JP4408177B2 - パターン形成体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレクトロニクス素子、バイオ素子、光学素子、センサ、電磁波シールドに用いられるパターン形成体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エレクトロニクス素子等に用いられる精細なパターンを必要とするパターン形成体は、通常フォトリソグラフィ法により形成されてきた。しかしながら、フォトリソグラフィ法は、フォトレジストの塗布、露光、現像等の多くの工程を行う必要があることから、手間やコスト面で問題とされる場合があった。
【0003】
特に、ガラスやプラスチックなどの非導電性材料に対して導電性のパターンを形成するパターン・メタライジングは、
1)スパッタ膜や金属箔が基材表面全面に形成されたものにフォトレジストを全面塗布し、フォトマスク越しに露光し、現像した後に不要な金属部分を除去し、最後に残りのレジストを除去する方法、
2)基材にフォトレジストを塗布し、フォトマスク越しに露光し、現像した後に基材表面を処理剤で変性/粗面化し、その後その部分に触媒を付着させて無電解めっきを施し、必要であれば電解めっきを併用し、最後に残りのレジストを除去する方法、
等の手法が用いられてきた。これらは、いずれもフォトレジストを用いるため工程が煩雑であり、廃液も多量に発生する。
【0004】
また、近年、フォトレジストレスの非導電性基材へのパターン・メタライジング法として、光解像性触媒を用いる手法が提案されているが(例えば、特開平7−336018号公報等)、プロセス確立が従来の無電解めっきの場合と比べて、困難で実用化に至っていない。また、この方法でも、マスクを用いた露光工程は必須であり、未露光部の不活性触媒を除くための現像工程が必要な場合も多いという問題があった。
【0005】
一方、フォトレジスト法によらずに精細なパターンを形成する方法として、マイクロ・コンタクトプリンティング法が、ハーバード大学のジョージ M,ホワイトサイズ(Jeorge M. Whitesides)により提唱されている(例えば、米国特許第5,512,131号、同5,900,160号、特開平9−240125号、特開平10−12545号など)。このマイクロ・コンタクトプリンティング法は、比較的微細なパターンを高生産性で量産する可能性のある手法として注目を浴びている。この手法は、真空装置やガス処理装置などの半導体設備投資が見合わない小ロット多品種、かつ納期の短い半導体製品や、センサーチップやマイクロリアクターなどのバイオ・化学分野における各種機能性素子の製造方法として有望である。
【0006】
このマイクロ・コンタクトプリンティング法は、ポリジメチルシロキサン類に代表されるエラストマーをスタンプとし、これにアルカンチオール類に代表される有機チオール類を吸収させ、それを金に代表される金属表面を有する基板に所定時間密着させた後に剥がすことにより(コンタクトプリンティング)、基板上に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer、以下SAMとする。)を形成する手法である。
【0007】
ところで、一般に金表面以外でチオールのSAMを形成することは困難である。また、シランカップリング剤として知られるようなシラン化合物のSAMを形成する場合は、ガラスや酸化シリコンのような水酸基を多く有する表面が必要である。特にシラン化合物は、大気中の水分と激しく反応するために、SAMを再現性良く得るのは、一般に困難である。また、マイクロ・コンタクトプリンティングによりパターン状に形成されたSAMは、フォトリソグラフィ無しで形成できるレジストとして用いられるが、実用レベルまで点欠陥などを無くすことは困難であると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、マイクロ・コンタクトプリンティングに適さないような場合であっても、フォトリソグラフィ法を用いることなく精細なパターン形成体を製造することが可能なパターン形成体の製造方法を提供することを主目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載するように、基材の表面材料を化学的に変性するために、版を用いて基材の表面材料に前記表面材料を変性する変性剤をパターン状に付着させ、基材の表面材料に化学的に変性された領域のパターンを形成する工程を含むことを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
【0010】
本発明はこのように、版を用いて基材の表面材料に変性剤をパターン状に付着させて、表面をパターン状に化学的に変性された領域を形成することが可能であることから、フォトリソグラフィ法等を用いることなく化学変性領域の微細なパターンを形成することが可能である。
【0011】
この際、請求項2に記載するように、前記変性剤が、基材の表面材料を化学的に除去することも可能であるものであってもよい。化学的に変性されたパターンを形成する際に、さらに化学的に除去したパターンとすることにより、得られるパターン形成体の用途が拡大するからである。また、化学的に変性された領域のパターンに他の機能性材料を密着させる場合等においては、この化学的に変性された領域に凹部が形成されていることにより、アンカー効果等により基板と機能性材料とをより高い強度で密着させることが可能となるからである。
【0012】
上記請求項1もしくは請求項2に記載された発明においては、請求項3に記載するように、前記基材の表面材料が絶縁性の材料であり、かつ前記工程により形成された化学的に変性された領域のパターンに導電性材料を付着させる工程を含むものであってもよい。このように化学的に変性された領域に導電性の材料を付着させることにより、フォトリソグラフィ法を用いずに導電層の精細なパターンを形成することが可能となる。
【0013】
さらに、上記請求項3に記載された発明においては、請求項4に記載するように、前記化学的に変性された領域のパターンに導電性材料を付着させる工程が、化学的に変性された領域のパターンに触媒を付着させる工程と、パターン状に触媒が付着した基材を無電解めっきに供する工程とを含むものであってもよい。このような工程を有することにより、簡便に非導電性の基材上に導電層のパターンを形成することが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、請求項5に記載するように、基材の表面材料を化学的に除去するために、版を用いて基材の表面材料に前記表面材料を除去する除去剤をパターン状に付着させ、基材表面に化学的に除去された領域のパターンを形成する工程を含むことを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
【0015】
このようにして基材表面に化学的に除去された領域のパターンを形成することが可能となることから、このパターン状に形成された凹部に機能性材料を付着させることにより、機能性材料のパターンが形成されたパターン形成体を、フォトリソグラフィ工程無しに容易に形成することができる。
【0016】
上記請求項5に記載された発明においては、請求項6に記載するように、前記基材が表面に前記除去剤により除去可能な膜厚を有する薄層を有する基材であり、前記除去剤が前記薄層の材料を化学的に除去することができる除去剤であるものであってもよい。このように表面に薄層を有する基材であれば、この薄層を除去剤で除去することにより、薄層が機能性材料であれば、薄層のパターンを有するパターン形成体を、また基材が機能性材料であれば、薄層によりパターン状にマスクされた基材のパターンを有するパターン形成体を得ることができる。
【0017】
上記請求項6に記載された発明においては、請求項7に記載するように、前記薄層が導電性を有する薄層であり、基材が絶縁性の基材であるものを用いることができる。この場合は、薄層をパターン状に除去することにより、導電層のパターンを容易に形成することが可能となる。
【0018】
上記請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項8に記載するように、前記版が、凸版、平版および孔版のいずれかを用いることができる。本発明においては、一般的な印刷に用いられる凸版、平版および孔版を用いて印刷することにより、容易に上記変性剤もしくは除去剤を基材表面にパターン状に付着させることが可能となる。
【0019】
一方、上記請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項9に記載するように、前記版の版面上において、前記変性剤または前記除去剤を基材の表面材料に付着させる付着面が、連続孔を形成した多孔質構造を有する材料で形成されていることが好ましい。上記変性剤もしくは除去剤が、従来の印刷法のように版の版面のみに付着したものである場合は、量的な問題から基材表面の変性もしくは除去が十分に進まない可能性がある。この場合、このように多孔質構造を有する材料をこの部分に用いることにより、変性剤もしくは除去剤を基材上の変性もしくは除去すべき部分に十分に付着させることが可能となり、これにより基材上の変性もしくは除去を十分に進ませることが可能となる。
【0020】
上記請求項9に記載された発明においては、請求項10に記載するように、上記付着面が、凸面となっていることが好ましい。このように多孔質構造を有する付着面を凸面とすることにより、基板上に精度良くインクを付着させることが可能となるからである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のパターン形成体の製造方法は、基材の表面材料をパターン状に変性することによりパターン形成体を製造する第1実施態様と、基材の表面材料をパターン状に除去することによりパターン形成体を製造する第2実施態様に分けることができる。以下、それぞれの実施態様について説明する。
【0022】
1.第1実施態様
本発明のパターン形成体の製造方法の第1実施態様は、基材の表面材料を化学的に変性するために、版を用いて基材の表面材料に前記表面材料を変性する変性剤をパターン状に付着させ、基材の表面材料に化学的に変性された領域のパターンを形成する工程を含むことを特徴とする。
【0023】
このように、本実施態様においては、版を用いて変性剤を基材表面にパターン状に付着させるものであり、これにより基材表面に化学的に変性された領域のパターンを形成するものであるので、フォトリソグラフィ法を用いることなく基材表面に化学的に変性された領域のパターンを形成することができる。この化学的に変性された領域、もしくは化学的に変性されていない領域に、機能性材料を付着させることにより、種々の有用な機能性素子を得ることができる。
【0024】
例えば、基材の表面材料に無電解めっきのための触媒を付着させるための化学的な変性、すなわち加水分解変性もしくは酸化分解変性された変性領域をパターン状に形成することにより、ここに無電解めっきのための触媒を付着させることができる。この触媒がパターン状に付着した基材に無電解めっきを施すことにより、めっき層がパターン状に付着した基材を得ることができるのである。
【0025】
本発明のパターン形成体は、このようにパターン状にめっき層を形成することにより機能性材料として導電層を形成した導電性パターン形成体としての用途(以下、用途1とする場合がある。)の他、例えば、ポリエチレングリコール、脂質(2分子)膜、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、ポリn−イソプロピルアクリルアミド、これらのモノマーユニットを1成分とする共重合体、ポリペプチド、DNAなどの生体適合性材料、さらに、これらに架橋性を付与した生体適合性材料をパターン状に付着させたマイクロカラムなどのマイクロ流体デバイス、バイオ−マイクロエレクトロメカニカルシステム(バイオMEMS)、バイオチップ、バイオセンサー、細胞培地等の用途(以下、用途2とする場合がある。)を挙げることができる。
【0026】
さらに、他の用途としては、ポリアクリル酸、ポリ4−スチレンスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの高分子電解質、これらのモノマーユニットを含むイオン性高分子共重合体、さらにこれらのポリマーを用いたポリイオンコンプレックス、またポリn−イソプロピルアクリルアミドなどの非イオン性水溶性高分子及び該モノマーユニットを1成分とする共重合体などをパターン状に付着させた、マイクロカラムなどのマイクロ流体デバイスなどの用途(以下、用途3とする場合がある。)、さらにシリカ、チタニア、アルミナなどの酸化物などをパターン状に付着させた光学素子としての用途(以下、用途4とする場合がある。)等を挙げることができる。
【0027】
本発明に用いられる基材は、その表面の材料が、変性剤により化学的に変性され得るものであれば特に限定されるものではなく、最終的に得られるパターン形成体の用途、すなわち機能性素子の種類に応じて種々の材料を用いることができる。
【0028】
例えば、上述したように、基材表面に無電解めっきによりめっき層がパターン状に形成された導電性パターン形成体、すなわち上記用途1の場合に用いられる基材は、絶縁性である必要があり、さらに変性剤により加水分解変性もしくは酸化分解変性される必要がある材料が用いられる。具体的には、ポリイミド類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリウレタン類、セルロース類、ポリ(メタ)アクリレート類などが好適に用いられる。
【0029】
また、上記用途2および用途3の場合に用いられる基材としては、加工性、特に各種モールド成形性が必要であり、光学的検出用途では、特に透明性が求められる。このような用途において用いられる基材の具体例としては、ポリエステル類、ポリカーボネート類、セルロース類、ポリ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0030】
さらに、上記用途4、すなわち光学素子として用いる場合は、加工性、特に各種モールド成形性および透明性が求められ、基材として用いることができる具体的な材料としては、ポリエステル類、ポリカーボネート類、脂環式ポリオレフィン類、ポリ(メタ)アクリレート類などを挙げることができる。
【0031】
なお、本発明に用いられる基材は、単一物質である必要はなく、基材上に他の物質からなる表面層が形成されているものであってもよいが、本発明でいう基材の表面材料とは、このような基材の表面にある材料を示すものであり、複数層で形成された基材であれば表面層を形成するものがここでいう基材の表面材料に相当するものである。
【0032】
本発明は、このような基材の表面材料を化学的に変性するのであるが、この化学的変性は、主として次の工程でこの変性部分に機能性材料を付着させるための変性処理、もしくは機能性材料が付着しないようにするための変性処理をいう。すなわち、機能性材料が付着するように化学的に変性処理された場合は、次工程において機能性材料を変性部位に付着させることにより、機能性材料が付着しないように化学的に変性処理された場合は、次工程において機能性材料を変性していない部位に付着させることにより、機能性材料がパターン状に基材上に付着した機能性素子を製造するものである。
【0033】
具体的には、上記用途1においては、例えば無電解めっきの触媒を付着させるための加水分解処理もしくは酸化分解処理が行われる。また上記用途2においては機能性材料としての生体適合性材料を付着させるために、加水分解変性、酸化(分解)変性(親水性、吸着性の付与)が行われる。さらに上記用途3においては、機能性材料としての高分子電解質、イオン性高分子、ポリイオンコンプレックスを付着させるために、加水分解変性、酸化(分解)変性(親水性、吸着性の付与)が行われる。そして、上記用途4においては、機能性材料としての上述した各種酸化物を付着させるために、加水分解変性、酸化(分解)変性(親水性、吸着性の付与)が行われる。
【0034】
本発明においては、このような化学的な変性を、版を用いて変性剤をパターン状に基材の表面材料に付着させることにより行うものである。ここで用いることができる変性剤としては、変性の種類により種々のものを用いることができる。具体的には、化学変性が加水分解変性である場合に用いられる変性剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ性物質及びこれらの溶液等を挙げることができる。また、化学変性が加水分解変性および酸化(分解)変性である場合に用いられる変性剤としては、塩酸、硫酸、クロム混酸、酢酸などの有機酸類などの酸性物質及びこれらの溶液等を挙げることができる。
【0035】
上記変性剤を基材の表面材料上にパターン状に付着させる方法として、本発明は版を用いた方法を採用するものである。ここで、版を用いた方法とは、通常印刷法等に用いられる版を用いた印刷法を示すものであり、このような版を用いた印刷法であれば本発明はいかなる印刷法をも用いることができる。具体的には、凸版を用いた凸版印刷法、平版を用いた平版印刷法、さらには孔版を用いた孔版印刷法等を挙げることができる。また、基材の表面材料への転写方法としては、じか刷りであってもオフセットであってもよく、また加圧方法は、平圧式、円圧式、さらには輪転式のいずれをも用いることができる。
【0036】
本発明においては、中でも凸版を用いることが好ましい。この凸版を用いる印刷法の中でも、加圧方式が平圧式でじか刷りの方法を用いることが特に好ましい。
【0037】
本発明に用いられる版の素材としては、少なくとも変性剤に対して化学的に安定なものであれば特に限定されるものではなく、版の表面に変性剤を付着させて基材に転写させる素材であっても、版が変性剤を吸収しこれを基材に付着させるような素材であってもよい。
【0038】
版の表面に変性剤を付着させこれを基材に転写させる版の素材としては、一般的な印刷に用いられる版の素材、すなわち金属や高分子物質等が用途に応じて適宜選択されて用いられる。また、このような版の場合、変性剤が水系の場合は、版面をオゾン酸化などの方法により親水化することが効果的である。
【0039】
一方、版が変性剤を吸収しこれを基材に付着させるような素材としては、エラストマーやゲルを挙げることができ、好ましいエラストマー材料としては、マイクロ・コンタクトプリンティングにおいて汎用されるシリコーン樹脂系エラストマー、好ましいゲル材料としては、化学結合で架橋された親水性ゲルや親油性ゲルを挙げることができる。このようなエラストマーやゲルを素材として用いた版の例は、Laurent Libioulle 等、Langmuir、15巻、300-304ページ(1999)やBrett D. Martin 等、Langmuir、14巻、3971-3975ページ(1998)等に紹介されている。
【0040】
本発明は、上述したように基材の表面材料を直接化学変化させて変性させるところに特徴を有するものである。しかしながら、上述したような一般的な版を用いた方法では、変性剤は版面に付着した量のみ供給されることから、化学的な変性の種類によっては十分に変性が進まない場合がある。このような観点から、本発明においては、用いる版の版面上において、変性剤を基材の表面材料に付着させる付着面が、連続孔を形成した多孔質構造を有する材料で形成されている多孔質版を用いることが好ましい。すなわち、変性剤を基材の表面材料に付着させるパターン通りに版面に多孔質構造が形成された多孔質版を用いることが好ましいのである。
【0041】
このような多孔質版の形状としては、上述したように基材の表面材料に変性剤を付着させる付着面が多孔質構造となっていれば特に限定されるものではないが、特に上記付着面が凸面となっている版を用いることが好ましい。
【0042】
このような多孔質版について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の多孔質版の一例を示すものである。この例では、多孔質版1の付着面2の部分に多孔質構造3が配置された例であり多孔質構造3は多孔質版1を貫通することなく版面側のみに形成されている。この例に示すような構造の多孔質版の場合は、変性剤は予め多孔質構造3内に浸透させておく必要がある。すなわち、予め変性剤を付着面2に触れるようにして、毛細管現象等により多孔質構造3内に変性剤を浸透させておき、これを基材の表面材料に付着させるようにするのである。
【0043】
図2に示す例では、多孔質版1の多孔質構造3が、多孔質版1を貫通するように配置されている。この場合は、上述したように予め変性剤を浸透させておくことも可能であるが、図2に概略的に記載したように、多孔質版1の裏面側に変性剤4を供給する変性剤供給手段5を設け、これにより裏面側から変性剤4を多孔質構造3に連続的に供給するようにしてもよい。このようにすることにより、変性剤を多量に付着面に供給することが可能となる。
【0044】
図3は、多孔質版1のさらに異なる例を示すものであり、この例では付着面2が凸面となるように形成されている。またこの例では、多孔質版1全体が多孔質構造3とされており、版面側において付着面を除く凸部側面6および凹面7は表面に変性剤が漏れ出ないように多孔質構造3の孔を塞ぐような封止層8が形成されている。この例の場合も、変性剤は予め多孔質構造3内に浸透させておいてもよいし、図2に示すような変性剤供給手段を設けてもよい。
【0045】
また、図4は、図3と同様に付着面2が凸面となり、さらに多孔質版1全体が多孔質構造3とされた例であって、図3において付着面2以外に形成された封止層8が形成されていない例を示すものである。多孔質版1全体が多孔質構造とされた場合であっても、図4に示すように凸面を設けた場合は、封止層は必須とはならない。封止層を形成するか否かは、パターンに求められる精細度、コスト、多孔質構造の種類等によって決定されるものである。
【0046】
本発明の多孔質版は付着面が多孔質構造を有する材料で形成されていればよく、したがって、図1に示すように多孔質版の付着面の部分のみ多孔質構造としてもよいし、図2に示すように多孔質版を貫通するように多孔質構造を設けてもよいし、さらに図3および図4に示すように多孔質版全体を多孔質構造とするようにしてもよい。なお、多孔質版全体を多孔質構造とした場合は、図3に示すように付着面以外の部分から変性剤が漏れ出ないような処理を施すことにより、より高精細なパターンを形成することが可能となる。このような多孔質構造の配置は、凸面を有する場合も有さない場合もいずれの配置をも採ることが可能であり、例えば図1または図2に示すような凸面を有さない構造であっても多孔質版全体を多孔質構造とすることも可能であり、図3または図4に示すような凸面を有する構造であっても付着面のみを多孔質構造とすることも可能である。
【0047】
本発明における多孔質構造としては、内部に微細な連続孔を有する多孔質体と、繊維を挙げることができる。
【0048】
この内、多孔質体としては、多数の孔が三次元的に連続して形成されているものが好ましく、その孔径は用いる変性剤が粒子を含む場合は、その粒子径よりも大きなものでなければならない。また、変性剤が粒子成分を含まない場合は、多孔質構造の孔径が小さいほど、パターンを微細にできる。一般に、多孔質構造内の液状物質の移動は、孔径が50nmより大きい場合は、粘性流動(viscous flow)及び分子拡散(molecular diffusion)が支配的であり、孔径が2nm以上50nm以下の場合は、表面拡散(surface diffusion)及び毛細管移動(capillary transport)が支配的であり、孔径が2nm未満の場合は、活性化移動(activated transport)が支配的であると言われている。この点を考慮すると、本発明において望ましい孔径は、少なくとも2nm以上であり、好ましくは5nm〜50μmの範囲内、特に10nm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
【0049】
このような多孔質体としては、具体的にはスポンジ状発泡体、微粒子集積体を鋳型とした多孔質体等を挙げることができ、多孔質化する手法は、種々の公知の手法が適用可能である。
【0050】
また、この多孔質体は、例えば図2に示す多孔質構造3’に示すように、極めて径の小さい貫通孔が裏面側から版面側まで多数形成されたものや、微細なひび割れ状の隙間が多数裏面側から版面側まで通じているもの等であってもよい。具体的には陽極酸化体(ポーラスアルミナ)等を挙げることができる。
【0051】
本発明に用いられる多孔質構造は、上述した多孔質体の他、繊維を用いることも可能である。この場合各繊維が密に配置されたもの等が好適に用いられる。
【0052】
上述したような多孔質体もしくは繊維から構成される多孔質構造に用いられる材料としては、アルミニウム等の金属類、シリカ、チタニア、アルミナなどの金属酸化物類、加硫ゴム、ポリシラン類、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレートなどの高分子類などを挙げることができる。
【0053】
本発明に用いられる多孔質版が図3に示すような凸面を有する場合、この凸面のパターン形成方法としては、金型などの鋳型を用いる方法、彫刻法、レーザー描画法などの直描法、露光・現像法、ドライまたはウェットエッチング法などを好適に用いることができる。
【0054】
本発明のパターン形成体の製造方法により得られるパターン形成体は、上述したように、そのパターン上に種々の機能性材料を付着させることにより種々の機能性素子とすることが可能であるが、本発明においては、形成されたパターン上に導電層を形成することにより得られる導電性パターンを有する機能性素子の製造方法に用いることが特にその用途範囲の広さ等の理由から好ましいといえる。
【0055】
このような導電性パターンを有する機能性素子は、具体的には、プリント配線板、ディスプレイ用電極板、センサー用電極板等の用途に用いることができる。
【0056】
このような導電性パターン形成体を製造するためには、まず、基材の表面材料として、上述したような絶縁性の材料が用いられる。そして、化学的に変性された領域のパターンを形成する工程の後、その化学的に変性された領域に導電層を付着させ、導電性のパターンを形成する工程が施される。
【0057】
このような導電性パターン形成体を製造する場合の化学的な変性方法は、導電層の付着方法によって異なる。このような導電層の付着方法としては、例えば上述したような無電解めっきによる方法、ダイレクトプレーティングによる方法、さらには金属箔を転写させる方法を挙げることができる。このような各方法において用いられる化学的な変性方法としては、無電解めっきにより導電層を付着させる場合は、上述したように、無電解めっき用触媒を付着させるために基板の表面材料に加水分解処理もしくは酸化分解処理を施す。また、ダイレクトプレーティングの場合は、パラジウムやパラジウム/スズなどの金属核を付着させるために基板の表面材料に加水分解処理もしくは酸化分解処理を施す。また、金属箔転写法の場合は、加水分解処理や酸化分解処理により表面材料を可塑化することにより粘着性を発現させ、必要ならば加熱処理などの2次処理を施し、金属箔を転写させる方法が用いられる。
【0058】
本発明においては、中でも無電解めっきによる方法が好ましい。無電解めっきによる方法の場合は、例えば、従来の無電解めっきに用いられる基材表面処理剤を変性剤として用いることにより、基材表面を所望の部分のみ化学変性させることができる。これにより、触媒を付着させる場合に変性処理された部分のみに触媒が付着し、その後の無電解めっき工程では触媒が付着した部分のみがメタライジングされる。よって、結果としてフォトレジスト・レス、露光工程無しで非導電性基材上に金属パターンを形成することができる。用いられる変性剤は上述したように一般に基材を加水分解変性あるいは酸化分解変性させるものである。用いることができる絶縁性の基材の表面材料としては、上述したものの他、エポキシ樹脂やABS樹脂などのエンジニアプラスチックを用いることが可能であり、この場合も市販の変性剤を用いて容易に基材の表面材料を化学的に変性することができる。
【0059】
なお、このような無電解めっきによる方法も、当然上述した多孔質版を用いる方法により行うことが好ましいのであるが、この場合、触媒液、めっき液を多孔質版に充填する薬剤として用いることにより、全行程を多孔質版による印刷法により行うことが可能となる。
【0060】
このようにして無電解めっきにより導電層をパターン状に形成した後、さらに導電層を厚膜化するためには、電解めっきを併用してもよい。
【0061】
2.第2実施態様
本発明のパターン形成体の第2実施態様は、基材の表面材料を化学的に除去するために、版を用いて基材の表面材料に前記表面材料を除去する除去剤をパターン状に付着させ、基材の表面材料に化学的に除去された領域のパターンを形成する工程を含むことを特徴とするものである。
【0062】
このように、本実施態様においては、版を用いて除去剤を基材表面にパターン状に付着させるものであり、これにより基材表面を化学的に除去した領域のパターンを形成するものであるので、フォトリソグラフィ法を用いることなく基材表面を化学的に除去した領域のパターンを形成することができる。この化学的に除去した領域に、機能性材料を付着させることにより、種々の有用な機能性素子を得ることができる。
【0063】
また、本実施態様において、基材は、単一の材料で形成されたものであっても、基材の表面材料として、上記除去剤により除去可能であり、また除去可能な膜厚である薄層を有する基材であってもよい。基材が単一の材料で形成されている場合は、上述したように化学的に除去した領域に機能性材料を付着させることにより機能性素子とすることができるのであるが、上述したように基材の表面材料が除去剤により除去されることが可能な薄層である場合は、薄層自体が機能性材料とすることにより、もしくは薄層の下の基材材料自体を機能性材料とすることにより、単に除去剤によりパターン状に薄層を除去したパターン形成体自体が機能性素子となる場合もある。
【0064】
具体的には、基材が単一の材料で形成されている場合の用途としては、マイクロ流体デバイス、バイオMEMS等を挙げることが可能であり、この際用いることができる機能性材料としては、ガラスもしくは石英等を挙げることができる。
【0065】
また、基材の表面材料として除去剤により除去可能な薄層を有する基材を用いた場合の用途としてとしては、例えば透明基材上にITO(indium tin oxide)膜が形成されている場合に、酸性のエッチング液を用いてパターン状にITO膜を除去することにより、ITO膜のパターンが形成された透明基板を得るといった用途、薄層として銅、銀、および金を用いて電極とする用途などを挙げることができる。
【0066】
本発明に用いられる基材としては、除去剤により化学的に除去され得る材料で形成されているものであれば特に限定されるものではない。また上述したように、基材の表面材料として薄層を有する場合は、この薄層、すなわち基材の表面材料のみが除去剤により除去される材料で形成され、その下の基材自体は除去剤で化学的に除去されない材料で形成されていることが好ましい。
【0067】
本実施態様に用いられる除去剤およびそれにより除去される基材の表面材料としては、その後の機能性素子として用いることが可能な有用なものであれば特に限定されるものではないが、具体的には上述したように基材の表面材料、すなわち薄層としてITOを用い、除去剤として酸性のエッチング液を用いる組合せ、薄層として銅、銀、金等を用い、めっき分野で用いられている市販の除去剤を用いる組合せ(ディスプレイ用電極用)等を挙げることができる。
【0068】
このような第2実施態様と上述した第1実施態様の相違点は、変性剤の代わりに除去剤を用いた点、および基材の表面材料が除去剤により除去され得るものである点である。したがって、これらの点を除けば第1実施態様と第2実施態様とは同様であることから、他の構成に関しては、上述した第1実施態様で説明した方法等、例えば多孔質版を用いることができる等の点に関してはそのまま第2実施態様に用いることが可能である。よって、ここではこれらについての説明は省略する。
【0069】
3.第3実施態様(第1実施態様と第2実施態様の組合せ)
本発明においては、変性剤が基材の表面材料を除去することも可能な薬剤(以下、変性除去剤とする。)を用いることにより、基材の表面材料を化学的に変性させると同時に化学的に除去させたパターンを有するパターン形成体の製造方法をも提供する。
【0070】
このようなパターン形成体は、化学的に変性され除去されたパターンを有するものであるので、そのパターンへの機能性材料の付着が容易であり、かつアンカー効果等により高い密着性を有しつつ機能性材料をパターンに付着させることができる。
【0071】
具体的な例としては、上述した無電解めっきにより導電層のパターンを形成する方法において、基材の表面材料を化学的に変性および除去することができる変性除去剤を用いることにより、より密着性の高い導電層を無電解めっきにより得ることができるといった例や、タンパク質や細胞などの生体材料を、凹凸を有しかつ基材上に生体適合材料が付着した面に付着さることにより、上記生体材料の活性の低下を抑えるようにした例等を挙げることができる。
【0072】
本実施態様において用いられる変性除去剤と基材の表面材料との組合せとしては、例えば市販されている無電解めっき用表面処理剤と、第1実施態様で説明した絶縁性の基材との組合せを挙げることができる。このような無電解めっき用の表面処理剤は、上記第1実施態様では変性剤として例示したが、処理時間を増加させる等により変性除去剤として用いることもできるのである。
【0073】
このような第3実施態様と上述した第1実施態様の相違点は、変性剤の代わりに変性除去剤を用いた点、および基材の表面材料が変性除去剤により変性され除去され得るものである点である。したがって、これらの点を除けば第1実施態様と第2実施態様とは同様であることから、他の構成に関しては、上述した第1実施態様で説明した方法等、例えば多孔質版を用いることができる等の点に関してはそのまま第2実施態様に用いることが可能である。よって、ここではこれらについての説明は省略する。
【0074】
4.パターン形成体の製造手順の一例
以下、図面を用いて簡単に本発明のパターン形成体の製造手順の一例を説明する。図5は、本発明のパターン形成体の製造方法における第1実施態様の一例を示すものである。まず、図5(a)に示すように、図3で説明したような多孔質版1を調製し、これに変性剤を含浸させる。含浸方法は、多孔質版1の付着面2側から予め変性剤を浸透させる方法であっても、多孔質版1の裏面側から連続的に変性剤を供給する方法であってもよい。
【0075】
次に、図5(b)に示すように、このような多孔質版1を基板8に密着させる。この際付着面2において、変性剤が基板8の表面材料と接触し、化学的な変性が行われる。そして、図5(c)に示すように、基材8の表面材料に化学的に変性された領域9のパターンが形成される。なお、この化学的変性は、多孔質版1と基板8とを付着させている間に生じさせるようにしてもよいし、多孔質版1からの変性剤を基板8上に付着させておき、多孔質版1と基板8とを剥離した後においても化学的な変性を行うようにしてもよい。ただし、精度面を考慮すると、多孔質版1と基板8とを接触させ、その間に化学的な変性を完了させることが好ましい。
【0076】
このように化学的に変性された領域9が形成された基板8は、必要に応じて洗浄され、必要な機能性材料10をこの化学的に変性された領域9上に付着させることにより、機能性材料10を基板8上にパターン状に有する機能性素子であるパターン形成体を得ることができる。
【0077】
また、図6は、本発明のパターン形成体の製造方法における第2実施態様の一例を示すものである。まず、図6(a)に示すように、図1で説明したような多孔質版1を調製し、この多孔質構造3に予め除去剤を浸透させておく。
【0078】
次に、図6(b)に示すように、表面材料として薄層11を有する基材8を多孔質版1の付着面2が上記薄層11と接触するように密着させる。このように密着させることにより、上記薄層11が除去剤により除去され、薄層11がパターン状に形成されたパターン形成体を得ることができる(図6(c))。なお、上記薄層11を除去する方法は、多孔質版1と基板8とを密着させている間のみに限定されないことは上述した通りである。
【0079】
このようにして得られたパターン形成体を洗浄することにより、薄層11が機能性材料であれば、機能性材料がパターン状に形成された機能性素子であるパターン形成体を得ることができる。また、薄層11が除去された凹部に他の機能性材料を付着させることにより、機能性素子としてもよい。
【0080】
図6に示す例では、表面材料として薄層11を有する基材8を用いたが、上述したように、第2実施態様では基材は単一の材料で形成されたものであってもよく、このように基材が単一の材料で形成されている場合は、上述したような方法で得た凹部に機能性材料を付着させることにより、機能性材料が基材上にパターン状に形成された機能性素子を得ることができる。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0082】
【実施例】
以下、本発明のパターン形成体の製造方法について、実施例を通じてさらに具体的に説明する。
【0083】
[実施例1]
(多孔質版の形成)
市販の発泡体(積水化学工業社製、商品名:フォーマック#1005)を用い、凸面を有する多孔質版を彫刻法により作成した。
【0084】
(変性剤による基材表面材料の変性)
市販のトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製、商品名:TD80U)を基材として用いた。この基材を60℃のホットプレート上に設置し、変性剤である2規定の水酸化カリウム水溶液が浸透された上記多孔質版を上記基材上に載置し、12g・cm-2の印圧にて2分間処理した。その後、印圧を除き、処理後の基材であるTACフィルムをイオン交換水で十分に洗浄した。この結果、変性剤で処理した部分のみが加水分解された基材を得た。
【0085】
(無電解めっき)
上村工業社製触媒化剤である、5%S−10X(商品名)および5%A−10X(商品名)を用いた。まず、5%S−10Xに表面処理後TACフィルムを3分間浸漬し、その後、イオン交換水で洗浄した。次いで、フィルムを5%A−10Xに3分間浸漬し、その後イオン交換水で洗浄し、上記変性剤で変性された領域のパターンに触媒を付着させた基材(触媒化フィルム)を得た。この触媒化フィルムを、80℃の上村工業社製無電解ニッケルめっき液NPR−4(商品名)に浸漬したところ、変性剤で加水分解処理したパターンにのみ金属光沢のあるニッケル膜が形成された。めっき後は、基材表面の一部に黒味を帯びた汚れがあったが、その汚れは、ワイパーにより容易かつ完全に拭き取ることができた。このように汚れを拭き取ることにより、パターン状に形成されたニッケル膜が剥離することはなかった。このニッケル膜のテープ剥離試験による剥離は認められなかった。
【0086】
[実施例2]
(多孔質版の作成)
バンドー化学社製浸透印用多孔質ポリ塩化ビニルを用い、レーザ製版により凸面を有する多孔質版を形成した。
【0087】
(変性剤による基材表面材料の変性)
ポリイミドフィルムを基材として、荏原ユージライト社製のアルカリ粗面化薬液を変性剤として用い、実施例1と同様にして、基材表面をパターン状に化学的に変性処理した。
【0088】
(無電解めっき)
無電解銅めっき浴の組成は、縄船らの論文(表面技術、49巻、12号、1360−1361、1998年)を参考に調整した。浴温55℃で30分間無電解銅めっきを行ったところ、基材の表面材料を変性処理した部分にのみ、銅が析出した。多少地汚れが認められたが、析出した銅を損なうことなく、容易に拭き取ることができた。銅のテープ剥離試験による剥離は認められなかった。
【0089】
[実施例3]
ITO膜が全面に形成された透明導電性フィルムを基材として用い、酸性エッチング液を除去剤として用いて、実施例1と同様にして5分間、除去剤による化学的除去処理を行った。処理後、よく水洗して、版の付着面に相当する部分にのみITOがエッチングされた透明導電性フィルムを得た。化学的除去処理の前後で、ITOの表面抵抗値に変化はなかった。
【0090】
【発明の効果】
本発明のパターン形成体の製造方法によれば、版を用いて基材の表面材料に変性剤もしくは除去剤をパターン状に付着させて、その表面をパターン状に化学的に変性された領域、もしくは化学的に除去された領域を形成することが可能であることから、フォトリソグラフィ法等を用いることなく化学変性領域、もしくは化学的除去領域の精細なパターンを形成することが可能である。そして、この精細なパターン上に機能性材料を付着させることにより、有用な機能性素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターン形成体の製造方法に用いられる多孔質版の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のパターン形成体の製造方法に用いられる多孔質版の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のパターン形成体の製造方法に用いられる多孔質版の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明のパターン形成体の製造方法に用いられる多孔質版の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明のパターン形成体の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図6】本発明のパターン形成体の製造方法の他の例を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1 …… 多孔質版
2 …… 付着面
3 …… 多孔質構造
8 …… 基材
11 …… 薄層
Claims (9)
- 基材の表面材料を化学的に変性するために、版を用いて基材の表面材料に前記表面材料を変性する変性剤をパターン状に付着させ、基材の表面材料に化学的に変性された領域のパターンを形成する工程を含むパターン形成体の製造方法であって、
前記版は、前記変性剤を基材の表面材料に付着させる付着面から裏面側まで貫通した多孔質構造を有しており、
前記版の裏面側には前記変性剤を版に供給するための変性剤供給手段が設けられており、当該手段により、連続的に変性剤を供給することを特徴とするパターン形成体の製造方法。 - 前記変性剤が、基材の表面材料を化学的に除去することも可能であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成体の製造方法。
- 前記基材の表面材料が絶縁性の材料であり、かつ前記工程により形成された化学的に変性された領域のパターンに導電性材料を付着させる工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体の製造方法。
- 前記化学的に変性された領域のパターンに導電性材料を付着させる工程が、化学的に変性された領域のパターンに触媒を付着させる工程と、パターン状に触媒が付着した基材を無電解めっきに供する工程とを含むことを特徴とする請求項3に記載のパターン形成体の製造方法。
- 基材の表面材料を化学的に除去するために、版を用いて基材の表面材料に前記表面材料を除去する除去剤をパターン状に付着させ、基材表面に化学的に除去された領域のパターンを形成する工程を含むパターン形成体の製造方法であって、
前記版は、前記除去剤を基材の表面材料に付着させる付着面から裏面側まで貫通した多孔質構造を有しており、
前記版の裏面側には前記除去剤を版に供給するための除去剤供給手段が設けられており、当該手段により、連続的に除去剤を供給することを特徴とするパターン形成体の製造方法。 - 前記基材が表面に前記除去剤により除去可能な膜厚を有する薄層を有する基材であり、前記除去剤が前記薄層の材料を化学的に除去することができる除去剤であることを特徴とする請求項5に記載のパターン形成体の製造方法。
- 前記薄層が導電性を有する薄層であり、基材が絶縁性の基材であることを特徴とする請求項6に記載のパターン形成体の製造方法。
- 前記版が、凸版、平版および孔版のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載されたパターン形成体の製造方法。
- 前記付着面が、凸面となっていることを特徴とする請求項8記載のパターン形成体の製造方法。
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