JP2006237816A - 演算装置、収音装置、及び、信号処理プログラム - Google Patents

演算装置、収音装置、及び、信号処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】
指向性マイクロホン装置の利点を損なうことなく、風雑音の影響を少なくすることを可能とする、収音装置を提供する。
【解決手段】
マイクロホン11及び12は、互いに近接して配置される。マイクロホン11、12の出力は、差分演算器13と、加算器14に供給される。差分演算器13は、マイクロホン11、12の差分信号を求め、加算器14は加算信号を求める。雑音判定部17は、差分演算器13からの出力信号に基づいて、風雑音の有無を判定する。合成出力部18は、雑音判定部17からの信号に応じて、周波数成分(或いは周波数帯域)ごとに差分演算器13(増幅器15)からの信号を出力するか、加算器14(増幅器16)からの信号を出力するかを選択して、スピーカなどに出力する。
【選択図】 図1

Description

演算装置、収音装置、及び、信号処理プログラムに関する。
様々な音が発せられている状況下で特定の音声を抽出する技術として、空間上に複数個のマイクロホンを設置し、各々のマイクロホンから得られた音声信号を用いて空間的に指向性を形成して、目的の音声を分離する技術(マイクロホンアレー技術)が提案されている。
マイクロホンアレーは音声信号を受信する機器に広く用いられる。マイクロホンアレーの利用される機器の例として、たとえば、携帯電話、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ボイスレコーダ、会議収音システムなどがある。
マイクロホンアレーの利用例について具体的に説明する。ボイスレコーダの場合、マイクロホンアレーは話者方向から到達する音声のみを強調して周辺雑音の受信を抑制する雑音抑圧機能を実現する。別の例として、携帯電話の場合、マイクロホンアレーは話者が携帯電話から少し離れた位置から発話する場合に周辺雑音の受信を抑制するハンズフリー通話機能を実現する。さらに別の例として、ビデオカメラの場合、マイクロホンアレーは、左右それぞれの方向に指向性を持った信号を生成し、それらをステレオ信号として用いることで、立体感のある音声を録音するステレオ化機能を実現する。
マイクロホンアレーを構成するマイクロホンには、たとえば、ECM(Electret Condenser Microphone)が用いられる。ECMは、音を電気信号に変換して出力する電子部品であり、1対の電極板で構成されたコンデンサと、そのコンデンサに接続された電子回路を備えている。上述のコンデンサは、電極板の一方が音を受けて振動する構造となっており、振動に伴って電極板間の距離が変化するので、容量が変化する。また、電極板にはエレクトレット(永続的に電荷が保持されるようにした物質)が用いられており、電極板間には電圧が生じているので、容量変化に伴って電圧変化や電流変化が生じて音が電気信号に変換される。上述の電子回路は、得られた電気信号の増幅やインピーダンスの調整を行って信号の出力を行う回路であり、トランジスタ、コンデンサ、抵抗などで構成される。また、ECMの種類によってはA/D変換器を内蔵し、電気信号をデジタル化して出力するものもある。
マイクロホンアレーを用いて指向性を形成する技術として、例えば、減算型アレーがある。特許文献1では、指向性処理を行うマイクロホンアレーを2つ設け、これら2つのマイクロホンアレーを交差して配置することで、音響的に立体感のある音声信号を得ることが可能な信号処理装置の例が開示されている。
しかしながら、マイクロホンは、音波による音圧の変化を振動板の機械的な振動に変換し、この機械的振動に基づき電気音響変換系を動作させて、電気信号を得るようにするものが多いので、マイクロホンで所望音声を収音する場合、所望音声以外の何等かの要因によって振動板に機械的振動が与えられると、これが所望音声に対しては、雑音となる。特に、上記の要因が風切り音のように相関性のない雑音(以下、これを風雑音と称する)である場合、減算型アレーでは、この風雑音はより強調されてしまう。また、この風雑音は、低音域主体の雑音であるが、その周波数帯域は可聴域にあるため、単純にハイパスフィルタで風雑音を低減しようとすると、音声成分の低音域も低減させてしまう。
そこで、音圧傾度型の指向性マイクロホンが風雑音を発生しやすく、無指向性マイクロホンが風雑音を発生しにくいという特徴があることを利用して、風雑音発生時には、指向特性を無指向性に変化させるようにして風雑音の影響をより少なくし、目的の音を高品質で収音することが可能なマイクロホン装置が、例えば、特許文献2などに開示されている。
特開2000−287295号公報 特開平10−126878号公報
上記のように、風雑音発生時に指向特性を無指向性に変化させることで、風雑音の影響をより少なくすることができる。しかしながら、指向特性を無指向性に変化させることで、所望の方向からの音を効率よく収音するという、指向性マイクロホン装置の利点が損なわれてしまう。
そこで、本発明は、指向性マイクロホン装置の利点を損なうことなく、風雑音等の無相関雑音による影響を少なくすることを可能とする、収音装置を提供することを目的とする。
請求項1の演算装置は、複数の無指向性の受音素子からの信号に基づいて、有指向性の信号を得るための演算を行う第1演算手段と、前記複数の無指向性の受音素子からの信号に基づいて、前記第1演算手段の出力信号よりも前記受音素子間で無相関な雑音が小さい、有指向性の信号を得るための演算を行う第2演算手段と、前記第1演算手段の出力信号に含まれる無相関雑音を検出する雑音検出手段と、前記第1演算手段の出力信号と第2演算手段の出力信号とを合成して出力する合成手段と、を有する。
前記合成手段は、前記雑音検出手段が無相関雑音を検出したとき、前記第1演算手段の出力信号の前記無相関雑音が含まれない周波数成分と、前記第2演算手段の出力信号の前記無相関雑音が含まれる周波数成分とを合成して出力する。
第1演算手段は、複数の無指向性の受音素子から出力された信号に基づいて、有指向性の信号を得るための演算、例えば、複数の受音素子からの出力信号間の差分演算を行う。ただ、背景技術の欄で述べたように差分演算を行うと、受音素子間で無相関な雑音(例えば、風雑音)が強調されてしまうというデメリットもある。
そこで、本願発明の演算装置では、第1演算手段とは異なる演算を行う第2演算手段が設けている。この第2演算手段もまた、複数の無指向性の受音素子からの出力信号に基づいて有指向性の信号を得るための演算を行うものである。第2演算手段は、第1演算手段ほど優れた指向性を得るための演算を行うものではないが、その代わり、第1演算手段よりは受音素子間で無相関な雑音を抑制することができる。そして、合成手段は、第1演算手段で得られた信号と第2演算手段で得られた信号とを合成する。受音素子間で無相関な雑音が発生していないときは、この合成手段は第1演算手段で得られた信号を出力する。
一方、受音素子間で無相関な雑音が発生したときは、無相関な雑音が含まれる周波数帯域については、第1演算手段で得られた信号に代えて、第2演算手段で得られた信号を出力する。それ以外の周波数帯域については、第1演算手段で得られた信号を出力する。
このような本願発明の演算装置を、例えば指向性マイクロホン装置に適用すれば、指向性マイクロホン装置の指向性を極力損なうことなく、風雑音等の無相関雑音による影響を少なくすることができる。
請求項2は、請求項1の第2演算手段に代えて、何れかの受音素子の出力信号を前記合成手段に供給するものである。この演算装置によれば、例えば、複数の受音装置の差分信号に無相関雑音が含まれていた場合、その無相関雑音の周波数帯域については、何れかの受音素子の出力信号を出力する。このことにより、無相関雑音を抑制するものである。
本願発明の雑音検出手段の構成としては、例えば3通りの構成が考えられる。請求項3ないし4は、雑音検出手段の具体的な構成について記載したものである。
請求項3は、請求項1又は2記載の演算装置であって、前記雑音検出手段は、前記第1演算手段の出力信号が所定レベルを超えるときは、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれているものと判断し、前記第1演算手段の出力信号が所定レベルを超えないときは、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれていないものと判断する。ここで、出力信号のレベルとは、出力信号の総パワーの時間平均を指している。
例えば、前記第1演算手段が、複数の受音素子間の差分演算を行うものであったとき、いずれかの受音素子が風雑音などの無相関雑音を拾うと、差分演算結果の信号レベルは著しく大きくなる。このことを利用して、第1演算手段の出力信号レベルの変化に基づいて、無相関雑音の有無を推定することが可能である。
この請求項3の演算装置は、周波数がおおよそ分かっている無相関雑音の抑制を目的とする場合に有効である。
請求項4は、請求項1又は2記載の演算装置であって、前記第1演算手段の出力信号における特定の周波数帯域の信号を通過させる周波数フィルタを有する。特定の周波数帯域とは、例えば、無相関雑音の周波数付近の帯域である。また、前記雑音検出手段は、前記周波数フィルタを通過した信号が所定レベルを超えるときは、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれているものと判断し、前記周波数フィルタを通過した信号が所定レベルを超えないときは、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれていないものと判断する。
請求項3の演算装置は、単に信号レベルの大小で無相関雑音の有無を判断するものであり、無相関雑音の周波数については感知しない。したがって、指向性演算手段が特定の周波数fの無相関雑音を抑制するように設計されていた場合に、周波数fとは異なる周波数fの無相関雑音が受音素子の出力信号に混入した場合であっても、周波数fの帯域の信号を抑制してしまうという不都合が生じる。
そこで、請求項4の演算装置では、例えば、抑制したい無相関雑音の周波数(上記f)付近の周波数の信号のみを通過させる周波数フィルタを設け、雑音検出手段は、この周波数フィルタを通過した信号のレベルの大小により抑制したい無相関雑音の有無を推定する。周波数f付近の無相関雑音がある場合、合成手段により無相関雑音を抑制する。一方、抑制したい無相関雑音とは異なる周波数(上記f)の無相関雑音が受音装置からの出力信号に混入した場合、周波数fの無相関雑音は周波数フィルタを通過しない。
このように請求項4の演算装置によれば、抑制したい無相関雑音のみを抑制することができる。また、抑制したいのとは異なる無相関雑音が混入した場合に、誤って有効な音声信号を抑制してしまうことを防ぐことができる。
請求項5は、請求項1又は2記載の演算装置であって、前記雑音検出手段は、前記第1演算手段の出力信号の周波数特性を検出する周波数特性検出手段を有する。そして、この雑音検出手段は、前記第1演算手段の出力信号の周波数特性において、所定レベルを超える周波数領域があったとき、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれているものと判断すると共に、所定レベルを超えた周波数に関する情報を合成手段に供給する。また、雑音検出手段は、前記第1演算手段の出力信号の周波数特性において、所定レベルを超える周波数領域がなかったとき、前記第1演算手段の出力信号には無相関雑音が含まれていないものと判断する。
請求項5の演算装置によれば、雑音検出手段は第1演算手段の出力信号の周波数特性において所定レベルを超えた周波数に関する情報を合成手段に知らせる。したがって、請求項3、4とは異なり、合成手段は無相関雑音が含まれる周波数を知った上で、第1演算手段の出力信号と第2演算手段の出力信号の合成を行うことが可能となるので、指向性特性を極力強く保ちながら無相関雑音を抑制することが可能である。
本願発明の合成手段の具体的な構成としては、大きくは、2通りの構成が考えられる。第1には、請求項3、4の演算装置のように、周波数があらかじめ分かっている無相関雑音の抑制を目的とする演算装置における合成手段が考えられる。請求項6は、このような合成手段に関するものである。
第2には、請求項5の演算装置のように、無相関雑音の周波数を検出することができる演算装置における合成手段が考えられる。請求項7、8は、このような合成手段に関するものである。
請求項6は、請求項3又は4記載の演算装置であって、前記合成手段は、通過帯域が異なる複数の周波数フィルタと、前記の各周波数フィルタに前記第1演算手段の出力信号を入力させるか、前記第2演算手段の出力信号を入力させるかを選択するための選択手段を有する。この選択手段は、前記雑音検出手段による無相関雑音の検出結果に基づいて前記選択を行う。
例えば、前記複数の周波数フィルタが、風雑音が有する周波数帯域を通過させるフィルタ(以後「第1フィルタ」と呼ぶ)と、前記周波数帯域以外の信号を通過させるフィルタ(以後「第2フィルタ」と呼ぶ)からなる場合を仮定する。雑音検出手段が風雑音有りと判断したとき、選択手段は、第1のフィルタに第2演算手段の出力信号を入力させ、第2のフィルタに第1演算手段の出力信号を入力させる。一方、雑音検出手段が風雑音なしと判断したとき、選択手段は、第1のフィルタ、及び、第2のフィルタに第1演算手段の出力信号を入力させる。
請求項7は、請求項5の演算装置のように、前記第1演算手段の出力信号の周波数特性を検出する周波数特性検出手段を有するものに関する。この演算装置は、通過帯域が可変な可変周波数フィルタを有し、前記可変周波数フィルタは、前記雑音検出手段から通知された無相関雑音の周波数に関する情報に基づいて通過帯域を変更する。
上記可変周波数フィルタは、例えば、雑音検出手段から通知された雑音周波数の情報に応じて、カットオフ周波数をアダプティブに変更できるものである。或いは、上記可変周波数フィルタは、通過帯域が異なる複数の周波数フィルタを有していて、雑音検出手段から通知された雑音周波数の情報に応じて、使用する周波数フィルタを切り換えるものであっても良い。
このような構成にすることにより、あらゆる周波数帯域の無相関雑音を抑制することができる。
請求項8は、請求項1ないし7の何れか1項に記載の演算装置であって、前記第1演算手段は、前記複数の受音素子からの出力信号間の差分演算を行い、前記第2演算手段は、前記複数の受音素子からの出力信号間の加算演算を行う。
上記第1演算手段が、例えば、2個の受音素子からの出力信号間の差分演算を行うものである場合、第1の受音素子の出力信号と、第2受音素子の出力信号の差分を演算する。或いは、第2受音素子の出力信号を増幅した信号から、第1受音素子の出力信号を減算するものであってもよい。また、第2受音素子の出力信号を遅延させた信号から、第1受音素子の出力信号を減算するものであってもよい。
上記第2演算手段が、例えば、2個の受音素子からの出力信号間の加算演算を行うものである場合、第1の受音素子の出力信号と、第2受音素子の出力信号の加算演算する。或いは、第2受音素子の出力信号を増幅した信号と、第1受音素子の出力信号を加算するものであってもよい。また、第2受音素子の出力信号を遅延させた信号と、第1受音素子の出力信号を加算するものであってもよい。
請求項9は、請求項1ないし7の何れか1項に記載の演算装置であって、前記第1、及び第2演算手段は、前記複数の受音素子からの出力信号間の差分演算を行い、前記第2演算手段は、前記第1演算手段とは異なる演算式に基づく差分演算を行い、前記第2演算手段からの出力信号は、前記第1演算手段の出力信号よりも前記受音素子間で無相関な雑音が小さい。
請求項10は、請求項1ないし9の何れか1項に演算装置であって、前記第2演算手段は、前記雑音検出手段が検出した無相関雑音の大きさに基づいて前記有指向性の信号を得るための演算式を変化させる。この演算装置によれば、無相関雑音の大きさに基づいて、無相関雑音の低減を最優先させるか、信号の指向性を保つことを優先させるかを選択することが可能である。
例えば、雑音検出手段が、受音素子からの信号に非常に大きな無相関雑音が含まれていると判断したとき、無相関雑音の低減を最優先させるため、第2演算手段は、前記複数の受音信号間の加算演算を行う。
雑音検出手段が、受音素子からの信号にやや大きな無相関雑音が混入したと判断したとき、音声出力信号の指向性を保ちつつ、無相関雑音の低減させるため、第2演算手段は、受音信号間の差分演算を行う。
請求項10の収音装置は、複数の無指向性の受音素子と、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の演算装置を有する。
請求項11は、コンピュータを、複数の無指向性の受音素子からの出力信号を入力し、前記複数の出力信号を演算して指向性を有する信号を出力する指向性演算手段として機能させるための信号処理プログラムに関する。このプログラムは、複数の無指向性の受音素子からの出力信号に基づいて、有指向性の第1及び第2の信号を得るための演算を行うステップと、前記第1及び第2の信号を合成して合成信号を生成するステップとを有する。前記第2の信号は、前記第1の信号よりも、前記受音素子間で無相関な雑音が小さいことを特徴とする。前記合成信号は、前記無相関な雑音が含まれない周波数帯域については、前記第1の信号であり、前記無相関な雑音が含まれる周波数帯域については、前記第2の信号である。
本願発明によれば、指向性マイクロホン装置の利点を損なうことなく、風雑音などの無相関雑音の影響を少なくすることを可能とする、指向性演算装置、及び、収音装置を提供することが可能となる。
(第1の実施形態)
(指向性演算装置2の構成)
本願発明の演算装置、及び、収音装置の構成例を説明する。図1を参照して、指向性演算装置2は、差分演算器13、加算器14、増幅器15、増幅器16、雑音判定部17、合成出力部18を有している。また、上記の指向性演算装置2と、マイクロホン11及び12、を以って、収音装置1を構成する。
2個のマイクロホン11及び12は、互いに近接して配置されている。これらマイクロホン11、12としては、例えば、無指向性のマイクロホンが用いられる。
マイクロホン11の出力は、差分演算器13と、加算器14に供給される。
マイクロホン12の出力もまた、差分演算器13と、加算器14に供給される。
即ち、差分演算器13においては、マイクロホン11の出力信号と、マイクロホン12の出力信号との差分が求められる。差分演算器13の出力信号は、雑音判定部17と、合成出力部18へ入力される。
また、加算器14においては、マイクロホン11の出力信号と、マイクロホン12の出力信号との和が求められる。加算器14の出力信号は、合成出力部18へ入力される。
増幅器15は、差分演算器13の出力信号を増幅する。増幅器16は、加算器14の出力信号を増幅する。これらの増幅器15、16は、合成出力部18に入力される差分演算器13からの信号と、加算器14からの信号のレベルを揃える目的で設けられている。
雑音判定部17は、差分演算器13からの出力信号に基づいて、風雑音の有無を判定する。雑音判定部17による雑音有無の判定結果は、合成出力部18に送られる。
合成出力部18は、雑音判定部17からの信号に応じて、周波数成分(或いは周波数帯域)ごとに差分演算器13(増幅器15)からの信号を出力するか、加算器14(増幅器16)からの信号を出力するかを選択して、スピーカなどに出力する。
上記の差分演算器13は、本願発明の「第1演算手段」の一実施形態である。加算器14は、本願発明の「第2演算手段」の一実施形態である(特に、加算器14は、請求項8の「第2演算手段」の一実施形態である)。雑音判定部17は、本願発明の「雑音検出手段」の一実施形態である。合成出力部18は、本願発明の「合成手段」の一実施形態である。
上記の指向性演算装置2を、例えば指向性マイクロホン装置に適用すれば、指向性マイクロホン装置の指向性を極力損なうことなく、風雑音等の無相関雑音による影響を少なくすることができる。指向性演算装置2がこのような効果を奏する原理については、後述する。
なお、差分演算器13は、単純にマイクロホン11の出力信号と、マイクロホン12の出力信号の差分を求めるものに限られない。例えば、マイクロホン12の出力信号を何倍かに増幅したものから、マイクロホン11の出力信号を減算するものであっても良い。或いは、マイクロホン12の出力信号を遅延させたものから、マイクロホン11の出力信号を減算するものであっても良い。このように、減算前の信号を増幅したり、遅延させたりすることにより、減算後の信号の指向性を制御することが可能となる。
同様に、加算器14は、単純にマイクロホン11の出力信号と、マイクロホン12の出力信号を加算するものに限られない。例えば、マイクロホン12の出力信号を増幅したものと、マイクロホン11の出力信号を加算するものであっても良い。或いは、マイクロホン12の出力信号を遅延させたものと、マイクロホン11の出力の出力信号を加算するものであっても良い。
(雑音判定部17による風雑音有無判定の原理)
雑音判定部17による風雑音有無判定の原理について説明する。
2個のマイクロホン11及び12は、近接して配置されているので、音声は、これら2個のマイクロホン11、12に相関の強い状態で収音される。一方、風によりマイクロホン11又はマイクロホン12の出力信号に発生する風雑音は、各マイクロホンに固有であり、両マイクロホンの風雑音は無相関である。
そうすると、マイクロホン11とマイクロホン12の何れか一方に風雑音が混入したとき、マイクロホン11及び12の差分信号は、音声信号よりも風雑音成分の方が支配的となり、差分信号のレベルも大きくなる。
したがって、雑音判定部17は、差分演算器13からの出力信号のレベルに基づいて、風雑音の有無を判定することができる。
上記説明した雑音判定部17は、請求項3の雑音検出手段の一実施形態に相当する。
(合成出力部18の構成例)
図2は、合成出力部18の具体的な構成の一例を示したものである。この合成出力部18は、スイッチ21、スイッチ22、LPF(ローパスフィルタ)24、HPF(ハイパスフィルタ)25、加算器26、スイッチ制御部27を有している。
スイッチ21は、差分演算器13の出力信号、又は、加算器14の出力信号の何れか一方をLPF24に供給するものである。スイッチ22は、差分演算器13の出力信号、又は、加算器14の出力信号の何れか一方をHPF25に供給するものである。
LPF24は、差分演算器13からの出力信号、もしくは、加算器14からの出力信号の高域成分を除去する。このLPF24の高域側のカットオフ周波数は、風雑音の周波数よりも高い周波数に設定される。一例として、風雑音が0〜300Hzの周波数帯域であるとすると、カットオフ周波数は300Hz程度に設定される。
HPF25は、差分演算器13からの出力信号、もしくは、加算器14からの出力信号の低域成分を除去する。このHPF25の低域側のカットオフ周波数は、LPF24の高域側のカットオフ周波数とほぼ同じ周波数に設定される。
加算器26は、LPF24を通過した信号と、HPF25を通過した信号とを加算して、音声出力信号としてスピーカ等に出力する。
スイッチ制御部27は、雑音判定部17が判定した雑音有無の結果に基づいてスイッチ21、スイッチ22を制御する。
雑音判定部17が風雑音ありと判断したとき、加算器14の出力信号がLPF24に供給されるようスイッチ21を制御し、差分演算器13からの出力信号がHPF25に供給されるようスイッチ22を制御する。この結果、風雑音が検出されたときは、低域成分については加算器14の出力信号が、高域成分については差分演算器13の出力信号が、加算器26から音声出力信号として出力される。
雑音判定部17が風雑音なしと判断したときは、差分演算器13からの出力信号がLPF24、及び、HPF25に供給されるようスイッチ21、スイッチ22を制御する。即ち、風雑音が検出されないときは差分演算器13の出力信号がそのまま加算器26から音声出力信号として出力される。
なお、上記の合成出力部18は、請求項6の合成手段の一実施形態に相当する。
なお、マイクロホン11、12の加算信号と、マイクロホン11、12の差分信号の信号レベルは大きく異なる。
したがって、風雑音有りの場合に、加算器14からの低域信号と差分演算器13の高域信号とを加算器26でそのまま合成すると、低域側の信号が著しく大きくなってしまう。したがって、差分演算器13と合成出力部18の間に設けられた増幅器15、及び、加算器14と合成出力部18の間に設けられた増幅器16により、加算器14からの低域信号と差分演算器13の高域信号の信号レベルがほぼ等しくなるように設定される。
(第2の実施形態)
本願発明の演算装置の他の構成例を説明する。図3を参照して、指向性演算装置30は、差分演算器13、加算器14、増幅器15、増幅器16、雑音判定部17、合成出力部18、LPF(ローパスフィルタ)31を有している。なお、指向性演算装置30を構成する各ブロックについては、第1の実施形態の指向性演算装置2とほぼ同じ機能、構成を有するものについては、指向性演算装置2で用いたものと同じ符号を付している。また、それらのブロックについての詳細な説明は以下では省略する。
LPF31は、差分演算器13の出力信号のうち、風雑音が有する周波数帯域(=除去したい雑音の周波数帯域)を通過させ、雑音判定部17へ供給する。
雑音判定部17は、LPF31からの信号に基づいて、風雑音の有無を判定する。雑音判定部17による雑音有無の判定結果は、合成出力部18に送られる。
本実施形態は、請求項4の雑音検出手段の一実施形態に相当する。
第1の実施形態の指向性演算装置2によれば、雑音判定部17は、差分演算器13の出力信号のレベルに基づいて風雑音の有無を推定していた。このため、風雑音とは異なる周波数帯域を有する無相関雑音がマイクロホン11、又はマイクロホン12の出力信号に混入した場合であっても、雑音判定部17は、誤って風雑音があるものと判定してしまう恐れがある。
これに対し、本実施形態の指向性演算装置30では、上記のLPF31を設けることにより、雑音判定部17は、風雑音の周波数帯域における差分演算器13の出力信号のレベルに基づいて判定するので、風雑音の有無をより正確に判定することができる。
なお、除去したい雑音が風雑音のような低域の雑音でない場合であれば、上記のLPF31に代えて、バンドパスフィルタを用いても良い。
(第3の実施形態)
本願発明の演算装置の他の構成例を説明する。図4を参照して、指向性演算装置40は、差分演算器13、加算器14、増幅器15、増幅器16、雑音判定部37、合成出力部38を有している。なお、指向性演算装置40を構成する各ブロックにおいて、第1の実施形態の指向性演算装置2、第2の実施形態の指向性演算装置30とほぼ同じ機能、構成を有するものについては、指向性演算装置2、指向性演算装置30で用いたものと同じ符号を付している。また、以下では、それらのブロックについての詳細な説明は省略する。
(雑音判定部37の構成)
雑音判定部37は、差分演算器13からの出力信号の周波数特性を測定し、無相関雑音(例えば、風雑音や熱雑音)の有無の判定、及び無相関雑音の周波数を検出する。この雑音判定部37の構成例である、雑音判定部37a、雑音判定部37bについて、以下で説明する。
(雑音判定部37aの構成)
図5は、雑音判定部37の一例である雑音判定部37aの構成を示すものである。雑音判定部37aは、アナログ信号である差分演算器13からの出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器41と、A/D変換された信号に対してFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行うFFT部42と、FFTにより得られた結果から、差分演算器13からの出力信号に含まれる無相関雑音の有無、及び雑音周波数を検出する雑音有無判定部43とからなる。雑音有無判定部43で検出された、無相関雑音の有無に関する情報と、雑音周波数に関する情報は、合成出力部38へ送られる。
(雑音判定部37bの構成)
図6は、雑音判定部37の他の例である雑音判定部37bの構成を示すものである。雑音判定部37bは、BPF51〜54と、雑音有無判定部55からなる。
BPF51〜54は、それぞれ通過帯域が異なる。一例として、BPF51は、風雑音が含まれうる、0〜300Hzの帯域の信号を通過させる。BPF52は300Hz〜1kHzの帯域の信号を通過させる。BPF53は1〜10kHzの帯域の信号を通過させる。BPF54は10〜20kHzの帯域の信号を通過させる。
雑音有無判定部55は、BPF51〜54の出力信号のレベルに基づいて、無相関雑音の有無、及び、無相関雑音の周波数を判定する。そして、判定結果を合成出力部38へ出力する。
例えば、マイクロホン11、12のいずれかが150Hzの周波数の無相関雑音を拾ったとき、0〜300Hzの帯域の信号を通過させるBPF51の信号レベルが大きくなる。例えば、マイクロホン11、12のいずれかが8kHzの周波数の無相関雑音を拾ったとき、1〜10kHzの帯域の信号を通過させるBPF53の信号レベルが大きくなる。このことにより、雑音有無判定部55は、BPFの出力信号の変化から無相関雑音の有無を知ると共に、どのBPFの出力信号が大きくなったのかに基づいて無相関雑音の周波数を判定するができる。
このような雑音判定部37bによれば、周波数特性を解析するためのFFT演算回路を要すことなく、簡単な回路構成により、無相関雑音の周波数を推定することができる。
なお、上記の雑音判定部37(37a、37b)は、請求項5の雑音検出手段の一実施形態に相当する。
(合成出力部38の構成)
合成出力部38は、雑音判定部37から送信されてきた無相関雑音の有無に関する情報と、雑音周波数に関する情報に基づいて、周波数成分(或いは周波数帯域)ごとに差分演算器13(増幅器15)からの信号を出力するか、加算器14(増幅器16)からの信号を出力するかを選択して、スピーカなどに出力する。この合成出力部38の構成例である、合成出力部38a、合成出力部38bについて、以下で説明する。なお、この合成出力部38(38a、38b)は、請求項7の合成手段の実施形態に相当する。
(合成出力部38aの構成)
図7は、合成出力部38の一例である合成出力部38aの構成を示す図である。合成出力部38aは、スイッチ61〜64、BPF(バンドパスフィルタ)65〜68、スイッチ制御部69、加算器70を有している。
BPF65〜68は、それぞれ通過帯域が異なる。一例として、BPF65は0〜300Hzの帯域の信号を通過させる。BPF66は300Hz〜1kHzの帯域の信号を通過させる。BPF67は1〜10kHzの帯域の信号を通過させる。BPF68は10〜20kHzの帯域の信号を通過させる。
スイッチ61は、増幅器15(差分演算器13)の出力信号、又は、増幅器16(加算器14)の出力信号の何れか一方をBPF65に供給する。スイッチ62は、増幅器15の出力信号、又は、増幅器16の出力信号の何れか一方をBPF66に供給する。スイッチ63は、増幅器15の出力信号、又は、増幅器16の出力信号の何れか一方をBPF67に供給する。スイッチ64は、増幅器15の出力信号、又は、増幅器16の出力信号の何れか一方をBPF68に供給する。
加算器70は、BPF65を通過した信号と、BPF66を通過した信号と、BPF67を通過した信号と、BPF68を通過した信号とを加算して、音声出力信号としてスピーカ等に出力する。
スイッチ制御部69は、雑音判定部37が判定した雑音有無、及び雑音の周波数の情報に基づいてスイッチ61〜64を制御する。
例えば、雑音判定部37が150Hzの周波数の無相関雑音ありと判断したとき、スイッチ制御部69は、増幅器16(加算器14)からの出力信号がBPF65に供給されるようスイッチ61を制御し、増幅器15(差分演算器13)からの出力信号がBPF66〜BPF68に供給されるようスイッチ62〜64を制御する。この結果、150Hzの無相関雑音が検出されたときは、0〜300Hz帯域については増幅器16からの出力信号が、加算器70に供給される。300Hz〜20kHz帯域については、増幅器15からの出力信号が、加算器70に供給される。この結果、無相関雑音が低減された信号が、音声出力信号として加算器70からスピーカ等に出力される。
或いは、雑音判定部37が5kHzの周波数(比較的高い周波数)の無相関雑音ありと判断したときは、スイッチ制御部69は、増幅器16(加算器14)からの出力信号がBPF67に供給されるようスイッチ63を制御し、増幅器15の出力信号がBPF65、66、68に供給されるようスイッチ61、62、64を制御する。この結果、5kHzの無相関雑音が検出されたときは、1〜10kHz帯域については増幅器16からの出力信号が加算器70に供給される。0〜1kHz帯域、及び10〜20kHz帯域については、増幅器15からの出力信号が加算器70に供給される。この結果、13kHz帯域の無相関雑音が発生したときでも、雑音が低減された信号を加算器70からスピーカ等に出力することができる。
雑音判定部17が無相関雑音なしと判断したときは、差分演算器13からの出力信号がLPF24、及び、HPF25に供給されるようスイッチ21、スイッチ22を制御する。即ち、無相関雑音が検出されないときは差分演算器13の出力信号がそのまま加算器26から音声出力信号として出力される。
なお、上記の合成出力部38aは、請求項7の合成手段の一実施形態に相当する。
(合成出力部38bの構成)
図8は、合成出力部38の一例である合成出力部38bの構成を示す図である。合成出力部38bは、HPF(ハイパスフィルタ)71、LPF(ローパスフィルタ)72、カットオフ周波数制御部73、増幅器74、加算部75を有している。
HPF71は、増幅器15(差分演算器13)からの出力信号の低域成分を除去する。LPF182は、増幅器16(加算器14)からの出力信号の高域成分を除去する。
増幅器74は、HPF71を通過した信号に対して増幅を行う。これは、差分演算器13の出力信号と、加算器14の出力信号のレベルを揃えるために設けられたものである。加算部75は、増幅器74からの出力信号と、LPF72からの出力信号とを加算して、音声出力として(例えばスピーカ等に)出力する。
カットオフ周波数制御部73は、雑音判定部37から通知された、雑音(無相関雑音)の有無、及びその雑音の周波数帯域に応じて、HPF71のカットオフ周波数と、LPF72のカットオフ周波数を変更する。例えば、雑音判定部37から、fw〔Hz〕以下の帯域の無相関雑音がある旨が通知されたとき、HPF71のカットオフ周波数をfw〔Hz〕にし、LPF72のカットオフ周波数をfw〔Hz〕に変更する。そうすることにより、加算器74からの出力信号を、fw〔Hz〕以下の信号については加算器14からの信号とし、fw〔Hz〕以上の信号については差分演算器13からの信号とすることができる。
上記の合成出力部38bもまた、請求項7の合成手段の一実施形態に相当する。
(第4の実施形態)
本願発明の演算装置は、図9のような指向性演算装置50でもよい。第1ないし第3の実施形態では、合成出力部18(38)は、雑音判定部17(37)が無相関雑音有りと判断したとき、無相関雑音付近の周波数成分については加算器14の出力信号を出力し、それ以外の周波数成分については差分演算器13の出力信号を出力していた。
これに代えて、指向性演算装置50では、雑音判定部17が無相関雑音有りと判断したとき、合成出力部18は、無相関雑音付近の周波数成分についてはマイクロホン12の出力信号を出力し、それ以外の周波数成分については差分演算器13の出力信号を出力する。或いは、合成出力部18は、マイクロホン12の出力信号に代えて、マイクロホン11の出力信号を出力しても良い。
上記の指向性演算装置50は、請求項2の演算装置の一実施形態に相当する。
(第5の実施形態)
本願発明の演算装置は、図10のような指向性演算装置60でもよい。指向性演算装置60は、第1〜第3の実施形態の演算装置とは異なり、加算器14に代えて、差分演算器19を用いる。この差分演算器19は、差分演算器13とは異なる差分演算を行う。具体的には、マイクロホン11又はマイクロホン12の差分演算信号を有指向性に保ちつつも、マイクロホン11、マイクロホン12間で無相関な雑音が、差分演算器13の出力信号よりも抑制された信号を生成するための差分演算を行う(その分、差分演算器19の出力信号の指向性は、差分演算器13の出力信号の指向性には劣る)。
上記の差分演算器19は、本願発明の「第2演算手段」の他の実施形態に相当する(特に、差分演算器19は、請求項9の「第2演算手段」の一実施形態である)。
(第6の実施形態)
本願発明の演算装置は、図11のような指向性演算装置70でもよい。指向性演算装置70は、第1〜第5の実施形態の演算装置とは異なり、無相関雑音の大きさに基づいて、指向性の演算方式を変化させることを特徴とする。
雑音判定部47は、雑音判定部17(37)と同様、無相関雑音の有無を判定して判定結果を合成出力部18へ出力すると共に、無相関雑音の大きさを可変演算器34へ出力する。
可変演算器34は、マイクロホン11、12からの出力信号に基づいて、様々な指向性信号を演算により生成することができる。また、可変演算器34は、雑音判定部47から入力された雑音レベルに基づいて、信号の生成演算式を変化させることができる。
例えば、雑音判定部47が、マイクロホン11(又はマイクロホン12)の出力信号に非常に大きな無相関雑音が混入したと判断したとき、無相関雑音の低減を最優先させるため、可変演算器34は、マイクロホン11とマイクロホン12の出力信号の加算演算を行う。
雑音判定部47が、マイクロホン11(又はマイクロホン12)の出力信号にやや大きな無相関雑音が混入したと判断したとき、音声出力信号の指向性を保ちつつ、無相関雑音の低減させるため、可変演算器34は、マイクロホン11とマイクロホン12の出力信号の差分演算を行う。この差分演算は、第5の実施形態の差分演算器19と同様、マイクロホン11又はマイクロホン12の差分演算信号を有指向性に保ちつつも、マイクロホン11、マイクロホン12間で無相関な雑音が、差分演算器13の出力信号よりも抑制された信号を生成するための差分演算を行う。
(本願の演算装置による効果)
従来の指向性演算装置(例えば、背景技術の特許公報2に記載のマイクロホン装置)によれば、風雑音発生時に指向特性を無指向性に変化させることで、風雑音の影響を低減させていた。しかし、風雑音発生時には、所望の方向からの音を効率よく収音するという、指向性マイクロホン装置の利点は犠牲になっていた。
これに対し、本願発明の演算装置は、無相関雑音(例えば、風雑音)発生時には、無相関雑音成分が含まれる周波数帯域(比較的低域の成分)のみを無指向化し、音声成分が含まれる周波数帯域は無指向化しない。したがって、本願発明によれば、指向性マイクロホン装置の利点を犠牲にすることなく、無相関雑音の影響を少なくすることを可能とする、指向性演算装置、及び、収音装置を実現することが可能となる。
(ソフトウエア等による実現)
なお、上記説明した演算装置の機能は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現することもできる。また、ソフトウエア的にはメモリにロードされた音声処理機能のあるプログラムなどによって実現することもできる。例えば、複数のマイクロホン入力端子を有するコンピュータに、マイクロホン11、12の信号を入力すれば、上記説明した差分演算器13、加算器14、雑音判定部17(37)、合成出力部18(38)の機能を、コンピュータのCPU等にロードされたソフトウエアに発揮させることで、上記指向性演算装置2の機能を実現することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば上記実施形態では、2個のマイクロホンを用いるものであったが、3つ以上のマイクロホンを用いる場合であっても、同様の考え方により、実現可能である。
上記実施形態では、各マイクロホンに固有な無相関雑音の例として、主として風雑音を挙げたが、無相関雑音としては、熱雑音もある。本願発明によれば、熱雑音の低減も可能である。
また、本発明の演算装置、収音装置に関する概念は、複数の信号を合成した合成信号の雑音を低減する雑音低減装置の発明にも適用可能である。例えば、複数の信号間で無相関な雑音の周波数特性を検出する手段と、検出された雑音の周波数特性に基づいて周波数帯域ごとに前記の複数の信号の合成方式を変化させる手段とを備えることにより実現可能である。
符号の説明
1 収音装置
2 指向性演算装置
11、12 マイクロホン
13 差分演算器
14 加算器
17 雑音判定部
18 合成出力部
収音装置1、指向性演算装置2の構成を示す図である。 合成出力部18の具体的な構成の一例を示したものである。 指向性演算装置30の構成を示す図である。 指向性演算装置40の構成を示す図である。 雑音判定部37の一例である雑音判定部37aの構成を示す図である。 雑音判定部37の他の例である雑音判定部37bの構成を示す図である。 合成出力部38の一例である合成出力部38aの構成を示す図である。 合成出力部38の一例である合成出力部38bの構成を示す図である。 指向性演算装置50の構成を示す図である。 指向性演算装置60の構成を示す図である。 指向性演算装置70の構成を示す図である。

Claims (11)

  1. 複数の無指向性の受音素子からの信号に基づいて、有指向性の信号を得るための演算を行う第1演算手段と、
    前記複数の無指向性の受音素子からの信号に基づいて、前記第1演算手段の出力信号よりも前記受音素子間で無相関な雑音が小さい、有指向性の信号を得るための演算を行う第2演算手段と、
    前記第1演算手段の出力信号に含まれる無相関雑音を検出する雑音検出手段と、
    前記第1演算手段の出力信号と第2演算手段の出力信号とを合成して出力する合成手段と、を有し、
    前記合成手段は、
    前記雑音検出手段が無相関雑音を検出したとき、前記第1演算手段の出力信号の前記無相関雑音が含まれない周波数成分と、前記第2演算手段の出力信号の前記無相関雑音が含まれる周波数成分とを合成して出力する演算装置。
  2. 複数の無指向性の受音素子からの信号に基づいて、有指向性の信号を得るための演算を行う第1演算手段と、
    前記第1演算手段の出力信号に含まれる無相関雑音を検出する雑音検出手段と、
    前記第1演算手段の出力信号と、前記いずれかの受音素子からの信号とを合成して出力する合成手段と、を有し、
    前記合成手段は、
    前記雑音検出手段が無相関雑音を検出したとき、前記第1演算手段の出力信号の前記無相関雑音が含まれない周波数成分と、前記受音素子からの信号の前記無相関雑音が含まれる周波数成分とを合成して出力する演算装置。
  3. 前記雑音検出手段は、
    前記第1演算手段の出力信号が所定レベルを超えるときは、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれているものと判断し、
    前記第1演算手段の出力信号が所定レベルを超えないときは、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれていないものと判断する、請求項1又は2記載の演算装置。
  4. 前記第1演算手段の出力信号における特定の周波数帯域の信号を通過させる周波数フィルタを有し、
    前記雑音検出手段は、
    前記周波数フィルタを通過した信号が所定レベルを超えるときは、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれているものと判断し、
    前記周波数フィルタを通過した信号が所定レベルを超えないときは、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれていないものと判断する、請求項1又は2記載の演算装置。
  5. 前記雑音検出手段は、前記第1演算手段の出力信号の周波数特性を検出する周波数特性検出手段を有し、
    前記雑音検出手段は、
    前記第1演算手段の出力信号の周波数特性において、所定レベルを超える周波数領域があったとき、前記第1演算手段の出力信号に無相関雑音が含まれているものと判断すると共に、前記所定レベルを超えた周波数に関する情報を合成手段に供給し、
    前記第1演算手段の出力信号の周波数特性において、所定レベルを超える周波数領域がなかったとき、前記第1演算手段の出力信号には無相関雑音が含まれていないものと判断する、請求項1又は2記載の演算装置。
  6. 前記合成手段は、
    通過帯域が異なる複数の周波数フィルタと、
    前記の各周波数フィルタに前記第1演算手段の出力信号を入力させるか、前記第2演算手段の出力信号を入力させるかを選択するための選択手段を有し、
    前記選択手段は、前記雑音検出手段による無相関雑音の検出結果に基づいて前記選択を行う、請求項3又は4記載の演算装置。
  7. 前記合成手段は、
    通過帯域が可変な可変周波数フィルタを有し、
    前記可変周波数フィルタは、前記雑音検出手段から通知された無相関雑音の周波数に関する情報に基づいて通過帯域を変更する、請求項5記載の演算装置。
  8. 前記第1演算手段は、前記複数の受音素子からの出力信号間の差分演算を行い、
    前記第2演算手段は、前記複数の受音素子からの出力信号間の加算演算を行う、請求項1ないし7の何れか1項に記載の演算装置。
  9. 前記第1、及び第2演算手段は、前記複数の受音素子からの出力信号間の差分演算を行い、
    前記第2演算手段は、前記第1演算手段とは異なる演算式に基づく差分演算を行い、前記第2演算手段からの出力信号は、前記第1演算手段の出力信号よりも前記受音素子間で無相関な雑音が小さい、請求項1ないし7の何れか1項に記載の演算装置。
  10. 複数の無指向性の受音素子と、
    請求項1ないし9のいずれか1項に記載の演算装置を有する、収音装置。
  11. コンピュータを、複数の無指向性の受音素子からの出力信号を入力し、前記複数の出力信号を演算して指向性を有する信号を出力する指向性演算手段として機能させるための信号処理プログラムであって、
    複数の無指向性の受音素子からの信号に基づいて、有指向性の信号を得るための演算を行う第1演算ステップと、
    複数の無指向性の受音素子からの信号に基づいて、前記第1演算手段の出力信号よりも前記受音素子間で無相関な雑音が小さい、有指向性の信号を得るための演算を行う第2演算ステップと、
    前記第1及び第2演算ステップで得られた信号を合成して合成信号を生成するステップを有し、
    前記合成信号は、
    前記無相関な雑音が含まれない周波数帯域については、前記第1の信号であり、前記無相関な雑音が含まれる周波数帯域については、前記第2の信号である、信号処理プログラム。
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