JP4411771B2 - ウレタン系硬質被覆用樹脂組成物および被覆材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なウレタン系硬質被覆用樹脂組成物および被覆材に関する。さらに詳細には、本発明は、高温多湿下においても塗膜表面の発泡がなく、平滑な塗膜を与え、しかも、硬質の樹脂硬化物を与えるため、アミン等有害な成分を含有するエポキシ樹脂の代替品となりうる新規ウレタン系硬質被覆用樹脂組成物および被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウレタン系硬質被覆材は、伸び性、冬場の硬化性に優れ、一般に使用されているエポキシ系被覆材の脆さ、アミンなどの有害性等の欠点がない被覆材として注目されている。しかしながら、一般にウレタン系被覆材は、ポリイソシアネート化合物とポリオールなどの活性水素化合物の二液混合型であり、高温多湿下の塗装時では、空気中及び下地、或いは系中の水分とイソシアナート基の反応により二酸化炭素を発生しながら硬化するため、平滑な塗膜を得ることが困難であった。特に、イソシアネート基含有量が多い硬質の被覆材になるほど発泡がひどくなる傾向がある。
【0003】
たとえば、ウレタン系の硬質被覆材の一例としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物をポリオール成分とするポリウレタン組成物が開示されている。(特公平1−27109号公報)。
【0004】
しかし、この技術は確かに硬質の床材として有用であるが、特に夏期即ち高温、多湿の条件下で発泡現象が生じやすく四季を通じて使用できない欠点がある。
【0005】
また、特開平7−138468号公報では、硬質ではないが一般の被覆材における解決法として、酸化アルミニウム系(活性アルミナ)粉末などの吸湿剤を添加する試みがなされているが、アルキレンオキサイド重合体(ポリエーテル)などの比較的吸湿性の高い樹脂骨格を主成分とするため、ポリオールコンパウンド製造直後の塗膜発泡は低減するものの、貯蔵後その効果は低減し、塗膜表面にフクレおよびピンホール(毛穴)状の微細な凹凸が発生してしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高温多湿下の塗膜表面の発泡が抑制されるとともに、貯蔵後もその効果が持続し、平滑な塗膜を与えるウレタン系硬質被覆用樹脂組成物および被覆材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、これらの課題を解決し、環境を選ばず、四季を通じて常に平滑な塗膜が得られるウレタン系硬質被覆用組成物および被覆材を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、(A)エポキシ当量160〜188のビスフェノール系エポキシ化合物と炭素数10〜25の高級脂肪酸とをエポキシ基とカルボン酸基との反応比率を1/1〜1/0.7の範囲とする酸価が0.5KOHmg/g以下の反応物および/または、ビスフェノール系化合物とアルキレンオキサイドとの反応物であるビスフェノール変性活性水素化合物(a−1)と、天然油もしくはその誘導体(a−2)、(B)ポリイソシアネート化合物、(C)平均粒径50μm以下の活性アルミナ粉末10〜25重量%、を必須成分とする前記(a−1)と(a−2)の水酸基当量%の比が4/6〜8/2となる範囲のウレタン系硬質被覆用樹脂組成物および被覆材を提供しようとするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
前記(a−1)成分たるビスフェノール系エポキシ化合物と高級脂肪酸との反応物とは、好ましくはエポキシ当量が160〜700のビスフェノール型エポキシ樹脂と高級脂肪酸とを反応させて得られるものを指称し、エポキシ樹脂のエポキシ基と高級脂肪酸のカルボン酸基との反応により、二級水酸基を優先的に生成する。
【0011】
ここでいうビスフェノール型エポキシ樹脂として特に代表的なもののみを例示するに止めれば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの各種ビスフェノール類の化合物に、エピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物で、公知慣用のものであり、それらを単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0012】
一方、かかるビスフェノール型エポキシ樹脂に反応せしめるべき高級脂肪酸としては、エチレン性不飽和結合を有する炭素数10〜25の高級脂肪酸が好適であり、その具体例としては、リシノール酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などのひまし油脂肪酸、大豆油脂肪酸等が挙げられるが、さらに好ましくは、水酸基も有する高級脂肪酸であり、リシノール酸がそれにあたることから、ひまし油脂肪酸の使用が望ましい。
【0013】
該脂肪酸の炭素数が10より小さいとポリオール成分の疎水性が損なわれ、塗膜表面の発泡改善に対する効果が低減するし、炭素数が25より多くなるとポリオール成分の粘度が高くなり、作業性を著しく損なう。
【0014】
高級脂肪酸がエチレン性不飽和結合を有すれば、ポリオールの粘度が低減されて、被覆剤としても使用しやすくなるが、本発明の効果を損なわない範囲においては、ラウリン酸、パルミチン酸、デカン酸等のやし油脂肪酸のような飽和高級脂肪酸を用いてもよい。
【0015】
さらに、上記の高級脂肪酸が水酸基を有するものであれば、得られるポリオールの官能基数が多くなり、ウレタン樹脂としての硬質化に効果がある。
【0016】
ここでいう水酸基は二級水酸基が好ましく、一級水酸基に比べ反応性の遅い二級水酸基がポリオールに導入されるため、官能基数を多くしても被覆材として十分な可使時間を保つことができる。
【0017】
なお、本反応ではエポキシ基とカルボン酸基との反応比率は、1/1〜1/0.7の範囲であり、好ましくは1/0.95〜1/0.9の範囲である。
【0018】
本反応の終点は反応混合物の酸価が、0.5(KOHmg/g)以下となったところが好ましい。
【0019】
前記(a−1)成分たるビスフェノール系化合物とアルキレンオキサイドとの反応物は、両者の開環重合により得ることができ、用いられるビスフェノール系化合物としては、特に代表的なもののみを例示するに止めれば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどが挙げられ、それらを単独で用いても、二種以上併用しても良い。
一方、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられ、それらを単独で用いても、二種以上併用しても良い。
【0020】
ビスフェノール系化合物に対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、ビスフェノール系化合物のフェノール性水酸基に1モル以上付加していることが望ましく、好ましくは2〜10モルである。
【0021】
(a−2)成分たる、天然油もしくはその誘導体とは、ひまし油、大豆油、やし油等の天然油およびそれらの誘導体を指称し、水酸基を有するものであり、なかでも、二級水酸基を有するひまし油およびその誘導体が好ましい。
【0022】
ここでいう天然油の誘導体とは、例えば、天然油と多価アルコール(グリセロール等)とのエステル交換反応物、天然油の重合体、天然油のジシクロペンタジエン付加物などが挙げられる。好ましくはひまし油の誘導体であり、例えば、ひまし油と多価アルコールとのエステル交換反応物、ひまし油の重合体、ひまし油のジシクロペンタジエン付加物などが挙げられる。
【0023】
他方、本発明の組成物を構成する前記した(B)成分たるポリイソシアネート化合物として特に代表的なもののみを例示するに止めれば、脂肪族系、脂環式系または芳香族系の各種のポリイソシアネート、あるいはそれらの混合物などである。
【0024】
それらのうち、まず、脂肪族系ポリイソシアネートとして特に代表的なもののみを例示すれば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などであり、脂環式系ポリイソシアネートとして特に代表的なもののみを例示するに止めれば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)や水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)などであり、芳香族系ポリイソシアネートとして特に代表的なもののみを例示すれば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)またはポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)などであり、あるいは、上掲した如き各種のジイソシアネートの二量体化合物、ビューレットまたはイソシアヌレート構造を有する三量体化合物や、上掲した各種ジイソシアネートとポリオールとの付加反応化合物や、さらには、既知の方法により得られる種々の変性体などである。
【0025】
特別に耐黄変性を重視しない場合には、価格、塗装作業性、硬化性ならびに硬化塗膜の物性などの面で、クルードMDIや変性MDIなどの芳香族系のポリイソシアネートの使用が望ましい。
【0026】
本発明において用いられる(a−1)成分たるビスフェノール系エポキシ化合物と高級脂肪酸との反応物と(a−2)成分の天然油もしくはその誘導体の混合量としては、(a−1)と(a−2)の水酸基当量%の比が4/6〜6/4となる範囲が好ましく、かかる範囲内での使用によって、エポキシ樹脂に近い硬質の硬化物を得ることができる。
【0027】
一方、本発明において用いられる(a−1)成分たるビスフェノール系化合物とアルキレンオキサイドとの反応物と(a−2)成分の天然油もしくはその誘導体の混合量としては、(a−1)と(a−2)の水酸基当量%の比が4/6〜8/2となる範囲が好ましく、かかる範囲内での使用によって、エポキシ樹脂に近い硬質の硬化物が得られる。
【0028】
(A)成分における水酸基当量%の比とは、下式で示される比のことをいう。
式 (x/X)/(y/Y)
x:(a−1)成分の重量部、X:(a−1)成分の水酸基当量
y:(a−2)成分の重量部、Y:(a−2)成分の水酸基当量
【0029】
ここでいう、水酸基当量とは各成分におけるすべての水酸基から算出し、二級水酸基以外に一級あるいは三級の水酸基などを含む場合には、これらも合算する。
【0030】
かくして得られるポリオール成分(A)には、前述した(a−1)および(a−2)以外にも、粘度低減等の目的で必要に応じ、他のポリオールを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することも、一向に差し支えない。
【0031】
他方、当該ポリオール(A)の硬化剤成分である(B)成分のポリイソシアネートは、該ポリイソシアネートのイソシアネート当量と、化合物(A)の水酸基当量との比が0.7〜1.5なる量だけ好ましく使用されるが、これが0.7未満である場合には、硬化不十分となるし、一方、1.5を超える場合には、塗膜が脆くなり易く、物性の低下も著しくなり易く、いずれの場合にも、物性などに悪影響を及ぼすことになる。
【0032】
本発明の組成物を構成する前記した(C)成分たる活性アルミナ粉末は、
Al2O3で表され、α、β、γ、δ、κ、θ、χ、η、ρなど多くの結晶系が知られているが、特に常温で水、ガスの吸着能が高い、ρ、χ、γ、ηが好ましく、特にρアルミナが好ましい。ρアルミナを主成分とするものは一般に水硬性アルミナと称されており、本被覆材に最適である。しかしながら、水吸着能が高い反面、貯蔵中における吸湿により吸着能が低減するため、従来技術の項でも述べたように、ポリエーテルなどの吸湿性の高い樹脂骨格を主成分とするとポリオールを使用すると平滑な塗膜が得られない傾向にある。また、活性アルミナ粉末は、平均粒径が150μm以下、さらに50μm以下のものが好適である。この範囲で使用することにより、(A)成分のポリオールとの混練により得られるコンパウンドにおいて、貯蔵中に沈降の問題を生じる可能性が少ない。また、その含有量は、本被覆材に対し5〜30重量%、特に10〜25重量%が好ましい。この範囲で使用すれば、良好な塗布作業性が確保され、硬化物性を損なうことなく均一な塗膜が得られ、更に塗膜の発泡抑制に効果がある。
【0033】
本発明でいう被覆材とは、上記のようにして得られる本発明のウレタン系硬質被覆用樹脂組成物に、充填材を必須成分として各種の添加剤成分を加えてなるものである。ここで言う硬質とは、好ましくはショアーD硬度60〜85であるウレタン硬化物のことである。特に65〜85である。
【0034】
充填材としては、必須成分である活性アルミナ粉末以外に、合成ゼオラム粉末、炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、沈降性硫酸バリウム、クレー、シリカ、タルクなどが挙げられる。
【0035】
他の添加剤成分としては、アゾ系、銅フタロシアニン系、弁柄、黄鉛、酸化チタン、亜鉛華またはカーボンブラックの如き有機ないしは無機系の着色顔料、および、鉛丹、鉛白、塩基性クロム酸塩、塩基性硫酸鉛、ジンククロメート、亜鉛末またはMIOの如き防錆顔料、さらには、チキソ付与剤、レベリング剤、吸湿剤、シランあるいはチタネート系カップリング剤などの各種助剤をも、必要に応じて、添加することができる。さらに必要に応じ、ジブチルチンジラウレートまたはジブチルチンジアセテートの如き有機金属化合物や各種アミン類などの硬化触媒を始め、ジオクチルフタレート、アスファルト、またはタールの如き可塑剤成分や、A重油または芳香族炭化水素の如き石油系希釈剤成分などを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することも、一向に、差し支えない。
【0036】
上記の充填材、添加物等は、主に(A)成分に常法の混合機器によりあらかじめ練り合わせて使用される。
【0037】
かくして得られる本発明のウレタン系硬質被覆用樹脂組成物は、塗り床材、防食材、防水材などをはじめとする各種の工業的原材料として有用なものであるが、とくにエポキシ樹脂に替わる高硬度の被覆材として効果を発揮するものである。
【0038】
本発明の組成物を用いて得られる被覆材の使用にあたっては、(A)、(B)および(C)成分を所定の混合比で混合(常温)し、可使時間内に下地、例えばコンクリート、金属、プラスチック、FRP、木質物等に塗布して硬化させるが、本発明では、スプレー塗装のみならず、コテ塗りまたは刷毛塗り等の手塗りによっても塗布できる十分な可使時間を有している。
【0039】
【実施例】
次に、本発明を参考例、実施例および比較例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において、部および%は特に断りのない限り、すべて重量基準であるものとする。
【0040】
参考例1〔成分(A)の調製例〕
エポキシ当量が188なるビスフェノールA型エポキシ樹脂の40重量部と、ひまし油脂肪酸の60重量部とを、トリフェニルフォスフィンの0.2重量部の存在下に、窒素バブリングしながら110℃で15時間反応させて得られる酸価0.1、水酸基当量265のエポキシエステル〔以下、エポキシエステル(a−1−1)と略記する。〕の48重量部と、水酸基当量350のひまし油(a−2)の52重量部をブレンドして、水酸基当量が309の成分(A)を得た。ここに、成分(a−1−1)と(a−2)の水酸基当量%の比は、5.5/4.5となる。
【0041】
参考例2〔同上〕
エポキシ当量が188なるビスフェノールA型エポキシ樹脂の20重量部、エポキシ当量が171なるビスフェノールF型エポキシ樹脂の20重量部、ひまし油脂肪酸の60重量部を、トリフェニルフォスフィンの0.2重量部の存在下に、窒素バブリングしながら110℃で24時間反応させて得られた酸価0.2、水酸基当量270のエポキシエステル〔以下、エポキシエステル(a−1−2)と略記する。〕の49重量部と、水酸基当量350のひまし油(a−2)の51重量部をブレンドして、水酸基当量が312なる目的化合物を得た。ここに、成分(a−1−2)と(a−2)の水酸基当量%の比は、5.5/4.5となる。
参考例3〔同上〕
水酸基当量200のビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物(a−1−3)の59重量部と、水酸基当量350のひまし油(a−2)の41重量部をブレンドして、水酸基当量が242なる成分(A)を得た。ここに(a−1−3)と(a−2)の水酸基当量%の比は、7.2/2.8となる。
参考例4〔同上〕
水酸基当量143のオキシプロピレン重合体(ポリプロピレントリオール)
(a−1−4)の31重量部と、水酸基当量350のひまし油(a−2)の69重量部をブレンドして、水酸基当量が242なる成分(A)を得た。
【0042】
実施例1
参考例1で得られた成分(A)100部、炭酸カルシウム50部、顔料10部、活性アルミナ粉末(平均粒径15μm)40部をプラネタリーミキサーを用い真空脱泡しながら均一混合したコンパウンドとクルードMDIをイソシアネート当量と水酸基当量の比率を1.15として十分に均一混合させ、硬化物を用いて性能試験を実施した。その結果を表1に示す。
【0043】
<塗膜の表面発泡性の評価>
スレート板上に湿気硬化型ウレタン系プライマー〔プライアデックT−150−35(大日本インキ化学工業製)〕を塗布し温度35℃、湿度80%の条件下で硬化させてその表面に発生する気泡の有無の評価を行った。なお、物性試験の結果については、(A)成分を含む上記コンパウンドと(B)成分混合後、25℃×7日間養生後の値である。(JIS−K−6301)に準拠。
【0044】
実施例2
実施例2は参考例2の成分(A)を用いて、実施例1と同様に実施した。それらの結果も表1に示した。
【0045】
実施例3
実施例3は参考例3の成分(A)を用いて、コンパウンド中の水酸基価を実施例1に合わせるため、成分(A)92重量部、炭酸カルシウム58重量部に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。それらの結果も表1に示した。
【0046】
【表1】
表1 実施例1、2、3の結果
(注)1 (A)、(C)成分を含むコンパウンドの粘度
2 (A)、(C)成分を含むコンパウンドと(B)成分を混合した直後の粘度
3 (A)、(C)成分を含むコンパウンドと(B)成分を混合した後、50000mPa・sに到達するまでの時間
4 (A)、(C)成分を含むコンパウンドを23℃で6ヶ月間保存した後での塗膜の表面性
【0047】
比較例1
活性アルミナ粉末(平均粒径15μm)全量を炭酸カルシウムに変更した以外は、実施例1と同様の性能試験を実施した。その結果を表2に示す。塗膜表面に多数の発泡が確認された。
【0048】
比較例2
活性アルミナ粉末(平均粒径15μm)全量を炭酸カルシウムに変更した以外は、実施例3と同様の性能試験を実施した。その結果も表2に示す。塗膜表面に多数の発泡が確認された。
【0049】
比較例3
比較例3は参考例4の成分(A)を用いて、コンパウンド中の水酸基価を実施例1に合わせるため、成分(A)92重量部、炭酸カルシウム58重量部に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。それらの結果も表2に示した。製造初期は、発泡が無く平滑な塗膜が得られたが、成分(A)および(C)を含むコンパウンドを23℃6ヶ月間貯蔵すると、塗膜表面に多数の発泡が発生すると共に、
ピンホール(毛穴)状の微細な凹凸が発生し、平滑な塗膜が得られなかった。
【0050】
【表2】
表2 比較例1〜3の結果
(注)1 (A)、(C)成分を含むコンパウンドの粘度
2 (A)、(C)成分を含むコンパウンドと(B)成分を混合した直後の粘度
3 (A)、(C)成分を含むコンパウンドと(B)成分を混合した後、50000mPa・sに到達するまでの時間
4 (A)、(C)成分を含むコンパウンドを23℃で6ヶ月間保存した後での塗膜の表面性
【0051】
表1から明らかなように、本発明はウレタン硬質被覆用樹脂組成物の発泡現象を改善したものであり、高温、高湿下での施工においても、気泡を含まず平滑な硬質塗面が得られる。
【0052】
【発明の効果】
本発明のウレタン系硬質被覆用樹脂組成物は、高温多湿下においても塗膜表面の発泡がなく、平滑な塗膜を与え、しかも、硬質の樹脂硬化物を与えるため、アミン等有害な成分を含有するエポキシ樹脂の代替品となりうるウレタン系硬質被覆材を得ることができる。
Claims (2)
- (A)エポキシ当量160〜188のビスフェノール系エポキシ化合物と炭素数10〜25の高級脂肪酸とをエポキシ基とカルボン酸基との反応比率を1/1〜1/0.7の範囲とする酸価が0.5KOHmg/g以下の反応物および/または、ビスフェノール系化合物とアルキレンオキサイドとの反応物であるビスフェノール変性活性水素化合物(a−1)と、天然油もしくはその誘導体(a−2)、(B)ポリイソシアネート化合物、(C)平均粒径50μm以下の活性アルミナ粉末10〜25重量%、を必須成分とする前記(a−1)と(a−2)の水酸基当量%の比が4/6〜8/2となる範囲のウレタン系硬質被覆用樹脂組成物。
- 請求項1記載の被覆用樹脂組成物からなるウレタン系硬質被覆材。
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