JP2004150661A - 焼成用セッター - Google Patents
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Abstract
【課題】搭載するセラミック電子部品などの焼成挙動に影響を与えない焼成用セッターを提供する。
【解決手段】セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を焼成するに際して、焼成炉中にて前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる焼成用セッターであって、前記焼成用セッターは、外壁と、前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる部品載置面と、前記焼成用セッターを前記焼成炉内に載置する炉内設置面とを有し、前記部品載置面と前記炉内設置面との間には、0.05mm〜1.0mmの厚さの隔壁で、互いに0.5mm〜5.0mmのピッチで仕切られた複数の通気セルが貫通してなり、かつ前記外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を1個以上設けてなるハニカム構造体である焼成用セッター。
【選択図】 図2
【解決手段】セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を焼成するに際して、焼成炉中にて前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる焼成用セッターであって、前記焼成用セッターは、外壁と、前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる部品載置面と、前記焼成用セッターを前記焼成炉内に載置する炉内設置面とを有し、前記部品載置面と前記炉内設置面との間には、0.05mm〜1.0mmの厚さの隔壁で、互いに0.5mm〜5.0mmのピッチで仕切られた複数の通気セルが貫通してなり、かつ前記外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を1個以上設けてなるハニカム構造体である焼成用セッター。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス系電子部品や射出成形によって得られる部品などを焼成する際に、焼成炉内でセラミックス系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せておく焼成用セッターに関し、特に、セラミックス系電子部品の焼成後の反りや射出成形によって得られる部品の焼成後の変形を抑制するのに有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、セラミック基板の焼成プロセスにおいて、セッターとの摩擦によってセラミック基板の収縮率のばらつき、および割れなどが生ずるため、かかる障害を未然に防止するため、焼成中にセラミック基板をエアにより浮かせる構成が提案されている。
かかる構成では、常に、微小孔付きセッターを、空気取り込み穴を設けたエア取り込み用補助セッターに載せ、その状態で微小孔付きセッターにセラミック基板を載せて焼成する。焼成中は、エア取り込み用の補助セッターの空気取り込み穴から空気が供給され、微小孔付きセッターの微小孔からセラミック基板の下面に向けて空気が吹出し、セラミック基板を浮かせることができる。
このように焼成中にセラミック基板をセッターから離すことにより、従前から問題となっていた焼成中のセラミック基板の収縮、割れなどの障害を大幅に抑制する構成である。
【0003】
特許文献2には、セラミック多層基板などの電子材料部品の焼成において、焼成時における焼成物とセッターとの接触不良に基づく焼成物の汚染、焼成物とセッターとの接着による不良品の発生を防止する手段が提案されている。
かかる手段では、ドクターブレードなどを使用したテープ成形で、泥漿を用いて薄いセッターを製造することができるように、その成形性の観点から、厚みを0.2〜2mmに設定したセッターの構成が開示されている。かかるセッターには、セラミック基板などの電子材料部品を点接触に近い状態で載せることができるように、焼成物との接触面に打ち抜きなどの方法で独立した貫通孔を設ける構成が開示されている。薄い板面に貫通させた開口部が設けられ、薄い網状のセッターに構成されている。
点接触させるという観点からは、独立した貫通孔の1個の開口面積を0.07〜36mm2の範囲内に設定するのが好ましいことが記載されている。さらに、貫通孔の開口率は、セッターとの接着可能性、貫通孔の打ち抜き加工の容易性などの観点からは、10〜60%の範囲が好ましいとも述べている。また、セッターの強度面からは、その焼結密度を95%以上に設定するのが好ましいとしている。
【0004】
特許文献3には、セラミック粉末と水との混合物にポリウレタン発泡体用原料を添加した混合物を型内で発泡硬化させ、その後焼成することにより、軽量で熱容量の小さいセッターを製造できることが開示されている。
しかし、かかる構成のセッターにセラミック基板などのセラミックス電子部品を載置して焼成すると、セラミックス電子部品の特性が低下するという問題点が指摘され、かかる問題点の解消を図る手段として、セラミックス成形品の周囲雰囲気の入れ替え容易性、強度などの観点から、セラミックス成形品の載置面積1cm2当たり1〜10個の貫通孔を設ける構成が提案されている。
【0005】
特許文献4には、セラミック基板などの電子材料部品を載置して焼成するセッターの構成において、セッター表面に、セラミック基板などの電子材料部品を載せる凹凸構造の表面載置部を設ける構成が開示されている。
【0006】
特許文献5には、酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体の製造において使用する匣鉢を、底部に開口部を設けた匣鉢本体と、この開口部上に設ける別体の多孔板状セッターとから構成することにより、多孔板状セッターに電圧非直線抵抗体を載せた複数の匣鉢を、焼成炉内で多段積みにして焼成した場合でも、匣鉢毎の焼成雰囲気を極力均一にすることで、焼成雰囲気により大きく影響を受けるバリスタ特性のバラツキを小さくする構成が開示されている。
【0007】
特許文献6には、セラミックコンデンサーやPTCなどのセラミックス電子部品類の被焼成物を焼成するために、被焼成物から発生するガスにより被焼成物が汚染されることを防いだり、焼成用ムラの発生を防ぐためにセッターを傾けて配設し、電子部品戴置面周縁に複数の開口を設け、セッターの裏面から表面側への通気ができるようにした焼成用セッターが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−74567号公報
【特許文献2】
特開平11−79853号公報
【特許文献3】
特開平5−270926号公報
【特許文献4】
特開平6−281359号公報
【特許文献5】
特開平5−267010号公報
【特許文献6】
特開平2002−226277号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、セラミックス系電子部品の焼成後の反りや射出成形によって得られる部品の焼成後の変形などの発生を極力抑制するために、焼成炉内でセラミックス系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せておく焼成用セッターについて、種々の構成が提案されている。しかし、現状では、未だ、十分に焼成後のセラミックス系電子部品の反りや射出成形によって得られる部品の変形を解消するまでには至っていない。例えば、焼成用セッターの開口率を大きくすることで効果は上がるが、反面セッターの強度は弱くなり焼成炉内で加熱冷却を繰り返すとセッター自身が反り易くなる。これがセラミック電子部品の反りや射出成形によって得られる部品の変形をもたらす結果となっていた。
【0010】
焼成用セッターについては、その上に載せるセラミック電子部品や射出成形によって得られる部品との相互作用を持つことなく、すなわち、セラミック電子部品や射出成形によって得られる部品に何の影響をも与えずに、焼成させることができるものが好ましいと考えられる。焼成中に、セラミック電子部品や射出成形によって得られる部品本来が有する特性に基づき収縮などの焼成挙動がなされるような、焼成用セッターが好ましい。
【0011】
本発明の目的は、セラミック電子部品、特にチップコンデンサや高周波モジュール部品など多層構造としたセラミック電子部品や射出成形によって得られるセラミックス部品や金属系部品を対象とし、これらの本来的な性質に基づいた焼成挙動を確保できるような焼成用セッターを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を焼成するに際して、焼成炉中にて前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる焼成用セッターであって、前記焼成用セッターは、外壁と、前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる部品載置面と、前記焼成用セッターを前記焼成炉内に載置する炉内設置面とを有し、前記部品載置面と前記炉内設置面との間には、0.05mm〜1.0mmの厚さの隔壁で、互いに0.5mm〜5.0mmのピッチで仕切られた複数の通気セルが貫通してなり、かつ前記外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を1個以上設けてなるハニカム構造体であることを特徴とする焼成用セッターである。
【0013】
尚、上記セラミックス系電子部品としては、例えば、厚さ数μm〜数十μmのグリーンシートを複数枚重ね合わせて積層したセラミック多層基板が挙げられるが、かかる多層基板に限定する必要はなく、それ以外のセラミック成形体であっても勿論構わない。さらには、射出成形によって得られたセラミックスや金属であっても粉体と有機物からなる焼成用の成形体であれば、本発明の上記構成の焼成用セッターは有効に使用できる。
【0014】
かかる構成の焼成用セッターとしては、例えば、略角形の外壁を持った板状に形成し、その表面をセラミック系電子部品や射出成形によって得られた部品を載せる部品載置面とし、裏面を炉内載置面として構成しておき、表面から裏面に向けてあるいは外壁側面から外壁側面へ向けて、また、表面から外壁側面へ向けてあるいは外壁側面から表面へ、更には裏面から外壁側面へ向けてあるいは外壁側面から裏面へ向けて、縦横無尽に通気可能な通気孔を設けて構成したハニカム構造体に形成することが望ましい。
【0015】
焼成炉内では、セラミック系電子部品や射出成形によって得られた部品中のバインダーなどは燃焼して、CO、CO2、H2Oなどのガスになって気散する。セラミック系電子部品や射出成形から得られた部品を焼成用セッターに載置した状態では、焼成用セッターに載置する側の面を除いて、セラミック系電子部品や射出成形から得られた部品の外表面は、ガスの気散、およびバインダーの燃焼に必要な酸素の供給が比較的自由に行える自由面になっている。
しかし、ガス供給、ガス気散の面では、上記自由空間に比べて拘束された状態に成り易い焼成用セッターの炉内載置面側でも、通気セルや外壁側面を貫通する通気孔を通してガスが供給されたり、あるいは通気セルを通してガス気散が図れるため、かかる構成が設けられない場合に比べて、セラミック系電子部品や射出成形によって得られた部品からのバインダーなどのガス気散が平均的に行われ、その分各種部品の脱バインダーや収縮への影響を低減することができる。
【0016】
さらに、前記通気セルを有する焼成用セッターの外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けてなるハニカム構造体とするのがよい。外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けることにより、ガスが縦横無尽に通気することができるようになり焼成用セッターの炉内設置面側を炉内面より離して置かなくても焼成用セッターの炉内設置面側の通気も確保することができる。このように離して置く必要がなくなることにより、支持部材などを設けて焼成用セッターを炉内設置面側から離して置く場合とは異なり、脱バインダ・焼成等の加熱に伴う焼成用セッターの軟化により、焼成用セッターの自重や焼成用セッターに戴置されている部品の重さにより焼成用セッターが反ることにより、焼成用セッターに戴置された各種部品が影響を受けそれら各種部品自身の反りや変形が生じることがなくなる。
【0017】
通気セルや外壁側面を貫通する通気孔は、このように、各種部品の脱バインダーや収縮に強い影響を与えるため、かかる通気セルや通気孔の設定状況を検討した。
通気セルは、例えば、隣接するセル同士を0.05mm〜1.0mmの厚さの隔壁で、図3(A)に示すように、隔壁の交差部から少なくとも3方向に仕切るように構成しておけばよい。図3(B)、(C)には、それぞれ4方向、6方向に仕切った場合を例示した。且つ、隣接する通気セル同士のピッチを0.5mm〜5.0mmに設定しておけばよい。尚、ここでのセルピッチは隔壁の中心から隔壁の中心までの距離を言う。種々のセル形状に対して、セルピッチは、それぞれのセルに対応する隔壁間の距離として規定しても構わない。あるいは、それぞれのセル空間の中心間をセルピッチとしてもよい。
【0018】
上記隔壁厚さに関しては、上記ピッチを一定にした場合に、0.05mm未満に設定すると、その分通気セルの開口面積を増やすことはできるが、反面、セラミック電子部品を載置する際、あるいは焼成用セッターの取り扱いの際における強度面での脆弱性が発生することがあり好ましくない。一方、1.0mmより大きい値に設定すると、その分、通気セルの開口面積が低下して、セラミック電子部品との関わりにおける酸素供給、ガス気散に対する通気セルの機能が低下することがある。より好ましくは、0.1〜0.5mm、さらに好ましくは0.1〜0.2mmである。
【0019】
また、上記セルピッチに関しては、上記隔壁厚さを一定にした場合には、0.5mm未満とする場合には、個々のセルが小さくなるため、その分気散ガスが通過しにくくなる。併せて、通気セル全体の開口率当たりのセル内壁面積が大きくなり、上記ガス気散に際して、セル内壁面へのガス吸着の確立も高くなる。焼成用セッターは通常何度も繰返して使用するため、かかるガス吸着が発生する場合には、使用に際しては空焼きを行い、COなどの還元性気体を完全酸化して気散させておく必要があり、余分な手間が発生する。かかる空焼きなどの工程を必要としない構成が望ましい。
5.0mmを越える大きさに設定すれば、通気セルの1個当たりの開口面積が大きくなり、小型電子部品の載置に際して、焼成用セッターからの落下が懸念される場合も発生する。より好ましくは、0.8〜3.0mm、さらに好ましくは、1.0〜2.5mmである。
【0020】
上記セルピッチと、上記隔壁厚さで規定される通気セルの断面形状は、ハニカム構造体の金型を簡単な構成で済ませることができる。例えば略四角形に形成しておけばよい。かかる形状は、例えば、長方形、菱形、六角形、八角形など任意の多角形に設定しても構わない。
【0021】
さらに、前記電子部品載置面の総面積に対する前記複数の通気セルの総開口面積の比率である開口率を、50〜90%に設定すれば、酸素供給性、ガス気散性の観点からより好ましい結果が得られる。より好ましくは、60〜90%の範囲である。さらに好ましくは、70〜90%であればよい。
さらに、焼成用セッターに載せて各種部品を焼成するに際して、各種部品中のバインダーや可塑材の燃焼に必要な酸素量を、炉内設置面側からも確保することができ、各種部品の焼成後の反りや変形などに影響を与えるCOなどのような不完全燃焼ガスの滞留も発生させないで済む。
【0022】
また、通気セルを有する焼成用セッターの外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けて、縦横無尽な通気を確保することにより、焼成用セッターに載せて焼成する各種部品中のバインダーや可塑材などの燃焼ガスの逃げ易さを確保することもできる。このように、焼成用セッターの外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けることにより、各種部品などの被焼成物の焼成に際しての酸素量確保、燃焼ガスの逃げ道確保などの効果が得られるが、かかる効果を実効あるものとするためには、外壁と外壁の間を貫通する通気孔を1個以上設ければよく、より好ましくは外壁と外壁の間を貫通する通気孔が各種部品戴置面下を横断していることが好ましい。より縦横無尽な通気を確保するためには焼成用セッターの中心を通る貫通孔を設け、放射状、格子状に設けるのが好ましい。
外壁と外壁の間を貫通する通気孔が各種部品戴置面下を横断していない場合は、各種部品に対する酸素量の確保、燃焼ガスの逃げ道確保などの通気性確保が十分でなくなる場合もある。かかる通気性確保という観点からは、外壁と外壁の間を貫通する通気孔を1個以上設ければよく、その数に上限を設ける必要はないが、各種部品が戴置された焼成用セッターの搬送等を考えれば、自ずから上限を各種部品を戴置しても焼成用セッターが破損しない程度の範囲に設定するのが好ましい。
【0023】
外壁と外壁の間を貫通する通気孔の開口径は、1mmφ以上である。1mmφより小さいと縦横無尽なガスの通気が確保できなくなる。かかる通気性確保という観点からは、外壁と外壁の間を貫通する通気孔の開口径は1mmφ以上あればよく、その大きさに上限を設ける必要はないが、各種部品が戴置された焼成用セッターの搬送等を考えれば、自ずから上限を各種部品を戴置しても焼成用セッターが破損しない程度の範囲に設定するのが好ましい。
【0024】
焼成用セッターでは、前述の如く、酸素供給、ガス気散などが良好に行えるように、気孔率の大きな材質を使用することが望ましい。しかし、必要以上に気孔率の大きな材質では、焼成用セッターとしての通常の使用範囲における強度確保が行えない場合も考えられる。上記のように通気セルを貫通孔として設ける構成では、尚更にその強度低下の発生することが大きいため、通気セルとの関連で、気孔率の上限を設けて置く必要がある。かかる観点からは、70%以下であればよい。また、15%未満では、酸素供給、ガス気散などに対する空隙の寄与が小さくなり、その分通気セルで酸素供給、ガス気散を確保するために通気セルの開口率を大きくすることが求められ、逆に強度面での低下が発生して好ましくない。より好ましくは、20〜60%であればよい。
ここで、開口率および/または気孔率は高めの値に設定することが効果的であるが、同時に強度面の低下が懸念される。そこで通気セルの隔壁の交差部に0.1mm以上のR部を設けることによって強度低下を補うことが出来るので望ましい。尚、R部の大きさは適宜隔壁の厚さ、ピッチ、開口率等を考慮して設定される。
【0025】
また、焼成用セッターに各種部品を載置するに際しては、どのような状態で載置すればよいかについても検討した。その結果、十分に開口率などを大きくして、上記酸素供給、ガス気散などの雰囲気を確保できる状態では、表面粗さが少ない程好ましく、逆に上記雰囲気が十分に確保されない場合には、表面粗さが粗い程好ましいことが確認された。
酸素供給などの酸化性雰囲気が十分に確保されていない状態では、焼成用セッター表面の表面粗さを大きくしておくことにより、ベタ置き状態よりも点接触の載置状態に近づけることができるため、その分酸素供給環境の改善が図れ、ましい結果が得られるものと推定される。すなわち、上記酸化性雰囲気が十分に確保されていない場合には、表面粗さの大きさが大きく影響するものと考えられる。
【0026】
通気セルの隔壁から構成される各種部品載置面の表面粗さは、最大高さ(Rmax)が1μm以上、100μm以下で、中心線平均粗さ(Ra)が0.5μm以上、50μm以下であればよい。より好ましくは、最大高さ(Rmax)が2μm以上、60μm以下で、中心線平均粗さ(Ra)が1μm以上、10μm以下であればよい。尚、かかる表面粗さの測定は、JIS規格B 0601の表面粗さの定義と表示に基づいて行えばよい。
また、焼成用セッターに各種部品などの成形体を載置するに際しては、かかる成形体を焼成用セッターの各種部品載置面にベタ置きすると、焼成後の成形体は、電子部品載置面のうねりに整合した焼成状況に至るため、可能な限り各種部品載置面の表面は、平坦であることが好ましい。かかる観点から、各種部品載置面の平面度は、50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、20μm以下である。尚、かかる平面度の測定は、JIS規格B 0621の幾何偏差の定義と表示に基づいて行えばよい。
このように各種部品載置面側は炉内の酸化性雰囲気によって適宜上記した範囲内で加工することが望ましい。しかし、一方の炉内設置面側は必ずしも精度を必要とせず、焼成用セッター自体の水平が保たれていれば、むしろ接地面は荒い方が望ましいと言える。
【0027】
焼成用セッターの熱膨張係数を、1.5×10−6/℃以下、例えば、0.3×10−6〜0.5×10−6/℃に設定しておけば、各種部品の焼成において、急加熱、急冷が行われても成用セッターが熱衝撃により破損する可能性が低くなり好ましい。焼成炉中の温度上昇勾配、焼成後の温度低下勾配を大きくして、それぞれの時間短縮を図ることもできる。
【0028】
上記いずれかの構成において、前記焼成用セッターは、コージェライト質セラミックス、アルミナ質セラミックス、ジルコニア質セラミックス等で形成され得るが、コージェライト質セラミックスでは、SiO2が40〜60重量%、Al2O3が25〜50重量%、MgOが10〜20重量%それぞれ含有されていることを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、以下図面により詳細に説明する。図1(A)は、本発明の焼成用セッターを上から見た平面図であり、(B)は、(A)に示す焼成用セッターの隅の部分を拡大した平面図であり、(C)は隔壁の交差部にR部を設けた様子を示す部分拡大図である。図2は、本発明の焼成用セッターにセラミック電子部品としてのセラミック多層基板を載置した状態を示す断面図である。
【0030】
本発明の焼成用セッター10は、コージェライト質セラミックを使用して、図1(A)、(B)に示すように、略板状四角形の外壁11aと隔壁11bから形成されている。コージェライト質セラミックの組成は、SiO2は、42〜56重量%、Al2O3は、30〜45重量%、MgOは、12〜16重量%の範囲のものを使用すればよい。かかる組成のものであれば、熱膨張係数を1.5×10−6/℃以下とすることができ、しかも成型後の焼成用セッターの気孔率を15〜70%の範囲内に収めることができる。
かかる焼成用セッターは、図2に示すように、セラミック電子部品Aを載置する電子部品載置面の表面12a側から、裏面12b側に向けて、通気セル11が貫通孔として設けられている。裏面12b側は直接炉内にベタ置きされている。通気セル11は、図1(A)に示すように、外壁11aで囲まれた略四角形の範囲内に複数設けられている。通気セル11同士は、0.05mm〜1.0mmの厚さの隔壁11bで仕切られ、通気セル11のセルピッチpは、0.5〜5.0mmに設定されている。外壁11aは、隔壁11bより厚く設定され、焼成セッター10の強度確保に役立っている。実際の使用における最低強度は、外壁11aを、少なくとも0.10mm以上、好ましくは0.25mm以上に設定しておけばよい。
【0031】
外壁11aと外壁11aの間に通気孔11eを設けることにより、ベタ置きしても、表面12a側から通気孔の開口13側へ抜けるガスがより周囲に拡散し易いようになっている。あるいは開口13がある周囲から通気セル11の開口面11cに向けて空気が流入し易いようにすることができる。
外壁と外壁を貫通する通気孔11eは、1個以上であれば特に上限はなく、可能な限り、戴置された各種部品の下部に設けられ、焼成用セッター10の周囲雰囲気との通気性を遮断しないようにすればよく、放射状あるいは格子状設けるのがよい。
【0032】
外壁と外壁を貫通する通気孔11eの開口径は、ガス気散性、酸素供給性の面から、外壁11a側とセッター載置面14との間の通気性を確保するために、少なくとも1mmφ以上に設定すればよい。かかる通気孔11eの開口径に関しては、通気性確保の観点からは、前述の如く、その上限を設ける必要はないが、焼成用セッターの現場での使用状況を考慮すれば、最大でも50mm以下に設定するのが好ましい。50mm以下に設定すれば、焼成炉内の加熱過程で焼成用セッターが変形するのを回避することができる。より好ましくは、1mmφ以上、10mmφ以下である。
【0033】
上記のように隔壁11bの厚さ、セルピッチpをそれぞれ設定した場合には、セラミック電子部品を載置する表面に対する通気セル11の個々の開口面11dの総面積の割合(以下、開口率という)は、50〜90%であった。また、熱膨張係数は、0.3×10−6〜0.5×10−6 /℃であり、急冷(5℃/分以上)、急加熱(5℃/分以上)においても割れが発生しなかった。
【0034】
上記構成の焼成用セッター10は、上記組成が得られるように、カオリン、タルク、アルミナ、シリカ等のコージェライト化原料を調合した後、バインダー、可塑材を加え混合混練して押し出し成形して、セッター成型体を形成し、その後1300〜1500℃で焼成してコージェライト質セラミックスからなる焼成用セッターを製造すればよい。この際、コージェライト化原料の粒子形態や粒度分布を調整することにより、熱膨張係数や気孔率を調整することが可能である。
【0035】
かかる構成の焼成用セッター10を用いて、セラミック電子部品として、セラミック多層基板A(45mm×58mm角、厚さ1mm)を焼成し、その反りの状況を調べた。セラミック多層基板Aは、Al2O3やSiO2などからなる低温焼成セラミックスとバインダー、可塑材からなる一般に多用されているセラミックグリーンシートと、Ag粉とバインダーと有機溶剤からなる従来構成の導電性ペーストとを互いに積層した構成を有している。
このように形成されたセラミック多層基板Aを、図2に示すように、その実装面を上に向けて焼成用セッター10上に載置し、焼成炉中にて900℃焼結した。焼成は600℃まで10〜15時間で昇温し、600℃で1時間保持した後、900℃で1時間焼成した。
上記焼成後のセラミック多層基板は、実装面に多少の凹凸の反りは部分的に見られるものの、最大そり量は0〜0.05mmの範囲であった。
【0036】
対して従来より知られているアルミナからなる気孔率5%以下の緻密質の材料を使用して焼成用セッターを形成し、その焼成用セッターで、上記と同様にしてセラミック多層基板Aを900℃焼成した。
かかる場合には、セラミック多層基板Aの最大反り量は、0.05〜0.1mmの反り量を示した。
また、貫通した通気セルを持たない気孔率70%の多孔質の焼成用セッターを使用する場合の最大そり量は、0.15〜0.2mmの大きな反り量を示した。緻密質よりはその反りが小さいと一般的には評価を受けている多孔質の焼成用セッターでも、このように大きな反り量を示すことが確認された。これは、多孔質の場合には、前述のように、多孔質内にセラミック多層基板内のバインダーが燃焼した際のガスが、完全燃焼をされずに還元性状態で吸着されており、かかる吸着ガスが再度の焼成用セッターの使用に際して悪影響を与えているのではと考えられる。
【0037】
また外壁と外壁の間を貫通する通気孔11eを設けずにベタに置いて焼成した場合のセラミック多層基板Aの最大反り量は、ハニカム構造は同じ構造でも、外壁と外壁の間を貫通する通気孔11eを設けた場合とは異なり、0.1〜0.15mmという大きな反り量を示すことが分かった。改めて、外壁と外壁の間を貫通する通気孔11eの存在意義が大きいことが確認された。
【0038】
以上のように、コージェライト質セラミックを使用して、所定容積比と所定の開口率を有し、かつ外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けた本発明の焼成用セッターは、従来より使用されてきた緻密質、多孔質あるいは外壁と外壁の間を貫通する通気孔の存在しないハニカム構造体のいずれの場合よりも載せるセラミック電子部品の収縮挙動に与える影響が少ないものと考えられる。
【0039】
また、外壁間の通気孔の個数・開口径、焼成用セッターに設けた通気セルの開口率、焼成用セッターを構成する基体の気孔率、電子部品載置面の表面粗さ(Rmaxと、Ra)、平面度を種々変化させ、かかる焼成用セッターを使用した場合における被焼成物の反り量を測定して、反り量に及ぼすそれらの影響を調べ、その結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
表1では、前述の如く、被焼成物としてセラミック多層基板(45mm×58mm角、厚さ1mm)を使用した。表中、実施例1〜14、比較例1〜11までは、前記説明のようにコージェライト質セラミックスを使用した。比較例10,11では、基体に多孔質、緻密質を使用した。
【0042】
実施例1〜4では、開口率を80%、気孔率を40%、表面粗さをRmax50μm、且つRa10μm、平面度を10μmと同一条件に設定した上で、外壁間の通気孔の個数を、8,4,2,1個と変化させた。外壁間の通気孔の数を1〜8個まで増やすと、比較例1に対して、反り量は、60μm、44μm、38μm、33μm、30μmと小さくなることが分かる。
反り量の大きさとしては、45μm以下であり、外壁間の通気孔1個の場合でも、反り量としては、使用可能な範囲に収まることが確認されている。
そこで、外壁間の通気孔の個数を1個以上に設定すればよいことが分かる。
次に外壁間の通気孔の開口径の影響について調べた。前記表の実施例1及び実施例5から他の条件を一定にした状態で開口径を5mmした場合にはそり量が30μmであるのに対して、開口径が1mmの場合には36μmであることがわかる。すなわち、開口径が大きいほうがそり量を小さくすることが表からも確認される。
【0043】
次に、開口率の影響について調べた。前記表の実施例1と実施例9とから、他の条件を一定にした状態で、開口率を80%に設定した場合には反り量が30μmであるのに対して、開口率が60%の場合には反り量が32μmであることが分かる。すなわち、開口率が大きい方が、反り量を小さくすることができることが表からも確認される。
【0044】
また、本発明者の実験からは、表に示さないが、開口率50%でも、60%の場合よりも反り量は大きいものの十分に使用できる範囲内であることが確認された。一方、焼成用セッターの強度の面からは、表には示さないが、開口率が90%までは問題なく通常の使用に耐え得るが、それ以上に開口率を上げると使用に際して破損するなど強度の点で問題が発生する場合があることが確認された。
【0045】
但し、通気セルの隔壁の交差部に、図1(C)に示すように、R0.5mmの丸みを持たせることで強度は改善され、且つセッターそのものの反りを抑制することもできた。さらには、上記R部は、強度的には、R部は少なくとも0.1mm以上であれば焼成用セッターの強度向上に寄与することが確認された。軸方向圧縮強度を20MPa以上に保つことができるのである。
かかる強度の点を考慮して、開口率は、50%以上、90%以下、より好ましくは強度面でも反り量の面でも十分な値を示す60%以上、80%以下であればよいことが、表から確認される。
【0046】
表の実施例1、10を比較すると、他の条件を一定にした場合には、気孔率が40%の場合には反り量が30μmであるのに対して、気孔率が60%の場合には反り量が27μmと小さくなることが分かる。すなわち、焼成用セッターに使用する気孔率は、大きければ大きい程良いことが確認される。表には示さなかったが、気孔率は、15%であっても実用的範囲内での反り量を示すことが確認されている。
併せて、焼成用セッターの強度の面からは、表には示さないが、気孔率が70%までは問題なく通常の使用に耐え得るが、それ以上に気孔率を上げると使用に際して破損するなど強度の点で問題が発生する場合があることが確認された。かかる点を考慮して、気孔率は15%以上、70%以下、より好ましくは強度面でも反り量の面でも十分な値を示す20%以上、60%以下であればよいことが表から確認される。
【0047】
また、表の実施例1、11、12からは、開口率を80%、気孔率を40%と酸化性雰囲気を十分に確保できる状態にするなど他の条件を一定にした場合には、表面粗さがRmax;60、Ra;20の場合には、反り量は38μmであるのに対して、表面粗さがRmax;50、Ra;10場合には、反り量は30μmで、表面粗さがRmax;20、Ra;5の場合には、反り量は33μmであることが確認された。かかる結果から、他の条件が一定であれば、酸化性雰囲気が確保される状態では、電子部品載置面の表面粗さは小さい程、反り量が小さくなると言える。
【0048】
表の実施例1、13、14を比較することにより、他の条件を一定にした場合には、平面度が2μmの場合には反り量が25μmであるのに対して、平面度が10μmの場合には反り量が30μmとなり、平面度が40μmの場合には反り量が38μmとなることが分かる。すなわち、焼成用セッターでは、電子部品載置面の平面度は大きい程(表面度は表中の値が小さい程大きい)良いことが確認される。表には示さなかったが、平面度が50μmの場合でも被焼成体の反り量は実用的範囲内での反り量を示していた。
このことから、電子部品載置面の平面度は、50μm以下、より好ましくは20μm以下であれば、反り量は45μm以下となってより好ましいことが分かる。
【0049】
比較例1は通気孔がない場合、比較例2は通気孔の開口径が小さい場合について確認した。そり量の観点からは、前述のように通気孔が存在し、開口径が1mm以上必要であることを確認した。
【0050】
比較例3〜6では、開口率、気孔率と焼成用セッターの強度との関係について確認した。反り量の観点からは、前述のように開口率が大きい方が好ましいが、反面使用する基体の気孔率との絡みで、焼成用セッターの使用強度の問題が発生し、ある限度以上の開口率では、焼成用セッターが壊れ易くなる。例えば、開口率を80%に維持して、気孔率を10%、80%とで比較すると、気孔率が80%のものでは強度的に脆弱となり、作業途中で破損した。一方、気孔率を10%とした場合には、強度面での問題は発生しないものの、反り量が80μmとなり、前記説明のいずれのケースよりも反り量が大きくなることが確認された。
【0051】
一方、開口率を90%にして、気孔率を40%に低下させた場合にも、やはり作業途中で破損が生じた。次に、開口率を40%に低下させて、併せて気孔率も40%に低下して、焼成用セッターの強度を確保するようにした場合には、作業途中での破損は生じないものの、反り量は95μmと大きな反り量が確認された。以上の結果から、反り量、強度の双方が、許容される実用的範囲内に入るためには、開口率および気孔率のある有効な範囲の組合せがあるものと推定される。
【0052】
開口率80%、気孔率40%、表面粗さRmax;10、Ra;6μm、平面度を10μmの条件の比較例7では、焼成体の焼成用セッターへの付着が見られた。これは、Rmaxを10μmと小さく設定したため、焼成体と電子部品設置面との接触は、表面粗さに基づく点接触より、ベタ置きに近い状態になったためと推測できる。かかる観点から、表面粗さでは、RaばかりでなくRmaxを併用して表示することが必要であることが分かる。
一方、Raを60μmに一定に維持した状態で、Rmaxを110μmにした比較例8の場合には、焼成用セッターへの焼成体の付着は見られないものの反り量は極めて大きな値を示すことが確認された。
【0053】
また、比較例9では、実施例1と比べて、平面度のみが10μmから120μmと悪化しているが、焼成体の反り量も、30μmから125μmと増大している。このことから、開口率、気孔率、表面粗さなどを同一にした状態では、平面度は良好なことが好ましいことが分かる。表には示さないが、平面度が100μm以下であれば、反り量を十分に使用できる範囲内に抑えることが確認されている。
【0054】
比較例10では、基体の素材として気孔率が70%で通気セルを有しない多孔質を使用した場合の結果を示している。反り量は、110μmと大きい。また、比較例11は緻密質を使用した場合で、気孔率はわずか2%であり、反り量は120μmを示した。
【0055】
本発明の気孔率40〜60%のコージェライト質セラミックスを使用して、開口率を60〜80%、Rmaxを20〜50μm、Raを5〜10μm、平面度を2〜10μmの範囲に設定し外壁間の通気孔1個以上、外壁間の通気孔の開口径1mmい上にした場合には、表に示すように、反り量は比較例1、10,11いずれの場合よりも低い44μm以下であり、本発明の有効性が確認される。
【0056】
本発明は、上記実施の形態の説明に限定する必要はなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更してもよい。
例えば、上記説明では、全体形状を略四角形に構成した場合について説明したが、かかる形状は円形でも、その他の多角形でも、あるいは不定形などでもさらにはそれらを組み合わせて使用しても構わない。本発明の効果はその形状には影響されない。要は、セラミック電子部品を載置する載置面について、本発明の特徴的構成が発揮されておればよい。
【0057】
前記説明では、焼成用セッターの全面をセラミック電子部品の載置面に形成した場合について説明したが、例えば板面の中央部分など板面のある範囲を載置面として形成するようにしてもよい。かかる構成を採用することにより、載置面を囲む周囲部分を緻密質に構成して、全体強度を高めておくことにより、載置面の通気セルの開口率を高くすることも考えられる。
【0058】
通気セルの断面形状を略四角に形成した場合について説明したが、かかる形状も例えば、円形、三角形、あるいは六角形、八角形などの多角形を含めて種々の形状を採用しても構わない。しかし、最密充填状態にするには六角形などが好ましい。
【0059】
本発明では、コージェライト質セラミックを使用しているが、十分な気孔率を有するものであれば、その他の材質を使用しても構わない。
【0060】
【発明の効果】
本発明の焼成用セッターでは、これに載置して焼成するセラミック電子部品の焼成中の収縮挙動に対する影響を、緻密質、多孔質などの従来のセッターと比べて、格段に抑制することができる。本発明の焼成用セッターの使用により、従来構成の焼成用セッターを使用した場合とは異なり、焼成後のセラミック電子部品に、それ自身が有する本来の収縮傾向に従った反り状態を示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明の焼成用セッターの一実施の形態の上から見た様子を示す平面図であり、(B)は(A)の隅部を拡大して示した部分拡大図であり、(C)はセルの隔壁交差部に設けたR部を示す部分拡大図である。
【図2】本実施例の焼成用セッターの断面図である。
【図3】(A)は、隣接するセル同士を隔壁でその交差部から3方向に仕切った場合を示す平面図であり、(B)、(C)はそれぞれ4方向、6方向に仕切った場合を示す平面図である。
【符号の説明】
10:焼成用セッター
11:通気セル
11a:外壁
11b:隔壁
11c:開口面
11d:開口面
11e:通気孔
12a:表面
12b:裏面
13:開口
14:セッター載置面
A:セラミック電子部品
p:ピッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス系電子部品や射出成形によって得られる部品などを焼成する際に、焼成炉内でセラミックス系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せておく焼成用セッターに関し、特に、セラミックス系電子部品の焼成後の反りや射出成形によって得られる部品の焼成後の変形を抑制するのに有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、セラミック基板の焼成プロセスにおいて、セッターとの摩擦によってセラミック基板の収縮率のばらつき、および割れなどが生ずるため、かかる障害を未然に防止するため、焼成中にセラミック基板をエアにより浮かせる構成が提案されている。
かかる構成では、常に、微小孔付きセッターを、空気取り込み穴を設けたエア取り込み用補助セッターに載せ、その状態で微小孔付きセッターにセラミック基板を載せて焼成する。焼成中は、エア取り込み用の補助セッターの空気取り込み穴から空気が供給され、微小孔付きセッターの微小孔からセラミック基板の下面に向けて空気が吹出し、セラミック基板を浮かせることができる。
このように焼成中にセラミック基板をセッターから離すことにより、従前から問題となっていた焼成中のセラミック基板の収縮、割れなどの障害を大幅に抑制する構成である。
【0003】
特許文献2には、セラミック多層基板などの電子材料部品の焼成において、焼成時における焼成物とセッターとの接触不良に基づく焼成物の汚染、焼成物とセッターとの接着による不良品の発生を防止する手段が提案されている。
かかる手段では、ドクターブレードなどを使用したテープ成形で、泥漿を用いて薄いセッターを製造することができるように、その成形性の観点から、厚みを0.2〜2mmに設定したセッターの構成が開示されている。かかるセッターには、セラミック基板などの電子材料部品を点接触に近い状態で載せることができるように、焼成物との接触面に打ち抜きなどの方法で独立した貫通孔を設ける構成が開示されている。薄い板面に貫通させた開口部が設けられ、薄い網状のセッターに構成されている。
点接触させるという観点からは、独立した貫通孔の1個の開口面積を0.07〜36mm2の範囲内に設定するのが好ましいことが記載されている。さらに、貫通孔の開口率は、セッターとの接着可能性、貫通孔の打ち抜き加工の容易性などの観点からは、10〜60%の範囲が好ましいとも述べている。また、セッターの強度面からは、その焼結密度を95%以上に設定するのが好ましいとしている。
【0004】
特許文献3には、セラミック粉末と水との混合物にポリウレタン発泡体用原料を添加した混合物を型内で発泡硬化させ、その後焼成することにより、軽量で熱容量の小さいセッターを製造できることが開示されている。
しかし、かかる構成のセッターにセラミック基板などのセラミックス電子部品を載置して焼成すると、セラミックス電子部品の特性が低下するという問題点が指摘され、かかる問題点の解消を図る手段として、セラミックス成形品の周囲雰囲気の入れ替え容易性、強度などの観点から、セラミックス成形品の載置面積1cm2当たり1〜10個の貫通孔を設ける構成が提案されている。
【0005】
特許文献4には、セラミック基板などの電子材料部品を載置して焼成するセッターの構成において、セッター表面に、セラミック基板などの電子材料部品を載せる凹凸構造の表面載置部を設ける構成が開示されている。
【0006】
特許文献5には、酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体の製造において使用する匣鉢を、底部に開口部を設けた匣鉢本体と、この開口部上に設ける別体の多孔板状セッターとから構成することにより、多孔板状セッターに電圧非直線抵抗体を載せた複数の匣鉢を、焼成炉内で多段積みにして焼成した場合でも、匣鉢毎の焼成雰囲気を極力均一にすることで、焼成雰囲気により大きく影響を受けるバリスタ特性のバラツキを小さくする構成が開示されている。
【0007】
特許文献6には、セラミックコンデンサーやPTCなどのセラミックス電子部品類の被焼成物を焼成するために、被焼成物から発生するガスにより被焼成物が汚染されることを防いだり、焼成用ムラの発生を防ぐためにセッターを傾けて配設し、電子部品戴置面周縁に複数の開口を設け、セッターの裏面から表面側への通気ができるようにした焼成用セッターが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−74567号公報
【特許文献2】
特開平11−79853号公報
【特許文献3】
特開平5−270926号公報
【特許文献4】
特開平6−281359号公報
【特許文献5】
特開平5−267010号公報
【特許文献6】
特開平2002−226277号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、セラミックス系電子部品の焼成後の反りや射出成形によって得られる部品の焼成後の変形などの発生を極力抑制するために、焼成炉内でセラミックス系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せておく焼成用セッターについて、種々の構成が提案されている。しかし、現状では、未だ、十分に焼成後のセラミックス系電子部品の反りや射出成形によって得られる部品の変形を解消するまでには至っていない。例えば、焼成用セッターの開口率を大きくすることで効果は上がるが、反面セッターの強度は弱くなり焼成炉内で加熱冷却を繰り返すとセッター自身が反り易くなる。これがセラミック電子部品の反りや射出成形によって得られる部品の変形をもたらす結果となっていた。
【0010】
焼成用セッターについては、その上に載せるセラミック電子部品や射出成形によって得られる部品との相互作用を持つことなく、すなわち、セラミック電子部品や射出成形によって得られる部品に何の影響をも与えずに、焼成させることができるものが好ましいと考えられる。焼成中に、セラミック電子部品や射出成形によって得られる部品本来が有する特性に基づき収縮などの焼成挙動がなされるような、焼成用セッターが好ましい。
【0011】
本発明の目的は、セラミック電子部品、特にチップコンデンサや高周波モジュール部品など多層構造としたセラミック電子部品や射出成形によって得られるセラミックス部品や金属系部品を対象とし、これらの本来的な性質に基づいた焼成挙動を確保できるような焼成用セッターを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を焼成するに際して、焼成炉中にて前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる焼成用セッターであって、前記焼成用セッターは、外壁と、前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる部品載置面と、前記焼成用セッターを前記焼成炉内に載置する炉内設置面とを有し、前記部品載置面と前記炉内設置面との間には、0.05mm〜1.0mmの厚さの隔壁で、互いに0.5mm〜5.0mmのピッチで仕切られた複数の通気セルが貫通してなり、かつ前記外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を1個以上設けてなるハニカム構造体であることを特徴とする焼成用セッターである。
【0013】
尚、上記セラミックス系電子部品としては、例えば、厚さ数μm〜数十μmのグリーンシートを複数枚重ね合わせて積層したセラミック多層基板が挙げられるが、かかる多層基板に限定する必要はなく、それ以外のセラミック成形体であっても勿論構わない。さらには、射出成形によって得られたセラミックスや金属であっても粉体と有機物からなる焼成用の成形体であれば、本発明の上記構成の焼成用セッターは有効に使用できる。
【0014】
かかる構成の焼成用セッターとしては、例えば、略角形の外壁を持った板状に形成し、その表面をセラミック系電子部品や射出成形によって得られた部品を載せる部品載置面とし、裏面を炉内載置面として構成しておき、表面から裏面に向けてあるいは外壁側面から外壁側面へ向けて、また、表面から外壁側面へ向けてあるいは外壁側面から表面へ、更には裏面から外壁側面へ向けてあるいは外壁側面から裏面へ向けて、縦横無尽に通気可能な通気孔を設けて構成したハニカム構造体に形成することが望ましい。
【0015】
焼成炉内では、セラミック系電子部品や射出成形によって得られた部品中のバインダーなどは燃焼して、CO、CO2、H2Oなどのガスになって気散する。セラミック系電子部品や射出成形から得られた部品を焼成用セッターに載置した状態では、焼成用セッターに載置する側の面を除いて、セラミック系電子部品や射出成形から得られた部品の外表面は、ガスの気散、およびバインダーの燃焼に必要な酸素の供給が比較的自由に行える自由面になっている。
しかし、ガス供給、ガス気散の面では、上記自由空間に比べて拘束された状態に成り易い焼成用セッターの炉内載置面側でも、通気セルや外壁側面を貫通する通気孔を通してガスが供給されたり、あるいは通気セルを通してガス気散が図れるため、かかる構成が設けられない場合に比べて、セラミック系電子部品や射出成形によって得られた部品からのバインダーなどのガス気散が平均的に行われ、その分各種部品の脱バインダーや収縮への影響を低減することができる。
【0016】
さらに、前記通気セルを有する焼成用セッターの外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けてなるハニカム構造体とするのがよい。外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けることにより、ガスが縦横無尽に通気することができるようになり焼成用セッターの炉内設置面側を炉内面より離して置かなくても焼成用セッターの炉内設置面側の通気も確保することができる。このように離して置く必要がなくなることにより、支持部材などを設けて焼成用セッターを炉内設置面側から離して置く場合とは異なり、脱バインダ・焼成等の加熱に伴う焼成用セッターの軟化により、焼成用セッターの自重や焼成用セッターに戴置されている部品の重さにより焼成用セッターが反ることにより、焼成用セッターに戴置された各種部品が影響を受けそれら各種部品自身の反りや変形が生じることがなくなる。
【0017】
通気セルや外壁側面を貫通する通気孔は、このように、各種部品の脱バインダーや収縮に強い影響を与えるため、かかる通気セルや通気孔の設定状況を検討した。
通気セルは、例えば、隣接するセル同士を0.05mm〜1.0mmの厚さの隔壁で、図3(A)に示すように、隔壁の交差部から少なくとも3方向に仕切るように構成しておけばよい。図3(B)、(C)には、それぞれ4方向、6方向に仕切った場合を例示した。且つ、隣接する通気セル同士のピッチを0.5mm〜5.0mmに設定しておけばよい。尚、ここでのセルピッチは隔壁の中心から隔壁の中心までの距離を言う。種々のセル形状に対して、セルピッチは、それぞれのセルに対応する隔壁間の距離として規定しても構わない。あるいは、それぞれのセル空間の中心間をセルピッチとしてもよい。
【0018】
上記隔壁厚さに関しては、上記ピッチを一定にした場合に、0.05mm未満に設定すると、その分通気セルの開口面積を増やすことはできるが、反面、セラミック電子部品を載置する際、あるいは焼成用セッターの取り扱いの際における強度面での脆弱性が発生することがあり好ましくない。一方、1.0mmより大きい値に設定すると、その分、通気セルの開口面積が低下して、セラミック電子部品との関わりにおける酸素供給、ガス気散に対する通気セルの機能が低下することがある。より好ましくは、0.1〜0.5mm、さらに好ましくは0.1〜0.2mmである。
【0019】
また、上記セルピッチに関しては、上記隔壁厚さを一定にした場合には、0.5mm未満とする場合には、個々のセルが小さくなるため、その分気散ガスが通過しにくくなる。併せて、通気セル全体の開口率当たりのセル内壁面積が大きくなり、上記ガス気散に際して、セル内壁面へのガス吸着の確立も高くなる。焼成用セッターは通常何度も繰返して使用するため、かかるガス吸着が発生する場合には、使用に際しては空焼きを行い、COなどの還元性気体を完全酸化して気散させておく必要があり、余分な手間が発生する。かかる空焼きなどの工程を必要としない構成が望ましい。
5.0mmを越える大きさに設定すれば、通気セルの1個当たりの開口面積が大きくなり、小型電子部品の載置に際して、焼成用セッターからの落下が懸念される場合も発生する。より好ましくは、0.8〜3.0mm、さらに好ましくは、1.0〜2.5mmである。
【0020】
上記セルピッチと、上記隔壁厚さで規定される通気セルの断面形状は、ハニカム構造体の金型を簡単な構成で済ませることができる。例えば略四角形に形成しておけばよい。かかる形状は、例えば、長方形、菱形、六角形、八角形など任意の多角形に設定しても構わない。
【0021】
さらに、前記電子部品載置面の総面積に対する前記複数の通気セルの総開口面積の比率である開口率を、50〜90%に設定すれば、酸素供給性、ガス気散性の観点からより好ましい結果が得られる。より好ましくは、60〜90%の範囲である。さらに好ましくは、70〜90%であればよい。
さらに、焼成用セッターに載せて各種部品を焼成するに際して、各種部品中のバインダーや可塑材の燃焼に必要な酸素量を、炉内設置面側からも確保することができ、各種部品の焼成後の反りや変形などに影響を与えるCOなどのような不完全燃焼ガスの滞留も発生させないで済む。
【0022】
また、通気セルを有する焼成用セッターの外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けて、縦横無尽な通気を確保することにより、焼成用セッターに載せて焼成する各種部品中のバインダーや可塑材などの燃焼ガスの逃げ易さを確保することもできる。このように、焼成用セッターの外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けることにより、各種部品などの被焼成物の焼成に際しての酸素量確保、燃焼ガスの逃げ道確保などの効果が得られるが、かかる効果を実効あるものとするためには、外壁と外壁の間を貫通する通気孔を1個以上設ければよく、より好ましくは外壁と外壁の間を貫通する通気孔が各種部品戴置面下を横断していることが好ましい。より縦横無尽な通気を確保するためには焼成用セッターの中心を通る貫通孔を設け、放射状、格子状に設けるのが好ましい。
外壁と外壁の間を貫通する通気孔が各種部品戴置面下を横断していない場合は、各種部品に対する酸素量の確保、燃焼ガスの逃げ道確保などの通気性確保が十分でなくなる場合もある。かかる通気性確保という観点からは、外壁と外壁の間を貫通する通気孔を1個以上設ければよく、その数に上限を設ける必要はないが、各種部品が戴置された焼成用セッターの搬送等を考えれば、自ずから上限を各種部品を戴置しても焼成用セッターが破損しない程度の範囲に設定するのが好ましい。
【0023】
外壁と外壁の間を貫通する通気孔の開口径は、1mmφ以上である。1mmφより小さいと縦横無尽なガスの通気が確保できなくなる。かかる通気性確保という観点からは、外壁と外壁の間を貫通する通気孔の開口径は1mmφ以上あればよく、その大きさに上限を設ける必要はないが、各種部品が戴置された焼成用セッターの搬送等を考えれば、自ずから上限を各種部品を戴置しても焼成用セッターが破損しない程度の範囲に設定するのが好ましい。
【0024】
焼成用セッターでは、前述の如く、酸素供給、ガス気散などが良好に行えるように、気孔率の大きな材質を使用することが望ましい。しかし、必要以上に気孔率の大きな材質では、焼成用セッターとしての通常の使用範囲における強度確保が行えない場合も考えられる。上記のように通気セルを貫通孔として設ける構成では、尚更にその強度低下の発生することが大きいため、通気セルとの関連で、気孔率の上限を設けて置く必要がある。かかる観点からは、70%以下であればよい。また、15%未満では、酸素供給、ガス気散などに対する空隙の寄与が小さくなり、その分通気セルで酸素供給、ガス気散を確保するために通気セルの開口率を大きくすることが求められ、逆に強度面での低下が発生して好ましくない。より好ましくは、20〜60%であればよい。
ここで、開口率および/または気孔率は高めの値に設定することが効果的であるが、同時に強度面の低下が懸念される。そこで通気セルの隔壁の交差部に0.1mm以上のR部を設けることによって強度低下を補うことが出来るので望ましい。尚、R部の大きさは適宜隔壁の厚さ、ピッチ、開口率等を考慮して設定される。
【0025】
また、焼成用セッターに各種部品を載置するに際しては、どのような状態で載置すればよいかについても検討した。その結果、十分に開口率などを大きくして、上記酸素供給、ガス気散などの雰囲気を確保できる状態では、表面粗さが少ない程好ましく、逆に上記雰囲気が十分に確保されない場合には、表面粗さが粗い程好ましいことが確認された。
酸素供給などの酸化性雰囲気が十分に確保されていない状態では、焼成用セッター表面の表面粗さを大きくしておくことにより、ベタ置き状態よりも点接触の載置状態に近づけることができるため、その分酸素供給環境の改善が図れ、ましい結果が得られるものと推定される。すなわち、上記酸化性雰囲気が十分に確保されていない場合には、表面粗さの大きさが大きく影響するものと考えられる。
【0026】
通気セルの隔壁から構成される各種部品載置面の表面粗さは、最大高さ(Rmax)が1μm以上、100μm以下で、中心線平均粗さ(Ra)が0.5μm以上、50μm以下であればよい。より好ましくは、最大高さ(Rmax)が2μm以上、60μm以下で、中心線平均粗さ(Ra)が1μm以上、10μm以下であればよい。尚、かかる表面粗さの測定は、JIS規格B 0601の表面粗さの定義と表示に基づいて行えばよい。
また、焼成用セッターに各種部品などの成形体を載置するに際しては、かかる成形体を焼成用セッターの各種部品載置面にベタ置きすると、焼成後の成形体は、電子部品載置面のうねりに整合した焼成状況に至るため、可能な限り各種部品載置面の表面は、平坦であることが好ましい。かかる観点から、各種部品載置面の平面度は、50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、20μm以下である。尚、かかる平面度の測定は、JIS規格B 0621の幾何偏差の定義と表示に基づいて行えばよい。
このように各種部品載置面側は炉内の酸化性雰囲気によって適宜上記した範囲内で加工することが望ましい。しかし、一方の炉内設置面側は必ずしも精度を必要とせず、焼成用セッター自体の水平が保たれていれば、むしろ接地面は荒い方が望ましいと言える。
【0027】
焼成用セッターの熱膨張係数を、1.5×10−6/℃以下、例えば、0.3×10−6〜0.5×10−6/℃に設定しておけば、各種部品の焼成において、急加熱、急冷が行われても成用セッターが熱衝撃により破損する可能性が低くなり好ましい。焼成炉中の温度上昇勾配、焼成後の温度低下勾配を大きくして、それぞれの時間短縮を図ることもできる。
【0028】
上記いずれかの構成において、前記焼成用セッターは、コージェライト質セラミックス、アルミナ質セラミックス、ジルコニア質セラミックス等で形成され得るが、コージェライト質セラミックスでは、SiO2が40〜60重量%、Al2O3が25〜50重量%、MgOが10〜20重量%それぞれ含有されていることを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、以下図面により詳細に説明する。図1(A)は、本発明の焼成用セッターを上から見た平面図であり、(B)は、(A)に示す焼成用セッターの隅の部分を拡大した平面図であり、(C)は隔壁の交差部にR部を設けた様子を示す部分拡大図である。図2は、本発明の焼成用セッターにセラミック電子部品としてのセラミック多層基板を載置した状態を示す断面図である。
【0030】
本発明の焼成用セッター10は、コージェライト質セラミックを使用して、図1(A)、(B)に示すように、略板状四角形の外壁11aと隔壁11bから形成されている。コージェライト質セラミックの組成は、SiO2は、42〜56重量%、Al2O3は、30〜45重量%、MgOは、12〜16重量%の範囲のものを使用すればよい。かかる組成のものであれば、熱膨張係数を1.5×10−6/℃以下とすることができ、しかも成型後の焼成用セッターの気孔率を15〜70%の範囲内に収めることができる。
かかる焼成用セッターは、図2に示すように、セラミック電子部品Aを載置する電子部品載置面の表面12a側から、裏面12b側に向けて、通気セル11が貫通孔として設けられている。裏面12b側は直接炉内にベタ置きされている。通気セル11は、図1(A)に示すように、外壁11aで囲まれた略四角形の範囲内に複数設けられている。通気セル11同士は、0.05mm〜1.0mmの厚さの隔壁11bで仕切られ、通気セル11のセルピッチpは、0.5〜5.0mmに設定されている。外壁11aは、隔壁11bより厚く設定され、焼成セッター10の強度確保に役立っている。実際の使用における最低強度は、外壁11aを、少なくとも0.10mm以上、好ましくは0.25mm以上に設定しておけばよい。
【0031】
外壁11aと外壁11aの間に通気孔11eを設けることにより、ベタ置きしても、表面12a側から通気孔の開口13側へ抜けるガスがより周囲に拡散し易いようになっている。あるいは開口13がある周囲から通気セル11の開口面11cに向けて空気が流入し易いようにすることができる。
外壁と外壁を貫通する通気孔11eは、1個以上であれば特に上限はなく、可能な限り、戴置された各種部品の下部に設けられ、焼成用セッター10の周囲雰囲気との通気性を遮断しないようにすればよく、放射状あるいは格子状設けるのがよい。
【0032】
外壁と外壁を貫通する通気孔11eの開口径は、ガス気散性、酸素供給性の面から、外壁11a側とセッター載置面14との間の通気性を確保するために、少なくとも1mmφ以上に設定すればよい。かかる通気孔11eの開口径に関しては、通気性確保の観点からは、前述の如く、その上限を設ける必要はないが、焼成用セッターの現場での使用状況を考慮すれば、最大でも50mm以下に設定するのが好ましい。50mm以下に設定すれば、焼成炉内の加熱過程で焼成用セッターが変形するのを回避することができる。より好ましくは、1mmφ以上、10mmφ以下である。
【0033】
上記のように隔壁11bの厚さ、セルピッチpをそれぞれ設定した場合には、セラミック電子部品を載置する表面に対する通気セル11の個々の開口面11dの総面積の割合(以下、開口率という)は、50〜90%であった。また、熱膨張係数は、0.3×10−6〜0.5×10−6 /℃であり、急冷(5℃/分以上)、急加熱(5℃/分以上)においても割れが発生しなかった。
【0034】
上記構成の焼成用セッター10は、上記組成が得られるように、カオリン、タルク、アルミナ、シリカ等のコージェライト化原料を調合した後、バインダー、可塑材を加え混合混練して押し出し成形して、セッター成型体を形成し、その後1300〜1500℃で焼成してコージェライト質セラミックスからなる焼成用セッターを製造すればよい。この際、コージェライト化原料の粒子形態や粒度分布を調整することにより、熱膨張係数や気孔率を調整することが可能である。
【0035】
かかる構成の焼成用セッター10を用いて、セラミック電子部品として、セラミック多層基板A(45mm×58mm角、厚さ1mm)を焼成し、その反りの状況を調べた。セラミック多層基板Aは、Al2O3やSiO2などからなる低温焼成セラミックスとバインダー、可塑材からなる一般に多用されているセラミックグリーンシートと、Ag粉とバインダーと有機溶剤からなる従来構成の導電性ペーストとを互いに積層した構成を有している。
このように形成されたセラミック多層基板Aを、図2に示すように、その実装面を上に向けて焼成用セッター10上に載置し、焼成炉中にて900℃焼結した。焼成は600℃まで10〜15時間で昇温し、600℃で1時間保持した後、900℃で1時間焼成した。
上記焼成後のセラミック多層基板は、実装面に多少の凹凸の反りは部分的に見られるものの、最大そり量は0〜0.05mmの範囲であった。
【0036】
対して従来より知られているアルミナからなる気孔率5%以下の緻密質の材料を使用して焼成用セッターを形成し、その焼成用セッターで、上記と同様にしてセラミック多層基板Aを900℃焼成した。
かかる場合には、セラミック多層基板Aの最大反り量は、0.05〜0.1mmの反り量を示した。
また、貫通した通気セルを持たない気孔率70%の多孔質の焼成用セッターを使用する場合の最大そり量は、0.15〜0.2mmの大きな反り量を示した。緻密質よりはその反りが小さいと一般的には評価を受けている多孔質の焼成用セッターでも、このように大きな反り量を示すことが確認された。これは、多孔質の場合には、前述のように、多孔質内にセラミック多層基板内のバインダーが燃焼した際のガスが、完全燃焼をされずに還元性状態で吸着されており、かかる吸着ガスが再度の焼成用セッターの使用に際して悪影響を与えているのではと考えられる。
【0037】
また外壁と外壁の間を貫通する通気孔11eを設けずにベタに置いて焼成した場合のセラミック多層基板Aの最大反り量は、ハニカム構造は同じ構造でも、外壁と外壁の間を貫通する通気孔11eを設けた場合とは異なり、0.1〜0.15mmという大きな反り量を示すことが分かった。改めて、外壁と外壁の間を貫通する通気孔11eの存在意義が大きいことが確認された。
【0038】
以上のように、コージェライト質セラミックを使用して、所定容積比と所定の開口率を有し、かつ外壁と外壁の間を貫通する通気孔を設けた本発明の焼成用セッターは、従来より使用されてきた緻密質、多孔質あるいは外壁と外壁の間を貫通する通気孔の存在しないハニカム構造体のいずれの場合よりも載せるセラミック電子部品の収縮挙動に与える影響が少ないものと考えられる。
【0039】
また、外壁間の通気孔の個数・開口径、焼成用セッターに設けた通気セルの開口率、焼成用セッターを構成する基体の気孔率、電子部品載置面の表面粗さ(Rmaxと、Ra)、平面度を種々変化させ、かかる焼成用セッターを使用した場合における被焼成物の反り量を測定して、反り量に及ぼすそれらの影響を調べ、その結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
表1では、前述の如く、被焼成物としてセラミック多層基板(45mm×58mm角、厚さ1mm)を使用した。表中、実施例1〜14、比較例1〜11までは、前記説明のようにコージェライト質セラミックスを使用した。比較例10,11では、基体に多孔質、緻密質を使用した。
【0042】
実施例1〜4では、開口率を80%、気孔率を40%、表面粗さをRmax50μm、且つRa10μm、平面度を10μmと同一条件に設定した上で、外壁間の通気孔の個数を、8,4,2,1個と変化させた。外壁間の通気孔の数を1〜8個まで増やすと、比較例1に対して、反り量は、60μm、44μm、38μm、33μm、30μmと小さくなることが分かる。
反り量の大きさとしては、45μm以下であり、外壁間の通気孔1個の場合でも、反り量としては、使用可能な範囲に収まることが確認されている。
そこで、外壁間の通気孔の個数を1個以上に設定すればよいことが分かる。
次に外壁間の通気孔の開口径の影響について調べた。前記表の実施例1及び実施例5から他の条件を一定にした状態で開口径を5mmした場合にはそり量が30μmであるのに対して、開口径が1mmの場合には36μmであることがわかる。すなわち、開口径が大きいほうがそり量を小さくすることが表からも確認される。
【0043】
次に、開口率の影響について調べた。前記表の実施例1と実施例9とから、他の条件を一定にした状態で、開口率を80%に設定した場合には反り量が30μmであるのに対して、開口率が60%の場合には反り量が32μmであることが分かる。すなわち、開口率が大きい方が、反り量を小さくすることができることが表からも確認される。
【0044】
また、本発明者の実験からは、表に示さないが、開口率50%でも、60%の場合よりも反り量は大きいものの十分に使用できる範囲内であることが確認された。一方、焼成用セッターの強度の面からは、表には示さないが、開口率が90%までは問題なく通常の使用に耐え得るが、それ以上に開口率を上げると使用に際して破損するなど強度の点で問題が発生する場合があることが確認された。
【0045】
但し、通気セルの隔壁の交差部に、図1(C)に示すように、R0.5mmの丸みを持たせることで強度は改善され、且つセッターそのものの反りを抑制することもできた。さらには、上記R部は、強度的には、R部は少なくとも0.1mm以上であれば焼成用セッターの強度向上に寄与することが確認された。軸方向圧縮強度を20MPa以上に保つことができるのである。
かかる強度の点を考慮して、開口率は、50%以上、90%以下、より好ましくは強度面でも反り量の面でも十分な値を示す60%以上、80%以下であればよいことが、表から確認される。
【0046】
表の実施例1、10を比較すると、他の条件を一定にした場合には、気孔率が40%の場合には反り量が30μmであるのに対して、気孔率が60%の場合には反り量が27μmと小さくなることが分かる。すなわち、焼成用セッターに使用する気孔率は、大きければ大きい程良いことが確認される。表には示さなかったが、気孔率は、15%であっても実用的範囲内での反り量を示すことが確認されている。
併せて、焼成用セッターの強度の面からは、表には示さないが、気孔率が70%までは問題なく通常の使用に耐え得るが、それ以上に気孔率を上げると使用に際して破損するなど強度の点で問題が発生する場合があることが確認された。かかる点を考慮して、気孔率は15%以上、70%以下、より好ましくは強度面でも反り量の面でも十分な値を示す20%以上、60%以下であればよいことが表から確認される。
【0047】
また、表の実施例1、11、12からは、開口率を80%、気孔率を40%と酸化性雰囲気を十分に確保できる状態にするなど他の条件を一定にした場合には、表面粗さがRmax;60、Ra;20の場合には、反り量は38μmであるのに対して、表面粗さがRmax;50、Ra;10場合には、反り量は30μmで、表面粗さがRmax;20、Ra;5の場合には、反り量は33μmであることが確認された。かかる結果から、他の条件が一定であれば、酸化性雰囲気が確保される状態では、電子部品載置面の表面粗さは小さい程、反り量が小さくなると言える。
【0048】
表の実施例1、13、14を比較することにより、他の条件を一定にした場合には、平面度が2μmの場合には反り量が25μmであるのに対して、平面度が10μmの場合には反り量が30μmとなり、平面度が40μmの場合には反り量が38μmとなることが分かる。すなわち、焼成用セッターでは、電子部品載置面の平面度は大きい程(表面度は表中の値が小さい程大きい)良いことが確認される。表には示さなかったが、平面度が50μmの場合でも被焼成体の反り量は実用的範囲内での反り量を示していた。
このことから、電子部品載置面の平面度は、50μm以下、より好ましくは20μm以下であれば、反り量は45μm以下となってより好ましいことが分かる。
【0049】
比較例1は通気孔がない場合、比較例2は通気孔の開口径が小さい場合について確認した。そり量の観点からは、前述のように通気孔が存在し、開口径が1mm以上必要であることを確認した。
【0050】
比較例3〜6では、開口率、気孔率と焼成用セッターの強度との関係について確認した。反り量の観点からは、前述のように開口率が大きい方が好ましいが、反面使用する基体の気孔率との絡みで、焼成用セッターの使用強度の問題が発生し、ある限度以上の開口率では、焼成用セッターが壊れ易くなる。例えば、開口率を80%に維持して、気孔率を10%、80%とで比較すると、気孔率が80%のものでは強度的に脆弱となり、作業途中で破損した。一方、気孔率を10%とした場合には、強度面での問題は発生しないものの、反り量が80μmとなり、前記説明のいずれのケースよりも反り量が大きくなることが確認された。
【0051】
一方、開口率を90%にして、気孔率を40%に低下させた場合にも、やはり作業途中で破損が生じた。次に、開口率を40%に低下させて、併せて気孔率も40%に低下して、焼成用セッターの強度を確保するようにした場合には、作業途中での破損は生じないものの、反り量は95μmと大きな反り量が確認された。以上の結果から、反り量、強度の双方が、許容される実用的範囲内に入るためには、開口率および気孔率のある有効な範囲の組合せがあるものと推定される。
【0052】
開口率80%、気孔率40%、表面粗さRmax;10、Ra;6μm、平面度を10μmの条件の比較例7では、焼成体の焼成用セッターへの付着が見られた。これは、Rmaxを10μmと小さく設定したため、焼成体と電子部品設置面との接触は、表面粗さに基づく点接触より、ベタ置きに近い状態になったためと推測できる。かかる観点から、表面粗さでは、RaばかりでなくRmaxを併用して表示することが必要であることが分かる。
一方、Raを60μmに一定に維持した状態で、Rmaxを110μmにした比較例8の場合には、焼成用セッターへの焼成体の付着は見られないものの反り量は極めて大きな値を示すことが確認された。
【0053】
また、比較例9では、実施例1と比べて、平面度のみが10μmから120μmと悪化しているが、焼成体の反り量も、30μmから125μmと増大している。このことから、開口率、気孔率、表面粗さなどを同一にした状態では、平面度は良好なことが好ましいことが分かる。表には示さないが、平面度が100μm以下であれば、反り量を十分に使用できる範囲内に抑えることが確認されている。
【0054】
比較例10では、基体の素材として気孔率が70%で通気セルを有しない多孔質を使用した場合の結果を示している。反り量は、110μmと大きい。また、比較例11は緻密質を使用した場合で、気孔率はわずか2%であり、反り量は120μmを示した。
【0055】
本発明の気孔率40〜60%のコージェライト質セラミックスを使用して、開口率を60〜80%、Rmaxを20〜50μm、Raを5〜10μm、平面度を2〜10μmの範囲に設定し外壁間の通気孔1個以上、外壁間の通気孔の開口径1mmい上にした場合には、表に示すように、反り量は比較例1、10,11いずれの場合よりも低い44μm以下であり、本発明の有効性が確認される。
【0056】
本発明は、上記実施の形態の説明に限定する必要はなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更してもよい。
例えば、上記説明では、全体形状を略四角形に構成した場合について説明したが、かかる形状は円形でも、その他の多角形でも、あるいは不定形などでもさらにはそれらを組み合わせて使用しても構わない。本発明の効果はその形状には影響されない。要は、セラミック電子部品を載置する載置面について、本発明の特徴的構成が発揮されておればよい。
【0057】
前記説明では、焼成用セッターの全面をセラミック電子部品の載置面に形成した場合について説明したが、例えば板面の中央部分など板面のある範囲を載置面として形成するようにしてもよい。かかる構成を採用することにより、載置面を囲む周囲部分を緻密質に構成して、全体強度を高めておくことにより、載置面の通気セルの開口率を高くすることも考えられる。
【0058】
通気セルの断面形状を略四角に形成した場合について説明したが、かかる形状も例えば、円形、三角形、あるいは六角形、八角形などの多角形を含めて種々の形状を採用しても構わない。しかし、最密充填状態にするには六角形などが好ましい。
【0059】
本発明では、コージェライト質セラミックを使用しているが、十分な気孔率を有するものであれば、その他の材質を使用しても構わない。
【0060】
【発明の効果】
本発明の焼成用セッターでは、これに載置して焼成するセラミック電子部品の焼成中の収縮挙動に対する影響を、緻密質、多孔質などの従来のセッターと比べて、格段に抑制することができる。本発明の焼成用セッターの使用により、従来構成の焼成用セッターを使用した場合とは異なり、焼成後のセラミック電子部品に、それ自身が有する本来の収縮傾向に従った反り状態を示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明の焼成用セッターの一実施の形態の上から見た様子を示す平面図であり、(B)は(A)の隅部を拡大して示した部分拡大図であり、(C)はセルの隔壁交差部に設けたR部を示す部分拡大図である。
【図2】本実施例の焼成用セッターの断面図である。
【図3】(A)は、隣接するセル同士を隔壁でその交差部から3方向に仕切った場合を示す平面図であり、(B)、(C)はそれぞれ4方向、6方向に仕切った場合を示す平面図である。
【符号の説明】
10:焼成用セッター
11:通気セル
11a:外壁
11b:隔壁
11c:開口面
11d:開口面
11e:通気孔
12a:表面
12b:裏面
13:開口
14:セッター載置面
A:セラミック電子部品
p:ピッチ
Claims (8)
- セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を焼成するに際して、焼成炉中にて前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる焼成用セッターであって、前記焼成用セッターは、外壁と、前記セラミック系電子部品や射出成形によって得られる部品を載せる部品載置面と、前記焼成用セッターを前記焼成炉内に載置する炉内設置面とを有し、前記部品載置面と前記炉内設置面との間には、0.05mm〜1.0mmの厚さの隔壁で、互いに0.5mm〜5.0mmのピッチで仕切られた複数の通気セルが貫通してなり、かつ前記外壁面にも外壁と外壁の間を貫通する通気孔を1個以上設けてなるハニカム構造体であることを特徴とする焼成用セッター。
- 請求項1記載の焼成用セッターにおいて、外壁と外壁の間を貫通する通気孔の開口径は1mm以上であることを特徴とする焼成用セッター。
- 請求項1または2記載の焼成用セッターにおいて、前記部品載置面の総面積に対する前記複数の通気セルの総開口面積の比率である開口率は、50〜90%であることを特徴とする焼成用セッター。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の焼成用セッターにおいて、前記焼成用セッターを構成する基体の気孔率は、2〜70%であることを特徴とする焼成用セッター。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の焼成用セッターにおいて、前記通気セルの隔壁の交差部に0.1mm以上のR部が設けられたことを特徴とする焼成用セッター。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の焼成用セッターにおいて、前記通気セルの隔壁から構成される電子部品搭載面の表面粗さが、最大高さが1μm以上、100μm以下であり、かつ中心線平均粗さが0.5μm以上、50μm以下であることを特徴とする焼成用セッター。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の焼成用セッターにおいて、前記通気セルの隔壁から構成される電子部品載置面の平面度が、100μm以下であることを特徴とする焼成用セッター。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の焼成用セッターにおいて、前記焼成用セッターは、コージェライト質セラミックスで形成されていることを特徴とする焼成用セッター。
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