JP4409872B2 - 高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電線、リード線等の導電体やラジエータ、コンデンサ、エバポレータ等の熱交換器に使用される高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、送電線、リード線などを構成するアルミニウム合金などの導電材料や熱交換器に使用される材料は、高い電気伝導率や高い熱伝導率が要求されている。また、最近、地球環境保護などの観点から、送電線、リード線、熱交換器などは、軽量化および小型化が要求される方向にあり、送電線、リード線の微細化、熱交換器に使用される材料の薄肉化が推進される一方で、高強度も強く要求されている。
【0003】
従来、高強度、高電気伝導度アルミニウム合金として、Al−Mn合金、Al−Mn−Si合金が用いられている。しかし、このような合金では、Mnの固溶度が高くなると電気伝導率が著しく低下するとともに、熱伝導性が悪化する。また、Mnを含まないAl−Fe合金やAl−Fe−Ni合金が提案されているが、強度不足のため、十分に薄肉化できないことがあった。
【0004】
そこで、Al−Fe−Ni−Cu−Zr合金のFe、Ni、Cu、Zrの含有量を制限し、アルミニウム合金中の第2相粒子の密度を5×106個/mm2に規定することにより、高強度および高熱伝導率を図ったアルミニウム合金が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−288522号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Al−Fe−Ni−Cu−Zr合金のFe、Ni、Cu、Zrの含有量を制限し、アルミニウム合金中の第2相粒子の密度を5×106個/mm2に規定する合金法で製造されたアルミニウム合金においては、例えば、電気伝導率52%IACSで、引張強度が133MPa程度であった。この結果から従来のアルミニウム合金では、強度が低く、要求される強度を得るためには、所定の肉厚が必要になり、十分な薄肉化を図ることは困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高強度および高電気伝導率を兼備した高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料およびその製造方法を提供すること目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料は、Feを0.01〜0.5重量%およびSiを0.01〜0.5重量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物のアルミニウム合金マトリックス中に、直径が1nm〜100nmで、アスペクト比が10〜100の単層または多層の構成を有するカーボンナノチューブが0.1〜10体積%含有されていることを特徴とする。
【0009】
カーボンナノチューブの直径Dは、カーボンナノチューブの外径を意味する。また、アスペクト比は、カーボンナノチューブの軸方向の長さLをカーボンナノチューブの直径Dで除したもの(L/D)である。なお、ここで用いるアスペクト比の範囲は、アスペクト比の平均値がその範囲にあることを示している。
【0010】
また、アルミニウム合金マトリックスは、Feを0.5重量%以下およびSiを0.5重量%以下含有し、残部がAlおよび不可避的不純物で構成することで、鉄(Fe)、珪素(Si)およびその他の不純物の含有量が極力制限されているので、電気伝導率の低下を回避することができる。
【0011】
さらに、カーボンナノチューブの表面は、金属材料またはセラミックス材料で被覆されていることを特徴とする。
【0012】
カーボンナノチューブの表面を被覆する被覆材料の物理的特性は、導電性または半導電性であり、アルミニウム合金と界面反応を生じるものであることが好ましい。また、被覆材料として絶縁材料も使用することができる。
【0013】
被覆材料は、カーボンナノチューブの表面に、化学的方法または物理的方法によって、被覆または結合される。化学的方法としては、例えば、化学的気相成長(CVD)などが、物理的方法としては、例えば、スパッタリング法、熱蒸発法などが利用される。
【0014】
本発明の高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料の製造方法は、アルミニウム合金マトリックスとなる、Feを0.01〜0.5重量%およびSiを0.01〜0.5重量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物のアルミニウム合金粉末と、直径が1nm〜100nmで、アスペクト比が10〜100の単層または多層の構成を有するカーボンナノチューブとを、前記カーボンナノチューブの含有率が0.1〜10体積%となるように配合し、均一に混合する混合工程と、前記アルミニウム合金粉末とカーボンナノチューブとの混合物を加圧後加熱して、または同時に加圧および加熱して複合化する複合化工程とを具備することを特徴とする。このように、高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料は、粉末冶金的方法によって製造することができる。
【0015】
また、本発明の高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料の製造方法は、直径が1nm〜100nmで、アスペクト比が10〜100の単層または多層の構成を有するカーボンナノチューブの表面を金属またはセラミックスで被覆する被覆工程と、アルミニウム合金マトリックスとなる、Feを0.01〜0.5重量%およびSiを0.01〜0.5重量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物のアルミニウム合金粉末を加熱して半溶融状態にする半溶融工程と、前記半溶融状態のアルミニウム合金を連続的に攪拌しながら、前記被覆されたカーボンナノチューブを、該カーボンナノチューブの含有率が0.1〜10体積%となるように添加して複合化する複合化工程とを具備することを特徴とする。このように、高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料は、半溶融攪拌凝固的方法によって製造することができる。
【0016】
さらに、本発明の高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料の製造方法は、直径が1nm〜100nmで、アスペクト比が10〜100の単層または多層の構成を有するカーボンナノチューブの表面を金属またはセラミックスで被覆する被覆工程と、所定量の前記被覆されたカーボンナノチューブを加圧して、無数の連通孔を有する多孔質体からなる予備成形体を形成する予備成形体形成工程と、前記予備成形体に、溶融した、Feを0.01〜0.5重量%およびSiを0.01〜0.5重量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物のアルミニウム合金を含浸させ、カーボンナノチューブの含有率が0.1〜10体積%となるように複合化する複合化工程とを具備することを特徴とする。このように、高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料は、溶湯加圧含侵的方法によって製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態のアルミニウム合金基複合材料を模式的に示す断面図である。
【0019】
同図において、本発明のアルミニウム合金基複合材料のアルミニウム合金マトリックス1中には、炭素とは異なる材料で、金属またはセラミックスの材料で構成される被覆材料2で被覆されたカーボンナノチューブ3が均一に分散されている。
【0020】
アルミニウム合金マトリックス1中にカーボンナノチューブ3を含有させることで、超微細分散強化により、少ないカーボンナノチューブ3の含有量で電気伝導率を大きく低下させることなく、強度を飛躍的に向上させることができる。なお、アルミニウム合金マトリックス1中に含有されるのは、カーボンナノチューブ3に限らず、フラーレン、カーボンナノホーンなどでもよい。また、これらのカーボンナノチューブ3、フラーレン、カーボンナノホーンが混在して含有されてもよい。
【0021】
カーボンナノチューブ3の大きさは、直径が1nm〜100nmで、アスペクト比が10〜100の範囲で複合材料の要求特性に応じて適宜に設定されるものである。直径が1nm〜100nmの範囲のカーボンナノチューブ3を用いることで、カーボンナノチューブ3をアルミニウム合金マトリックス1中に均一に分散することができる。カーボンナノチューブ3の直径が、1nm未満および100nmを越えるものは製造が難しい。また、カーボンナノチューブ3のアスベクト比が10未満では十分な強化効果を発揮できず、アスベクト比が100を越えると歩留が低下し、不経済的である。カーボンナノチューブ3の大きさのより好ましい範囲は、直径が10nm〜20nm、アスペクト比が10〜20である。また、工業的に製造された直径が数百nmのカーボンナノチューブ3も適用することができる。
【0022】
アルミニウム合金マトリクス1中に均一に分散されるカーボンナノチューブ3の含有率は、1〜10体積%の範囲において、目標の電気伝導率と強度によって、適宜に選定される。カーボンナノチューブ3の含有率が0.1体積%未満では十分な強化効果を発揮できず、含有率が10体積%を越えてもそれ以上の強化効果が得られず、材料コストが高くなる。
【0023】
また、アルミニウム合金マトリックス1に含有される鉄は、0.01〜0.5重量%である。また、アルミニウム合金マトリックス1に含有される珪素は、0.01〜0.5重量%である。
【0024】
このアルミニウム合金基複合材料は、例えば次のようにして製造される。
まず、カーボンナノチューブ3を被覆する被覆材料2を選択し、カーボンナノチューブ3の表面にスパッタリング法または電子ビーム蒸着法によって、選択された被覆材料2の蒸着膜を形成する。カーボンナノチューブ3の表面を被覆している被覆材料2としては、アルミニウムおよびアルミニウム合金中に含有するFe、Si、その他の不純物元素との濡れ性、化学反応の度合を考慮して、金属材料では、例えば、Al、Si、Au、Ag、W、Moなど、セラミックス材料では、Al2O3、AlN、SiC、TiCなどが適している。
【0025】
ここで、カーボンナノチューブ3が超微細なため、カーボンナノチューブ3の表面が絶縁材料で被覆されてもよく、これによって複合材料の電気伝導率が大きく低下することはない。なお、被覆材料2としてAl2O3などの絶縁材料を用いる場合には、含有されるカーボンナノチューブは5体積%以下が好ましく、より好ましくは3体積%以下である。
【0026】
また、カーボンナノチューブ3の表面に形成される被覆材料2の厚みは、1nm〜100nmの範囲で複合材料の要求特性に応じて適宜に設定されるものである。被覆材料2の厚みは、1nm未満では製造が難しく、1nm〜100nmの範囲で十分な反応防止効果が発揮されるので100nmより厚い皮膜を形成しても材料および生産コストを高くするだけで不経済的である。被覆材料2の厚みのより好ましい範囲は、10nm〜50nmである。
【0027】
このようにして得られた被覆材料2が被覆されたカーボンナノチューブ3と、アルミニウム合金マトリックス1になるアルミニウム合金粉末とを所定の比率で混合し、さらに、アルミニウム合金粉末にカーボンナノチューブ3が均一に分散するように、例えば、攪拌などによって混合する。そして、その混合物を金型に充填し、加圧および加熱してカーボンナノチューブ3とアルミニウム合金粉末とを一体に融着させて、図1に示す複合材料が得られる。
【0028】
また、アルミニウム合金マトリックスとなるアルミニウム合金粉末を加熱して半溶融状態にし、その半溶融状態のアルミニウム合金を連続的に攪拌しながら、金属またはセラミックスの材料で構成される被覆材料2が被覆されたカーボンナノチューブ3を所定量添加して複合化させることによっても、図1に示す複合材料を得ることができる。
【0029】
さらに、金属またはセラミックスの材料で構成される被覆材料2が被覆されたカーボンナノチューブ3を所定の形状に加圧成形して多孔質成形体を構成し、この多孔質成形体にアルミニウム合金マトリックス1となるアルミニウム合金を溶融して含浸させることによっても、図1に示す複合材料を得ることができる。
【0030】
カーボンナノチューブ3の表面は、被覆材料2によって被覆されることが好ましいが、例えば、粉末冶金的方法を用いて複合材料を形成する場合には、カーボンナノチューブ3の表面を被覆材料2によって被覆せずに複合材料を構成することもできる。
【0031】
ここで、カーボンナノチューブ3は、高温、例えば、アルミニウムの融点でAlと界面反応を起し、カーボンナノチューブ3の形状が崩壊され、超微細分散強化の効果を十分に発揮できない場合がある。しかし、本発明では、例えば、融点に達したアルミニウムを使用するときでも、予めカーボンナノチューブ3の表面に金属またはセラミックスの材料によって被膜が形成されているため、カーボンナノチューブ3の形状が崩壊されることはない。また、カーボンナノチューブ3の表面に被膜が形成されていない場合でも、アルミニウムの融点よりも低い温度で複合材料を形成する、例えば、粉末冶金的方法などを用いれば、カーボンナノチューブ3の形状が崩壊されることはない。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0033】
(実施例1)
直径が約1nm、アスペクト比が約20のカーボンナノチューブの表面にスパッタリング法により厚さ約20nmの銀(Ag)蒸着膜を形成した。次に、表1に示すように、鉄(Fe)を0.25重量%、珪素(Si)を0.25重量%、銅(Cu)を0.05重量%およびマンガン(Mn)を0.05重量%含有する平均直径100nmのアルミニウム合金粉末に銀蒸着したカーボンナノチューブを、カーボンナノチューブの含有率が3体積%になるように混合した。そして、アルミニウム合金粉末に均一にカーボンナノチューブが分散するように、その混合粉末を攪拌した。
【0034】
続いて、その混合粉末を金型に充填して、圧力500MPa、温度723Kで、1時間加圧加熱し、厚さ30mm、幅50mm、長さ100mmのインゴットを成形した。次に、成形したインゴットを厚さ10mmまで圧延し、図1に示すような、アルミニウム合金と表面に銀蒸着膜を形成するカーボンナノチューブとの複合材料を得た。
【0035】
得られた複合材料の引張強度と電気伝導率を測定した結果、引張強度は200MPa、電気伝導率は60%IACSであった。このようにして、高強度および高電気伝導率を兼備したアルミニウム合金基複合材料を得ることができた。
【0036】
【表1】
【0037】
(実施例2)
直径が約1nm、アスペクト比が約20のカーボンナノチューブの表面にスパッタリング法により厚さ約20nmの銀蒸着膜を形成した。次に、表1に示すように、鉄を0.25重量%、珪素を0.30重量%、銅を0.05重量%およびマンガンを0.05重量%含有する平均直径100nmのアルミニウム合金粉末に、銀蒸着したカーボンナノチューブを、カーボンナノチューブの含有率が10体積%になるように混合した。そして、アルミニウム合金粉末に均一にカーボンナノチューブが分散するように、その混合粉末を攪拌した。
【0038】
続いて、その混合粉末を金型に充填して、圧力500MPa、温度723Kで、1時間加圧加熱し、厚さ30mm、幅50mm、長さ100mmのインゴットを成形した。次に、成形したインゴットを厚さ10mmまで圧延し、図1に示すような、アルミニウム合金と表面に銀蒸着膜を形成するカーボンナノチューブとの複合材料を得た。
【0039】
得られた複合材料の引張強度と電気伝導率を測定した結果、引張強度は275MPa、電気伝導率は56%IACSであった。このようにして、電気伝導率を大きく低下させずに強度を著しく向上させることができる。
【0040】
(実施例3)
直径が約1nm、アスペクト比が約20のカーボンナノチューブの表面に電子ビーム蒸着法により厚さ約50nmの窒化アルミニウム(AlN)蒸着膜を形成した。次に、窒化アルミニウムを蒸着したカーボンナノチューブを金型内に均一に分散させて充填し、圧力約50MPaで圧縮成形し、カーボンナノチューブの含有率が10体積%の予備成形体を作成した。
【0041】
続いて、表1に示す鉄を0.50重量%、珪素を0.50重量%、銅を0.05重量%およびマンガンを0.05重量%含有するアルミミウム合金を973Kに加熱し、溶融したアルミニウム合金を予め予備成形体を挿入した金型に注入し、圧力約50MPaで厚さ30mm、幅50mm、長さ100mmのインゴットを成形した。次に、成形したインゴットを厚さ10mmまで圧延し、図1に示すような、アルミニウム合金と表面に窒化アルミニウム蒸着膜を形成するカーボンナノチューブとの複合材料を得た。
【0042】
得られた複合材料の引張強度と電気伝導率を測定した結果、引張強度は260MPa、電気伝導率は52%IACSであった。このようにして、電気伝導率を大きく低下させずに強度を著しく向上させることができる。
【0043】
(比較例1)
比較例1では、表1に示すように、鉄を0.25重量%、珪素を0.30重量%、銅を0.05重量%およびマンガンを0.05重量%含有する平均直径100nmのアルミニウム合金粉末を金型に充填して、圧力500MPa、温度723Kで、1時間加圧加熱し、厚さ30mm、幅50mm、長さ100mmのインゴットを成形した。次に、成形したインゴットを厚さ10mmまで圧延し、アルミニウム合金を得た。つまり、このアルミニウム合金は、実施例2においてカーボンナノチューブを含有せずに形成されたものに対応する。
【0044】
得られたアルミニウム合金の引張強度と電気伝導率を測定した結果、電気伝導率は62%IACSを確保できたが、引張強度は120MPaと低い。なお、実施例2における複合材料の引張強度は、このアルミニウム合金の引張強度の2倍以上となっている。
【0045】
(比較例2)
比較例2では、表1に示すように、鉄を0.25重量%、珪素を0.25重量%、銅を0.05重量%およびマンガンを0.05重量%含有する平均直径100nmのアルミニウム合金粉末に、平均粒径10μmの炭化珪素(SiC)粒子を、炭化珪素粒子の含有率が20体積%になるように混合した。そして、アルミニウム合金粉末に均一に炭化珪素粒子が分散するように、その混合粉末を攪拌した。
【0046】
続いて、その混合粉末を金型に充填し、圧力500MPa、温度723Kで、1時間加圧加熱し、厚さ30mm、幅50mm、長さ100mmのインゴットを成形した。次に、成形したインゴットを厚さ10mmまで圧延し、アルミニウム合金と炭化珪素粒子との複合材料を得た。
【0047】
得られたアルミニウム合金の引張強度と電気伝導率を測定した結果、引張強度は135MPa、電気伝導率は49%IACSであった。このように、平均粒径10μmでは、十分な分散強化を発揮することができず、炭化珪素粒子の含有率の増加に伴い電気伝導率は低下する。
【0048】
【発明の効果】
本発明の高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料およびその製造方法によれば、アルミニウム合金マトリックスにカーボンナノチューブを含有することによって、超微細強化効果により、高強度および高電気伝導率を兼備したアルミニウム合金基複合材料を得ることができる。また、本発明の高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料を送電線、リード線、熱交換器に用いることによって、高い電気伝導率や高い熱伝導率を維持して、材料の薄肉化による軽量化および小型化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のアルミニウム合金基複合材料を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1…アルミニウム合金マトリックス
2…被覆材料
3…カーボンナノチューブ
Claims (6)
- Feを0.01〜0.5重量%およびSiを0.01〜0.5重量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物のアルミニウム合金マトリックス中に、直径が1nm〜100nmで、アスペクト比が10〜100の単層または多層の構成を有するカーボンナノチューブが0.1〜10体積%含有されていることを特徴とする高強度高電気伝導度アルミニウム合金基複合材料。
- 前記カーボンナノチューブの表面は、金属またはセラミックスで被覆されていることを特徴とする請求項1記載の高強度高電気伝導アルミニウム合金基複合材料。
- 前記金属または前記セラミックスは、前記カーボンナノチューブの表面に、化学的方法または物理的方法によって、被覆または結合されることを特徴とする請求項2記載の高強度高電気伝導アルミニウム合金基複合材料。
- アルミニウム合金マトリックスとなる、Feを0.01〜0.5重量%およびSiを0.01〜0.5重量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物のアルミニウム合金粉末と、直径が1nm〜100nmで、アスペクト比が10〜100の単層または多層の構成を有するカーボンナノチューブとを、前記カーボンナノチューブの含有率が0.1〜10体積%となるように配合し、均一に混合する混合工程と、
前記アルミニウム合金粉末とカーボンナノチューブとの混合物を加圧後加熱して、または同時に加圧および加熱して複合化する複合化工程と
を具備することを特徴とする高強度高電気伝導アルミニウム合金基複合材料の製造方法。 - 直径が1nm〜100nmで、アスペクト比が10〜100の単層または多層の構成を有するカーボンナノチューブの表面を金属またはセラミックスで被覆する被覆工程と、
アルミニウム合金マトリックスとなる、Feを0.01〜0.5重量%およびSiを0.01〜0.5重量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物のアルミニウム合金粉末を加熱して半溶融状態にする半溶融工程と、
前記半溶融状態のアルミニウム合金を連続的に攪拌しながら、前記被覆されたカーボンナノチューブを、該カーボンナノチューブの含有率が0.1〜10体積%となるように添加して複合化する複合化工程と
を具備することを特徴とする高強度高電気伝導アルミニウム合金基複合材料の製造方法。 - 直径が1nm〜100nmで、アスペクト比が10〜100の単層または多層の構成を有するカーボンナノチューブの表面を金属またはセラミックスで被覆する被覆工程と、
所定量の前記被覆されたカーボンナノチューブを加圧して、無数の連通孔を有する多孔質体からなる予備成形体を形成する予備成形体形成工程と、
前記予備成形体に、溶融した、Feを0.01〜0.5重量%およびSiを0.01〜0.5重量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物のアルミニウム合金を含浸させ、カーボンナノチューブの含有率が0.1〜10体積%となるように複合化する複合化工程と
を具備することを特徴とする高強度高電気伝導アルミニウム合金基複合材料の製造方法。
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