JP4408697B2 - バンプストップ装置、これに用いられるころがり軸受及びその製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、サスペンションバンプストップで、特に、操向される車輪の望遠鏡型のサスペンションストラットを有する自動車に用いられるものの分野に関する。

発明の背景

サスペンションバンプストップは上軌道輪と下軌道輪を有し、ボールあるいはローラの形態の転動要素が両軌道輪間に配されている。

サスペンションバンプストップは、通常、サスペンションストラットにて、サスペンションスプリングのための座としても機能する金属製下カップと、車体に取り付けられた上要素との間に配される。サスペンション装置のスプリングは弾性サポートブロックに端部が取り付けられたダンパピストンのロッドの周囲に収められている。サスペンションバンプストップ軸受は、回転可能なスプリングカップと、車体に取り付けられた弾性サポートブロックとの間での回転動を許容する。スプリングカップと弾性サポートブロックとの間の相対回転は、操向される車輪の傾動そして／又はサスペンションスプリングの圧縮の結果として生ずる。

サスペンションバンプストップは、スプリングと車体との間で軸方向力を伝達する。

文献ＦＲ２７７９０９６にて、キャップ内に配されて弾性サポートブロックに接触する上軌道輪と、カップと直接に接触する下軌道輪とを備えるころがり軸受を有したサスペンションバンプストップ装置は公知である。このころがり軸受は軸受のシールを行なうシールリップを供えた保持器を有している。

しかしながら、軸受シールは満足の行くものではない。特に、サスペンションバンプストップころがり軸受は車体の下で車輪の近くに位置するため、雨天時に汚染物がはねかけられて軸受内へ容易に進入する。

外部物質による軸受の汚染は、永い運転期間中に、軸受の作動に有害となる。

発明の要約

本発明の目的は、非常に密にシールされ、その一方で軸方向そして半径方向でコンパクトなサスペンションバンプストップ及びこれに用いられるころがり軸受を提供することである。

本発明は、又、荷重を均等に分散しながら軸方向そして半径方向荷重を伝達できるサスペンションバンプストップ及びこれに用いられるころがり軸受をも提供する。

最後に、本発明は、簡単に組み立てられて分離せず、安価に製造できる、高度に改善されたサスペンションバンプストップ用ころがり軸受の製造方法を提供する。

本発明によると、車輌用サスペンションバンプストップ装置は、バンプストップを形成するアンギュラコンタクトころがり軸受と、スプリングのためのカップと、車輌のシャーシに取り付けられた弾性サポートブロックとを有し、上記ころがり軸受がカップと上記弾性サポートブロックとの間に配されている。上記ころがり軸受は上軌道輪と環状の上キャップが接する弾性サポートブロックとの間にインターフェイスを形成する該上キャップ内に配された当該上軌道輪と、下軌道輪と、上軌道輪と下軌道輪の軌道面間に配された転動要素とを有している。サスペンションバンプストップ装置は、上記上軌道輪が弾性サポートブロックに接触している環状の上キャップに配されていて、上記弾性サポートブロックと上記上軌道輪との間にインターフェイスが形成されている車輌用バンプストップ装置において、バンプストップ装置は、カップと接触するように配されて上記下軌道輪と該カップとの間にインターフェイスを形成せしめる下キャップを有し、一つのキャップの薄肉部が軸方向で他のキャップの厚肉部の反対側に位置し、下軌道輪と上軌道輪が下キャップと上キャップの厚肉部に支えられていてアンギュラコンタクトころがり軸受を形成している。

薄肉部の反対側に厚肉部を位置せしめることによって、アンギュラコンタクトころがり軸受の軸方向そして半径方向寸法を抑えることが可能となる。厚肉部と薄肉部を有するキャップの特殊な形態が、キャップからカップへあるいはキャップから弾性サポートブロックへの荷重の分布を良好にし、その一方で、シール手段をもったキャップの形成そして／あるいは別途のシールを可能とし、サスペンションバンプストップころがり軸受を効果的に保護する。

好ましくは、一方の軌道輪が他方の軌道輪の内径にほぼ等しい外径をもち、その結果、下軌道輪と上軌道輪が同一素材から得られ製造コストの低減を可能とする。このような軌道輪の形態のもとに、良好な運転性能をもつアンギュラコンタクトころがり軸受を容易に得る。

好ましくは、一方の軌道輪の内径と他方の軌道輪の外径との比が１．０〜１．０５の間の値である。ころがり軸受のアンギュラコンタクトの位置付けによっては、上軌道輪が大きめの平均直径の軌道輪になったり、あるいは下軌道輪が大きめの平均直径の軌道輪になったりする。

好ましい形態において、上キャップと下キャップが内部空間を形成し、該内部空間内に上軌道輪と下軌道輪とが配され、上キャップと下キャップが上記内部空間をシールするシール手段を有している。下キャップは上キャップと協働して内部空間を形成し、サスペンションバンプストップ装置のころがり軸受は該内部空間内に収められて保護される。上及び下キャップのシール手段は協働して軸受が外部の汚染物質の進入から保護されることを確実ならしめる。

一つの形態にあっては、一方のキャップは、軸方向で他方のキャップに向け延びそして半径方向で内部空間を限界づけるスカートを有し、他方のキャップと相俟って狭いシール隙間を形成している。スカートの存在は、内周あるいは外周にて、上そして下キャップ間に形成する内部空間を半径方向で包囲する。スカートは、他方のキャップと協働して、半径方向そして／あるいは軸方向の狭い隙間によって、内部空間をシールするシール手段を形成する。

好ましくは、一方のキャップは他方のキャップとの係止のための軸方向係止手段を有している。こうすることにより、分離することなく、作業者による事故的な分離という危険性もなく容易に取り扱えるコンパクトな組立体を得る。

一つの形態では、他方のキャップは一方のキャップのスカートの方に向けて延びる弾性ラジアルリップを有し、上記一方のキャップのスカートのラジアルフランジと協働して狭い隙間を形成し、軸方向にて二つのキャップ同士間の一方の方向での相対的移動を許容し他方の方向への相対的移動を阻止するようになっている。リップはスカートと協働して内部空間をシールする手段を形成する。スカートはラジアルフランジと協働して上キャップと下キャップの間の軸方向係止の手段を形成する。したがって、スカートは軸方向係止とシールの二つの機能を有し、低コストで作れ容易に組み立てられるサスペンションバンプストップころがり軸受を提供し、サスペンションバンプストップころがり軸受が不用意に分離しないことを確実ならしめる。

ころがり軸受のシールをさらに改善するためには、サスペンションバンプストップ装置は他方のキャップ上に配された、例えば環状リブの形態のシールを有し、該シールは、他方のキャップに配された軌道輪のラジアル部もしくは上記他方のキャップと接触する一つのリップを有しているようにすることができる。もし、必要ならば、各キャップが他方のキャップに配された軌道輪あるいは他方のキャップと直接協働するシールを有するようにしてもよい。こうして、シールは改善した封止性、そして追加的シールをもたらす上そして下キャップ間のシール手段を提供する。

好ましくは、シールは一方のキャップに対しオーバーモールド射出成形あるいは上記キャップに同時にデュアル射出成形されて作られている。

又、本発明は、下軌道輪と上軌道輪とを有するころがり軸受であって、一つの薄い環状カップに二つの環状軌道輪のためのそれぞれのトロイダル部分を形成し、両部分を断面にて軌道面としての凹弯曲した面に形成し、一方の軌道輪のための部分の内径が他方の軌道輪のための部分の外径とほぼ同じとなるようにして一体となっている状態とし、上記両軌道輪部分を分離して二つの軌道輪とし、大径の方の軌道輪の凹部半径及び内径が減少するように加工されていることとするころがり軸受の製造方法にも関している。

この製造方法はサスペンションバンプストップ装置に対し次のように容易に適用できる。軌道輪が環状の下キャップと上キャップへそれぞれ取り付けられ、転動要素を両軌道輪間に配してバンプストップスラスト軸受を形成し、上記軸受をスプリングのカップと車輌のシャーシに取り付けられた弾性サポートブロックとの間に配し、上キャップで上記上軌道輪と上キャップが接触して配される弾性サポートブロックとの間にインターフェイスを形成し、下キャップで下軌道輪と環状の下キャップが接触して配置されるカップとの間でインターフェイスを形成し、各キャップが厚肉部と薄肉部とを有し、一つのキャップの薄肉部が軸方向で他のキャップの厚肉部の反対側に位置し、下軌道輪と上軌道輪が下キャップと上キャップの厚肉部に支えられているようにしてアンギュラコンタクトころがり軸受を形成する。軌道輪は軸方向そして半径方向荷重を受けることができるアンギュラコンタクトころがり軸受の製造を容易に可能とする。

好適な実施形態

本発明とその優位性は、添付図面に示される非限定的例としてのいくつかの実施形態の詳細な説明によって、より理解されるであろう。

図１において、ダンパは図示しないシリンダを有し、該シリンダ内ではロッド１がその上端で弾性サポートブロック２に接続されているピストンが摺動自在に配されており、上記弾性サポートブロックは、座を形成せるシャーシ３の要素に支持され、又、取り付けられている。弾性サポートブロック２は、二つの部分４ａ，４ｂから成り、ここにナット５によりダンパピストンロッド１が取り付けられている環状の内側リンク要素４と、シャーシ３への固定に使われる環状の外側リンク要素６と、バンプストップころがり軸受８の座として作用する環状の上カップ７と、これらの三つの部材の表面に接着されこれらの三つの部材の間での振動を吸収するように接続されるゴムブロック９とを有している。

外側リンク要素６は、例えばねじやボルトで、シャーシ３に取り付けられている。上カップ７は、軸方向で内側リンク要素４に取り付けられているが、直径がより大きくなっている。又、図には環状の下カップ１１に対し、上部が接しているサスペンションスプリング１０が示されており、該下カップ１１はバンプストップころがり軸受８に接している。

上カップ７はラジアル部７ａと該ラジアル部７ａの大径側から延びる円筒のアキシャル
部７ｂとを有している。ラジアル部７ａの上面と筒状部７ｂの外面は、弾性サポートブロック２のゴムブロック９と接している。

下カップ１１は、スプリング１０の端部が当接する溝部１１ａと、該溝部１１ａから半径内方に延びるラジアル部１１ｂと、該ラジアル部１１ｂの内側自由端から上カップ７ａに向けて軸方向に延びる筒状部１１ｃとを有している。

図２にさらに良く見られるように、バンプストップ８は、上軌道輪と下軌道輪１３とを有し、両軌道輪間には、この例の場合ボールとに示されている複数の転動要素１４が収められており、この複数の転動要素は合成樹脂製の保持器１５により周方向に等分布するように保持されている。上軌道輪１２と下軌道輪１３は鋼板を打抜きそしてプレス加工して作られている。

上軌道輪１２は、ボールのためのトーラスな軌道を形成するのに適切な四分円形状の凹弯曲面をなす断面をもつトロイダル部１２ａを有し、該トロイダル部１２ａは該トロイダル部１２ａの下縁から延びるラジアル部１２ｂによって外方に延出している。

下軌道輪１３は、ボールのためのトーラスな軌道を形成するために適切な四分円形状の凹弯曲面をなす断面をもつトロイダル部１３ａを有し、該トロイダル部１３ａは該トロイダル部１３ａの上縁から延びるラジアル部１３ｂによって内方に延びている。上記上軌道輪１２の内径は下軌道輪１３の外径とほぼ等しい。

サスペンションバンプストップ８は、ガラス繊維含有のポリアミドのような合成樹脂により作られた環状の上キャップ１６と環状の下キャップ１７とを有している。上キャップ１６は外周厚肉部１８を有し、該厚肉部１８の上部から、これよりも薄いラジアル薄肉部１９が半径内方に延びている。

厚肉部１８は、下キャップ１７の方に向け位置するラジアル面１８ｂと、断面で凹弯曲をなして下キャップ１７の方に向け位置し半径内方に延びるトロイダル内側面１８ａとを有し、該内側面１８ａが厚肉部１８と薄肉部１９とを連絡している。厚肉部１８は半径内方に向けて厚みが減少している。上キャップ１６は、上側ラジアル面１６ａと外側円筒面１６ｂとを有し、両社は丸みをもつ斜面１６ｃでつながっている。

上キャップ１６は、薄肉部１９の小径部の領域から下キャップ１７の方へ向けて軸方向に延びる内スカート２０を有している。又、この上キャップ１６は、厚肉部１８の大径部の領域から下キャップ１７の方へ向けて軸方向に延びる外スカート２１を有している。

厚肉部１８は上軌道輪１２に適合する形状となっており、トロイダル部１２ａの凸弯曲外面が厚肉部１８のトロイダルな内側面１８ａと接面しており、ラジアル部１２ｂは厚肉部１８のラジアル面１８ｂへ突出している。

下キャップ１７は小径部に厚肉部２２を有し、この厚肉部２２の下部から半径外方に向け延びており、厚肉部２２より薄いラジアル部２３を有している。厚肉部２２は、断面にて外方に向け凹弯曲した外側面２２ａを有し、該外側面２２ａは厚肉部２２と薄肉部２３へを連絡している。厚肉部２２は厚さは外方に向け減少している。上キャップ１７は下側ラジアル面１７ａと内側円筒面１７ｂとを有し、両者は丸みをもつ斜面１７ｃでつながっている。

厚肉部２２は下軌道輪１３に適合する形状となっており、トロイダル部１３ａの凹弯曲内面が厚肉部の外側面２２ａと接面しており、ラジアル部１３ｂは下キャップ１７の厚肉
部２２と若干重なっている。

下キャップ１７は厚肉部２２から上キャップ１６へ向けて軸方向に延びる環状リブ２４を有している。該環状リブ２４の直径は内側円筒面１７ｂの直径よりも大きく、外側面２２ａの小径領域の直径よりも小さい。下キャップ１７は、円筒面１７ｂを環状リブとの間に位置するラジアル面２２ｂと、環状リブ２４と外側面２２ａの上縁との間に位置するラジアル面２２ｃとを有している。下軌道輪１３のラジアル部１３ｂは上記環状リブ２４に半径方向で近づいてラジアル面２２ｃと重なっている。

上キャップ１６の内スカート２０はラジアル面２２ｂに対し軸方向で近づくように延びており、これによって、狭いラジアル隙間を形成している。内スカート２０は環状リブ２４を包囲して、これにより、狭いアキシャル隙間を形成している。かくして、内スカート２０は、環状リブ２４と協働して、下キャップ１７と上キャップ１６の間にシール手段としての狭い隙間を形成する。

内スカート２０は下キャップ１７の厚肉部２２の内径にほぼ等しい内径を有している。

下キャップ１７は、ラジアル部２３の大径側にて、環状フランジ２５ａの面から外方
に向け傾斜して延びる弾性ラジアルリップ２５を有し、上キャップ１６の外スカート２１の内面と接触もしくは近接している。リップ２５は半径外方へそして軸方向では上キャップ１６に対して反対方向へ延びている。該リップ２５は、上キャップ１６と下キャップ１７と間のシール手段をなすような、狭い隙間あるいは摩擦接触を生ずることを可能としている。

外スカート２１は、上キャップ１６に対して反対側の軸方向端に、半径内方に向いて延びる環状フランジ２６を有している。該環状フランジ２６は下キャップのリップ２５を半径内方に変形して該リップ２５の一方向での軸方向移動を許容し、又、他方向での軸方向移動を阻止する。かくして、下キャップ１７は上キャップ１６に対し軸方向で保持される。フランジ２６は、下キャップ１７が上キャップ１６へ挿入されるときに、上キャップ１６から離れるように形成されてリップ２５の変形を容易とする円錐台形状面２６ａを有している。又、フランジ２６は、上キャップ１６の方に向く円錐台形状面２６ｂを有し、もし下キャップ２７が上キャップ１６から軸方向に離れる方向に移動しようとしたとき、リップ２５が上記円錐台形状面２６ｂに当接し、下キャップ１７と上キャップ１６とが軸方向に離れることを阻止する。

リップ２５はシールと軸方向係合の二つの機能を有している。リップ２５は、下キャップ１７と一体とすると一部材として簡単に作ることができる。リップ２５は、容易な組立そして必要部位に軸方向遊びをもった係止を可能とする。

サスペンションバンプストップ８はシール２７を有し、該シール２７は、下キャップ１７の環状スロット２９に位置しここに嵌め込まれたヒール２８と、半径方向外方へそして軸方向で上カップ１６の方向へ延びて上軌道輪のラジアル部１２ｂと摩擦接触するリップ３０とを有している。シール２７のヒール２８は、下軌道輪１３のトロイダル部１３ａの自由端部を包囲して配列された複数の転動要素１４に対して軸方向で対面するように位置づけられている。

上キャップ１６と下キャップ１７を用いることにより、軸方向で上キャップ１６と下キャップ１７によりそして半径方向では内スカート２０と外スカート２１により境界づけられる内部空間が形成され、この内部空間内に軌道輪１２，１３と転動要素１４が配されることとなる。この内部空間のシールも容易に行なわれる。

キャップ１６，１７は、上カップ７と上軌道輪１２との間、そして下軌道輪１３と下カップ１１との間にそれぞれインターフェイスを形成し、上カップ７と下カップ１１との間で軸方向そして半径方向荷重を伝達し分散せしめる。図１にもどると、上キャップ１６はその厚肉部１８と薄肉部１９とで上カップ７のラジアル部７ａに対し軸方向で接し、その厚肉部１８で筒状部７ｂと接している。厚肉部１８は半径方向そして軸方向の荷重を上カップ７へ伝達する。薄肉部１９は主として軸方向荷重を上カップ７へ伝達する。同様に、その厚肉部２２と薄肉部２３とで下カップ１１のラジアル部１１ｂに対し軸方向で接し、その厚肉部２２でアキシャル部１１ｃと半径方向で接している。

適宜、上キャップ１６は、中間部材としての上カップ７を用いずに、ゴムブロック９と直接に接触するようになっていてもよい。

環状フランジ２６と協働するリップ２５は上キャップ１６と下キャップ１７との間の軸方向保持手段を形成し、その結果、サスペンションバンプストップころがり軸受８は組立が容易で分離しないようになり、したがって、事故的な分離という事態もなく作業者により取り扱われることができる。

サスペンションバンプストップころがり軸受８のシール性を向上させるために、図３に見られるように、第二シール３１を設けることとしてもよく、該第二シールはヒール３２とリップ３４とを有し、ヒール３２は、薄肉部１９の小径部領域で、上キャップ１６の内スカート２０と薄肉部１９の環状フランジ１９aとの間に形成された環状スロット３３へ取り付けられており、リップ３４は傾斜していて、軸方向では下キャップ１７の方向へ延び、半径方向では外方へ延びて下軌道輪１３のラジアル部１３ｂと摩擦接触している。

厚肉部２２，１８に対し半径方向そして軸方向で反対方向に延びる薄肉部１９，２３のそれぞれの存在により、追加的なシール３１，２７の取付けを容易とする。

図３に示される実施形態では、ラジアル面２２ｂがラジアル面２２ｃに対し軸方向下方にずれたレベルで形成されていて、外スカート２１が軸方向にさらに延び、環状リブ２４がリップ３４の延出を許容しつつも、既述の実施形態と同様な狭い隙間を確保できる程度で少なめに軸方向に延びている。

既出の実施形態では、上キャップ１６そして下キャップ１７はモールド成形で容易に得られる。好ましくは、シール２７，３１は上キャップ１６そして下キャップ１７に直接オーバーモールドして、あるいは上記キャップ１６，１７と同時にデュアル射出成形して得られる。

下軌道輪１３の外径は上軌道輪１２の内径にほぼ等しい。この特殊な形態は、図４ないし図６に示されるように、上軌道輪１２と下軌道輪１３とが同一素材から得られるということを意味する。

図４では、薄い金属シートから、例えば打抜きそしてプレスで成形された環状のカップ３５は、将来二つの軌道輪３６，３７となる部分がつながって得られ、これは、図４における線３８で分離される。小径の軌道輪３６は、断面において四分円形状でその外面３９aが凹弯曲面をなすトロイダル部３９と、該トロイダル部３９の小径側領域から内方に延びるラジアル部４０とを有している。

ラジアル部４０に対して反対側の自由端からは軌道輪３７が延びている。軌道輪３７は、断面において四分円形状でその内面４１aが凸弯曲面をなすトロイダル部４１と、軌道
輪３６に対し反対側の軌道輪３７の自由端から外方に延びるラジアル部４２とを有している。

軌道輪３６，３７のトロイダル部３９，４１の凹弯曲面３９a，４１aは、サスペンションバンプストップころがり軸受の転動要素、例えばボールのための軌道面に適合する形状となっている。

上軌道輪そして下軌道輪を得るために、カップ３５の回転中心軸線を通る中心をもちかつ線３８により半径方向で境界づけられる円で、カップ３５の材料を、例えば、パンチで軌道輪３６，３７を切り離す。軌道輪３６は外軌道輪３７の内径にほぼ等しい外径をもつようになる。凹弯曲面３９aは破線円４３で示された半径Ｒ１の凹部をなす。

図６は、破線円４４で示された、Ｒ１よりも小さい凹部半径Ｒ２を得るように軌道輪３７の凹部の半径が小さくされる追加成形工程後の軌道輪３７を示している。同じ工程において、軌道輪３７の内径は若干小さくされて、軌道輪３７がこの軌道輪３７をもつころがり軸受のピッチ円の半径を半径内方に越えるように突出し、軌道輪３７の自由端が大きい軸方向荷重の際に転動要素を損傷しないことを確実ならしめる。軌道輪３６についても同様な工程を経ることができる。

好ましくは、完成された軌道輪では、軌道輪３７の凹部半径Ｒ２が軌道輪３６の凹部半径と等しく、これらの両凹部半径は転動要素たるボールの半径よりも若干大きい。好ましくは、軌道輪３６の最終内径と軌道輪３７の最終外径との比は１〜１．０５の間の値である。

軌道輪３６と軌道輪３７を用い、図１ないし図３の軌道輪１３と軌道輪１２を形成するように内径と外径の調整成形を行なうと、上軌道輪１２のトロイダル部１２ａの自由端と下軌道輪１３のトロイダル部１３ａの自由端とは、サスペンションバンプストップころがり軸受８による大きな軸方向荷重の伝達の際、転動要素１４を傷めない。

サスペンションバンプストップころがり軸受８の製造工程は、同一素材から上軌道輪と下軌道輪とを得ることを可能とし、バンプストップころがり軸受の製造コストを低減させる。これに加え、単純な工程を追加するだけで、上軌道輪そして／又は下軌道輪の凹部半径が小さくでき、大きな軸方向荷重の伝達時に、各要素は正規の作動が確保される。

本発明によると、協働する二つキャップシールによって、あるいは別のシールによってシールされる内部空間を形成する上記二つのキャップを有するサスペンションバンプストップころがり軸受が得られる。又、特有の構造によって、このキャップはころがり軸受の軸方向で大きさを抑制し、別のシールの装着を容易とする。サスペンションバンプストップころがり軸受は軸方向と半径方向の両方の荷重の伝達を可能とし、下キャップと上キャップは下キャップから上キャップへあるいはその逆に、荷重を分散して良好に伝達する。

組立て状態におけるサスペンションバンプストップころがり軸受の軸方向断面図である。 図１によるサスペンションバンプストップころがり軸受の図である。 図２によるサスペンションバンプストップころがり軸受の変形例を示す図である。 図１ないし図３によるサスペンションバンプストップころがり軸受に用いられる二つの軌道輪の製造方法を工程順に示す図である。 図１ないし図３によるサスペンションバンプストップころがり軸受に用いられる二つの軌道輪の製造方法を工程順に示す図である。 図１ないし図３によるサスペンションバンプストップころがり軸受に用いられる二つの軌道輪の製造方法を工程順に示す図である。

Claims (20)

1. バンプストップ（８）を形成するアンギュラコンタクトころがり軸受と、スプリングのためのカップ（１１）と、車輌のシャーシに取り付けられた弾性サポートブロック（２）とを有し、上記ころがり軸受がカップ（１１）と上記弾性サポートブロック（２）との間に配され、上記ころがり軸受は、上軌道輪（１２）と、下軌道輪（１３）と、上下軌道輪（１２，１３）の間に配された転動要素（１４）とを有し、上記上軌道輪（１２）が弾性サポートブロック（２）に接触している環状の上キャップ（１６）に配されていて、上記弾性サポートブロック（２）と上記上軌道輪（１２）との間にインターフェイスが形成されている車輌用バンプストップ装置において、バンプストップ装置は、カップ（１１）と接触するように配されて上記下軌道輪（１３）と該カップ（１１）との間にインターフェイスを形成せしめる下キャップ（１７）を有し、各キャップ（１６，１７）が厚肉部（１８，２２）と薄肉部（１９，２３）とを有し、一つのキャップの薄肉部（１９，２３）が軸方向で他のキャップの厚肉部（２２，１８）の反対側に位置し、下軌道輪（１３）と上軌道輪（１２）が下キャップ（１７）と上キャップ（１６）の厚肉部（２２，１８）に支えられていてアンギュラコンタクトころがり軸受を形成していることを特徴とする車輌用バンプストップ装置。
2. 一方の軌道輪が他方の軌道輪の内径にほぼ等しい外径をもち、下軌道輪（１３）と上軌道輪（１２）が同一素材から得られ製造コストの低減を可能としていることとする請求項１に記載の車輌用バンプストップ装置。
3. 一方の軌道輪の内径と他方の軌道輪の外径との比が１．０〜１．０５の間の値であることとする請求項１又は請求項２に記載の車輌用バンプストップ装置。
4. 上キャップ（１６）と下キャップ（１７）が内部空間を形成し、該内部空間内に上軌道輪（１２）と下軌道輪（１３）とが配され、上キャップと下キャップが上記内部空間をシールするシール手段を有していることとする請求項１ないし請求項３のうちの一つに記載の車輌用バンプストップ装置。
5. 一方のキャップ（１６）は、軸方向で他方のキャップ（１７）に向け延びそして半径方向で内部空間を限界づけるスカート（２１）を有し、他方のキャップ（１７）と相俟って狭いシール隙間を形成していることとする請求項１ないし請求項４のうちの一つに記載の車輌用バンプストップ装置。
6. 一方のキャップ（１６）は他方のキャップ（１７）との係止のための軸方向係止手段を有していることとする請求項１ないし請求項５のうちの一つに記載の車輌用バンプストップ装置。
7. 他方のキャップ（１７）は一方のキャップ（１６）のスカート（２１）の方に向けて延びる弾性ラジアルリップ（２５）を有し、上記一方のキャップ（１６）のスカート（２１）のラジアルフランジ（２６）と協働して狭い隙間を形成し、軸方向にて一方の方向への移動を許容し他方の方向への移動を阻止するようになっていることとする請求項１ないし請求項６のうちの一つに記載の車輌用バンプストップ装置。
8. バンプストップ装置は他方のキャップ（１７）上に配されたシール（２７）を有し、該シール（２７）は、一方のキャップ（１６）に配された軌道輪のラジアル部（１２ｂ）もしくは上記一方のキャップ（１６）と接触する一つのリップ（３０）を有していることとする請求項１ないし請求項７のうちの一つに記載の車輌用バンプストップ装置。
9. シール（２７）は他方のキャップ（１７）に対しオーバーモールド射出成形あるいは上記キャップに同時にデュアル射出成形されて作られていることとする請求項８に記載の車輌用バンプストップ装置。
10. 下軌道輪と上軌道輪とを有するころがり軸受の製造方法において、一つの薄い環状カップ（３５）に二つの環状軌道輪（３６，３７）のためのそれぞれのトロイダル部分（３９，４１）を形成し、両部分を断面にて軌道面としての凹弯曲した面（３９ａ，４１ａ）に形成し、一方の軌道輪（３７）のための部分の内径が他方の軌道輪（３６）のための部分の外径とほぼ同じとなるようにして一体となっている状態とし、上記両軌道輪部分を分離して二つの軌道輪とし、大径の方の軌道輪の凹部半径及び内径が減少するように加工されていることを特徴とするころがり軸受の製造方法。
11. 請求項１０のころがり軸受の製造方法において、軌道輪（１２，１３）が環状の下キャップ（１７）と上キャップ（１６）へそれぞれ取り付けられ、転動要素（１４）を両軌道輪間に配してバンプストップスラスト軸受を形成し、上記軸受をスプリングのカップ（１１）と車輌のシャーシに取り付けられた弾性サポートブロック（２）との間に配し、上キャップ（１６）で上記上軌道輪（１２）と上キャップが接触して配される弾性サポートブロック（２）との間にインターフェイスを形成し、下キャップ（１７）で下軌道輪（１３）と環状の下キャップ（１７）が接触して配置されるカップ（１１）との間でインターフェイスを形成し、各キャップ（１６，１７）が厚肉部（１８，２２）と薄肉部（１９，２３）とを有し、一つのキャップの薄肉部（９，２３）が軸方向で他のキャップの厚肉部（２２，１８）の反対側に位置し、下軌道輪（１３）と上軌道輪（１２）が下キャップ（１７）と上キャップ（１６）の厚肉部（２２，１８）に支えられているようにしてアンギュラコンタクトころがり軸受を形成することを特徴とするころがり軸受の製造方法。
12. ころがり軸受が上軌道輪（１２）と下軌道輪（１３）とを有し、上軌道輪は環状の上キ
    ャップ（１６）に配され、該キャップは上記上軌道輪（１２）と転動要素との間にインターフェイスを形成するように軸受要素と接触しており、転動要素（１４）が上軌道輪と下軌道輪の軌道面間に配されているアンギュラコンタクトころがり軸受（８）において、軸受は下軌道輪（１３）とカップ（１１）との間でインターフェイスを形成するように、上記下軌道輪（１３）とカップ（１１）に接触する下キャップ（１７）を有し、各キャップ（１６，１７）が厚肉部（１８，２２）と薄肉部（１９，２３）とを有し、一つのキャップの薄肉部（１９，２３）が軸方向で他のキャップの厚肉部（２２，１８）の反対側に位置し、下軌道輪（１３）と上軌道輪（１２）が下キャップ（１７）と上キャップ（１６）の厚肉部（２２，１８）に支えられていてアンギュラコンタクトころがり軸受を形成していることを特徴とする車輌用サスペンションバンプストップ装置のためのアンギュラコンタクトころがり軸受。
13. 一方の軌道輪が他方の軌道輪の内径にほぼ等しい外径をもち、下軌道輪（１３）と上軌道輪（１２）が同一素材から得られ製造コストの低減を可能としていることとする請求項１２に記載の車輌用サスペンションバンプストップ装置のためのアンギュラコンタクトころがり軸受。
14. 一方の軌道輪の内径と他方の軌道輪の外径との比が１．０〜１．０５の間の値であることとする請求項１２又は請求項１３に記載の車輌用サスペンションバンプストップ装置のためのアンギュラコンタクトころがり軸受。
15. 上キャップ（１６）と下キャップ（１７）が内部空間を形成し、該内部空間内に上軌道輪（１２）と下軌道輪（１３）とが配され、上キャップと下キャップが上記内部空間をシールするシール手段を有していることとする請求項１２ないし請求項１４のうちの一つに記載の車輌用サスペンションバンプストップ装置のためのアンギュラコンタクトころがり軸受。
16. 一方のキャップ（１６）は、軸方向で他方のキャップ（１７）に向け延びそして半径方向で内部空間を限界づけるスカート（２１）を有し、他のキャップ（１７）と相俟って狭いシール隙間を形成していることとする請求項１２ないし請求項１５のうちの一つに記載の車輌用サスペンションバンプストップ装置のためのアンギュラコンタクトころがり軸受。
17. 一方のキャップ（１６）は他方のキャップ（１７）との係止のための軸方向係止手段を有していることとする請求項１２ないし請求項１６のうちの一つに記載の車輌用サスペンションバンプストップ装置のためのアンギュラコンタクトころがり軸受。
18. 他方のキャップ（１７）は一方のキャップ（１６）のスカート（２１）の方に向けて延びる弾性ラジアルリップ（２５）を有し、上記一方のキャップ（１６）のスカート（２１）のラジアルフランジ（２６）と協働して狭い隙間を形成し、軸方向にて一方の方向への移動を許容し他方の方向への移動を阻止するようになっていることとする請求項１２ないし請求項１７のうちの一つに記載の車輌用サスペンションバンプストップ装置のためのアンギュラコンタクトころがり軸受。
19. 軸受は他方のキャップ（１７）上に配されたシール（２７）を有し、該シール（２７）は、一方のキャップ（１６）に配された軌道輪のラジアル部（１２ｂ）もしくは上記一方のキャップ（１６）と接触する一つのリップ（３０）を有していることとする請求項１２ないし請求項１７のうちの一つに記載の車輌用サスペンションバンプストップ装置のためのアンギュラコンタクトころがり軸受。
20. シール（２７）は他方のキャップ（１７）に対しオーバーモールド射出成形あるいは上記キャップに同時にデュアル射出成形されて作られていることとする請求項１９に記載の車輌用サスペンションバンプストップ装置のためのアンギュラコンタクトころがり軸受。

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