JP4413077B2 - 水処理装置 - Google Patents
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Description
特許文献1の処理装置では、被処理水の処理経路に、汚泥を好気性消化する好気性消化槽が設けられ、この好気性消化槽において被処理水中の汚泥の好気性消化が行われるようになっている。
上記特許文献1には、汚泥を好気性消化する好気性消化槽を有する水処理装置の具体的な構成が提示されているが、被処理水中の汚泥の消化を行うこの種の処理装置においては、汚泥を効率的に処理する更なる技術に対する要請がある。
前記課題を解決する本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの水処理装置である。
請求項1に記載のこの水処理装置は、被処理水の嫌気処理、汚泥分離処理、好気処理、固液分離処理、消毒処理が順次行なわれる処理経路であって、汚泥分離処理では嫌気処理で発生した汚泥が分離され、固液分離処理では好気処理で発生した固形物が分離される第1の処理経路と、第1の処理経路のうち汚泥分離処理がなされる領域から分岐し、当該汚泥分離処理で分離された汚泥が第1の処理経路から抜き出されて処理される処理経路であって、汚泥の汚泥消化を行なう汚泥消化部を含む第2の処理経路と、第1の処理経路の汚泥分離処理で分離された汚泥を第2の処理経路の汚泥消化部へ移送する汚泥移送手段と、を有する。
本発明の第2の処理経路は、第1の処理経路から分岐した後、当該第1の処理経路に合流する経路として構成され、この第2の処理経路に汚泥消化部が少なくとも配置される。すなわち、汚泥消化部は、第1の処理経路から独立した処理領域として構成される。なお、第1の処理経路から分岐して第2の処理経路に移流した水は、当該第2の処理経路において処理された後、再び第1の処理経路に返送される(戻る)こととなる。このとき、第2の処理経路において処理された水は、第1の処理経路のうち分岐前と同一の領域へ返送される構成であってもよいし、あるいは第1の処理経路のうち分岐前とは異なる領域へ返送される構成であってもよい。
本発明の汚泥分離に関し、典型的には、濾材が充填された濾床や、バッフル等の固液分離手段(夾雑物除去手段)を用いることができる。本発明の好気処理に関し、典型的には、接触材が充填された充填部に散気エアを供給する構成を用いることができる。
本発明の汚泥消化部は、第1の処理経路から分岐した第2の処理経路において汚泥を消化する機能を有する。
本発明の汚泥移送手段は、汚泥分離部で発生した汚泥を汚泥消化部へ移送する機能を有する手段である。典型的には、エアリフト式のポンプ等のポンプ機構を用いて本発明の汚泥移送手段を構成することができる。これにより、第1の処理経路の汚泥分離で発生した汚泥は、汚泥移送手段によって第2の処理経路の汚泥消化部へ移送される。
汚泥消化部の好気領域は、エアによる散気を行う散気手段を有する好気性の領域であり、この好気領域において汚泥の好気性消化が行われる。第1の処理経路の汚泥分離部で固液分離されある程度濃縮された状態の汚泥が好気領域に流入することとなるため、汚泥移送手段による移送量を低く抑えることができ、これにより、小容量の汚泥消化部であっても、当該汚泥消化部における所望のHRT(水理学的滞留時間)を確保することが可能となる。所望のHRTを確保することによって、好気領域の被処理水中に分解可能な有機物の量が少なくなり、汚泥の好気性消化、すなわち汚泥の内生呼吸による自己酸化処理が促進されるため、好気領域において汚泥の減量を行うことが可能となる。なお、汚泥消化部における所望のHRTは、流入汚泥の濃度等、汚泥の処理条件に基づいて適宜設定される。
一方、汚泥消化部の嫌気領域は、好気領域の下流において当該好気領域と区画されるとともに、濾材が充填された嫌気性の領域であり、この嫌気領域において濾材による固液分離によって汚泥の濃縮が行われる。この嫌気領域において汚泥を高濃度に濃縮する濃縮作用によって、汚泥の発生量を抑え汚泥の減量化を図ることが可能となる。具体的には、嫌気領域において汚泥濃度がおよそ10,000〜20,000mg/Lとなるように濃縮することによって汚泥の発生量をほぼ0(零)に抑えることが可能となる。また、このように濾材を用いて汚泥の濃縮を行う構成は、目詰まりや閉塞の発生を抑えたうえで高濃度の汚泥濃縮を行うのに有効である。また、好気領域においては、硝化の進行、更には硫黄酸化作用に伴ってpHが例えば3〜4まで低下する場合があるが、本発明のように好気領域の下流に嫌気領域を設け、嫌気的な雰囲気で固液分離を行うことによって、好気領域で一旦低下したpHを嫌気領域の脱窒作用や硫黄還元作用により中性付近(例えば6程度)まで回復させることが可能となる。これにより、被処理水の中和処理(pH調整)を行う薬注設備を新たに設ける必要がなく、したがって装置コストを抑えることが可能となる。
以上のように、請求項1に記載の水処理装置によれば、汚泥消化部の好気領域において汚泥の好気性消化を促進するとともに、汚泥消化部の嫌気領域において汚泥の発生量を抑えることによって、汚泥の減量化を図るともに、汚泥消化部を小容量にすることによって装置全体のコンパクト化を図ることができる。これにより、汚泥の効率的な処理を行うことが可能となる。
前記課題を解決する本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの水処理装置である。
請求項2に記載のこの水処理装置では、請求項1の汚泥消化部は、好気領域において汚泥が好気性消化されたあとの水が、嫌気領域を上向流によって流通するように構成されている。すなわち、本発明では、被処理水が嫌気領域を上向きに流れる際に、当該被処理水中の汚泥が固液分離されるように構成するのが好ましい。このような構成によれば、被処理水中の汚泥のうち沈降性の汚泥は嫌気領域よりも下方に堆積し、浮遊性の汚泥を主体とする汚泥が濾材に流入することとなるため、被処理水が嫌気領域を下向きに流れる構成に比して濾材の負荷を抑えることが可能となる。
前記課題を解決する本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの水処理装置である。
請求項3に記載のこの水処理装置は、請求項1または請求項2の構成において、更に、好気汚泥移送手段を備える。
好気汚泥移送手段は、好気処理部の好気汚泥(活性汚泥や生物膜)を汚泥消化部へ移送する機能を有する手段である。典型的には、エアリフト式のポンプ機構や、水位差による自然流れの原理(自然返送)を用いて本発明の好気汚泥移送手段を構成することができる。これにより、好気処理部の好気汚泥が汚泥消化部へ移送されるため、好気領域における汚泥の自己酸化作用に加えて、好気処理部から移送された好気汚泥中に多く含まれる原生動物や後生動物などの微生物の捕食作用によっても汚泥削減率(汚泥減量化率)を向上させることが可能となる。
なお、本発明において好気汚泥移送手段の構成に関しては、好気汚泥を好気処理部から汚泥消化部へ直接的に移送する構成を用いてもよいし、あるいは好気汚泥を好気処理部から一旦汚泥分離部へ移送した後、更に当該汚泥分離部から汚泥消化部へ間接的に移送する構成を用いてもよい。
図1に示すように、本実施の形態の排水処理装置100は、槽状に成形された槽本体101の内部に各種の浄化処理機構を収容している。大別すると、嫌気濾床槽110、汚泥消化槽130、接触ばっ気槽150、沈殿槽170、消毒槽190の各浄化処理機構が槽本体101に収容される。このような構成の槽本体101の内部に流入した汚水は、嫌気濾床槽110、接触ばっ気槽150、沈殿槽170、消毒槽190からなる第1の処理経路(本発明における「第1の処理経路」に対応)で順次浄化処理された後、槽本体101の外部へ放流される。また、汚泥消化槽130は、前記の第1の処理経路から独立した第2の処理経路(本発明における「第2の処理経路」に対応)に設置されており、汚水が嫌気濾床槽110で処理されたときに発生する汚泥を含む水(汚泥水)は、一旦汚泥消化槽130で処理された後に、第1の処理経路の嫌気濾床槽110へ返送される構成になっている。この汚泥消化槽130には、処理工程の順に対応して上流(図1中の右側)から好気消化部131、嫌気濾床部141が設置されている。なお、本実施の形態では、各槽において処理される汚水(被処理水)および当該汚水を処理する処理過程において流れる水を「被処理水」ないし「水」と記載する。
図2に示す例では、排水処理装置100の槽本体101の内部に、図中左側から汚泥消化槽130、嫌気濾床槽110、接触ばっ気槽150、沈殿槽170、消毒槽190の順で各槽が配置されるようになっている。
嫌気濾床槽110は、被処理水中に含まれる夾雑物等の固形物の分離・除去、及び被処理水中の有機汚濁物質を嫌気処理(還元)する機能を有する処理槽である。この嫌気濾床槽110は、有機汚濁物質を嫌気処理(還元)する嫌気性微生物が付着する所定量の濾材112が濾床111に充填された構成を有する。この濾材112としては、例えば球状の濾材を好適に用いる。この嫌気処理によってBODの低減と汚泥の減量化が図られる。また、濾床111に充填された濾材112によって、被処理水中に含まれる夾雑物等の固形物の分離・除去が行われる。この嫌気濾床槽110における処理によって発生する汚泥が分離されたあとの水は、移流開口114を通じて接触ばっ気槽150へ移流する。一方、この嫌気濾床槽110における固形物の分離・除去処理によって発生する汚泥を含む水(汚泥水)は、エアリフト式のポンプである第1エアリフト113(汚泥移送用エアリフト)によって槽底部から抜き出されて、汚泥消化槽130の上流部(好気消化部131)へ移送される。このように、嫌気濾床槽110は、被処理水中の汚泥を分離する機能を有する処理槽であり、本発明における「汚泥分離部」に対応している。また、詳細については後述するが、汚泥消化槽130は、被処理水中の汚泥を消化する機能を有する処理槽であり、本発明における「汚泥消化部」に対応している。また、第1エアリフト113は、嫌気濾床槽110から汚泥消化槽130へ汚泥を移送する機能を有する移送手段であり、本発明における「汚泥移送手段」に対応している。
上記構成のように好気消化部131の下流に嫌気濾床部141を設けることによって、好気消化部131において汚泥の好気性消化を促進するとともに、嫌気濾床部141において汚泥の発生量を抑えることができ、汚泥の効率的な処理を行うことが可能となる。
このような構成によれば、汚泥の自己酸化作用に加えて、接触ばっ気槽150から移送された好気汚泥(活性汚泥や生物膜)中に多く含まれる原生動物や後生動物などの微生物の捕食作用によっても汚泥削減率(汚泥減量化率)を向上させることが可能となる。
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
101…槽本体
102…流入管
103…放流管
110…嫌気濾床槽
111…濾床
112…濾材
113…第1エアリフト
114…移流開口
130…汚泥消化槽
131…好気消化部
132…第1散気装置
141…嫌気濾床部
142…濾材
143…濾床
144…移流開口
150…接触ばっ気槽
151…充填部
152…接触材
153…第2エアリフト
154…第2散気装置
170…沈殿槽
190…消毒槽
Claims (3)
- 被処理水の嫌気処理、汚泥分離処理、好気処理、固液分離処理、消毒処理が順次行なわれる処理経路であって、前記汚泥分離処理では前記嫌気処理で発生した汚泥が分離され、前記固液分離処理では前記好気処理で発生した固形物が分離される第1の処理経路と、
前記第1の処理経路のうち前記汚泥分離処理がなされる領域から分岐し、当該汚泥分離処理で分離された汚泥が前記第1の処理経路から抜き出されて処理される処理経路であって、前記汚泥の汚泥消化を行なう汚泥消化部を含む第2の処理経路と、
前記第1の処理経路の前記汚泥分離処理で分離された汚泥を前記第2の処理経路の前記汚泥消化部へ移送する汚泥移送手段と、
を有する水処理装置であって、
前記汚泥消化部は、エアによる散気を行う散気手段を有する好気性の好気領域と、前記好気領域の下流において当該好気領域と区画されるとともに、濾材が充填された嫌気性の嫌気領域を備え、前記好気領域において被処理水中の汚泥が好気性消化された後、その下流の前記嫌気領域において前記濾材によって汚泥の濃縮処理がなされ、当該濃縮処理後の水が前記第2の処理経路から前記第1の処理経路のうち前記嫌気処理がなされる領域へ流れる構成であることを特徴とする水処理装置。 - 請求項1に記載の水処理装置であって、
前記汚泥消化部は、前記好気領域において汚泥が好気性消化された後の水が、前記嫌気領域を上向流によって流通するように構成されていることを特徴とする水処理装置。 - 請求項1または2に記載の水処理装置であって、
更に、前記第1の処理経路における前記好気処理によって生じた好気汚泥を前記汚泥消化部へ移送する好気汚泥移送手段を備える構成であることを特徴とする水処理装置。
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