JP4411564B2 - 墨出し装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、墨出し装置に係り、特に、レーザー光を利用した墨出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
天井面や壁面に加工や設備や装置類の設置などを行う場合、それらの加工または装置位置などを決定するために天井面や壁面への墨出し作業を行っている。墨出しを行う場合、例えば天井面への墨出しでは、床面などに基準線を引き、天井面に加工や設備の設置などを行うための墨出し位置に対応する床面の基準位置を、基準線を起点として実際に長さなどを測ることなどにより設定する。この基準位置に、例えば下方と上方に同軸のレーザー光を照射する墨出し装置を設置し、下方のレーザー光が床面に投影された点を基準位置に合わせることで、正確に天井面の墨出し位置を求めている。しかし、このような墨出し装置では、複数の墨出し位置を求める場合、墨出し装置を床面上に設定された複数の基準位置を移動させながら墨出し作業を行わなければならず作業性が悪い。このため、レーザー光照射手段を鉛直方向と水平方向とに回動可能にし、1つの基準位置から任意の方向にレーザー光を照射できる墨出し装置が考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
レーザー光照射手段を鉛直方向と水平方向とに回動可能にした墨出し装置では、1つの基準位置から複数の墨出し位置を求めるために、墨出し装置を移動する手間をなくすことはできるが、基準位置からの墨出し位置の距離、方向、そして基準位置から天井面まで高さや壁面の墨出し位置までの距離や、3次元座標などを平面図や立面図などの複数の図面などから求め、求められたデータを墨出し装置に入力するといった煩雑な作業が必要である。このため、さらに作業性を向上することが望まれている。
【0004】
本発明の課題は、墨出し作業の作業性を向上することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の墨出し装置は、レーザー光の照射手段と前記レーザー光の反射光を受光する反射光受光手段とを装置中心に対して水平方向と鉛直方向に回動させる駆動手段と、照射手段から照射されたレーザー光が反射して反射光受光手段に受光されるまでの時間から装置中心とレーザー光の反射位置までの距離を計測する距離計測手段と、駆動手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、入力される天井、床面及び壁面に設定された空間座標を記憶し、前記壁面に設定された既知の座標2点に前記レーザー光を照射して前記距離計測手段により前記2点から前記装置中心までの距離をそれぞれ求め、該求めた距離と前記2点間の既知の距離から装置中心座標を求め、該装置中心座標を通る仮想水平面上に所望の墨出し位置座標から垂下した垂直投影点の座標を求め、前記装置中心座標と前記垂直投影点の座標とから、前記装置中心座標と前記垂直投影点の座標とを結ぶ線と予め設定されている前記装置の基準方位との前記仮想水平面上における水平方位角を求め、前記レーザー光の照射方向が基準方位から前記墨出し位置方向に前記水平方位角になるように水平回転させた後、前記レーザー光の照射手段を鉛直方向に回転させて前記レーザー光の照射位置から前記装置中心までの距離を前記距離計測手段により計測し、前記装置中心座標から前記墨出し位置座標までの距離を算出し、該算出した距離と前記計測した距離とが一致するように、前記装置中心座標と前記墨出し位置座標とを結ぶ線と前記仮想水平面とがなす仰角を、前記レーザー光の照射方向を鉛直方向に回転させて調整して、前記墨出し位置に前記レーザー光を照射して墨出しすることにより上記課題を解決する。
【0006】
このような構成とすることにより、墨出し装置の位置の装置座標と、この装置座標が設定された仮想水平面上に墨出し位置を投影した垂直投影点の座標となどから、幾何学的関係によりレーザー光照射方向の基準方位から墨出し位置方向への水平回転角を算出することができる。さらに、レーザー光の照射方向を鉛直方向に移動させたときの仰角と、この仰角での装置位置からレーザー光が投影された位置までの距離とに基づいてレーザー光照射方向の仮想水平面から墨出し位置に向かう鉛直方向への回転角を算出することができる。このため、墨出し装置から天井面の高さや壁面までの距離などに関係なく、墨出しを行う天井面や壁面などの平面図に座標軸を設定して求めた墨出し位置の2次元座標を墨出し装置に入力するといった簡単な作業で墨出しを行うことができる。すなわち、墨出し作業の作業性を向上することができる。
【0007】
このとき、制御手段は、墨出し装置が設置された位置の装置座標とこの装置座標を含む仮想水平面上に墨出し位置を垂下した垂直投影点の座標との幾何学的関係から算出された水平方位角に基づきレーザー光の照射方向を基準方位から墨出し位置方向に水平回転させた後、装置位置から垂直投影点までの距離とレーザー光の照射方向を鉛直方向に移動させたときの仰角とこの仰角での装置位置からレーザー光の反射位置までの距離との幾何学的関係に基づいてレーザー光の照射方向を墨出し位置に合わせることで天井面または床面への墨出しができる。
【0008】
一方、制御手段は、墨出し装置が設置された位置の装置座標とこの装置座標を含む仮想水平面上に墨出し位置を垂下した垂直投影点の座標との幾何学的関係から算出された水平方位角に基づきレーザー光の照射方向を基準方位から墨出し位置方向に水平回転させた後、墨出し位置から垂直投影点までの距離とレーザー光の照射方向を鉛直方向に移動させたときの仰角とこの仰角での装置位置からレーザー光の反射位置までの距離との幾何学的関係に基づいてレーザー光の照射方向を墨出し位置に合わせることで壁面への墨出しができる。
【0009】
さらに、既知の2点の座標を予め墨出し装置に入力し、装置位置と既知の2点との距離を各々距離計測手段で計測し、制御手段が、既知の2点の座標と、計測された装置位置から既知の2点までの各々の距離と、既知の2点の座標から算出した既知の2点間の距離と、座標軸と装置位置から既知の2点のいずれか一方へ引いた線とのなす角度との幾何学的関係に基づいて装置座標を算出するようにすれば、装置位置の座標を予め決めて墨出ししておく必要が無く、墨出し装置を任意の位置に設置できるので好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用してなる墨出し方法の一実施形態を図1乃至図7を参照して説明する。図1は、墨出し装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、天井面の墨出し位置を示す図である。図3は、墨出し装置による墨出し対象室の天井面への墨出し動作を示す平面図である。図4は、墨出し装置による墨出し対象室の天井面への墨出し動作を示す側面図である。図5、6及び8は、墨出し装置の作動を示すフローチャートである。図7は、墨出し装置による墨出し対象室の壁面への墨出し動作を示す斜視図である。
【0011】
本実施形態の墨出し装置1は、図1に示すように、鉛直方向と水平方向とに回動可能なレーザー照射部3、マイクロコンピュータなどからなる制御部5、そしてデータの入力や墨出し装置1の動作を指示するための操作部7などで構成されている。レーザー光照射部3は、平行光束のレーザー光を発振するレーザー光発光器9、レーザー光発光器9から照射されたレーザー光の反射光を受光するレーザー光受光器11、レーザー光の照射方向を鉛直方向と水平方向に回動させる駆動手段13、レーザー光照射部3の回転角度を検出する角度検出手段14などからなる。なお、レーザー光受光器11は、レーザー光発光器9に隣接して設けられレーザー光発光器9と一体に動くか、またはレーザー光受光器11はレーザー光発光器9と一体的に形成される。また、レーザー光照射部3とレーザー光制御部5や操作部7とは一体に形成されていてもよいし、分離されていてもよい。
【0012】
レーザー光の制御部5は、レーザー光発光器9から照射されたレーザー光が反射してレーザー光受光部11に受光されるまでの時間からレーザー光の反射点と墨出し装置1との距離を計測する距離計測演算手段15、墨出し位置の座標データや距離計測演算手段15での計測データを記憶する記憶手段17、距離計測演算手段15からの計測データや記憶手段17からの墨出し座標データなどに基づいて墨出し装置1と墨出し位置などとの距離やレーザー光照射方向の水平角や仰角などを算出するレーザー光の照射方向演算手段19、距離計測演算手段15、記憶手段17、照射方向演算手段19などの動作や時間的同期を制御し、角度検出手段14からの信号と照射方向演算手段19からの信号に基づいてレーザー照射部3の駆動手段13の動作を制御する動作制御手段21などからなる。なお、レーザー光照射部3のレーザー光受光器11と制御部5の距離演算手段15とは、距離計測手段を構成している。操作部7は、墨出し座標などを入力するための座標入力用キーパッド23、墨出し装置1の動作を指示する動作指示用キーパッド25などからなる。
【0013】
まず、建造物の部屋の天井面に墨出しする場合について説明する。天井面の設計図または施工図中に、図2に示すように任意のX軸とY軸を設定し、墨出し位置、例えばP1、P2、P3、P4、P5、P6、P7を記入する。設定した座標軸から墨出し座標、例えば墨出し座標P1(X1,Y1)、P2(X2,Y2)、P3(X3,Y3)、P4(X4,Y4)、P5(X5,Y5)、P6(X6,Y6)、P7(X7,Y7)求める。また、これらの天井面27の墨出し位置P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7を墨出し装置1のレーザー照射部3のレーザー照射方向を天井面27と水平にした場合にレーザー光が通る仮想水平面29上に投影した垂直投影点P1’、P2’、P3’、P4’、P5’、P6’、P7’は、図3、4に示すように、墨出し位置P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7と同じ座標になる。なお、レーザー照射部3のレーザー光照射方向を水平方向にした場合の床面31からのレーザー光照射位置の高さ、すなわち仮想水平面29の高さZ0は、予め墨出し装置1に入力されている。
【0014】
墨出し座標P1(X1,Y1)、P2(X2,Y2)、P3(X3,Y3)、P4(X4,Y4)、P5(X5,Y5)、P6(X6,Y6)、P7(X7,Y7)を、図5に示すように、墨出しを行う順に座標入力用キーパッド23で墨出し装置1に入力する(ステップ101)。このとき、各墨出し位置P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7が天井面27に対する墨出し位置であることを座標入力用キーパッド23で墨出し装置1に入力する。墨出し装置1を、図3、4に示すように、墨出しを行う建造物などの墨出し対象室の任意の床面31上に設置する。墨出し装置1を床面31上の任意の位置に設置するため、墨出し装置1の装置位置の座標、すなわち装置座標P0(X0,Y0)は未知であり入力できないので(ステップ102)、装置座標P0(X0,Y0)の決定を動作指示用キーパッド25の装置座標決定キーにより指示する(ステップ103)。
【0015】
装置座標P0(X0,Y0)の決定に必要な2カ所の基準点の座標、例えば図3に示すような壁面33に記された仮想水平面29上にある既知の2点の逃げ基準点座標PS1(XS1,YS1)、PS2(XS2,YS2)などを、図5に示すように、座標入力用キーパッド23で入力する(ステップ104、105)。墨出し装置1がレーザー光を照射したら動作指示用キーパッド25の水平回転キーによりレーザー光照射部3を水平回転させ、逃げ基準点PS1にレーザー光の投影位置を合わせ(ステップ106)、動作指示用キーパッド25の距離計測キーを押し(ステップ107)、基準位置P0と逃げ基準点PS1とを結んだ辺P0−PS1の距離LS1を計測(ステップ108)し、記憶手段17に距離LS1の値を記憶する。再度同様の操作を繰り返し、動作指示用キーパッド25の水平回転キーによりレーザー光照射部3を水平回転させ、逃げ基準点PS2にレーザー光の投影位置を合わせ(ステップ106)、動作指示用キーパッド25の距離計測キーを押し(ステップ107)、基準位置P0と逃げ基準点PS2とを結ぶ辺P0−PS2の距離LS2を計測し(ステップ108)、記憶手段17に距離LS2の値を記憶する。基準点2点の距離計測が完了すると、逃げ基準点座標PS1(XS1,YS1)、PS2(XS2,YS2)から次式(1)により逃げ基準点PS1とPS2とを結ぶ線PS1−PS2の距離LS12を算出する。
【0016】
【数1】
得られた距離LS12と記憶手段17に記憶されている距離LS1、LS2より、辺P0−PS2と線PS1−PS2とのなす角αを次式(2)より算出する。
【0017】
【数2】
さらに、逃げ基準点座標PS2(XS2,YS2)を通るX軸に平行な線35と線PS1−PS2とのなす角γを次式(3)から算出する。
【0018】
【数3】
線35と線P0−PS2とのなす角γ0は、次式(4)の関係にある。
【0019】
【数4】
したがって、式(2)、(3)から算出された角α、γから式(4)により角γ0が算出される。この角γ0を次式(5)、(6)に代入する。
【0020】
【数5】
【0021】
【数6】
これにより、墨出し装置1の装置位置の座標である装置座標P0(X0,Y0)が算出される(ステップ109)。
【0022】
レーザー光の照射方向の基準方位37をX軸に平行な方向にとる場合には、逃げ基準点PS2にレーザー光が投影されている状態から図3上で時計回りに(γ0+180)度、または反時計回りに(180−γ0)度レーザー光照射部3の水平回転を行いレーザー光の照射方向を基準方位33に向ける(ステップ110)。このとき、基準点PS2にレーザー光が投影されている状態からレーザー光照射部3のレーザー光照射方向を鉛直方向に180度回転させた後、図3上で時計回りにγ0度水平回転させてもよい。また、既知の基準点として、逃げ基準点PS1、PS2とY軸を挟んで反対側に位置する点を用いた場合には、最後に距離計測を行った基準点にレーザー光が投影されている状態から、最後に距離計測を行った基準点の座標により、図3上で時計回りまたは反時計回りにγ0度レーザー光照射部3の水平回転を行えばよい。
【0023】
なお、基準方位をY軸に平行な方向にとる場合には、角αの代わりに装置位置P0と逃げ基準点PS1とを結ぶ線P0−PS1と線PS1−PS2とのなす角βを次式(7)により算出する。
【0024】
【数7】
得られた角βにより、上記と同様に装置座標P0(X0,Y0)を算出すればよい。
【0025】
装置座標P0(X0,Y0)の設定後、図6に示すように、墨出し装置1に墨出し開始を指令する(ステップ111)。墨出し装置1は、墨出し位置P1の座標入力時の指令から天井面27または床面31への墨出しであることを識別した後(ステップ112)、装置座標P0(X0,Y0)と、墨出し座標P1(X1,Y1)とから次式(8)により、基準方位37から墨出し位置P1からの垂線と仮想水平面29が交わる点である垂直投影点P1’への水平方位角θ1を算出する(ステップ113)。
【0026】
【数8】
得られた水平方位角θ1だけレーザー光照射部3の水平回転を行い、レーザー光照射方向を基準方位37から垂直投影点P1’の方へ向ける(ステップ114)。
【0027】
その後、基準位置P0と垂直投影点P1’との距離D1を次式(9)により算出する(ステップ115)。
【0028】
【数9】
距離D1算出後、墨出し位置P1の座標入力時の指令から天井面27への墨出しであることを識別し(ステップ116)、墨出し装置1のレーザー光照射部3を鉛直方向上方に回転させ、図4に示すように、レーザー光照射方向を水平方向より上げて行き、墨出し装置1とレーザー光が投影された位置との距離L1を墨出し装置1の距離計測演算手段15で計測する(ステップ117)。そして、距離D1、装置位置P0とレーザー光が投影された位置との距離L1、そしてレーザー光照射方向の仰角δ1の関係が次式(10)の関係になるように、仰角δ1を合わせる。
【0029】
【数10】
このとき、D1がL1×cosδ1より大きい場合には、δ1を小さく(ステップ119)、D1がL1×cosδ1より小さい場合には、δ1を大きく(ステップ120)して、式(10)の関係になるように調整する。
【0030】
これにより、天井面27の墨出し位置P1にレーザー光が投影され、墨出しを行うことができる(ステップ121)。なお、墨出し位置P2、P3、P4、P5、P6、P7の墨出しは、動作指示用キーパッド25のキーにより墨出し開始を指示する度に、記憶手段17に入力された順に、墨出し装置1がステップ111から121を繰り返すことにより墨出しが実施される。また、床面31に墨出しを行う場合には、墨出し位置P1の座標入力時の指令から床面31への墨出しであることを識別し(ステップ116)、墨出し装置1のレーザー光照射部3を鉛直方向下方に回転させ(ステップ122)、以下、ステップ118から121を行うことで墨出しできる。
【0031】
次に、天井面27に続けて、建造物の壁面33に墨出しする場合について説明する。壁面33の設計図または施工図中に、図7に示すように、任意の座標軸としてX軸とZ軸を設定し、墨出し位置を記入する。このとき、天井面27への墨出しと同時に壁面33への墨出しを行う場合には、天井面27に設定したX軸を共通のX軸として用いている。墨出し座標P8(X8,Y8)を求めた後、図5に示すように、天井面27の墨出し座標P1(X1,Y1)、P2(X2,Y2)、P3(X3,Y3)、P4(X4,Y4)、P5(X5,Y5)、P6(X6,Y6)、P7(X7,Y7)などと共に、座標入力用キーパッド23で墨出し装置1に墨出し座標P8(X8,Y8)を入力する(ステップ101)。このとき、墨出し位置P8が壁面33に対する墨出し位置であることを座標入力用キーパッド23で墨出し装置1に入力する。または、天井面35の墨出し後、設定した座標軸から求められた墨出し座標P8(X8,Z8)などと、壁面33への墨出し指示を座標入力用キーパッド23により入力する。なお、本実施形態では、Z軸と天井面27と共通のX軸とを設定したが、Z軸と天井面27と共通のY軸を設定してもよい。
【0032】
墨出し装置1に、図6に示すように、墨出し開始を指令し(ステップ111)、墨出し位置が壁面33で有ることを識別する(ステップ112)と、図8に示すように、墨出し装置1のレーザー照射部3のレーザー照射方向を、床面31と水平な状態で、墨出しを行う壁面33へ垂直にレーザー光が照射される点、すなわち装置位置P0を壁面33へ垂直に投影した水平投影点P0’に向け、これを基準方位38とする(ステップ123)。装置位置P0と水平投影点P0’との距離L0を距離計測演算手段15により算出し、壁面33の墨出し位置P8の垂線39と水平投影点P0’を通る水平線41との交点、すなわち墨出し位置P8の仮想水平面29への垂直投影点をP0”とし、この垂直投影点P0”と装置位置P0とを結ぶ線P0−P0”と、装置位置P0と水平投影点P0’とを結ぶ線P0−P0’とのなす水平方位角θ2を、距離L0、装置座標P0(X0,Z0)、水平投影点座標P0’(X0,Z0)、垂直投影点座標P0”(X8,Z0)から次式(11)により算出する(ステップ124)。
【0033】
【数11】
得られた水平方位角角θ2だけレーザー光照射部3の水平回転を行い、レーザー光照射方向を水平投影点P0’方向から垂直投影点P0”方向へ向ける(ステップ125)。
【0034】
その後、墨出し座標P8(X8,Z8)と垂直投影点座標P0” (X8,Z0)とから、次式(12)により、垂直投影点P0”と墨出し位置P8との距離D2を算出する(ステップ126)。
【0035】
【数12】
なお、Z0は、図4に示すように、予め墨出し装置1に入力されているレーザー光照射方向を水平方向にした場合の床面31からのレーザー光照射位置の高さである。
【0036】
距離D2算出後、墨出し座標P8(X8,Z8)より墨出し位置が垂直投影点P0”よりも上方にあることを識別し(ステップ127)、レーザー光照射部3を鉛直方向上方に回転させてレーザー光照射方向を水平より上げて行き、墨出し装置1とレーザー光が投影された位置との距離L2を距離計測演算手段15で計測する(ステップ128)。そして、距離D2、距離L2、そしてレーザー光照射方向の仰角δ2の関係が次式(13)になるように、仰角δ2を合わせる(ステップ129)。
【0037】
【数13】
このとき、D2がL2×sinδ2より小さい場合には、δ2を小さく(ステップ130)、D2がL2×sinδ2より大きい場合には、δ2を大きく(ステップ131)して、式13の関係になるように調整する。また、墨出し座標P8(X8,Z8)より墨出し位置が垂直投影点P0”よりも下方にあることを識別(ステップ127)した場合には、墨出し装置1のレーザー光照射部3を鉛直方向下方に回転させ(ステップ132)、以下、ステップ130から132を行う。
【0038】
これにより、壁面33の墨出し位置P8にレーザー光が投影され、墨出しを行うことができる(ステップ133)。なお、壁面33に複数の墨出し位置がある場合には、天井面27への墨出しにおいて説明したように、動作指示用キーパッド25のキーにより墨出し開始を指示する度に、記憶手段17に入力された順に、ステップ111から133を繰り返すことにより墨出しが実施される。
【0039】
このように、本発明の墨出し方法では、墨出し装置1から天井面27の高さや壁面33までの距離などに関係なく、墨出しを行う天井面や壁面などの平面図に座標軸を設定して求めた墨出し位置Pnの2次元座標を墨出し装置1に入力するといった簡単な作業で墨出しを行うことができる。すなわち、墨出し作業の作業性を向上することができる。
【0040】
さらに、2点の既知の基準点PS1、PS2が墨出しされていれば、墨出し装置1を任意の位置に設置しても、その2点の基準点座標PS1(XS1,YS1)、PS2(XS2,YS2)を入力し、距離計測を行うことで墨出し装置1の装置位置の座標P0(X0,Y0)を算出することができる。加えて、2点の基準点のみを手作業により墨出しすれば、他の墨出し作業は全て墨出し装置1で行うことができる。なお、本実施形態では、基準位置P0が任意の位置である場合を説明したが、既知の基準位置P0に墨出し装置を設置することもできる。この場合、図5に示すように、装置座標P0(X0,Y0)を座標設定用キーパッド23により入力し(ステップ134)、さらに、基準方位37が壁面33と垂直に交わる点にある基準点の座標を入力(ステップ135、136)した後、この基準点にレーザー光を投影(ステップ137)し、動作指示用キーパッド25の基準点セットキーで基準方位37を認識させる(ステップ138)こともできる。
【0041】
また、本実施形態では、壁面33のレーザー照射部3のレーザー光照射方向を水平方向にした場合のレーザー光照射位置の高さにある2点の逃げ基準点PS1、PS2を用いたが、2点の既知の点として、床面31やレーザー光照射方向を水平方向にした場合のレーザー光照射位置の高さ以外の高さにある壁面33などに記された点を用いることもできる。この場合、レーザー光照射方向を水平方向にした場合のレーザー光照射位置の高さは墨出し装置1に入力されているため、墨出し装置1と基準点の距離を距離計測演算手段15で計測し、その値を三角関数により、レーザー照射部3のレーザー光照射方向を水平方向にした場合のレーザー光照射位置の高さにある仮想水平面29上での距離に換算させればよい。
【0042】
また、本実施形態の墨出し装置1では、墨出し座標を入力するときに、それらの墨出し位置がどの面上の位置かも併せて入力したが、入力座標の種類、例えば(Xn,Yn)座標が入力されることで天井面27または床面31への墨出しを、(Xn,Zn)または(Yn,Zn)座標が入力されることで壁面33への墨出しを識別するようにしてもよい。
【0043】
また、本実施形態の墨出し装置1では、記憶手段17に墨出し座標が入力された順に、動作指示用キーパッド25のキーにより墨出し開始を指示する度に墨出しが実施されるようにしたが、例えば入力された墨出し座標に固有の番号を付与することにより、その番号を指定することで所望の墨出し位置への墨出しを指示できるようにしてもよい。
【0044】
また、本発明は、本実施形態の構成や操作手順の墨出し装置1に限らず、水平方向と鉛直方向に回転可能なレーザー光照射部、レーザー光の反射により反射位置の距離を計測する距離計測手段、座標に基づいて距離や水平方位角や仰角などを算出してレーザー光照射部のレーザー光の照射方向を制御する制御手段などを備えていれば、様々な構成や操作手順の墨出し装置に適用することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、墨出し作業の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる墨出し装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】天井面の墨出し位置を示す図である。
【図3】本実施形態の墨出し装置による墨出し対象室の天井面への墨出し動作を示す平面図である。
【図4】本実施形態の墨出し装置による墨出し対象室の天井面への墨出し動作を示す側面図である。
【図5】本発明を適用してなる墨出し装置の一実施形態の作動を示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用してなる墨出し装置の一実施形態の作動を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の墨出し装置による墨出し対象室の壁面への墨出し動作を示す斜視図である。
【図8】本発明を適用してなる墨出し装置の一実施形態の作動を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 墨出し装置
3 レーザー光照射部
5 制御部
11 レーザー光受光部
15 距離計測演算手段
Claims (1)
- レーザー光の照射手段と前記レーザー光の反射光を受光する反射光受光手段とを装置中心に対して水平方向と鉛直方向に回動させる駆動手段と、前記照射手段から照射されたレーザー光が反射して前記反射光受光手段に受光されるまでの時間から前記装置中心と前記レーザー光の反射位置までの距離を計測する距離計測手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを備えてなる墨出し装置において、
前記制御手段は、入力される天井、床面及び壁面に設定された空間座標を記憶し、前記壁面に設定された既知の座標2点に前記レーザー光を照射して前記距離計測手段により前記2点から前記装置中心までの距離をそれぞれ求め、該求めた距離と前記2点間の既知の距離から装置中心座標を求め、該装置中心座標を通る仮想水平面上に所望の墨出し位置座標から垂下した垂直投影点の座標を求め、前記装置中心座標と前記垂直投影点の座標とから、前記装置中心座標と前記垂直投影点の座標とを結ぶ線と予め設定されている前記装置の基準方位との前記仮想水平面上における水平方位角を求め、前記レーザー光の照射方向が基準方位から前記墨出し位置方向に前記水平方位角になるように水平回転させた後、前記レーザー光の照射手段を鉛直方向に回転させて前記レーザー光の照射位置から前記装置中心までの距離を前記距離計測手段により計測し、前記装置中心座標から前記墨出し位置座標までの距離を算出し、該算出した距離と前記計測した距離とが一致するように、前記装置中心座標と前記墨出し位置座標とを結ぶ線と前記仮想水平面とがなす仰角を、前記レーザー光の照射方向を鉛直方向に回転させて調整して、前記墨出し位置に前記レーザー光を照射して墨出しすることを特徴とする墨出し装置。
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JP28763499A JP4411564B2 (ja) | 1999-10-08 | 1999-10-08 | 墨出し装置 |
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JP28763499A JP4411564B2 (ja) | 1999-10-08 | 1999-10-08 | 墨出し装置 |
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