JP4400806B2 - 中空アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空モータおよび中空型波動歯車減速機から構成され、中心を貫通して延びる中空部を備えている中空アクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
精密工作機械などの回転駆動源として、中空部が中心を貫通している形状の中空アクチュエータが利用されており、この中空アクチュエータは中空型のACサーボモータと中空型の減速機から構成されている。
【0003】
ここで、この種の中空アクチュエータとしては、中空モータと中空型波動歯車減速機が同軸状態に配置された構成のものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、中空モータと中空型波動歯車減速機が同軸状態に配列された構成の中空アクチュエータにおける回転精度の向上および振動の低減を図ることにある。
【0005】
また、本発明の課題は、かかる中空アクチュエータの部品点数を削減することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、中空モータと、この中空モータに同軸状態で隣接配置されている中空型波動歯車減速機とを有し、当該中空型波動歯車減速機は、環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された可撓性外歯歯車と、この内側に嵌め込まれた中空型の波動発生器とを備え、当該波動発生器が前記中空モータの中空回転軸に連結固定されている中空アクチュエータにおいて、前記中空モータの中空回転軸は、軸受けを介してモータ軸受け支持部材によって、アクチュエータハウジングの側に回転自在の状態で支持されており、前記モータ軸受け支持部材は、内周面に内歯が形成された円環状部分を備えており、当該円環状部分が前記中空型波動歯車減速機の前記剛性内歯歯車であることを特徴としている。換言すると、前記モータ軸受け支持部材と前記剛性内歯歯車を単一部品として製造したことを特徴としている。
【0007】
このように、本発明の中空アクチュエータでは、中空モータの中空回転軸を支持しているモータ軸受け支持部材に中空型波動歯車減速機の剛性内歯歯車が一体形成されている。従って、中空モータの中空回転軸と剛性内歯歯車の同心度を確保できる。また、中空回転軸には波動発生器が連結固定されており、これらの同心度が確保されている。よって、これら剛性内歯歯車および波動発生器の間に挟まれている可撓性外歯歯車と中空回転軸との間の同心度も確保できる。この結果、中空モータと中空型波動歯車減速機を精度良く同心状態に連結することができ、軸ずれ等に起因して発生する振動を低減できる。
【0008】
ここで、本発明の中空アクチュエータは、上記構成の加えて、前記中空モータおよび前記中空型波動歯車減速機の中空部を貫通して延びている中空回転出力軸を有し、当該中空回転出力軸が、前記中空モータの中空回転軸を回転自在の状態で貫通し、前記中空型波動歯車減速機の可撓性外歯歯車が前記中空回転出力軸の外周面に固定された構成とすることができる。
【0009】
この構成によれば、中空アクチュエータの出力回転を当該中空アクチュエータのいずれの側からも取出すことができるので、レイアウトの自由度が増す。また、駆動制御のために当該中空回転出力軸の回転位置を検出するためのロータリエンコーダ等の回転位置検出機構も、簡単に取り付けることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した中空アクチュエータの実施例を説明する。
【0011】
図1は本例の中空アクチュエータを示す半断面図である。この図を参照して説明すると、本例の中空アクチュエータ1は、中空型のACサーボモータ(以下、中空モータと呼ぶ)2と、これに隣接配置した中空型波動歯車減速機3と、中空モータ2における中空型波動歯車減速機3の反対側に隣接配置した回転位置検出器4とを有している。
【0012】
中空モータ2および中空型波動歯車減速機3はアクチュエータハウジング5に内蔵されている。このアクチュエータハウジング5は、円筒ハウジング51と、この円筒ハウジング51における中空型波動歯車減速機3側の端面開口を覆っている端面ハウジング52と、円筒ハウジング51における中空モータ2側の端面開口を覆っている端面ハウジング53を備えている。回転位置検出器4は、この端面ハウジング53の外側に取り付けたカップ状のキャップ54により覆われている。
【0013】
中空モータ2は、その中心を貫通状態に配置した中空回転軸21を有し、この中空回転軸21の外周面にモータロータ22が固定され、当該モータロータ22の外周を一定のギャップをおいてモータステータ23が取り囲んでいる。モータステータ23は、円筒ハウジング51の内周面に固定されている。
【0014】
中空回転軸21の一方の部分は、端面ハウジング53の中心に開けた円形開口53aに取り付けたモータ軸受け6によって回転自在に支持されている。また、当該中空回転軸21の他方側の部分は、モータ軸受け支持部材7の中心開口7aに取り付けたモータ軸受け8によって回転自在に支持されている。
【0015】
ここで、このモータ軸受け支持部材7の外周側部分は筒状ハウジング51の内周面に固定されており、中空モータ2と中空型波動歯車減速機3との間を仕切る仕切り板として機能する。また、後述するように、中空型波動歯車減速機3の剛性内歯歯車としても機能する。
【0016】
次に、本例の中空型波動歯車減速機3は、円環状の剛性内歯歯車31と、この内側に配置されているカップ状の可撓性外歯歯車32と、この内側に嵌め込まれている楕円形輪郭をした波動発生器33とを備えている。剛性内歯歯車31は、上記のモータ軸受け支持部材7の外周側部分からアクチュエータ軸線1aの方向に円環状に突出している円環状突出部71の円形内周面に内歯72を形成した構成となっている。換言すると、本例の剛性内歯歯車31と上記のモータ軸受け支持部材7とは単一部品として製造されている。
【0017】
この剛性内歯歯車31に噛み合っているカップ状の可撓性外歯歯車32は、円筒部34と、この一端から半径方向の内側に連続している円環状のダイヤフラム35と、このダイヤフラム35の内周縁に連続している円環状のボス36と、円筒部34の他端部分の外周面に形成された外歯37とを備えている。波動発生器33は、楕円形輪郭をした剛性カム板38と、この剛性カム板38の外周に嵌めたボールベアリング39を備え、剛性カム板38は中空モータ2の中空回転軸21の外周面に固定されている。
【0018】
可撓性外歯歯車32の円環状のボス36は、その外周面が端面ハウジング52の中心開口52aの内周面に固定されている。このボス36の内周面は、そこを貫通している中空回転出力軸9の外周面に固定されている。
【0019】
ここで、中空回転出力軸9は、中空モータ2の中空回転軸21の内部(中空部)を貫通して延びており、当該中空回転軸21の内周面によって回転自在の状態で支持されている。本例では、この中空回転出力軸9は、中空アクチュエータ全長に渡って延び、この軸によってアクチュエータ中空部10が形成されている。
【0020】
一方、端面ハウジング52は、クロスローラベアリング11を介して筒状ハウジング51に対して回転自在に取り付けられている。本例では、端面ハウジング52の外周面に内輪側軌道面12を形成し、筒状ハウジング51には締結ボルトによって外輪13を固定し、これらの間にローラ14を配置した構成とされている。換言すると、クロスローラベアリング内輪を端面ハウジング52に一体形成してある。
【0021】
このように、中空回転出力軸10の一端側の部分は、その外周面に固定した可撓性外歯歯車32のボス36および端面ハウジング52を介して筒状ハウジング51に対して回転自在の状態で支持されている。中空回転出力軸10の他端側の部分は上記のように、中空回転軸21の内周面によって回転自在の状態で支持されている。
【0022】
次に、回転位置検出部4内に位置している中空回転出力軸9の外周面には、円盤状のエンコーダ41が固着されている。このエンコーダ41を挟み、一方の側には発光素子42が配置され、他方の側には受光素子43が配置されており、これらエンコーダ41、発光素子42および受光素子43によって中空回転出力軸9の回転位置を検出するための回転位置検出機構が構成されている。
【0023】
このように構成した本例の中空アクチュエータ1では、中空モータ2の回転が中空回転軸21を介して中空型波動歯車減速機3の波動発生器33に伝わる。楕円形の波動発生器33が回転すると、これにより楕円形に撓められてその楕円形の長軸方向の両端位置で噛み合っている可撓性外歯歯車32と剛性内歯歯車31のかみ合い位置が円周方向に移動する。これら両歯車の歯数差が2n枚(nは正の整数)とされ、一般には可撓性外歯歯車32の歯数を2枚少なくしてある。よって、当該歯数差に応じて減速された回転数でカップ状の可撓性外歯歯車32が回転する。
【0024】
この結果、当該歯車32が固着されている中空回転出力軸9および端面ハウジング52が一体回転する。中空回転出力軸9の回転位置は回転位置検出部4において検出される。また、端面ハウジング52は負荷側への連結部分とされており、ここに連結固定された負荷側部材(図示せず)に減速出力回転が伝達される。
【0025】
本例の中空アクチュエータ1では、上記のように、モータ軸受け支持部材7に剛性内歯歯車31が一体形成されている。従って、この部品の精度を高めることにより、中空モータ2の中空回転軸21と剛性内歯歯車31の同心度を極めて精度良く確保できる。また、中空回転軸21の外周には波動発生器33が連結固定されており、これらの同心度も確保されている。
【0026】
よって、これら剛性内歯歯車31および波動発生器33の間に挟まれている可撓性外歯歯車32と中空回転軸21との間の同心度も精度良く確保できる。この結果、中空モータ2と中空型波動歯車減速機3を精度良く同心状態に連結することができ、回転伝達誤差を低減し、軸ずれ等に起因して発生する振動を低減できる。
【0027】
これに加えて、モータ軸受け支持部材と剛性内歯歯車を別部品として製造し、これらを締結ボルト等により連結固定する場合に比べて、締結ボルト等の部品点数を削減でき、製造作業も簡単になるという利点もある。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の中空アクチュエータでは、その中空モータの中空回転軸を回転自在に支持しているモータ軸受け部材に中空型波動歯車減速機の剛性内歯歯車を一体形成した構成を採用している。
【0029】
このように、回転機構である中空モータおよび中空型波動歯車減速機における固定側部材であるモータ軸受け部材と剛性内歯歯車を単一部品として製造することにより、これら中空モータと中空型波動歯車減速機の同心度を精度良く確保することができ、回転伝達精度の向上、振動・騒音の低減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した中空アクチュエータを示す半断面図である。
【符号の説明】
1 中空アクチュエータ
2 中空モータ
21 中空回転軸
3 中空型波動歯車減速機
31 剛性内歯歯車
32 可撓性外歯歯車
33 波動発生器
4 回転位置検出器
5 ハウジング
51 筒状ハウジング
52 端面ハウジング(出力側)
53 端面ハウジング
54 キャップ
6、8 軸受け
7 モータ軸受け支持部材
71 円環状突出部
72 内歯
9 中空回転出力軸
10 アクチュエータ中空部

Claims (2)

  1. 中空モータ(2)と、この中空モータ(2)に同軸状態で隣接配置されている中空型波動歯車減速機(3)とを有し、当該中空型波動歯車減速機(3)は、環状の剛性内歯歯車(31)と、この内側に配置された可撓性外歯歯車(32)と、この内側に嵌め込まれた中空型の波動発生器(33)とを備え、当該波動発生器(33)が前記中空モータ(2)の中空回転軸(21)に連結固定されている中空アクチュエータ(1)において、
    前記中空型波動歯車減速機(3)が内蔵されている筒状ハウジング(51)を備えたアクチュエータハウジング(5)と、
    前記中空モータ(2)および前記中空型波動歯車減速機(3)の間を仕切る仕切り板として機能するモータ軸受け支持部材(7)とを有しており、
    前記モータ軸受け支持部材(7)の外周側部分は前記筒状ハウジング(51)の内周面に固定されており、
    前記モータ軸受け支持部材(7)は、その中心開口(7a)に取り付けたモータ軸受け(8)を介して、前記中空モータ(2)の前記中空回転軸(21)を回転自在に支持しており、
    前記モータ軸受け支持部材(7)は、その外周側部分からアクチュエータ軸線(1a)方向に沿って前記中空型波動歯車減速機(3)の側に円環状に突出している円環状突出部(71)を備え、当該円環状突出部(71)の円形内周面に内歯(72)が形成されており、
    当該円環状突出部(71)が前記中空型波動歯車減速機(3)の前記剛性内歯歯車(31)であることを特徴とする中空アクチュエータ(1)。
  2. 請求項1において、
    前記中空モータ(2)および前記中空型波動歯車減速機(3)の中空部を貫通して延びている中空回転出力軸(9)を有し、
    当該中空回転出力軸(9)は、前記中空モータ(2)の中空回転軸(21)の内部を回転自在の状態で貫通しており、
    前記中空型波動歯車減速機(3)の前記可撓性外歯歯車(32)は前記中空回転出力軸(9)の外周面に固着されていることを特徴とする中空アクチュエータ(1)。
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