JP4880219B2 - ろう付け用複合材およびそれを用いてろう付け接合されたろう付け構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ろう付け用複合材およびそれを用いてろう付け接合されたろう付け構造に関し、特に、ラジエータやガスクーラなどの熱交換器の流路を構成するろう付け用複合材およびそれを用いてろう付け接合されたろう付け構造に関する。
近年、国際的に環境問題への関心が高まっており、その一環として燃料電池やマイクロガスタービンを用いたコージェネレーションシステムが開発され、広く普及している。このコージェネレーションシステムを構成する熱交換器の内部には高温のガスが流れており、このガスの温度は発熱効率を向上させる目的から高温化する傾向にある。このような高温下での厳しい使用環境に耐えることのできる熱交換器用材料として、従来、基材にステンレス鋼を用いるとともに、ろう材にニッケルろう(JIS BNi−1〜7)を用いた材料が知られている。ニッケルろうは、耐酸化性および耐食性に優れている反面、塑性加工し難い材料であるので、一般的に液体急冷凝固法により粉末の状態で製造される。このため、高価であるという不都合があった。また、粉末状のニッケルろうにバインダを混合してペースト状にしたものを熱交換器の製造工程で基材であるステンレス鋼に塗布するので、ろう付け後に脱バインダの工程が必要であり、製造工程が複雑になるという不都合があった。
ところで、従来、上記した液体急冷凝固法を用いることなく圧延接合を用いることによってMn−Ni−Cu合金からなるMn系金属層とNi系金属層との積層構造からなるろう材を製造するとともに、そのろう材を用いてステンレス鋼のろう付け接合を行う技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1では、Mn−Ni−Cu合金に、CrやTiなどを合計量で5質量%以下となるように含有させることにより、耐酸化性を向上させている。
また、従来、上記した液体急冷凝固法を用いることなく圧延接合により形成されたろう付け用複合材として、高い耐食性を有するTiまたはTi系合金層およびNiまたはNi系合金層の2層からなるTi−Ni系ろう材を用いる技術が知られている(たとえば、特許文献2参照)。この特許文献2では、Ni合金として、Ni−Cr−Fe系耐食耐熱超合金が挙げられている。
国際公開番号WO00/18537号 特開2003−117678号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来のろう材の一部を構成するMn−Ni−Cu合金は、合金中に耐食性の低いMnおよびCuが含まれているので、ろう付け接合による接合部の耐食性を向上させるのが困難であるという問題点がある。
また、上記特許文献2に開示された従来のTi−Ni系ろう材は、高い耐食性を有する一方、ろう付け接合による接合部の表面にCrの酸化皮膜(不働態膜)が生成されないので、高い耐酸化性を得るのが困難であるという問題点がある。また、Ni合金として特許文献2の中で挙げられているNi−Cr−Fe系耐食耐熱超合金を用いる場合にも、Ni−Cr−Fe系耐食耐熱超合金の融点温度が高い(約1800℃〜約2000℃)ため、ろう付け時のろう材とNi−Cr−Fe系耐食耐熱超合金との反応速度が遅くなる。これにより、Ni−Cr−Fe系耐食耐熱超合金からろう付け接合部へのCrの拡散速度が遅くなるので、ろう付け接合部にCrが十分に供給されないという不都合がある。これにより、ろう付け接合による接合部の表面に十分な量のCrの酸化皮膜(不働態膜)が生成されないので、高い耐酸化性を得るのが困難であるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、製造プロセスを複雑化させることなく、耐酸化性および耐食性の両方を向上させることが可能なろう付け用複合材およびそれを用いてろう付け接合されたろう付け構造を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるろう付け用複合材は、ステンレス鋼により形成されたステンレス基板と、ステンレス基板の表面に圧延接合されるとともに、ステンレス基板側に配置され、Crの含有率が21質量%以上40質量%以下であるNi−Cr合金層と、Ni−Cr合金層のステンレス基板とは反対側の外表面に配置され、Ni−Cr合金層の厚みよりも小さい5μm以上80μm以下の厚みを有するTi層またはTi合金層との2層構造からなるろう材とを備えている。
この第1の局面によるろう付け用複合材では、上記のように、Ni−Cr合金層と、Ti層またはTi合金層との2層構造からなるろう材を備えることによって、ろう付け接合による接合部にTi−Ni−Cr系合金が形成されるので、接合部の表面に容易にCrの酸化皮膜(不働態膜)を形成することができる。これにより、ろう付け接合による接合部の耐酸化性を向上させることができる。また、Ni−Cr合金層と、Ti層またはTi合金層との2層構造からなるろう材を備えることによって、ろう付け接合による接合部に高い耐食性を有するTi、NiおよびCrが含まれるので、ろう付け接合による接合部の耐食性を向上させることができる。また、Ni−Cr合金層と、Ti層またはTi合金層との2層構造からなる層状のろう材を基板に圧延接合することによりろう付け用複合材を形成することによって、液体急冷凝固法により形成した粉末状のろう材を用いる場合と異なり、ろう材の製造工程が複雑化するのを抑制することができる。これにより、ろう付け用複合材の製造工程が複雑化するのを抑制することができる。また、Ni−Cr合金層と、Ti層またはTi合金層との2層構造からなるろう材を備えることによって、ろう材が層状であるので、粉末状のろう材を用いる場合に混合するバインダが不要となる。これにより、層状のろう材を用いてろう付け接合を行った場合には、ろう付け接合した後に脱バインダを行う必要がないので、製造工程を簡略化することができる。
また、上記第1の局面によるろう付け用複合材では、Ni−Cr合金層のCrの含有率を40質量%以下にすることによって、Ni−Cr合金の延性が低下するのを抑制することができるので、冷間圧接などによる基板との接合を容易に行うことができる。
また、上記第1の局面によるろう付け用複合材では、Ti層またはTi合金層の厚みを5μm以上にすることによって、TiとNi−Cr合金との反応が十分に行われるので、TiとNi−Cr合金との反応によるろう付け接合を十分に行うことができる。これにより、ろう付け接合による接合部の強度を向上させることができる。また、Ti層またはTi合金層の厚みを80μm以下にすることによって、TiとNi−Cr合金との反応がTi層またはTi合金層の表面まで容易に到達することができるので、TiとNi−Cr合金との反応が十分に行われる。これにより、TiとNi−Cr合金との反応によるろう付け接合を十分に行うことができるので、ろう付け接合による接合部の強度を向上させることができる。
上記第1の局面によるろう付け用複合材において、好ましくは、Ti層またはTi合金層の厚みは、5μm以上20μm以下である。このように構成すれば、Ti層またはTi合金層の厚みを20μm以下にすることによって、ろう付け接合による接合部の表面まで十分な量のCrが到達することができるので、接合部の表面に十分な厚みを有するCrの酸化皮膜(不働態膜)を生成することができる。これにより、接合部の耐酸化性をより向上させることができる。
この発明の第2の局面によるろう付け構造は、ステンレス鋼により形成されたステンレス基板と、ステンレス基板の表面に圧延接合されるとともに、ステンレス基板側に配置され、Crの含有率が21質量%以上40質量%以下であるNi−Cr合金層と、Ni−Cr合金層のステンレス基板とは反対側の外表面に配置され、Ni−Cr合金層の厚みよりも小さい5μm以上80μm以下の厚みを有するTi層またはTi合金層との2層構造からなるろう材とを備えたろう付け用複合材を用いてろう付け接合されることにより形成されるのが好ましい。
上記第2の局面によるろう付け構造において、好ましくは、少なくともろう付け接合された部分にTi−Ni−Cr合金を含む。このように構成すれば、ろう付け接合された部分の表面に容易にCrの酸化皮膜(不働態膜)を形成することができるので、ろう付け接合された部分の耐酸化性を向上させることができる。また、ろう付け接合された部分にTi−Ni−Cr合金を含むことによって、ろう付け接合された部分に高い耐食性を有するTi、NiおよびCrが含まれるので、ろう付け接合された部分の耐食性を向上させることができる。
この場合、好ましくは、Ti−Ni−Cr合金のCrの含有率は、12質量%以上である。このように構成すれば、Ti−Ni−Cr合金に十分な量のCrが含まれるので、ろう付け接合された部分の表面に十分な厚みを有するCrの酸化皮膜(不働態膜)を生成することができる。これにより、ろう付け接合された部分の耐酸化性をより向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1は、本発明の一実施形態によるろう付け用複合材の構成を示した断面図である。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態によるろう付け用複合材1の構成について説明する。
本実施形態によるろう付け用複合材1は、図1に示すように、ステンレス鋼により形成されたプレート2と、プレート2の上面および下面に圧延接合された一対のろう材3とを備えている。なお、プレート2は、本発明の「基板」の一例である。また、ステンレス鋼として、たとえば、SUS304、SUS304LおよびSUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼や、SUS409およびSUS430などのフェライト系ステンレス鋼などを用いることが可能である。また、圧延接合として、たとえば、熱間圧接、冷間圧接および真空圧接などを用いることが可能である。
ここで、本実施形態では、一対のろう材3は、図1に示すように、それぞれ、Ni−Cr合金層4と、Ti層5との2層構造により構成されている。Ni−Cr合金層4は、NiとCrとのみからなり、プレート2に圧延接合されている。なお、Ni−Cr合金層4のCrの含有率は、好ましくは約10質量%以上約40質量%以下であり、より好ましくは、約20質量%以上約40質量%以下である。また、Ti層5は、純Tiのみからなり、Ni−Cr合金層4の表面に圧延接合されている。このTi層5の厚みは、好ましくは約5μm以上約80μm以下であり、より好ましくは、約5μm以上約20μm以下である。つまり、本実施形態によるろう付け用複合材1は、Ti層5、Ni−Cr層4、プレート2、Ni−Cr層4およびTi層5の5層構造を有している。
図2および図3は、図1に示した本実施形態によるろう付け用複合材を用いて形成された熱交換器を部分的に示した断面図である。次に、図2および図3を参照して、本発明の一実施形態によるろう付け用複合材1を用いて形成された熱交換器100の構成について説明する。なお、本実施形態では、本発明のろう付け構造を、熱交換器に適用した例について説明する。
本実施形態による熱交換器100は、図2および図3に示すように、ステンレス鋼により形成された一対のプレート11と、ステンレス鋼により形成された6つの波形状のフィン12と、ステンレス鋼により形成された5つのプレート2とを備えている。一対のプレート11は、熱交換器100の外枠を構成している。また、6つのフィン12および5つのプレート2は、一対のプレート11の間に交互に積層するように配置されている。熱交換器100の内部は、5つのプレート2により6つの層に分割されており、6つの層の中を排ガスと水とが一層おきに交互に流れるように構成されている。また、フィン12は、6つの層の中を流れる排ガスおよび水の流速を遅くするために設けられている。
ここで、本実施形態では、熱交換器100は、図2に示すように、フィン12とプレート2および11との間に、後述するろう付け接合により形成されたTi−Ni−Cr合金層3aを含んでいる。つまり、フィン12とフィン12との間には、プレート2および一対のTi−Ni−Cr合金層3aが配置されるとともに、プレート11とフィン12との間には、Ti−Ni−Cr合金層3aが配置されている。このTi−Ni−Cr合金層3aは、図3に示すように、フィン12の屈曲部の外周面と、プレート2および11とを接合するための機能を有している。なお、Ti−Ni−Cr合金層3aのCrの含有率は、好ましくは約10質量%以上約26質量%以下であり、より好ましくは、約12質量%以上約26質量%以下である。また、本実施形態では、熱交換器100の内部を流れる排ガスの温度は約800℃である。そして、熱交換器100の内部に形成された6つの層の中を一層おきに交互に流れる排ガスと水とが、プレート2および一対のTi−Ni−Cr合金層3aを介して熱交換を行うことにより、排ガスの熱が水に伝達されるので、水が暖められて温水になる。
図4および図5は、図2に示した本実施形態による熱交換器を形成する際のろう付け接合の工程を説明するための断面図である。次に、図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態によるろう付け用複合材1を用いて行われるろう付け接合について説明する。
まず、図4に示すように、熱交換器100の外枠としての一対のプレート11の間に、6つの波形状のフィン12と、5つのろう付け用複合材1(図1参照)とを交互に積層する。なお、プレート11のフィン12側の表面には、上述したろう付け用複合材1を構成するろう材3が圧延接合されている。このとき、図5に示すように、フィン12の屈曲部の外周面と、ろう材3を構成するTi層5とが接触している。この状態から、不活性ガス中または真空中で約1100℃以上約1200℃以下の温度で約10分間加熱されることにより、Ni−Cr合金層4とTi層5とが反応して、ろう付け接合による接合部としてのTi−Ni−Cr合金層3aが生成される。そして、フィン12の屈曲部の外周面とプレート2および11とが、Ti−Ni−Cr合金層3aによりろう付け接合されて、図2に示した熱交換器100が形成される。
本実施形態では、上記のように、Ni−Cr合金層4と、Ti層5との2層構造からなるろう材3を備えることによって、ろう付け接合による接合部にTi−Ni−Cr合金層3aが形成されるので、接合部の表面に容易にCrの酸化皮膜(不働態膜)を形成することができる。これにより、ろう付け接合による接合部の耐酸化性を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、Ni−Cr合金層4と、Ti層5との2層構造からなるろう材3を備えることによって、ろう付け接合による接合部に高い耐食性を有するTi、NiおよびCrが含まれるので、ろう付け接合による接合部の耐食性を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、Ni−Cr合金層4と、Ti層5との2層構造からなる層状のろう材3をプレート2に圧延接合することによりろう付け用複合材1を形成することによって、液体急冷凝固法により形成した粉末状のろう材を用いる場合と異なり、ろう材3の製造工程が複雑化するのを抑制することができる。これにより、ろう付け用複合材1の製造工程が複雑化するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、Ni−Cr合金層4と、Ti層5との2層構造からなるろう材3を備えることによって、ろう材3が層状であるので、粉末状のろう材を用いる場合に混合するバインダが不要となる。これにより、ろう付け接合した後に脱バインダを行う必要がないので、製造工程を簡略化することができる。
また、本実施形態では、上記のように、Ni−Cr合金層4のCrの含有率を約10質量%以上にすることによって、ろう付け接合した接合部の表面に十分な厚みのCrの酸化皮膜(不働態膜)を形成することができるので、高い耐酸化性を得ることができる。また、Ni−Cr合金層4のCrの含有率を約40質量%以下にすることによって、Ni−Cr合金の延性が低下するのを抑制することができるので、冷間圧接などによるプレート2との接合を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、Ti層5の厚みを約5μm以上にすることによって、TiとNi−Cr合金との反応が十分に行われるので、TiとNi−Cr合金との反応によるろう付け接合を十分に行うことができる。これにより、ろう付け接合による接合部の強度を向上させることができる。また、Ti層5の厚みを約80μm以下にすることによって、TiとNi−Cr合金との反応がTi層5の表面まで容易に到達することができるので、TiとNi−Cr合金との反応が十分に行われる。これにより、TiとNi−Cr合金との反応によるろう付け接合を十分に行うことができるので、ろう付け接合による接合部の強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、Ti層5の厚みを約5μm以上約20μm以下にすることによって、ろう付け接合による接合部の表面まで十分な量のCrが到達することができるので、接合部の表面に十分な厚みを有するCrの酸化皮膜(不働態膜)を生成することができる。これにより、接合部の耐酸化性をより向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、不活性ガス中または真空中でろう付け接合を行うことによって、ろう材3に酸化および窒化が起こりやすい純TiからなるTi層5を用いたとしても、Ti層5が酸化および窒化されるのを十分に抑制することができるので、容易に、Ti−Ni−Cr合金層3aを生成することができる。
また、本実施形態では、上記のように、約1100℃以上の温度でろう付け接合を行うことによって、Ni−Cr合金層4とTi層5との反応を十分に行うことができるので、Ti−Ni−Cr合金層3aの強度を十分に高めることができる。また、約1200℃以下の温度でろう付け接合を行うことによって、ろう付け接合の際に特別な炉を用いる必要がないので、製造コストを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、Ti−Ni−Cr合金層3aのCrの含有率を約12質量%以上にすることによって、Ti−Ni−Cr合金層3aに十分な量のCrが含まれるので、ろう付け接合による接合部の表面に十分な厚みを有するCrの酸化皮膜(不働態膜)を生成することができる。これにより、ろう付け接合による接合部の耐酸化性を向上させることができる。
(参考例)
図6は、本発明の参考例によるろう材の構成を示した断面図である。図7は、図6に示した参考例によるろう材を用いたろう付け接合の工程を説明するための断面図である。この参考例では、上記実施形態と異なり、ろう材自体が上記実施形態によるろう付け用複合材1として機能する場合について説明する。すなわち、本発明の参考例によるろう材3bは、図6に示すように、Ni−Cr合金層4と、Ni−Cr合金層4の上面および下面に圧延接合された一対のTi層5とを含む3層構造を有している。そして、参考例によるろう材3bを用いて熱交換器100(図2参照)を形成する際には、図7に示すように、フィン12とプレート2との間にろう材3bを配置する。なお、ろう材3bは、プレート2に圧延接合により接合されていてもよいし、プレート2の表面に接合されずに配置されている状態でもよい。そして、上記実施形態で行われたろう付け接合と同様の条件(不活性ガス中または真空中で約1100℃以上約1200℃以下の温度で約10分間加熱)下でろう付け接合されることによって、図2に示した熱交換器100が形成される。
参考例では、上記のように、Ni−Cr合金層4と、Ni−Cr合金層4の上面および下面に圧延接合された一対のTi層5とを含む3層構造のろう材3bをろう付け接合の材料として用いることによって、上記実施形態による5層構造のろう付け用複合材1をろう付け接合の材料として用いる場合に比べて、構造が簡単であるので、使用時の汎用性を向上させることができる。
なお、参考例のその他の効果は、上記実施形態と同様である。
次に、上記した本発明の一実施形態の効果(ろう付け接合による接合部の耐酸化性向上効果)を確認するために行った比較実験について説明する。この比較実験では、Ni−Cr合金と純Tiとを圧延接合したろう材を用いて形成した上記実施形態に対応する実施例および参考例によるクラッド材の反応層(ろう付け接合による接合部)と、純Niと純Tiとを圧延接合したろう材を用いて形成した比較例によるクラッド材の反応層(ろう付け接合による接合部)との組成を比較した。また、実施例、参考例および比較例によるクラッド材の反応層(ろう付け接合による接合部)の酸化増量を算出して比較することにより、実施例、参考例および比較例によるクラッド材の反応層(ろう付け接合による接合部)の耐酸化性を評価した。以下、詳細に説明する。
[ろう材の作製]
(実施例1)
ろう材の原料として、Niを79質量%とCrを21質量%とを含むNi−Cr合金と、純Tiとを用いた。そして、Ni−Cr合金の上面および下面に純Tiを圧延接合した後、アルゴン雰囲気下で800℃の温度で1分間拡散焼鈍を施した。そして、仕上げ圧延および焼鈍を行って、Ni−Cr合金および純Tiの板厚をそれぞれ100μmおよび5μmに調整することにより、純Ti/Ni−Cr合金/純Tiの3層構造を有する実施例1によるろう材を作製した。
(実施例2)
仕上げ圧延および焼鈍を行うことにより、Ni−Cr合金の上面および下面に圧延接合された純Tiの板厚を10μmに調整したこと以外は、上記実施例1と同様にして純Ti/Ni−Cr合金/純Tiの3層構造を有する実施例2によるろう材を作製した。
(実施例3)
仕上げ圧延および焼鈍を行うことにより、Ni−Cr合金の上面および下面に圧延接合された純Tiの板厚を20μmに調整したこと以外は、上記実施例1と同様にして純Ti/Ni−Cr合金/純Tiの3層構造を有する実施例3によるろう材を作製した。
(実施例4)
仕上げ圧延および焼鈍を行うことにより、Ni−Cr合金の上面および下面に圧延接合された純Tiの板厚を79μmに調整したこと以外は、上記実施例1と同様にして純Ti/Ni−Cr合金/純Tiの3層構造を有する実施例4によるろう材を作製した。
参考
仕上げ圧延および焼鈍を行うことにより、Ni−Cr合金の上面および下面に圧延接合された純Tiの板厚を86μmに調整したこと以外は、上記実施例1と同様にして純Ti/Ni−Cr合金/純Tiの3層構造を有する参考によるろう材を作製した。
(参考例
仕上げ圧延および焼鈍を行うことにより、Ni−Cr合金の上面および下面に圧延接合された純Tiの板厚を100μmに調整したこと以外は、上記実施例1と同様にして純Ti/Ni−Cr合金/純Tiの3層構造を有する参考例によるろう材を作製した。
(実施例
ろう材の原料として、Niを61質量%とCrを39質量%とを含むNi−Cr合金と、純Tiとを用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして純Ti/Ni−Cr合金/純Tiの3層構造を有する実施例によるろう材を作製した。
参考
ろう材の原料として、Niを89質量%とCrを11質量%とを含むNi−Cr合金と、純Tiとを用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして純Ti/Ni−Cr合金/純Tiの3層構造を有する参考によるろう材を作製した。
(比較例1)
ろう材の原料として、純Niと純Tiとを用いた。そして、純Niの上面および下面に純Tiを圧延接合した後、アルゴン雰囲気下で800℃の温度で1分間拡散焼鈍を施した。そして、仕上げ圧延および焼鈍を行って、純Niおよび純Tiの板厚をそれぞれ100μmおよび5μmに調整することにより、純Ti/純Ni/純Tiの3層構造を有する比較例1によるろう材を作製した。つまり、比較例1では、上記した実施例1〜および参考例1〜3とは異なり、Crを含まないろう材を作製した。
[クラッド材の反応層の組成分析]
(実施例1〜、参考例1〜3および比較例1に共通)
次に、上記のようにして作製した実施例1〜、参考例1〜3および比較例1によるろう材を反応させて得られたクラッド材の反応層の組成を分析した。具体的には、実施例1〜、参考例1〜3および比較例1によるろう材を所定の条件(温度:1100℃、時間:10分)で反応させた。そして、上記反応により得られたクラッド材の反応層を上記実施形態によるろう付け接合による接合部と見なし、その反応層の断面を樹脂で埋め込んだ後、研磨を行った。そして、反応層の断面におけるNi、CrおよびTiの含有率(質量%)を、EPMA(電子線マイクロアナリシス)を用いて分析した。その結果を以下の表1に示す。
Figure 0004880219
上記表1を参照して、Ni−Cr合金と純Tiとを圧延接合したろう材を反応させて得られたクラッド材の反応層には、Ti−Ni−Cr合金が含まれることが判明した。すなわち、板厚が5μmの純Tiと、板厚が100μmのNi−Cr合金(Ni:79質量%、Cr:21質量%)と、板厚が5μmの純Tiとにより構成される実施例1によるろう材を反応させて得られた反応層の組成は、Tiが5質量%、Crが20質量%、Niが75質量%であった。また、板厚が10μmの純Tiと、板厚が100μmのNi−Cr合金(Ni:79質量%、Cr:21質量%)と、板厚が10μmの純Tiとにより構成される実施例2によるろう材を反応させて得られた反応層の組成は、Tiが9質量%、Crが19質量%、Niが72質量%であった。また、板厚が20μmの純Tiと、板厚が100μmのNi−Cr合金(Ni:79質量%、Cr:21質量%)と、板厚が20μmの純Tiとにより構成される実施例3によるろう材を反応させて得られた反応層の組成は、Tiが17質量%、Crが17質量%、Niが66質量%であった。また、板厚が79μmの純Tiと、板厚が100μmのNi−Cr合金(Ni:79質量%、Cr:21質量%)と、板厚が79μmの純Tiとにより構成される実施例4によるろう材を反応させて得られた反応層の組成は、Tiが44質量%、Crが12質量%、Niが44質量%であった。
また、板厚が86μmの純Tiと、板厚が100μmのNi−Cr合金(Ni:79質量%、Cr:21質量%)と、板厚が86μmの純Tiとにより構成される参考によるろう材を反応させて得られた反応層の組成は、Tiが47質量%、Crが11質量%、Niが42質量%であった。また、板厚が100μmの純Tiと、板厚が100μmのNi−Cr合金(Ni:79質量%、Cr:21質量%)と、板厚が100μmの純Tiとにより構成される参考例によるろう材を反応させて得られた反応層の組成は、Tiが48質量%、Crが10質量%、Niが42質量%であった。また、板厚が5μmの純Tiと、板厚が100μmのNi−Cr合金(Ni:61質量%、Cr:39質量%)と、板厚が5μmの純Tiとにより構成される実施例によるろう材を反応させて得られた反応層の組成は、Tiが5質量%、Crが37質量%、Niが58質量%であった。また、板厚が5μmの純Tiと、板厚が100μmのNi−Cr合金(Ni:89質量%、Cr:11質量%)と、板厚が5μmの純Tiとにより構成される参考によるろう材を反応させて得られた反応層の組成は、Tiが5質量%、Crが10質量%、Niが85質量%であった。これにより、実施例1〜および参考例1〜3によるろう材を反応させて得られた反応層の組成から、反応層はTi−Ni−Cr合金からなることが判明した。
一方、板厚が5μmの純Tiと、板厚が100μmの純Niと、板厚が5μmの純Tiとにより構成される比較例1によるろう材を反応させて得られた反応層の組成は、Tiが5質量%、Niが95質量%であった。これにより、比較例1によるろう材を反応させて得られた反応層の組成から、反応層はNi−Ti合金からなり、反応層にはCrが含まれないことが判明した。
また、実施例1〜4および参考例1によるろう材を反応させて得られた反応層の組成を比較して、純Tiの板厚を変化させることによって、反応層のCrの含有率が変化することが判明した。これは、純Tiの板厚を大きくした場合には、純Tiの体積が増加するので、Ni−Cr合金と純Tiとを反応させて得られるTi−Ni−Cr合金からなる反応層におけるTiの含有率が上昇するためであると考えられる。
また、実施例1、および参考例3によるろう材を反応させて得られた反応層の組成を比較して、Ni−Cr合金のCrの含有率を変化させることによって、反応層のCrの含有率が変化することが判明した。
[耐酸化性評価試験]
(実施例1〜、参考例1〜3および比較例1に共通)
また、上記実施例1〜、参考例1〜3および比較例1によるろう材を反応させて得られた反応層(ろう付け接合による接合部)の耐酸化性を評価するための酸化試験を行った。具体的には、実施例1〜、参考例1〜3および比較例1によるろう材を反応させて得られた反応層を50mm×50mm角に切り出し、酸化試験前の反応層の重量を測定した後、大気中で800℃の温度で120時間加熱した。そして、酸化試験後の反応層の重量を測定し、酸化試験前後における反応層の重量の変化から反応層の酸化増量を算出するとともに、反応層の耐酸化性を評価した。なお、試料としての反応層は、るつぼ内に保持した状態で加熱し、耐酸化性の低い試料において発生する酸化皮膜の脱落分も酸化増量として秤量した。また、比較例2として、上記実施例1〜、参考例1〜3および比較例1によるろう材を反応させて得られた反応層に対して行った酸化試験をSUS304に対しても行った。すなわち、比較例2によるSUS304を50mm×50mm角に切り出し、酸化試験前の重量を測定した後、大気中で800℃の温度で120時間加熱した。そして、酸化試験後の重量を測定し、酸化試験前後の重量の変化から酸化増量を算出した。以上の結果を表2に示す。
なお、表2中の皮膜状態については、Crなどの安定した酸化皮膜が形成されたものは表中に「○」印を用いて示すとともに、酸化皮膜が脱落したものは表中に「×」印を用いて示した。
Figure 0004880219
上記表2を参照して、実施例1によるろう材を反応させて得られたTiを5質量%、Crを20質量%、Niを75質量%の割合で含有する反応層の酸化試験前後における酸化増量は、12.3mg/cmであった。また、実施例1によるろう材を反応させて得られた反応層では、酸化皮膜の脱落は確認されなかった。また、実施例2によるろう材を反応させて得られたTiを9質量%、Crを19質量%、Niを72質量%の割合で含有する反応層の酸化試験前後における酸化増量は、13.2mg/cmであった。また、実施例2によるろう材を反応させて得られた反応層では、酸化皮膜の脱落は確認されなかった。また、実施例3によるろう材を反応させて得られたTiを17質量%、Crを17質量%、Niを66質量%の割合で含有する反応層の酸化試験前後における酸化増量は、14.2mg/cmであった。また、実施例3によるろう材を反応させて得られた反応層では、酸化皮膜の脱落は確認されなかった。また、実施例4によるろう材を反応させて得られたTiを44質量%、Crを12質量%、Niを44質量%の割合で含有する反応層の酸化試験前後における酸化増量は、15.3mg/cmであった。また、実施例4によるろう材を反応させて得られた反応層では、酸化皮膜の脱落は確認されなかった。
また、参考によるろう材を反応させて得られたTiを47質量%、Crを11質量%、Niを42質量%の割合で含有する反応層の酸化試験前後における酸化増量は、31.3mg/cmであった。また、参考によるろう材を反応させて得られた反応層では、酸化皮膜の脱落が確認された。また、参考例によるろう材を反応させて得られたTiを48質量%、Crを10質量%、Niを42質量%の割合で含有する反応層の酸化試験前後における酸化増量は、36.2mg/cmであった。また、参考例によるろう材を反応させて得られた反応層では、酸化皮膜の脱落が確認された。また、実施例によるろう材を反応させて得られたTiを5質量%、Crを37質量%、Niを58質量%の割合で含有する反応層の酸化試験前後における酸化増量は、9.1mg/cmであった。また、実施例によるろう材を反応させて得られた反応層では、酸化皮膜の脱落は確認されなかった。また、参考によるろう材を反応させて得られたTiを5質量%、Crを10質量%、Niを85質量%の割合で含有する反応層の酸化試験前後における酸化増量は、23.3mg/cmであった。また、参考によるろう材を反応させて得られた反応層では、酸化皮膜の脱落は確認されなかった。また、比較例1によるろう材を反応させて得られたTiを5質量%、Niを95質量%の割合で含有する反応層の酸化試験前後における酸化増量は、157.0mg/cmであった。また、比較例1によるろう材を反応させて得られた反応層では、酸化皮膜の脱落が確認された。また、比較例2によるSUS304の酸化試験前後における酸化増量は、21.2mg/cmであった。また、比較例2によるSUS304では、酸化皮膜の脱落は確認されなかった。
以上の結果から、実施例1〜、参考例1〜3および比較例1によるろう材を反応させて得られた反応層の酸化増量を比較すると、実施例1〜および参考例1〜3によるろう材を反応させて得られた反応層の酸化増量(12.3mg/cm、13.2mg/cm、14.2mg/cm、15.3mg/cm、31.3mg/cm、36.2mg/cm、9.1mg/cmおよび23.3mg/cm)は、比較例1によるろう材を反応させて得られた反応層の酸化増量(157.0mg/cm)よりも小さく、耐酸化性が高いことが判明した。これは、比較例1によるろう材を反応させて得られた反応層にはCrが含有されていないのに対して、実施例1〜および参考例1〜3によるろう材を反応させて得られた反応層にはCrが含有されているので、実施例1〜および参考例1〜3によるろう材を反応させて得られた反応層の表面にCrの酸化皮膜が形成されたためであると考えられる。
また、実施例1〜および参考例1〜3によるろう材を反応させて得られた反応層の酸化増量を比較すると、実施例1〜および参考例3によるろう材を反応させて得られた反応層の表面には、安定した皮膜状態のCrの酸化皮膜が形成されているのに対して、参考および2によるろう材を反応させて得られた反応層の表面には、Crの酸化皮膜が形成されているものの、酸化皮膜が安定した状態にはないことが判明した。これは、参考および2によるろう材を構成する純Tiの板厚(86μmおよび100μm)が、実施例1〜および参考例3によるろう材を構成する純Tiの板厚(5μm、10μm、20μm、79μm、5μmおよび5μm)よりも大きいため、TiとNi−Cr合金との反応がTi層の表面まで十分に到達することができなかったためであると考えられる。
また、実施例1〜および参考例1〜3によるろう材を反応させて得られた反応層と、比較例2によるSUS304との酸化増量を比較すると、実施例1〜によるろう材を反応させて得られた反応層の酸化増量(12.3mg/cm、13.2mg/cm、14.2mg/cm、15.3mg/cmおよび9.1mg/cm)は、比較例2によるSUS304の酸化増量(21.2mg/cm)よりも小さいことが判明した。これにより、実施例1〜によるろう材を用いてろう付け接合した接合部は、SUS304などのステンレス鋼よりも高い耐酸化性を有するので、ステンレス鋼よりも早く酸化しないと考えられる。その結果、実施例1〜によるろう材は、ステンレス鋼などに対するろう材としてより好ましいと考えられる。これに対して、参考例1〜3によるろう材を反応させて得られた反応層の酸化増量(31.3mg/cm、36.2mg/cmおよび23.3mg/cm)は、比較例2によるSUS304の酸化増量(21.2mg/cm)よりも大きいことが判明した。これにより、参考例1〜3によるろう材を用いてろう付け接合した接合部は、SUS304などのステンレス鋼よりも低い耐酸化性を有するので、ステンレス鋼よりも早く酸化すると考えられる。その結果、参考例1〜3によるろう材は、ステンレス鋼に対するろう材としてはあまり好ましくないことが判明した。
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明のろう付け構造を熱交換器に適用する例について説明したが、本発明はこれに限らず、本発明のろう付け構造を高温の排ガスが流れることにより高い耐酸化性が求められる熱交換器以外のろう付け構造物にも適用可能である。
また、上記実施形態では、ろう付け用複合材を構成するプレートとしてステンレス鋼を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、ろう付け用複合材を構成するプレートとして、ステンレス鋼以外のハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)などのNi基耐熱合金を含む鉄鋼を用いてもよい。
また、上記実施形態では、ろう材として純TiのみからなるTi層を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、ろう材として純Tiを85%以上の割合で含有するTi合金層を用いてもよい。このような純Tiを主成分とするTi合金として、たとえば、Ti−5Al−2.5Snなどのα相(最密六方相)を有するα合金や、Ti−6Al−4Vなどのα相(最密六方相)およびβ相(体心立方相)を有するα+β合金が挙げられる。
また、上記実施形態では、図1に示すように、Ti層5がNi−Cr合金層4の表面に圧延接合された状態の5層構造のろう付け用複合材1を用いてろう付け接合を行う例を示したが、本発明はこれに限らず、図8に示すように、プレート2の上面および下面にNi−Cr合金層4を圧延接合した3層構造のクラッド材と、一対の純TiからなるTi箔5aとを個別に用意し、ろう付け接合する直前にTi箔5aをNi−Cr合金層4の表面に配置するようにしてもよい。なお、Ti箔5aは、本発明の「Ti層」および「Ti合金層」の一例である。このように構成すれば、ろう付け接合を行う部分のみにTi層を形成することができるので、ろう付け用複合材の全面にTi層を形成する場合に比べて、より安価でろう付け構造を得ることができる。
本発明の一実施形態によるろう付け用複合材の構成を示した断面図である。 図1に示した本発明の一実施形態によるろう付け用複合材を用いて形成された熱交換器を部分的に示した断面図である。 図2に示した本発明の一実施形態による熱交換器の接合部を示した拡大断面図である。 図2に示した本発明の一実施形態による熱交換器を形成する際のろう付け接合の工程を説明するための断面図である。 図4に示した本発明の一実施形態による熱交換器の接合部を示した拡大断面図である。 本発明の参考例によるろう材の構成を示した断面図である。 図6に示した参考例によるろう材を用いたろう付け接合の工程を説明するための断面図である。 本発明の変形例によるろう付け用複合材の構成を示した断面図である。
1 ろう付け用複合材
2 プレート(基板)
3、3b ろう材
4 Ni−Cr合金層
5 Ti層(Ti合金層)
5a Ti箔(Ti層、Ti合金層)
100 熱交換器(ろう付け構造)

Claims (5)

  1. ステンレス鋼により形成されたステンレス基板と、
    前記ステンレス基板の表面に圧延接合されるとともに、前記ステンレス基板側に配置され、Crの含有率が21質量%以上40質量%以下であるNi−Cr合金層と、前記Ni−Cr合金層の前記ステンレス基板とは反対側の外表面に配置され、前記Ni−Cr合金層の厚みよりも小さい5μm以上80μm以下の厚みを有するTi層またはTi合金層との2層構造からなるろう材とを備えた、ろう付け用複合材
  2. 前記Ti層または前記Ti合金層の厚みは、5μm以上20μm以下である、請求項に記載のろう付け用複合材。
  3. ステンレス鋼により形成されたステンレス基板と、前記ステンレス基板の表面に圧延接合されるとともに、前記ステンレス基板側に配置され、Crの含有率が21質量%以上40質量%以下であるNi−Cr合金層と、前記Ni−Cr合金層の前記ステンレス基板とは反対側の外表面に配置され、前記Ni−Cr合金層の厚みよりも小さい5μm以上80μm以下の厚みを有するTi層またはTi合金層との2層構造からなるろう材とを備えたろう付け用複合材を用いてろう付け接合されることにより形成された、ろう付け構造。
  4. 少なくともろう付け接合された部分にTi−Ni−Cr合金を含む、請求項に記載のろう付け構造。
  5. 前記Ti−Ni−Cr合金のCrの含有率は、12質量%以上である、請求項に記載のろう付け構造。
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