JP4402949B2 - 双極型静電チャックの再生方法 - Google Patents

双極型静電チャックの再生方法 Download PDF

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Description

この発明は、半導体製造プロセス等に用いられる種々の装置において、ウエハー等の試料を静電気力で吸着保持するために使用されるアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材で形成されてその表面に酸化皮膜を有する双極型の静電チャックについての再生方法に関する。
UK Patent Application GB 2050064 A 軽金属製品協会編集・発行,「アルミニウム表面処理の理論と実務」,第3版,1994年7月25日改訂第3版発行,p.199−200
半導体製造プロセスにおいては、近年、そのドライ化が急速に進み、プラズマエッチング装置、プラズマCVD装置、イオン注入装置、アッシング装置、電子ビームリソグラフィー装置、X線リソグラフィー装置等の装置が頻繁に使用されており、また、これらの装置においては、半導体ウエハー等の試料を真空中で処理することがしばしば行われている。
このような装置において、試料を保持するための手段として、静電吸着力を利用した静電チャックが広く利用されている。なかでも、特許第2,610,112号公報、特許第2,610,113号公報、特許第2,614,421号公報、特許第2,614,422号公報で教える双極型の静電チャックは、環状電極と基部電極とから構成された静電チャックであり、この環状電極と基部電極との間に発生する静電引力により半導体ウエハー等を保持する。この双極型静電チャックの多くは、比重が小さく軽量であるわりに、機械的強度が強く、加工性や成形性にも優れているといった特徴から、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材を用いて形成される。また、このアルミニウム材の表面には酸化皮膜が形成され、この酸化皮膜は、プラズマエッチング装置におけるプラズマ照射等からの保護を目的とする他に、静電チャックの誘電膜としても機能する(例えば、特許文献1参照)。このような静電チャックは、主にアルミニウム、タングステン、ポリシリコン、酸化膜等のエッチングに利用されている。
上記のように、アルミニウム材の表面に酸化皮膜を形成する方法としては、例えば、硫酸浴を使用した硫酸陽極酸化処理、シュウ酸陽極酸化に代表される有機酸陽極酸化処理、硫酸と有機酸との混合溶液を用いる混酸陽極酸化処理等があり、これによりアルミニウム材の表面に10〜150μm程度の酸化皮膜を形成する。特に静電チャックにおいては、一般的に膜厚50μm程度の酸化皮膜を形成する。
しかし、上記のようにその表面に酸化皮膜を有した双極型静電チャックであっても、プラズマエッチング装置等で使用するとプラズマに含まれるイオン、電子、ラジカルから受ける電気化学的作用によってこの双極型静電チャック表面の酸化皮膜が腐蝕したり、酸化皮膜の表面が還元、あるいはフッ化されるなどして変質したりすることがある。また、ウエハー処理に伴う反応副生成物がこの双極型静電チャックの表面に堆積してしまうこともある。
上記のような現象は双極型静電チャックの使用時間の経過と共に進み、これらが過度に進行するとウエハーの吸着において障害を引き起こす。例えば、腐蝕や変質によって酸化皮膜から脆化した酸化アルミニウムの一部が脱落したり、フッ化物に変質した酸化皮膜層がその母材となるアルミニウム材との熱膨張係数や格子定数の違いから層間応力によって脱落したり、また、表面に堆積した反応副生成物が脱落したりしてパーティクルを引き起こす。この際、静電チャック表面とウエハーとの間にパーティクルが入り込むと、ウエハーの吸着が阻害される。
また、双極型静電チャックの表面に付された酸化皮膜の劣化が進行し、この酸化皮膜の膜厚が薄くなり、更にこれが過度に進行すると母材であるアルミニウム材がその表面に露出して電気的絶縁性を損ねてしまう。その結果、双極型静電チャックにおける双極間の漏れ電流が増加して、そのまま双極型静電チャックをプラズマエッチング装置等で使用しつづけると、漏れ電流の増加に伴って、ウエハーの吸着力が低下し、必要とする保持状態が得られなくなるといった問題が生ずる。そのため、静電チャックについては予め使用時間が定められ、使用限界まで使用した静電チャックは新品に交換するか、あるいは静電チャックの表面に残存する酸化皮膜を一度除去した後に、再び酸化皮膜を形成する再生処理を行なう必要がある(例えば、酸化皮膜の除去については、非特許文献1参照)。
ところが、実際に再生処理を行なう静電チャックは、使用時間の積算値等によって管理されたものであっても、表面に付された傷や汚れ、使用されていた装置やその機種等によって残存する酸化皮膜の膜厚が異なる等、その状態はさまざまである。そのため、再生処理のためにリン酸溶液、苛性ソーダ溶液(水酸化ナトリウム溶液)等のエッチング浴によりエッチング処理をして表面酸化皮膜の除去すると、ある部分では酸化皮膜が残存したままとなり、ある部分ではアルミニウム材が露出してアルミニウム材が更にエッチングされてしまうなど、酸化皮膜の除去量に差が生じ、酸化皮膜除去後の双極型静電チャックの表面は大きなばらつきを有したものとなってしまう。
このような表面にばらつきを有した双極型静電チャックに対し、酸化皮膜を形成すると、再生した双極型静電チャックの酸化皮膜は、耐電圧値や双極間での絶縁抵抗値の低下を引き起こしたり、アルミニウム材と酸化皮膜との結合力不足によって装置で使用した場合の発塵源となったりする等の問題を生じる。また、再生処理を行った双極型静電チャックのなかには、事前の寸法管理が充分に行なわれなかったために、電極としての規格寸法を満たさず再利用が不可能であることが装置搭載時になって判明するものもあり、このような場合には、再生処理自体が無駄になってしまう。一方、装置のメンテナンス等の際に、オペレーターのミスにより工具等でその表面に傷や打痕を付けてしまった双極型静電チャックについては、使用積算時間が限度に達していない状態でも新品のものと交換しなければならないこともあった。
このような状況の下、実際に双極型静電チャックを使用する現場では、それまでの経験等から使用済みの双極型静電チャックについて、再生処理を繰り返して寸法限界に至るまで使用する場合もあれば、明確な根拠がないまま寸法限界に達する前に再生をあきらめて破棄したり、まったく再生処理を行わずに無造作に使い捨てることもあり、使用済みの双極型静電チャックの処理については十分な管理がされていなかった。また、再生して得た双極型静電チャックについては、再生処理を行なう前のものと比較して十分な品質を保持したものを得ることができなかった。
そこで、本発明者らは、使用済みの双極型静電チャックについて、再生処理により再利用可能となるかどうかについて客観的に判定できてこれまで明確な根拠がないまま寸法限界に達する前に使い捨てにしていた問題や、再生処理後に再利用が不能と判断されてしまうような無駄な再生処理の問題を解決すると共に、酸化皮膜を再生して得た双極型静電チャックが再生処理前のものと比較して品質が低下することなく再生することができる双極型静電チャックの再生方法について鋭意検討し、本発明を完成させた。
従って、本発明の目的は、使用済みの双極型静電チャックについて再利用が可能かどうかを客観的に判定し、再生可能と判定されてもののみ再生することで無駄な再生処理を減らし、また、再生して得られた双極型静電チャックが、その表面の酸化皮膜における耐電圧の低下や絶縁抵抗性の低下に起因する双極型の電極間の抵抗値低下を引き起こすことがなく、プラズマエッチング装置等で再び使用した場合でも発塵源となることがない双極型静電チャックを得ることができ、更には、再生処理に伴う双極型静電チャックの寸法減少量を最小限に制御することで双極型静電チャックの再生処理回数を増加させ、双極型静電チャックを無駄なく効率的に再利用することができる双極型静電チャックの再生方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材で形成された円盤状の基部電極と、上記アルミニウム材で形成された環状電極とから構成され、上記基部電極が、環状電極を嵌め込む環状凹溝を有してこの環状凹溝に嵌め込まれた環状電極と共に試料を吸着する試料吸着面を形成し、この基部電極の外周面にはフランジ部が突設されて上記試料吸着面と反対側の面にフランジ部と共にベース面を形成し、また、上記環状電極が表面に酸化皮膜を有し、上記基部電極がベース面を除いた表面に酸化皮膜を有した双極型の静電チャックについて、この静電チャックを再生する再生方法であって、上記静電チャックを再生するかどうかを判定するための検査を行なう検査工程と、この検査工程で得られた検査結果から静電チャックを再生するかどうかを判定する判定工程と、この判定工程で再生すると判定した場合に上記静電チャックの露出面における酸化皮膜を除去する皮膜除去工程と、この皮膜除去工程で得られた静電チャックを研摩する研摩工程と、この研摩工程で得られた静電チャックに酸化皮膜を形成する皮膜再生工程とを含み、検査工程における検査が、試料吸着面の直径寸法(D1)、基部電極におけるフランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)、及び静電チャックの高さ寸法(H2)を測定する静電チャックの寸法測定と、静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚(T)測定と、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値測定とを含み、判定工程において静電チャックを再生すると判定する判定条件が、上記検査工程で得られた測定結果に基づき、下記式(1)〜(3)から得られるD1判定値、H1判定値、及びH2判定値が、それぞれ再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であり、かつ、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値が測定電圧直流700Vに対して10μA未満であることを特徴とする双極型静電チャックの再生方法である。
D1判定値=D1−2×T ・・・(1)
H1判定値=H1−T ・・・(2)
H2判定値=H2−T ・・・(3)
また、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材で形成された円盤状の基部電極と、上記アルミニウム材で形成された環状電極と、上記アルミニウム材で形成された保護リングとから構成され、上記基部電極が、環状電極を嵌め込む環状凹溝を有してこの環状凹溝に嵌め込まれた環状電極と共に試料を吸着する試料吸着面を形成し、この基部電極の外周面にはフランジ部が突設されて上記試料吸着面と反対側の面にフランジ部と共にベース面を形成し、また、上記保護リングが、上記基部電極の外周面と接する環状リング部と、この環状リング部の外周面から突出して上記基部電極におけるフランジ部の上面と接すると共にこのフランジ部の外径より小さい外径を有する円形突出部とから形成され、かつ、試料吸着面と面一となるように基部電極に嵌合されており、また、上記環状電極が表面に酸化皮膜を有し、上記基部電極がベース面を除いた表面に酸化皮膜を有し、上記保護リングが表面に酸化皮膜を有した双極型の静電チャックについて、この静電チャックを再生する再生方法であって、上記静電チャックを再生するかどうかについて判定するための検査を行なう検査工程と、この検査工程で得られた検査結果から上記静電チャックを再生するかどうかを判定する判定工程と、この判定工程で再生すると判定した場合に上記静電チャックの露出面における酸化皮膜を除去する皮膜除去工程と、この皮膜除去工程で得られた静電チャックを研摩する研摩工程と、この研摩工程で得られた静電チャックに酸化皮膜を形成する皮膜再生工程とを含み、検査工程における検査が、保護リングにおける環状リング部の外径寸法(D3)、保護リングにおける円形突出部上面から試料吸着面までの距離(H3)、基部電極におけるフランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)、静電チャックの高さ寸法(H2)、及び保護リングにおける円形突出部の外径寸法(D4)を測定する静電チャックの寸法測定と、静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚(T)測定と、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値測定とを含み、判定工程において静電チャックを再生すると判定する判定条件が、上記検査工程で得られた測定結果に基づき、下記式(4)〜(8)から得られるD3判定値、H1判定値、H3判定値、D4判定値、及びH2判定値が、それぞれ再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であり、かつ、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値が測定電圧直流700Vに対して10μA未満であることを特徴とする双極型静電チャックの再生方法である。
D3判定値=D3−2×T ・・・(4)
H1判定値=H1−T ・・・(5)
H3判定値=H3−T ・・・(6)
D4判定値=D4−2×T ・・・(7)
H2判定値=H2−T ・・・(8)
また、本発明は、皮膜除去工程の前に、上記静電チャックの洗浄処理を行なう洗浄工程を含む双極型静電チャックの再生方法である。
本発明における双極型静電チャックは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材で形成された円盤状の基部電極と、上記アルミニウム材で形成された環状電極とから構成され、上記基部電極が、環状電極を嵌め込むための環状凹溝を有してこの環状凹溝に嵌め込まれた環状電極と共にウエハー等の試料を吸着する試料吸着面を形成し、この基部電極の外周面には、当該静電チャックを下記の装置等で使用する際に取付けに使用するフランジ部が突設されて上記試料吸着面と反対側の面にはこのフランジ部と共にベース面を形成しており、また、上記環状電極はその表面に酸化皮膜を有し、基部電極は上記ベース面を除いた表面に酸化皮膜を有した双極型の静電チャックであればよい。尚、上記で説明した以外の形状等については、特に制限されることはない。
上記静電チャックを構成する基部電極と環状電極については、基部電極に設けられた環状凹溝に嵌め込まれる環状電極と基部電極との間が、それぞれの表面に形成された酸化皮膜により電気的に絶縁されており、また、この環状電極と基部電極との間は一般的にエポキシ系接着剤により固着されて一体に形成される。このような双極型の静電チャックについては、プラズマエッチング置、プラズマCVD装置、イオン注入装置、アッシング装置、電子ビームリソグラフィー装置、X線リソグラフィー装置等においてウエハー等の試料を吸着保持するために使用される。上述したように基部電極がフランジ部と共に形成したベース面を上記装置における静電チャック取付け面に載置して、フランジ部を用いてボルト等によりこれらの装置に固定する。そして、このベース面と反対側の面にあたる静電チャックの試料吸着面には、基部電極と環状電極により引き起こされる静電引力によってウエハー等の試料を吸着保持させる。
本発明において、双極型静電チャックを再生するかどうかを判定するための検査を行なう検査工程は、双極型静電チャックを再生するかどうかを判定することができる検査を行うものであればよく、好ましくはこの検査工程における検査が、双極型静電チャックの寸法測定と、静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚(T)測定と、静電チャックを構成する環状電極と基部電極との間の漏れ電流値測定とを含むのがよい。
上記検査工程における静電チャックの寸法測定は、試料吸着面の直径寸法(D1)測定と、基部電極のフランジ部においてベース面と反対側の面にあたるフランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)測定とを含むのがよく、好ましくは上記寸法測定に加えて、静電チャックの高さ寸法(H2)測定とを含むのがよい。
双極型静電チャックは、一般に、プラズマエッチング装置、プラズマCVD装置、イオン注入装置、アッシング装置、電子ビームリソグラフィー装置、X線リソグラフィー装置等で使用する際に、静電チャックを構成する基部電極の外周面に対して石英、セラミックス、ポリイミド樹脂、又はシリコン製のフォーカスリングを取付ける。このフォーカスリングは、プロセスチャンバー中においてウエハー付近のプラズマ密度を均一にするために使用する。このフォーカスリングは、基部電極の外周面に嵌合できるような内径形状を有しており、このフォーカスリングはウエハー付近のプラズマ密度を上げたり均一化する機能を果たすことから、基部電極に対して確実に取付けられる必要がある。
上述したように、アルミニウム材で形成されて酸化皮膜を有した静電チャックは、プラズマ照射環境下で使用するうちに劣化が進む。しかし、上記フォーカスリングは静電チャックに比べて交換頻度が高いため、フォーカスリングの内径は常に一定の値を保ちつづける。そのため、静電チャックにおける試料吸着面の直径寸法(D1)が減少すると基部電極に取付けるフォーカスリングの内径との間に隙間(クリアランス)が生じ、この隙間が大きくなると、基部電極の外周面とフォーカスリングとの間で放電が発生する。また、試料吸着面の劣化や基部電極におけるフランジ部上面の劣化により、フランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)が減少すると、基部電極にフォーカスリングを取付けると試料吸着面よりフォーカスリングの方が高くなってしまい、ウエハー等の試料が試料吸着面で確実に吸着することができなくなる。そのため、本発明における再生方法では、双極型静電チャックを再生するかどうかを判定するために、上記試料吸着面の直径寸法(D1)及びフランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)を測定するのがよい。
ところで、双極型静電チャックの表面に人為的なミス等で付された傷や打痕、或いは部分放電により生じた極所的侵食などによる表面凹凸を有する場合、本発明の検査工程における静電チャックの寸法測定は、上述した寸法測定に加え、上記表面凹凸の最大幅寸法測定と最大深さ寸法測定とを含むのがよい。このような表面凹凸が大きなものであると、酸化皮膜を形成することにより再生して得られた静電チャックでもこの表面凹凸に由来の凹凸が表面に残存してしまう。例えば、再生後の静電チャックの試料吸着面に一定寸法以上の表面凹凸が存在すると、ウエハー等の試料と試料吸着面との間にヘリウム等のガスが入り込み、ヘリウム等の分散に影響を及ぼす。また、フランジ部の上面に上記表面凹凸が存在すると、上記フォーカスリングを取付けた場合にフォーカスリングとフランジ部の上面との間にできる隙間で放電が生じ、表面凹凸においてさらに部分的な侵食が発生する。そのため、本発明における再生方法では、静電チャックが表面凹凸を有する場合には、検査工程においてその最大幅寸法及び最大深さ寸法測定を測定する。尚、上記表面凹凸については、その形状、静電チャックにおける位置、発生原因等に制限されることはない。
上記表面凹凸の最大幅寸法と最大深さ寸法を測定する方法としては、例えばスケールが読み取れるような測定機能を設けた拡大鏡や顕微鏡等を使って測定してもよく、特に深さ寸法の測定については、触針式の表面粗さ測定器等の接触式測定器や、レーザー式粗さ測定器等の非接触式測定器を利用するのがよく、好ましくは、触針のトレース痕等が残らない非接触式測定器を利用するのがよい。
また、上記検査工程において、双極型静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚(T)測定は、基部電極及び環状電極からなる静電チャックにおいて露出した表面の部分における酸化皮膜の膜厚(T)を測定する。この測定においては、静電チャックの各部位の表面に付された酸化皮膜を測定して各部位ごとに膜厚(T)を求めてもよく、試料吸着面及び基部電極のフランジ部上面における酸化皮膜を任意に選択して測定し、その平均値を求めてもよい。酸化皮膜の膜厚を測定する際には、静電チャックを形成するアルミニウム材表面に形成された酸化アルミニウム(Al23)層の膜厚を測定する。また、この酸化皮膜の膜厚測定の方法については、特に制限されないが、例えば、静電容量式膜厚計、渦電流式膜厚計等の測定装置を使って静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚測定を測定することができる。
また、上記検査工程における環状電極と基部電極との間の漏れ電流値測定については、上述したように電気的に絶縁されて一体に構成された双極型静電チャックの基部電極と環状電極との間での漏れ電流値を測定する。このような測定としては、例えば、絶縁抵抗測定器等の測定器を利用した測定方法等を例示することができる。
また、本発明において、上記静電チャックを再生するかどうかを判定するための検査を行なう検査工程に続いて行われる判定工程では、検査工程で得られた検査結果から検査した静電チャックを再生するか、あるいは再生しないかを判定する。この判定工程においては、上記検査工程において検査して得た各測定結果が以下に示す条件を全て満たす場合に限り、検査した双極型静電チャックを再生すると判定して引き続き本発明における皮膜除去工程、研摩工程、及び皮膜再生工程に進んで再生のための処理を行なう。以下に示す条件のうち何れか一つでも満たさないものがあれば、検査した双極型静電チャックについては再生を行なわないと判定し、次の工程である皮膜除去工程には進まず再生を中止する。
本発明の判定工程において静電チャックを再生すると判定するための判定条件は、検査工程における静電チャックの寸法測定の測定結果から酸化皮膜の膜厚(T)測定結果を除いた値が再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であり、かつ、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値が測定電圧直流700Vに対して10μA未満であるのがよい。これらの条件について、以下で具体的に説明する。
先ず、検査工程における静電チャックの寸法測定の測定結果から酸化皮膜の膜厚(T)測定結果を除いた値が再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であるかどうかの判定条件について説明する。この判定条件は、本発明における皮膜再生工程において酸化皮膜を再生した後の双極型静電チャックの寸法値を予測し、この予測した値が再生する双極型静電チャックに予め製品として定められた規格寸法としての値の範囲内であるかどうかを判断するものである。
具体的には、下記式(1)に表わすように、検査工程で得られた試料吸着面の直径寸法(D1)から検査工程で得られた静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚(T)の2倍(試料吸着面の直径寸法にはその両端に酸化皮膜の膜厚が含まれるため)を引いた値をD1判定値として、このD1判定値を再生する静電チャックにおける試料吸着面の直径寸法として定められた規格寸法と比較する。同様に、下記式(2)に表わすように、検査工程で得られたフランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)から静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚(T)を引いた値をH1判定値として、このH1判定値を再生する静電チャックにおけるフランジ部上面から試料吸着面までの距離として定められた規格寸法と比較する。
D1判定値=D1−2×T ・・・(1)
H1判定値=H1−T ・・・・・・(2)
再生するかどうか判定する静電チャックについて、上記式(1)で求めたD1判定値が当該静電チャックにおける試料吸着面の直径として定められた規格寸法としての値の範囲内であり、かつ、上記式(2)で求めたH1判定値が当該静電チャックのフランジ部上面から試料吸着面までの距離として定められた規格寸法としての値の範囲内であれば、検査工程における静電チャックの寸法測定の測定結果から酸化皮膜の膜厚(T)測定結果を除いた値が再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であるという判定条件を満たすと判断する。上記のいずれか一方でも静電チャックとして定められた規格寸法の値の範囲から外れる場合には、本発明の判定工程では判定に係る当該双極型静電チャックについては再生を行わないと判定する。上記判定値のいずれか一方でも規格寸法の範囲を外れると、このような双極型の静電チャックを本発明の再生方法によって再生したとしても、再生後の静電チャックの寸法が小さくなり過ぎて、半導体製造プロセスにおける装置に搭載する際、フォーカスリングとの組立てにおける整合性に問題が生じて静電チャックとして使用できなくなる虞がある。
検査工程における静電チャックの寸法測定の測定結果から酸化皮膜の膜厚(T)測定結果を除いた値が再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であるかどうかの判定条件については、好ましくは上記D1判定値と規格寸法との比較、及びH1判定値と規格寸法との比較による条件に加えて、下記式(3)に示すような検査工程で得られた静電チャックの高さ寸法(H2)から静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚(T)を引いたH2判定値を、再生する静電チャックにおいて定められた高さについての規格寸法と比較して判断するのがよい。
H2判定値=H2−T ・・・・・・(3)
静電チャックの高さ寸法(H2)は、半導体製造プロセスに係る装置に取り付けて使用する際、一般的には対極に別途備え付けられた上部電極と共に使用されるが、再生した後の静電チャックの高さ寸法はこの上部電極との間の距離に影響して高周波インピーダンスを変動させるため、上記H2判定値を再生する静電チャックにおいて定められた高さについての規格寸法と比較して判定することで、本発明における再生方法によって得た静電チャックが高周波インピーダンスを大きく変動させることなく安定したプラズマを発生させるようにできる点で有利である。
次に、本発明の検査工程で測定した環状電極と基部電極との間の漏れ電流値に係る判定条件については、検査工程で得られた環状電極と基部電極との間の漏れ電流値が測定電圧直流700Vに対して10μA未満、好ましくは1μA未満であるかどうかで判定するのがよい。測定電圧直流700Vに対する漏れ電流値が10μA以上であると、静電チャックの内部の構造における双極電極界面の絶縁が劣化している可能性があり、本発明における再生方法により再生していも絶縁状態には戻らず、静電チャックの吸着能力を回復することはできない。したがって、再生前に漏れ電流値を測定して判定することで無駄な再生に係る処理を減らすことができる。
また、本発明における双極型静電チャックが、人為的なミス等で付された傷や打痕、或いは部分放電により生じた極所的侵食等に起因して表面凹凸を有する場合、判定工程において静電チャックを再生すると判定するための判定条件については次の通りである。すなわち、再生すると判定するためには、表面凹凸を有さない場合と同様に検査工程における静電チャックの寸法測定の測定結果から酸化皮膜の膜厚(T)測定結果を除いた値が再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であるかどうかの判定条件、及び基部電極と環状電極との間の漏れ電流値についての判定条件をそれぞれ満たすと共に、検査工程で測定した表面凹凸の最大幅寸法が10mm未満及び最大深さ寸法が0.5mm未満であるかどうかの判定条件をさらに加えて判定するのがよい。静電チャックが表面凹凸を有する場合、この表面凹凸の最大幅が10mm以上、あるいは最大深さが0.5mm以上であると、後の研摩工程における研摩では表面凹凸を除去しきれず、双極型静電チャックの表面には凹凸が残ったままとなり、再生して得られた静電チャックを半導体製造プロセスに係る装置等で使用した場合、吸着したウエハーの裏面と静電チャックの試料吸着面との間でのヘリウム等のガスの分散状態に異常が生じる虞がある。
本発明においては上記のような判定工程を含むため、再生して得られた双極型静電チャックが規格寸法を満たさず、再利用することができないということが再生を行なった後になって判明するような問題を防止することができ、無駄な再生に係る処理を減らすことができる。また、再生して得られた双極型静電チャックについては、酸化皮膜の膜厚、絶縁抵抗値、表面粗さ等の品質が再生処理を行なう前の静電チャックと比べて低下することがなく、また、上述したプラズマエッチング装置等の装置で使用した場合に発塵の原因となることもない。
また、本発明において、上記判定工程で双極型静電チャックを再生すると判定した場合、双極型静電チャックの露出面における酸化皮膜を除去する皮膜除去工程に進む。この皮膜除去工程において酸化皮膜を除去する際に、酸化皮膜の除去と共に酸化皮膜を有したアルミニウム材自体の表面も除去するのがよく、この酸化皮膜の除去と共に取り除くアルミニウム材の表面の厚み(アルミニウム材の減少量)を好ましくは5〜50μm、より好ましくは5〜10μmの範囲とするのがよい。また、この皮膜除去工程において除去する酸化皮膜については、好ましくは試料吸着面、基部電極外周面、基部電極におけるフランジ部上面、及びフランジ部側面における酸化皮膜であるのがよい。
上記皮膜除去工程において、酸化皮膜の除去と共に取り除くアルミニウム材の厚みが5μmより少ないと、皮膜除去工程終了後の双極型静電チャックの表面に現れるアルミニウム材の露出量が不十分となり、アルミニウム材の表面に残された酸化皮膜の影響により後の工程である酸化皮膜を形成する皮膜再生工程で酸化皮膜を形成する際に、電解開始時に必要な電流を流すことができず、正常な成膜状態が得られなくなるといった問題が生じる虞がある。また、取り除くアルミニウム材の厚みが10μmを超えると、必要以上にアルミニウム材を取り除くことになり、一度再生した双極型静電チャックを2回目以降再生して使用する場合、再生することができる再生可能な回数が減少してしまう。更に、取り除くアルミニウム材の厚みが50μmを超えると、必要以上にアルミニウム材を取り除くこととなり、後の工程である皮膜再生工程にて酸化皮膜を形成しても、再生して得られた双極型静電チャックがプラズマエッチング装置等で使用した場合に、静電チャックとしての規格寸法を満たさなくなるといった問題が生ずる虞がある。
上記皮膜除去工程における皮膜除去の手段は、双極型静電チャックの露出面における酸化皮膜を除去することができるものであればよく、好ましくは双極型静電チャックをエッチング浴に浸漬して、その表面に付された酸化皮膜を除去するエッチング工程であるのがよい。皮膜除去工程がエッチング工程である場合、使用するエッチング浴としては、通常のエッチング浴であればよく、例えば、リン酸・クロム酸溶液、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等を使用することができ、好ましくはリン酸・クロム酸溶液又は水酸化ナトリウム溶液である。
本発明における皮膜除去工程がエッチング工程である場合、酸化皮膜の除去を行なうエッチング条件については、使用するエッチング浴の種類によっても異なるが、リン酸・クロム酸溶液を用いる場合、通常、85wt%リン酸(比重1.7)でリン酸20〜60ml/リットル、クロム酸10〜60g/リットル、好ましくは85wt%リン酸(比重1.7)でリン酸30〜50ml/リットル、クロム酸20〜50g/リットルの濃度のエッチング浴を用い、浴温度75〜100℃、好ましくは95〜100℃の範囲で、浸漬時間300〜600秒間、好ましくは300〜420秒間である。
また、本発明において、上記双極型静電チャックの露出面における酸化皮膜を除去する皮膜除去工程に続いて行われる研摩工程では、上記皮膜除去工程で酸化皮膜を除去した静電チャックの酸化皮膜の除去面を研摩する。この研摩工程における研摩によって、静電チャックの表面粗さ(断面曲線の最大高さRy)を5μm以下、好ましくは1μm以下に制御するのがよい。研磨して得られる双極型静電チャックの表面粗さが5μmより大きくなると、この研摩工程に引き続いて行なう皮膜再生工程において、研磨した双極型静電チャックに酸化皮膜を形成しても、得られる双極型静電チャックの酸化皮膜が表面粗さRy10μm以上の粗度の大きい面となり、再生して得られた双極型静電チャックが耐電圧値や絶縁抵抗値の低下を引き起こしたり、アルミニウム材と酸化皮膜との結合力不足により、上述した装置等で使用した場合に発塵源となったりする等の問題を引き起こす虞がある。
また、双極型静電チャックが上述したような表面凹凸を有する場合、本発明における研摩工程では、双極型静電チャックを上記範囲の表面粗さに研摩すると共に、この双極型静電チャックの表面凹凸における角部を、曲率半径(R)0.2mm以上、好ましくは0.5mm以上となるように研磨するのがよい。再生する双極型静電チャックが表面凹凸を有する場合、この表面凹凸における角部が鋭敏なものであれば、この研摩工程に引き続いて行なう皮膜再生工程において双極型静電チャックに酸化皮膜を形成しても、この角部については酸化皮膜の成膜不良を引き起こし、酸化皮膜の形成が十分にできない虞がある。このような成膜不良が生ずると、再生して得られた双極型静電チャックの酸化皮膜が絶縁抵抗の低下を起こす原因となるため、上記のような曲率半径となるように角部に丸みを帯びさせるのがよい。
また、本発明における研摩工程では、好ましくは研摩によりアルミニウム材の表面を厚さ10μm以下の範囲で研摩して除去するのがよい。この研摩工程における研磨によって除去するアルミニウム材表面の厚み(アルミニウム材の減少量)が10μmより厚くなると、必要以上にアルミニウム材を研摩することになり、引き続いて行なう皮膜再生工程を経て得られた静電チャックを一度プラズマエッチング装置等の装置で使用し、二度目以降の再生が必要になって当該双極型静電チャックの再生を行なう場合に、再生することができる再生可能回数が減少してしまう。また、研摩して除去するアルミニウム材の厚さが上記範囲を超えると、場合によってはアルミニウム材の減少量が多くなり過ぎて、この研摩工程に引き続いて行なう皮膜再生工程において酸化皮膜を形成しても、双極型静電チャックを上記装置等で使用した場合に静電チャックとしての規格寸法を満たさず使用できないといった問題が生ずる虞がある。
本発明における研摩工程では研摩する手段に特に制限はないが、好ましくは粒度80〜1200番の研磨材を用いて研摩処理するのがよく、具体的には粒度80〜1200番の研磨材を有する砥石、研磨紙、研磨布等を用いて皮膜除去工程で得られた静電チャックの酸化皮膜除去面や静電チャックにおける表面凹凸の角部を研磨するのがよい。
また、本発明において、静電チャックを研摩する研摩工程に続いて行う皮膜再生工程では、上記研摩工程で得られた静電チャックの研摩面に再び酸化皮膜を形成する。この皮膜再生工程において静電チャックの表面に形成する酸化皮膜の膜厚を、再生する静電チャックがプラズマエッチング装置等の装置で未だ一度も使用されていない未使用時(新品時)の状態においてアルミニウム材の表面に有した酸化皮膜の膜厚の80〜120%、好ましくは90〜110%の範囲に制御するのがよい。本発明における皮膜再生工程において、静電チャックの表面に上記範囲の膜厚で酸化皮膜を形成することで、再生して得られた双極型静電チャックにおける電気的絶縁性、耐プラズマ性等の性能について、この双極型静電チャックが未使用時の状態で有していたものと同等の性能を有せしめることができる。また、再生する酸化皮膜の膜厚を上記範囲にすることで、静電チャックの耐久性についても向上させることができる。ただし、再生により酸化皮膜の耐久性を向上させる目的から、再生する酸化皮膜の厚さを新品時の膜厚より大きくした場合でも、本発明の目的を脱するものではない。
また、本発明における皮膜再生工程は、好ましくは陽極酸化処理により酸化皮膜を形成する陽極酸化工程であるのがよい。この陽極酸化については、通常行なう陽極酸化処理を用いることができ、例えば、硫酸陽極酸化、シュウ酸陽極酸化、硫酸と有機酸との混合溶液を用いた混酸陽極酸化等を例示することができる。この場合の陽極酸化の条件としては、使用する浴の種類によって異なるが、例えば硫酸を用いた場合には、浴濃度10〜20wt%、浴温度0〜5℃、定電流(電流密度)2〜4A/dm2、時間10〜60分である。尚、上記陽極酸化において静電チャックを浸漬する際、酸化皮膜の形成を望まない部分についてはマスキング処理等の一般的な処理を行なうことができる。
本発明における再生方法では、皮膜除去工程及び研摩工程において静電チャックの表面を除去した厚みの合計(A)と、研摩工程終了後の静電チャックの表面を再生基準面として皮膜再生工程においてこの再生基準面より上方に形成した酸化皮膜の厚み(B)との差(A−B)を、再生する静電チャックがプラズマエッチング装置等の装置で未だ一度も使用されていない未使用時(新品時)の状態で有した酸化皮膜の膜厚の50〜100%、好ましくは50〜75%の範囲に制御するのがよい。
上述したように、本発明における皮膜除去工程では、静電チャックにおける露出面の酸化皮膜を取り除くと共にこの酸化皮膜を表面に付したアルミニウム材の表面の一部をも取り除くのがよく、また、研摩工程では、皮膜除去工程で得られた静電チャックの表面を研摩してアルミニウム材の表面の一部を取り除く。ここで、研摩工程終了後の静電チャックの表面を再生基準面とすると、本発明における皮膜再生工程で酸化皮膜を形成する際、上記再生基準面をまたいでこの再生基準面より下方であるアルミニウム材側、及びこの再生基準面より上方に酸化皮膜である酸化アルミニウム(Al23)が形成される。この皮膜再生工程で形成する酸化皮膜を上記範囲とすることで、一度再生して得た静電チャックを装置等で使用した後に再び本発明における再生方法によって再生できる再生可能な回数を増加させることができ、静電チャックを無駄なく効率的に再生することができる。また、再生前の静電チャックと比べて同等の性能を有した状態で静電チャックとし再利用することができる。上記の数値が50%より小さいと皮膜除去工程における酸化皮膜の除去が不十分であるか、又は、再生後の膜厚が不足していることになるため、酸化皮膜の膜質が悪かったり、絶縁抵抗が低かったりする問題が生じ、反対に100%より多くなると、寸法減少量が大き過ぎるので、再生可能回数を減らしてしまうといった問題が生じる虞がある。
また、本発明における静電チャックの再生方法では、検査工程に先駆けて、前処理として双極型静電チャックの洗浄処理を行なう洗浄工程を含んでもよい。この洗浄工程における双極型静電チャックの洗浄処理については、例えば、静電チャックを有機溶剤浴中に浸漬して超音波を付与する超音波洗浄であってもよい。この超音波洗浄の条件としては、アセトン、トルエン等の有機溶剤浴中に双極型静電チャックを浸漬させ、周波数20〜100kHz、超音波密度0.1〜1.0W/cm2の超音波を照射し、浸漬時間5〜10分間であるのがよい。超音波の周波数が20kHzより低いと、超音波のエロージョンによって双極型静電チャックの酸化皮膜が剥がれ落ちたり、静電チャックを形成するアルミニウム材が深く侵食されたりすることがあり、反対に超音波の周波数が100kHzより高いと、双極型静電チャック表面の汚れ等の付着物を取り除く能力が低下してしまう。また、超音波密度が0.1W/cm2より低い場合には、洗浄効果が低下してしまい、反対に1.0W/cm2より高い場合には、エロージョンにより酸化皮膜が剥がれ落ちたり、アルミニウム材が深く侵食されたりすることがある。浸漬時間が5分より短いと付着物の除去が充分に行なえず、反対に浸漬時間が10分より長くなると超音波のエロージョンによって酸化皮膜が剥がれ落ちる虞があるほか、生産性を高めるためにも要する時間が長くなるのは好ましくない。
上記洗浄処理において、洗浄処理を行なう双極型静電チャックの酸化皮膜が剥がれ落ちてしまったり、静電チャックを形成するアルミニウム材が深く侵食されたりすることは、本発明における皮膜除去工程にて静電チャック露出面の酸化皮膜を除去する際に、不均一な酸化皮膜除去面を形成する虞があるため、有機溶剤浴中での超音波洗浄処理は上記の洗浄条件で行なうのがよい。上記洗浄処理によれば、例えば、本発明における皮膜除去工程においてエッチング除去によって酸化皮膜を除去する場合、エッチングの進行の妨げとなる汚れ等の付着物を酸化皮膜表面から取り除くことができるため、酸化皮膜を除去するエッチング除去がより均一に行なうことができる。
また、本発明の洗浄工程における洗浄処理は、双極型静電チャックに対し、直径0.1mm〜1mm程度に粉砕したドライアイスを圧縮空気に混在して照射するドライアイスブラスト照射洗浄であってもよい。このドライアイスブラスト照射の条件としては、吐出圧力10〜70Pa、照射速度1〜10sec/cm2であるのがよく、吐出圧力、照射速度の条件がこれらより大きくなると照射した双極型静電チャック表面の酸化皮膜が剥がれ落ちる虞があり、本発明における皮膜除去工程にて双極型静電チャック露出面の酸化皮膜を除去する際に、不均一な酸化皮膜除去面を形成するといった問題を生じる。
上記のようなドライアイスブラスト照射を行なうと、双極型静電チャックにおける表面酸化皮膜の微細な凹凸に入り込んだ汚れ等の付着物まで洗浄することができるため、例えば、本発明の皮膜除去工程においてエッチング除去により酸化皮膜の除去を行なう場合に、双極型静電チャック露出面の酸化皮膜の除去をより均一に行なうことができる。また、このようなドライアイスブラスト照射洗浄は、上記超音波洗浄と組み合わせて行なうと洗浄効果が向上し、特に、有機溶剤浴中での超音波洗浄処理を行った後にドライアイスブラスト照射洗浄を行なうと、双極型静電チャックの洗浄効果をより一層向上させることができる。
また、本発明における双極型静電チャックについては、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材で形成された円盤状の基部電極と、上記アルミニウム材で形成された環状電極と、上記アルミニウム材で形成された保護リングとから構成され、上記基部電極が、環状電極を嵌め込むための環状凹溝を有してこの環状凹溝に嵌め込まれた環状電極と共にウエハー等の試料を吸着する試料吸着面を形成し、この基部電極の外周面には当該静電チャックを下記の装置等で使用する際に取付けに使用するフランジ部が突設されて上記試料吸着面と反対側の面にはこのフランジ部と共にベース面を形成しており、また、上記保護リングが、上記基部電極の外周面と接する環状リング部と、この環状リング部の外周面から突出して上記基部電極におけるフランジ部の上面と接すると共にこのフランジ部の外径より小さい外径を有する円形突出部とから形成され、かつ、この保護リングが試料吸着面と面一となるように基部電極に対して嵌合されており、また、上記環状電極はその表面に酸化皮膜を有し、基部電極は上記ベース面を除いた表面に酸化皮膜を有し、上記保護リングは表面に酸化皮膜を有した双極型の静電チャックであってもよい。尚、上記で説明した以外の形状等については、特に制限されることはない。
上記保護リングは、基部電極の外周面に対して環状リング部の内周面が接すると共に、フランジ部の上面に対して円形突出部の下面が接するようにして基部電極と嵌合している。この保護リングは、静電チャックにおける基部電極の外周面がプラズマダメージを直接受けないようにする目的で取付けられるものである。
上記保護リングを有した双極型静電チャックの再生については、以下で説明する以外は上述した本発明における再生方法を用いることができる。
検査工程における静電チャックの寸法測定については、保護リングにおける環状リング部の外径寸法(D3)測定と、保護リングにおける円形突出部の上面から上記試料吸着面までの距離(H3)測定と、基部電極におけるフランジ部の上面から試料吸着面までの距離(H1)測定とを含むのがよく、好ましくはこれらの寸法測定に加えて、保護リングにおける円形突出部の外径寸法(D4)測定及び静電チャックの高さ寸法(H2)とを含むのがよい。
保護リングを有した双極型静電チャックを上述したプラズマエッチング装置等の装置で使用する場合、この保護リングに対して石英、セラミックス、ポリイミド樹脂、又はシリコン製であって、保護リングの外径に相似形状であり、かつ、この保護リングの環状リング部の外径寸法より半径で0.05〜0.2mm大きい内径を有する環状のフォーカスリング又はエッジリングを取付けて使用するのが一般的である。
上記保護リングを有した静電チャックは、プラズマエッチング装置等の装置で使用されると、アルミニウム材で形成されて表面に酸化皮膜を有する保護リングは、先に説明したものと同様に使用時間の経過とともに劣化が進行する。その結果、保護リングにおける環状リング部の外径寸法(D3)が減少すると、フォーカスリング又はエッジリングと保護リングの外周面との間に隙間が生じ、放電を起こす虞がある。また、保護リングにおける円形突出部から静電チャックの試料吸着面までの距離(H3)が減少すると、保護リングの外周に取付けたフォーカスリング又はエッジリングの方が試料吸着面より高くなってしまい、ウエハーと試料吸着面との間に隙間が生じ、プラズマが試料吸着面にまわり込み易くなる問題が起きる。また、基部電極におけるフランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)が減少しても、上記円形突出部から静電チャックの試料吸着面までの距離(H3)の場合と同様にフォーカスリング又はエッジリングとの位置関係に問題が生じる。また、保護リングにおける円形突出部の外径寸法(D4)が減少すると、周辺部品との寸法適合に不整合が生じるといった問題が生じる。そのため、これらの問題が生じて周辺部品との適合性の低いものを再生し、再生後に上記装置等使用できないことが判明することがないように、保護リングを有した静電チャックの検査工程においては、上記の寸法及び距離を検査するのがよい。
保護リングを有する静電チャックの判定工程において静電チャックを再生すると判定するための判定条件は、検査工程における静電チャックの寸法測定の測定結果から酸化皮膜の膜厚(T)測定結果を除いた値が再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であり、かつ、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値が測定電圧直流700Vに対して10μA未満であるのがよい。尚、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値についての判定条件は、保護リングを有さない静電チャックの場合と同様に好ましくは1μA未満であるがよい。
ここで、検査工程における静電チャックの寸法測定の測定結果から酸化皮膜の膜厚(T)測定結果を除いた値が再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であるかどうかの判定条件については、先に説明した内容と同様に、本発明における皮膜再生工程において酸化皮膜を再生した後の双極型静電チャックの寸法値を予測し、この予測した値が再生する双極型静電チャックに予め製品として定められた規格寸法としての値の範囲内であるかどうかを判断するものである。
具体的には、先ず、検査工程における静電チャックの寸法測定結果である静電チャックの保護リングにおける環状リング部の外径寸法(D3)、基部電極におけるフランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)、及び円形突出部の上面から試料吸着面までの距離(H3)を用いて、先に説明した手段と同様にして下記式(4)〜(6)に示す判定値を求める。
D3判定値=D3−2×T ・・・・・・(4)
H1判定値=H1−T ・・・・・・・・・・(5)
H3判定値=H3−T ・・・・・・・・・・(6)
そして、上記D3判定値、H1判定値、及びH3判定値が、いずれも再生する静電チャックに定められた規格寸法としての値の範囲内であれば、保護リングを有する静電チャックにおける静電チャックの寸法測定結果を用いた判定条件を満たすことになる。上記いずれか一つでも規格寸法の値の範囲から外れる場合は、このような静電チャックを再生したとしても、再生後の静電チャックの寸法が小さくなり過ぎて、半導体製造プロセスにおける装置で再利用できなくなる虞があるため、当該静電チャックの再生は行わないと判定する。
また、保護リングを有する静電チャックの判定工程において、検査工程で得られた静電チャックの寸法測定の測定結果から酸化皮膜の膜厚(T)測定結果を除いた値が再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であるかどうかの判定条件について、好ましくは上記D3判定値、H1判定値、及びH3判定値を用いてそれぞれの規格寸法と比較して判定する条件に加えて、検査工程において得られた静電チャックの保護リングにおける円形突出部の外径寸法(D4)及び静電チャックの高さ寸法(H2)を利用した下記式(7)及び(8)で表わされるD4判定値及びH2判定値が、それぞれ静電チャックに定められた規格寸法としての値の範囲内であるかどうかを判断するのがよい。
D4判定値=D4−2×T ・・・・・・(7)
H2判定値=H2−T ・・・・・・・・・・(8)
上記において、H2判定値が再生する静電チャックに定められた高さについての規格寸法の範囲内であれば、先に説明した理由と同様に、再生後の静電チャックを半導体製造プロセスに係る装置等に取り付けて使用した場合に高周波インピーダンスを大きく変動させることなく安定したプラズマを発生させるようにできる点で有利である。また、D4判定値が再生する静電チャックに定められた保護リングの円形突出部における外径寸法の規格寸法の範囲内であれば、再生後の静電チャックがフォーカスリングとの間で必要以上の隙間をつくらないため、この隙間において放電を生じないようにすることができる点で有利である。
また、保護リングを有した静電チャックが表面凹凸を有する場合についても、保護リングを有さない静電チャックの場合と同様にして判定することができる。この際、静電チャックの寸法測定結果を用いた判定条件については上述したように式(4)〜(6)、好ましくは(4)〜(8)に係る判定値を利用して、表面凹凸を有さない場合と同様に判定することができる。
また、保護リングを有する双極型静電チャックの皮膜再生工程が陽極酸化処理による陽極酸化工程である場合、この保護リングに雌ねじを形成してこの雌ねじに通電用ボルトを螺着した電極部を設け、保護リングを形成するアルミニウム材と通電可能な状態にして陽極酸化を行なってもよい。保護リングは、その表面に酸化皮膜を有しているため静電チャックを構成する基部電極及び環状電極とは電気的に絶縁されている。また、静電チャックとして装置等で使用する場合にも、保護リングに電極等を取付けて使用することもない。そのため、このままではこのような静電チャックを再生するために一旦保護リングを基部電極から機械加工等によって取り外し、新品の保護リングを取付ける必要がある。しかし、上記のように保護リングに電極部を設けることで、保護リングを取り外さずに陽極酸化処理を行なうことができ、余計なコストをかけずに静電チャックを再生することができる。尚、陽極酸化処理の終了後は、上記保護リングに形成した雌ねじを樹脂製ねじやアルミ製ねじにアルマイト処理を施したものを螺着して封止してもよく、あるいはエポキシ樹脂等を充填して封止してもよい。
保護リングを有した静電チャックの再生方法について、上記以外の各工程については、上述した保護リングを有さない場合と同様に処理することができ、保護リングを嵌合した状態での静電チャックの露出面を対象として本発明における各工程の処理を行えばよい。例えば、検査工程における酸化皮膜の膜厚測定では、上記保護リングを有した静電チャック露出面の酸化皮膜の膜厚を測定すればよい。これにより、保護リングを有した静電チャックについても、本発明における再生方法により再生することができる。
本発明における双極型静電チャックの再生方法によれば、プラズマエッチング装置等の装置で使用された使用済みの双極型静電チャックについて再利用が可能であるかどうかを客観的に判定することができるため、再生を行なった後にプラズマエッチング装置等の装置で再び利用することができないという事実が判明するような無駄な再生に係る処理を発生させることがない。
また、再生して得られた双極型静電チャックについて、酸化皮膜の電気的絶縁性、耐プラズマ性等の性能が再生する双極型静電チャックが未使用時(新品時)の状態で有していたものと同等の性能を有するようにすることができるため、得られた双極型静電チャックをプラズマエッチング装置等の装置で再利用しても、耐電圧の低下や絶縁抵抗性の低下等を引き起こすことがなく、発塵源となることもない。そのため、再生して得た双極型静電チャックを再生する前の未使用時に有していたものと同等の性能を備えたまま再び交換周期にあたる時間まで使用することができる。
更に、本発明では、再生処理に伴う双極型静電チャックの寸法減少量を最小限に制限するため、一度再生処理した双極型静電チャックを複数回再生処理する場合でも、再生が可能な回数を増加させることができ、双極型静電チャックを無駄なく効率的に再生して双極型静電チャックとし再利用することができる。
以下、実施例及び試験例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
実施例1
プラズマエッチング装置で使用された双極型静電チャック1について本発明における再生方法を用いて再生した。
図1にはこの双極型静電チャック1の断面図が示されている。この双極型静電チャック1はJIS A6061製の基部電極2と、JIS A6061製の環状電極3とから構成される。上記基部電極2は環状凹溝4を有し、この環状凹溝4には上記環状電極3が嵌め込まれて半導体ウエハー等の試料を載置する試料吸着面5を形成している。尚、この環状電極3はエポキシ系接着剤により環状凹溝4内に固着されている。また、基部電極2の外周面2bにはフランジ部6が突設されており、上記試料吸着面5と反対側の面にプラズマエッチング装置Mに載置するベース面7を形成している。また、上記基部電極2には、ベース面7側に環状凹溝4と貫通する開口部8が設けられており、この開口部8を介して環状電極3には接続端子9が取付けられている。
上記環状電極3は表面に酸化皮膜を有しており、基部電極2はベース面7を除いた表面に酸化皮膜を有しているため、環状電極3は環状凹溝4との間で電気的に絶縁されている。また、基部電極2はベース面7に酸化皮膜を有さず、プラズマエッチング装置Mとベース面7において電気的に接地されている。そして、上記環状電極3には接続端子9を介して直流電源10のプラス側が接続され、その結果、基部電極2と環状電極3の間には直流電源10に対応した電圧が印加されている。
この双極型静電チャック1は、プラズマエッチング装置においてシリコンウエハー上に形成されたタングステン薄膜のエッチングに使用され、高周波印加時間の積算値が500時間に達したものである。尚、この双極型静電チャック1に製品として定められた規格寸法、酸化皮膜の膜厚、表面粗さ(Ry)、及び漏れ電流値について、それぞれ表1において規格値として記した。
〔洗浄工程〕
先ず、この双極型静電チャック1を、アセトン浴中に浸漬させ、周波数40kHz、密度0.5W/cm2の超音波を照射して10分間超音波洗浄を行った。次に、アセトン浴から取り出した双極型静電チャック1に対して、直径0.1mm〜1mm程度に粉砕したドライアイスを30Paの圧縮空気に含め、照射量10sec/cm2の割合でドライアイスブラスト照射を行った。
〔検査工程〕
次に、この双極型静電チャック1について三次元測定器により寸法測定を行った。その結果、基部電極2における試料吸着面5の直径寸法(D1)が196.20mm、基部電極2におけるフランジ部6の外径寸法(D2)が245.18mm、フランジ部上面6aから試料吸着面5までの距離(H1)が12.05mm、双極型静電チャック1の高さ寸法(H2)が27.14mmであった。また、基部電極2と環状電極3との電極間の漏れ電流値について高抵抗用電流計を用いて測定したところ、測定電圧直流700Vに対して2.3μAであった。また、この双極型静電チャック1の露出面における酸化皮膜の膜厚(T)について静電容量式膜厚計を用いて測定した。測定した個所は、試料吸着面5を形成する環状電極上面3a、試料吸着面5を形成する基部電極上面2a、基部電極2におけるフランジ部上面6aの各表面であり、測定結果は順に、52μm、53μm、51μmであり、これらの平均値は52μmであった。更に、双極型静電チャック1の表面粗さ(Ry)について表面粗さ計を用いて測定した。測定した個所は、試料吸着面5を形成する環状電極上面3a、試料吸着面5を形成する基部電極上面2aの各表面であり、その結果はRy1.6μm、Ry2.1μmであった。これらの結果を表1に示す。
Figure 0004402949
〔判定工程〕
上記検査工程で得られた結果を用いて、この双極型静電チャック1が再生することにより再利用が可能かどうかについて判定した。
先ず、検査工程にて得られた双極型静電チャックの寸法測定及び双極型静電チャック露出面の酸化皮膜の膜厚(T)測定の結果を用い、各寸法測定による値から酸化皮膜の膜厚分の厚みを除いた値(判定値)が、表1に記したこの双極型静電チャック1の規格値として定められた規格寸法の範囲内であるかどうかで判定した。具体的には、下記の式(9)〜(12)に表わされた各判定値がそれぞれの測定個所における規格寸法としての値の範囲内であるかどうかで判定した。
D1判定値=D1−2×T …(9)
D2判定値=D2−2×T …(10)
H1判定値=H1−T ………(11)
H2判定値=H2−T ………(12)
D1判定値について式(9)に検査工程で得られた測定結果をあてはめると、196.20−2×0.052=196.096であってD1の規格寸法としての値の範囲内(196.00〜196.20)である。同様に、D2判定値について式(10)から得られた値は245.076、H1判定値について式(11)から得られた値は11.998、H2判定値について式(12)から得られた値は27.088であり、いずれも各測定個所における規格寸法の範囲内であった。
次に、環状電極3と基部電極2との電極間の漏れ電流値が測定電圧直流700Vに対して10μA未満であるかどうかの判定条件については、両電極間の漏れ電流値測定の結果が2.3μAであることから上記判定条件を満たすことが分かる。したがって、この双極型静電チャック1は、本発明における以降の再生処理を行なうと判定することができる。
〔皮膜除去工程〕
そこで、この双極型静電チャック1を濃度5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させ、浴温度45℃で浸漬時間5分のエッチングを行い、この双極型静電チャック1の表面に付された酸化皮膜の除去を行った。エッチング終了後の双極型静電チャック1を3次元形状測定器によって再生前後における上記D1、D2、H1及びH2の寸法変化量を調べたところ、酸化皮膜の除去とともに表面において取り除かれた母材のアルミニウム材であるJIS A6061の厚み(減少量)は、最大部分が8μm、最小部分が5μmであった。
〔研摩工程〕
次に、上記皮膜除去工程で酸化皮膜を除去した双極型静電チャック1について、粒度600番の研摩布を用いた研摩を行い、その表面粗さがRy0.8μmとなるように双極型静電チャック1の表面を研摩した。この研摩によって母材であるJIS A6061の表面において除去する厚み(減少量)は、試料吸着面5、基部電極外周面2b、基部電極2におけるフランジ部上面6a、フランジ部側面6bの各表面における厚さで5μm以下となるようにした。また、この双極型静電チャック1が試料吸着面5に工具による打痕と思われる図示外の表面凹凸については、その角部に対し、先ず粒度180番の研摩紙で粗研摩を行い、次いで粒度600番の研摩布を用いて仕上げ研摩を施し、傷の角部が曲率半径R0.3mm程度になるようになめらかな丸みを帯びさせた。
〔皮膜再生工程〕
そして、上記研摩工程で得られた双極型静電チャック1について、硫酸浴を用い、浴濃度15wt%、浴温度2℃、定電流(電流密度)3A/dm2、時間30分の条件で陽極酸化処理を行い、この双極型静電チャック1の露出する面に陽極酸化皮膜を形成した。尚、ベース面7についてはマスキング処理を行い酸化皮膜が形成されないようにした。
このようにして得られた再生処理後の双極型静電チャック1について寸法測定をした結果、基部電極2における試料吸着面5の直径寸法(D1)が196.13mm、基部電極2におけるフランジ部6の外径寸法(D2)が245.12mm、フランジ部上面6aから試料吸着面5までの距離(H1)が12.03mm、双極型静電チャック1の高さ寸法(H2)が27.13mmであった。また、再生後の酸化皮膜の膜厚(T)は試料吸着面5を形成する環状電極上面3a、試料吸着面5を形成する基部電極上面2a、基部電極2におけるフランジ部上面6aの各表面において、それぞれ順に、52μm、54μm、53μmであり、平均で53μmであった。また、基部電極2と環状電極3との電極間の漏れ電流値は、測定電圧直流700Vに対して0.08μAであった。これらの値はこの双極型静電チャック1に定められた製品規格値の範囲内であった。また、再生後の双極型静電チャック1における試料吸着面5の平均表面粗さはRy1.3μm(環状電極上面1.4μm、基部電極上面1.2μm)であり、この双極型静電チャック1が未使用時に有していた表面粗さ(1.6〜2.1μm)と同程度のものが得られた。
また、上記皮膜除去工程及び研摩工程において双極型静電チャック1の表面を除去した厚みの合計(A)と、上記研摩工程終了後の双極型静電チャック1の表面を再生基準面として上記皮膜再生工程においてこの再生基準面より上方に形成した酸化皮膜の厚み(B)との差(A−B)を求めると、この双極型静電チャック1における試料吸着面5を形成する環状電極上面3a、試料吸着面5を形成する基部電極上面2a、基部電極2におけるフランジ部上面6aの各表面において未使用時(新品時)に母材であるA6061の表面に有した酸化皮膜の膜厚(0.050mm)に対して平均72%であった。
試験例
上記のようにして再生した双極型静電チャック1をプラズマエッチング装置に搭載し、通常行なう条件と同じにして、タングステンエッチングを行ったところ、このプラズマエッチング装置に未使用の新品双極型静電チャックを使用した場合の交換周期にあたる高周波印加時間の積算500時間まで吸着能力に支障をきたすことなく使用することができた。この再生した双極型静電チャック1を用いてタングステンエッチングを行った場合、プラズマエッチング装置における高周波電力に対するインピーダンスについては、新品の双極型静電チャックを用いた場合と同等の性能を示すことができた。また、エッチング加工中のパーティクルの発生状況についても8インチウエハー面上に0.2μm以上のパーティクルが50個以下であり、新品の双極型静電チャックの場合と同等の性能を示すことが分かった。
実施例2
過去に本発明における再生方法で再生した履歴がある以外は実施例1と同様の双極型静電チャックについて本発明における再生方法を用いて再生した。尚、実施例1と同様にこの双極型静電チャックに定められた規格値を表2に記した。
〔洗浄工程〕
洗浄工程は、実施例1と同様の条件で行った。
〔検査工程〕
次に、実施例2における双極型静電チャックの寸法測定について実施例1と同様にして行った結果、基部電極における試料吸着面の直径寸法(D1)が196.09mm、基部電極におけるフランジ部の外径寸法(D2)が245.08mm、フランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)が11.98mm、双極型静電チャックの高さ寸法(H2)が27.09mmであった。また、基部電極と環状電極との電極間の漏れ電流値を実施例1と同様にして測定した結果、測定電圧直流700Vに対して0.5μAであった。また、この双極型静電チャックが有する酸化皮膜の膜厚については、実施例1と同様に測定した。測定した個所についても実施例1と同様に試料吸着面を形成する環状電極上面、試料吸着面を形成する基部電極上面、基部電極におけるフランジ部上面の各表面であり、測定結果は順に、53μm、55μm、52μmであり、これらの平均値は53μmであった。更に、双極型静電チャックの表面粗さ(Ry)については、実施例1と同様に測定し、試料吸着面を形成する環状電極上面、試料吸着面を形成する基部電極上面の各表面についての測定結果がRy2.1μm、Ry1.9μmであった。これらの結果を表2に示す。
Figure 0004402949
〔判定工程〕
上記検査工程で得られた結果を用いて、この双極型静電チャックが再生することにより再利用が可能かどうかについて判定した。
判定条件については、上記実施例1と同様にして行なった。すなわち、検査工程にて得られた双極型静電チャックの寸法測定及び双極型静電チャック露出面の酸化皮膜の膜厚(T)測定の結果を用い、各寸法測定で得られた値から酸化皮膜の膜厚分の厚みを除いた値が表2に記した双極型静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であるかについて実施例1に示した式(9)〜(12)を利用して判定した。式(9)から得られたD1判定値は196.09−2×0.053=195.984であり、式(10)から得られたD2判定値は245.08−2×0.053=244.974であり、式(11)から得られたH1判定値は11.927であり、式(12)から得られた判定値は27.037であることから、D1判定値とD2判定値が規格寸法の範囲から外れることが分かる。したがって、この双極型静電チャックを再生しても、再生して得られる双極型静電チャックの寸法が小さくなりすぎるため、再生を行なわないと判定した。
実施例3
プラズマエッチング装置で使用された双極型静電チャック11を本発明における再生方法を用いて再生した。
図2にはこの双極型静電チャック11の断面図が示されている。この双極型静電チャック11はJIS A6061製の基部電極12と、JIS A6061製の環状電極13と、JIS A6061製の保護リング14とから構成される。上記基部電極12は環状凹溝15を有し、この環状凹溝15には上記環状電極13が嵌め込まれて半導体ウエハー等の試料を載置する試料吸着面16を形成している。尚、この環状電極13はエポキシ系接着剤により環状凹溝15内に固着されている。また、基部電極12の外周面12bにはフランジ部17が突設されており、上記試料吸着面16と反対側の面にプラズマエッチング装置Mに載置するベース面18を形成している。また、上記基部電極12には、ベース面18側に環状凹溝15と貫通する開口部19が設けられており、この開口部19を介して環状電極13には接続端子20が取付けられている。また、上記保護リング14は、基部電極2の外周面12bと接する環状リング部21と、この環状リング部21の外周面21bから突出して基部電極12におけるフランジ部17の上面17aと接すると共にこのフランジ部17の外径より小さい円形突出部22とから形成され、かつ、この保護リングにおける環状リング部の上面21aが上記試料吸着面16と面一となるように基部電極12と嵌合している。
上記環状電極13は表面に酸化皮膜を有しており、基部電極12はベース面18を除いた表面に酸化皮膜を有しているため、環状電極13は環状凹溝15との間で電気的に絶縁されている。また、上記保護リング14はその表面に酸化皮膜を有しているため、基部電極12との間は電気的に絶縁されている。上記基部電極12はベース面18に酸化皮膜を有さず、プラズマエッチング装置Mとベース面18において電気的に接地されている。そして、上記環状電極13には接続端子20を介して直流電源23のプラス側が接続され、その結果、基部電極12と環状電極13の間には直流電源23に対応した電圧が印加されている。
この双極型静電チャック11は、プラズマエッチング装置においてシリコン酸化膜エッチングに使用され、高周波印加時間の積算値が750時間に達したものである。尚、実施例1と同様にこの双極型静電チャック11に定められた規格値を表3に記した。
〔洗浄工程〕
先ず、この双極型静電チャック11を、実施例1と同様な方法で洗浄処理を行った。
〔検査工程〕
次に、この双極型静電チャック11の寸法測定について三次元測定器を用いて行った。その結果、保護リング14の環状リング部21の外径寸法(D3)が196.17mm、保護リング14の円形突出部22の外径寸法(D4)が225.20mm、基部電極12におけるフランジ部17の外径寸法(D2)が245.18mm、フランジ部上面17aから試料吸着面16までの距離(H1)が12.04mm、保護リング14における円形突出部上面22aから試料吸着面16までの距離(H3)が7.10mm、双極型静電チャック11の高さ寸法(H2)が27.19mmであった。また、基部電極12と環状電極13との間の漏れ電流値について高抵抗用電流計を用いて測定したところ、測定電圧直流700Vに対して0.8μAであった。また、この双極型静電チャック11が有する酸化皮膜の膜厚(T)について渦電流式膜厚計により測定した。測定した個所は、試料吸着面16を形成する環状電極上面13a、試料吸着面16を形成する基部電極上面12a、保護リング14における円形突出部上面22aの各表面であり、測定結果は順に、51μm、50μm、52μmであり、平均は51μmであった。更に、双極型静電チャック11の表面粗さ(Ry)については、表面粗さ計により測定した。測定した個所は、試料吸着面16を形成する環状電極上面13a、試料吸着面16を形成する基部電極上面12aの各表面であり、その結果は順に、Ry2.8μm、Ry1.6μmであった。これらの結果を表3に示す。
Figure 0004402949
〔判定工程〕
上記検査工程で得られた結果を用いて、この双極型静電チャック11が再生することにより再利用が可能かどうかについて判定した。
先ず、検査工程にて得られた双極型静電チャックの寸法測定及び双極型静電チャック露出面の酸化皮膜の膜厚(T)測定の結果を用い、各寸法測定による値から酸化皮膜の膜厚分の厚みを除いた値が、表3に記した双極型静電チャック11に定められた規格寸法の範囲内であるかどうかで判定した。具体的には、次の式(13)〜(18)から得られた値がそれぞれの個所における規格寸法としての値の範囲内であるかどうかで判定した。
D3判定値=D3−2×T …(13)
D4判定値=D4−2×T …(14)
D2判定値=D2−2×T …(15)
H1判定値=H1−T ………(16)
H2判定値=H2−T ………(17)
H3判定値=H3−T ………(18)
上記式(13)〜(18)を用いて上記検査工程で得られた測定結果をあてはめて各判定値を求めた結果、D3判定値が196.068、D4判定値が225.098、D2判定値が245.078、H1判定値が11.989、H2判定値が27.139、及びH3判定値が7.049であり、全て表3に記した規格寸法の範囲内であった。
次に、環状電極13と基部電極12との電極間の漏れ電流値が測定電圧直流700Vに対して10μA未満であるかどうかの判定条件については、両電極間の漏れ電流値測定の結果が0.8μAであることから上記判定条件を満たすことが分かる。したがって、この双極型静電チャック11については、引き続いて本発明における以降の再生処理を行なうと判定することができる。
〔皮膜除去工程〕
そこで、上記双極型静電チャック11を実施例1と同様なエッチング処理により酸化皮膜の除去を行った。エッチング終了後の双極型静電チャック11を3次元形状測定器により、再生前後におけるこの実施例における上記D2、D3、D4、H1、H2、H3の変化量を調べたところ、酸化皮膜の除去とともに表面において取り除かれた母材のアルミニウム材であるJIS A6061の厚み(減少量)は、最大部分が9μm、最小部分が6μmであった。
〔研摩工程〕
次に、上記皮膜除去工程で酸化皮膜を除去した双極型静電チャック11について、実施例1と同様な研摩処理を行った。この研摩によって母材のアルミニウム材であるJIS A6061の表面を取り除く厚み(減少量)については、試料吸着面16、保護リング14における環状リング部上面21a、環状リング部外周面21b、基部電極12におけるフランジ部上面17a、形フランジ部側面17b、保護リング14における円形突出部上面22aの各表面において、厚さで5μm以下となるようにした。
〔皮膜再生工程〕
そして、上記研摩工程で得られた双極型静電チャック11について、実施例1と同様に、硫酸浴を用いて陽極酸化処理を行なった。陽極酸化の際には、保護リング14における環状リング部外周面21bに雌ねじ部24を形成し、この雌ねじ部24に雄ねじ25を螺着させ、保護リング14を形成する母材であるJIS A6061と通電可能な状態として、陽極酸化における電極の一部として陽極酸化処理を行った。尚、陽極酸化後には、雄ねじ25を取り外し、雌ねじ部24に図示外のポリイミド又はエポキシ樹脂製の封止ねじを取付け、環状リング部外周面21bにおける封止ねじと雌ねじ部24との界面及び、この封止ねじの頭部にエポキシ樹脂等の充填材を埋め込み、絶縁処理を施した。
このようにして再生して得られた双極型静電チャック11について寸法測定を行なった結果、保護リング14における環状リング部21の外径寸法(D3)が196.09mm、基部電極12におけるフランジ部17の外径寸法(D2)が245.10mm、保護リング14における円形突出部22の外径寸法(D4)が225.12mm、フランジ部上面17aから試料吸着面16までの距離(H1)が12.03mm、双極型静電チャック11の高さ寸法(H2)が27.16mm、保護リング14における円形突出部上面22aから試料吸着面16までの距離(H3)が7.08mmであった。
また、再生後の酸化皮膜の膜厚(T)は、試料吸着面16を形成する環状電極上面13a、試料吸着面16を形成する基部電極上面12a、保護リング14における円形突出部上面22aの各表面において、それぞれ順に、54μm、52μm、53μmであり、平均で53μmであった。
また、基部電極12と環状電極13との間の漏れ電流値は、測定電圧直流700Vに対して0.3μAであった。これらの値は、この双極型静電チャック11に定められた製品規格値の範囲内であった。また、再生後の双極型静電チャック11における試料吸着面16の全体の表面粗さについては、Ry1.9μmで、この双極型静電チャック11が未使用時に有していた表面粗さ(1.6〜2.8μm)と同程度のものが得られた。
上記皮膜除去工程及び研摩工程において双極型静電チャック11の表面を除去した厚みの合計(A)と、研摩工程終了後の双極型静電チャック11の表面を再生基準面として上記皮膜再生工程においてこの再生基準面より上方に形成した酸化皮膜の厚み(B)との差(A−B)を求めると、この双極型静電チャック11における試料吸着面16を形成する環状電極上面13a、試料吸着面16を形成する基部電極上面12a、保護リング14における円形突出部上面22aの各表面においてこの双極型静電チャック11が未使用時(新品時)に母材であるJIS A6061の表面に有した酸化皮膜の膜厚(0.051mm)に対し平均80%であった。
本発明の活用例として、半導体製造プロセス等に用いられる種々の装置においてウエハー等の試料を静電気力で吸着保持するために使用されるアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材で形成されてその表面に酸化皮膜を有する双極型の静電チャックを、これまで明確な根拠がないまま寸法限界に達する前に使い捨てにしていた問題や再生処理後に再利用が不能と判断されてしまうような無駄な再生処理の問題を解決しながら、再生処理前のものと比較して品質を低下させることなく再生せしめることができる。
図1は、実施例1に係る双極型静電チャックを示す断面説明図である。 図2は、実施例3に係る双極型静電チャックを示す断面説明図である。
符号の説明
1…双極型静電チャック、2…基部電極、2a・・・基部電極上面、2b・・・基部電極外周面、3…環状電極、3a・・・感情電極上面、4・・・環状凹溝、5・・・試料吸着面、6・・・フランジ部、6a・・・フランジ部上面、6b・・・フランジ部側面、7・・・ベース面、8・・・開口部、9・・・接続端子、10・・・直流電源、11・・・双極型静電チャック、12・・・基部電極、12a・・・基部電極上面、12b・・・基部電極外周面、13・・・環状電極、13a・・・環状電極上面、14・・・保護リング、15・・・環状凹溝、16・・・試料吸着面、17・・・フランジ部、17a・・・フランジ部上面、17b・・・フランジ部側面、18・・・ベース面、19・・・開口部、20・・・接続端子、21・・・環状リング部、21a・・・環状リング部上面、21b・・・環状リング部外周面、22・・・円形突出部、22a・・・円形突出部上面、23・・・直流電源、24・・・雌ねじ部、25・・・雄ねじ、M・・・プラズマエッチング装置。

Claims (16)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材で形成された円盤状の基部電極と、上記アルミニウム材で形成された環状電極とから構成され、
    上記基部電極が、環状電極を嵌め込む環状凹溝を有してこの環状凹溝に嵌め込まれた環状電極と共に試料を吸着する試料吸着面を形成し、この基部電極の外周面にはフランジ部が突設されて上記試料吸着面と反対側の面にフランジ部と共にベース面を形成し、
    また、上記環状電極が表面に酸化皮膜を有し、上記基部電極がベース面を除いた表面に酸化皮膜を有した双極型の静電チャックについて、
    この静電チャックを再生する再生方法であって、
    上記静電チャックを再生するかどうかを判定するための検査を行なう検査工程と、この検査工程で得られた検査結果から静電チャックを再生するかどうかを判定する判定工程と、この判定工程で再生すると判定した場合に上記静電チャックの露出面における酸化皮膜を除去する皮膜除去工程と、この皮膜除去工程で得られた静電チャックを研摩する研摩工程と、この研摩工程で得られた静電チャックに酸化皮膜を形成する皮膜再生工程とを含み、
    検査工程における検査が、試料吸着面の直径寸法(D1)、基部電極におけるフランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)、及び静電チャックの高さ寸法(H2)を測定する静電チャックの寸法測定と、静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚(T)測定と、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値測定とを含み、
    判定工程において静電チャックを再生すると判定する判定条件が、上記検査工程で得られた測定結果に基づき、下記式(1)〜(3)から得られるD1判定値、H1判定値、及びH2判定値が、それぞれ再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であり、かつ、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値が測定電圧直流700Vに対して10μA未満であることを特徴とする双極型静電チャックの再生方法。
    D1判定値=D1−2×T ・・・(1)
    H1判定値=H1−T ・・・(2)
    H2判定値=H2−T ・・・(3)
  2. 静電チャックが表面凹凸を有する場合であって、静電チャックの寸法測定が、表面凹凸の最大幅寸法測定及び最大深さ寸法測定を含む請求項1に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  3. 静電チャックが表面凹凸を有する場合であって、判定工程において静電チャックを再生すると判定する判定条件が、表面凹凸の最大幅寸法が10mm未満及び最大深さ寸法が0.5mm未満である条件を含む請求項2に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  4. 皮膜除去工程において、酸化皮膜の除去と共にアルミニウム材表面の厚みを5〜50μmの範囲で除去する請求項1に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  5. 皮膜除去工程が、エッチング処理を行なうエッチング工程である請求項4に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  6. 研摩工程において、静電チャックの表面粗さ(Ry)を5μm以下に制御する請求項1に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  7. 静電チャックが表面凹凸を有する場合であって、研摩工程において静電チャックの表面粗さ(Ry)を5μm以下に制御すると共に上記表面凹凸の角部を曲率半径(R)0.2mm以上に制御する請求項1に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  8. 研摩工程において、研摩によりアルミニウム材の表面を厚さ10μm以下の範囲で除去する請求項6又は7に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  9. 研摩工程が、粒度80〜1200番の研磨材を用いて研摩する研摩工程である請求項6〜8のいずれかに記載の双極型静電チャックの再生方法。
  10. 皮膜再生工程において静電チャックに形成する酸化皮膜の膜厚を、再生する静電チャックが未使用時に有した酸化皮膜の膜厚の80〜120%の範囲に制御する請求項1に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  11. 皮膜再生工程が、陽極酸化処理により酸化皮膜を形成する陽極酸化工程である請求項1に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  12. 皮膜除去工程及び研摩工程において静電チャックの表面を除去した厚みの合計(A)と、研摩工程終了後の静電チャックの表面を再生基準面として皮膜再生工程においてこの再生基準面より上方に形成した酸化皮膜の厚み(B)との差(A−B)を、再生する静電チャックが未使用時に有した酸化皮膜の膜厚の50〜100%の範囲に制御する請求項1〜11のいずれかに記載の双極型静電チャックの再生方法。
  13. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材で形成された円盤状の基部電極と、上記アルミニウム材で形成された環状電極と、上記アルミニウム材で形成された保護リングとから構成され、
    上記基部電極が、環状電極を嵌め込む環状凹溝を有してこの環状凹溝に嵌め込まれた環状電極と共に試料を吸着する試料吸着面を形成し、この基部電極の外周面にはフランジ部が突設されて上記試料吸着面と反対側の面にフランジ部と共にベース面を形成し、
    また、上記保護リングが、上記基部電極の外周面と接する環状リング部と、この環状リング部の外周面から突出して上記基部電極におけるフランジ部の上面と接すると共にこのフランジ部の外径より小さい外径を有する円形突出部とから形成され、かつ、試料吸着面と面一となるように基部電極に嵌合されており、
    また、上記環状電極が表面に酸化皮膜を有し、上記基部電極がベース面を除いた表面に酸化皮膜を有し、上記保護リングが表面に酸化皮膜を有した双極型の静電チャックについて、
    この静電チャックを再生する再生方法であって、
    上記静電チャックを再生するかどうかについて判定するための検査を行なう検査工程と、この検査工程で得られた検査結果から上記静電チャックを再生するかどうかを判定する判定工程と、この判定工程で再生すると判定した場合に上記静電チャックの露出面における酸化皮膜を除去する皮膜除去工程と、この皮膜除去工程で得られた静電チャックを研摩する研摩工程と、この研摩工程で得られた静電チャックに酸化皮膜を形成する皮膜再生工程とを含み、
    検査工程における検査が、保護リングにおける環状リング部の外径寸法(D3)、保護リングにおける円形突出部上面から試料吸着面までの距離(H3)、基部電極におけるフランジ部上面から試料吸着面までの距離(H1)、静電チャックの高さ寸法(H2)、及び保護リングにおける円形突出部の外径寸法(D4)を測定する静電チャックの寸法測定と、静電チャックの露出面における酸化皮膜の膜厚(T)測定と、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値測定とを含み、
    判定工程において静電チャックを再生すると判定する判定条件が、上記検査工程で得られた測定結果に基づき、下記式(4)〜(8)から得られるD3判定値、H1判定値、H3判定値、D4判定値、及びH2判定値が、それぞれ再生する静電チャックに定められた規格寸法の範囲内であり、かつ、環状電極と基部電極との間の漏れ電流値が測定電圧直流700Vに対して10μA未満であることを特徴とする双極型静電チャックの再生方法。
    D3判定値=D3−2×T ・・・(4)
    H1判定値=H1−T ・・・(5)
    H3判定値=H3−T ・・・(6)
    D4判定値=D4−2×T ・・・(7)
    H2判定値=H2−T ・・・(8)
  14. 皮膜再生工程において、上記保護リングに電極部を設けて陽極酸化処理を行なう請求項13に記載の双極型静電チャックの再生方法。
  15. 検査工程に先駆けて、前処理として静電チャックの洗浄処理を行なう洗浄工程を含む請求項1〜14のいずれかに記載の双極型静電チャックの再生方法。
  16. 洗浄工程における洗浄処理が、静電チャックを有機溶剤浴に浸漬して行なう超音波洗浄及び/又は静電チャックにドライアイスブラストを照射して行なうドライアイスブラスト照射洗浄である請求項15に記載の双極型静電チャックの再生方法。
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