JP4408792B2 - 収尿袋 - Google Patents

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Description

本発明は、大量の尿を保持し得るコンパクトでかさばらない男性用の収尿袋に関する。 なお、本明細書において記述される尿を吸収してこれを保持するための「吸収体」とは、フラッフ状パルプや高吸水性樹脂(SAP:Super Absorbent Polymer)のみならず、これらを所望の形状に維持するためのティシュやシートなどを含めたものも意図している。
重度の寝たきりで排尿ケアを必要とする人の多くは、夜間の排尿量が多い時間帯において、展開型の使い捨ておむつと尿パッドとを併用することが一般的である。この場合、尿パッドが尿の吸収の主体として機能し、展開型おむつはおむつカバーのような補助的役割として用いられる。男性の場合、陰茎部分が動いて尿パッドから尿が漏れることがあるため、陰茎部分に対する尿パッドの固定をどのように行うかが非常に重要であり、特許文献1に記載されているように陰茎部分が差し込まれる尿取り袋に形成された開口部を伸縮弾性体にて囲むと共にその開口形状を工夫したり、特許文献2に記載されているように収尿袋に形成された開口部を介して収尿袋内に挿入される陰茎部分に対し、収尿袋に基端部が連結されたテープ状部材の先端側を巻き付けるようにしたものや、あるいは尿パッド自体を陰茎部分に巻き付ける形式のものなども知られている。
上述したような目的で用いられる従来の尿パッドは、液不透過性のバックシートと液透過性のトップシートとの間に尿を吸収保持するための吸収体を介在させた構造を一般的に有する。液体が透過しない液不透過性のバックシートは、尿の漏れを防ぐために吸収体をカバーする機能を有するが、透湿性を持たせるために微小な通気孔を形成したポリエチレンフィルムなどが用いられる。また、吸収体は主にフラッフ状パルプと高吸水性樹脂(以下、SAPと記述する)とを混合してマット状にしたものをティッシュなどの被覆材で包んで構成されている。
特開2002−360622号公報 特開2003−235884号公報
男性用の尿パッドの場合、着用中の陰茎部分の動きに尿パッドを追従させる必要があるが、従来のものはこの点に関して不十分であり、着用中に陰茎部分が尿パッドから外れて尿が尿パッド外に漏れてしまうことがしばしばあった。
より具体的には、特許文献1に開示されたものでは、陰茎部分に対する開口部の接触面積を充分に取ることができないので、それを補うために開口部を強く絞った状態では、陰茎部分に対する締め付け力が強すぎて着用感を損なう上、陰茎部分の血流が阻害されてしまう欠点がある。また、特許文献2に開示されたものは、陰茎部分に対してテープ状部材を完全に密着状態で巻き付けることができないため、大きな締め付け力を以て陰茎部分にテープ状部材を巻き付ける必要があり、文献1の場合と同様に着用感を損なう上に陰茎部分の血流が阻害されてしまう欠点があった。さらに、尿パッド自体を陰茎部分に巻き付ける形式のものは、着用時に極めて大きな違和感があり、着用感を著しく損なう欠点があった。
本発明の目的は、着用者の陰茎部分を過度に締め付け過ぎることなく、陰茎部分に対する適正な装着状態を従来のものよりも確実に維持し得ると共に着用感が良好な収尿袋を提供することにある。
本発明による収尿袋は、表面部および裏面部を有する袋状の本体と、この本体の裏面部に形成されて男性器の陰茎部分が挿入される開口部と、前記本体内に収容され、尿を吸収してこれを保持し得る吸収体と、中央部が前記開口部の直上にて前記裏面部に接合された第1のつなぎ止めテープであって、前記開口部に挿入された陰茎基部に対して両端部が相互に重なり合うように巻き付けられる第1のつなぎ止めテープと、この第1のつなぎ止めテープの両端部に設けられ、陰茎基部に巻き付けられた当該第1のつなぎ止めテープの相互に重なり合う部分を剥離可能に接合する一対の接合部と、基端部が前記開口部の直下にて前記裏面部に接合された第2のつなぎ止めテープであって、第1のつなぎ止めテープの中央部に対し前記開口部に挿入された陰茎部分を挟んで反対側に沿って添えられて当該第2のつなぎ止めテープの先端部が陰茎基部とこれに巻き付けられる前記第1のつなぎ止めテープの相互に重なり合う部分との間に配される第2のつなぎ止めテープとを具えたことを特徴とするものである。
本発明においては、使用時に男性器の陰茎部分を開口部から本体内に挿入した後、第2のつなぎ止めテープを開口部の外の陰茎部分に沿って添え、次いで第1のつなぎ止めテープを陰茎部分および第2のつなぎ止めテープに重ねて巻き付け、さらに第1のつなぎ止めテープの先端部を相互に重ね合わせて一対の接合部により相互に連結する。このようにして、本体の開口部から差し込まれた陰茎部分を第1および第2のつなぎ止めテープを介して収尿袋に連結し、この状態にて下ばきなどを上から重ねて履き、下ばき内に収尿袋を保持する。尿が本体内に排出された場合、これは吸収体によって吸収保持される。
本発明による収尿袋において、本体がアウターシートと液透過性のインナーシートとを具え、これらの間に吸収体が保持される構造を有するものであってよい。
この場合、アウターシートとして不織布,合成樹脂フィルム,またはこれらを重ね合わせた積層シートを用いることができる。ここで採用し得る不織布として、例えばポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル,その他の熱可塑性樹脂を原料とする合成繊維からなるものを挙げることができる。また、合成樹脂フィルムとして、例えばポリエチレンシート、特に微孔を形成したポリエチレンシートや、熱可塑性樹脂にフィラーを加えて延伸することにより、透湿性を持たせた液体不透過性のものが好ましい。このような液体不透過性の合成樹脂フィルムを採用した場合、着用中のむれを抑制することができるため、より快適な着用感を得られる。このアウターシートは、収尿袋の仕様形態に応じて液透過性のものを採用することも当然可能であり、その場合には不織布を単独で用いることが好ましい。
また、上述したインナーシートとして、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル,その他の熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維からなる不織布を親水化処理したものを採用することができる。
吸収体としては、通常の使いすておむつのような吸収性物品に使用されるものであれば何れも使用可能であるが、SAP含有率が高く、薄い吸収体であることが好ましい。すなわち、綿状パルプとSAPとを併用したものや、さらに熱融着繊維を加えたものなどを用いることができ、全体をティッシュのような親水性シートで包んだものが好ましい。この他に、親水性シートの片面にSAPの層を形成したものや、2枚の親水性シートの間にSAPを挟持したものなど、シート状の吸収体を使用することも可能である。
第1および第2のつなぎ止めテープとして、伸縮性および肌触りなどの観点から短冊状の発泡体シート、例えばウレタンフォームを用いることができる。このウレタンフォームを使用した場合、陰茎部の表皮との間の摩擦が大きいため、脱落を防ぐために好都合であるが、摩擦が大きい故に肌が敏感な着用者に違和感を与えるため、その緩和のために表面に不織布を貼ってもよい。第1および第2のつなぎ止めテープとしては、その他に天然系または合成系のウレタン糸,糸ゴム,平ゴムなどの通常の使いすておむつに使用される伸縮弾性部材を不織布間に伸長状態で固定したものや、ホットメルト接着剤などにより接着固定された伸縮性シート、あるいは伸縮フィルムを伸張可能な不織布で挟んだもの、伸縮ネットを伸張可能なネットで挟んだものを用いることができる。
粘着材や面ファスナなどを用いて第2のつなぎ止めテープの先端部と、この先端部に接して重ね合わされる一方の第1のつなぎ止めテープとの重なり合う部分を相互に剥離可能に接合する一対の接合部をさらに具えることができる。
開口部に挿入された男性器の陰茎基部に当接するように第1および第2のつなぎ止めテープの少なくとも一方に形成され、これら第1および第2のつなぎ止めテープの厚み方向に圧縮可能な弾性変形層をさらに具えることができる。この場合、第1および第2のつなぎ止めテープの少なくとも一方をその長手方向に沿って伸張可能な弾性体にて形成し、この弾性体の伸張に伴ってここに形成された弾性変形層が共に弾性変形可能となるあることが好ましい。
開口部は、左右方向に延在するスリットであってよい。この開口部は、陰茎部分を挿入しやすい形状および大きさに設定することが必要であり、健常者以外の身体の一部が不自由な着用者にも配慮したものであることが好ましい。陰茎部分に対する挿入の容易性を追及すると、開口部から陰茎部分が抜け外れやすくなり、収尿袋を有効に機能させることが不可能となる。
敏感な陰茎部分に配慮して開口部を柔軟な構造にすることが好ましい。このような観点から、開口部を囲むように弾性部材を設けることは極めて有効であり、この弾性部材としてウレタンフォームシートなどの発泡樹脂シートが好適である。また、陰茎部を収尿袋内に挿入した後に開口部と陰茎部との間に隙間が形成されないように、開口部そのものに伸縮性を付与することも有効である。この目的のため、例えば開口部周辺に天然系または合成系のウレタン糸,糸ゴム,平ゴムなどの伸縮弾性部材を伸長状態で固定し、開口部を弾性的に緊縮状態に保持することが可能である。これにより、着用時は伸縮弾性部材の弾性力に抗して開口部を拡げ、陰茎部を開口部に挿入後は伸縮弾性部材の弾性力によって開口部を緊縮させ、これらの間に隙間が形成されないようにすることができる。
本体に形成され吸収体によ吸収されるべき尿を一時的に貯溜するトラップ部をさらに具えることができ、このトラップ部を本体の表面部および裏面部の少なくとも一方に形成することが可能である。このトラップ部は、本体の表面部および裏面部の少なくとも一方を部分的に折り返すことにより形成された折り返し部を有することができる。なお、トラップ部を形成したことによる着用中の違和感を少なくするため、このトラップ部が股間部に形成される空間に張り出すことができるように、本体の裏面部に形成する方が好ましいと言えよう。
本体の表面部に形成されて着用する下ばきの内側に収尿袋を剥離可能に接合するためのずれ止め粘着部をさらに具えることができる。
着用者のウエスト部分に巻き付けられて本体の上端部左右両側に連結される支持ベルトをさらに具えることができる。この支持ベルトは、伸縮繊維を含有した布や不織布などを用いて形成することが可能であり、基端部が本体の上端部左右両側にそれぞれ一体的に連結され、先端部が相互に連結される一対の支持ベルトであってよい。この場合、これら一対の支持ベルトの先端部に形成されて相互に重ね合わせた状態で剥離可能に接合する一対の接合部を有することが好ましい。
本発明の収尿袋によると、表面部および裏面部を有する袋状の本体の裏面部に男性器の陰茎部分が挿入される開口部を形成し、開口部に挿入される男性器の陰茎基部に対して両端部が相互に重なり合うように巻き付けられる第1のつなぎ止めテープの中央部を開口部の直上にて裏面部に接合し、この第1のつなぎ止めテープの両端部に当該第1のつなぎ止めテープの相互に重なり合う部分を剥離可能に接合する一対の接合部を設け、開口部に挿入された陰茎部分に沿って添えられて第1のつなぎ止めテープが先端部に重ね合わされる第2のつなぎ止めテープの基端部を開口部の直下にて裏面部に接合したので、従来のものよりも陰茎部分に対する接触面積を著しく増大させることができ、陰茎部分から収尿袋がずり落ちるような力に大きな抵抗力を発揮させることが可能である。
第2のつなぎ止めテープの先端部と、この先端部に接して重ね合わされる一方の第1のつなぎ止めテープとの重なり合う部分を相互に剥離可能に接合する一対の接合部をさらに具えた場合、第2のつなぎ止めテープと第1のつなぎ止めテープとをより強固に連結することができ、陰茎部に対する第1および第2のつなぎ止めテープのずれをより確実に抑制することができる。
開口部に挿入された男性器の陰茎基部に当接するように第1および第2のつなぎ止めテープの少なくとも一方に、これらの厚み方向に圧縮可能な弾性変形層を形成した場合、陰茎部分に対する第1および第2のつなぎ止めテープの少なくとも一方をソフトな接触状態にすることができ、着用感をより向上させることができる。特に、第1および第2のつなぎ止めテープの少なくとも一方をその長手方向に沿って伸張可能な弾性体にて形成し、この弾性体の伸張に伴って弾性変形層を共に弾性変形可能とした場合、陰茎部分に対する締め付け力を容易に調整することが可能となり、経時的に状態が変化しやすい陰茎部分に対する第1および第2のつなぎ止めテープの継続的な連結をより確実に維持し得る。
開口部が左右方向に延在するスリットの場合、着用中における収尿袋のずり落ちを抑制することができる。
開口部を囲む弾性部材をさらに具えた場合、着用中に開口部から陰茎部分が抜け外れたり、尿が開口部から漏れ出るような不具合を防止することができ、しかも着用感を向上させることができる。
吸収体によって吸収されるべき尿を一時的に貯溜するトラップ部を本体に形成した場合、吸収体が短時間で吸収し切れない尿を一時的にトラップ部に貯溜させ、このトラップ部に貯溜された尿を時間の経過に伴って吸収体に漸次吸収させることが可能となり、吸収体の吸収能力を最大限に発揮させることができる。この結果、吸収体自体の構造を簡略化して収尿袋を薄くコンパクト化することによって着用性を改善することができる。特に、トラップ部を本体の裏面部に形成した場合、トラップ部を股間部で無理なく膨張させることができ、着用中の圧迫感を軽減させることが可能である。
トラップ部が本体の裏面部を部分的に折り返すことによって形成した折り返し部を有する場合、トラップ部を容易に形成することができ、しかも収尿袋がかさばらず、これをコンパクト化させることができる。
着用する下ばきの内側に収尿袋を剥離可能に接合するためのずれ止め粘着部を本体の表面部に形成した場合、下ばきによって収尿袋をより確実に保持することができるため、着用性をさらに向上させることができる。
本体の上端部左右両側に基端部がそれぞれ一体的に連結され、着用者のウエスト部分に巻き付けられて先端部が相互に連結される一対の支持ベルトをさらに具えた場合、長時間に亙る着用中に収尿袋がずり落ちるなどの不具合を確実に防止することができる。
本発明による収尿袋の実施形態について、図1〜図9を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限らず、これらをさらに組み合わせたり、この明細書の特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能であり、従って本発明の技術思想に帰属する他の任意の技術にも当然応用することができる。
第1の実施形態による収尿袋の着用状態の外観を図1に模式的に示し、その断面構造を図2に示し、この収尿袋の外観を図3に示し、その断面形状を図4に示す。すなわち、本実施形態における収尿袋10は、表面部11aおよび裏面部11bを有し、横長の矩形をなす袋状の本体11と、この本体11の裏面部11bに形成されて図2中、二点鎖線で示す男性器の陰茎部分が挿入される開口部12と、この開口部12よりも下側に位置するように本体11内に収容され、尿を吸収してこれを保持し得る吸収体13と、開口部12よりも下方に形成されて吸収体13によって吸収されるべき尿を一時的に貯溜するトラップ部14と、中央部が開口部12の直上にて裏面部11bに接合され、開口部12に挿入された陰茎基部に対して両端部が相互に重なり合うように巻き付けられる第1のつなぎ止めテープ15と、この第1のつなぎ止めテープ15の両端部に設けられ、第1のつなぎ止めテープ15の相互に重なり合う部分を剥離可能に接合する一対の接合部16a,16bと、基端部が開口部12の直下にて裏面部11bに接合され、開口部12に挿入された陰茎基部に沿って添えられて第1のつなぎ止めテープ15が先端部に重ね合わされる第2のつなぎ止めテープ17と、この第2のつなぎ止めテープ17の先端部と第1のつなぎ止めテープ15の相互に重なり合う部分を相互に剥離可能に接合する一対の接合部18a,18bと、本体11の表面部11aに設けられ、着用する下ばき、例えばブリーフBなどの内側に収尿袋10を剥離可能に接合するためのずれ止め粘着部19とを具えている。
外周縁部が密閉状態となった本体11は、着用時に外側、つまりブリーフB側に面する表面部11aと、内側、つまり着用者側に面する裏面部11bとを有し、それぞれ可撓性を有するアウターシート20と液透過性のインナーシート21とを一体的に接合したものをインナーシート21が内側となるように袋状に形成したものである。本実施形態では、これらアウターシート20とインナーシート21との間に吸収体13が挟み込まれた状態で保持され、開口部12から収尿袋10内に差し込まれる男性器が肌触りの悪い吸収体13に直接触れないようにし、その着用感を良好に保つことを可能にしている。アウターシート20は、この収尿袋10の使用形態に応じて液不透過性または液透過性であってよく、本実施形態では一般的な下ばきの内側に装着することを意図しているため、液不透過性のものを採用している。ただし、液不透過性のアウターシート20であっても、着用状態におけるむれを防止するため、透湿性、つまり通気性を有するものであることが望ましい。
本体11の裏面部11bの下部に位置するトラップ部14は、本体11の横方向に延在し、本体11の裏面部11bを部分的に折り返すことによって形成される蛇腹構造の折り返し部14aを有している。このトラップ部14は、吸収体13が短時間で吸収し切れない尿を一時的に貯溜させるためのものであり、尿がこのトラップ部14に導かれると、折り返し部14aが拡がってトラップ部14の容積が増大し、尿を確実に貯留することができるようになっている。従って、本体11の上端縁部から尿が漏れ出すおそれがない場合には、本体11の上端縁をすべて密閉する必要性はない。
本実施形態における開口部12は、左右方向に延在するスリット状をなしている。この開口部12の内側には、陰茎部に対する開口部12の密着性を向上させるため、開口部12を囲むように裏面部11bに伸長状態で接合されたテープ状の弾性部材22が本体11の裏面部11bを構成するアウターシート20とインナーシート21との間に挟まれた状態で配され、これにより開口部12を絞るギャザーが形成されている。このように、開口部12を囲む弾性部材22を設けて開口部12にギャザーを形成することにより、着用中に開口部12から陰茎部が抜け外れたり、尿が開口部12から外に漏れ出るような不具合を防止することができる。
本実施形態における吸収体13の構造を図5に模式的に示す。すなわち、本実施形態における吸収体13は、50〜95重量%のSAPを含むシート状をなしており、不織布、好ましくは嵩高性と通気性とを有する不織布からなるベースシート23の表面にカーテンコートの如きラインコーティング技術を適用し、ベースシート23の長手方向に沿って相互に平行な帯状の高吸収層24を塗布することにより形成されている。このような吸収体13は、従来のパルプとSAPとの混合吸収体に対して約1/3以下の厚さ、具体的には最大でも2mm、一般的には1mm以下の厚さにすることができる。これら高吸収層24には、SAPが好ましくは80〜90%の割合で含まれる。このようなシート状をなす吸収体13は、ベースシート23のみの部分と高吸収層24を形成した部分とが存在するため、尿の拡散性が良好であり、しかも従来のようなパルプとSAPとの混合吸収体では得られない薄型または超薄型にすることができ、着用時のかさばりを最小限に抑えて快適な着用感を得ることができる。このため、外から着用状態を認識されるような不具合を回避することも可能である。
つなぎ止めテープ15,17の部分を抽出拡大して図6に示す。すなわち、本実施形態における第1および第2のつなぎ止めテープ15,17は、これらの長手方向に沿って伸張可能な弾性体にて形成され、柔軟なリボン状をなす第1のつなぎ止めテープ15は、陰茎基部を一巻きできる程度の長さを有していればよい。この第1のつなぎ止めテープ15の左右の自由端に形成される一対の接合部16a,16bは、一方が表面側に形成されると共に他方が裏面側に形成された面ファスナにて構成され、第1のつなぎ止めテープ15と同材質の柔軟なリボン状をなす第2のつなぎ止めテープ17の先端部と第1のつなぎ止めテープ15の相互に重なり合う部分とを相互に剥離可能に接合する一対の接合部18a,18bも同様に、面ファスナにて形成されている。つまり、第1のつなぎ止めテープ15の一方の自由端の表面側(本体11の裏面部11bと対向する面側)と、第1のつなぎ止めテープ15の他方の自由端の裏面側とに一対の接合部16a,16bが形成され、第1のつなぎ止めテープ15の一方の自由端の裏面側と、第2のつなぎ止めテープ17の先端部の裏面側とに一対の接合部18a,18bが形成されている。
本実施形態における第2のつなぎ止めテープ17の表面側には、開口部12に挿入された男性器の陰茎基部に当接するように第2のつなぎ止めテープ17の厚み方向に圧縮可能な弾性変形層25が形成されている。つなぎ止めテープ15,17よりも高い表面摩擦を持った連続発泡樹脂などで形成される弾性変形層25は、第2のつなぎ止めテープ17の伸張に伴ってその長手方向に沿って弾性変形可能であり、本実施形態ではその表面を横方向に延在する波形に形成し、陰茎の表皮に対するすべり止め効果を持たせている。
なお、弾性変形層25を第1のつなぎ止めテープ15にのみ形成したり、あるいは両方のテープ15,17に形成するようにしてもよい。例えば、図7に示すように中央部の厚みが最大となるような弾性変形層25を第1のつなぎ止めテープ15の裏面側に接合したり、図8に示すように第1のつなぎ止めテープ15の中央部および第2のつなぎ止めテープ17の先端部に表面を波形に成形した弾性変形層25を接合することができる。また、図9に示すように本体11の中央上端部に開口部12を形成すると共に第1のつなぎ止めテープ15を本体11の上端縁から一体的に延在させることも可能である。また、弾性変形層25の表面形状は、波形のみならず、任意の凹凸形状に成形したり、あるいは特別な凹凸を形成せずに平坦な表面に形成することも可能である。これら図7〜図9は、図6と同様につなぎ止めテープ15,17の部分をそれぞれ抽出拡大したものであり、上述した実施形態と同一機能の要素にはこれと同一符号を記してある。
図1〜図6に示した本実施形態の収尿袋10を使用する場合、まず収尿袋10の開口部12を拡げて男性器の陰茎を開口部12からできるだけ深く差し込み、次いで第2のつなぎ止めテープ17の弾性変形層25が開口部12から出ている陰茎基部に押し当たるように沿わせ、この状態にて第1のつなぎ止めテープ15の一方の自由端を引っ張りながら陰茎基部に巻き付けてその裏面部の接合部18aを第2のつなぎ止めテープ17の先端部の裏面部の接合部18bに貼り合わせ、さらに第1のつなぎ止めテープ15の他方の自由端を引っ張りながら陰茎基部に巻き付けてその裏面部の接合部16aを第1のつなぎ止めテープ15の一方の自由端の表面部の接合部16bに貼り合わせることにより、収尿袋10の開口部12に差し込まれた陰茎基部に対し、第1のつなぎ止めテープ15が弾性力を以て巻き付けられ、収尿袋10の開口部12から陰茎の抜け外れが阻止された状態となる。さらに、この状態にてブリーフBを着用し、収尿袋10の表面部11aに形成されたずれ止め粘着部19をブリーフBの内面に接合することにより、ブリーフBと収尿袋10との位置ずれを阻止する。
このように、開口部12から陰茎部が抜け外れる方向に沿って第2のつなぎ止めテープ17が第1のつなぎ止めテープ15を介して陰茎基部に押し当てられているため、陰茎部に対する収尿袋10の追従性を従来のものよりも大きく改善することができ、しかも着用するブリーフBの内側に収尿袋10を剥離可能に接合するためのずれ止め粘着部19を本体11の表面部11aの左右上端部と中央下部とに設けているため、これによって着用中のブリーフBに対する収尿袋10の位置ずれをより確実に防止することができる。例えば着用者が自転車などに乗って股関節を激しく動かすような運動を行っても、収尿袋10から陰茎部が抜け外れるのを防止することが可能である。
なお、本実施形態の如き横長の収尿袋10は、その一部が着用時に下ばきからはみ出した状態となるため、サポート機能を有するブリーフBなどと併用することが特に好ましい。また、図10に示すように本体11の左右両端部から一対の支持ベルト26を延在させ、これを着用者のウエストに巻き付けてその両端部を結んだり、上述した接合部16a,16bと同様な一対の接合部を介して連結した場合、さらに長時間に亙る着用中に収尿袋10がずり落ちるなどの不具合を確実に防止することができる。
本発明による収尿袋の一実施形態の使用形態を表す概念図である。 図1に示した収尿袋の使用形態を表す断面図である。 図1および図2に示した収尿袋の外観を裏面側から見た立体投影図である。 図3に示した収尿袋の中央部分の縦断面図である。 図3に示した収尿袋の一部を構成する吸収体の外観を模式的に表す立体投影図である。 図3に示した収尿袋の開口部近傍を第1および第2のつなぎ止めテープと共に抽出拡大した立体投影図である。 本発明による収尿袋の開口部近傍を第1および第2のつなぎ止めテープと共に抽出拡大した他の実施形態を表す立体投影図である。 本発明による収尿袋の開口部近傍を第1および第2のつなぎ止めテープと共に抽出拡大した別な実施形態を表す立体投影図である。 本発明による収尿袋の開口部近傍を第1および第2のつなぎ止めテープと共に抽出拡大したさらに別な実施形態を表す立体投影図である。 本発明による収尿袋の他の実施形態の使用形態を表す概念図である。
符号の説明
B ブリーフ
10 収尿袋
11 本体
11a 表面部
11b 裏面部
12 開口部
13 吸収体
14 トラップ部
14a 折り返し部
15 第1のつなぎ止めテープ
16a,16b 接合部
17 第2のつなぎ止めテープ
18a,18b 接合部
19 ずれ止め粘着部
20 アウターシート
21 インナーシート
22 弾性部材
23 ベースシート
24 高吸収層
25 弾性変形層
26 支持ベルト

Claims (11)

  1. 表面部および裏面部を有する袋状の本体と、
    この本体の裏面部に形成されて男性器の陰茎部分が挿入される開口部と、
    前記本体内に収容され、尿を吸収してこれを保持し得る吸収体と、
    中央部が前記開口部の直上にて前記裏面部に接合された第1のつなぎ止めテープであって、前記開口部に挿入された陰茎基部に対して両端部が相互に重なり合うように巻き付けられる第1のつなぎ止めテープと、
    この第1のつなぎ止めテープの両端部に設けられ、陰茎基部に巻き付けられた当該第1のつなぎ止めテープの相互に重なり合う部分を剥離可能に接合する一対の接合部と、
    基端部が前記開口部の直下にて前記裏面部に接合された第2のつなぎ止めテープであって、第1のつなぎ止めテープの中央部に対し前記開口部に挿入された陰茎部分を挟んで反対側に沿って添えられて当該第2のつなぎ止めテープの先端部が陰茎基部とこれに巻き付けられる前記第1のつなぎ止めテープの相互に重なり合う部分との間に配される第2のつなぎ止めテープと
    を具えたことを特徴とする収尿袋。
  2. 前記第2のつなぎ止めテープ(17)の前記先端部と、この先端部に接して重ね合わされる一方の前記第1のつなぎ止めテープ(15)との重なり合う部分を相互に剥離可能に接合する一対の接合部(18a,18b)をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の収尿袋。
  3. 前記開口部に挿入された男性器の陰茎基部に当接するように前記第1および第2のつなぎ止めテープの少なくとも一方に形成され、これら第1および第2のつなぎ止めテープの厚み方向に圧縮可能な弾性変形層をさらに具えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の収尿袋。
  4. 前記第1および第2のつなぎ止めテープの少なくとも一方は、その長手方向に沿って伸張可能な弾性体にて形成され、この弾性体に形成された前記弾性変形層はその伸張に伴って弾性変形可能であることを特徴とする請求項3に記載の収尿袋。
  5. 前記開口部は、左右方向に延在するスリットであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の収尿袋。
  6. 前記開口部を囲む弾性部材をさらに具えたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の収尿袋。
  7. 前記本体に形成されたトラップ部であって、前記吸収体によって吸収されるべき尿を一時的に貯溜するトラップ部をさらに具えたことを特徴とする請求項1から請求項6に記載の収尿袋。
  8. 前記トラップ部は、前記本体の裏面部に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の収尿袋。
  9. 前記トラップ部は、前記本体の裏面部を部分的に折り返すことにより形成された折り返し部を有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の収尿袋。
  10. 前記本体の表面部に形成されて着用する下ばきの内側に収尿袋を剥離可能に接合するためのずれ止め粘着部をさらに具えたことを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の収尿袋。
  11. 前記本体の上端部左右両側に基端部がそれぞれ一体的に連結され、着用者のウエスト部分に巻き付けられて先端部が相互に連結される一対の支持ベルトをさらに具えたことを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載の収尿袋。
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