JP4403429B2 - 信号処理装置、信号処理方法、プログラム - Google Patents
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Description
風雑音は、上記のようにしてその周波数成分が約1kHz以下の低周波数の領域に多いという特徴を有していることから、このように風雑音の検出レベルに応じてHPFで低音域を減衰させることによって風雑音の抑圧を図ることができる。
つまり、音声信号を入力する入力手段を備える。
また、上記入力手段によって入力した上記音声信号の複数の周波数バンドごとの定位角度を算出すると共に、それら複数の周波数バンドの信号成分のうちで、その定位角度が定められた定位角度外となる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減する、又は時間軸方向における定位角度の変化がランダムとなる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減する、又は隣接する周波数帯域の定位角度との差が定められた値よりも大となる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減することで、風雑音成分を低減する雑音低減手段を備えるようにした。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
1−1.ビデオカメラ装置の構成
1−2.第1例としての信号処理装置
1−3.ソフトウエアによる実現(第2例)
1−4.第3例としての信号処理装置
1−5.第4例としての信号処理装置
1−6.第5例としての信号処理装置
1−7.第6例としての信号処理装置
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.変形例
1−1.ビデオカメラ装置の構成
図1は、本発明の実施の形態としての信号処理装置が備えられた、実施の形態としてのビデオカメラ装置(ビデオカメラ装置1)の内部構成を示したブロック図である。
このビデオカメラ装置1は、図中の撮像部5によって得られた撮像信号に基づく映像信号を記録することが可能に構成される。また撮像映像と共に、図示するLch(ch:チャンネル)マイクロフォンMIC-LとRchマイクロフォンMIC-Rとによるステレオマイクロフォンにより収音した音声信号を撮像映像と同期させて記録することが可能とされる。
カメラ信号処理部6は、撮像部5から供給される上記電気信号としてのアナログの撮像信号について、例えばゲイン調整やサンプルホールド処理を施すことで波形整形を行ってビデオ信号(映像信号)を得る。そして、この映像信号を映像信号処理部7に対して供給する。
なお、これらLch入力切換スイッチSW-L1、Rch入力切換スイッチSW-R1については後述する。
また、以下の説明において、実施の形態の信号処理装置としての音声信号処理部4(後述する30,35,40,46,51,60,65も含む)に対して入力されるLch音声信号については「音声信号Lin」、Rch音声信号については「音声信号Rin」と表記する。
特に本実施の形態の場合、音声信号処理部4(30,35,40,46,51,60,65)における音声信号処理としては、風雑音の抑圧のために所定の信号成分を低減する処理を行うことになる。なお、この低減処理の詳細内容については後述する。
なお、上記Lch出力切換スイッチSW-L2、Rch出力切換スイッチSW-R2を介しては、D/A変換器17L、D/A変換器17R側にも音声信号Lex、音声信号Rexを出力可能とされるが、これらLch出力切換スイッチSW-L2、Rch出力切換スイッチSW-R2の切換に応じて得られる動作については後述する。
このように圧縮符号化された映像・音声信号は、図示するバス11を介してHDD(Hard Disc Drive)9に供給され、記録される。
システムコントローラ10は、HDD9に記録された映像・音声信号の、外部機器への転送制御を行うようにされる。すなわち、バス11を介して接続されるHDD9に対する読み出し/書き込み制御、及び外部通信インタフェース16に対する制御を行うことで、インタフェース端子T-INTを介して接続された外部機器(例えばパーソナルコンピュータやDVD・HDDレコーダ等)との間での映像・音声信号の転送制御を行う。具体的に、例えばHDD9から外部機器への転送時には、HDD9に対する映像・音声信号の読み出し制御、及び外部通信インタフェース16への読み出し信号の転送指示などを行うことで、外部通信インタフェース16により読み出し信号をインタフェース端子T-INTを介して外部機器側に転送させる。
システムコントローラ10は、操作部12からのコマンド信号に応じた各種の制御動作を実行する。これによってビデオカメラ装置1がユーザの操作入力に応じた動作を実行するようにされている。
システムコントローラ10は、記録開始ボタンによる記録開始指示に応じては、エンコーダ8により得られる映像・音声信号のHDD9への記録制御を行う。また、再生開始ボタンによる再生開始指示に応じては、HDD9からの映像・音声信号の読み出し制御を行う。
再生時においては、システムコントローラ10が映像信号処理部7に対する制御を行って、このようにデコーダ15から入力された映像信号を表示制御部13側に供給させ、表示部14に再生映像の表示を行わせる。
これらLch入力切換スイッチSW-L1、Rch入力切換スイッチSW-R1は、端子t1に対して端子t2、端子t3を択一的に選択可能な2接点スイッチであり、それぞれ、端子t1が音声信号処理部4に対して接続されていることで、音声信号処理部4に対して入力されるべき音声信号を切り換えるようにされる。具体的に、上記デコーダ15からのLch音声信号、Rch音声信号は、それぞれ端子t3側に対して供給され、一方の端子t2側に対しては、A/D変換器3LからのLch音声信号、A/D変換器3RからのRch音声信号が供給されるようになっている。これにより、音声信号処理部4に対して入力されるべき音声信号として、収音信号と再生信号との切換を行うことが可能とされる。
D/A変換器17L、D/A変換器17Rに供給された音声信号Lex、音声信号Rexは、図示するようにしてアンプ18L、アンプ18Rにて増幅された後、スピーカSP-L、スピーカSP-Rを介して音声出力される。
ここで、上記構成によるビデオカメラ装置1としては、マイクロフォンを備えて外部音声を収音・記録可能に構成されているが、先にも述べたように、マイクロフォンにより外部音声を収音する際、強風がマイクロホンユニットに当たることによって風雑音と呼ばれる雑音が生じる。この風雑音は、その周波数成分が約1kHz以下の低周波数の領域に多く、例えば「ボコボコ」や「ゴボゴボ」などと形容できる音質となる。
先ずはその第1の構成例(以下、第1例と呼ぶ)として、先の図1に示した音声信号処理部4を、次の図2に示すようにして構成するものとしている。
この図2において、第1例としての音声信号処理部4には、図示するようにして分離処理回路20、LPF(Low Pass Filter)21L、LPF21R、HPF(High Pass Filter)22L、HPF22R、遅延器23L、遅延器23R、加算器24L、加算器24R、ゲイン器25、加算器26L、加算器26Rが備えられる。
なお、このように所要の定位角度内/外に定位する音源を抽出する手法としては、例えばボーカル抽出/キャンセルの技術や、サラウンドシステムにおけるセンター信号の抽出技術など、既に知られている種々の技術を適用することができ、ここで特に限定されるべきものではない。
一例を挙げておくと、例えば以下のような手法を採ることもできる。つまり、音声信号Lin、音声信号RinについてFFTなどにより周波数解析を行った結果に基づき、所要幅の周波数バンドごとにLch側の信号とRch側の信号とのレベル比や位相差を算出し、その結果から周波数バンドごとの定位角度を求める。そして、このバンドごとの定位角度の情報から、指示された角度外に定位している周波数バンドの信号成分のみが抽出されるような目標周波数特性を算出し、その周波数特性を目標特性として設定したFIRフィルタなどの等化フィルタにより音声信号Lin、音声信号Rinを波形等化する。このような手法によって、指示された角度外に定位している信号成分を抽出することができる。なお、指示された角度内に定位している信号成分については、音声信号Lin、音声信号Rinから、上記のように抽出した指示された角度外の信号成分を減算して求めることができる。或いは、上記と同様の手法で波形等化を行って求めることも勿論可能である。
さらに、分離処理によって得られた、指示された角度外に定位するRch信号成分RoについてはLPF21R、及びHPF22Rに対して供給し、また、指示された角度内に定位するRch信号成分Riについては遅延器23Rに対して供給する。
ゲイン器25は、供給されたLchローパス出力信号Lo-LP、Rchローパス出力信号Ro-LPに対して、システムコントローラ10から供給されるゲイン指示信号により指示されるゲインを乗算する。
この場合、システムコントローラ10から供給されるゲイン指示信号によっては、「1」よりも小なるゲインが指示される。すなわち、これによってゲイン器25からは、Lchローパス出力信号Lo-LP(すなわち指示された角度外に定位するLch信号成分Loのうちの1kHz以下の成分)、Rchローパス出力信号Ro-LP(指示された角度外に定位するRch信号成分Roのうちの1kHz以下の成分)が低減されて出力されることになる。
低減されたLchローパス出力信号Lo-LPは加算器26Lに、また低減されたRchローパス出力信号Ro-LPは加算器26Rに対して供給される。
同様に、HPF22Rにより抽出されたRch信号成分Roの1kHzより高い周波数の信号成分(Rchハイパス出力信号Ro-HPと表記)は、上記加算器24Rに対して供給され、ここで遅延器23Rを介して得られるRch信号成分Ri(指示された角度内のRch信号成分)と加算された後、加算器26Rに対して供給される。
ここで、上記遅延器23L、遅延器23Rによっては、それぞれHPF22及びLPF21において発生する処理遅延と同じ時間だけLch信号成分Li、Rch信号成分Riが遅延されて出力されるようになっている。
これらの加算結果が、それぞれ図1にも示した音声信号Lex、音声信号Rexとして音声信号処理部4から出力されるものとなる。
上記による説明では、第1の実施の形態の第1例としての低減処理が、ハードウエア構成により実現される場合を例示したが、例えば次の図3に示されるようにしてCPU31、メモリ32を備えた音声信号処理部30の構成とした場合には、ソフトウエア処理により実現することもできる。以下、このような第2例としての音声信号処理部30について説明する。
また、このようにメモリ32内にバッファリングされた音声信号Lin、音声信号Rinを、CPU31の制御に基づき音声信号処理部30外に音声信号Lex、音声信号Rexとして出力することができる。
また、これまでの説明では特に言及はしなかったが、実施の形態における雑音低減処理では、入力音声信号を所定の時間単位(フレーム単位)に区切った上で、各処理をこの時間単位ごとに順次行うようにしている。すなわち、フレーム単位ごとに、図示するようにして風雑音成分の抽出からその低減までの処理を1セットとしてこれを繰り返し行うことになる。
そして、続くステップS104では、Lchローパス出力信号Lo-LPとRchローパス出力信号Ro-LPに対し、それぞれシステムコントローラ10から指示されたゲインを乗算し、上記ステップS103の処理により得たLo-HP+Li、Ro-HP+Riと加算して出力する。
ここで、先の第1例では、Lch信号成分Lo、Rch信号成分Ro(指示された角度外の信号成分)からそれぞれ1kHz以下の成分とそれ以外の成分とを分離するにあたり、LPF21とHPF22の双方を用いるものとしたが、1kHz以下の成分/それ以外の成分のうち何れか一方が抽出できれば、残りの成分は、元の信号成分からその抽出した成分を減算することで求めることができる。すなわち、このようにすることで、LPF21、HPF22のうち何れか一方を省略することができる。
この音声信号処理部35では、先の図2に示した音声信号処理部4が備えていたHPF22Lに代えて遅延器36Lが、またHPF22Rに代えて遅延器36Rが設けられる。さらに、図示するようにして遅延器36Lの後段には、当該遅延器36Lの出力からLPF21Lの出力を減算する減算器37Lが設けられ、また遅延器36Rの後段には、遅延器36Rの出力からLPF21Rの出力を減算する減算器37Rが設けられる。
このような構成により、上記減算器37Lの出力は、Lchローパス出力信号Lo-LPとして扱うことができ、また上記減算器37Rの出力はRchローパス出力信号Ro-LPとして扱うことができる。従って、図示するようにして上記減算器37Lの出力が加算器24Lに供給され、また上記減算器37Rの出力が加算器24Rに供給されるように構成されていることで、先の第1例の場合と同様の結果を得ることができる。
なお、確認のために述べておくと、この場合に設けられる遅延器36L、遅延器36Rとしても、各LPF21で生じる処理遅延と同じ時間の遅延を入力信号に与えるようにして構成されるものである。
図6は、第1の実施の形態の第4例としての信号処理装置(音声信号処理部40)の内部構成について示したブロック図である。この図6においても、既に先の図2にて説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。
第4例としての音声信号処理部40は、音声信号Lin、音声信号Rinをそれぞれ所要数の周波数バンドに分割した上で、それら各バンドごとに、Lch側とRch側の信号に基づく演算を行ってそのバンドの信号成分の定位角度を求め、その結果から指示された角度外(つまりセンター以外)に定位する信号成分を特定し、これに指示されたゲインを乗じることによって風雑音のみが低減されるように図るものである。
周知のように、入力信号を複数の周波数帯域に分割する手法としては、DFT(Discrete Fourier Transform)、ウェーブレットフィルタバンク、QMF(Quadrature Mirror Filter)フィルタバンクなどのフィルタバンクと呼ばれる手法がある。フィルタバンクは、周波数帯域分割処理(分析フィルタバンク)と周波数帯域合成処理(合成フィルタバンク)の1セットで構成される。このフィルタバンクの手法は、入力信号を各帯域ごとに目的に応じて処理する場合などに利用されているもので、例えば非可逆圧縮などで広く用いられている。
なお、ここでは周波数帯域分割の手法としてフィルタバンクの手法を採用する場合を例示しているが、他にも多数のバンドバスフィルタによって複数バンドに分割する手法を採用することも可能である。
n個のLchサブバンド信号sub1−L〜subn−Lの個々は、図示するようにしてn個のゲイン器43(43−1〜43−n)のうち同一の添え字(1〜n)の付されるゲイン器43を介した後、それぞれ周波数帯域合成回路44Lに供給されるようになっている。
また、n個のRchサブバンド信号sub1−R〜subn−Rの個々は、上述したゲイン器43−1〜43−nのうち同一の添え字(1〜n)の付されるゲイン器43を介した後、それぞれ周波数帯域合成回路44Rに供給される。
同様に周波数帯域合成回路44Rでは、各ゲイン器43から供給されるn個のRchサブバンド信号sub1−R〜subn−Rを合成して元の音声信号の形態(状態)に再構成し、これを音声信号Rexとして出力する。
例えば実施の形態では、風雑音の低減という主旨から例えば1kHzより高周波数の帯域に対しては処理を行わないため、例えば1kHz以下の周波数帯域を64等帯域に分割し、それ以外の帯域はまとめて1帯域とする、などといったこともできる。
この図7に示されるようにして、定位角度算出回路42内には、Lch用のフーリエ変換器42a−L、Rch用のフーリエ変換器42a−R、及び定位角度算出器42bが備えられている。
フーリエ変換器42a−LはLchサブバンドの信号sub−L、フーリエ変換器42a−RはRchサブバンド信号sub−Rに対し、それぞれFFT(高速フーリエ変換)などのフーリエ変換処理を施す。このフーリエ変換処理により、フーリエ変換器42a−LではLch複素サブバンド信号Csub−Lが得られ、またフーリエ変換器42a−RではRch複素サブバンド信号Csub−Rが得られる。
これらLch複素サブバンド信号Csub−L、Rch複素サブバンド信号Csub−Rは、定位角度算出器42bに供給される。
具体的には、先ず、1kHz以下となる周波数バンドのうち、定位角度が角度指示信号により指示された角度外となる周波数バンドを割り出す。そして、ゲイン器43−1〜43−nのうち、このように割り出した周波数バンドを担当する(つまり1〜nのうち同じ添え字の付される)ゲイン器43に対して設定されるべきゲインとして、ゲイン指示信号により指示されたゲインを決定する。一方で、それ以外の周波数バンドを担当するゲイン器43については、ゲイン「1」を決定する。その上で、このように各ゲイン器43について決定したゲインが設定されるように、各ゲイン器43のゲインを調節する。
このような第4例としての低減処理としても、ソフトウエアによる実現が可能である。次の図8は、第4例としての低減処理をソフトウエア処理により実現する場合に実行されるべき処理動作を示している。
なお、この第4例についても、ソフトウエアによる実現を図る際の音声信号処理部の内部構成は先の図3に示したものと同様となるので、ここでの改めての説明は省略する。
また、この図8に示す処理動作としても、図3に示すCPU31がメモリ32内に格納される雑音低減プログラム32aに基づいて実行するものとすればよい。
なお、これらのことは、以降で[ソフトウエアによる実現]とする各実施例についても同様にあてはまるものとする。
続くステップS202では、音声信号Lin、音声信号Rinの各バンドの信号についてフーリエ変換処理を行う。つまり、ステップS201の分割処理によって得られたLchサブバンド信号sub1−L〜subn−L、Rchサブバンド信号sub1−R〜subn−Rの個々についてフーリエ変換を行って、Lch複素サブバンド信号Csub−L(Csub1−L〜Csubn−L)、及びRch複素サブバンド信号Csub−R(Csub1−R〜Csubn−R)を得る。
なお、先の説明から理解されるように、上記「1kHz以下で且つ指示された角度外のバンド」に該当しない周波数バンドの信号については、ゲイン「1」を与えるようにされる。
図9は、第1の実施の形態の第5例としての信号処理装置(音声信号処理部46)の内部構成を示すブロック図である。なお、この図9において、既にこれまでに説明した各構成例と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
第5例の音声信号処理部46は、先の第4例の音声信号処理部40に改良を加えたものである。具体的には、図中のDEC(デシメーター)47によりダウンサンプリングした音声信号について、周波数帯域分割回路41が帯域分割を行うようにすることで、より詳細な分割幅で帯域分割を行うことができるようにするものである。
また、LPF21Rを介した音声信号Rin(1kHz以下の信号成分)はDEC47Rに供給され、HPF22Rを介した音声信号Rin(1kHzよりも高い周波数の信号成分)は、遅延器48Rを介して加算器50Lに入力される。
なお、この場合の各遅延器48では、自らが出力する音声信号と、後述するINT(インターポレーター)49により出力される音声信号との同期がとられるようにしてその遅延時間が設定されるものとなる。
なお、確認のために述べておくと、この場合はDEC47の前段のLPF21によって1kHz以下の信号成分のみに絞られているため、周波数帯域分割回路41の処理結果に折り返しによる影響が生じないように図られている。
INT49Lによる処理結果は加算器50Lに供給され、INT49Rの処理結果は加算器50Rに対して供給される。
これにより、第5例の構成によっても風雑音の低減が図られた音声信号Lex、Rexを得ることができる。
図10は、第1の実施の形態の第6例としての信号処理装置(音声信号処理部51)の内部構成について示すブロック図である。なお、この図10においても、これまでで説明した各構成例と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
第6例の音声信号処理部51は、第5例の音声信号処理部46について、先の第3例と同様の手法によってHPF22を省略するようにしたものである。
減算器37Lの減算結果は遅延器48Lに供給され、減算器37Rの減算結果は遅延器48Rに供給される。
続いて、第2の実施の形態について説明する。
先の第1の実施の形態では、収音されるべき例えば声などの音声はセンター付近に定位し、それ以外の雑音成分は両端付近に定位する傾向にあるという性質を利用して、所定の周波数以下で且つセンター外に定位する音源の信号成分を低減することで風雑音のみの抑圧が図られるようにしたが、第2の実施の形態では、風雑音の他の性質、具体的には風雑音成分の信号波形はランダムであるという性質を利用して、風雑音のみの抑圧が図られるように低減処理を行うものである。
第2の実施の形態ではこの点に鑑み、所定の周波数以下で、且つ時間軸方向における定位角度の変化態様が所定外の態様となる信号成分を低減することで、風雑音のみの抑圧が図られるようにする。
先ず、この音声信号処理部60においても、先の第1の実施の形態の第4例(図6)の場合と同様に、音声信号Lin、音声信号Rinについては、周波数帯域分割回路41L、周波数帯域分割回路41Rによる帯域分割処理が施される。また、分割された各サブバンド信号subに対しては、各ゲイン器43が備えられ、各ゲイン器43の出力がチャンネルごとに周波数帯域合成回路44L、周波数帯域合成回路44Rにて合成され、その結果が音声信号Lex、音声信号Rexとして出力される。さらに、この場合も、周波数帯域分割回路41L、周波数帯域分割回路41Rによりそれぞれ得られたサブバンド信号subは、各バンドごとに対応する定位角度算出回路42に入力され、これによりバンドごとにその信号成分の定位角度の情報が得られる。
この風雑音検出・ゲイン調節回路61は、内部にメモリ61aを備え、各定位角度算出回路42にて所定の処理時間単位ごと(フレーム単位ごと)に算出されることになる、各バンドの定位角度の情報を入力してそれらをバンドごとに保持する。
風雑音検出・ゲイン調節回路61は、このようにしてメモリ61aに保持した定位角度の情報(前フレームにおける定位角度情報:過去の定位角度情報)と新たに供給された定位角度の情報(現フレームの定位角度情報:現在の定位角度情報)とから、1kHz以下の各バンドについて、その定位角度の変化が定められた態様外となっているバンドを割り出す。そして、このように割り出したバンドを担当するゲイン器43のゲインを、制御信号CNTにより指示されるゲインに調節し、他のゲイン器43のゲインについては「1」に調節する。
そして、風雑音検出・ゲイン調節回路61は、1kHz以下のバンドについて、現フレームと前フレームの定位角度の差分値(つまり定位位置の移動量)を算出し、この差分値(移動量)が上記低減閾値指示信号により指示された閾値よりも大きくなっているバンドを割り出し、そのバンドを担当するゲイン器43のゲインを制御信号CNTにより指示されるゲインに調節し(つまり低減し)、他のゲイン器43のゲインについては「1」に調節する。
具体的に、時間軸方向において「定位位置の移動量が大きい」ということは、風雑音成分の定位角度が時間軸方向において無相関であるということに起因しているので、従って或るバンドの信号成分について定位位置の移動量(=時間軸方向における定位角度の変化態様)が定められたものより大きい/小さいかを判別することは、そのバンドの信号成分について、その時間軸方向における定位角度の相関性が定められたものより高い/低いかを判別している、とも捉えることができるものである。
上記のような第2の実施の形態としての低減処理としても、ソフトウエアによる実現が可能である。
次の図12は、第2の実施の形態としての低減処理をソフトウエア処理により実現する場合に実行されるべき処理動作を示している。
図12において、先ずステップS301のバンド分割処理、ステップS302のフーリエ変換処理、ステップS303の定位角度算出処理としては、先の図8にて説明したステップS201、S202、S203とそれぞれ同様の処理を行う。
その上でステップS307では、先の図8のステップS205と同様にLch、Rchの各バンドの信号をそれぞれ合成して出力し、次のステップS308においては、ステップS206と同様に信号入力が終了したか否かを判別する。信号入力が終了していない場合は先のステップS301に戻り、信号入力が終了した場合は処理動作を終了する。
例えば、収音されるべき音源としては、時間経過に伴ってセンターを軸として左右対称に振れるようにして定位位置が変化するような音源も想定され得る。そのような場合、先に例示した定位角度差(定位位置の移動量)のみを基準とした判別のみを行っていたのでは、収音されるべき音源の信号成分までもが低減されかねない。
そこで、例えばそのような場合に対応させるとした場合等には、算出した定位角度の値そのものも風雑音であるか否かの判別基準に加えるようにすることもできる。
具体的には、例えば前フレームと現フレームとの定位角度の差と指示された閾値とを比較する共に、さらに前フレームの定位角度の絶対値と現フレームの定位角度の絶対値との差と、それについて設定された所要の閾値とを比較するようにする。そしてその結果、前フレームと現フレームとの定位角度の差が指示された閾値よりも小さく、且つ前フレームの定位角度の絶対値と現フレームの定位角度の絶対値との差が上記所要閾値よりも小さいものについては、それが収音されるべき音源成分であるとして低減は行わないようにする。すなわち、この条件を満たさないものについては風雑音成分であるとして、その成分のみを低減するものである。
例えばこのような手法を採ることで、上記のように収音されるべき音源がセンターを軸として左右対称に移動するというような場合においても、収音されるべき音源は適正に収音させ、風雑音成分のみが有効に低減されるように図ることができる。
なお、第2の実施の形態の音声信号処理部60としても、例えば先の図9にて説明したようなLPF21、HPF22、DEC47、遅延器48、INT49、加算器50を追加した構成とすることも可能である。或いは、HPF22を省略する構成として、図10にて説明したようなLPF21、減算器37、DEC47、遅延器48、INT49、加算器50を追加した構成とすることもできる。
第3の実施の形態は、所定の周波数以下で且つ隣接する周波数帯域の定位角度との差が定められた値より大きな信号成分を低減することで、風雑音のみの抑圧が図られるようにするものである。
ここで、先に述べたような風雑音の「各チャンネルの信号波形がランダムになる」という性質は、他の見方をすれば、「風雑音成分はそれと近接する周波数帯域の信号成分の定位位置との差が他の音声信号成分に比べて非常に大きくなる」ものとして捉えることができる。そこで第3の実施の形態では、上記のようにして所定の周波数以下で且つ隣接する周波数帯域の定位角度との差が定められた値よりも大きな信号成分を低減することで、風雑音成分のみの抑圧が図られるようにする。
風雑音検出・ゲイン調節回路66は、各定位角度算出回路42から供給される各バンドの定位角度情報を入力し、1kHz以下の各バンドについて、そのバンドの定位角度情報と隣接する周波数帯域の定位角度情報との差分値を計算し、その差分値が上記低減閾値指示信号で示された値よりも大きなバンドを割り出す。例えばこの場合は、説明の簡単のために、上記隣接する周波数帯域の定位角度情報として、隣接する1つのサブバンドの定位角度との差分値を計算するものとし、その差分値が上記閾値よりも大きなバンドを割り出すものとする。
そして、このようにして割り出したバンドを担当するゲイン器43については、そのゲインが指示されたゲインとなるように調節し、それ以外のゲイン器43についてはゲイン「1」となるように調節を行う。
上記により説明した第3の実施の形態の低減処理としても、ソフトウエアによる実現が可能であり、次の図14のフローチャートでは、その場合に行われるべき処理動作について示している。
図14において、この場合もステップS401のバンド分割処理、ステップS402のフーリエ変換処理、ステップS403の定位角度算出処理としては、先の図8にて説明したステップS201、S202、S203とそれぞれ同様の処理を行う。
なお、第3の実施の形態の音声信号処理部65としても、先の第2の実施の形態の場合と同様、図9にて説明したようなLPF21、HPF22、DEC47、遅延器48、INT49、加算器50を追加した構成とすることも可能である。また、図10にて説明したようなLPF21、減算器37、DEC47、遅延器48、INT49、加算器50を追加した構成とすることによって図9のHPF22を省略する構成とすることもできる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまに説明した各実施の形態に限定されるべきものではない。以下、実施の形態の各変形例について説明する。
先ず、変形例1は、風雑音の音量レベルを検出し、そのレベルに応じて雑音の低減処理のパラメータを調整するものである。
図15は、変形例1としての信号処理装置(音声信号処理部70)の内部構成を示している。なお、この図においても既にこれまでで説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。また、この図においては一例として、第1の実施の形態の第4例(図6)、第2の実施の形態(図11)、第3の実施の形態(図13)に対して変形例1の概念が適用された場合の共通の構成例を示している。
このレベル算出器71aは、Lch側のフーリエ変換器42a−L、Rch側のフーリエ変換器42a−Rを介してそれぞれ得られるLch複素サブバンド信号Csub−L、Rch複素サブバンド信号Csub−Rを入力し、それらに基づく演算を行うことでそのサブバンドの信号成分の音の大きさ(音量レベル)を算出する。
ここで、音量レベルを求める手法は幾つか考えられるが、一例として、次のような手法を採ることができる。すなわち、時間ωにおけるLch複素サブバンド信号Csub−LとRch複素サブバンド信号Csub−RとをそれぞれL(ω)、R(ω)としたとき、時間ωにおけるそのサブバンドの信号成分の音量レベルmag(ω)は、次の[数1]により求めることができる。なお下式においてRe(x)は複素数xの実部、Im(x)は複素数xの虚部である。
具体的に、風雑音検出・ゲイン調節回路72は、先ず、サブバンドごとの音量レベルを平均化するなどして総合的な音量レベルを算出した上で、この総合的な音量レベルが上記閾値以下であるか否かを判別する。そして、音量レベルが上記閾値以下である場合には、各ゲイン器43のゲインを「1」に調節する。すなわち、各定位角度・レベル算出回路71から供給される定位角度情報に基づきサブバンドごとに風雑音成分であるか否か判別す動作は行わずに、一律にゲインを「1」とする。
一方、音量レベルが上記閾値より大きい場合には、各定位角度・レベル算出回路71から供給される定位角度情報に基づき、先の各例において説明したようにして1kHz以下のサブバンドごとに風雑音成分であるか否かを判別し、風雑音成分であるとされたサブバンドについてはそのバンドを担当するゲイン器43のゲインを指示されたゲインに調整し、残りのゲイン器43のゲインを「1」に調節する。
先にも述べたように雑音低減のための各部の処理は時間軸上において所定のフレーム単位ごとに順次行われるものとなるので、このような変形例1の動作によれば、音量レベルが小さく雑音低減のための処理を行う必要がない期間での無駄な処理を省略でき、音量レベルが大きく低減のための処理が必要な期間でのみ適正に処理を行うことができる。
先の説明から理解されるように、第2の実施の形態、第3の実施の形態では、風雑音成分か否かの判別に計算を伴うものとなる。上記手法によれば、音量レベルが閾値以下のサブバンドについては計算処理が不要で、簡易な比較・判別処理のみに済ませることができるので、その分、有効に処理負担の軽減を図ることができる。
なお、この説明からも理解されるように、音量レベルとしては、先の[数1]に示したように複素サブバンド信号から算出する以外にも、時間軸信号を用いて算出することができる。
一例として、例えば第1の実施の形態における第4例以外の他の構成例に対して適用することもできる。但し、その場合、例えば図2などに示したハードウエア構成に対して適用しても実質的な処理負担の軽減は図られないものとなるので、変形例1としては、ソフトウエアにより実現する場合(例えば第2例:図4参照)に有効に適用することができるものとなる。すなわち、例えば第1の実施の形態の第2例に対し変形例1を適用する場合、図4に示したステップS101の前に、例えば音声信号Lin、音声信号Rinを入力して音量レベルを算出する処理と、これに続けて音量レベルが定められた閾値以下となっているか否かを判別する処理を追加する。そして、この判別処理によって音量レベルが上記閾値以下であるとした場合には、ステップS101〜S104をパスし、音声信号Lin、音声信号Rinをそのまま出力(ゲイン「1」)する処理を行った上でステップS105に進む。また、算出した音量レベルが上記閾値以下でないとした場合には、ステップS101に進んで以降の各処理を実行する。
このようにしてソフトウエアにより実現する場合に変形例1を適用した場合、音量レベルが閾値以下のときは音声信号Lin、音声信号Rinをそのまま出力することができるようになり、雑音低減に係る全処理を省略することができる。よって、より大きな処理負担軽減効果を得ることができる。
続いて、図17は、変形例2としてのビデオカメラ装置75の内部構成を示している。なお、図17において、既に図1にて説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。
変形例2は、記録時ではなく再生時において雑音低減処理を行うようにするものである。すなわち、これまでの説明では、収音信号に対してリアルタイムに雑音低減処理を行う場合を例示してきたが、変形例2は、HDD9に対して記録された音声信号の再生信号に対し、これまでで説明してきた手法による雑音低減処理を施すものである。
なお、図中の音声信号処理部に対して付した符号「4(30,35,40,46,51,60,65,70)」は、当該変形例2がこれまでに説明した各種の雑音低減処理手法が採用される場合に適用できることを表している。
先ず図18(a)において、ステップS501では記録開始を待機するようにされる。つまり、例えば図17に示される操作部12に設けられた記録開始ボタンが操作されたことに応じて供給されるコマンド信号など、記録動作の開始トリガの発生を待機する。
そして、上記再生開始ボタンが操作されるなどして再生動作を開始すべき状態となったとされた場合は、ステップS602において、風雑音が低減されるようにパラメータを指示する。つまり、例えば図17における音声信号処理部として、第1の実施の形態の第1例の音声信号処理部4のように分離処理回路20・ゲイン器25が備えられる音声信号処理部、または第4例のように風雑音検出・ゲイン調節回路45を備える音声信号処理部(40など)が備えられている場合は、図17に示される制御信号CNTにより、角度指示信号と、少なくとも「1」より小なるゲインを指示するゲイン指示信号とを供給する。
或いは、風雑音検出・ゲイン調節回路61のように、第2の実施の形態としての低減処理を行うようにされた風雑音検出・ゲイン調節回路、または風雑検出・ゲイン調節回路66のように第3の実施の形態としての低減処理を行うようにされた風雑音検出・ゲイン調節回路が備えられる音声信号処理部が備えられている場合には、制御信号CNTにより、低減閾値指示信号と、少なくとも「1」より小なるゲインを指示するゲイン指示信号とを供給する。
続いて、変形例3について説明する。
変形例3は、風雑音の音量レベルを推定し、その結果に応じて雑音低減処理のパラメータを変更するものである。ここでは一例として、先の変形例2のように再生時において低減処理を行うビデオカメラ装置75に対して変形例3を適用した場合の、ビデオカメラ装置80について説明する。
この図19に示されるようにして、ビデオカメラ装置80としては、先の図17に示したビデオカメラ装置75の構成に追加して、音声信号Lin、音声信号Rinを入力して風雑音量を推定(算出)する風雑音量推定部81が備えられる。また、メモリ76内には、後述する変形例3としての動作を実現するための低減処理制御プログラム76bが格納される。
この場合、システムコントローラ10は、記録時において、時々刻々と変化するようにして入力される上記風雑音の音量レベル(単に風雑音量とも表記する)と時刻情報(この場合は各フレーム番号)を順次対応づけていくことで、雑音量−時刻対応情報を生成し、これをHDD9に対して記録する。
そして、再生時においては、上記雑音量−時刻対応情報を読み出した上で、時刻情報(フレーム番号)と対応づけられた風雑音量から、順次、その雑音量に応じた雑音低減処理のためのパラメータを決定する。そして、決定したパラメータを制御信号CNTにより音声信号処理部4(30,35,40,46,51,60,65,70)に対して指示する。
なお、確認のために述べておくと、この図20に示す処理動作は図19に示すシステムコントローラ10が低減処理制御プログラム76bに基づいて実行するものである。
そして、この場合は次のステップS704において、風雑音量と時刻情報との対応づけを開始する。つまり、風雑音量推定部81からフレーム単位ごとに順次供給される風雑音量の情報と、フレーム番号の情報とを順次対応づける処理を開始する。
そして続くステップS803では、先の図18(b)にて説明したステップS603と同様の処理を行って、HDD9からの映像・音声信号の再生を開始させる。
先ず一例としては、予め定められた閾値を用いて、風雑音量がその閾値以下であるか否かを判別する。そして、風雑音量が閾値以下のときは、ゲイン指示信号により指示されるべきゲイン値を「1」に決定し、逆に風雑音量が上記閾値より大きいときはゲイン指示信号により指示されるべきゲイン値を「1」より小なる所要値に決定する。
これによれば、風雑音量が所定以下のときは全バンドゲイン「1」となるようにして雑音低減処理を行わせないようにでき、それ以外の風雑音量が比較的大きなときは適正に雑音低減処理が行われるようにすることができる。
例えば、風雑音量が小さいときは、定位角度指示信号により指示されるべき定位角度としてより大きな値を決定(つまりより外側に定位する信号成分でないと風雑音成分として検出されないようにする)したり、或いは低減閾値指示信号により指示されるべき閾値としてより大きな値を決定する(つまりより大きな移動量、または定位角度差でないと風雑音成分として検出されないようにする)といったものである。
例えば、先の例では、記録された映像・音声信号が、再生開始指示に応じて再生出力されるときに風雑音量に応じた処理パラメータによる低減処理を施すものとしたが、例えば装置が他に処理を行っていない状態のとき等に自動的にHDD9から音声信号を再生し、その再生信号について、風雑音量に応じた処理パラメータによる低減処理を施し、その結果をHDD9に記録し直すなどといったことも可能である。
或いは、同様に記録時において風雑音量推定部81にて算出される風雑音量に応じてリアルタイムに処理パラメータを決定・指示して収音信号の雑音低減処理を行うものとした上で、記録された収音信号について、例えば装置が他に処理を行っていない状態のとき等にHDD9から自動的に再生し、その再生信号について再度風雑音量推定部81による風雑音量の算出を行ってリアルタイムに処理パラメータを決定・指示して雑音低減処理を行い、その結果をHDD9に記録し直すといったこともできる。
さらには、このような記録後の自動的な再生・再生信号の風雑音量算出・それに応じた処理パラメータに基づく雑音低減処理、を複数回繰り返し行うようにすることもできる。このように記録後の低減処理を繰り返す場合は、その回数ごとに順次変化することになる風雑音量に応じて処理パラメータが変更されるので、処理パラメータの最適化を図ることができ、その結果、音声信号を最も風雑音が低減された状態へと導くことができる。
ここで、これまでの説明では、「1kHz以下の周波数帯域」という条件を課して風雑音低減処理を行うものとしたが、これはあくまで一例であり、例えば800Hz以下の周波数帯域とするなど、少なくとも風雑音成分の主要帯域として想定される「所定の周波数以下の周波数帯域」という条件を課した上で風雑音低減処理を行うものとすればよい。
例えば、第1の実施の形態と第2の実施の形態の組み合わせとして、定められた定位角度外に定位し且つ定位位置の時間軸方向での移動量が定められた移動量よりも大きな所定周波数以下の信号成分を低減する、といった手法とすることも可能である。或いは、このようにand条件とするのではなく、or条件として、定められた定位角度外に定位しているか、または定位位置の時間軸方向での移動量が定められた移動量よりも大きな所定周波数以下の信号成分を低減する、といった手法とすることもできる。
但し、このように音声信号を所定の処理区分ごとに処理した場合、処理後の信号における結合部において波形の不連続性が生じる虞があり、ノイズを発生を誘発する可能性がなくはない。
そこで、実際の実装時に際しては、各処理区間をオーバーラップさせることが有効となる。例えば、それぞれ隣り合う区間でその1/2の長さを互いに重複させるようにして各区間を分ける。この場合、雑音低減処理後の信号としても重複区間を有することになるので、そのまま出力することはできない。このため、それぞれ隣り合う2つの区間の信号、例えば区間1,区間2の信号の重複部分に対しては、それぞれ所要の窓関数による処理を行なった上で、それらが同期加算されるようにして両区間の信号を加算する。これにより、波形の不連続点の発生が防止された、良好な出力音声信号を得ることができる。
なお、上記窓関数としては三角窓、ハニング窓、ハミング窓など種々のものを用いることができる。
Claims (7)
- 音声信号を入力する入力手段と、
上記入力手段によって入力した上記音声信号の複数の周波数バンドごとの定位角度を算出すると共に、それら複数の周波数バンドの信号成分のうちで、その定位角度が定められた定位角度外となる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減する、又は時間軸方向における定位角度の変化がランダムとなる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減する、又は隣接する周波数帯域の定位角度との差が定められた値よりも大となる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減することで、風雑音成分を低減する雑音低減手段と
を備える信号処理装置。 - 上記雑音低減手段は、
上記音声信号を、その所定の周波数以下の帯域が複数の周波数バンドに分割されるようにして帯域分割し、分割した上記所定の周波数以下の帯域の周波数バンドごとに、その信号成分の定位角度を算出し、定位角度が上記定められた定位角度外となるバンドの信号成分を低減することで風雑音成分を低減する
請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記雑音低減手段は、
上記音声信号を、その所定の周波数以下の帯域が複数の周波数バンドに分割されるようにして帯域分割し、分割した上記所定の周波数以下の帯域の周波数バンドごとに、その信号成分の時間軸方向における定位角度の変化量を解析し、時間軸方向における定位角度の変化がランダムとなるバンドの信号成分を低減することで風雑音成分を低減する
請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記雑音低減手段は、
上記音声信号を、その所定の周波数以下の帯域が複数の周波数バンドに分割されるようにして帯域分割し、分割した上記所定の周波数以下の帯域の周波数バンドごとに、隣接する周波数帯域の定位角度との差を解析し、その差が上記定められた値よりも大となるバンドの信号成分を低減することで風雑音成分を低減する
請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記雑音低減手段は、
上記音声信号の右側チャンネルの信号と左側チャンネルの信号とのレベル比または位相差の少なくとも一方を算出した結果に基づき定位角度を算出する
請求項1に記載の信号処理装置。 - 入力した音声信号の複数の周波数バンドごとの定位角度を算出すると共に、それら複数の周波数バンドの信号成分のうちで、その定位角度が定められた定位角度外となる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減する、又は時間軸方向における定位角度の変化がランダムとなる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減する、又は隣接する周波数帯域の定位角度との差が定められた値よりも大となる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減することで、風雑音成分を低減する
信号処理方法。 - 入力した音声信号の複数の周波数バンドごとの定位角度を算出すると共に、それら複数の周波数バンドの信号成分のうちで、その定位角度が定められた定位角度外となる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減する、又は時間軸方向における定位角度の変化がランダムとなる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減する、又は隣接する周波数帯域の定位角度との差が定められた値よりも大となる信号成分で且つ所定の周波数以下の信号成分を低減することで風雑音成分を低減する処理を信号処理装置に実行させる
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