本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態の受信装置の構成を表したブロック図である。
同図において、この受信装置1は、受信アンテナ2が接続された受信部3と、レベル検出部4と、同期信号再生部5、連続性判定部6、制御部7を有して構成されている。
受信部3は、制御部7から供給される選局制御信号Schの指示に従って、受信すべきテレビジョン放送の周波数と同調するための局発信号を内部で発生し、その局発信号と受信アンテナ2に生じる受信信号Sinとを混合することにより、周波数変換した中間周波信号(IF信号)を生成する。そして、該IF信号を所定の周波数帯域で帯域制限することにより、いわゆる希望波としてのIF信号(以下「希望IF信号」と称する)を生成し、更にその希望IF信号を検波することによって、音声検波信号と複合映像信号(コンポジット信号)と複合同期信号を再生し、更に、音声検波信号と複合映像信号を復調等することによって、放送局側から送られてきた音声信号Sauと映像信号Svdを再生して、例えばスピーカやディスプレイ等に供給する。
また、受信部3は、自動サーチ又は自動プリセットを行う際にも、制御部7から供給される選局制御信号Schの指示に従って、シーク(掃引)すべき周波数と同調するための局発信号を内部で発生し、上述したように音声検波信号と複合映像信号と複合同期信号を再生する。
ここで、「自動サーチ」とは、局発信号LOの同調周波数をシーク(掃引)していき、受信品質の良好な放送を受信した時点でシークを終了して、その良好な放送を継続受信する処理をいう。したがって、「自動サーチ」では、受信品質の良好な放送チャンネル(有効チャンネル)を1個だけ検出する。また、良好な放送を受信できないときには、ユーザが終了の指示を行うまでシーク動作を継続するようになっている。
「自動プリセット」とは、テレビジョン放送の全伝送帯域に亘って、局発信号LOの同調周波数をシーク(掃引)していき、受信品質の良好な放送チャンネル(有効チャンネル)を検出すると、その検出した有効チャンネルの同調周波数と選局操作ボタンとを対応付けて記憶することによって、その後、ユーザが所望の選局操作ボタンをオン操作するだけで、所望の放送を受信できるようにする処理をいう。したがって、「自動プリセット」では、受信品質の良好な放送チャンネル(有効チャンネル)が1個に拘わらず複数個検出された場合には、複数個の各有効チャンネルの同調周波数と複数個の各選局操作ボタンとを対応付けて記憶するようになっている。
レベル検出部4は、自動サーチ又は自動プリセットの際に、受信部3が希望IF信号を検波することによって再生する音声検波信号Cauの有無を検出する。そして、受信部3から音声検波信号Cauが出力されたときには、受信状態が良好な受信品質の得られる状態(以下「有効受信」状態という)であると判断し、音声検波信号Cauが出力されないときには、「有効受信」の状態ではないと判断して、夫々の判断結果を示す検出信号Sdを出力する。
例えば、レベル検出部4は、受信部3が希望IF信号を検波することによって再生する音声検波信号Cauのレベルとノイズレベルとを区別すべく決められている所定値の閾値と音声検波信号Cauとを比較し、音声検波信号Cauのレベルの方が閾値より大きいときには、「有効受信」の状態であると判断して論理“H”となる検出信号Sdを出力し、一方、音声検波信号Cauのレベルの方が閾値より小さいときには、「有効受信」の状態では無いと判断して論理“L”となる検出信号Sdを出力する。
同期信号再生部5は、受信部3で再生される複合同期信号Csyncを入力し、その複合同期信号Csyncに含まれている水平同期信号成分と垂直同期信号成分を検出する。そして、その検出した水平同期信号成分に同期し且つテレビジョン放送の規格で定められている水平同期周波数と等しい周波数の水平同期信号Hwを発生して出力すると共に、検出した垂直同期信号成分に同期し且つテレビジョン放送の規格で定められている垂直同期周波数と等しい周波数の垂直同期信号Vdを発生して出力する。
連続性判定部6は、自動サーチ又は自動プリセットの際、水平同期信号Hwの各周期(すなわち、1H期間)Thに同期して、複合同期信号Csync中に水平同期信号成分が存在しているか否かを検出し、水平同期信号成分が存在している状態(以下「一致性」を有する状態と称する)がnH期間に亘ってn回(本実施形態では、3回)連続しているか否か調べ、n回連続している場合に、水平同期信号成分に「連続性」があると判断する。更に、その「連続性」の有る状態を、垂直同期信号Vdの各垂直走査期間(すなわち,1V期間)内において計数し、その計数値mが所定回数u(本実施例では、63回)以上のときには、「連続性の頻度」が高いと判断する。そして、「連続性の頻度」が高いと判断すると、水平同期信号成分が安定して検波され、欠落等の少ない状態であると判定して、「安定性」が有ることを示す判定信号Eusを出力する。
一方、計数値mが所定回数u未満のときには、連続性判定部6は、「連続性の頻度」が低いと判断し、水平同期信号成分が安定して検波されていないと判定して、「安定性」が無いことを示す判定信号Eusを出力する。
制御部7は、判定信号Eusと検出信号Sdを入力する。そして、「安定性」が有ることを示す判定信号Eusと、「有効受信」の状態であることを示す検出信号Sdとが時間的に重なって供給されることとなると、受信部3が良好な受信品質の得られる放送を受信中であると判断する。
すなわち、制御部7は、「安定性」が有ることを示す判定信号Eusが供給されている間に、「有効受信」であることを示す検出信号Sdが供給された場合、または、「有効受信」であることを示す検出信号Sdが供給されている間に、「安定性」が有ることを示す判定信号Eusが供給された場合に、受信部3が良好な受信品質の得られる放送を受信中であると判断する。
そして、制御部7は、自動サーチの際に、検出信号Sdと判定信号Eusとに基づいて、上述した良好な受信品質の得られる放送を受信中であると判断すると、有効チャンネルを受信中であると判断して、その受信中に選局制御信号Schによって受信部3に指示した局発信号の同調周波数の情報を、例えば半導体メモリ等で形成された選局情報記憶部(図示略)に記憶させると共に、受信部3に対して、その同調周波数を維持して受信動作を継続させる。
また、自動サーチの際に、制御部7は、検出信号Sdと判定信号Eusとに基づいて、良好な受信品質の得られる放送を受信中では無いと判断すると、有効チャンネルを受信中ではないと判断して、選局制御信号Schによって、次にシークすべき同調周波数を指示して受信部3に受信を行わせる。そして、上記次のシークの際に、検出信号Sdと判定信号Eusとに基づいて、良好な受信品質の得られる有効チャンネルの放送を受信中であると判断すると、その受信中に選局制御信号Schによって受信部3に指示した局発信号の同調周波数を、選局情報記憶部にデータとして記憶させると共に、受信部3に対して、その同調周波数を維持して受信動作を継続させる。
このように、制御部7は、自動サーチが開始されると、テレビジョン放送の伝送帯域の範囲内において、良好な受信品質の得られる有効チャンネルの放送を受信中であると判断するまで、同調周波数を順に変化させてシーク動作を継続する。また、良好な受信品質の得られる有効チャンネルが見つからなくとも、ユーザから自動プリセットの処理を終了させるべく指示がなされると、強制的に自動プリセットの処理を終了する。
自動プリセットの際には、制御部7は、テレビジョン放送の全伝送帯域の範囲内に亘って同調周波数を順に変化させていき、上述の自動サーチの場合と同様に、検出信号Sdと判定信号Eusとに基づいて、良好な受信品質の得られる有効チャンネルの放送を受信中であると判断した時点で、その同調周波数と選局操作ボタン(図示略)との対応付けを行うと共に、その対応付けを行った同調周波数と選局操作ボタンとの情報を選局情報記憶部に選局用データとして記憶させる。
以上説明したように、本実施形態の受信装置1によると、自動サーチ又は自動プリセットの際に、複合同期信号Csyncが時間的に高い頻度で連続して再生されているか否かの判定を行い、高い頻度で連続して再生されていると、安定性が有ることを示す判定信号Eusを生成すると共に、安定性が有ることを示す判定信号Eusが生じている間に、音声検波信号Cauが検波されたことを示す検出信号Sdが検出された場合に、その受信中の同調周波数の情報を選局情報記憶部に記憶するので、安定した自動サーチ機能や自動プリセット機能を発揮する受信装置を提供することができる。
例えば、本実施形態の受信装置1では、自動サーチ又は自動プリセットの際に、安定して受信することができる放送チャンネル(有効チャンネル)を検出して、同調周波数の情報を選局情報記憶部に記憶することとなるので、受信品質が変化し易い環境下でシークを行った場合に、たまたまフェージング等によって受信品質が劣化して、受信可能エリア内の放送チャンネルをプリセット等する機会を逸してしまうといった問題を回避することができる。また、シークの際にたまたま隣接妨害波や地上ディジタル放送等を受信することとなった場合、その隣接妨害波や地上ディジタル放送等のチャンネルをプリセット等してしまうという問題を回避することが可能である。
なお、以上に説明した本実施形態の受信装置1では、上述したように、連続性判定部6は、複合同期信号Csync中に存在する水平同期信号成分がnH期間に亘ってn回(具体的には、3回)連続したか否か調べることにより、その水平同期信号成分の発生状態に「連続性」が有るか否か判断することとしているが、本願発明は、かかる技法に限定されるものではない。例えば、1H期間(1水平走査期間)のN倍(Nは、適宜の自然数)の期間を基準期間と決めておき、連続性判定部6がその基準期間内に、水平同期信号成分がn回発生したことを検出すると、実際に水平同期信号成分が各水平走査期間において連続して発生しなくとも、「連続性」が有ると判断するようにしてもよい。つまり、所定の基準期間内に、時間的に高い頻度(別言すれば、時間的に高い密度)で水平同期信号成分が発生したか否かを検出することで、「連続性」の有無を判断するようにすればよい。
また、本実施形態の連続性判定部6は、上述の「連続性」の有る状態を、垂直同期信号Vdの各垂直走査期間(すなわち、1V期間)内において計数し、その計数値mが所定回数u(具体的には、63回)以上のときには、「連続性の頻度」が高いと判断して、水平同期信号成分の検波状態に「安定性」が有ることを示す判定信号Eusを出力することとしているが、本願発明は、かかる技法に限定されるものではない。例えば、「連続性」の有る状態を、垂直同期信号Vdの各垂直走査期間(1V期間)内において計数する代わりに、予め決められた所定期間(すなわち、1V期間以外の適宜の期間であって、例えば1H期間より長い期間)内に、「連続性」の有る状態が所定回数以上生じたか否か判断するようにしてもよい。すなわち、「連続性の頻度」を判断する場合にも、時間的に高い密度で「連続性」の有る状態が発生したか否かを判断するようにしてもよい。
次に、図1に示した実施形態に係るより具体的な実施例の受信装置について、図2ないし図6を参照して説明する。なお、図2は、本実施例の受信装置の構成を表したブロック図であり、図1と同一又は相当する部分を同一符号で示している。図3は、本実施例の受信装置の機能を説明するためのタイミングチャート、図4と図5は、自動サーチと自動プリセットの際の動作を説明するためのフローチャート、図6は、変形例の構成を表した図である。
図2において、この受信装置1は、図1に示した受信装置と同様に、受信アンテナ2が接続された受信部3と、レベル検出回路4と、水平同期検出回路5、連続性判定部6、制御部7とを有する他、受信装置1全体の動作を同期させるためのシステムクロックCKを発生するシステムクロック発生回路8と、ユーザが所望の操作入力を行うための操作部9が設けられている。
ここで、受信部3は、受信アンテナ2に生じる受信信号Sinを増幅して、そのRF信号SRFを出力するRFアンプ部3aと、選局制御信号Schで指示される同調周波数の局発信号LOを出力する局部発振器3gと、RF信号SRFと局発信号LOとを混合することにより中間周波信号(IF信号)SIFを生成して出力する周波数変換部3bと、IF信号SIFを所定の周波数帯域で帯域制限することにより、いわゆる希望波としてのIF信号(希望IF信号)SIFwを出力するIFアンプ部3cと、希望IF信号SIFwを検波することで復合映像信号Cvdを生成する映像検波回路3dと、希望IF信号SIFwを検波することで音声検波信号Cauを生成する音声検波回路3eと、復合映像信号Cvdから復合同期信号Csyncを分離する同期分離回路3fとを有して構成されている。
レベル検出回路4は、自動サーチ又は自動プリセットの際に、所定の閾値と音声検波信号Cauのレベルとを比較する比較器で形成されており、音声検波信号Cauのレベルの方が閾値より大きいときには、良好な受信品質の得られる「有効受信」の状態であることを示す論理“H”となる検出信号Sdを出力する。一方、音声検波信号Cauのレベルの方が閾値より小さいときには、「有効受信」の状態で無いことを示す論理“L”となる検出信号Sdを出力する。
同期信号再生回路5は、テレビジョン放送の規格に準拠した水平同期周波数(NTSC方式の場合、約15.73kHz)の信号を発生し、テレビジョン放送の規格に準拠した垂直同期周波数(NTSC方式の場合、約60Hz)の信号を発生する。そして、同期信号再生回路5は、複合同期信号Csyncに含まれている水平同期信号成分と垂直同期信号成分とを検出し、その水平同期信号成分に同期し且つ水平同期周波数の信号と等しい周波数の水平同期信号Hwを発生して出力すると共に、検出した垂直同期信号成分に同期し且つ垂直同期周波数の信号と等しい周波数の垂直同期信号Vdを発生して出力する。
すなわち、同期信号再生回路5は、図3(a)に示すように、自動サーチ又は自動プリセットの処理をある時点tsから開始した場合、水平同期信号成分に同期して1H期間(1水平走査期間)Thを1周期とする水平同期信号Hwを出力し、更に図3(b)に示すように、垂直同期信号成分に同期して1V期間(1垂直走査期間)Tvを1周期とする垂直同期信号Vdを出力する。
連続性判定部6は、水平同期検出回路6aと連続性判定回路6bを有して構成されている。
そして、水平同期検出回路6aが、自動サーチ又は自動プリセットの際、水平同期信号Hwの各周期(すなわち、1H期間)Thに同期して、複合同期信号Csync中に水平同期信号成分が存在しているか否かを検出し、水平同期信号成分が存在していることを検出すると、論理“H”となる2値信号から成る水平同期検知信号Hinを発生して連続性判定回路6bに供給する。
連続性判定回路6bは、水平同期信号Hwが発生する時点に同期して、論理“H”となる水平同期検知信号Hinが発生したか否かの検出を行うことで、水平同期信号Hwと水平同期検知信号Hinとの「一致性」を調べる。
例えば、連続性判定回路6bには、水平同期信号Hwと水平同期検知信号Hinとの論理積演算を行うAND回路が設けられ、「一致性」が有る場合には該AND回路の出力が論理“H”となり、一方、「一致性」が無い場合には該AND回路の出力が論理“L”となる。
更に、連続性判定回路6bは、内蔵されている第1の計数回路(図示略)によって、その「一致性」を有する状態が連続して所定回数n(3回)連続しているか否か調べ、n回連続している場合に「連続性」ありと判断する。例えば、第1の計数回路が1H期間Th毎に上述のAND回路の出力を計数し、連続して計数した計数値が値nとなる毎に、図3(a)に示すように、「連続性」が有ることを示す論理“H”となる信号Edを発生する。
更に、連続性判定回路6b内に設けられている第2の計数回路(図示略)によって、その「連続性」の有る状態を、垂直同期信号Vdの各垂直走査期間(すなわち、1V期間)Tv内において計数し、その計数値mが所定回数u(63回)以上のときには、「連続性の頻度」が高く「「安定性」が有ると判断し、その計数値mが所定回数u未満のときには、「連続性の頻度」が高く無く「安定性」が無いと判断する。
例えば、第2の計数回路が第1の計数回路の出力Edを1V期間Tv内において計数する。そして、図3(b)に示すように、計数値mが回数u以上のときには、「連続性の頻度」が高く「安定性」が有ることを示す論理“H”となる判定信号Eusを出力し、一方、計数値mが回数u未満のときには、「連続性の頻度」が高く無く、「安定性」が無いことを示す論理“L”となる判定信号Eusを出力する。
制御部7は、マイクロプロセッサ(MPU)等を有する回路で形成された制御回路7aと、半導体メモリ等で形成された選局情報記憶用の記憶部7bを有して構成されており、更に、ユーザが操作入力を行うための選局操作ボタンと自動サーチと自動プリセットの動作を開始させるための操作ボタン等が設けられた操作部9が、制御回路7aに接続されている。
そして、制御回路7aは、判定信号Eusと検出信号Sdを入力し、「安定性」が有ることを示す判定信号Eusと、「有効受信」の状態であることを示す検出信号Sdとが時間的に重なって供給されることとなると、受信部3が良好な受信品質の得られる放送を受信中であると判断する。
すなわち、制御回路7aは、図3(b)に例示するように、「安定性」が有ることを示す判定信号Eusが供給されている間に、「有効受信」であることを示す検出信号Sdが供給された場合、または、「有効受信」であることを示す検出信号Sdが供給されている間に、「安定性」が有ることを示す判定信号Eusが供給された場合に、受信部3が良好な受信品質の得られる有効チャンネルの放送を受信中であると判断し、その判断結果を示す論理“H”となる判断信号Sjdを内部で発生する。
そして、制御回路7aは、自動サーチの際に、検出信号Sdと判定信号Eusとに基づいて、上述した良好な受信品質の得られる有効チャンネルの放送を受信中であると判断した判断信号Sjdに同期して、所定の期間τ内において、その受信中に選局制御信号Schによって局部発振器3gに指示した局発信号の同調周波数の情報を、記憶部7bに記憶させると共に、局部発振器3gに対して、その同調周波数を維持して受信動作を継続させる。そして、期間τの経過時点tpにおいて自動サーチの処理を完了する。
また、自動サーチの際に、制御回路7aは、検出信号Sdと判定信号Eusとに基づいて、良好な受信品質の得られる有効チャンネルの放送を受信中では無いと判断すると、選局制御信号Schによって、次にシークすべき同調周波数を指示して受信部3に受信を行わせる。
つまり、図3(b)に例示するように、検出信号Sdと判定信号Eusが共に論理“L”となっている場合や、検出信号Sdが論理“H”で判定信号Eusが論理“L”となっている場合や、検出信号Sdが論理“L”で判定信号Eusが論理“H”となっている場合において、判断信号Sjdが論理“L”となる期間中では、所定期間毎に次にシークすべき同調周波数を指示して受信部3に受信を行わせる。なお、本実施例では、受信部3に対して、次にシークすべき同調周波数を指示するための上記所定期間として、約100msec毎の期間が決められている。但し、約100msec毎でなくともよく、1回のシークに支障を来さない期間、例えば1V期間Tvより長い期間であれば、適宜に決めることが可能である。
そして、制御回路7aが、上記次のシークの際に、検出信号Sdと判定信号Eusとに基づいて、良好な受信品質の得られる有効チャンネルの放送を受信中であると判断することとなると、その受信中に選局制御信号Schによって受信部3に指示した局発信号の同調周波数の情報を、記憶部7bに記憶させると共に、受信部3に対して、その同調周波数を維持して受信動作を継続させる。
自動プリセットの際には、制御回路7aは、選局制御信号Schによって、テレビジョン放送の全伝送帯域に亘って、約100msec毎に同調周波数を順に変化させていき、上述の自動サーチの場合と同様に、検出信号Sdと判定信号Eusとに基づいて、良好な受信品質の得られる有効チャンネルの放送を受信中であると判断して論理“H”となる判断信号Sjdを発生した時点で、その同調周波数と選局操作ボタンとの対応付けを行うと共に、その対応付けを行った同調周波数と選局操作ボタンとの情報を記憶部7bに選局用データとして記憶させる。
したがって、自動プリセットの際には、制御回路7aは、テレビジョン放送の全伝送帯域の範囲内において同調周波数を順に変化させて、良好な受信品質の得られる有効チャンネルの放送を複数個の検出した場合には、複数個の選局用データを記憶部7bに記憶させる。
そして、制御回路7aは、自動プリセットの処理を完了すると、その後ユーザが操作部9の所望の選局操作ボタンをオン操作するのに従って、オン操作された選局操作ボタンに対応付けられている選局用データを記憶部7bから読み出すと共に、受信部3に対して、その選局用データで示されている同調周波数を選局制御信号Schによって指示することで、ユーザの所望する放送を受信させる。したがって、ユーザは自動プリセットを行わせると、いわゆるワンタッチ操作をするだけで、所望の放送を選局することができるようになっている。
次に、かかる構成を有する本実施例の受信装置1の動作について、図4及び図5を参照して説明する。なお、図4に基づいて自動サーチの際の動作、図5に基づいて自動プリセットの際の動作を夫々説明することとする。
〈自動サーチの動作〉
図4において、ユーザから操作部9を介して自動サーチの開始の指示がなされると、本受信装置1は、制御回路7aの制御下で、自動サーチの処理を開始する。
まず、ステップS100において、連続性判定回路6bに設けられている計数回路の計数値n,mを0にリセットさせた後、計数動作を開始させる等の初期化を行う。
次に、ステップS101において、制御回路7aが選局制御信号Schによって、所定のディフォルト周波数(既定周波数)を同調周波数とすべく、局部発振器3gに指示する。これにより、シークが開始され、同期信号再生回路5とレベル検出回路4と水平同期検出回路6aが、水平同期信号Hwと垂直同期信号Vdと、検出信号Sd、水平同期検知信号Hinの生成を開始する。
次に、ステップS102において、連続性判定回路6bが、水平同期検知信号Hinと水平同期信号Hwとの「一致性」の有無を調べる。そして、「一致性」が無いと判断すると、ステップS103において計数値nを0に設定した後、後述のステップS107に移行する。
一方、ステップS102において、連続性判定回路6bが、「一致性」が有ると判断すると、ステップS104において、計数値nを1カウントアップしてから、ステップS105へ移行する。
ステップS105では、連続性判定回路6bが、計数値nは3に達したか否か調べる。そして、計数値nが3に達していなければステップS107に移行し、計数値nが3に達していればステップS106において計数値mを1カウントアップした後、ステップS107に移行する。
ステップS107では、連続性判定回路6bが1V期間Tvに達したかを垂直同期信号Vdに基づいて判断し、未だ1V期間Tvに達していなければステップS102に戻って処理を繰り返す。また、1V期間Tvに達していれば、ステップS108に移行する。
ステップS108では、計数値mが所定の回数u以上となっているか否かを連続性判定回路6bが調べ、計数値mが回数u以上であった場合には、ステップS109において論理“H”となる判定信号Eusを出力した後、ステップS111に移行し、計数値mが回数u未満であった場合には、ステップS110において、論理“L”となる判定信号Eusを出力した後、ステップS111に移行する。
このように、ステップS102〜S110の処理では、連続性判定回路6bが、水平同期検知信号Hinの「連続性」と「連続性の頻度」を調べることにより、複合同期信号Csync中の水平同期信号成分の「連続性」と「連続性の頻度」を調べ、これら「連続性」と「連続性の頻度」が所定の条件を満たしている場合に、論理“H”となる判定信号Eusを出力し、一方、「連続性」と「連続性の頻度」が所定の条件を満たしていない場合に、論理“L”となる判定信号Eusを出力する。
次に、ステップS111において、制御回路7aが検出信号Sdと判定信号Eusとを調べ、両者が論理“H”となったか否か判断する。そして、これらの信号Sd,Eusが共に論理“H”となっていると、有効チャンネルの放送を受信中であると判断して、ステップS112に移行し、有効チャンネルの放送を受信中であることを示す論理“H”となる判断信号Sijを内部で発生すると共に、その受信中の同調周波数に固定させて、自動サーチの処理を終了する。
一方、上述のステップS111において、制御回路7aが有効チャンネルの放送を受信中では無いと判断すると、ステップS113に移行して、同調周波数を変更させるべき所定時間(すなわち、約100msec)が経過したか否か判断し、未だその時間が経過していなければ、ステップS115において連続性判定回路6bに設けられている計数回路の計数値n,mを0にリセットさせた後、ステップS102からの処理を繰り返す。
また、ステップS113において、制御回路7aが所定期間(すなわち、約100msec)経過したと判断すると、ステップS114において、選局制御信号Schを局部発振器3gに供給することにより、同調周波数を次にシークするための周波数に変更させ、更にステップS115において連続性判定回路6bに設けられている計数回路の計数値n,mを0にリセットさせた後、ステップS102からの処理を繰り返す。
このように、ステップS113〜S115では、有効チャンネルの放送が見つかっていない間、シーク動作を継続するための処理を行う。そして、ステップS111において、有効チャンネルの放送が見つかると、ステップS112において、その有効チャンネルの放送を継続受信すべく、同調周波数を固定すると共に、その同調周波数の情報を記憶部7に記憶する等の処理を行って、自動サーチの処理を終了する。なお、図4中には示されていないが、有効チャンネルの放送が見つかっていない間に、ユーザが操作部9を介して自動サーチを終了するための入力操作を行うと、図4中の何れのステップであっても、制御回路7aが強制的に自動サーチの処理を終了するようになっている。
〈自動プリセットの動作〉
次に、図5を参照して、自動プリセットの際の動作について説明する。なお、図5において、図4と同一又は同一の処理を行うステップを同一符号で示している。
図5において、ユーザから操作部9を介して自動プリセットの開始の指示がなされると、図4に示した自動サーチの場合と同様に、本受信装置1は制御回路7aの制御下で、自動プリセットの処理を開始し、ステップS100における初期化処理を行った後、ステップS101において所定のディフォルト周波数(既定周波数)を同調周波数に設定し、ステップS102以降の処理に移行する。
そして、ステップS102〜S110の処理では、連続性判定回路6bが、水平同期検知信号Hinの「連続性」と「連続性の頻度」を調べることにより、複合同期信号Csync中の水平同期信号成分の「連続性」と「連続性の頻度」を調べ、これら「連続性」と「連続性の頻度」が所定条件を満たしている場合に、論理“H”となる判定信号Eusを出力し、一方、「連続性」と「連続性の頻度」が所定条件を満たしていない場合に、論理“L”となる判定信号Eusを出力する。
次に、ステップS111において、制御回路7aが、検出信号Sdと判定信号Eusとを調べ、両者が論理“H”となったか否か判断する。そして、これらの信号Sd,Eusが共に論理“H”となっていると、有効チャンネルの放送を受信中であると判断して、ステップS116に移行し、有効チャンネルの放送を受信中であることを示す論理“H”となる判断信号Sijを内部で発生すると共に、所定の期間τ内において、その受信中に選局制御信号Schによって局部発振器3gに指示した局発信号の同調周波数と選局操作ボタンとの対応付けを行い、更に、その対応付けを行った同調周波数と選局操作ボタンとの情報を記憶部7bに選局用データとして記憶させ、次のステップS117へ移行する。
また、上述のステップS111において、制御回路7aが有効チャンネルの放送を受信中では無いと判断すると、直接ステップS117へ移行する。
ステップS117では、テレビジョン放送の全伝送周波数帯域に亘ってシークを行ったか否か判断し、未だであればステップS113に移行する。一方、テレビジョン放送の全伝送周波数帯域に亘ってシークを行った場合には、自動プリセットの処理を終了する。
そして、ステップS113において、制御回路7aが、同調周波数を変更させるべき所定時間(すなわち、約100msec)が経過したか判断し、未だその時間が経過していなければ、ステップS115において連続性判定回路6bに設けられている計数回路の計数値n,mを0にリセットさせた後、ステップS102からの処理を繰り返す。また、ステップS113において、制御回路7aが所定期間(すなわち、約100msec)経過したと判断すると、ステップS114において、選局制御信号Schを局部発振器3gに供給することにより、同調周波数を次にシークするための周波数に変更させ、更にステップS115において連続性判定回路6bに設けられている計数回路の計数値n,mを0にリセットさせた後、ステップS102からの処理を繰り返す。
そして、ステップS102からの繰り返し処理の後、制御回路7aがステップS117において、テレビジョン放送の全伝送周波数帯域に亘ってシークを行ったと判断すると、自動プリセットの処理を終了する。
以上説明したように、本実施例の受信装置1によると、自動サーチ又は自動プリセットの際に、複合同期信号Csyncが時間的に高い頻度で連続して再生されているか否かの判定を行い、高い頻度で連続して再生されていると、安定性が有ることを示す判定信号Eusを生成すると共に、安定性が有ることを示す判定信号Eusが生じている間に、音声検波信号Cauが検波されたことを示す検出信号Sdが検出された場合に、その受信中の同調周波数の情報を選局情報記憶部に記憶するので、安定した自動サーチ機能や自動プリセット機能を発揮する受信装置を提供することができる。
例えば、本実施形態の受信装置1では、自動サーチ又は自動プリセットの際に、安定して受信することができる放送チャンネル(有効チャンネル)を検出して、同調周波数の情報を選局情報記憶部に記憶することとなるので、受信品質が変化し易い環境下でシーク(掃引)を行った場合に、たまたまフェージング等によって受信品質が劣化して、受信可能エリア内の放送チャンネルをプリセット等する機会を逸してしまうといった問題を回避することができる。また、シークの際にたまたま隣接妨害波や地上ディジタル放送等を受信することとなった場合、その隣接妨害波等のチャンネルをプリセット等してしまうという問題を回避することが可能である。
なお、図2に示した本実施形態の受信装置1では、自動サーチ又は自動プリセットの際に、制御回路7aは、レベル検出回路4から出力される検出信号Sdと連続性判定回路6bから出力される判定信号Eusとを入力して、有効チャンネルの放送を受信中か否かの判定を行う構成となっているが、図6に示すように、検出信号Sdと判定信号Eusとを論理積演算するAND回路7cを設け、該AND回路7cから出力される判断信号Sjdを制御回路7aが入力して、有効チャンネルの放送を受信中か否かの判定を行うようにしてもよい。
かかる変形例の構成によると、制御回路7a内に設けられているマイクロプロセサ(MPU)の処理の負担を軽減することができる。