JP4411731B2 - 燃料タンクの給油装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料注入管の燃料通路を通じて、燃料タンクへ給油するための燃料タンクの給油装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の燃料タンクの給油装置では、燃料注入管を通じて燃料を供給する際に、燃料キャップを開閉する。燃料キャップは、燃料タンク内の燃料蒸気が大気に放出されるのを防止するために、燃料注入管の開口部(フィラーネック)との間にシール部材を介在させている。すなわち、燃料キャップは、筒状のケーシング本体の外周にガスケット(シール部材)を装着している。このガスケットは、燃料キャップがフィラーネックの注入口に螺着されるときに、フィラーネックに対して回転の摩擦力により捻り力を受けながら密着してシール力を得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の燃料キャップは、フィラーネックに装着する際に回転操作を行なって注入口を閉じているので、ガスケットがフィラーネックからの摩擦力を受けて捻れ力を受ける。このような捻れ力はガスケットの全体にわたって均一とすることが難しく、シール性を高める場合の支障になっていることが、本願発明者により見いだされた。また、ガスケットは燃料キャップと共に外されるので、特にガスケットのシール表面が汚れたり、傷が付くと、シール性が低下するだけでなく、ガスケットとの摩擦抵抗が大きくなり、操作力が増加しやすい。
【0004】
さらに、給油ガンを注入口に挿入するときに、給油ガンが注入口に当たって、ガスケットの当たる注入口のシール面に傷を生じると、シール性が低下するという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題を解決するものであり、燃料キャップの開閉時の操作性に優れるとともに、燃料タンクの外気に対するシール性を高めた燃料タンクの給油装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、
燃料注入管の燃料通路を通じて、燃料タンクへ給油するための燃料タンクの給油装置において、
上記燃料通路を開閉可能に操作するための操作部と、
燃料注入管内に配置され、燃料通路を開閉するシャッタと、
上記操作部による閉じる方向への操作力を、上記シャッタが燃料通路を閉じる力に変換するように上記操作部とシャッタとを連結する連結手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
第1の発明にかかる燃料タンクの給油装置では、操作部を開く方向へ操作すると、燃料注入管内に配置されたシャッタが連結手段を介して開かれて、燃料注入管の燃料通路を通じて燃料が燃料タンクに供給される。一方、操作部を閉じる方向へ操作すると、操作部は、連結手段を介してシャッタにより燃料通路を閉じる。連結手段は、操作部による開閉操作による力を、シャッタが閉じる方向への力に変換する。したがって、シャッタは、連結手段により燃料通路を閉じる方向への力を受けて閉じて、従来の技術で説明したような、捻られる力を受けず、均一なシール力を得ることができる。
【0008】
また、第2の発明は、
燃料注入管の燃料通路を通じて、燃料タンクへ給油するための燃料タンクの給油装置において、
燃料注入管の開口に装着され、燃料を注入する注入口を有するケーシング本体と、
燃料通路を開閉可能に操作するための操作部を有し、該操作部の操作により上記注入口を開閉可能なキャップ本体と、
燃料注入管内に配置され、燃料通路を開閉するシャッタと、
上記操作部による閉じる方向への操作力を、上記シャッタが燃料通路を閉じる力へ変換するように上記操作部とシャッタとを連結する連結手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
第2の発明にかかる燃料タンクの給油装置では、ケーシング本体の注入口に装着されたキャップ本体を外すことにより、燃料注入管の燃料通路を通じて燃料が燃料タンクに供給される。そして、注入口を閉じるために、キャップ本体をケーシング本体に装着するとともに操作部を閉じる方向へ操作すると、その力が連結手段を介してシャッタに伝えられる。連結手段は、操作部を閉じる方向への力を、シャッタが燃料通路を閉じる方向への力に変換する。これにより、シャッタが燃料通路を高いシール性をもって閉じる。
【0010】
第2の発明の好適な態様として、ケーシング本体を、燃料注入管に固定すると同時に燃料注入管内と外部とをシールする構成をとることにより、シール性を高めることができるとともに、組付性を向上させることができる。
【0011】
第1または第2の発明の好適な態様として、上記連結手段は、操作部を閉じる方向へ回転操作したときに、シャッタが閉じる方向への力に変換する構成をとることができる。
【0012】
また、他の態様として、燃料通路に臨んだ箇所にシート面と、上記シート面に着離するシール部材とを備え、操作部の閉じ方向への操作により、シャッタがシール部材を、シート面に押圧する構成をとることができる。この構成により、シャッタによる閉じ方向への力がシール部材に伝えられて、優れたシール性を得ることができる。ここで、シール部材は、シール力を高めることができる方向にシャッタに力を加える構成であればよく、シャッタに装着するほか、ケーシング本体などに装着してもよい。
【0013】
本発明の好適な態様として、シート面を燃料通路内における注入口から見えない位置に配置することにより、燃料通路内に給油ガンを挿入したときに、給油ガンがシート面に当たらない。よって、シート面に形成される傷により生じるシール性の低下がない。
【0014】
また、シャッタの好適な態様として、シール部材をシート面に押圧する力を付勢する付勢手段を備えた構成をとることにより、操作部の閉じる方向への力に合わせて、シール力を高めることができるとともに、給油ガンによりシャッタを押し開けるまでの間、シャッタにより燃料通路を閉じることができる。
【0015】
また、本発明では、シャッタで閉じる燃料通路のシート面を、燃料注入管の内側に配置し、そのシート面をシール部材でシールする構成をとっているので、従来の技術で説明した燃料注入管のラッパ状に広がった開口部でシールするよりも、シール部材を小さくすることができるとともに、小さい力で優れたシール性を得ることができる。
【0016】
シート面およびシール部材は、燃料注入管の内側に配置されているので、燃料注入管がシール部材などの保護作用を果たし、衝突時の外力負荷に対するシール保持性に優れ安定性がよい。
【0017】
さらに、連結手段は、キャップ本体の回転力を、シール部材によるシート面に対して押圧してシール力を高める方向への力に変換する構成をとることにより、シール部材は、シート面に押圧するように圧縮されて高いシール力を得ることができる。したがって、従来の技術で説明したように、摩擦力、捻られる力を受けず、シール部材の材質、表面処理(状態)、形状の自由度が大きく、シール性の高い設計が可能である。
【0018】
また、連結手段の好適な態様として、操作部に係合爪を設け、この係合爪をシャッタの係合穴を挿入した状態にて、操作部の回転操作をカム手段によりシャッタの閉じる力に変換してもよい。これにより、シャッタに係合爪などの突起がないので、給油ガンの挿入の際に支障にならない。
【0019】
さらに、給油ガンを挿入する開口側通路に、シール開口へ向けて連続曲面となったガイド面を設ける構成をとることができる。この好適な態様により、給油時に、給油ガンを開口側通路に挿入すると、給油ガンの先端は、連続曲面に形成されたガイド面によってシール開口にガイドされる。したがって、給油ガンがシール開口の注入口側に衝突して変形させたりすることがなく、スムーズに開口側通路に挿入することができる。したがって、給油時にシール面を変形させたりすることがなく、シール性を損なわない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態にかかる自動車の燃料タンクの給油装置10を示す断面図、図2は給油装置10の構成部品を分解して示す断面図である。図1および図2において、燃料タンクの給油装置10は、図示しない燃料タンクに燃料を補給するインレットパイプIP(燃料注入管)のフィラーネックFNに螺着されており、ポリアセタール等の合成樹脂材料から形成されたケーシング本体20と、このケーシング本体20の上部に装着されナイロン等の合成樹脂材料から形成される上蓋体40と、ケーシング本体20の上部開口を閉じるキャップ本体50と、ケーシング本体20内に装着されたシャッタ80と、シャッタ80に装着されたシールリング90と、ケーシング本体20の上部外周に装着されてフィラーネックFNとの間をシールするガスケットGSと、を備えている。なお、フィラーネックFNの外周部には、フィラーネックFNを保護するための筒状のプロテクタPTが装着され、さらに外側シール部材SIを介してボディ内板BPにフィラーネックFNが支持されている。
【0022】
上記給油装置10は、フィラーネックFNに装着されるとともに、この状態にて、キャップ本体50を外して給油ガン(図示省略)により給油するものである。以下、給油装置10の詳細な構成を説明する。
【0023】
図3は図2に示す給油装置10を拡大して示す断面図、図4は給油装置10を分解して示す斜視図である。図3および図4において、ケーシング本体20は、フィラーネックFNに着脱自在に装着されるものであり、円筒状の側壁21と、この側壁21に一体的に形成されたフランジ22とを備えており、ポリアセタールなどの樹脂材料により射出成形により一体成形されている。ケーシング本体20内の中程には、側壁21から仕切壁24が中心方向へ突設されており、この仕切壁24により互いに連通した上室25と下室26とがそれぞれ形成されている。上室25は、キャップ本体50を収納し、また、下室26はシャッタ80を収納するように形成されている。さらに、側壁21の外周には、ネジ部21aが形成されている。このネジ部21aは、フィラーネックFNの1条ネジFNc(図1参照)に螺着されるように形成されている。また、フランジ22は、後述するように上蓋体40に装着するための上部係合部22aと、側壁21との間にガスケットGSを保持するためのシール保持部21cとを備えている。
【0024】
上蓋体40は、ケーシング本体20に装着されるとともに、キャップ本体50を回転自在に支持する部材であり、上板41と、側板42とにより囲まれることにより構成されている。また、上板41の中央部には、支持壁43が図示の下方に向けて円筒状に形成されており、その内側スペースが上蓋室44になっている。この上蓋室44は、キャップ本体50を回転自在に支持するとともに、その上部が上開口44a(注入口)になっている。また、支持壁の上部には、ガイド突起44bが形成されている。図5は上蓋体40及びキャップ本体50とを上方から見た位置関係を説明する説明図である。図5(A)がキャップ本体50の挿入した直後の状態を示し、図5(B)がキャップ本体50を回転した状態を示す。図5に示すように、ガイド突起44bは、その一部が切欠きされた挿入部44c,44cを備えている。この挿入部44c,44cは、後述するようにキャップ本体50側のガイド突起52aを挿入できるように形成されている。図3に戻り、上蓋体40の側板42の内側には、ケーシング本体20のフランジ22の上部係合部22aに係合して、ケーシング本体20に取り付けるための係合段部42aが形成されている。
【0025】
キャップ本体50は、上蓋体40に所定角度だけ回転可能に支持されることにより、手による操作により着脱自在に装着されるとともに、上蓋体40の上開口44aを開閉するように形成されている。すなわち、キャップ本体50は、上板51と、この上板51の下面から突設された側壁52と、側壁52の下部に形成されかつ挿入穴53aを有する底壁53とを備え、上蓋体40の支持壁43に回転自在に支持されるように円筒状に形成されている。また、側壁52の上部には、ガイド突起52aが形成されている。図5に基づいて上述したように、ガイド突起52aは、上蓋体40のガイド突起44bの挿入部44cに挿入可能であり、かつ上蓋体40のガイド突起44bに支持されており、これにより、キャップ本体50が上蓋体40に対して回動可能に支持されている。また、キャップ本体50の上板51には、把持部57が形成されている。この把持部57は、手で持ってキャップ本体50に周方向の力を加えることによりキャップ本体50を上蓋体40に対して着脱操作するための操作部として作用する。
【0026】
図4に示すように、キャップ本体50の底壁53の上面には、カム58が形成されている。このカム58は、キャップ本体50を中心にして1対のカム面58a,58bから形成され、それぞれのカム面58a,58bは、低位面58cから高位面58dに傾斜している。この低位面58cの厚さをt1、高位面58dの厚さをt2とすると、t1<t2となっている。また、カム面58a,58bの間には、切欠き59f,59fが形成されている。
【0027】
図3において、シャッタ80は、ケーシング本体20の仕切壁24に着離することにより、燃料通路Paに接続される連通穴24aを開閉するものである。なお、図9に、図3のシャッタ80を90゜異なった方向から見た図を示す。すなわち、シャッタ80は、円盤状のシャッタ本体81を備えている。シャッタ本体81の外周上面には、環状凹所81bが形成され、この環状凹所81bにシールリング90が保持されている。シールリング90は、ケーシング本体20のシート面24bに着離するように形成されている。
【0028】
シャッタ本体81の上部には、連結手段の一部を構成する係合爪82a,82aが上方に向けて突設されている。係合爪82a,82aは、キャップ本体50の回転にしたがってキャップ本体50のカム面58a,58bに係合することにより、シールリング90によるシール力を高めるものである。さらに、シャッタ本体81の下部には、付勢手段84が設けられている。付勢手段84は、シャッタ本体81の下方に配置された支持板85と、支持板85に対してスプリング力を付勢する弦巻きスプリング86とを備えている。支持板85は、その一端部で支持軸88を介してケーシング本体20に回動自在に支持されるとともに、他端でシャッタ本体81の中央部を中心軸87を介して支持することにより、シャッタ本体81をケーシング本体20に対して回動自在に支持している。このシャッタ本体81は、スプリング86により閉じ方向に付勢されている。すなわち、スプリング86は、一端部で固定軸89により支持されて、他端部で支持板85の下面に当接してシャッタ本体81を閉じ方向に付勢している。
なお、シャッタ本体81の上面には、凹面81aが形成されており、給油ガンに対する当たりを緩和するために湾曲した面になっている。なお、シャッタ80の開閉時に傾きをなくして、シール性を高めるために、仕切壁24の下面には、支持板85の両側から位置決めする位置決め突起24gが形成されている。
【0029】
次に、給油装置10の開閉動作について説明する。図6はキャップ本体50が外されている状態を示す断面図である。すなわち、給油装置10は、ケーシング本体20、上蓋体40、シャッタ80が一体になった状態にて、フィラーネックFNのネジ部21aに螺着されることにより、フィラーネックFNに装着される。なお、給油装置10をフィラーネックFNに装着する際には、キャップ本体50をケーシング本体20に予め組み付けてから、フィラーネックFNに装着してもよいが、説明の便宜上、キャップ本体50を外した状態から給油装置10に装着する動作で説明する。
【0030】
図6の状態において、ケーシング本体20、上蓋体40およびシャッタ80が、一旦、フィラーネックFNに組み付けられると、フィラーネックFNから外されることがなく、キャップ本体50だけが着脱される。このとき、ケーシング本体20とフィラーネックFNとの間は、ガスケットGSによりシールされているが、ケーシング本体20がフィラーネックFNから外されないから、ガスケットGSに回転に伴う負荷が加わったりすることがなく、高いシール性を維持することができる。
【0031】
図6のキャップ本体50を外した状態から、把持部57を手で持って、上蓋体40の上開口44aを通じて、キャップ本体50を挿入する。このとき、図5(A)に示すように、キャップ本体50のガイド突起52aを、上蓋体40の挿入部44cに位置合わせした状態にて挿入する。
【0032】
この動作において、シャッタ80の係合爪82a,82aが、仕切壁24の連通穴24aから、キャップ本体50の切欠き59f,59fを貫通するとともに、キャップ本体50の上板51が上蓋体40のガイド突起44bに当たってキャップ本体50が止まる。このとき、キャップ本体50の側壁52は、上蓋体40の上蓋室44に嵌合してキャップ本体50が回動自在になる。
【0033】
図7および図8はキャップ本体50とシャッタ80との係合状態を説明する説明図であり、図7が係合前の状態、図8が係合後の状態をそれぞれ示す。図7の状態から、キャップ本体50を時計方向(矢印方向)に回動すると、図8に示すように、係合爪82a,82aが、キャップ本体50の回転とともにカム面58a,58bの低位面58cから高位面58dに相対的に移動して高位面58dに係合し、シャッタ本体81を引き上げる。このシャッタ本体81の引き上げにより、シャッタ本体81に装着されているシールリング90がシート面24bに押しつけられる。これにより、シャッタ80によるシールリング90がシート面24bに押しつけられた状態にてシールする。
【0034】
一方、キャップ本体50をフィラーネックFNから外すときには、把持部57を手で持って反時計方向へ回動操作する。これにより、図8から図7の動作を行ない、つまりキャップ本体50が反時計方向へ回動すると、シャッタ80の係合爪82a,82aがカム面58a,58bの高位面58dから低位面58cに相対的に移動して、切欠き59f,59fに合うように相対的に移動し、その位置で停止する。そして、キャップ本体50を軸上方へ引き上げると、キャップ本体50がケーシング本体20から外される。これにより、外部が上蓋室44から挿入穴53aに通じることになる。この状態では、シャッタ80は、スプリング86により付勢されて、シールリング90をシート面24bに押しつけた状態にて閉じられている。
【0035】
そして、図9に示すように、給油ガンFGを上開口44aから挿入すると、給油ガンがシャッタ本体81の凹面81aを押して、スプリング86の付勢力に抗して、シャッタ本体81を、支持軸88を中心に回動させて開く。これにより、給油ガンからの燃料は、燃料通路Paを通じて燃料タンクへ供給可能となる。そして、給油ガンFGを抜き取ると、シャッタ本体81はスプリング86の付勢力により閉じる。
【0036】
給油が終了して、上述したように、キャップ本体50を閉じると、シャッタ80のシールリング90がシート面24bに強く押しつけられた高いシール性で燃料通路Paが閉じられ、図1の状態になる。
【0037】
上記給油装置10によれば、以下の作用効果が得られる。
【0038】
(1) 給油する際に、キャップ本体50を回動することにより注入口を閉じれば、キャップ本体50の回転力が、シャッタ80のシールリング90をシート面24bに対して強く押圧する方向への力に変換されて、シールリング90がシート面24bをシールするので、燃料タンク内と外部との間に高いシール性を得ることができる。
【0039】
(2) シート面24bは、給油ガンの当たらない仕切壁24の裏側に形成されているので、給油ガンによって傷つけられることがなく、よって高いシール性を維持することができる。
【0040】
(3) シールリング90は、ケーシング本体20の内側に配置されるので、従来の技術で説明したような外側に配置されたガスケットに比べて、その直径を小さくすることができる。よって、シールリング90の燃料膨潤によって、シールリング90の表面から蒸発する燃料の量を一層減らすことができる。
【0041】
(4) シールリング90は、シャッタ80とシート面24bとの間で上下方向への均一の圧縮力だけを受け、従来のようにねじれる力を受けないので、均一なシール力を得ることができるとともに、耐久性に優れている。
【0042】
(5) キャップ本体50の開閉時に、シールリング90から大きな滑り抵抗力を受けず、押圧する力だけであるので、キャップ本体50を操作するときに必要な回転トルクが小さくなり、操作性に優れている。
【0043】
図10は第2の実施の形態にかかる給油装置10Bを分解して示す斜視図である。図10において、給油装置10Bは、キャップ本体50Bの回転によりシャッタ80を引き上げる連結手段の構成が第1の実施の形態の給油装置10と異なっている。すなわち、ケーシング本体20Bの仕切壁24Bの上面には、カム面24Bd,24Bdが形成されている。カム面24Bd,24Bdは、時計方向に向かってそれぞれ高くなる傾斜面に形成されている。また、キャップ本体50Bの底壁53Bの下面には、傾斜凹所53Ba,53Ba(図示では一方を示す)が形成されている。
【0044】
図11はキャップ本体50Bとシャッタ80との係合状態を説明する説明図である。傾斜凹所53Baは、カム面24Bdに係脱可能になっており、図11(A)に示すように、キャップ本体50Bを挿入した状態では、カム面24Bdに嵌合しており、一方、図11(B)に示すように、キャップ本体50Bを閉じ方向に回転するにつれて、カム面24Bdに乗り上げていくように形成されている。
【0045】
上記給油装置10Bにおいて、キャップ本体50Bを閉じるために挿入すると、キャップ本体50Bの傾斜凹所53Baは、カム面24Bdに嵌合される(図11(A))。この状態から、キャップ本体50Bを時計方向(矢印方向)に回転すると、傾斜凹所53Baの浅い部分がカム面24Bdを乗り上げて、キャップ本体50Bが回転しつつ上方へ移動する。このキャップ本体50Bの移動にともなって、係合爪82aがキャップ本体50Bの底壁53Bに係合するとともに、係合爪82aを介してシャッタ本体81を上方へ引き上げる。これにより、シャッタ本体81に装着されたシールリング90がシート面24bに押しつけられて高いシール性が得られる。このように、給油装置10Bにおいても、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0046】
図12は第3の実施の形態にかかる燃料タンクの給油装置10Cを示す断面図である。給油装置10Cは、インレットパイプIP内に配設されたケーシング本体100を備え、このケーシング本体100内にキャップ本体50と、第1シャッタ80Bと、第2シャッタ120とを収納している。
【0047】
ケーシング本体100は、インレットパイプIP内に配置されるとともに、その上部のフランジ100aにて、連結板114を介してフィラーネックFNに固定されている。すなわち、ケーシング本体100の上部のフランジ100aには、連結板114の内周部がインサート成形により一体になっており、また、その外周部がフィラーネックFNの上部に突き合わせ溶接により接合されている。
【0048】
また、ケーシング本体100には、仕切壁110が突設されており、収納室102の上部を上室104に、その下部を下室106としている。この上室104には、キャップ本体50を収納し、また、下室106には第1シャッタ80Bを収納している。このキャップ本体50と第1シャッタ80Bとは、第1の実施の形態と同様な構成である。
【0049】
さらに、ケーシング本体100の下部の第2シャッタ120は、シャッタ本体121と、軸122と、取付部材123と、スプリング124とを備えている。シャッタ本体121は、ケーシング本体100の下開口102bを開閉するように設けられている。すなわち、ケーシング本体100の下部に取付部材123が取り付けられており、この取付部材123に軸122を介してシャッタ本体121が回動可能に支持されている。この構成により、スプリング124の付勢力によりシャッタ本体121が下開口102bを閉じている。
【0050】
なお、インレットパイプIPの外周には、外側シール部材SIとボディ内板BPと、プロテクタPTとが設けられている。
【0051】
この給油装置10Cにおいては、キャップ本体50を開けた状態にて、給油ガンをケーシング本体100の上開口102aから挿入して、第1シャッタ80B、第2シャッタ120を開けることにより、給油が行なわれる。
【0052】
上記給油装置10CをフィラーネックFNに装着するには、ケーシング本体100にインサート成形により一体となった連結板114をフィラーネックFNの端部に突き合わせ溶接する。このように、給油装置10Cでは、ケーシング本体100がフィラーネックFNに溶接により一体になってフィラーネックFN内を外部に対してシールしているから、第1の実施例にかかる給油装置10と比べて、ケーシング本体100の外周にガスケットが不要となり、よりシール性を高めることができる。
【0053】
図13は図12の変形例にかかる給油装置10Dを示す断面図である。給油装置10Dは、連結部材130がプロテクタと一体に形成されている構成に特徴がある。すなわち、連結部材130は、筒状であり、フィラーネックFNの外周を覆うプロテクタ131を備えている。この連結部材130の上部は、内周側に折曲されてケーシング本体100にインサート成形されている。また、プロテクタ131の下端の全周は、フィラーネックFNに溶接接合されている。このように、連結部材130にプロテクタ131の作用を加えることにより部品点数を減らすことができる。
【0054】
図14はさらに図12の変形例にかかり、フィラーネックFNとケーシング本体100Eとを他の手段により組み付けた構成を示す要部の断面図である。図14において、フィラーネックFNの上部には、外周側に張り出し形成されたフランジFNaが形成されている。さらに、ケーシング本体100Eの上部は、フィラーネックFN上に配置されるフランジ100Eaが形成されている。上記フランジFNaとフランジ100Eaとの間には、パッキン141及び座金142が介在して、ボルト143により締結されている。このように、フィラーネックFNとケーシング本体100との間を、パッキン141によりシールするとともにボルト143の締結により組み付けている。
【0055】
図15は図14の変形例にかかり、ボルトによる締結に代わる固定具を用いた例である。図15において、変形例は、ケーシング本体100F上からフィラーネックFNに対して固定する止め輪150を備えている。この止め輪150は、図16に示すように、環体の外周から4カ所、係合爪150aが突設されている。図17は図15の矢印方向から見た図である。図17に示すように、フィラーネックFNのフランジFNaには、係合爪150aが係合する係合溝151が形成されている。この構成により、フィラーネックFNのフランジFNaにパッキン141、ケーシング本体100Fのフランジ100Faを乗せた状態にて、止め輪150の係合爪150aを係合溝151に挿入して、止め輪150を回転することにより止め輪150がケーシング本体100のフランジ100Faを介してパッキン141を押さえることによりシールされる。
【0056】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0057】
(1) 図18はシャッタ80Gの周辺を示す説明図である。図18において、シャッタ80Gの上面には、環状凹所81Gbが深く形成されており、この環状凹所81Gbにシールリング90が収納されている。一方、シールリング90に着離するシート面24Gbは、仕切壁24Gの下面から突設された突起24Gf上に形成されている。このような構成により、シールリング90は、深い環状凹所81Gbに収納されているので、給油ガンが当たって傷を受けることなく、耐久性に優れている。
【0058】
(2) 図19はシャッタ80Hとシート面との周辺を説明する説明図である。図19において、ケーシング本体20Hの仕切壁24Hに環状突起24Hbを形成し、この環状突起24Hbの曲面をシート面とするとともに、シャッタ80Hに断面扁平のシールリング80Hを装着している。この構成では、環状突起24Hbの先端のシート面がシールリング80Hに線接触でシールされるためにシール性を向上させることができる。
【0059】
(3) 図1などに示した実施の形態において、シールリング90をシャッタ80に保持するとともに、ケーシング本体20の仕切壁24にシート面24bを形成した構成について説明したが、これに限らず、シールリングをケーシング本体の仕切壁側に保持するとともに、シート面をシャッタ側に形成してもよい。
すなわち、図20はシールリング90Jをケーシング本体20J側に取り付けた実施例を示す。すなわち、図20(A)に示すように、ケーシング本体20Jの仕切壁24Jには、取付凹所24Jdが下向きに形成されており、この取付凹所24Jdにシールリング90Jが取り付けられている。シールリング90Jは、取付凹所24Jdからの脱落を防止するために上部外周に環状段部90Jbが形成されて取付凹所24Jdに圧入されている。また、図20(B)に示すように、シールリング90Jの下端には、山脈状にとがって、シャッタ80Jの外周部のシート面80Jaに着離する。このように、シールリング90Jをケーシング本体20Jに取り付けるとともに、シャッタ80Jにシート面80Jaを形成しても同様な効果を奏することができる。この場合において、シート面80Jaは、シャッタ80Jの上面より凹所となりかつ給油ガンが接触しない位置に形成されているから、給油ガンの挿入により生じる損傷を避けることができる。
【0060】
(4) シールリングを廃止し、仕切壁またはシャッタの少なくとも一部を弾性部材から形成したシート面としてもよく、この場合には部品点数を減らすことができる。
【0061】
(5) 連結手段の構成としては、操作部の閉じ方向への力をシャッタが閉じる方向への力へ変換する手段をとれば、上述した実施例のような爪による係合の他に、シャッタの上部に雌ネジ部を形成するとともに、キャップに雄ネジ部を形成し、またはその逆にシャッタの上部に雄ネジ部を形成するとともにキャップに雌ネジ部を形成する構成をとることにより、キャップの回転により両者を螺合させて軸方向への力をシール力を高める押圧力とする構成であってもよい。
【0062】
次に、他の実施の形態にかかる燃料タンクの給油装置を説明する。図21はさらに別の実施の形態にかかる自動車の燃料タンクの給油装置200を示す断面図、図22は給油装置200の構成部品を分解して示す断面図、図23は給油装置200の平面図である。この実施の形態にかかる給油装置200は、キャップ本体250(操作部)とシャッタ280との間を連結する連結手段および給油ガンをガイドするためのガイド手段に特徴を有している。
【0063】
図21ないし図23において、給油装置200は、燃料タンク(図示省略)に燃料を供給するインレットパイプIP(燃料注入管)に装着されており、インレットパイプIPの上部に装着されたネック管体FPと、ネック管体FPに収納されたケーシング220と、ケーシング220に着脱可能に装着され注入口P0を開閉するキャップ本体250と、ケーシング220内に装着されたシャッタ280と、シャッタ280に装着されたシールリング290と、図23に示す燃料タンクの圧力を調整する調圧弁としての正圧弁300および負圧弁310と、キャニスタ(図示省略)に接続される大気開放通路320と、キャップ本体250に装着されたガスケットGS2とを備えている。
【0064】
上記給油装置200の構成により、キャップ本体250が注入口P0を閉じているときには(図21の状態)、正圧弁300および負圧弁310により燃料タンク内の圧力を所定範囲内に調圧する。一方、給油するときには、ケーシング220からキャップ本体250を外すことにより注入口P0を開けて、さらに給油ガンを注入口P0から挿入して、シャッタ280を押し開けて燃料を供給することにより行なう。このように、給油装置200は、燃料タンク内の調圧作用と給油時における給油経路の確保を行う。以下、給油装置の各部の構成について詳細に説明する。
【0065】
図22に示すように、ネック管体FPは、インレットパイプIPの上部に溶接接合される金属製の筒体であり、収納室FPaを有しており、その収納室FPaの下部にインレットパイプIPの燃料通路Pbに接続されかつ細くなった接続管部FPbを有している。
【0066】
また、インレットパイプIPの収納室FPaには、ケーシング220が収納されている。図24は図22のケーシング220、キャップ本体250およびシャッタ280を拡大して示す断面図である。図24において、ケーシング220は、上ケース221と、下ケース222とを備え、これらは接合段221aと接合段222aを介して溶着されることにより一体化された筒状に形成されている。上ケース221および下ケース222には、開口側通路Pcが形成されている。この開口側通路Pcの上部は、キャップ本体250を挿入するための注入口P0になっている。また、開口側通路Pcの中程には、下ケース222の内壁から突設されたシート壁225が形成されている。シート壁225は、開口側通路Pcの一部をシール開口Pdとするとともに、その下壁面に沿ってシート面226としている。また、ケーシング220の内周壁には、軸方向に沿いかつ周方向に等間隔に配設されたガイド突条227が形成されている。それらのガイド突条227の内面は、シール開口Pdに向けて連続曲面となるガイド面227aとなっている。ガイド面227aは、給油ガンの先端を注入口P0からシール開口Pdに向けてガイドする面である。
【0067】
また、下ケース222の外壁下部には、環状固定凹所228が形成されており、この環状固定凹所228にネック管体FPの係止環状凹所FPc(図2参照)が圧入されることにより下ケース222がネック管体FPに固定されている。さらに、環状固定凹所228の下方の下ケース222の外壁には、環状収納凹所229が形成されて、ガスケットGS3を保持している。ガスケットGS3は、ケーシング220とネック管体FPとの間をシールしている。
【0068】
上記キャップ本体250は、ケーシング220に装着されることにより、開口側通路Pcを閉じるとともに、シャッタ280に装着されたシールリング290によるシート面226に対するシール性を高めるものである。図25はキャップ本体250およびシャッタ280の上面を示す斜視図である。キャップ本体250は、筒体251と、筒体251の上部に一体形成された操作部252とを備えている。筒体251の側壁には、ロック突起253,253が2カ所突設されている。図26はキャップ本体250およびケーシング220とを上方から見た位置関係を説明する説明図である。図26(A)がキャップ本体250の挿入した直後の状態を示し、図26(B)がキャップ本体250を回転した状態を示す。図26に示すように、上ケース221の注入口P0の開口周縁部は、一部が切欠きされた挿入部221b,221bを備えている。この挿入部221b,221bは、キャップ本体250のロック突起253,253を挿入できるように形成されている。このロック突起253,253は、ケーシング220の内壁に形成されたストッパ(図示省略)に当接することによりキャップ本体250が所定角度以上に回転しないようになっている。
【0069】
図24に戻り、シャッタ280は、シール開口Pdを開閉する部材であり、鍋状のシャッタ本体281と、このシャッタ本体281を上側から覆う係止蓋282とを備えている。上記シャッタ本体281と係止蓋282とを外周部で熱溶着することにより、その間に係止室283が形成されている。また、シャッタ本体281の外周部には、環状凹所284が形成されており、この環状凹所284にシールリング290が保持されている。シールリング290は、シート面226に着離する。また、シャッタ本体281の側部には、ヒンジ285が突設されており、このヒンジ285が軸286を介してケーシング220に固定された回動支持体287に対して回動自在に支持されている。また、回動支持体287は、シャッタ280を回転自在に支持するとともに、軸288にてスプリング289を保持している。このスプリング289は、トーションスプリングでありシャッタ280を閉じ方向に付勢している。
【0070】
また、図25において、キャップ本体250の下部にキャップ本体250の回転方向の力を、シャッタ280がシール開口Pdを閉じる力に変換する連結手段が示されている。すなわち、キャップ本体250の下部から係止部254が突設されている。この係止部254は、船型状の先端係止部255を備えている。一方、シャッタ280の係止蓋282には、先端係止部255を挿入可能な挿入穴282aが形成されている。図27は連結手段の動作を説明する説明図である。係止蓋282の下面には、カム面282bが形成されている。このカム面282bは、挿入穴282aの長手方向から時計方向に、約90゜向かうにつれて順次下方に傾斜した面になっている。したがって、先端係止部255の上面がカム面282bに倣いつつ移動すると、キャップ本体250がケーシング220に拘束されているから、シャッタ280は、シート面226に対して押しつける力を受けることになる。
【0071】
なお、図21に示すように、キャップ本体250の操作部252の下部には、ガスケットGS2が装着されている。このガスケットGS2は、ケーシング220の注入口P0との間をシールするものである。
【0072】
次に、給油装置200のキャップ本体250の開閉動作について説明する。図28はキャップ本体250が外されている状態を示す断面図である。図28のキャップ本体250を外した状態から、操作部252をもってケーシング220の注入口P0に挿入する。このとき、図26(A)に示すように、ロック突起253を挿入部221bに位置合わせする。この操作により、図27に示すようにキャップ本体250の先端係止部255がシャッタ280の挿入穴282aに挿入される。そして、キャップ本体250を時計方向に約90゜回転すると、先端係止部255がカム面282bに乗り上げて、シャッタ280のシールリング290をシート面226に対して押しつけるとともに(図21の状態)、先端係止部255が係止蓋282に対して抜止される。これにより、シャッタ280がシール開口Pdを気密状態にシールするとともに、キャップ本体250が注入口P0を閉じる。
【0073】
これと同時に、キャップ本体250に装着されたガスケットGS2が注入口P0との間をシールするから、燃料通路Paは、外部に対して2重シールされ、高い気密性を得ることになる。
【0074】
一方、キャップ本体250をケーシング220から外すには、操作部252を手で持って反時計方向へ回動操作する。すなわち、キャップ本体250を反時計方向へ回動すると、図27の逆の動作、つまり先端係止部255が挿入穴282aに対して抜ける位置になり、キャップ本体250を軸上方へ引き上げると、キャップ本体250がケーシング220から外される。これにより、開口側通路Pcが外部に通じることになる。この状態では、シャッタ280は、スプリング289により付勢されて、シールリング290をシート面226に押しつけた状態にて閉じられている。
【0075】
そして、図29に示すように、給油ガンFGを注入口P0から挿入すると、給油ガンFGの先端がガイド突条227のガイド面227aによりガイドされて、シール開口Pdまで導かれる。そして、給油ガンFGがシャッタ280の係止蓋282の上面を押すと、スプリング289の付勢力に抗して、軸286を中心にシャッタ280が反時計方向へ回動してシール開口Pdを開く。そして、給油ガンFGからの燃料は、燃料通路Pbを通じて燃料タンクへ供給される。給油を終えて、給油ガンFGを抜き取ると、シャッタ280はスプリング289の付勢力により閉じる。さらに、上述したように、キャップ本体250を閉じると、シャッタ280のシールリング290がシート面226に強く押しつけられてシールされ、図21の状態になる。
【0076】
上記給油装置によれば、以下の作用効果が得られる。
【0077】
(1) 給油する際に、キャップ本体250を回動することにより注入口P0を閉じれば、キャップ本体250の回転力が、シャッタ280のシールリング290をシート面226に対して強く押圧する方向への力に変換されて、シールリング290がシート面226をシールするので、燃料タンク内と外部との間に高いシール性を得ることができる。
【0078】
(2) 給油時に、給油ガンFGを注入口P0から挿入すると、給油ガンFGの先端は、連続曲面に形成されたガイド突条227のガイド面227aによってシール開口Pdにガイドされる。したがって、給油ガンFGがシール開口Pdの周縁に衝突して変形させたりすることがなく、スムーズにシール開口Pdに挿入することができる。よって、給油時にシート面226を変形させたりすることがなく、シール性を損なわない。
【0079】
(3) シャッタ280の上面、つまり係止蓋282の上面は、係合爪が形成されていない平面であるので、給油ガンFGによってこれらの係合爪が損傷することがなく、耐久性に優れている。
【0080】
(4) ネック管体FPとケーシング220との間は、係止環状凹所FPcが環状固定凹所228の形状に倣ってかしめることにより、ガスケットGS3によって簡単にシールする構成となっている。
【0081】
(5) シート面226は、給油ガンの当たらないシート壁225の裏側に形成されているので、給油ガンによって傷つけられることがなく、よって高いシール性を維持することができる。
【0082】
(6) シールリング290は、ケーシング220の内側に配置されるので、従来の技術で説明したような外側に配置されたガスケットに比べて、その直径を小さくすることができる。よって、シールリング290の燃料膨潤によって、シールリング290の表面から蒸発する燃料の量を一層減らすことができる。
【0083】
(7) シールリング290は、シャッタ280とシート面226との間で上下方向への均一の圧縮力だけを受け、従来のようにねじれる力を受けないので、均一なシール力を得ることができるとともに、耐久性に優れている。
【0084】
(8) キャップ本体250の開閉時に、シールリング290から大きな滑り抵抗力を受けず、押圧する力だけであるので、キャップ本体250を操作するときに必要な回転トルクが小さくなり、操作性に優れている。
【0085】
また、給油装置200は、図23に示すように、ケーシング220内に調圧弁および大気開放通路を備えている。すなわち、ケーシング220内には、円筒状の仕切筒壁231が設けられ、この仕切筒壁231とケーシング220との間の収納スペース232には、弁形成部材233,234および通路形成部材235が配置されている。弁形成部材233,234には、正圧弁300、負圧弁310が収納され、一方、通路形成部材235には、外気をキャニスタに導くための通路の一部が設けられている。
【0086】
図30は正圧弁300を拡大して示す断面図である。図30において、正圧弁300は、ゴム製の弁体301と、弁体301を支持する弁保持部材302と、スプリング303と、スプリング支持体304とを備えている。弁体301は、ゴム製の円板であり、円形のシート面305に着離することにより、連通孔306を開閉する。この正圧弁300の構成により、タンク本体の内圧が高くなって、弁体301に加わる大気圧との差圧がスプリング303の付勢力を越えると、弁体301が開き、下回ると閉じる。これにより、正圧弁300は、タンク本体内の内圧を所定圧以下に維持する。
【0087】
図31は負圧弁310を拡大して示す断面図である。負圧弁310は、正圧弁300と逆向きに取り付けられている構成が異なり、各構成部品はほぼ同一である。すなわち、負圧弁310は、ゴム製の弁体311と、弁体311を支持する弁保持部材312と、スプリング313と、スプリング支持体314とを備えている。弁体311は、ゴム製の円板であり、円形のシート面315に着離することにより、連通孔316を開閉する。この負圧弁310の構成により、タンク本体の内圧が低くなって、弁体311に加わる大気圧との差圧がスプリング313の付勢力を越えると、弁体311が開き、下回ると閉じる。これにより負圧弁310は、タンク本体内の内圧を所定以上に維持する。
【0088】
すなわち、タンク本体内のタンク圧が大気圧に対して正圧または負圧になり、その値が所定以上になったとき正圧弁300または負圧弁310は、開いて大気圧に対して所定範囲内に調圧する。
【0089】
上記給油装置では、正圧弁300および負圧弁310が、ケーシング220内に一体的に組み付けられているので、キャップ本体250内に組み付けるよりスペースに余裕があり、また組付作業も容易である。さらに、正圧弁300および負圧弁310をインレットパイプIPの側壁に分岐したパイプ内に配置するよりも、構成が簡単であり、コストダウンをはかることができる。
【0090】
図32は図23のx−x線に沿った大気開放通路320の周辺を示す断面図である。図23および図32に示すように、ケーシング220内には、正圧弁300および負圧弁310の弁形成部材233,234と並設された筒状の通路形成部材235が配設されている。この通路形成部材235内は、導入通路321となっている。導入通路321の一方は、迂回通路322(図23)を介して、上ケース221の上端に穿設された大気開放口323に接続されている。すなわち、図23に示すように、大気開放口323は、導入通路321に対してケーシング220の周方向に対して所定角度だけ離れて配置されているが、その間を迂回通路322で接続している。迂回通路322は、収納スペース232内において、正圧弁300及び負圧弁310を収納した弁形成部材233,234の外周のスペースで構成されている。また、図32に示す導入通路321の他端は、大気連通管324を通じてキャニスタ(図示省略)に接続されている。このように構成された大気開放通路320の構成により、エンジンの駆動時に、エンジンがキャニスタに対して負圧となって吸気すると、大気開放口323、迂回通路322、導入通路321、大気連通管324を通じてキャニスタに外気が導入される。
【0091】
このように、大気開放通路320の導入通路321がケーシング220に配置されているので、大気連通管324を固定するための手段が簡単になるとともに、配管の取り回し作業も容易にすることができる。
【0092】
また、大気開放口323は、導入通路321に対して迂回通路322を介して接続されているので、吸気が迂回通路322を流れる間に、該吸気に含まれている粉塵などが除去されて、キャニスタに送られる。よって、外気に含まれる粉塵などがキャニスタに蓄積されることがないので、キャニスタの耐久性を向上させることができる。
【0093】
なお、迂回通路322は、ケーシング220の収納スペース232内を迷路構造とすることにより、空気に含まれている粉塵の除去作用を高めることができる。また、迂回通路322にフィルタを配置することにより吸入空気を浄化する機能を高めて、キャニスタに送るようにしてもよい。
【0094】
なお、ガイド手段の他の態様として、上述の図21に示すようにケーシング220の内壁からガイド突条227を複数突設させる構成のほかに、給油ガンFGを円滑に挿入できるような構成であればよく、例えば、図33に示すように、ケーシング220Bの壁面全体をシール開口Pdに向けて傾斜させるガイド壁220Baであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる自動車の燃料タンクの給油装置10を示す断面図である。
【図2】給油装置10の構成部品を分解して示す断面図である。
【図3】図2に示す給油装置10を拡大して示す断面図である。
【図4】給油装置10を分解して示す斜視図である。
【図5】上蓋体40とキャップ本体50との位置関係を説明する説明図である。
【図6】キャップ本体50が外されている状態を示す断面図である。
【図7】キャップ本体50の動作を説明する説明図である。
【図8】図7に続く動作を説明する説明図である。
【図9】給油ガンFGを挿入した状態を説明する説明図である。
【図10】第2の実施の形態にかかる給油装置10Bを分解して示す斜視図である。
【図11】キャップ本体50Bとシャッタ80との係合状態を説明する説明図である。
【図12】第3の実施の形態にかかる燃料タンクの給油装置10Cを示す断面図である。
【図13】図12の変形例にかかる給油装置10Dを示す断面図である。
【図14】さらに図12の変形例の要部を拡大して示す断面図である。
【図15】図14の変形例を説明する説明図である。
【図16】止め輪150を示す斜視図である。
【図17】図15の矢印方向から見た図である。
【図18】他の実施の形態にかかるシャッタ80Gの付近を示す断面図である。
【図19】さらに他の実施の形態にかかるシャッタ80Hの周辺を示す断面図である。
【図20】別の実施の形態にかかるシャッタ80Jを説明する説明図である。
【図21】さらに別の実施の形態にかかる自動車の燃料タンクの給油装置200を示す断面図である。
【図22】給油装置200の構成部品を分解して示す断面図である。
【図23】給油装置200の平面図である。
【図24】図22のケーシング220、キャップ本体250およびシャッタ280を拡大して示す断面図である。
【図25】キャップ本体250およびシャッタ280の上面を示す斜視図である。
【図26】キャップ本体250およびケーシング220とを上方から見た位置関係を説明する説明図である。
【図27】連結手段の動作を説明する説明図である。
【図28】キャップ本体250が外されている状態を示す断面図である。
【図29】給油ガンFGから給油している様子を説明する説明図である。
【図30】正圧弁300を拡大して示す断面図である。
【図31】負圧弁310を拡大して示す断面図である。
【図32】図23のx−x線に沿った大気開放通路320の周辺を示す断面図である。
【図33】ガイド手段の変形例を説明する説明図である。
【符号の説明】
10…給油装置
10B…給油装置
10C…給油装置
10D…給油装置
20…ケーシング本体
20B…ケーシング本体
21a…ネジ部
21c…シール保持部
21…側壁
22…フランジ
22a…上部係合部
24…仕切壁
24a…連通穴
24b…シート面
24Gb…シート面
24B…仕切壁
24Bd,24Bd…カム面
24G…仕切壁
24Gf…突起
25…上室
26…下室
40…上蓋体
41…上板
42a…係合段部
42…側板
43…支持壁
44…上蓋室
44a…上開口
44b…ガイド突起
44c…挿入部
50…キャップ本体
50B…キャップ本体
51…上板
52…側壁
52a…ガイド突起
53…底壁
53a…挿入穴
53B…底壁
53Ba,53Ba…傾斜凹所
57…把持部
58…カム
58a,58b…カム面
58c…低位面
58d…高位面
59f,59f…切欠き
80…シャッタ
80B…第1シャッタ
80G…シャッタ
81…シャッタ本体
81a…凹面
81b…環状凹所
81Gb…環状凹所
82a,82a…係合爪
84…付勢手段
85…支持板
86…スプリング
87…中心軸
88…支持軸
89…固定軸
90…シールリング
100…ケーシング本体
100E…ケーシング本体
100F…ケーシング本体
100a…フランジ
100Ea…フランジ
100Fa…フランジ
102a…上開口
102b…下開口
102…収納室
104…上室
106…下室
110…仕切壁
114…連結板
120…第2シャッタ
121…シャッタ本体
122…軸
123…取付部材
124…スプリング
130…連結板
131…プロテクタ
141…パッキン
142…座金
143…ボルト
150…輪
150a…係合爪
151…係合溝
200…給油装置
220…ケーシング
220B…ケーシング
220Ba…ガイド壁
221…上ケース
221a…接合段
221b…挿入部
222…下ケース
222a…接合段
225…シート壁
226…シート面
227…ガイド突条
227a…ガイド面
228…環状固定凹所
229…環状収納凹所
231…仕切筒壁
232…収納スペース
233,234…弁形成部材
235…通路形成部材
250…キャップ本体
251…筒体
252…操作部
253…ロック突起
254…係止部
255…先端係止部
280…シャッタ
281…シャッタ本体
282a…挿入穴
282b…カム面
282…係止蓋
283…係止室
284…環状凹所
285…ヒンジ
286…軸
287…回動支持体
288…軸
289…スプリング
290…シールリング
300…正圧弁
301…弁体
302…弁保持部材
303…スプリング
304…スプリング支持体
305…シート面
306…連通孔
310…負圧弁
311…弁体
312…弁保持部材
313…スプリング
314…スプリング支持体
315…シート面
316…連通孔
320…大気開放通路
321…導入通路
322…迂回通路
323…大気開放口
324…大気連通管
FG…給油ガン
IP…インレットパイプ
P0…注入口
Pa…燃料通路
Pb…燃料通路
Pc…開口側通路
Pd…シール開口
FP…ネック管体
FPa…収納室
FPb…接続管部
FPc…係止環状凹所
GS…ガスケット
GS2…ガスケット
GS3…ガスケット
FN…フィラーネック
FNa…フランジ
PT…プロテクタ
SI…外側シール部材
BP…ボディ内板

Claims (3)

  1. 燃料注入管の燃料通路を通じて、燃料タンクへ給油するための燃料タンクの給油装置において、
    上記燃料通路を開閉可能に操作するための操作部と、
    上記燃料注入管内に配置され、上記燃料通路の一部を構成する連通穴(24a)と、該連通穴(24a)の開口周縁部に形成されたシート面(24b)とを有するケーシング本体(20)と、
    上記連通穴(24a)を開閉するシャッタ(80)と、
    上記シート面(24b)と上記シャッタ(80)とにより押圧されることにより上記シート面(24b)の箇所で上記燃料タンク内を外部に対してシールするシール部材と、
    上記シャッタ(80)を介して、上記シール部材が上記シート面(24b)を押圧する方向への力を付勢するスプリング(86)と、
    上記操作部を閉じる方向へ回転操作したときに、その回転力を上記シャッタ(80)が閉じる方向への力に変換するように構成した連結手段と、
    を備え、
    上記連結手段は、上記操作部に形成されたカム面(58a,58b)と、上記シャッタ(80)に突設され上記カム面(58a,58b)に係合するとともに倣う係合爪(82a)とを備え、上記カム面(58a,58b)は、上記係合爪(82a)が上記カム面(58a,58b)に係合した状態にて、上記操作部(252)を閉じる方向へ回転操作したときに、上記操作部の回転力を、上記シャッタ(80)が上記シール部材を上記シート面(24b)に向けて押圧する方向への力に変換するように形成されていること、を特徴とする燃料タンクの給油装置。
  2. 燃料注入管の燃料通路を通じて、燃料タンクへ給油するための燃料タンクの給油装置において、
    上記燃料通路を開閉可能に操作するための操作部と、
    上記燃料注入管内に配置され、上記燃料通路の一部を構成する連通穴と、該連通穴の開口周縁部に形成されたシート面とを有するケーシング本体(20B)と、
    上記連通穴を開閉するシャッタ(80)と、
    上記シート面と上記シャッタ(80)とにより押圧されることにより上記シート面の箇所で上記燃料タンク内を外部に対してシールするシール部材と、
    上記シャッタ(80)を介して、上記シール部材が上記シート面を押圧する方向への力を付勢するスプリングと、
    上記操作部を閉じる方向へ回転操作したときに、その回転力を上記シャッタ(80)が閉じる方向への力に変換するように構成した連結手段と、
    を備え、
    上記連結手段は、上記ケーシング本体(20B)に形成されたカム面(24Bd)と、上記操作部に形成され上記カム面(24Bd)に倣う傾斜凹所(53Ba)と、上記シャッタ(80)に突設され上記操作部に係合する係合爪(82a)とを備え、上記カム面(24Bd)および上記傾斜凹所(53Ba)は、上記係合爪(82a)が上記操作部に係合した状態にて、上記操作部を閉じる方向へ回転操作したときに、該操作部の回転力を、上記シャッタ(80)が上記シール部材を上記シート面に向けて押圧する方向への力に変換するように形成されていること、を特徴とする燃料タンクの給油装置。
  3. 燃料注入管の燃料通路を通じて、燃料タンクへ給油するための燃料タンクの給油装置において、
    上記燃料通路を開閉可能に操作するための操作部と、
    上記燃料注入管内に配置され、上記燃料通路の一部を構成するシール開口(Pd)と、該シール開口(Pd)の開口周縁部に形成されたシート面(226)とを有するケーシング(220)と、
    上記シール開口(Pd)を開閉するシャッタ(280)と、
    上記シート面(226)と上記シャッタ(280)とにより押圧されることにより上記シート面(226)の箇所で上記燃料タンク内を外部に対してシールするシール部材と、
    上記シャッタ(280)を介して、上記シール部材が上記シート面(226)を押圧する方向への力を付勢するスプリング(289)と、
    上記操作部を閉じる方向へ回転操作したときに、その回転力を上記シャッタ(280)が閉じる方向への力に変換するように構成した連結手段と、
    を備え、
    上記連結手段は、上記シャッタ(280)に形成されたカム面(282b)と、上記操作部に突設され上記カム面(282b)に係合するとともに倣う係止部(254)とを備え、上記カム面(282b)は、該カム面(282b)に上記係止部(254)が係合した状態にて、上記操作部を閉じる方向へ回転操作したときに、該操作部の回転力を、上記シャッタ(280)が上記シール部材を上記シート面に向けて押圧する方向への力に変換するように形成されていること、を特徴とする燃料タンクの給油装置。
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