JP4402269B2 - 電極材料を焼付けるための治具及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば電子部品としてのセラミック電子部品に設けられる電極材料を焼付けるためのプレート状の治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、セラミック電子部品は、例えばその本体の両端に銀(Ag)−パラジウム(Pd)合金よりなる電極材料を塗布し、焼付けることによって形成されている。その本体はチタン酸バリウム、鉛−ジルコニア−チタン系多結晶焼結体(PZT)等により形成されている。前記電極材料を焼付けるために用いられるプレート状の治具としては、ニッケル網によって形成されたメッシュが用いられていた。そして、その治具の上に電極材料が塗布された電子部品本体を載せ、800〜900℃の高温で焼付けが行われていた。
【0003】
しかし、電極材料に使用される銀−パラジウム合金は高価であることから、その銀−パラジウム合金に代えて廉価なニッケル系の金属が用いられている。この場合には、空気雰囲気中で焼付けを行うとニッケルが酸化するため、水素雰囲気又は真空下で焼付けが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような従来のニッケル網により形成された治具を使用して800〜900℃の高温で焼付けを行うと、金属メッシュが熱膨張して歪むことから、電子部品本体が治具上で飛び跳ねて移動したり、電子部品本体同士が当たったりする。このため、電極材料の焼付けを安定した状態で行うことができず、取扱いが困難で、電極材料を所望とする程度に焼付けることができないという問題があった。
【0005】
この発明は、以上のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、電極材料の酸化を防止しつつ、取扱いが容易で、電極材料の焼付けを安定した状態で確実に行うことができる電極材料を焼付けるための治具及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、請求項1に記載の発明の電極材料を焼付けるための治具は、セラミックにより複数の通気孔を備えたプレート母材により形成され、電極材料を有する電子部品が載せられて焼付けられるものであって、前記通気孔の周囲には支持突起が設けられているものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の電極材料を焼付けるための治具は、セラミックにより複数の通気孔を備えたプレート母材により形成され、電極材料を有する電子部品が載せられて焼付けられるものであって、前記通気孔間の部分には支持突起が設けられているものである。
【0008】
請求項3に記載の発明の電極材料を焼付けるための治具は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、プレート母材中に存在する開気孔の割合を示す開気孔率が1%以下であるものである。
【0009】
請求項4に記載の発明の電極材料を焼付けるための治具は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、表面に電極材料と非反応性の素材による被覆層を設けたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明の電極材料を焼付けるための治具の製造方法は、板状体に対して機械加工により所定の透孔を複数穿設するとともに、透孔の端部位置に突部を設けて母型を形成した後、その母型の透孔に弾性材料を流し込んで型取りをすることにより成形用凹部を有する反転型を形成し、その反転型の成形用凹部にセラミックのスラリーを流し込んで乾燥させ、次いで脱型した後焼成し、反転型が脱型されて形成された通気孔の端部位置には前記母型の突部に基づく支持突起を形成することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、この発明の第1実施形態について図面に従って詳細に説明する。
【0012】
図1から図3に示すように、電子部品としてのコンデンサー11は、コンデンサー本体11aの両端に電極材料11bの焼付けによる電極を備えている。このコンデンサー11はほぼ直方体状に形成され、その大きさは1〜10mmの範囲内である。コンデンサー本体11aはチタン酸バリウム等のセラミック材料により形成され、その両端にニッケル系金属よりなる電極材料11bが被覆される。コンデンサー本体11aに電極材料11bを焼付けるための治具は、平面ほぼ正方形状をなすセラミック製のプレート母材12により構成されている。
【0013】
このプレート母材12の周縁部には一定の幅で表面が平らな平坦部13が設けられ、その平坦部13より内側には平面円形状をなす複数(多数)の通気孔14が平面千鳥状となるように一定の間隔をおいて透設されている。各通気孔14の周囲には、通気孔14から離れるにつれて次第になだらかに低くなるような支持突起としての環状突起15が設けられている。そして、これらの環状突起15上に前記コンデンサー11が載せられるようになっている。
【0014】
プレート母材12は好ましくは純度80%以上、さらに好ましくは純度99.5%以上の高純度のアルミナ(Al2O3)等の緻密性が高く、800〜900℃の温度で変形しない耐熱性を有するセラミックにより形成されている。この緻密性の高いセラミックはわずかに開気孔を有しているだけである。図1に示すように、この開気孔16は、プレート母材12表面又は通気孔14に開口した孔のことを意味する。開気孔16の割合を表す開気孔率は1%以下であることが好ましく、0.01〜1%の範囲であることがさらに好ましい。開気孔率が1%を越えると、開気孔16中に存在していた空気が開気孔16から外部に出て電極材料11bを構成するニッケル系金属を酸化させるおそれがあるからである。
【0015】
上記プレート母材12の厚さは、1〜5mmの範囲であることが望ましい。プレート母材12の厚さが1mm未満の場合、プレート母材12の強度が低下して電極材料11bの焼付け時に変形するおそれがある。逆に、プレート母材12の厚さが5mmを越える場合、プレート母材12の熱容量が大きくなって昇温のために余分なエネルギーと時間を必要とし、またプレート母材12の温度が不均一になるおそれがある。
【0016】
プレート母材12は例えば鋳込み成形法によって成形される。鋳込み成形法では、セラミック粉末が分散剤又はバインダーにより水に分散されてセラミックのスラリーが調製される。図4(a)に示すように、四角板状の成形型18には一定間隔をおいて平面円形状の成形凹部19が穿設されている。そして、上記スラリー17が成形型18の成形凹部19内に注入される。次に、図4(b)に示すように、スラリー17が成形凹部19内の上端まで注入される。このとき、スラリー17の液面はその表面張力によって周囲が成形凹部19の内壁面に沿って盛り上がった状態となる。
【0017】
その後、成形凹部19内にスラリー17を収容した状態で成形型18を加熱乾燥し、さらに焼成する。そして、図4(c)に示すように、焼成後に成形型18を離型することにより、多数の通気孔14を有するプレート母材12が成形される。このようにして得られたプレート母材12の各通気孔14の周囲には、上記スラリー17表面の表面張力による盛り上がりに基づいて通気孔14から離れるにつれて次第になだらかに低くなるような環状突起15が形成される。
【0018】
また、プレート母材12は、プレス成形法によっても成形される。プレス成形法では、成形型のプレート状をなす成形凹部内に少量のバインダーを含むセラミック粉末が装填され、その成形凹部内のセラミック粉末が高圧でプレスされ、成形体が得られる。得られた成形体は焼成されてプレート母材12となる。
【0019】
前記のような緻密性の高いセラミックを得るためには、例えば粒径が0.3〜1μmの微細なセラミック粉末を用い、1600〜1700℃の温度で焼結して焼き締めることが望ましい。そのような焼成条件下で焼成を行うことにより、得られるセラミックの内部に極わずかの独立気泡は残るものの、表面に開口する開気孔16の割合を極力少なくすることができる。
【0020】
前記通気孔14の平面形状は円のほか、四角形等の多角形であってもよい。この通気孔14は機械加工によって、又は反転型を利用することによっても形成される。機械加工によって通気孔14を形成する場合には、ドリルを用いて孔を開けたり、レーザ加工機を用いてレーザ光によって孔を開けたりすることにより行われる。
【0021】
このような通気孔14をプレート母材12の全面に均等間隔をおいて形成することにより、治具上に載置されるコンデンサー本体11aの裏面側の電極材料11bに対して均一に水素雰囲気に晒すことができる。通気孔14の大きさは電極材料11bを有するコンデンサー本体11a、すなわちコンデンサー11の大きさより小さく、かつ通気孔14間の間隔が電極材料11bを有するコンデンサー本体11aの大きさより狭くなるように構成することが好ましい。さらに、通気孔14間の間隔は電極材料11bを有するコンデンサー本体11aの大きさの2分の1以下であることが好ましい。通気孔14の条件をこのように設定することにより、コンデンサー本体11aの裏面を通気孔14上に位置させることができるとともに、コンデンサー本体11aが通気孔14に落ち込むことを防止することができる。
【0022】
具体的には、通気孔14の大きさは、0.5〜10mmの範囲であることが望ましく、各通気孔14間の間隔も0.5〜10mmの範囲であることが望ましい。
【0023】
前記環状突起15の高さは0.25mm以下でわずかの高さを有しておればよい。この条件下であれば、環状突起15の形成が容易で、その上に載置される電極材料11bの裏面に対する通気性を確保することができる。また、環状突起15の直径は0.5〜2mmの範囲であることが望ましく、各環状突起15間の間隔は5mm以下の範囲で形成される。環状突起15の直径と各環状突起15間の間隔は、前記通気孔14の場合と同様の理由に基づいて設定される。
【0024】
前記のプレート母材12、そのプレート母材12に透設された通気孔14及びその周囲の環状突起15によって電極材料11bを焼付けるための治具が構成されている。
【0025】
前記電極材料11bを両端に設けたコンデンサー本体11aは薄い箱状をなし、治具の表面、つまりプレート母材12の環状突起15上に載置されるようになっている。焼付け用の治具等は図示しない密閉された加熱装置の内部に配設され、その治具上に電極材料11bを有するコンデンサー本体11aが載置された状態で800〜900℃の温度に加熱できるようになっている。また、電極材料11bの焼付けは水素雰囲気下又は真空下で行われる。
【0026】
次に、電極材料11bを焼付けるための治具の作用について説明する。
さて、図1に示すように、焼付け用の治具が加熱装置の内部に配設された状態で、各プレート母材12の上に電極材料11bを有するコンデンサー本体11aを載せる。このとき、電極材料11bはプレート母材12の環状突起15上に位置している。そして、各治具が加熱装置によって800〜900℃に加熱される。
【0027】
このとき、各プレート母材12は耐熱性を有するセラミックにより形成されていることから、初期のプレート状の形状がそのまま維持され、電極材料11bを有するコンデンサー本体11aが飛び跳ねることなく、安定した状態で電極材料11bの焼成が行われる。また、各プレート母材12には多数の通気孔14が設けられるとともに、その周囲には環状突起15が設けられている。
【0028】
このため、電極材料11bを例えば水素雰囲気下において焼成する場合、雰囲気を形成する水素が通気孔14を介して、さらには環状突起15間の隙間を通って電極材料11bの裏面に接触する。従って、電極材料11bの裏面を水素雰囲気下に晒すことができ、コンデンサー本体11aの電極材料11b全体を効果的に焼付けることができる。焼成を真空下で行う場合にも同様に、電極材料11bの裏面を真空条件下に置くことができる。その結果、電極材料11bの全面が均等に焼成されたコンデンサーが得られる。
【0029】
以上のような第1実施形態により発揮される効果について以下に記載する。
・ 第1実施形態の電極材料11bを焼付けるための治具によれば、プレート母材12が高純度の緻密なセラミックによりプレート状に形成されるとともに、複数(多数)の通気孔14を備え、その上に電極材料11bを有するコンデンサー本体11aが載せられて焼付けられる。このため、コンデンサー本体11a両端の電極材料11bを焼付ける際、コンデンサー本体11aが治具上で飛び跳ねることなく、取扱いを容易にすることができるとともに、電極材料11bの焼付けを安定した状態で確実に行うことができる。
【0030】
・ 第1実施形態の電極材料11bを焼付けるための治具によれば、プレート母材12表面上に多数の環状突起15を設けたことから、それらの環状突起15上に電極材料11bをほぼ線接触の状態で支持することができる。従って、電極材料11bの裏面を水素雰囲気下又は真空下に晒すことができ、電極材料11b全体をより均一に焼付けることができる。
【0031】
・ 第1実施形態の電極材料11bを焼付けるための治具によれば、プレート母材12の開気孔率を1%以下にしたことにより、電極材料11bを焼付けるときに開気孔16中に存在していた空気が通気孔14から外部に出て電極材料11bを構成するニッケル系金属を酸化させるのを防止することができる。
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0032】
図5に示すように、電極材料11bを焼付けるための治具はプレート母材12に多数の通気孔14を有するとともに、環状突起15はその頂部が第1実施形態より若干丸みを帯びている。なお、図5では図1とは上下位置が逆に示されている。プレート母材12は反転型を用い、第1実施形態とは異なる鋳込み成形法により成形される。
【0033】
そこで、その鋳込み成形法について説明する。
図6に示すように、母型を製作するためにはまず、合成樹脂又は合成木材を使用し金型成形法によって所定厚さの板状体25が成形される。次いで、得られた板状体25に対してドリルを用いた機械加工により微小な透孔26を多数穿設することによって母型27が得られる。その母型27の一方の端部位置(図6の下面)には、透孔26の周囲に環状突部28が形成されている。
【0034】
このとき、図9(a)又は(b)に示すようなドリル29を使用することにより、母型27に透孔26と突部としての環状突部28を同時に形成することができる。すなわち、図9(a)に示すドリル29は、ドリル本体29aの先端にドリル本体29aより幅狭の刃体30が設けられ、刃体30の両側に刃部31が形成されている。また、刃体30の基端部に位置するドリル本体29aの先端部には補助刃32が斜め方向に延びるように形成されている。そして、ドリル本体29aが回転すると、刃体30の刃部31で母型27に透孔26が形成されると同時に、補助刃32で環状突部28が形成される。また、図9(b)に示すドリル29は刃体30に螺旋状の刃部31が形成されている点以外は図9(a)のドリル29と同じである。
【0035】
続いて、図7に示すように、母型27の透孔26に弾性材料としてシリコーンゴム33を流し込んで型取りを行い、シリコーンゴム33を硬化させる。その後、母型27からシリコーンゴム33の硬化物33aを抜き出すことにより反転型34が得られる。この反転型34には母型27に相当する部分に成形用凹部35が形成されるとともに、その底部に環状突部28に対応する環状凹部34aが形成されている。
【0036】
次に、図7の矢印に示すように、反転型34の成形用凹部35に例えば下記に示す組成を有するセラミックのスラリー17を流し込む。
セラミックのスラリー組成: 純度99.9%の高純度のアルミナ800重量部、バインダーとしてのポリエステル樹脂400重量部、自己乳化型ポリアミド8重量部、水150重量部。
【0037】
セラミックのスラリー組成中、アルミナに代えてジルコニア(ZrO2)、窒化珪素(Si3N4)なども使用される。また、バインダーとしては、ポリエステル樹脂のほか、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂などもセラミックとの相性やバインダー性能を考慮して使用される。
【0038】
そして、図8に示すように、その状態で80℃、20分間加熱し、セラミックを乾燥させることによりセラミックの乾燥体36が得られる。その後、図5に示すように、シリコーンゴム製の反転型34をセラミックの乾燥体36から抜き出す。これにより、セラミックの乾燥体36には通気孔14が形成されると同時に、その底部に環状突起15が形成される。最後に、抜き出されたセラミックの乾燥体36を1500℃で10時間焼成することによって目的とするプレート母材12が得られる。
【0039】
以上のように、第2実施形態によれば、シリコーンゴム製の反転型34を使用してプレート母材12を成形したことから、環状突起15を第1実施形態のようにセラミックスラリー17の表面張力によらず、予め成形された反転型34の環状突部28により形成することができる。このため、通気孔14の端部位置の周囲に全体として均一な環状突起15を安定した状態で形成することができる。
【0040】
また、反転型34を構成するシリコーンゴムは、所定の剛性と弾力性を有するとともに、小さい孔の中への浸透性と離型性に優れている。このため、小さな通気孔14を確実に形成できるとともに、型抜き(脱型)を容易に行うことができる。
【0041】
なお、前記実施形態を以下のように変更して構成することも可能である。
・ 図10に示すように、前記実施形態の環状突起15に代えて、通気孔14間の部分に山型状をなす支持突起20を設けてもよい。この支持突起20は、鋳込み成形法における成形型18に支持突起20に対応する成形凹部を設けることによって形成される。
【0042】
上記のような支持突起20を設けることにより、各支持突起20上にコンデンサー本体11aを浮かせた状態で支持することができ、電極材料11b全体をより均一に焼付けることができる。
【0043】
・ 図11に示すように、前記実施形態のプレート母材12表面に電極材料11bと非反応性の素材、例えば部分安定化ジルコニア(PSZ)等により被覆層21を所定厚さで設けてもよい。この場合、プレート母材12の環状突起15は被覆層21で被覆され、また被覆層21にもプレート母材12の通気孔14と対応する位置に貫通孔22が形成される。
【0044】
このように構成した場合、被覆層21が電極材料11bと非反応性の素材よりなることから、電極材料11bに対するプレート母材12の反応を防止でき、電極材料11bへのプレート母材12の付着を防止することができる。しかも、プレート母材12表面の被覆層21にはプレート母材12の通気孔14に連通する貫通孔22が設けられていることから、両孔14,22を介して電極材料11bの裏面を水素雰囲気下又は真空下に晒すことができ、電極材料11b全体を効果的に焼付けることができる。
【0045】
・ また、前記図10に示した通気孔14間の支持突起20の表面を被覆層で被覆してもよい。この場合、被覆層を形成する部分安定化ジルコニアに焼失性の材料、例えば吸水性ポリマー等の合成樹脂材料を混合し、プレート母材12に塗布して焼成することにより、合成樹脂材料の部分が焼失して支持突起20を形成することもできる。吸水性ポリマーとしては、ポリアクリロニトリル誘導体、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、変性デンプン等が使用される。
【0046】
・ 図12に示すように、実施形態の通気孔14及び環状突起15の平面形状を四角形状に形成してもよい。また、それらの形状を菱形形状、三角形状、六角形状、楕円形状等に形成することも可能である。
【0047】
・ 支持突起としては、前記実施形態の環状突起15に代え、通気孔14の周囲の少なくとも1箇所に突出形成された突起であってもよい。
・ 前記プレート母材12の平面形状を、長方形状、三角形状、扇形状等に変えてもよい。
【0048】
このように構成した場合、電子部品の形状や加熱装置の形状に対応させることができ、作業効率を良くすることができる。
・ 電子部品として、半導体材料、誘電体材料、サーミスタなどに適用してもよい。
【0049】
・ 図13(a)に示すように、通気孔14間に格子状に延びる長溝37を形成し、その長溝37と通気孔14との間を環状突起15とするように構成してもよい。また、図13(b)に示すように、通気孔14間に綾目状に延びる長溝37を形成し、その長溝37と通気孔14との間を環状突起15とするように構成してもよい。
【0050】
・ 反転型を形成するための弾性材料としてシリコーン系エラストマー、フッ素ゴム、フッ素系エラストマーなどを使用してもよい。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
【0051】
(1) 前記支持突起は環状をなしているものである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電極材料を焼付けるための治具。
このように構成した場合、環状の支持突起上に電子部品を安定した状態で支持することができる。
【0052】
(2) 前記支持突起は、セラミックのスラリーが成形型の成形凹部内に注入され、その液面の周囲が表面張力によって成形凹部の内壁面に沿って盛り上がり、その状態で焼成されて形成されたものである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電極材料を焼付けるための治具。
【0053】
このように構成した場合、環状をなす支持突起を容易かつ確実に形成することができる。
(3) 前記セラミックは純度80%以上の高純度で、開気孔率が0.01〜1%の緻密性の高いものである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電極材料を焼付けるための治具。
【0054】
このように構成した場合、治具は高純度で、かつその表面に開気孔が極めて少ないため、電極材料を焼付けるときに開気孔から空気が外部へ出てニッケル系金属等の電極材料を酸化させるのを防止することができる。
【0055】
(4) 前記セラミックは粒径が0.3〜1μmの微細なセラミック粉末を用い、1600〜1700℃の温度で焼結して得られたものである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電極材料を焼付けるための治具。
【0056】
このように構成した場合、緻密な治具が得られるとともに、表面に開口する開気孔を極力減少させることができ、電極材料を焼付けるときに開気孔から空気が外部へ出てニッケル系金属等の電極材料を酸化させるのを防止することができる。
【0057】
(5) 前記機械加工は、ドリル本体の先端部にドリル本体より細い刃体を有し、その刃体の基端部に位置するドリル本体には斜め外方に延びる補助刃を有するドリルにより行われ、その補助刃は母型に設けられる透孔の端部周囲に環状突部を形成するものである請求項5に記載の電極材料を焼付けるための治具の製造方法。
【0058】
この製造方法によれば、ドリルの刃体と補助刃により母型に透孔と環状突部を同時に形成することができ、反転型に成形用凹部と環状凹部を形成することができ、さらにその反転型からプレート母材に通気孔と環状突起を形成することができる。
【0059】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1又は請求項2に記載の発明の電極材料を焼付けるための治具によれば、電極材料の酸化を防止しつつ、取扱いが容易で、電極材料の焼付けを安定した状態で確実に行うことができる。
【0060】
請求項3に記載の発明の電極材料を焼付けるための治具によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、開気孔中に存在していた空気により電極材料が酸化するのを抑制することができる。
【0061】
請求項4に記載の発明の電極材料を焼付けるための治具によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、表面に電極材料と非反応性の素材による被覆層を設けたことから、治具と電極材料の反応を防止することができる。
【0062】
請求項5に記載の発明の電極材料を焼付けるための治具の製造方法によれば、通気孔の周囲又は通気孔間に全体として均一な支持突起を安定した状態で確実に形成した治具を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の治具上に電子部品を載せた状態の部分断面図。
【図2】 治具を拡大して示す部分斜視図。
【図3】 電極材料を焼付けるための治具全体を示す斜視図。
【図4】 (a)は成形型の成形凹部にセラミックのスラリーを流し込む状態を示す部分断面図、(b)はその成形凹部の上端までセラミックのスラリーを流し込んだ状態を示す部分断面図、(c)は成形型を焼成した後離型した状態を示す治具の部分断面図。
【図5】 第2実施形態における反転型を離型する状態を示す部分断面図。
【図6】 第2実施形態における母型を示す部分断面図。
【図7】 第2実施形態における反転型を示す部分断面図。
【図8】 第2実施形態の反転型にセラミックスラリーを流し込んだ状態を示す部分断面図。
【図9】 (a)及び(b)は各々ドリルの先端部を示す部分正面図。
【図10】 別例としての治具の通気孔間に設けた突起を示す部分断面図。
【図11】 別例としての治具上に被覆層を形成した状態の部分断面図。
【図12】 別例としての治具を拡大して示す部分斜視図。
【図13】 (a)及び(b)は各々支持突起の別例を示す部分平面図。
【符号の説明】
11…電子部品としてのコンデンサー、11b…電極材料、12…治具を構成するプレート母材、14…治具を構成する通気孔、15…治具を構成する環状突起、16…開気孔、21…被覆層、25…板状体、26…透孔、27…母型、28…突部としての環状突部、33…弾性材料としてのシリコーンゴム、34…反転型、35…成形用凹部。
Claims (5)
- セラミックにより複数の通気孔を備えたプレート母材により形成され、電極材料を有する電子部品が載せられて焼付けられるものであって、前記通気孔の周囲には支持突起が設けられている電極材料を焼付けるための治具。
- セラミックにより複数の通気孔を備えたプレート母材により形成され、電極材料を有する電子部品が載せられて焼付けられるものであって、前記通気孔間の部分には支持突起が設けられている電極材料を焼付けるための治具。
- プレート母材中に存在する開気孔の割合を示す開気孔率が1%以下である請求項1又は請求項2に記載の電極材料を焼付けるための治具。
- 表面に電極材料と非反応性の素材による被覆層を設けた請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電極材料を焼付けるための治具。
- 板状体に対して機械加工により所定の透孔を複数穿設するとともに、透孔の端部位置に突部を設けて母型を形成した後、その母型の透孔に弾性材料を流し込んで型取りをすることにより成形用凹部を有する反転型を形成し、その反転型の成形用凹部にセラミックのスラリーを流し込んで乾燥させ、次いで脱型した後焼成し、反転型が脱型されて形成された通気孔の端部位置には前記母型の突部に基づく支持突起を形成することを特徴とする電極材料を焼付けるための治具の製造方法。
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