JP4408984B2 - 芳香族ポリヒドロキシアミド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性樹脂材料の前駆体であるアルカリ可溶性の芳香族ポリヒドロキシアミド、およびこれを含有するポジ型感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、優れた耐熱性と電気特性、機械特性などを併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。このポリイミド樹脂は、一般に感光性ポリイミド前駆体組成物の形で供され、これを塗布、活性光線によるパターニング、現像、熱イミド化処理等を施すことによって容易に形成させることが出来、従来の非感光型ポリイミドに比べて大幅な工程短縮が可能となるという特徴を有している。
【0003】
ところが、その現像工程においては、現像液としてN―メチルー2―ピロリドンなどの大量の有機溶剤を用いる必要があり、安全性および近年の環境問題の高まりなどから、脱有機溶剤対策が求められてきている。これを受け、最近になって、フォトレジストと同様に、希薄アルカリ水溶液で現像可能な耐熱性感光性樹脂材料の提案が各種なされている。
【0004】
中でも、水性アルカリ可溶性のポリヒドロキシアミド、例えばポリベンズオキサゾール(PBO)前駆体を、キノンジアジドなどの光活性成分と混合して用いる方法が、近年注目されている。(特開昭63―96162号公報など)
これらはポジ型パターンの形成が容易であり、現像性、保存安定性も良好で、ポリイミドと同等の熱硬化膜特性を有しているため、有機溶剤現像型ポリイミド前駆体の有望な代替材料として注目されている。しかしながら、開示されている、あるいは開示されている方法によって得られるPBO前駆体には、未だ問題点も多い。
【0005】
PBO前駆体は、ビス−(o−アミノフェノール)類とジカルボン酸またはその誘導体との重縮合により得られるが、得られる重合体の安定性や取り扱い上の点から、ポリマー末端は通常アミノ基で止まった形で製造される。
しかし、ポリマー末端がアミノ基の場合、感光性組成物中で共存する感光剤ジアゾキノン化合物が経時的に変性、劣化し、組成物の保存安定性が極端に悪化するという問題がある。この問題を改良するため、PBOポリマーのアミノ末端基を非塩基性に改質する方法が提案されている。
【0006】
例えば、ネガ型感光性組成物としての場合ではあるが、ベンゾイルクロリドなどを用いて芳香族アミドの形で末端封止する方法が提案されている(特開平7−128846号公報)。しかし、このように単にポリマー末端を芳香族アミドとしたポリマーを用いた場合、ポジ型感光性組成物としての安定性は向上するものの、得られる熱硬化膜は極めて脆弱で、力学特性的に実用性能を満足することができない。
【0007】
また、この力学特性を改良するために、ノルボルネンなどの、アルケニルまたはアルキニルといった不飽和結合を有する基をポリマー末端に導入し、改質する方法が提案されている。(特開平5−197153号公報)
確かにこの方法によると、ポジ型感光性組成物としての安定性が改良され、かつ塗膜の加熱硬化処理時に、不飽和基の付加的な架橋反応が生じるため、機械的特性や接着性に優れた皮膜を形成することができる。
【0008】
このように、ポリマー末端に不飽和基を導入し、熱によって付加、架橋させる方法は、従来から熱硬化型ポリイミドなどにおいて広範に用いられている手法であるが、当該方法による架橋結合は、脂肪族基を連結した形態を取るため、一般に耐熱性が不十分である。
例えば、350℃以上の高温で加熱処理した場合、架橋結合が耐えられずに分解してしまい、熱硬化膜の機械的特性はもとより、基材との接着性も大幅に低下してしまうという欠点がある。これは半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜として用いられる場合、信頼性の点で大きな問題となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、露光およびアルカリ水溶液による現像工程によりポジ型パターンの形成が可能で、ジアゾキノン化合物を含むポジ型感光性組成物において、優れた保存安定性を示し、さらに、広い加熱硬化温度範囲において、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜用途として要求される耐熱性と力学性能を安定かつ高レベルで満足する耐熱性感光性樹脂組成物、及びその組成物に好適に用いられる芳香族ヒドロキシポリアミドを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アルカリ可溶性PBO前駆体として用いられるポリヒドロキシアミドの末端基に着眼し、これを用いたポジ型感光性樹脂組成物中のジアゾキノン化合物の劣化を生じさせず、かつ加熱硬化温度を選ばず、優れた耐熱性と硬化膜特性を発現させるべく鋭意検討を行った。
【0011】
その結果、ポリヒドロキシアミドのアミノ末端基を特定の構造の末端基に変えることにより、上記課題が達成されることを見出した。
すなわち、本発明は、下記一般式(I)で示される芳香族ヒドロキシポリアミド、および、これとジアゾキノン化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物に関する。
【0012】
【化3】
【0013】
但し、式中R1 は4価の芳香族基、R2 は2価の芳香族基である。nは2〜150の整数であり、Zは1価の有機基であって、かつ、Zの少なくとも40モル%以上は以下の構造式(II)であることを特徴とする。
【0014】
【化4】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の芳香族ポリヒドロキシアミドは、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と、ビス−(o−アミノフェノール)類とをアミド重縮合させることによって得られる。
ここで、本発明で好適に用いられる、2価の芳香族基R2を含むジカルボン酸誘導体としては、芳香族ジカルボン酸ジクロライドが好ましい。例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデン二安息香酸、4,4'−ジカルボキシジフェニルアミド、1,4−フェニレンジエタン酸、1,1−ビス(4−カルボキシフェニル)―1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルフィド、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラフェニルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、5−tert―ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,2−ビス−(p―カルボキシフェニル)プロパン、4,4'−(p―フェニレンジオキシ)二安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、もしくはこれらの酸クロライド体、およびヒドロキシベンゾトリアゾール等との活性エステル体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらのものは単独あるいは混合して用いてもよい。
【0016】
また、本発明で好適に用いられる、4価の芳香族基R1を含むビス(o―アミノフェノール)としては、例えば、3,3,−ジヒドロキシベンジジン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジアミノジフェニエーテル、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジアミノベンゼン、4,6−ジアミノレゾルシノール、およびその混合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明の芳香族ポリヒドロキシアミドは、上記原料からなる重縮合体であるが、芳香族ジカルボン酸ジクロライドや芳香族ジカルボン酸の活性エステル体を用いる場合、適当な溶媒中でピリジン等の塩基性化合物の存在下で、ビス−(o−アミノフェノール)と混合することにより、得ることができる。
しかし、芳香族ジカルボン酸を用いる場合は、適当な縮合剤が必要となる。このような縮合剤としては、従来公知の脱水縮合剤を用いることができ、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1'−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N'−ジスクシンイミジルカーボネート、亜リン酸エステル等を挙げることができる。このうち、ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いる場合には、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールと共用することが好ましい。
【0018】
本発明の芳香族ポリヒドロキシアミドは、上記原料からなる重縮合体の分子鎖両末端がアミン型となるように調整した後に、このアミン末端をtert−ブトキシカルボニル基でウレタン結合の形に封止し、非塩基性に改質することによって達成される。このとき用いる封止剤としては、ジ(tert−ブチル)ジカーボネートが、好ましい例として挙げられる。
【0019】
末端アミノ基の封止率は、全アミン末端の少なくとも40モル%以上であることが必須であり、より好ましくは60モル%以上である。この末端封止率が40モル%を下回ると、本発明の効果であるポジ型感光性組成物とした場合の優れた保存安定性、リソグラフィー特性、キュア後の硬化膜物性が十分発揮されず好ましくない。
【0020】
上記反応に用いる溶媒としては、生成するポリヒドロキシアミドを完全に溶解する極性溶媒が一般に好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。その他、この極性溶媒以外に一般的有機溶媒であるケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等も使用することができる。
【0021】
この反応生成物は、そのまま感光性樹脂組成物に供することができるが、必要に応じて水又はメタノール等のポリヒドロキシアミドの貧溶媒中に投入し、さらに再沈を繰り返すことによって精製して使用することもできる
また、もう一つの発明であるポジ型感光性樹脂組成物は、上記のポリヒドロキシアミドとジアゾキノン化合物などの光活性成分を混合することにより得られる。このような感光性ジアゾキノン化合物は、1,2−ベンゾキノンジアジドあるいは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許第2,772,972号公報、同第2,797,213号公報、同第3,669,658号公報等により公知の物質である。
【0022】
このような化合物の具体的な例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
この他、本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、本発明の効果を特に阻害するものでない限り、必要に応じてフェノール化合物、レベリング剤、シランカップリング剤などの添加剤を適宜添加することができる。本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、上記感光剤や添加剤を、本発明のPBO前駆体ポリマーと共に溶剤に溶解し、ワニス状にして使用される。
【0026】
この場合の溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の具体的な例を説明する。
【0028】
【実施例1】
容量2Lのセパラブルフラスラスコ中で、N,N−ジメチルアセトアミド250g、ピリジン26.10g(0.33mol)、2,2−ビス(3−アミノー4−ヒドロキシフェニル)―ヘキサフルオロプロパン69.59g(0.19mol)を室温(23℃)で混合攪拌し、ジアミンを溶解させた。これに、別途ジエチレングリコールジメチルエーテル130g中に4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド44.27g(0.15mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15〜20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は25分、反応液温は最大で30℃であった。 滴下終了から60分攪拌放置後、反応液にジ(tert−ブチル)ジカーボネート26.19g(0.12mol;全アミン末端の1.5等量)を投入し、20〜25℃で6時間撹拌放置し、ポリマー鎖の全アミン末端にtert−ブトキシカルボニル基を導入、封止した。
【0029】
この際のアミン末端封止反応率は、投入した封止剤、ジ(tert−ブチル)ジカーボネートの残量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で追跡することにより容易に算出でき、95.1%であった。
その後、上記反応液を5Lのイオン交換水に高速撹拌下で滴下し、得られた重合体を分散、析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水ののちに真空乾燥し、目的のポリヒドロキシアミドを得た。
【0030】
また、更にポリマーの精製が必要な場合、以下の方法によって実施することが可能である。
すなわち、上記で得られたポリマーをガンマブチロラクトン(GBL)300gに再溶解し、イオン交換精製に供した。用いるイオン交換樹脂は、強酸性イオン交換樹脂25g、弱塩基性イオン交換樹脂50gであり、これらを適宜水洗し、GBLに溶媒置換した後に、それぞれガラス製カラムに充填し、調整した。これに重合体溶液を通液し、イオン交換精製を行った。
【0031】
イオン交換精製後の反応液を、5Lのイオン交換水に高速攪拌下で滴下し、重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、GPCで求めた重量平均分子量Mw(展開溶媒テトラヒドロフランでのポリスチレン換算値;以下同様。)が10,200の芳香族ポリヒドロキシアミドを得た。
【0032】
【実施例2】
用いる芳香族ジカルボン酸クロライドをイソフタル酸ジクロライドとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、アミン末端封止率98.5%、重量平均分子量Mw:10,000の芳香族ポリヒドロキシアミドを得た。
【0033】
【実施例3】
末端封止剤ジ(tert−ブチル)ジカーボネートの投入量を全アミン末端の3.0等量(0.24モル/52.38g)とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、アミン末端封止率100.0%、重量平均分子量Mw:10,000の芳香族ポリヒドロキシアミドを得た。
【0034】
【比較例1】
重縮合反応終了後の反応液に封止剤ジ(tert−ブチル)ジカーボネートを加えなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、分子鎖末端がアミノ基のままの芳香族ポリヒドロキシアミド(重量平均分子量Mw:10,100)を調製し、比較とした。
【0035】
【比較例2】
封止剤ジ(tert−ブチル)ジカーボネート投入量を8.73g(0.04mol;全アミン末端の0.5当量)とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、アミン末端封止率37.4%、重量平均分子量Mw:10,000である芳香族ポリヒドロキシアミドを得た。
【0036】
【比較例3】
ジ(tert−ブチル)ジカーボネートの代わりに5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物26.26g(0.16mol)を使用し、封止反応時間を17時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、末端封止率96.7%、重量平均分子量Mw:10,300の芳香族ポリヒドロキシアミドを得た。
【0037】
上記各例で得られたポリマーを用いて、それぞれポジ型感光性樹脂組成物を調製し、保存安定性、パターニング特性、フィルムの機械物性などの評価を行った。
まず、各重合体100重量部、感光剤(化7参照)20重量部をガンマブチロラクトン160重量部に溶解した後、0.2μmのフィルターで濾過して感光性樹脂組成物を調製した。
【0038】
【化7】
【0039】
評価1:保存安定性
この組成物を、フィルター濾過から24時間後に一部分取し、23℃で7日間遮光保管した。この遮光保管前後の溶液粘度を、東京計器製E型粘度計で測定し、粘度変化率を算出して保存安定性の指標とした。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
また、この組成物を、スピンコーターを用いてシリコンウェハー上に均一塗布し、120℃ホットプレート上で200秒間プリベークし、初期膜厚約12μm(パターニング評価用)および15μm(機械物性測定用)のウェハー塗布膜を必要枚数作成した。スピンコーターの塗布回転数は、この初期膜厚を達成すべく、サンプル毎に適宜設定した。
【0042】
評価2:パターニング評価
上記パターニング評価用ウェハー塗布膜数枚に、テストパターン付きレチクルを通してi-線ステッパー(ニコン製)で500mJ/cm2 の露光を行った。この露光膜を、東京応化製NMD−3現像液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38%水溶液)を用いて、用意したウェハー毎に適宜時間を変化させてパドル現像を施し、露光部を溶解除去させた。現像後、引き続いて20秒間精製水でリンスして溶解を停止させ、窒素気流中で風乾し、パターン評価サンプルを作成した。
【0043】
このサンプルの解像度、残渣などを光学顕微鏡下で目視観察し、最も微細かつ良好なパターン(バイアホール、ラインアンドスペースなど)が得られた現像時間での解像度を評価した。また、未露光部の現像前後での塗布膜厚を測定し、未露光部残膜率(単位%、100%であれば露光前後での膜厚変化なし)を算出、評価するとともに、この値と露光部の現像時間(Dosetoclear)の値から、露光部と未露光部の溶解速度比を算出し、解像コントラストの指標とした。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
評価3:フィルム機械物性評価
機械物性評価用ウェハー塗布膜を、縦型キュア炉(光陽リンドバーグ製)にセットし、窒素雰囲気中、320℃で2時間、350℃で2時間、400℃で1時間の3水準でキュアリング(加熱環化処理)を施し、ポリベンズオキサゾール(PBO)膜とした。
【0046】
このキュア膜をシリコンウェハーから剥離し、機械物性評価に供した。評価方法はASTM D−882−88に準拠した。結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
本発明の実施例のポリマーを用いた組成物は、極めて保存安定性が高く、優れた解像コントラスト(露光部/未露光部溶解速度比)、パターニング特性を示し、かつ機械物性的にも、加熱硬化温度に依存せずに、極めて柔軟性の高いものとなり、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜用途として充分実用的である。
一方、比較例1のポリマーを用いた組成物は、分子鎖末端がアミン塩基性のままであるために、感光剤の変性、劣化による粘度変化率が異常に大きく、実用不可である。
【0049】
比較例2のポリマーは、末端封止率が本発明の要件よりも低い場合であるが、これを用いた組成物は、明らかに本発明よりも溶解能不足で長い現像時間を要し、このため残膜率や解像度も低く、また残滓の発生も激しく、実用性に乏しい。
比較例3のポリマーは、公知の末端封止法を模したものであるが、これを用いた組成物の熱硬化膜の機械物性は、320℃程度の低温キュア時には本発明の実施例と変わらない値であるものの、キュア温度が高くなるに従って、その脂肪族性の架橋結合の解裂によると思われる大幅な伸度低下を引き起こしており、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜など、高温処理が必須の用途に用いるには、信頼性の点で好ましくない。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の芳香族ポリヒドロキシアミドおよびこれを用いたポジ型感光性樹脂組成物は、優れた保存安定性、アルカリ溶解特性、パターニング特性を有し、同時に半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜用途として要求される耐熱性、力学性能に関しても、加熱硬化プロセスに依らずに高いレベルで満足させることができ、有機溶剤現像型ポリイミド前駆体の有望な代替材料として工業的に充分に利用可能である。
Claims (2)
- 下記一般式(I)で示される芳香族ポリヒドロキシアミド。
- 請求項1に記載の芳香族ポリヒドロキシアミド、およびジアゾキノン化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
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