JP4411865B2 - 画像形成装置及びバイアス制御方法 - Google Patents

画像形成装置及びバイアス制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置及びバイアス制御方法に係り、より詳しくは、電源が投入された状態で画像を記録媒体にページ単位で形成すると共に、電圧が印加されることにより画像形成に関する所定の動作を行う導電性部材を備えた画像形成装置及び当該画像形成装置における当該導電性部材に対するバイアス制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いる複写機やレーザビームプリンタ(以下、「LBP」という。)等の画像形成装置では、形成すべき画像を示す画像データに応じたトナー像を感光体ドラムに形成し、これを転写シートに転写することによって記録画像を形成している。
【0003】
例えば、LBPでは、まず、予め定められた背景部の電位に感光体ドラムを帯電させた後、画像データに応じて変調されたレーザビームで上記感光体ドラムの表面を露光することにより静電潜像を形成する。次に、当該静電潜像をトナーで現像して可視像であるトナー像を形成した後、当該トナー像を記録シートに転写し、当該記録シートを定着器によって加熱定着することによって記録画像を得ている。
【0004】
以上のような記録画像の形成工程において、トナー像を記録シートに転写する方法には、感光体ドラムから記録シートに直接トナー像を転写する方法の他、無端フィルム状の中間転写ベルトにトナー像を一次転写した後、これを記録シートに二次転写する方法等が採られており、このうち、後者の方法は、複数色のトナー像の重ね合わせが必要なフルカラー画像の形成に最適とされている。
【0005】
これらの何れの転写方法においても、記録シートを挟んで感光体ドラムや中間転写ベルト等の像担持体と対向する位置に転写ロール等の転写部材が配置されており、当該転写部材によって記録シートの裏面にトナーの帯電電荷と逆極性の電荷を与えることで、トナー像を記録シートの表面に静電転写するようにしている。
【0006】
例えば、トナーの帯電極性がマイナスの場合、記録シートの裏面に配置した転写部材にはプラスの転写バイアスを印加し、記録シートの裏面に対してプラスの電荷を与えるようにしている。
【0007】
以上のようなトナー像の静電転写に大きく影響を与える要因として、転写部材の抵抗値の変動が挙げられる。一般に、導電性の転写部材は、通電時間が長くなるほど抵抗値が高くなる傾向にあり、温度が上昇すると抵抗値が低くなる傾向にある。
【0008】
すなわち、一例として図9に示すように、転写部材の抵抗値は通電時間が長くなるほど経時的に抵抗値が高くなる傾向にある。また、装置の電源が投入されることにより転写部材の温度上昇が開始すると抵抗値が徐々に低くなっていき、電源がオフされることにより転写部材の温度が気温付近まで低下すると、抵抗値は上記経時的に変化した抵抗値付近まで上昇することになる。
【0009】
また、当該抵抗値は、環境条件によっても大きく左右されるものであり、低温・低湿の環境では抵抗値が高くなり、高温・高湿の環境では抵抗値が低くなる傾向にある。
【0010】
従って、これらの要因(通電時間、温度、環境条件)が変動すると、同一の大きさの転写バイアスを印加したとしても、当該要因によっては充分な転写電界を像担持体と記録シートとの間に発生させることができず、転写効率が著しく悪化し、この結果として記録画像の画質が悪化することになる。
【0011】
この問題を解決するために、従来、転写部材を定電圧制御するときの出力電圧を変化させ、転写部材に転写電圧(転写バイアス)を印加する印加手段から転写部材に流れる電流が所望値に達したときの出力電圧から転写部材の抵抗値を検知し、検知した抵抗値に基づいて転写部材に印加する転写電圧の値を決定する技術があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0012】
また、従来、画像形成装置内の急激な温度上昇に対応するべく、転写ロール(転写部材)の抵抗値をモニタする手段を有し、これによって検出された抵抗値と以前の抵抗値との双方に基づいて転写バイアスを決定する技術もあった(例えば、特許文献2参照。)。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−154506公報
【特許文献2】
特開2002−116641公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの技術では、抵抗値を検出するためのシステムが必要とされるため、装置の大型化や高コスト化を招いてしまう、という問題点があった。
【0015】
特に、近年の画像形成装置では、上記転写部材の他、当該転写部材を帯電させるための帯電ロール、複数色で画像を形成する際に上記転写部材の上流側で用いられる中間転写ドラム、中間転写ドラム等に付着した異物を除去するためのブラシロール等、動作させる際に電圧の印加を伴う多数の導電性部材が用いられている。そして、これらの導電性部材も上記転写部材と同様の傾向かつ各々異なる特性で抵抗値が変化する。従って、記録画像の高品質化のためには、これらの各導電性部材毎に抵抗値の変化に応じて電圧を印加することが好ましく、このためには各導電性部材毎に抵抗値を検出するためのシステムが必要となる。
【0016】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、装置の大型化や高コスト化を招くことなく画像品質を向上させることのできる画像形成装置及びバイアス制御方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、電源が投入された状態で画像を記録媒体にページ単位で形成する画像形成装置であって、電圧が印加されることにより画像形成に関する所定の動作を行う導電性部材と、前記導電性部材が初めて使用開始された時点からの前記記録媒体に対する累積処理枚数を示す累積処理枚数情報を取得する累積情報取得手段と、前記電源が投入された時点からの前記記録媒体に対する画像形成枚数を示す枚数情報を取得する取得手段と、所定の環境状態を検知する検知手段と、環境状態に応じて定められると共に前記累積処理枚数が多くなるほど大きくなる、前記導電性部材に印加する電圧のレベルの低下の度合いを示す度合情報を予め記憶した記憶手段と、前記検知手段で検知された前記環境状態及び前記累積処理枚数情報により示される前記累積処理枚数に応じた前記度合いと、前記枚数情報により示される前記画像形成枚数との積を電圧下げ幅とし、前記導電性部材に印加する電圧のレベルの初期レベルから前記電圧下げ幅を減算して算出したレベルの電圧を前記導電性部材に印加するように制御を行う電圧制御手段と、を備えている。
【0018】
請求項1に記載の画像形成装置では、電源が投入された状態で画像が記録媒体にページ単位で形成される。この際、本発明では、導電性部材により、電圧が印加されることによって画像形成に関する所定の動作が行われる。
【0019】
ここで、本発明では、導電性部材が初めて使用開始された時点からの記録媒体に対する累積処理枚数を示す累積処理枚数情報が累積情報取得手段によって取得され、電源が投入された時点からの記録媒体に対する画像形成枚数を示す枚数情報が取得手段によって取得され、所定の環境状態が検知手段によって検知される。また、記憶手段によって、環境状態に応じて定められると共に累積処理枚数が多くなるほど大きくなる、導電性部材に印加する電圧のレベルの低下の度合いを示す度合情報が予め記憶されている。そして、電圧制御手段により、検知手段で検知された環境状態及び累積処理枚数情報により示される累積処理枚数に応じた度合いと、枚数情報により示される画像形成枚数との積を電圧下げ幅とし、導電性部材に印加する電圧のレベルの初期レベルから電圧下げ幅を減算して算出したレベルの電圧を上記導電性部材に印加するように制御が行われる。
なお、上記検知手段には、温度センサー、湿度センサーが含まれる。また、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の半導体記憶素子、フロッピィディスク、CD−R(Compact Disc-Recordable)、CD−RW(Compact Disc-ReWritable)、光磁気ディスク等の可搬記録媒体やハードディスク等の固定記録媒体、或いはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置等を用いることができる。
【0020】
すなわち、本発明では、導電性部材の温度は電源投入時からの画像形成枚数の増加に伴って上昇する点に着目し、当該画像形成枚数が多くなるほど導電性部材に印加する電圧のレベルが低下するようにしており、これによって、導電性部材の抵抗値を検出するためのシステムを要することなく、すなわち、装置の大型化や高コスト化を招くことなく、上記抵抗値の変化に応じた適切なレベルの電圧を導電性部材に印加できるようにしており、この結果として画像品質を向上させることができるようにしている。
【0021】
このように、請求項1に記載の画像形成装置によれば、導電性部材が初めて使用開始された時点からの記録媒体に対する累積処理枚数を示す累積処理枚数情報、及び電源が投入された時点からの記録媒体に対する画像形成枚数を示す枚数情報を取得し、環境状態及び累積処理枚数情報により示される累積処理枚数に応じた度合いと、枚数情報により示される画像形成枚数との積を電圧下げ幅とし、導電性部材に印加する電圧のレベルの初期レベルから電圧下げ幅を減算して算出したレベルの電圧を導電性部材に印加するように制御を行っているので、装置の大型化や高コスト化を招くことなく画像品質を向上させることができる。
【0024】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明のように、前記電圧制御手段は、前記累積情報取得手段により取得された累積処理枚数情報によって示される前記累積処理枚数が多くなるほど前記導電性部材に印加する電圧のレベルの前記初期レベルが高くなるように設定するようにしてもよい。
【0025】
また、請求項1又は請求項記載の発明は、請求項に記載の発明のように、前記記憶手段は、前記電圧のレベルの下限値を示す下限情報を更に予め記憶し、前記電圧制御手段は、前記下限情報により示される下限値を下限レベルとして前記電圧のレベルの制御を行うようにしてもよい。
【0027】
また、本発明は、請求項に記載の発明のように、前記電圧制御手段は、画像形成動作が一時的に停止されている休止期間が所定期間以上である場合に、当該休止期間が長くなるほど前記電圧下げ幅の算出に用いる前記画像形成枚数を前記取得手段で取得した画像形成枚数よりも少ない値とするようにしてもよい。
【0029】
また、本発明は、請求項に記載の発明のように、前記電圧制御手段は、前記記録媒体への画像の形成を当該記録媒体の両面に対して行う場合に、片面に対して行う場合に比較して前記画像形成枚数が多くなるように調整するようにしてもよい。
【0030】
また、本発明は、請求項に記載の発明のように、前記電圧制御手段は、前記電圧下げ幅の算出に用いる前記画像形成枚数を予め定められた上限枚数以下に制限するようにしてもよい。
【0031】
更に、本発明は、請求項に記載の発明のように、前記導電性部材を、画像形成時に前記記録媒体に画像を転写させるための転写体、被帯電体を帯電させるための帯電体、複数色で画像を形成する際に前記転写体の上流側で用いられる中間転写体、画像形成時に生じた異物を除去するためのブラシロールの少なくとも1つとし、前記電圧制御手段は、前記導電性部材として複数の部材を適用する場合に、各部材毎に抵抗値の変動特性に応じて前記電圧のレベルの制御を行うようにしてもよい。
【0032】
一方、上記目的を達成するために、請求項記載のバイアス制御方法は、電源が投入された状態で画像を記録媒体にページ単位で形成すると共に、電圧が印加されることにより画像形成に関する所定の動作を行う導電性部材を備えた画像形成装置における当該導電性部材に対するバイアス制御方法であって、前記導電性部材が初めて使用開始された時点からの記録媒体に対する累積処理枚数を示す累積処理枚数情報を取得すると共に、前記電源が投入された時点からの前記記録媒体に対する画像形成枚数を示す枚数情報を取得し、所定の環境状態を検知し、環境状態に応じて定められると共に前記累積処理枚数が多くなるほど大きくなる、前記導電性部材に印加する電圧のレベルの低下の度合いを示す度合情報を予め記憶した記憶手段から、前記検知手段で検知された前記環境状態及び前記累積処理枚数情報により示される前記累積処理枚数に応じた前記度合いを読み出し、読み出した前記度合いと前記枚数情報により示される前記画像形成枚数との積を電圧下げ幅として算出し、前記導電性部材に印加する電圧のレベルの初期レベルから前記電圧下げ幅を減算して算出したレベルの電圧を前記導電性部材に印加するように制御を行うようにしたものである。
【0033】
従って、請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様に画像形成装置を作用させることができるので、請求項1に記載の発明と同様に、装置の大型化や高コスト化を招くことなく画像品質を向上させることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明をフルカラープリンタとして構成された画像形成装置に適用した場合について説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。なお、同図における円弧状矢印は、対応する回転部材の回転方向を示している。
【0035】
画像形成装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色用の感光体ドラム14(14Y、14M、14C、14K)を備えた画像形成ユニット12(12Y、12M、12C、12K)と、各々対応する感光体ドラム14に接触する一次帯電用の帯電装置16(16Y、16M、16C、16K)と、Y、M、C、K各色のレーザ光18(18Y、18M、18C、18K)を対応する感光体ドラム14に照射する不図示のレーザ光学ユニットと、を含んで構成されている。
【0036】
また、画像形成装置10は、各色成分のトナーが含まれる現像剤を収容した現像装置20(20Y、20M、20C、20K)と、感光体ドラム14Y,14Mに接触する一次中間転写ドラム22及び感光体ドラム14C,14Kに接触する一次中間転写ドラム24と、当該一次中間転写ドラム22,24に接触する二次中間転写ドラム26と、当該二次中間転写ドラム26に接触する最終転写ロール28と、を含んで構成されている。
【0037】
なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、感光体ドラム14、帯電装置16、現像装置20、一次中間転写ドラム22、24、二次中間転写ドラム26が一体的に搭載されたプロセス・カートリッジ(CRU:Customer Replaceable Unit)として構成されている。
【0038】
各感光体ドラム14は、互いに図1上下方向に一定の間隔をおいて配置されている。また、一次中間転写ドラム22、24及び二次中間転写ドラム26は、各々の回転軸が感光体ドラム14の回転軸に対して平行となるように配置されている。
【0039】
上記レーザ光学ユニットでは、不図示の画像処理ユニットから入力された各色毎の画像情報に応じて各色のレーザ光18が変調され、対応する色の感光体ドラム14に各々照射される。
【0040】
各感光体ドラム14の周囲では、周知の電子写真方式による各色毎の画像形成プロセスが次のように行われる。
【0041】
まず、各感光体ドラム14は所定の回転速度(例えば95mm/sec)で回転駆動される。
【0042】
そして、感光体ドラム14の表面は、図1に示すように、帯電装置16に所定の帯電レベル(例えば、約−800V)の直流電圧を印加することによって、所定レベルに一様に帯電される。なお、本実施の形態では、帯電装置16に対して直流電圧のみを印加しているが、交流成分を直流成分に重畳するように構成することもできる。
【0043】
次に、一様な表面電位とされた各感光体ドラム14の表面に、レーザ光学ユニットによって各色に対応したレーザ光18が照射され、各色毎の画像情報に応じた静電潜像が形成される。これにより、感光体ドラム14のレーザ光による露光部位の表面電位は所定レベル(例えば、−60V以下程度)にまで除電される。
【0044】
そして、各感光体ドラム14の表面に形成された静電潜像は対応する現像装置20によって現像され、各感光体ドラム14上に各色のトナー像として可視化される。
【0045】
次に、各感光体ドラム14上に形成された各色のトナー像は、対応する一次中間転写ドラム22、24上に静電的に一次転写される。ここで、感光体ドラム14Y、14Mに形成されたY色及びM色のトナー像は一次中間転写ドラム22に、感光体ドラム14C、14Kに形成されたC色及びK色のトナー像は一次中間転写ドラム24上に、各々転写される。
【0046】
なお、一次中間転写ドラム22及び一次中間転写ドラム24には、不図示の転写バイアス電源が接続されており、このトナー像の一次転写の際には、当該転写バイアス電源は転写バイアスを各一次中間転写ドラムに印加するようになっている。
【0047】
この後、一次中間転写ドラム22、24上に形成されたトナー像は、二次中間転写ドラム26上に静電的に二次転写される。これにより、二次中間転写ドラム26上には、単色像からY、M、C、Kの各色の四重色像までのトナー像が形成されることになる。
【0048】
なお、二次中間転写ドラム26にも、一次中間転写ドラムと同様に不図示の転写バイアス電源が接続されており、トナー像の二次転写の際には、当該転写バイアス電源は転写バイアスを二次中間転写ドラム26に印加するようになっている。
【0049】
最後に、二次中間転写ドラム26上に形成されたトナー像は、最終転写ロール28によって用紙搬送路30を通る用紙に三次転写される。当該用紙は、不図示の紙送り工程を経て用紙搬送ロール32を通過し、二次中間転写ドラム26と最終転写ロール28とのニップ部に送り込まれる。この三次転写の後、用紙上に形成されたトナー像は、定着装置34によって定着され、画像形成プロセスが終了する。なお、最終転写ロール28にも、一次中間転写ドラム及び二次中間転写ドラムと同様に不図示の転写バイアス電源が接続されており、トナー像の三次転写の際には、当該転写バイアス電源は転写バイアスを最終転写ロール28に印加するようになっている。
【0050】
なお、本実施の形態に係る帯電装置16は、図1に示すように、感光体ドラム14を帯電する帯電ロール40と、当該帯電ロール40の上流側にブラシロール42とを備え、当該ブラシロール42にて感光体ドラム14上の残留トナーやキャリア等の異物を除去し、帯電ロール40側に感光体ドラム14上の異物が転移しないようにしている。
【0051】
また、一次中間転写ドラム22、24及び二次中間転写ドラム26には、各々のドラム表面の残留トナー等の異物を一時的に保持する一次中間ブラシロール44、46、及び二次中間ブラシロール48が接触配置されている。
【0052】
更に、最終転写ロール28には、ブレード50Aを有し、ブレードクリーニング方式を採用したクリーニング装置50が設けられている。
【0053】
次に、本実施の形態に係る現像装置20及び帯電装置16について、図2を参照しつつ詳細に説明する。なお、同図における円弧状矢印は、回転部品の回転方向を示している。まず、現像装置20について説明する。
【0054】
各現像装置20は、非磁性トナー及び磁性キャリアが含まれた現像剤Gが収容されるハウジング51と、当該ハウジング51の開口部に面して配設される現像ロール52と、当該現像ロール52上に担持される現像剤Gの層厚を規制する層厚規制ロール53と、現像剤Gを攪拌しながら搬送する2本のオーガー54、55と、現像ロール52に現像剤Gを供給するパドルホイール56と、を含んで構成されている。
【0055】
また、現像ロール52は、ハウジング51の開口部付近に回転駆動可能に配設される中空の円筒形状からなる非磁性の現像スリーブ60と、当該現像スリーブ60の中空内に複数の磁極を所定の角度で配置した磁石ロール(マグネットロール)62が位置を固定した状態で配設されたものである。
【0056】
そして、現像スリーブ60には、不図示のバイアス電源が接続され、所定の現像バイアス(本実施の形態では、直流成分に交流成分を重畳したバイアス)が印加されるようになっている。
【0057】
一方、本実施の形態に係る帯電装置16は、感光体ドラム14を帯電する帯電ロール40と、当該帯電ロール40の上流側に設けられたブラシロール42とを一対の軸受け部材(図示省略)にて回転自在に支承するようにしたものである。
【0058】
なお、本実施の形態では、帯電ロール40は、非磁性シャフトと、当該非磁性シャフトの外周に設けられるスポンジ状導電性弾性体と、当該導電性弾性体を被覆する円筒状表層フィルムとを備えている。そして、上記非磁性シャフトには、不図示の帯電バイアス電源が接続されており、当該帯電バイアス電源は極性の異なる帯電バイアスを非磁性シャフトに印加するようになっている。
【0059】
本実施の形態における帯電ロール40へのバイアス印加方式では、画像形成時には帯電バイアス(−)を印加し、クリーニング時には帯電バイアス(+)を印加するようになっている。
【0060】
また、本実施の形態におけるブラシロール42は、磁性シャフトと、当該磁性シャフトの外周にブラシ状部材としての摺擦毛を設けたものである。
【0061】
そして、当該ブラシロール42には何ら駆動手段が設けられておらず、ブラシロール42は摺擦毛と感光体ドラム14との間に作用する摩擦力によって感光体ドラム14の回転に連れ回っている。
【0062】
ここで、ブラシロール42には、不図示の除去バイアス電源が接続されており、当該除去バイアス電源は極性の異なる除去バイアスを磁性シャフトに印加するようになっている。
【0063】
本実施の形態におけるブラシロール42へのバイアス印加方式では、画像形成時には除去バイアス(−)を印加することで極性反転したトナーを感光体ドラム14の表面から一時的に回収し、クリーニングが開始されるまでの間、当該トナーを保持するようになっている。また、クリーニング時には、除電バイアス(+)を印加するようになっている。
【0064】
ところで、本実施の形態に係る画像形成装置10には、画像形成性能を維持するための性能維持制御系が設けられている。
【0065】
図3に示すように、当該性能維持制御系は、マイクロ・コンピュータ・システムからなる制御装置80と、当該制御装置80から出力されたデータや各種命令(例えば、PCM(プリント命令)等)に従って各種制御信号を生成するエレクトリックサブシステム(ESS:Electric Sub System)82と、を備えている。
【0066】
ESS82は、電源スイッチ84のオン動作に伴って電源(LVPS:Low Voltage Power Supply)86からの電力供給を受け、画像形成装置10の出力部(IOT:Image Output Terminal)88に上記制御信号を送出し、所定の画像形成プロセスを実行させるものである。
【0067】
なお、ESS82には、後述する印加電圧制御処理プログラム等の各種プログラムや各種テーブル等を予め記憶した記憶装置83が接続されている。また、ESS82には、計時用のタイマ82Aが内蔵されている。
【0068】
また、本実施の形態におけるIOT88は、前述のプロセス・カートリッジ(CRU)90を備えているが、当該CRU90には各種情報を書き換え可能な記憶装置、例えばCRUM(CRU Moniter)92が搭載されており、当該CRUM92は、制御装置80との間で読み取り、書き込みが可能に接続されている。
【0069】
なお、本実施の形態に係るCRUM92は、CRU90が初めて使用開始された時点からの用紙に対する累積処理枚数Tpvを示す累積処理枚数情報が記憶されるものとされている。
【0070】
一方、IOT88の筐体外面の所定位置には、気温を検出するための気温センサー88A及び湿度を検出するための湿度センサー88Bが配設されており、各センサーの検出結果を示す情報を出力する出力端子が制御装置80に接続されている。従って、制御装置80は、各センサーによって検出された気温及び湿度を常時把握することができる。なお、本実施の形態では、制御装置80からESS82に対して当該気温及び湿度を示す情報が所定時間毎に出力されるように構成されており、ESS82もまた当該気温及び湿度を把握することができる。
【0071】
ところで、本実施の形態に係る画像形成装置10では、画像形成時に、最終転写ロール28、帯電ロール40、一次中間転写ドラム22,24、二次中間転写ドラム26、及びブラシロール42に対する印加電圧(バイアス電圧)を制御する印加電圧制御処理がESS82において実行される。そして、この印加電圧制御処理の際には、実機を用いた計測や、画像形成装置10の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって、各制御対象の抵抗値変動特性に応じたものとして得られ、かつ記憶装置83に予め記憶された各種テーブルを用いて印加電圧のレベル(電圧値)が決定される。
【0072】
図4には、一次中間転写ドラム22に対して印加電圧制御処理を実行する際に用いられる第1テーブルTB1、第2テーブルTB2、第3テーブルTB3、及び第4テーブルTB4の4種類のテーブルの構成が模式的に示されている。以下、各テーブルについて説明する。
【0073】
第1テーブルTB1は、図4(A)に示すように、予め定められた段階に区分された環境条件毎に、イニシャルパラメータX0、経時補正用の傾きK、経時補正用の最大値Xmaxが記憶されて構成されている。なお、本実施の形態において、上記環境条件は、所定の低気温(本実施の形態では、15℃)以下でかつ所定の低湿度(本実施の形態では、19%)以下である環境0と、所定の高気温(本実施の形態では、27℃)超でかつ所定の高湿度(本実施の形態では、70%)超である環境4と、これらの環境条件の間を3分割した各分割領域に各々対応する環境条件である環境1、環境2、及び環境3と、の合計5段階に区分されている。この環境条件の区分は他のテーブルについても同様である。
【0074】
ここで、第1テーブルTB1におけるイニシャルパラメータX0は、環境0〜環境4を環境n(n=0〜4)と表したときのnの値が大きくなるほど小さな値となるように電圧値が記憶されている。
【0075】
一方、第2テーブルTB2は、図4(B)に示すように、各環境条件毎で、かつ予め定められた段階に区分された累積処理枚数Tpv毎に、累積プリント枚数Pによる補正の傾きK’が記憶されると共に、各環境条件毎に日内最大下げ幅X’maxが記憶されて構成されている。なお、本実施の形態において、累積処理枚数Tpvは、1024枚以下、1025枚〜5120枚、5121枚〜10240枚、10241枚〜15360枚、15361枚〜20480枚、20481枚〜25600枚、25601枚〜30720枚、30721枚以上、の合計8段階に区分されている。
【0076】
ここで、第2テーブルTB2における傾きK’は、累積処理枚数Tpvの多い段階となるほど傾斜が大きくなる値となるように記憶されている。
【0077】
一方、第3テーブルTB3は、図4(C)に示すように、各環境条件毎に、画像形成動作が一時的に停止されている期間を示すレスト時間(本発明の「休止期間」に相当。)Tによる上記累積プリント枚数Pの戻し量の傾きK’’、電圧最小値Xmin、規定時間Tkが記憶されて構成されている。なお、上記レスト時間Tは、ESS82による制御の下で、タイマ82Aを用いて計時されるように構成されている。
【0078】
ここで、第3テーブルTB3における傾きK’’は、環境条件を示すnの値が大きくなるほど、所定レスト時間当たりの上記戻し量が多くなる値となるように記憶されている。また、電圧最小値Xminは、nの値が大きくなるほど小さな値となるように電圧値が記憶されている。
【0079】
更に、第4テーブルTB4は、図4(D)に示すように、各環境条件毎に、上記累積プリント枚数Pのカウントアップ比(両面印刷(Duplex)を基準とした片面印刷(Simplex)と両面印刷の比)α、累積プリント枚数Pの上限値Pmaxが記憶されて構成されている。ここで、第4テーブルTB4におけるカウントアップ比αは、小数点以下の数値が記憶されている。
【0080】
なお、図4に示した各テーブルTB1〜TB4は一次中間転写ドラム22の印加電圧制御に関するものであるが、これ以外の制御対象(最終転写ロール28、帯電ロール40、一次中間転写ドラム24、二次中間転写ドラム26、ブラシロール42)についても、各制御対象の抵抗値変動特性に応じたテーブルが記憶装置83に予め記憶されている。
【0081】
また、本実施の形態に係るESS82は、電源スイッチ84がオンされて画像形成装置10の電源が投入された時点からのCRU90による累積プリント枚数Pを計数ないし調整して記憶装置83の所定領域に記憶すると共に、電源スイッチ84がオフされる前にCRU90が交換された際には、累積プリント枚数Pをリセットする(零枚とする)ものとされている。
【0082】
次に、図5及び図6を参照して、本実施の形態に係る印加電圧制御処理について説明する。なお、図5は、制御装置80からPCMが入力された際にESS82で実行される印加電圧制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、図6は、当該印加電圧制御処理プログラムの実行途中で実行されるプリント終了処理ルーチンプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、ここでは、一次中間転写ドラム22に対する印加電圧制御処理について説明するが、他の制御対象(最終転写ロール28、帯電ロール40、一次中間転写ドラム24、二次中間転写ドラム26、ブラシロール42)についても、使用するテーブルが制御対象の抵抗値変動特性に応じたものとなる点以外は同様の処理となるので、ここでの説明は省略する。
【0083】
まず、図5のステップ100では、制御装置80から気温及び湿度を示す情報を取得する。これにより、ESS82は、この時点の環境条件が環境0〜環境4の何れであるのかを把握することができる。なお、以下では、ここで把握した環境条件を「対象環境」という。
【0084】
次のステップ102では、ユーザによる指示入力に基づいて、次の(1)式により全プリント指示枚数Ptを算出する。
【0085】
Pt=(Pd+Ps) ・・・(1)
ここで、Pdはユーザによって指示された両面印刷の枚数であり、Psはユーザによって指示された片面印刷の枚数である。
【0086】
次のステップ104では、電源投入時からの累積プリント枚数Pを記憶装置83から読み出し、次のステップ106では、前回のプリントジョブ終了時からのレスト時間Tをタイマ82Aによる計時結果により取得する。
【0087】
次のステップ108では、レスト時間Tが対象環境に対応する規定時間Tkn(nは対象環境を示す値であり、以下同様。)以上であるか否かを判定し、否定判定の場合はステップ110に移行して、累積プリント枚数Pを用いて次の(2)式により累積プリント枚数P’を算出した後にステップ114に移行する。
【0088】
P’=P ・・・(2)
一方、上記ステップ108において肯定判定となった場合にはステップ112に移行し、累積プリント枚数P、傾きK’’n、レスト時間Tを用いて次の(3)式により累積プリント枚数P’を算出した後にステップ114に移行する。
【0089】
P’=P−K’’n×T ・・・(3)
ステップ114では、累積プリント枚数P’が上限値Pmaxn以上であるか否かを判定し、否定判定である場合はステップ118に移行し、肯定判定である場合にはステップ116に移行して、累積プリント枚数P’を次の(4)式にて上限値Pmaxnで制限した後にステップ118に移行する。
【0090】
P’=Pmaxn ・・・(4)
ステップ118では、CRUM92から累積処理枚数情報を読み出し、当該情報によって示される累積処理枚数Tpvと、イニシャルパラメータX0n及び傾きKnとを用いて、次の(5)式により初期印加電圧X0を算出する。なお、ここで、累積処理枚数Tpvは、その上限値が最大値Xmaxn未満に制限される。
【0091】
X0=X0n+Kn×Tpv ・・・(5)
次のステップ120では、傾きK’nをもとに、レスト時間Tを考慮した累積プリント枚数P’を用いて電圧下げ幅K’×P’を算出し、次のステップ122では、電圧下げ幅K’×P’が最大下げ幅X’maxn以上であるか否かを判定し、否定判定の場合はステップ126に移行し、肯定判定の場合にはステップ124に移行して電圧下げ幅K’×P’を次の(6)式にて最大下げ幅X’maxnで制限した後にステップ126に移行する。
【0092】
K’×P’=X’maxn ・・・(6)
ステップ126では、電圧下げ幅K’×P’及び初期印加電圧X0を用いて次の(7)式により印加電圧Xを算出する。
【0093】
X=X0−K’×P’ ・・・(7)
次のステップ128では、以上の処理によって導出された印加電圧Xが電圧最小値Xminn未満であるか否かを判定し、否定判定の場合はステップ132に移行し、肯定判定の場合にはステップ130に移行して印加電圧Xを次の(8)式にて電圧最小値Xminnで制限した後にステップ132に移行する。
【0094】
X=Xminn ・・・(8)
ステップ132では、一次中間転写ドラム22に対する転写バイアスとして印加電圧Xを印加させるように制御すると共に、IOT88に所定の制御信号を送出することによって画像形成プロセスを実行させる。これにより、IOT88において、一次中間転写ドラム22に印加電圧Xの転写バイアスが加えられた状態下で画像形成が行われる。
【0095】
そこで、次のステップ134にて当該画像形成の終了待ちを行い、次のステップ136にてプリント終了処理ルーチンプログラムを実行した後に本印加電圧制御処理プログラムを終了する。
【0096】
次に、図6を参照して、本実施の形態に係るプリント終了処理ルーチンプログラムについて説明する。
【0097】
同図のステップ200では、片面印刷の枚数Psが1以上であるか否かを判定し、否定判定の場合は次の(9)式により全プリント枚数Pt’を算出した後にステップ206に移行し、肯定判定の場合にはカウントアップ比αを用いて次の(10)式により全プリント枚数Pt’を算出した後にステップ206に移行する。
【0098】
Pt’=Pt ・・・(9)
Pt’=Pd+α×Ps ・・・(10)
ステップ206では、プリントジョブ終了時の累積プリント枚数P’’を次の(11)式により算出し、当該累積プリント枚数P’’を次のステップ208で次のプリントジョブで参照されるべき電源投入時からの累積プリント枚数Pとして記憶装置83に記憶(更新)した後に本プリント終了処理ルーチンプログラムを終了する。
【0099】
P’’=P+P’ ・・・(11)
図7及び図8には、環境条件が環境1である場合における本実施の形態に係る印加電圧制御処理により一次中間転写ドラム22に印加される電圧(転写バイアス)の挙動例を示すグラフが示されている。なお、図7は、レスト時間Tがない状態で画像形成を行った場合の一例であり、図8は、レスト時間Tがある状態で画像形成を行った場合の一例である。
【0100】
図7に示すように、レスト時間Tがない状態で画像形成を行った場合、一次中間転写ドラム22への印加電圧Xは、電源スイッチ84がオンされてからオフされるまでの間に、(5)式により当該一次中間転写ドラム22の抵抗値の経時変化が加味されて算出された初期印加電圧X01から上限値Pmaxが上限枚数とされた累積プリント枚数P’が増加するほど徐々に低下されていく。ここで、印加電圧Xの低下の度合い(低下の傾き)は、傾きK’の作用により累積処理枚数Tpvが増加するに従って大きく(急勾配)となる。
【0101】
この際の印加電圧の下げ幅は最大下げ幅X’maxに制限される。また、印加電圧Xは電圧最小値Xmin1が下限とされる。これにより、一次中間転写ドラム22による転写能力の許容できない程度までの低下を防止することができる。
【0102】
一方、図8に示すように、レスト時間Tがある状態で画像形成を行った場合、(3)式によってレスト時間Tに応じて累積プリント枚数P’が少なく引き戻されるため、一次中間転写ドラム22への印加電圧Xもレスト時間が発生する毎に初期印加電圧X01側に引き戻される。従って、この場合の印加電圧Xは、レスト時間Tが長くなると一次中間転写ドラム22の抵抗値の経時変化のみを考慮した場合の直線(図9の‘抵抗値の経時変化’直線に相当。)に近づくことになる。
【0103】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、電源が投入された時点からの記録用紙に対する画像形成枚数(本実施の形態では、累積プリント枚数)を取得し、画像形成枚数が多くなるほど一次中間転写ドラム22等の導電性部材に印加する電圧のレベルが低下するように制御を行っているので、抵抗値を検出するためのシステムを設ける必要がなく、装置の大型化や高コスト化を招くことなく画像品質を向上させることができる。
【0104】
また、本実施の形態では、上記電圧のレベルの低下の度合いを示す度合情報(本実施の形態では、傾きK’)を予め記憶した記憶装置83を備え、ESS82により、当該度合情報により示される度合いに基づいて上記電圧のレベルの制御を行っているので、当該度合情報を演算により導出する場合に比較して高速に当該制御を行うことができる。
【0105】
また、本実施の形態では、上記導電性部材による所定の動作による記録用紙に対する累積処理枚数Tpvを示す累積処理枚数情報を取得可能とし、記憶装置83に、取得された累積処理枚数情報によって示される累積処理枚数Tpvが多くなるほど大きな値となる情報を上記度合情報として予め記憶しているので、累積処理枚数が多いほど、温度上昇に伴う抵抗値の変化が大きい実際抵抗値の変化の挙動(図9参照)に即した制御を行うことができる。
【0106】
また、本実施の形態では、ESS82により、累積処理枚数Tpvが多くなるほど上記導電性部材に印加する電圧のレベルの初期レベル(本実施の形態では、初期印加電圧X0n)が高くなるように設定しているので、導電性部材における抵抗値の経時変化に対応することができ、より画像品質を向上させることができる。
【0107】
また、本実施の形態では、記憶装置83により上記電圧のレベルの下限値を示す下限情報(本実施の形態では、電圧最小値Xminn)を予め記憶し、ESS82により、当該下限値を下限レベルとして電圧のレベルの制御を行うようにしているので、制御対象とする導電性部材の動作能力の許容できない程度までの低下を防止することができる。
【0108】
また、本実施の形態では、気温センサー88A及び湿度センサー88Bを備え、ESS82により、上記各センサーにより検知された環境状態に応じて上記電圧のレベルの制御を行っているので、制御対象とする導電性部材の抵抗値に大きく影響する環境状態に応じたきめ細かな制御を行うことができ、この結果として、より画像品質を向上させることができる。
【0109】
また、本実施の形態では、ESS82により、画像形成動作が一時的に停止されている休止期間(本実施の形態では、レスト時間T)が所定期間以上である場合に、当該休止期間が長くなるほど累積プリント枚数が少なくなるように調整しているので、レスト時間Tによる温度の低下を加味して印加電圧レベルの制御を行うことができ、この結果として、より画像品質を向上させることができる。
【0110】
また、本実施の形態では、ESS82により、制御対象とする導電性部材が交換された際に累積プリント枚数をリセット(零に)しているので、交換後の導電性部材の温度レベルに対応する抵抗値に応じた印加電圧レベルの制御ができ、この結果として、より画像品質を向上させることができる。
【0111】
また、本実施の形態では、ESS82により、記録用紙への画像の形成を当該記録用紙の両面に対して行う場合に、片面に対して行う場合に比較して画像形成枚数(累積プリント枚数)が多くなるように調整しているので、片面印刷より両面印刷の方が記録用紙1枚当たりの温度上昇が大きいという実態に則した印加電圧の制御を行うことができ、この結果として、より画像品質を向上させることができる。
【0112】
また、本実施の形態では、ESS82により、画像形成枚数を予め定められた上限枚数(本実施の形態では、上限値Pmaxnにより示される枚数)以下に制限しているので、制御対象とする導電性部材の温度上昇に伴う抵抗値の低下の下限に対応した印加電圧の制御を行うことができ、この結果として、より画像品質を向上させることができる。
【0113】
更に、本実施の形態では、制御対象とする導電性部材を、画像形成時に記録用紙に画像を転写させるための最終転写ロール28、被帯電体を帯電させるための帯電ロール40、複数色で画像を形成する際に最終転写ロール28の上流側で用いられる一次中間転写ドラム22、24及び二次中間転写ドラム26、画像形成時に生じた異物を除去するためのブラシロール42の各々とし、ESS82は、これらの各部材毎に抵抗値の変動特性に応じて印加電圧レベルの制御を行っているので、各部材毎に高精度な制御を行うことができ、この結果として、より画像品質を向上させることができる。
【0114】
なお、本実施の形態では、印加電圧制御処理で用いる傾きK’、電圧最小値Xmin等の各種パラメータの値をテーブルとして予め記憶しておく場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当該パラメータを算出することのできる演算式を予め記憶しておき、当該演算式を用いて各パラメータ値を算出して用いる形態とすることもできる。この場合、テーブルを予め記憶しておく場合に比較し、当該算出にかかる演算負荷が上昇するものの、パラメータ値を記憶するための記憶容量を低減することができる。
【0115】
また、本実施の形態で示した各演算式((1)式〜(11)式)は、各々一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0116】
また、本実施の形態において説明した印加電圧制御処理プログラムの処理の流れ(図5、図6参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0117】
また、本実施の形態において説明した各テーブルの構成(図4参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0118】
更に、本実施の形態で説明した画像形成装置10の構成(図1〜図3参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0119】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る画像形成装置及びバイアス制御方法によれば、電源が投入された時点からの記録媒体に対する画像形成枚数を示す枚数情報を取得し、取得した枚数情報により示される画像形成枚数が多くなるほど導電性部材に印加する電圧のレベルが低下するように制御を行っているので、装置の大型化や高コスト化を招くことなく画像品質を向上させることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態に係る画像形成装置10の構成を示す説明図である。
【図2】 実施の形態に係る帯電装置16及び現像装置20の構成を示す説明図である。
【図3】 実施の形態に係る性能維持制御系を示すブロック図である。
【図4】 実施の形態に係る各種テーブルの構成を示す模式図である。
【図5】 実施の形態に係る印加電圧制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】 実施の形態に係るプリント終了処理ルーチンプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】 環境条件が環境1であり、かつレスト時間Tがない状態で画像形成を行った場合における印加電圧制御処理により一次中間転写ドラム22に印加される電圧(転写バイアス)の挙動例を示すグラフである。
【図8】 環境条件が環境1であり、かつレスト時間Tがある状態で画像形成を行った場合における印加電圧制御処理により一次中間転写ドラム22に印加される電圧(転写バイアス)の挙動例を示すグラフである。
【図9】 転写部材の抵抗値変動特性の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
10 画像形成装置
22 一次中間転写ドラム(導電性部材(中間転写体))
24 一次中間転写ドラム(導電性部材(中間転写体))
26 二次中間転写ドラム(導電性部材(中間転写体))
28 最終転写ロール(導電性部材(転写体))
40 帯電ロール(導電性部材(帯電体))
42 ブラシロール(導電性部材)
82 ESS(電圧制御手段、取得手段、累積情報取得手段)
83 記憶装置(記憶手段)
88A 気温センサー(検知手段)
88B 湿度センサー(検知手段)

Claims (8)

  1. 電源が投入された状態で画像を記録媒体にページ単位で形成する画像形成装置であって、
    電圧が印加されることにより画像形成に関する所定の動作を行う導電性部材と、
    前記導電性部材が初めて使用開始された時点からの前記記録媒体に対する累積処理枚数を示す累積処理枚数情報を取得する累積情報取得手段と、
    前記電源が投入された時点からの前記記録媒体に対する画像形成枚数を示す枚数情報を取得する取得手段と、
    所定の環境状態を検知する検知手段と、
    環境状態に応じて定められると共に前記累積処理枚数が多くなるほど大きくなる、前記導電性部材に印加する電圧のレベルの低下の度合いを示す度合情報を予め記憶した記憶手段と、
    前記検知手段で検知された前記環境状態及び前記累積処理枚数情報により示される前記累積処理枚数に応じた前記度合いと、前記枚数情報により示される前記画像形成枚数との積を電圧下げ幅とし、前記導電性部材に印加する電圧のレベルの初期レベルから前記電圧下げ幅を減算して算出したレベルの電圧を前記導電性部材に印加するように制御を行う電圧制御手段と、
    を備えた画像形成装置。
  2. 前記電圧制御手段は、前記累積情報取得手段により取得された累積処理枚数情報によって示される前記累積処理枚数が多くなるほど前記初期レベルが高くなるように設定する
    請求項記載の画像形成装置。
  3. 前記記憶手段は、前記電圧のレベルの下限値を示す下限情報を更に予め記憶し、
    前記電圧制御手段は、前記下限情報により示される下限値を下限レベルとして前記電圧のレベルの制御を行う
    請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記電圧制御手段は、画像形成動作が一時的に停止されている休止期間が所定期間以上である場合に、当該休止期間が長くなるほど前記電圧下げ幅の算出に用いる前記画像形成枚数を前記取得手段で取得した画像形成枚数よりも少ない値とする
    請求項1乃至請求項の何れか1項記載の画像形成装置。
  5. 前記電圧制御手段は、前記記録媒体への画像の形成を当該記録媒体の両面に対して行う場合に、片面に対して行う場合に比較して前記画像形成枚数が多くなるように調整する
    請求項1乃至請求項の何れか1項記載の画像形成装置。
  6. 前記電圧制御手段は、前記電圧下げ幅の算出に用いる前記画像形成枚数を予め定められた上限枚数以下に制限する
    請求項1乃至請求項の何れか1項記載の画像形成装置。
  7. 前記導電性部材を、画像形成時に前記記録媒体に画像を転写させるための転写体、被帯電体を帯電させるための帯電体、複数色で画像を形成する際に前記転写体の上流側で用いられる中間転写体、画像形成時に生じた異物を除去するためのブラシロールの少なくとも1つとし、
    前記電圧制御手段は、前記導電性部材として複数の部材を適用する場合に、各部材毎に抵抗値の変動特性に応じて前記電圧のレベルの制御を行う
    請求項1乃至請求項の何れか1項記載の画像形成装置。
  8. 電源が投入された状態で画像を記録媒体にページ単位で形成すると共に、電圧が印加されることにより画像形成に関する所定の動作を行う導電性部材を備えた画像形成装置における当該導電性部材に対するバイアス制御方法であって、
    前記導電性部材が初めて使用開始された時点からの記録媒体に対する累積処理枚数を示す累積処理枚数情報を取得すると共に、前記電源が投入された時点からの前記記録媒体に対する画像形成枚数を示す枚数情報を取得し、
    所定の環境状態を検知し、
    環境状態に応じて定められると共に前記累積処理枚数が多くなるほど大きくなる、前記導電性部材に印加する電圧のレベルの低下の度合いを示す度合情報を予め記憶した記憶手段から、前記検知手段で検知された前記環境状態及び前記累積処理枚数情報により示される前記累積処理枚数に応じた前記度合いを読み出し、
    読み出した前記度合いと前記枚数情報により示される前記画像形成枚数との積を電圧下げ幅として算出し、
    前記導電性部材に印加する電圧のレベルの初期レベルから前記電圧下げ幅を減算して算出したレベルの電圧を前記導電性部材に印加するように制御する、
    バイアス制御方法。
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