JP4411289B2 - 配線基板 - Google Patents

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Description

本発明は、ウイスカーの発生が抑制された配線基板に関する。さらに詳しくは、本発明は、絶縁基板の表面に、銅あるいは銅合金から形成された多数の配線からなる配線パターンが形成され、この配線パターンの端子部分にスズを含有する金属メッキ層が形成された配線基板であって、この配線パターンの端子部分の金属メッキ層表面からのウイスカーの生成が抑制された配線基板に関する。
絶縁基板の表面に銅からなる配線が多数形成された配線基板には、実装する電子部品との電気的接続を確立するために、あるいは、この配線基板の相互接続するために、端子部分に安価なスズメッキのようなメッキ層が形成されているのが一般的である。
しかしながら、スズメッキでは、ウイスカーが発生することが知られており、発生したウイスカーにより回路の短絡が生ずるという問題がある。
ウイスカーの発生メカニズムに関しては、様々な研究にもかかわらず、ウイスカーの発生を完全に防止するには至っていない。
ところで、特開2005-340434号公報(特許文献1)には、電解銅箔から形成された下地
銅回路の表面を純銅メッキ層で被覆し、このようにして形成された純銅メッキ層の表面にスズメッキ層を形成した後、フュージング処理(熱処理)することにより、スズめっき層の全部または一部がCu6Sn5層やCu3Sn層などを形成することにより、スズウイスカーの発
生を防止することができ、しかも上記のように純銅メッキ層で下地銅回路の表面を被覆することにより、フュージング処理によっても、スズメッキ層(Cu3Sn層)と純銅メッキ層
との間にボイドが発生しないTABテープについて記載されている。すなわち、従来のTA
Bテープでは、スズウイスカーの発生を防止するために、下地銅回路の表面に直接スズメッキ層を形成した後、フュージング処理(加熱処理)することにより、スズメッキ層に銅を拡散させていたが、このようにフュージング処理すると下地回路とスズメッキ層との界面にカーケンドール効果によると思われるボイドが発生し易いので、下地銅回路の表面を純銅層で被覆して、その表面粗度を低くする(平滑にする)ことにより、フュージング処理しても上記ボイドが発生しにくいTABテープを得ることができることが記載されている。従って、この特許文献1に記載のTABテープを製造する際には、電解銅箔を選択的にエッチングして下地銅回路を形成した後に、この下地銅回路の表面に改めて電解メッキにより純銅層を形成する必要があり、こうして純銅層を形成した後にスズメッキ層を形成し、さらにフュージング処理する必要があり、TABテープの製造工程が非常に複雑になるとの問題がある。また、フュージング処理することにより、スズメッキ層中に急速に銅が拡散して、形成されるスズメッキ層には相当量の拡散銅が含有される。
なお、形成する銅箔の金属箔の結晶粒径に関しては、特許文献2(特開2005-153357号
公報)に、金属箔のシャイニー面から金属箔全体厚みの1/2深さまでの断面領域におけるEBSD法に基づく結晶粒径が1.0μm以上の結晶粒子の割合を1〜60面積%とした金属箔付き樹脂フィルムなどがある。一般に上記のように表面付近の粒子径を制御するのは金属箔と絶縁層との密着性を向上されるためであり、このような金属箔の粒子径と、この銅箔の上に形成される金属メッキ層からのウイスカーとの関連性に関しては知られていない。
ところで、特開2006-52441号公報(特許文献3)の請求項1には、「未処理箔中のCl
含有量が30ppm未満であることを特徴とする銅箔。」が記載されており、具体的には電
解液中に、Cl-イオンが濃度が1.5mg/リットルとなるように濃塩酸を加えた実施例2で得られる銅箔中のCl濃度は10ppm以下であり、また、Cl-イオン濃度が25mg/リットルとなる量で濃塩酸を加えた実施例4でも銅箔中のCl濃度は10ppm以下である。さらに、この特許文献2の比較例1では、電解液中にCl-イオン濃度が1.5mg/リットルとなるように濃塩酸を加えると共にゼラチンを3.6mg/リットルの量で加えた電計液を用いて製造された銅箔中のCl濃度は40ppmであることが示されている。このような電解銅箔には通常はCl濃度を低く抑えるのが一般的である。しかしながら、この比較例1で使
用される電解液は、Cl-イオンおよびゼラチンを含有しており、このようなCl-イオンおよびゼラチンの併用系では、柱状の銅結晶は形成しにくく、一般には粒状結晶が形成される。すなわち、このようなCl-イオンおよびゼラチンの併用系では、銅粒子が大きい柱状結晶とはなりにくく粒状結晶が多くなるので、無電解スズメッキ層への銅の拡散速度が速くなり、銅と無電解スズメッキ層との境界部にカスケード効果によるボイドが発生しやすいという問題がある。また、特許文献2に記載のCl-濃度が30ppm未満である銅箔は、
通常40〜70A/dm2程度に比較的大電流を流して銅の析出を行うことが記載されてお
り、塩素イオン濃度の高いメッキ浴を用いて銅を析出させる場合には、引用文献2に示されているような高電流では、形状の安定した柱状粒子構造の銅を効率よく析出させることはできにくく、微細粒子が含有されやすくなるために、銅の無電解スズメッキ層への拡散速度を抑えることができにくいという問題がある。
特開2005-340434号公報 特開2006-52441号公報 特開2005-153357号公報
本発明は、銅から形成された配線の表面に、スズを含む金属メッキ層を形成した配線基板のこのスズを含む金属メッキ層の表面からウイスカーが発生しにくい配線基板を提供することを目的としている。
本発明の配線基板は、絶縁基板の少なくとも一方の表面に、銅箔を選択的にエッチングした配線パターンが形成されており、該配線パターンの少なくとも一部がスズを含有する金属メッキ層で被覆されている配線基板において、
該配線パターンが、主として粒径3μm(ミクロンメートル)以上の柱状結晶銅から形成されており、該柱状結晶銅の塩素濃度が5〜50ppmの範囲内にあり、該配線パターン
を被覆する金属メッキ層が、スズを含有する主として0.7μm以上の結晶粒径の金属から形成されており、かつ該線パターンに、有機化合物に由来する炭素原子が実質的に含有されていないことを特徴としている。
即ち、本発明の配線基板を構成する配線パターンは、特定量の塩素イオンを含有するが、ゼラチンあるいは膠などの有機化合物を含有しない銅メッキ浴か銅を析出させて得られた銅箔をエッチングすることにより形成されている。
上記のような配線パターンの表面を覆うように形成される金属メッキ層は、通常は平均厚さ0.02〜1.5μmの無電解スズメッキ層である。
本発明の配線基板に形成されている配線パターンは、大部分が結晶粒径3μm以上の柱状結晶構造を有する銅から形成されており、非常に銅粒子が大きくしかもはっきりとした柱状結晶構造を有している。この柱状粒子を有する銅には塩素濃度が5〜50ppmという
比較的高い量で含有されており、このように銅中に含有される塩素濃度が高くする場合、使用する銅メッキ液中のCl-イオン濃度を通常は50〜80mg/リットル、好ましくは50〜70mg/リットル程度の高い濃度に維持し、銅の析出の際の電流密度を通常は1〜3
0A/dm2、好ましくは1〜15A/dm2の範囲内に設定して比較的低電流密度で銅を析出される。このような条件で銅を析出させることにすることにより、塩素濃度が上記のように高く、しかも大部分の粒径が3μm以上の柱状粒子からなる電解銅箔を形成することができる。なお、このような高塩素濃度の電解銅箔を製造する場合、銅メッキ浴中には、ゼラチン、膠などの有機化合物は配合しない。ゼラチン、膠のような有機化合物(たんぱく質)を配合すると、形成する銅結晶が粒状結晶になりやすく、本発明で使用するような粒径3μm以上の柱状結晶は極めて形成されにくくなる。このようにゼラチン、膠などの有機化合物と塩素との併用系では得られる電解銅箔中に小さい粒子径の粒状結晶銅が多くなるため、配線パターンの表面に形成されたスズメッキ層への銅の拡散速度が速くなる。
このようにして特定の高塩素含量を有し粒径が大きい柱状結晶銅を用いて形成された配線パターンの表面に粒径の大きなスズからなるメッキ層を形成することにより、スズメッキ層への銅の拡散速度が非常に遅くなる。
一般に金属スズは正方晶系の結晶構造を有し、a=b=5.831Å、c=3.182Å、α=β=
γ=90の結晶構造を採ることが知られており、スズに銅が拡散した金属間化合物(代表的金属間化合物はCu6Sn5である)は、通常はa=11.033Å、b=7.294Å、c=9.83Å、α=γ=90、β=98.82の単斜晶系の結晶構造を採る。このことからスズと金属間化合物(Cu6Sn5)とは格子定数が大きく異なることが判る。このためCu原子がスズメッキ層に拡散し
て金属間化合物(Cu6Sn5)が形成されると、拡散層が形成されることによる体積膨張が起こり、スズメッキ層に圧縮応力が発生し、この圧縮応力が、スズウイスカーを発生させる駆動力になると考えられる。
本発明の配線基板では、配線パターンを形成する銅中における塩素濃度を特定の範囲にすると共にその析出状態を制御して粒径の大きな柱状結晶銅を形成し、その上に形成されるスズメッキ層の粒子径を大きくすることにより、スズメッキ層への銅原子の拡散速度を遅延させることができる。このように銅原子の拡散速度を遅延させることにより、金属間化合物の生成によって生ずる圧縮応力を小さくしてスズウイスカーの発生駆動力になりにくくする。このように銅粒子の粒子径を大きくすることによって、ウイスカーの発生を抑制することができる。
本発明の配線基板によれば、配線の表面にあるスズを含有する金属メッキ層の表面からのスズウイスカーの発生が抑制される。すなわち、本発明の絶縁基板上に形成された配線を形成する銅の結晶粒子は、特定量の塩素を含有すると共に、従来の配線基板を形成していた銅の結晶粒子よりも著しく大きい柱状粒子とすることにより、この配線の表面に形成されたスズメッキ層のスズの析出結晶も大きくなり、このように銅の結晶粒子およびスズの析出結晶が大きくなることによってスズメッキ層への銅の拡散速度が著しく低下する。即ち、このように銅の結晶粒子径を大きくしてスズメッキ層への銅の拡散速度を低減することによって、銅がスズメッキ層中に拡散することによる、スズメッキ層中に発生する圧縮応力を低減することができる。前述のようにこの圧縮応力はスズウイスカーを生成するための駆動力であり、上記のようにしてスズメッキ層中における圧縮応力を低減させることは、スズウイスカーを生じさせる駆動力を低減することになる。従って、本発明の配線基板ではスズウイスカーの生成を抑制することができる。このようなスズメッキ層中にウイスカー発生の駆動力となる圧縮応力が蓄積されないことは、銅とスズメッキ層との界面、あるいは、スズ中に銅が拡散した拡散領域とスズメッキ層との界面に、ボイドが実質的に形成されないことから明らかである。
次に本発明の配線基板について具体的に説明する。
本発明の配線基板は、絶縁基板の少なくとも一方の表面に、銅箔を選択的にエッチングした配線パターンが形成され、この配線パターンの少なくとも一部がスズを含有する金属メッキ層で被覆されている配線基板である。
本発明の配線基板を構成する配線パターンは、銅箔を選択的にエッチングすることにより形成することができる。
本発明で使用する銅箔としては電解銅箔を使用する。本発明で使用する電解銅箔は、特定量の塩素濃度を有すると共に、大部分が柱状結晶銅から形成されている。
本発明の配線基板において、配線パターンを形成する銅中には、5〜50ppm、好まし
くは5〜40ppmの範囲内の塩素が含有されている。本発明の配線基板に形成されている
配線パターンの銅中に上記のような量の塩素を含有することにより、粒径が3μm以上、好ましくは3〜10μmの範囲内にある柱状結晶の銅を安定的に析出させることができる。しかも、このように粒径の大きな柱状結晶銅を安定して析出させるためには、形成された銅中にゼラチンあるいは膠などのようなたんぱく質、即ち有機化合物に由来する炭素原子が含有されない。
本発明で使用する電解銅箔は、銅イオン濃度が、通常は30〜150g/リットル、好ましくは40〜130g/リットルの範囲内にある銅メッキ液を用いて形成することができる。このような銅メッキ液には通常はフリー硫酸イオンが含有されており、本発明ではフリー硫酸イオン(SO4 2-)濃度が、通常は75〜250g/リットル、好ましくは8
0〜220g/リットルの銅メッキ液を使用する。さらに、本発明で使用される銅メッキ液には塩素イオン(Cl-)が含有されており、このCl-イオン濃度は、通常は50〜80mg/リットル、好ましくは50〜70mg/リットルの範囲内にあり、一般に使用される銅メッキ液中におけるよりも高い値を示す。このような塩素イオンは、銅メッキ液に塩酸を添加することにより導入することができる。
本発明で使用する銅メッキ液には、上記のような比較的高濃度の塩素イオンを含有するが、ゼラチン、膠などのたんぱく質からなる有機化合物は含有されていない。このようなたんぱく質などの有機化合物を配合すると製造される銅が柱状結晶になりにくくなり、通常は粒状結晶が多くなり、その粒径も3μmに至らないものが多くなる。
上記のような塩素イオン濃度の高い銅メッキ液を用いて、本発明の配線基板におけるような配線パターンを形成可能な電解銅箔を得るためには、銅の析出条件が重要であり、通常は温度を20〜60℃に保持して、電流密度を通常は3〜7A/dm2、(300〜700A/m2)の範囲内に設定して、比較的低電流密度、かつ温和な条件で銅を析出する。上
記のような銅メッキ液からこのような条件で銅を析出させることにより、塩素含量が高く、主として粒径3μm以上の柱状結晶からなる電解銅箔を得ることができる。
なお、本発明で使用する電解銅箔を製造する銅メッキ液には、上記成分のほかに他の成分を特に必要とするものではないが、上記のような基本的組成を有する銅メッキ液には、上記銅イオンおよび硫酸イオンのほかに、本発明の目的を損なわない範囲内で、キレート剤、界面活性剤などが配合されていてもよい。
本発明の配線基板を構成する配線パターンは、上述のように塩素濃度が5〜50ppm、
好ましくは5〜40ppmと高く、主として粒径3μm以上、好ましくは主として3〜10
μmの柱状結晶を有する銅から形成されている。
このような粒子径の大きい柱状結晶を有する銅箔を製造するためには、上記のような濃度の銅イオンおよび硫酸イオンを含有する銅メッキ液中における塩素イオンの作用が重要
である。一般に電解銅箔を製造する場合、得られた電解銅箔の表面状態あるいは抗張力などを調整するために、少量の膠、ゼラチンなどのタンパク質、および、塩素イオンなどを添加することが既に知られており、例えばゼラチンを用いる場合には、ゼラチンの配合量は通常は0.1〜20ppm/リットル程度に調整される。また、例えば、塩素イオンを含
有させる場合のメッキ液中における塩素イオン(Cl-)の濃度は、通常は10〜40ppm
程度に調整される。例えば、ゼラチンを配合した銅メッキ液を用いて電解銅箔を製造すると、得られる電解銅箔の表面の粗面化を抑制することができる。ところがゼラチンだけでは上記のような電解銅箔の粗面化抑制効果は小さく、ゼラチンの有する粗面化抑制効果を引き出すためには塩化物イオンの存在が必要であるとされていた(例えば、特開2002-322586号公報段落[0022]参照)。そして、このようにゼラチンなどを添加して調整され
た電解銅箔は、表面粗度が低く、配線基板の製造に適しており、フォトリソグラフィー法により選択的なエッチングによって配線パターンを製造する際の電解銅箔として広汎に使用されている。
しかしながら、上記のようにして製造された低表面粗度の電解銅箔は、表面の粗度を低く抑えるために個々の銅粒子の粒子径を小さくする必要があり、例えば50ppmのゼラチ
ンを単独で配合して製造される電解銅箔には粒径が約0.3μm程度の粒状結晶が生成する。このような銅の微細な粒状結晶からなる電解銅箔を用いて形成された配線パターンの表面にスズメッキ層を形成すると、銅箔中の銅粒子が微細であることから、スズメッキ層へ銅原子が高速で拡散して急速に銅とスズとの金属間化合物が形成され、さらにこうした銅原子のスズメッキ層への高速拡散に伴って、銅層とスズメッキ層との境界部分にカーケンドール効果によると思われるボイドが多数形成される。このような銅原子の拡散による金属間化合物の生成により、スズメッキ層における圧縮応力は高くなり、この圧縮応力を駆動力として多数のスズウイスカーが発生し、しかも時間の経過とともに、その発生本数も急激に増加する。
本発明で使用する主として粒径3μm以上の柱状結晶、好ましくは主として3〜10μmの柱状結晶を有する銅箔は、上記のような配線基板を製造する一般液な銅箔とは異なり、膠、ゼラチンのようなタンパク質を使用せずに、塩素イオンの濃度を通常は50〜80mg/リットル、好ましくは50〜70mg/リットル程度の高い濃度に維持し、銅の析出の際の電流密度を通常は1〜30A/dm2、好ましくは1〜15A/dm2の範囲内に設定して比較的低電流密度で銅を析出されることにより製造することができる。
銅メッキ液中における上記のような塩素イオン濃度は、一般的なメッキ液における塩素イオン濃度と比較すると非常に高い値であり、このように銅メッキ液を用いて温和な条件でゆっくり銅を析出させることにより、銅中に含有される塩素濃度を上述のように5〜50ppmの範囲内に維持することができる。しかもこのような塩素濃度を有する析出銅の結
晶形状は柱状結晶になり、その粒子径は、3μm以上である粒子が大部分であり、さらに好ましくは粒子径が3μm〜10μmの柱状結晶の銅粒子が大部分を占めるようになる。ここで「大部分を占める」あるいは「主として形成されている」とは、配線を形成する銅箔のうち、少なくとも50容積%、好ましくは少なくとも80容積%を粒子径3μm以上、好ましくは3〜10μmの柱状結晶銅が占めていることを意味する。
このような本発明で好適に使用される高塩素含量の析出銅の結晶形状は柱状結晶になり、しかもその粒子径は、3μm以上である粒子が大部分であり、さらに好ましくは粒子径が3μm〜10μmの柱状結晶の銅粒子が大部分を占める電解銅箔の断面の電子顕微鏡写真(FIB-SIM像)を図1に示す。また、比較例としてゼラチンを用いることにより形成さ
れた粒径約30μmの粒状結晶が形成された電解銅箔の断面の電子顕微鏡写真(FIB-SIM
像)を図2に示す。
本発明で好適に使用することができる電解銅箔は、上記のような結晶構造の粒子の大きい銅が析出するのであれば、製造方法および条件が特に制限されるべきものではないが、一例として、陽極に銅板、陰極にチタン電極を用いて、銅メッキ液を攪拌下に、チタン電極上に銅を析出させる。このときの銅メッキ液温は、上述ように通常は20〜60℃の範囲内の温度で、定電流電解により、電流密度1〜30A/dm2、好ましくは1〜15A/dm2の範囲内の電流値で比較的温和な条件で銅を析出させ、銅メッキ液中に含有される塩素イオンも銅の析出に伴って析出銅中に導入する。
このような範囲内の塩素は、銅の結晶が成長する際には結晶構造を決定し、結晶粒径の大きく形成するのに寄与していると考えられる。しかしながら、このような極微量の塩素は、配線を形成する金属(銅、スズ)などに対しても悪影響を及ぼすことはなく、さらに環境上も問題にはならない。
なお、本発明の配線基板に形成された配線パターンには、ゼラチンあるいは膠のような銅箔を形成する際に通常用いられるたんぱく質に由来する炭素原子あるいは窒素原子は含有されていない。
本発明の配線基板には、上記のような銅箔、好適には電解銅箔を用いて配線パターンを形成するが、この配線パターンが形成される絶縁基板としては、ポリイミドを用いるのが一般的である。
なお、本発明の配線基板は、フレキシブルプリント配線基板として使用することが有利であるが、また硬質の絶縁基板を用いることによりリジッドな配線基板として使用することもできる。
本発明の配線基板において、上記のような電解銅箔と絶縁基板とを積層する場合には、接着剤を介して電解銅箔と絶縁基板とを貼着することもできるし、あるいは介することなく貼着することもできる。
上記のようにして絶縁基板と電解銅箔とからなる基材フィルムを形成した後、フォトリソグラフィー法を利用したエッチング法により電解銅箔を選択的にエッチングして所望の形状の配線パターンを形成することができる。
なお、本発明で使用する絶縁基板には、必要により電子部品を実装するためのデバイスホール、配線基板の位置決めを行う位置決め穴、配線基板を搬送するためのスプロケットホール、配線基板の厚さ方向の導電性を確立するためのスルーホール、この配線基板を折り曲げて使用する場合の折り曲げスリットなどが穿設されていてもよい。
上記のようにして絶縁基材の表面に配置された銅箔の表面に感光性樹脂を塗布し、こうして形成された感光性樹脂層を、所望のパターンに露光・現像して感光性樹脂からなるパターンを形成し、このパターンをマスキング材として銅箔を選択的にエッチングすることにより、銅箔からなる配線パターンを形成することができる。
このようにして銅箔を選択的にエッチングして形成された配線パターンには、通常は、端子部分が露出するようにソルダーレジストを塗布して、ソルダーレジスト層を形成する。また、ソルダーレジストを塗布する代わりに、ソルダーレジストを塗布する部分の形状に接着剤付のフィルム(カバーレイ)を切り出して貼着してもよい。
上記のようにしてソルダーレジスト層を形成するか、カバーレイを貼着した後、ソルダーレジスト層あるいはカバーレイから露出した銅配線の表面にスズメッキ層を形成する。
スズメッキ層は、電解メッキ法あるいは無電解めっき法のいずれの方法で形成することもできるが、本発明では、無電解メッキ法により形成することが好ましい。
こうして形成されるスズメッキ層の厚さは、通常は0.02〜1.5μm、好ましくは0.2〜0.6μmである。
このようにしてスズメッキ層を形成すると、形成されるスズメッキ層におけるスズ粒子の粒子径は、スズメッキ層が形成される配線を構成する銅粒子の大きさによって変化することがわかった。本発明の配線基板に形成されている配線パターンは、上述のようにその粒子径が、3μm以上である柱状結晶の銅粒子が大部分であり、さらに好ましくは粒子径が3μm〜10μmの柱状結晶の銅粒子が大部分を占める。このような粒子径の大きい柱状結晶の銅が大部分を占める配線表面に、例えば上記のようにして無電解スズメッキ層を形成すると、スズメッキ層中におけるスズ粒子の結晶粒径は、主として0.7μm以上の結晶粒径、好ましくは1〜3μmの粒子径を有するようになり、スズメッキ層を形成するスズ粒子の粒子径が大きくなる。
図3に、大部分が3μm以上の銅の柱状結晶からなる配線の表面に、上記のようにして無電解スズめっき法により形成されたスズメッキ層との境界部分の断面の電子顕微鏡写真を示す。図3は、無電解スズメッキ層形成後30日の境界部分の暗視野、明視野における顕微鏡写真である。
比較のために、図4に、銅箔を製造する際にゼラチンを用いることにより製造された、大部分が0.3μm近傍の粒状結晶の銅からなる銅箔を用いて形成された配線の表面に、上記と同様にして無電解スズメッキ法によりスズメッキ層を形成し、この境界部分の断面の電子顕微鏡写真を示す。図4は、無電解スズメッキ層形成後30日の境界部分の暗視野、明視野における顕微鏡写真である。
上記の図3と図4とを対比すると明らかなように、下地となる配線を形成する銅の粒子径が大きく、しかもはっきりした柱状結晶であると、その上に形成されるスズメッキ層中のスズの粒子径も大きくなり、上記のような実測の結果、本発明の配線基板に形成される無電解スズメッキ層におけるスズの粒子径は主として0.7μm以上の結晶粒径、好ましくは1〜3μmの粒子径を有するようになる。他方、図4に示すように配線を形成する銅の粒子径が小さいと、その表面に形成される無電解スズメッキ層におけるスズの平均粒子径は0.7μmに達することはない。
さらに、図3および図4に示すように、配線を形成する銅とその表面を被覆する無電解スズメッキ層との界面には、銅が金属メッキ層(スズメッキ層)中に拡散した領域が形成され、この拡散領域は金属間化合物からなる粒子から形成される。図3に示す金属間化合物は、ほとんどがCu6Sn5を主成分とする粒状物であり、電解銅箔側(下側)から無電解スズメッキ層に向かって暫時銅濃度が連続的に低下するような濃度勾配を形成している。この金属間化合物の粒子径は初期の段階ではおよそ0.1μm±0.5μm程度であるのに対して、ゼラチンを加えて粒子径を小さくした粒状結晶の銅から形成される配線に形成される金属間化合物の粒子径はおよそ0.03μm±0.02μm程度であり、初期の段階ではこの金属間化合物の粒子径は、配線を形成する銅の粒子径が大きいほど大きくなる傾向がある。しかしながら、この金属間化合物は経時変化しており、30日経過後では、金属間化合物の粒子径は、図3では0.18μm±0.05μm程度の変化で留まるのに対して、図4に示すように銅の粒子が小さい場合には、30日経過後の金属間化合物の粒子径は、0.56μmにも達する。
このように配線を構成する銅粒子が、粒子径が大きい柱状結晶である本発明の配線基板においては、配線を構成する銅から無電解スズメッキ層への銅の拡散速度が遅く、従って
、金属間化合物の経時的形成速度も遅くなる。
上記のような金属間化合物は、スズ中に銅イオンが拡散することにより形成される化合物であり、銅とスズとの割合は一様ではないが、主成分はCu6Sn5であるとされており、この他にCu3Snなどの中間成分も含有される。スズに対する銅の拡散速度は、銅に対するス
ズの拡散速度よりも速いために、スズに銅が拡散したCu6Sn5が主成分となって拡散領域は銅からなる配線の表面から無電解スズメッキ層の表面方向に向かって拡散領域を形成する。この拡散領域における銅の拡散は一様ではなく、通常の場合、銅からなる配線の表面から無電解スズメッキ層の表面方向に向かって次第に銅の濃度が低下する銅の濃度勾配が形成される。
本発明の配線基板では、配線を構成する銅が柱状結晶で粒子径が大きくさらにその表面にあるスズの結晶も大きいので、スズメッキ層への銅の拡散速度が遅くなり、金属間化合物の集合である拡散領域の形成厚さを薄くすることができる。スズメッキ層への銅イオンの拡散速度が速いと上述のようにスズメッキ層に圧縮応力が発生し、この圧縮応力が無電解スズメッキ層の表面にスズウイスカーを発生させる駆動力となっていると考えられる。
スズメッキ層への銅イオンの拡散速度が速いと、配線パターンを形成する銅箔の表面と、該配線パターンを被覆する金属メッキ層との間、または、配線パターンを形成する銅箔の表面とこの拡散領域との間に銅の拡散に伴うカーケンドール効果によると思われるボイドが発生する。
図4には、銅の拡散に伴うカーケンドール効果によると思われる多数の微細ボイドが形成された境界部分の電子顕微鏡写真が示されており、このような微細ボイドは、銅イオンがスズメッキ層に急速に拡散することよって生ずる。
他方、本発明の配線基板では、配線を構成する銅の粒子径が大きく、しかも柱状結晶であるので、スズメッキ層中への銅イオンの拡散が非常に穏やかに行われることから、図3に示すように、上記のような銅の拡散に伴うカーケンドール効果によると思われるボイドはほとんど発生しない。さらに、本発明によればスズメッキ層への銅イオンの拡散が遅いことから、銅が拡散しながらもスズメッキ層内における圧縮応力の緩和も同時に起こることから、スズメッキ層中にスズウイスカー生成の駆動力となるような圧縮応力は蓄積されにくくなる。
従って、本発明の配線基板は、スズメッキ層の形成時におけるスズウイスカーの生成度合いは、従来のものとそれほど変わりないが、時間が経過するにつれて、本発明固有の構成により銅イオンのスズメッキ層中への拡散速度が遅くなるので、発生するウイスカーの発生本数は著しくは増加しないという特異的な傾向を示す。
図5は、上述のようにしてゼラチンを用いて製造した粒子径の小さい粒状粒子からなる銅箔から製造されたプリント配線基板における室温での経時的なウイスカーの発生本数を光学顕微鏡を用いて測定した例でありこのウイスカーの発生本数は白三角で示されており、本発明の要件を満たす配線基板に発生したウイスカーの本数は、塗つぶし四角で表されている。
図5から明らかなように、無電解スズメッキ層を形成後0日〜10日程度では、本発明の配線基板と、比較例の配線基板とでは発生するウイスカーの本数に大きな差は見られないのが一般的である。しかしながら、この間にも比較例1の配線基板では、無電解スズメッキ層中に銅イオンが急速に拡散するのに対して、本発明の実施例1で製造された配線基板では配線を構成する銅の粒子径が大きくしかも柱状結晶を有していることから、無電解
スズメッキ層への銅イオンの拡散が遅いために、無電解スズメッキ層における銅イオンの拡散が銅と、無電解スズメッキ層境界部近傍に留まり、無電解スズメッキ層の表面近傍にまでは拡散の先端部が到達していない。このため無電解スズメッキ層には、銅イオンの拡散による圧縮応力の蓄積が非常にわずかであり、無電解スズメッキ層形成後10日を超えた時点からのスズウイスカーの発生個数に顕著な差が見られる。
すなわち、配線を形成する銅の結晶粒子径が小さい場合、スズメッキ層への銅の拡散に伴って時間の経過とともに発生するスズウイスカーの本数は多くなり、無電解スズメッキ層を形成後10日付近からスズウイスカーの本数は急激に増加に転ずるが、本発明の配線基板のように配線を形成する銅を粒子径の大きな柱状結晶とすることにより、経時的なスズウイスカーの発生量の増加が少なくなる。例えば、図5に示すように、本発明の配線基板における30日経過後のスズウイスカーの発生本数は通常は200本/cm2以下であり
、これは従来の配線基板におけるスズウイスカーの発生本数の1/3以下である。
さらに、上記のように銅の拡散が穏やかなので、銅の急速な拡散によるカーケンドール効果によると思われるボイドが銅とスズとの境界部に実質的に形成されず、無電解スズメッキ層中(あるいは境界部分)に、銅の急速な拡散による応力の集中がない。
なお、上記の説明は、配線を構成する銅の粒子径および結晶構造と、その上に形成される無電解スズメッキ層の境界部におけるスズメッキ層が発生する状況を説明するために、無電解スズメッキ層で被覆された配線に熱処理などの銅イオンを拡散を即する操作については積極的に記載していないが、銅イオンを拡散するために加熱処理などを行ったとしても、銅の表面に拡散領域を介して無電解スズメッキ層が形成されるのであって、これらの境界近傍における銅、無電解スズメッキ層、銅イオンの拡散領域、ボイドの形成などに関しては基本的に上記の説明と同様である。なお、ここで銅イオンの拡散領域は、無電解スズメッキ層に銅イオンが拡散したものであり、この拡散領域は主にCu6Sn5およびCu3Snで
形成されている。ただし、本発明の配線基板においては、この銅の拡散領域が無電解スズメッキ層の表面にまで到達していることは極めて希である。従って、本発明の配線基板を構成する無電解スズメッキ層の表面には純スズメッキ層が残存しているのが一般的である。
従って、この残存している純スズメッキ層は、電子部品、たとえばICチップの電極との接合に好適に作用する。
なお、他の態様として、純スズメッキに代えてSn-Ag,Sn-Bi、Sn-Cuなど
のSnを含有する金属メッキを行っても、上記と同じ効果が得られる。
〔実施例〕
次に本発明の配線基板について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
純水に硫酸銅(CuSO4・5H2O)を240g/リットルおよびH2SO4を100g/
リットルの量で配合してCu2+イオン濃度が60g/リットル、フリーSO4 2-イオン濃度が
197g/リットルである銅メッキ液を調製した。本発明では、この銅メッキ液を基準銅メッキ液とする。この基準銅メッキ液は塩素イオンおよび有機物質は含有していない。
この基準銅メッキ液にCl-イオンの量が50mg/リットルになるように塩酸を添加し
てこの実施例1で使用する銅メッキ液(1)を調製した。なおこの銅メッキ液(1)には、膠、ゼラチンなどの有機化合物は含有されていない。
陽極に銅板、陰極にチタン板を用いて、銅メッキ液(1)の温度を40℃に調製して、
定電流電解により電流密度500A/m2(5A/dm2)の条件で、銅メッキ液(1)を攪拌しながら、チタン板面に銅を析出させることにより平均厚さ25μmの電解銅箔を製造した。
得られた電解銅箔について、塩素の精密分析を行ったところ、この電解銅箔における塩素の含有率は10ppmであった。
得られた銅箔は、大部分が、粒子径が5μmの柱状結晶であった。
上記のようにして製造した電解銅箔(厚さ;25μm)の銅の析出終了面に、ジメチルピロリドンに溶解もしくは分散させたポリアミック酸を塗布し、400℃に加熱してポリイミドフィルム(厚さ;40μm)/電解銅箔の積層体を得た。
こうして得られた積層体の電解銅箔表面に感光性樹脂を塗布して感光性樹脂層を形成し、次いで、この感光性樹脂層を露光・現像することにより、感光性樹脂の硬化物からなるマスキング材を形成した。
こうして形成されたマスキング材を用いて電解銅箔を選択的にエッチングした。
マスキング材をアルカリ洗浄除去した後、端子部分が露出するようにソルダーレジスト層を形成した。
次いで、露出した端子部分に市販の無電解スズメッキ液を用いて厚さ0.5μmのスズメッキ層を形成して配線基板を製造した。
このようにして製造された配線基板の端子部分の断面を図3に示す。図3はスズメッキ層を形成後室温で30日経過後の同様の断面である。初期の段階で既に金属間化合物(主成分Cu6Sn5)の粒径は室温で30日間で粒子径0.180μmに成長していた。
しかしながら、配線を形成する銅をスズメッキ層との境界部にはカーケンドール効果によると思われるボイドは観察されなかった。
こうして得られた配線基板からのスズウイスカーの発生本数を図5に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、配合する濃塩酸の量を変えて塩素含有率が37ppmの電解銅箔を調
製した。この電解銅箔を用いた以外は同様にして配線パターンを形成し、この配線パターンの表面に厚さ0.5μmの無電解スズメッキ層を形成した。この配線基板について実施例1と同様にウイスカーの発生本数を測定したところ、実施例1で製造した配線基板におけるウイスカーの発生本数と略同一であった。
〔比較例1〕
実施例1において、電解銅箔を形成する際に使用した銅メッキ液(1)の代わりに、塩酸を配合せずに、代わりに50mg/リットルの量のゼラチンを添加した以外は同様にして調製した銅メッキ液(2)を用意し、この銅メッキ液(2)を用いた以外は、同様に操作して配線基板を製造した。なおこの銅メッキ液(2)は、塩素イオンを含有していない。
得られた配線基板の端子部分の断面を図4に示す。初期の段階で既に金属間化合物が形成されており、その主成分はCu6Sn5であり、粒子径は0.03μmである。このようにスズメッキ層形成直後における金属間化合物の粒子径は小さいが、配線を形成する銅の粒子径が小さく、しかも粒状結晶であるために銅のスズメッキ層への拡散速度が速く、室温で30日経過後の金属間化合物の粒子径は0.560μmに成長する。
このような金属間化合物の生成に伴って、銅とスズメッキ層との境界部分には、カーケンドール効果によると思われるボイドが多数発生し、ウイスカーも光学顕微鏡で多数観察される。
こうして得られた配線基板からのスズウイスカーの発生本数を図5に示す。
銅からなる端子の表面をスズメッキ層により被覆すると、スズメッキ層へ銅イオンが拡散し、拡散によりスズメッキ層に圧縮応力が発生する。スズメッキ層の表面に生ずるスズウイスカーの形成には、銅の拡散によりスズメッキ層に生じた圧縮応力が駆動力となっていると考えられ、上記比較例1のように、スズメッキ層に銅が供給されやすい形態で配線を形成していると、スズメッキ層に次々に銅が供給され、スズメッキ層内にスズウイスカーの駆動力となる圧縮応力が蓄積され、さらに、カーケンドール効果によると思われるボイドが多数発生する。
図5に示されるように、スズメッキ層を形成後、初期の段階では、銅の粒子径の大きさおよび結晶構造は、ウイスカーの発生にそれほど大きな影響は認められないが、スズメッキ層に拡散する銅の量が多くなるに従って、具体的にはスズメッキ層を形成してから10日目くらいを境にして、発生するスズウイスカーの本数に差が生じ始め、20日、30日と時間の経過とともに発生ウイスカーの生成本数に大きな差が見られるようになる。
銅の表面にスズメッキ層を形成するとスズメッキ層に銅イオンが拡散し、この拡散に伴って発生する応力によってスズウイスカーが生成するという現象を根絶することは現時点では極めて難しい。しかしながら、上記詳述のように、ウイスカー生成には、スズメッキ層への銅イオンの拡散速度が多大な影響を及ぼしていることが明らである。そこで、本発明ではこの銅イオンの拡散速度を、配線パターンを形成する銅の粒子径およびその結晶形状を限定することにより、スズウイスカーの発生本数の低減を図ることができる。
〔比較例2〕
実施例1において、硫酸および硫酸銅5水物を、Cu2+濃度が80g/リットル、フリーSO4 2-濃度150g/リットル、塩素イオン濃度が1.5mg/リットル、ゼラチンが3.6mg/リットルになるように調製した銅メッキ液を用いた以外は実施例1と同様にして電解銅箔を形成し、この電解銅箔を用いた以外は同様にして配線基板を製造した。
得られた配線基板について調べた結果、配線パターンを形成する銅中の塩素濃度は40ppmであったが、この銅には塩素およびゼラチンに起因する炭素原子の存在が確認された
。このため銅が柱状結晶ではなく粒状の結晶形を有しており、しかもその結晶粒径が小さく、無電解スズメッキ層に対する銅の拡散が著しく速く、銅と無電解スズメッキ層との界面に多数のボイドが観察された。
本発明の配線基板は、絶縁基板上に形成される配線パターンを構成する配線が、主として粒径が3.0μmの柱状結晶からなる形成されており、通常の配線基板に形成された配線を構成する銅粒子の粒子径よりも格段に大きい。このような粒径の大きい柱状結晶から形成された配線の表面に無電解スズメッキ層を形成すると、この無電解スズメッキ層を形成するスズ粒子の粒子径も大きくなる。このような粒子構成を有する銅配線および無電解スズメッキ層からなる配線においては、無電解スズメッキ層における銅の拡散速度が著しく低下し、境界部分に銅イオンの拡散によるカーケンドール効果によると思われるボイドの発生がほとんどなく、無電解スズメッキ層中に銅イオンが拡散することにより生ずる圧縮応力が無電解スズメッキ層中に蓄積されにくい。スズウイスカーの発生駆動力は、スズメッキ層中における上記圧縮応力であり、本発明の配線基板においては、銅の拡散が遅いために、拡散による無電解スズメッキ層における圧縮応力の蓄積が少なく、スズウイスカーが発生しにくくなる。
従って、本発明は、微細・細線化している配線基板の製造に際して端子のピッチ、端子間の距離が狭小化しつつある配線パターンにおいて、ウイスカーを発生しにくくして短絡
を防止するための手段として有用性が高い。
本発明で好適に使用される析出銅の結晶形状は柱状結晶になり、粒子径は、3μm以上である粒子が大部分である電解銅箔の断面の電子顕微鏡写真(FIB-SIM像)である。 図2はゼラチンを用いていることにより形成された粒径約0.3μmの粒状結晶が形成された電解銅箔の電子顕微鏡写真(FIB-SIM像)である。 図3は、大部分が3μm以上の銅の柱状結晶からなる配線の表面に、上記のようにして無電解スズめっき法により形成されたスズメッキ層との境界部分の電子顕微鏡写真で(STEM像)ある。 図4は、銅箔を製造する際にゼラチンを用いて、大部分が0.3μm近傍の粒状結晶の銅からなる銅箔を用いて形成された配線の表面に、上記と同様にして無電解スズメッキ法により形成されたスズメッキ層との境界部分の電子顕微鏡写真(STEM像)である。 図5は、上述のようにしてゼラチンを用いて製造した粒子径の小さい粒状粒子からなる銅箔から製造されたプリント配線基板における経時的なウイスカーの発生本数を示すグラフの例および本発明の粒子の大きい柱状結晶からなる配線基板における経時的なウイスカーの発生本数を示すグラフの例である。

Claims (7)

  1. 絶縁基板の少なくとも一方の表面に、銅箔を選択的にエッチングした配線パターンが形成されており、該配線パターンの少なくとも一部がスズを含有する金属メッキ層で被覆されている配線基板において、
    該配線パターンが、主として粒径3μm以上の柱状結晶銅から形成されており、該柱状結晶銅の塩素濃度が5〜50ppmの範囲内にあり、該配線パターンを被覆する金属メッキ
    層が、スズを含有する主として0.7μm以上の結晶粒径の金属から形成されており、かつ該配線パターンに、有機化合物に由来する炭素原子が実質的に含有されていないことを特徴とする配線基板。
  2. 上記金属メッキ層が、平均厚さ0.02〜1.5μmの無電解スズメッキ層であることを特徴とする請求項第1項記載の配線基板。
  3. 上記配線パターンを形成する銅の表面から金属メッキ層の表面に向かって銅の拡散領域が形成されており、該拡散領域における銅濃度が、銅からなる配線の表面から金属メッキ層の表面方向に向かって連続的に漸次低下する濃度勾配を有することを特徴とする請求項第1項記載の配線基板。
  4. 上記配線パターン銅と金属メッキ層との間に形成されている拡散領域中にCu6Sn5およびCu3Snを主成分とする金属間化合物が含有されていることを特徴とする請求項第1項または第4項記載の配線基板。
  5. 上記拡散領域が、金属メッキ層に銅が拡散することによって形成されてなることを特徴とする請求項第4項記載の配線基板。
  6. 上記銅箔から形成された配線パターンを構成する配線の表面の金属メッキ層が、銅箔中の銅が金属メッキ層中に拡散している拡散領域を介して配線の表面に形成されており、該配線の銅箔と拡散領域の境界部分に、ボイドが実質的に形成されていないことを特徴とする請求項第1項記載の配線基板。
  7. 上記配線基板の配線基板に形成されたスズを主成分とする金属メッキ層で被覆された配線パターンについて、30日後に測定した生成ウイスカー本数が200本/cm2以下であ
    ることを特徴とする請求項第1項記載の配線基板。
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