JP4406496B2 - 車両用フエルト材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の吸音材および緩衝材として使用する車両用フエルト材の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から自動車に吸音用または緩衝用として一般的に用いられてきたレジンフエルトは、繊維を結合させるバインダーとしてフェノール樹脂を使用したものであった。
ところで、フェノール樹脂はその材料中に残存するホルムアルデヒドが人体に有害であり環境にも悪影響を及ぼすおそれがあるので問題となっている。
また、レジンフエルトに代わるフエルト材としては、従来から合繊等の反毛をニードリング加工したニードルフエルトがあるが、ニードルフエルトはレジンフエルトと比較して吸音性能が劣り重量もレジンフエルトと比較して2倍近くあるので車体重量が増すなど車両用としては不向きであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、環境および人体にやさしい材料の開発が市場ニーズであるにもかかわらず、従来ではそれを満たすようなフエルト材の開発ができていないのが現状である。
そこで本発明の目的は、フェノール樹脂を使用することなく、しかも車両用吸音材および車両用緩衝材としての必要な性能をすべて満足し得る画期的なフエルト材を開発,製造し、これを市場に安価に安定供給できるようにすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明の車両用フエルト材は、綿反毛を10〜70重量%、デニム反毛を10〜70重量%、化繊反毛を10〜70重量%、ウール反毛または難燃性アクリル繊維を10〜20重量%の比率にて混綿した原料繊維と、高融点のポリプロピレン樹脂からなる芯材部の周囲に低融点のポリエチレン樹脂からなる鞘部を形成した複合繊維材料であって太さを4〜8デニール、繊維長を1/2インチ以下とした低融点熱融着繊維とからなり、前記原料繊維に対して低融点熱融着繊維を10〜40重量%の比率で配合し、これを熱風で加熱することにより該低融点熱融着繊維を溶融し前記原料繊維を接着させてなることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に図面と共に本発明の車両用フエルト材の実施の形態を説明する。本発明の車両用フエルト材は、綿反毛を10〜70重量%、デニム反毛を10〜70重量%、化繊反毛を10〜70重量%の比率にて混綿したものを原料繊維とする。ここに、綿反毛とは、ワイシャツ等の生地の裁断屑布(綿とポリエステルの混合)を解繊した繊維の総称で、縫製工場等から一定品質のものが安定的に得られる。また、デニム反毛とはジーンズに使用する生地の裁断屑布(綿100%)を解繊した繊維の総称で、これも縫製工場等から安定的に得られる。また、化繊反毛は各種洋服に使用する生地の裁断屑布(ナイロン,アクリル,ポリエステル等の混合)を解繊した繊維の総称で、これも所定の縫製工場等から安定的に得ることができる。
【0006】
また本発明では、上記原料繊維に低融点ポリプロピレン繊維,低融点ポリエチレン繊維等の低融点熱融着繊維を10〜40重量%の比率で配合する。なおこの低融点熱融着繊維はその太さが4〜8デニールで、繊維長が1/2インチ以下の巻縮性の少ないものが適している。またこの低融点熱融着繊維として、図1に示したように高融点(融点165℃)のポリプロピレン樹脂からなる芯材部aの周囲に低融点(融点130℃)のポリエチレン樹脂からなる鞘部bを形成してなる複合繊維材料(以下、ES繊維という。)を使用するのが望ましい。
【0007】
図2はこれらの原料繊維から車両用フエルト材を製造する過程の概略を図示したもので、1a〜1cは原料繊維を綿状に解繊するテヤリングマシン、2は一定量の原料を正確に送るホッパーフィダー、3は解繊された原料繊維を均一に混合してフリースを作るフリースフォーミングマシン、4は120〜160℃の熱風を循環させるオーブン、5は強制空冷装置、6はカッティングマシンである。上記各原料繊維は上記テヤリングマシンにて解繊した後、フリースフォーミングマシン3に送られて均一に混合され、目付量1000g/m2,厚み20mmのフリースに形成される。そして該フリースをオーブン4に挿入し熱風で加熱することにより、前記低融点熱融着繊維を溶融させ原料繊維どうしを接着させる。なお、低融点熱融着繊維として上記複合繊維材料(ES繊維)を使用した場合は、表面の低融点のポリエチレン樹脂を溶融させ原料繊維を接着させる。
【0008】
次に本発明に至る経緯をその過程で試作された種々の試作例について説明する。
表1に示した試作例1−1〜1−3は、従来のレジンフェルトの原料配合と同一の配合で、低融点熱融着繊維を混綿して、綿と低融点熱融着繊維の接着性を確認したものである。なお、表中の「PET低融点繊維」とは、高融点ポリエステル樹脂からなる芯材部の周囲に低融点ポリエステル樹脂(融点110℃)からなる鞘部を形成してなる複合繊維材料である。また、「PP低融点繊維」とは、融点140〜150℃のポリプロピレン熱融着繊維のことである。
【表1】
このように試作例1−1〜1−3では、低融点熱融着繊維として、捲縮性が強く、繊維長が長いPETフェルト用のものを使用したので、混綿状態が悪く、加熱キュアしても繊維同士の絡みが少なく、フェルトに仕上がらなかった。
【0009】
そこで、表2に示した試作例2−1〜2−3では、低融点熱融着繊維の捲縮性,繊維長を見直し、捲縮性がなく、繊維長の短い低融点熱融着繊維を選択して再度接着性の確認を行った。結果は次のとおりであった。
【表2】
このように試作例2−1〜2−3では、低融点熱融着繊維の捲縮性,繊維長を見直し、捲縮性がなく、繊維長の短い低融点熱融着繊維を選択して再度接着性の確認を行った結果、混綿状態は著しく改善されたが、繊維同士の絡みが弱く、接着性が悪いことが判明した。
【0010】
そこで、試作例3−1〜3−4では、接着性を改善するべく、化繊反毛を主原料に加える試みを行った。その際、低融点熱融着繊維としては上記試作品2−2の評価で比較的良好であったES繊維を使用した。結果は次のとおりであった。
【表3】
この結果より、低融点熱融着繊維との接着力を向上させるためには、化繊反毛の助けが必要であることが判明した。また、綿の比率が低くなるに従って繊維間の接着力も強くなることが確認された。ただし、燃焼性がレジンフェルト(燃焼性=5.0cm以下/分)と比較して若干劣ることが判明した。
【0011】
そこで、試作例4−1を基準とし、試作例4−2〜4−5として、レジンフェルトと同等の難燃性を確保するべく、ウール反毛および難燃性アクリル繊維を混綿した。結果として、主原料にウール反毛および難燃性アクリル繊維を10〜20重量%加えることにより、レジンフェルトと同等の難燃性を確保することが可能であることが確認された。
【0012】
また、表5はこうして燃焼性が改善された脱フェノールフェルトの一般物性を、従来のレジンフェルトと比較したものであり、ホルムアルデヒドの含有率については、この測定結果からレジンフェルトに比べて約1/5に低減され、その他の物性についてもレジンフェルトと同等レベル以上であることが確認された。
【表5】
【0013】
また、図3は、吸音率試験(垂直入射法)の測定結果をグラフに示したものである。このように、吸音性能においても従来のレジンフェルトと比較して遜色のない結果が得られた。このように本発明に係る車両用フエルト材は、車両用吸音材および車両用緩衝材として必要な性能を全て満足するものとなった。
【0014】
【発明の効果】
このように本発明は、綿反毛を10〜70重量%、デニム反毛を10〜70重量%、化繊反毛を10〜70重量%、ウール反毛または難燃性アクリル繊維を10〜20重量%の比率にて混綿した原料繊維と、高融点のポリプロピレン樹脂からなる芯材部の周囲に低融点のポリエチレン樹脂からなる鞘部を形成した複合繊維材料であって太さを4〜8デニール、繊維長を1/2インチ以下とした低融点熱融着繊維とからなり、前記原料繊維に対して低融点熱融着繊維を10〜40重量%の比率で配合し、これを熱風加熱することにより該低融点熱融着繊維を溶融し前記原料繊維を接着させてなるので、軽量性,吸音性,弾性、および、難燃性等の車両用吸音材および車両用緩衝材としての必要な性能を満たすフエルト材を安価に提供できるとともに、従来のように有害なホルムアルデヒドを含有するフェノール樹脂を使用してないので、環境および人体にも悪影響がないなど種々の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低融点熱融着繊維の一例を示した横断面斜視図。
【図2】本発明に係る車両用フエルト材の製造過程の概略図。
【図3】本発明に係る車両用フエルト材の吸音特性を示したグラフ。
【符号の説明】
a 芯材部
b 鞘部
1a〜1c テヤリングマシン
2 ホッパーフィダー
3 フリースフォーミングマシン
4 オーブン
Claims (1)
- 綿反毛を10〜70重量%、デニム反毛を10〜70重量%、化繊反毛を10〜70重量%、ウール反毛または難燃性アクリル繊維を10〜20重量%の比率にて混綿した原料繊維と、高融点のポリプロピレン樹脂からなる芯材部の周囲に低融点のポリエチレン樹脂からなる鞘部を形成した複合繊維材料であって太さを4〜8デニール、繊維長を1/2インチ以下とした低融点熱融着繊維とからなり、前記原料繊維に対して低融点熱融着繊維を10〜40重量%の比率で配合し、これを熱風で加熱することにより該低融点熱融着繊維を溶融し前記原料繊維を接着させてなることを特徴とした車両用フエルト材。
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