が耐食性に優れるので好ましい。
また、前記ろう付け方法において、前記ろう材のSi量は、ろう材の融点の低下によるNi原子及びCr原子の拡散促進の観点から、0.5%以上とすることが好ましい。
このろう付け構造物によれば、第1接合部材と第2接合部材との間を腐食性流体の流路とすることができ、両端部のろう付け部が耐食性に優れるので、ろう付け部が腐食され難く、腐食性流体が外部へ流出し難い、安価で耐久性に優れた熱交換器などの流路構造を提供することができる。また、前記第1、第2接合部材の基板をステンレス鋼で形成することにより、ろう付け構造物の耐久性をより向上させることができる。
図1は本発明のろう付け構造物の実施形態にかかる熱交換器ユニット101を示しており、このユニットは排気ガス等の高温ガスを流す高温ガスユニットや冷却水を流す冷却ユニットとして用いられる。これらの高温ガスユニットと冷却ユニットとは積層されて熱交換器の流路構造を構成する。
また、前記ろう材層14の厚さ、すなわち前記第1接合部材1と第2接合部材2とのろう付けに際し、端部5,5の重ね合わせ部でのろう材の厚さは、20〜60μm 程度とすることが好ましい。20μm 未満では、ろう材が過少であり、ろう付け不良が生じるおそれがある。一方、60μm を超えると、ろう材が過多となるほか、1200℃以下の温度でろう付けする場合、ろう付け部全体が均一組成になるようにNi原子、Cr原子を拡散させるのには保持時間が長くかかるようになり、生産性が低下する。
第1接合部材1と第2接合部材2の各端部5,5の拡散抑制層13,13に挟持されたろう材層(ろう材)14は、1180℃以上の温度Tに加熱すると溶融し、同温度での保持により拡散抑制層13からNi原子、Cr原子が溶融したろう材に拡散してろう付け部6(図2参照)を形成する。ろう付け部6においては、Ni原子、Cr原子の拡散によりこれらの元素の濃度が上昇し、融点が上昇すると共に液相から連続的にCu−Ni固相が晶出する。そして、液相が無くなった時点で自己凝固し、自己凝固後のt1にて冷却する。このような加熱冷却方法を採ることで、自己凝固により連続的に晶出した固相はお互いに成分同士が拡散して均一化する。このため、デンドライトは生成せず、凝固偏析のない、均一成分、均一組織のろう付け部6が形成される。なお、1180℃以上の温度で保持しても、固液共存状態にある時点t2から冷却すると、液相からデンドライトが晶出し、基地にCuリッチ部が生成して不均一な成分、組織となり、耐食性が劣化する。なお、図4はCu−Ni二元系部分状態図を示しているが、Niが30%以上含まれるような場合、10〜20%程度のCrもNi−Cuの固相に容易に固溶する。また、ろう材にはSiが含まれるため、ろう付け部にはSiが不可避的に含まれるが、ろう材に含まれるSiは多くても1.0%であるので、Siも前記Ni−Cu固相に固溶する。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定的に解釈されるものではない。
このようにして製作されたクラッド材を、図5に示すように、基板22に接合された拡散抑制層23が外側になるようにL字形に折り曲げてL字形部材21を製作した。次に、一対のL形部材21,21の一辺を、それらの拡散抑制層23,23の間に、表1に示す種々のNi量、Si量を含有し、残部CuのCu−Ni合金あるいはCu−Ni−Si合金で形成されたろう材箔24を挟み込んで重ね合わせた仮組立体を組み立て、これを真空中にて表1に示すろう付け温度に加熱し、同表に示す時間で保持してろう付けした。ろう材24のNi量、Si量及びその厚さ、拡散抑制層23のCr量及びその厚さを表1に併せて示す。
・模擬排ガス凝縮液の組成(pH2.0)
Cl-:20ppm 、NO3 -:80ppm 、SO4 2-:400ppm
CH3COO-:1300ppm 、NH4 +:300ppm 、HCOO-:500ppm
また、試料No. 9は、ろう材のNi量が過多であるので、ろう材の融点が高くなり、Ni原子、Cr原子の拡散が進まず、ろう付け部のNi量、Cr量が不足し、耐食性が低下している。
また、試料No. 10は、ろう材、拡散抑制層の成分は適正であるが、ろう材の厚さが80μm と厚いため、Ni、Crの拡散の距離が長くなり、1180℃、30分保持というろう付け条件では、両成分の平均濃度が不足し、またろう付け部に凝固偏析が生じて、耐食性が低下している。試料No. 11及び12は、ろう付け条件が不適当であるため、拡散抑制層からのNi原子、Cr原子の拡散が不十分となり、ろう付け部のNi量、Cr量が不足し、また凝固偏析を生じて、耐食性が劣化している。
2 第2接合部材
3 フィン
4 中央部
5 端部
6 ろう付け部
11 クラッド材(ろう付け用複合材)
12 基板
13 拡散抑制層
14 ろう材層
101 熱交換器ユニット(ろう付け構造物)
Claims (10)
- 第1接合部材に第2接合部材をろう材の溶融凝固によって形成されたろう付け部を介してろう付けするろう付け方法であって、
鉄鋼材により形成された基板と、前記基板に積層形成され、ろう付けの際に前記基板からFe原子がろう付け部に拡散するのを抑制する拡散抑制層を備え、前記拡散抑制層が20〜40mass%のCrを本質的成分として含有するNi−Cr合金で形成された第1接合部材、並びに20〜60μm の厚さを備え、10〜20mass%のNi、0.2〜1.0mass%のSiを本質的成分として含有するCu−Ni−Si合金で形成されたろう材を準備する工程と、
前記第1接合部材の拡散抑制層と第2接合部材との間に前記ろう材を配置した仮組立体を組み立てる工程と、
前記仮組立体を1180〜1200℃のろう付け温度で30〜60min 保持し、前記ろう材を溶融させ、溶融したろう材に前記拡散抑制層からNi原子及びCr原子を拡散させてろう付け部を形成し、前記Ni原子及びCr原子の拡散により前記ろう付け部のろう材の融点を上昇させることによってろう付け部を自ら凝固させた後、冷却するろう付け工程を有する、ろう付け方法。 - 第1接合部材に第2接合部材をろう材の溶融凝固によって形成されたろう付け部を介してろう付けするろう付け方法であって、
鉄鋼材により形成された基板と、前記基板に積層形成され、ろう付けの際に前記基板からFe原子がろう付け部に拡散するのを抑制する拡散抑制層と、前記拡散抑制層に積層形成されたろう材層を備え、前記拡散抑制層は20〜40mass%のCrを本質的成分として含有するNi−Cr合金で形成され、前記ろう材層は20〜60μm の厚さを備え、10〜20mass%のNi、0.2〜1.0mass%のSiを本質的成分として含有するCu−Ni−Si合金のろう材で形成された第1接合部材を準備する工程と、
前記第1接合部材のろう材層に接するように第2接合部材を配置した仮組立体を組み立てる工程と、
前記仮組立体を1180〜1200℃のろう付け温度で30〜60min 保持し、前記ろう材層を溶融させ、溶融したろう材に前記拡散抑制層からNi原子及びCr原子を拡散させてろう付け部を形成し、前記Ni原子及びCr原子の拡散により前記ろう付け部のろう材の融点を上昇させることによってろう付け部を自ら凝固させた後、冷却するろう付け工程を有する、ろう付け方法。 - 前記第2接合部材は、鉄鋼材により形成された基板と、前記基板に積層形成され、ろう付けの際に前記基板からFe原子がろう付け部に拡散するのを抑制する拡散抑制層を備え、前記拡散抑制層が20〜40mass%のCrを本質的成分として含有するNi−Cr合金で形成された請求項1又は2に記載したろう付け方法。
- 前記第1接合部材及び第2接合部材のそれぞれの基板がステンレス鋼で形成された請求項3に記載したろう付け方法。
- 前記ろう材は、0.5mass%以上のSiを含有する請求項1から4のいずれか1項に記載したろう付け方法。
- 第1接合部材と第2接合部材とが10〜20mass%のNi、0.2〜1.0mass%のSiを本質的成分として含有するCu−Ni−Si合金のろう材の溶融凝固によって形成されたろう付け部を介してろう付けされたろう付け構造物であって、
前記第1接合部材は、鉄鋼材により形成された基板と、前記基板に積層形成された拡散抑制層を備え、前記拡散抑制層はろう付けの際に前記基板からFe原子が当該拡散抑制層の上に形成されたろう付け部に拡散するのを抑制するものであり、20〜40mass%のCrを本質的成分として含有するNi−Cr合金で形成され、
前記ろう付け部は、30mass%以上のNi、10mass%以上のCrを含有し、かつ凝固偏析を有しないCu−Ni−Cr−Si合金で形成された、ろう付け構造物。 - 前記第2接合部材は、鉄鋼材により形成された基板と、前記基板に積層形成され、ろう付けの際に前記基板からFe原子がろう付け部に拡散するのを抑制する拡散抑制層を備え、前記拡散抑制層は、20〜40mass%のCrを本質的成分として含有するNi−Cr合金で形成された請求項6に記載したろう付け構造物。
- 前記第1接合部材及び第2接合部材のそれぞれの基板がステンレス鋼で形成された請求項7に記載したろう付け構造物。
- 前記第1接合部及び第2接合部は、それぞれ平坦状の中央部とその縁端に曲げ形成された端部とを有し、前記第1接合部と第2接合部とが対向して配置され、前記第1接合部の端部と前記第2接合部の端部とが前記ろう付け部を介してろう付けされた請求項8に記載したろう付け構造物。
- 前記ろう材は、0.5mass%以上のSiを含有する請求項6から9のいずれか1項に記載したろう付け構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005024718A JP4413792B2 (ja) | 2005-02-01 | 2005-02-01 | ろう付け方法及びろう付け構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005024718A JP4413792B2 (ja) | 2005-02-01 | 2005-02-01 | ろう付け方法及びろう付け構造物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006212638A JP2006212638A (ja) | 2006-08-17 |
JP4413792B2 true JP4413792B2 (ja) | 2010-02-10 |
Family
ID=36976277
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005024718A Expired - Fee Related JP4413792B2 (ja) | 2005-02-01 | 2005-02-01 | ろう付け方法及びろう付け構造物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4413792B2 (ja) |
-
2005
- 2005-02-01 JP JP2005024718A patent/JP4413792B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006212638A (ja) | 2006-08-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN108699637B (zh) | 铝合金钎焊片的制造方法 | |
US8029918B2 (en) | Brazing method and brazed structure | |
JP3780380B2 (ja) | アルミニウム合金ブレ−ジングシ−ト、それを用いたろう付け方法、およびろう付け製品 | |
JP2009195981A (ja) | ろう付け用クラッド材及びろう付け製品 | |
CN107002184A (zh) | 换热器用铝合金包覆材料 | |
JP4507942B2 (ja) | ろう付け用クラッド材及びそれを用いたろう付け製品 | |
JP4413793B2 (ja) | ろう付け方法及びろう付け構造物 | |
JP3915726B2 (ja) | ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品 | |
WO2000018537A1 (fr) | Alliage de metaux d'apport de brasage pour structure brasee en acier inoxydable, et metal d'apport de brasage pour acier inoxydable | |
JP3350667B2 (ja) | ろう接用複合材及びろう接構造物 | |
JP2011007383A (ja) | アルミニウム合金製熱交換器および該熱交換器に使用する冷媒通路管の製造方法 | |
JP3670235B2 (ja) | ろう接用複合材及びろう接構造 | |
JP5061969B2 (ja) | ろう付け加工用複合材およびろう付け製品 | |
JP4413792B2 (ja) | ろう付け方法及びろう付け構造物 | |
JP2010104999A (ja) | ろう付け用複合材及びろう付け製品 | |
JP4263160B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材並びにそれを用いた熱交換器用チューブ及び熱交換器 | |
JP4880219B2 (ja) | ろう付け用複合材およびそれを用いてろう付け接合されたろう付け構造 | |
JP4507943B2 (ja) | ろう付け用クラッド材及びそれを用いたろう付け製品 | |
JP5469323B2 (ja) | 耐食性に優れた自動車用熱交換器 | |
JP4939158B2 (ja) | ろう材、ろう付け用複合材およびそれらを用いてろう付け接合されたろう付け構造 | |
JP4239853B2 (ja) | ろう付け用複合材及びその製造方法並びにろう付け製品 | |
JP2014015665A (ja) | アルミニウム合金複合材および熱交換器 | |
Zahri | Mechanical and Microstructure Analysis of Copper to Copper Foam Brazing Using Copper-Tin Nickel-Phosphorus Amorphous Filler Alloys | |
JP2004130687A (ja) | アルミニウム合金ブレージングシート及び熱交換器 | |
JP2004136299A (ja) | ろう材、クラッド材およびろう接構造物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070508 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090515 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090526 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090715 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090811 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20090929 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090930 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20090929 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20091117 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20091118 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121127 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121127 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131127 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |