従来の運転席用のエアバッグ装置では、前記のように、エアバッグユニットがステアリングホイールに一体的に設けられて、エアバッグユニットの位置は固定され、通常、ステアリングホイール(エアバッグユニット)と乗員間の距離は比較的大きいため、車両衝突時には、そのステアリングホイールと乗員の間において、エアバッグを後方へ迅速且つ大きく展開させる必要があり、エアバッグの展開力が大きくなる。そのため、インフレータを小型化するのにも限界がある。
尚、ステアリングホイールのポジションを前後に調節できる技術は公知であるが、ステアリングホイールのポジションによって、ステアリングホイールと乗員間の距離が比較的大きくなる場合を想定すると、車両衝突時にエアバッグを後方へ迅速且つ大きく展開させる必要があり、上記と同様の問題が生じ、また、ステアリングホイールと乗員間の距離が小さくなると、エアバッグの展開力が大きすぎるという虞がある。
一方、特許文献1のエアバッグ装置では、車両速度、乗員の座席位置等に応じて、エアバッグに流入出するガス流を調節して、エアバッグを展開制御するが、やはり、ステアリングホイールと運転者間の距離が比較的大きく、特に衝撃力が大となる車両の衝突では、ステアリングホイールと乗員の間において、エアバッグを後方へ迅速且つ大きく展開させる必要があり、上記と同様の課題が生じる。
本発明の目的は、車両用エアバッグ装置において、車両の衝突を予知してエアバッグユニットを所定の第1位置から乗員に接近した第2位置へ自動的に移動させ、車両衝突時に後方へ展開するエアバッグの展開力を小さくすること、エアバッグユニットやステアリングホイールに作用する衝撃力を確実に吸収すること、エアバッグを適切な大きさに展開させること、エアバッグユニットの第2位置への移動を適宜禁止すること、車両の衝突予知が誤予知である場合にエアバッグユニットを適切な条件のもと自動的に復帰させること、等である。
請求項1の車両用エアバッグ装置は、ステアリングホイールの操舵角の信号に基づいて操舵可能な車輪の転舵角を制御するステアリング装置を備えた車両のエアバッグ装置において、前記ステアリングホイールに設けられ車両衝突時に後方へ展開可能なエアバッグを有するエアバッグユニットと、前記車両の衝突を検知する衝突検知手段と、前記衝突検知手段が車両の衝突を検知したときにエアバッグを展開させるエアバッグ展開手段と、前記エアバッグユニットを所定の第1位置と第1位置よりも乗員に接近した第2位置とに亙って移動させるエアバッグ移動手段と、前記車両の衝突を予知する衝突予知手段と、前記衝突予知手段が車両の衝突を予知した場合に、エアバッグユニットを第1位置から第2位置へ移動させるようにエアバッグ移動手段を制御するエアバッグ移動制御手段と、車両衝突時にエアバッグ移動手段に作用する乗員から受ける衝撃力を、エアバッグユニットを前記第2位置から第1位置へ移動させることで吸収する衝撃吸収手段とを備えたことを特徴とするものである。
例えば、エアバッグ移動手段は、油圧シリンダや電動モータ等のアクチュエータを有するものに構成されて、ステアリングホイールよりも前側に配設され、このアクチュエータがエアバッグ移動制御手段により駆動制御されて、エアバッグユニットが第1位置と第2位置とに亙って移動する。例えば、エアバッグユニットはステアリングホイールに一体的に設けられ、エアバッグ移動手段によりステアリングシャフトがその長さ方向へ駆動されて、ステアリングホイールと共にエアバッグユニットが第1位置と第2位置とに亙って移動する。或いは、エアバッグユニットはステアリングホイールから分離可能に設けられ、エアバッグユニットのみが第1位置と第2位置とに亙って移動する。
このエアバッグ装置では、ステアリング装置において、ステアリングホイールの操舵角の信号に基づいて操舵可能な車輪の転舵角が制御される。車両が衝突する際、先ず、衝突予知手段により車両の衝突が予知されると、エアバッグ移動制御手段によりエアバッグ移動手段が制御され、そのエアバッグ移動手段によりエアバッグユニットが第1位置から第2位置へ移動し、その後、衝突検出手段により車両の衝突が検知されると、エアバッグ展開手段によりエアバッグが後方へ展開する。このとき、エアバッグユニットが第1位置よりも乗員に接近した第2位置へ位置していると、エアバッグユニットと乗員間の距離が小さくなるため、エアバッグ展開手段によりエアバッグが後方へ比較的小さく展開するように構成される。
そして、車両衝突時に、エアバッグユニットやエアバッグユニットと一体的に設けられた部材(ステアリングホイール)が乗員から受ける衝撃力が、エアバッグ移動手段に作用し、エアバッグユニットを第2位置から第1位置へ移動させることで確実に吸収される。
請求項2の車両用エアバッグ装置は、請求項1の発明において、前記エアバッグ展開手段によりエアバッグが第1展開状態と第1展開状態よりも小さな展開力で展開する第2展開状態の何れかに択一的に展開するように構成され、前記エアバッグ展開手段は、車両衝突時にエアバッグユニットが第1位置に位置している場合にエアバッグを第1展開状態に展開させ、車両衝突時にエアバッグユニットが第2位置に位置している場合にエアバッグを第2展開状態に展開させることを特徴とするものである。
車両衝突時にエアバッグユニットが第1位置に位置している場合、エアバッグ展開手段によりエアバッグが第1展開状態に展開し、車両衝突時にエアバッグユニットが第1位置よりも乗員に接近した第2位置に位置している場合、エアバッグユニットと乗員間の距離が小さくなるので、エアバッグ展開手段によりエアバッグが第1展開状態よりも小さな展開力で第2展開状態に展開する。
請求項3の車両用エアバッグ装置は、請求項2の発明において、車両衝突時の乗員が受ける衝撃力が所定値よりも小さな場合、車両衝突時にエアバッグユニットが第1位置に位置している場合でも、前記エアバッグ展開手段は、エアバッグを第2展開状態に展開させることを特徴とするものである。車両衝突時の乗員が受ける衝撃力が小さな場合、エアバッグユニットの位置に関わらず、エアバッグ展開手段によりエアバッグが第2展開状態に展開する。
請求項4の車両用エアバッグ装置は、請求項1の発明において、車両衝突時の乗員が受ける衝撃力を推測する衝撃力推測手段を設け、前記衝撃力推測手段で推測された衝撃力が所定値よりも小さな場合に、前記エアバッグ移動制御手段は、エアバッグユニットの第2位置への移動を禁止することを特徴とするものである。衝撃力推測手段により車両衝突時の衝撃力が推測され、その衝撃力が所定値よりも小さな場合に、エアバッグユニットが第1位置に保持され、車両衝突時、第1位置のエアバッグユニットからエアバッグが後方へ展開する。
請求項5の車両用エアバッグ装置は、請求項1の発明において、前記衝突予知手段が車両の衝突を予知したとき、ステアリングホイールの操舵角が所定値以上の場合に、前記エアバッグ移動制御手段は、エアバッグユニットの第2位置への移動を禁止することを特徴とするものである。車両の衝突を回避するためのステアリングホイールの回避操舵中に、衝突予知手段により車両の衝突が予知された場合、その回避操舵の妨げにならないように、エアバッグユニットの第2位置への移動が禁止され、エアバッグユニットは第1位置に保持される。
請求項6の車両用エアバッグ装置は、請求項1の発明において、前記衝突予知手段が予知した車両の衝突が実際に発生したかを検出可能な誤予知検出手段を設け、前記誤予知検出手段が車両の衝突が実際には発生しなかったことを検出した場合に、前記エアバッグ移動制御手段は、所定の復帰条件が成立している場合に、第2位置に位置するエアバッグユニットを第1位置へ復帰移動させることを特徴とするものである。誤予知検出手段により車両の衝突が実際には発生しなかったこと(衝突誤予知)が検出され、その後、所定の復帰条件が成立している場合、エアバッグユニットが第1位置へ自動的に復帰する。
請求項7の車両用エアバッグ装置は、請求項6の発明において、前記所定の復帰条件は、ステアリングホイールの操舵角が所定値よりも小さいという条件を含むことを特徴とするものである。車両の衝突誤予知が検出された場合、ステアリングホイールの操舵角が所定値よりも小さな場合に、エアバッグユニットを第1位置へ復帰させ、ステアリングホイールの操舵中は、エアバッグユニットを第1位置へ復帰させないように構成できる。
請求項8の車両用エアバッグ装置は、請求項7の発明において、前記所定の復帰条件は、車速が所定値よりも小さいという条件を含むことを特徴とするものである。車両の衝突誤予知が検出された場合、車速が所定値よりも小さな場合に、エアバッグユニットを第1位置へ復帰させ、車両高速走行時は、エアバッグユニットを第1位置へ復帰させないように構成できる。
請求項9の車両用エアバッグ装置は、請求項1〜8の何れか1つの発明において、前記ステアリングホイールにエアバッグユニットを一体的に設け、エアバッグ移動手段はステアリングホイールと共にエアバッグユニットを第1位置と第2位置とに亙って移動させることを特徴とするものである。エアバッグ移動手段によりステアリングホイールを移動させることにより、エアバッグユニットを第1位置と第2位置とに亙って移動させることができ、ステアリングホイール全体の広い面積で乗員を安定して受け止めることができる。
請求項1の車両用エアバッグ装置によれば、ステアリングホイールに設けたエアバッグユニット、衝突検知手段、エアバッグ展開手段、エアバッグ移動手段、衝突予知手段、エアバッグ移動制御手段を設けたので、車両が衝突する際、先ず、車両の衝突を予知して、エアバッグユニットを第1位置から乗員に接近した第2位置へ自動的に移動させ、その後、車両の衝突を検知して、エアバッグを後方へ展開させることができる。このとき、エアバッグユニットが第2位置に位置していると、エアバッグユニットと乗員間の距離が小さいため、エアバッグを後方へ比較的小さく展開させることができる。つまり、エアバッグの展開力を小さくして、エアバッグを小さく且つ迅速に展開させることができ、そのエアバッグにより乗員を受け止めることができる。これにより、エアバッグを展開させるガスを発生するインフレータを小型化することも可能性となる。
そして、車両衝突時にエアバッグ移動手段に作用する乗員から受ける衝撃力を、エアバッグユニットを第2位置から第1位置へ移動させることで吸収する衝撃吸収手段を設けたので、車両衝突時に、エアバッグユニットやエアバッグユニットと一体的に設けられた部材(ステアリングホイール)が受ける乗員からの衝撃力がエアバッグ移動手段に作用し、このエアバッグ移動手段が乗員からの衝撃を吸収しながらエアバッグユニットを第2位置から第1位置の方(前方)へ移動させるため、乗員が受ける衝撃を軽減することができる。
請求項2の車両用エアバッグ装置によれば、車両衝突時にエアバッグユニットが第1位置に位置している場合、エアバッグ展開手段によりエアバッグを第1展開状態に展開させ、車両衝突時にエアバッグユニットが第1位置よりも乗員に接近した第2位置に位置している場合、エアバッグユニットと乗員間の距離が小さくなるので、エアバッグ展開手段によりエアバッグを第1展開状態よりも小さな展開力で第2展開状態に展開させ、第2位置において小さな展開力で展開したエアバッグで乗員を受け止めることができる。このように、エアバッグユニットの位置に応じて、エアバッグを適切な大きさの展開力で展開させることができる。
請求項3の車両用エアバッグ装置によれば、車両衝突時の乗員が受ける衝撃力が小さな場合、車両衝突時にエアバッグユニットが第1位置に位置している場合でも、エアバッグ展開手段は、エアバッグを第2展開状態に展開させるので、エアバッグユニットの位置に関わらず、エアバッグ展開手段によりエアバッグを第2展開状態に展開させ、小さな展開力で展開したエアバッグで乗員を受け止めることができる。
請求項4の車両用エアバッグ装置によれば、車両衝突時の乗員が受ける衝撃力を推測する衝撃力推測手段を設けたので、車両衝突時の衝撃力を確実に推測でき、その衝撃力が所定値よりも小さな場合に、エアバッグ移動制御手段は、エアバッグユニットの第2位置への移動を禁止するので、推測された衝撃力が小さい場合に、不必要にエアバッグユニットを第2位置へ移動させることなく、ステアリングホイールの操舵による衝突回避操作の操作性を確保することができる。
請求項5の車両用エアバッグ装置によれば、衝突予知手段が車両の衝突を予知したとき、ステアリングホイールの操舵角が所定値以上の場合に、エアバッグ移動制御手段は、エアバッグユニットの第2位置への移動を禁止するので、車両の衝突を回避するためのステアリングホイールの回避操舵中に、衝突予知手段により車両の衝突が予知された場合、エアバッグユニットの第2位置への移動を禁止し、エアバッグユニットを第1位置に保持することにより、ステアリングホイールの回避操舵の妨げにならないようにできる。
請求項6の車両用エアバッグ装置によれば、衝突予知手段が予知した車両の衝突が実際に発生したかを検出可能な誤予知検出手段を設け、誤予知検出手段が車両の衝突が実際には発生しなかったこと(衝突誤予知)を検出した場合に、エアバッグ移動制御手段は、所定の復帰条件が成立している場合に、第2位置に位置するエアバッグユニットを第1位置へ復帰移動させるので、車両の衝突誤予知の検出後、エアバッグユニットを第1位置へ自動的に復帰させることにより、運転に支承をきたさず安全性を保つことができる。
請求項7の車両用エアバッグ装置によれば、前記所定の復帰条件は、ステアリングホイールの操舵角が所定値よりも小さいという条件を含むので、車両の衝突誤予知が検出された場合、ステアリングホイールの操舵角が所定値よりも小さな場合に、エアバッグユニットを第1位置へ復帰させ、ステアリングホイールの操舵中は、エアバッグユニットを第1位置へ復帰させないように構成できるため、操舵の妨げとならないようにすることができる。
請求項8の車両用エアバッグ装置によれば、前記所定の復帰条件は、車速が所定値よりも小さいという条件を含むので、車両の衝突誤予知が検出された場合、車速が所定値よりも小さな場合に、エアバッグユニットを第1位置へ復帰させ、車両高速走行時は、エアバッグユニットを第1位置へ復帰させないように構成できるため、安全性を確保することができる。
請求項9の車両用エアバッグ装置によれば、ステアリングホイールにエアバッグユニットを一体的に設け、エアバッグ移動手段はステアリングホイールと共にエアバッグユニットを第1位置と第2位置とに亙って移動させるので、エアバッグ移動手段によりステアリングホイールを移動させることにより、エアバッグユニットを第1位置と第2位置とに亙って移動させることができ、ステアリングホイール全体の広い面積で乗員を安定して受け止めることができる。
図1、図2に示すように、自動車1には、操舵可能な前輪3に対して機械的に非連結とされたステアリングホイール2の操舵角の信号に基づいて前輪3の転舵角を制御するステアリング装置4と、車両衝突時にステアリングホイール2に設けられたエアバッグユニット20のエアバッグ31を後方へ展開させるエアバッグ装置5が搭載されている。
ステアリング装置4は、ステアリングホイール2の操舵角を検出するSTG操舵角センサ10(ステアリング操舵角センサ10)と、1対の前輪3の転舵角を変化させる1対の車輪転舵アクチュエータ11(例えば、電動モータ)と、このSTG操舵角センサ10と1対の車輪転舵アクチュエータ11が電気的に接続されたECU6(電子制御コントロールユニット6)とを備えている。ECU6は、STG操舵角センサ10からのセンサ信号に基づいて車輪転舵アクチュエータ11を駆動制御し、前輪3の転舵角を制御する。
エアバッグ装置5は、ステアリングホイール2に一体的に設けられたエアバッグユニット20と、エアバッグユニット20と共にステアリングホイール2を所定の第1位置(例えば、図3−1、図3−2参照)と第1位置よりも乗員(運転手)に接近した第2位置(例えば、図3−3参照)とに亙って移動させる油圧シリンダ22と油圧供給装置23とを有するエアバッグ移動機構21と、ECU6、ECU6に電気的に接続された、STG操舵角センサ10、車速センサ24、衝突センサ25、距離センサ26、STGポジションセンサ27(ステアリングポジションセンサ27)、乗員重量センサ28、等を備えている。
ECU6の制御部にはエアバッグ制御プログラムが格納されており、ECU6は、このエアバッグ制御プログラムに基づいて、STG操舵角センサ10、車速センサ24、衝突センサ25、距離センサ26、STGポジションセンサ27、乗員重量センサ28からの各種センサ信号を受け、そのセンサ信号に基づいて、エアバッグユニット20のインフレータ32及びテザー固定・解除機構33と、油圧供給装置23の切換バルブ48を駆動制御して、後で詳述するエアバッグ制御を実現する。
尚、衝突センサ25が車両の衝突を検知する衝突検知手段に相当する。また、距離センサ26は、この自動車1と相対物(例えば、自動車1の前方の他の自動車や固定物)との相対距離を測定可能な超音波センサ或いは赤外線センサ等からなり、ECU6は、距離センサ26からのセンサ信号を受けて、相対物との相対距離と相対速度を演算し、その相対距離と相対速度と予め設定された衝突予知マップに基づいて、その相対物と所定時間(例えば、1秒)後に衝突が起こることを予知する。つまり、距離センサ26とECU6が車両の衝突を予知する衝突予知手段に相当する。
また、距離センサ26とECU6が、車両衝突時の衝撃力を推測する衝撃推測手段に相当する。本実施例の場合、ECU6は、距離センサ26からのセンサ信号を受けて、相対物との相対速度を演算し、その相対速度で以て衝撃力を推測する。また、ECU6が、衝突予知手段が予知した衝突が実際に発生したか(誤予知であること)を検出可能な誤予知検出手段に相当する。この場合、ECU6は、衝突予知後に所定時間T(例えば、T=1秒)経過しても衝突を検知しない場合に、車両の衝突予知が誤予知であると判断する。
STGポジションセンサ27は、エアバッグ移動機構21の油圧シリンダ22に設けられた、例えば、近接スイッチからなり、そのピストン22bの位置を検出することにより、ステアリングホイール2(エアバッグユニット20)の位置を検出し、また、乗員重量センサ28は、運転席のシートクッション1bの内部に設けられ、このシートクッション1bに着座した乗員の重量を検出する。
図4に示すように、エアバッグユニット20は、ステアリングホイール2の内側に固定され乗員側の後壁が脆弱部をなすケーシング30と、ケーシング30に折り畳まれた状態で収容され車両衝突時に後方へ展開可能なエアバッグ31と、車両衝突時にECU6により通電されてガスを発生しそのガス圧によりエアバッグ31を後方へ脆弱部を破って展開させるインフレータ32と、テザー固定・解除機構33とを有する。
テザー固定・解除機構33は、エアバッグ31に対して固定・解除可能な拘束部材33aを有し、このテザー固定・解除機構33が車両衝突時にECU6により制御されて、拘束部材33aをエアバッグ31から分離させると、図3−1に示すように、エアバッグ31が第1展開状態に後方へ大きく展開し、拘束部材33aをエアバッグ31からが分離させないと、図3−2、図3−3に示すように、エアバッグ31が第1展開状態よりも小さな展開力で第2展開状態に展開する。尚、テザー固定・解除機構33は、例えば、ECU6からの信号により拘束部材33aの取り付け部を破断させるものである。
ここで、ECU6とインフレータ32が、衝突センサ25が車両の衝突を検知したときにエアバッグ31を展開させる展開手段に相当し、更に、この展開手段はテザー固定・解除機構33を含み、その展開手段によりエアバッグ31が第1展開状態と第1展開状態よりも小さな展開力で展開する第2展開状態の何れかに択一的に展開するように構成されている。
図5−1〜図5−3に示すように、エアバッグ移動機構21は、ステアリングホイール2の前側に配設された復動型の油圧シリンダ22と、油圧シリンダ22に油圧を供給する油圧供給装置23とを有する。油圧シリンダ22のピストンロッド22aにステアリングシャフト2aが連結され、ピストン22bにはその両側の基端側油室と先端側油室とを連通するオリフィス40が形成され、そのオリフィス40に逆止弁41が設けられている。
油圧供給装置23は、油路45a〜45d、リザーブタンク46、油圧ポンプ47、切換バルブ48を有し、切換バルブ48がECU6により駆動制御される。通常、図5−1に示すように、切換バルブ48が切り換えられ、油路45c,45dが分離され、ステアリングホイール2とエアバッグユニット20は第1位置に保持される。例えば、油圧ポンプ47はエンジン作動時に常時作動するポンプであり、図5−1に示すように、切換バルブ48が切り換えられると、油路45a,45bが接続され、油圧ポンプ47から吐出した油はリザーブタンク46に戻される。
図5−2に示すように、切換バルブ48が切り換えられ、油路45a,45cが接続され、油路45b,45dが接続されると、油圧ポンプ47により油圧シリンダ22の基端側油室に油圧が供給され、ステアリングホイール2とエアバッグユニット20が第1位置から第2位置の方へ移動する。また、図5−3に示すように、切換バルブ48が切り換えられ、油路45a,45dが接続され、油路45b,45cが接続されると、油圧ポンプ47により油圧シリンダ22の先端側油室に油圧が供給され、ステアリングホイール2とエアバッグユニット20が第2位置から第1位置の方へ移動する。
ところで、図5−1〜図5−3に示すように、車両衝突時にステアリングホイール2からエアバッグ移動機構21に作用する乗員から受ける衝撃力を、このエアバッグユニット20を第2位置から第1位置へ移動させることで吸収する衝撃吸収機構49が設けられている。本実施例の場合、衝撃吸収機構49はピストン22bに形成されたオリフィス40を有し、ステアリングホイール2が第2位置に位置している場合、ピストン22bが受ける衝撃力により油圧シリンダ22の基端側油室の油がオリフィス40を通って先端側油室に徐々に流れ、これにより、ピストン22bと共にステアリングホイール2が徐々に第1位置の方へ移動して前記衝撃力が吸収される。
次に、ECU6がエアバッグ制御プログラムに基づいて実行するエアバッグ制御について、図6〜図8のフローチャート(図中のSi(i=1、2、3・・・)は各ステップを示す)に基づいて説明する。尚、ステアリングホイール2が乗員に接近する方向を第1方向、ステアリングホイール2が乗員から離隔する方向を第2方向として説明する。
図6に示すように、このエアバッグ制御は、イグニションスイッチがオンされると開始され、先ず、STG操舵角センサ10、車速センサ24、衝突センサ25、距離センサ26、STGポジションセンサ27、乗員重量センサ28から各種センサ信号が読み込まれ(S1)、距離センサ26からのセンサ信号を用いて衝突予知判断処理(S2)が実行される。この衝突予知判断処理の結果、車両の衝突が所定時間後に起こることが予知された場合(S3;Yes )、S4へ移行し、そうでない場合(S3;No)、S12へ移行する。
S4の衝撃力推測処理では、距離センサ26からのセンサ信号を用いて、相対物と衝突した時の衝撃力がその相対物との相対速度で以て推測され、次に、その相対速度が予め設定された所定値(例えば、40Km/h)以上で、衝撃力が所定値以上(衝撃力:大)と判定された場合(S5;No)、S6へ移行し、相対速度が所定値よりも小さく、衝撃力が所定値よりも小さい(衝撃力:小)と判定された場合(S5;Yes )、S12へ移行する。
次に、S6において、STG操舵角センサ10からのセンサ信号により得られたSTG操舵角が所定値(例えば、±45度であり、例えば、このときの前輪3の転舵角±5度)以上の場合(S6;Yes )、S7へ移行し、STG操舵角が所定値よりも小さな場合(S6;No)、S8へ移行する。S7においては、ステアリングホイール2の第2方向への移動開始後に、STG操舵角が所定値以上になったか否か判定され、その場合(S7;Yes )、つまり、車両衝突予知後にSTG操舵角が所定値以上になった場合には、S8へ移行し、そうでない場合(S7;No)、つまり、車両衝突予知前からSTG操舵角が所定値以上になっている場合には、S12へ移行する。
こうして、車両の衝突が予知され(S3;Yes )、推測された衝撃力が大の場合(S5;No)、STG操舵角が所定値よりも小さな場合には(S6;No)、或いは、STG操舵角が所定値よりも大きな場合でも(S6;Yes )、そのSTG操舵角がステアリングホイール2の第2方向への移動開始後に所定値以上になった場合には(S7;Yes )、次に、ステアリングホイール2の操舵が無効となり、前輪3の転舵角が保持される(S8)。
次に、STGポジションセンサ27により得られたステアリングホイール2の第2方向への移動量(位置)が最大値(最大移動位置)であるか否か判定される(S9)。そして、ステアリングホイール2の第2方向への移動量が最大値よりも小さな場合(S9;Yes )、図5−2に示すように、切換バルブ48が切り換えられ、ステアリングホイール2が第2方向へ移動する(S10)。通常時、ステアリングホイール2は第1位置に位置するため、最初はS9→S10と移行し、ステアリングホイール2は第2方向へ移動する。
ステアリングホイール2の第2方向への移動量が最大値になった場合(S9;No)、図5−1に示すように、切換バルブ48が切り換えられ、ステアリングホイール2の移動が停止してその位置にロックされる(S11)。ここで、乗員重量センサ28により得られた乗員の重量に基づいて、S9における最大値を設定し、また、S10におけるステアリングホイール2の第2方向への移動速度を設定するようにしてもよい。
次に、図7に示すように、衝突センサ25からのセンサ信号に基づいて車両の衝突が検知された場合(S12;Yes )、ステアリングホイール2が第2方向へ移動している場合には、図5−1に示すように、切換バルブ48が切り換えられ、ステアリングホイール2の移動が停止してその位置がロックされ(S13)、次に、ステアリングホイール2の第2方向への移動量が所定値より大きいか否か判定される(S14)。
そして、ステアリングホイール2の第2方向への移動量が所定値より大きな場合(S14;Yes )、つまり、図3−3のようにステアリングホイール2が第2位置に位置している場合には、インフレータ32に通電されてガスが発生し、テザー固定・解除機構33により拘束部材33aがエアバッグ31から分離されないで、エアバッグ31が後方へ第2展開状態(サイズ小)に展開する(S16)。
また、ステアリングホイール2の第2方向への移動量が所定値以下の場合(S14;No)、つまり、図3−1、図3−2のようにステアリングホイール2が第1位置に位置している場合に、車両衝突時の衝撃力が所定値よりも小さな場合(S15;Yes )、つまり、車両衝突時の相対物(衝突物)との相対速度が予め設定された所定値(例えば、30Km/h)よりも小さな場合には、図3−2のようにエアバッグ31が後方へ第2展開状態(サイズ小)に展開する(S16)。
また、車両衝突時の衝撃力が所定値以上の場合(S15;No)、つまり、車両衝突時の相対物(衝突物)との相対速度が所定値以上の場合には、インフレータ32に通電されてガスが発生し、テザー固定・解除機構33により拘束部材33aがエアバッグ31から分離され、図3−1のようにエアバッグ31が後方へ第1展開状態(サイズ大)に展開する(S17)。
一方、S12において、車両の衝突が検知されない場合(S12;No)、ステアリングホイール2の第2方向への移動開始後から所定時間T(例えば、T=1秒)経過したか否か判定され(S19)、所定時間T経過した場合(S19;Yes )、誤予知処理(S20)が実行され、リターンし、所定時間T経過していない場合(S19;No)、そのままリターンする。
S20の誤予知処理では、図8に示すように、STG操舵角が所定値(例えば、±30度)よりも小さな場合(S21;Yes )、ステアリングホイール2を元の位置に復帰することが音声やランプ等で報知され(S22)、図5−3に示すように、切換バルブ48が切り換えられて、ステアリングホイール2が第1方向へ移動して元の第1位置に復帰する(S23)。また、STG操舵角が所定値以上の場合でも(S21;Yes )、車速センサ24からのセンサ信号により得られる車速が所定値(例えば、25Km/h)よりも小さな場合には(S24;Yes )、復帰報知され(S22)、ステアリングホイール2が第1方向へ移動して元の第1位置に復帰する(S23)。しかし、車速が所定値以上の場合には(S24;No)、リターンする。
このエアバッグ制御を行うことにより、車両衝突の際、先ず、図9に示すように、衝撃力:大、回避操舵:なし(STG操舵角が略0度)の場合、衝突予知後からSTG移動量で示すように、ステアリングホイール2が第2方向へ移動していき、衝突検知までに所定値よりも大きな第2位置となる最大値まで移動すると、その最大値の位置で保持されるが、衝突検知されたときに、第2位置に位置するステアリングホイール2からエアバッグ31がサイズ:小で展開する。
図10に示すように、衝撃力:大、回避操舵:なし(STG操舵角が略0度)の場合、衝突予知後からステアリングホイール2が第2方向へ移動していき、衝突検知までに所定値以下の第1位置を越えない移動であると、衝突検知されたときに、第1位置に位置するステアリングホイール2からエアバッグ31がサイズ:大で展開する。
図11に示すように、衝撃力:大、回避操舵:あり(STG操舵角が所定値以上になる)の場合、衝突予知前からSTG操舵角が所定値以上になっている場合には、衝突予知後もステアリングホイール2の操舵角に基づいて前輪3の転舵角が制御され、また、衝突予知後からステアリングホイール2の第2方向への移動が禁止され、衝突検知されたときに、第1位置に保持されたステアリングホイール2からエアバッグ31がサイズ:大で展開する。
図12に示すように、衝撃力:大、回避操舵:あり(STG操舵角が所定値以上になる)の場合、衝突予知後にステアリングホイール2が操舵された場合には、ステアリングホイール2の操舵角に基づく前輪3の転舵角の制御が禁止され、前輪3の転舵角は衝突予知時の転舵角に保持され、衝突検知されたときに、ステアリングホイール2が第1位置に位置すると、エアバッグ31がサイズ:大で展開し、ステアリングホイール2が第2位置に位置すると、エアバッグ31がサイズ:小で展開する。
図13に示すように、衝撃力:小の場合には、ステアリングホイール2の操舵角に基づく前輪3の転舵角の制御は実行されるが、衝突予知後においてもステアリングホイール2の第2位置への移動が禁止され、衝突検知されたときに、第1位置に保持されたステアリングホイール2からエアバッグ31がサイズ:小で展開する。
図14に示すように、車両の衝突予知が誤予知の場合に、操舵角:小(STG操舵角が略0度)の場合、所定時間T経過すると、ステアリングホイール2が第1方向へ移動して第1位置に復帰移動し、また、図15に示すように、車両の衝突予知が誤予知の場合に、操舵角:大(STG操舵角が所定値以上)、車速:高→低の場合、所定時間T経過後、車速が所定値以下になると、STG操舵角が所定値以上である場合でも、ステアリングホイール2が第1方向へ移動して第1位置に復帰移動する。
以上説明したエアバッグ装置5によれば、次の効果を奏する。
車両が衝突する際、先ず、車両の衝突を予知し、車両衝突時の衝撃力を推測し、その衝撃力が所定値以上の場合で、しかも、STG操舵角が所定値よりも小さな場合には、ステアリングホイール2とエアバッグユニット20を第1位置から乗員に接近した第2位置へ自動的に移動させ、その後、車両の衝突を検知して、エアバッグユニット20のエアバッグ31を後方へ展開させることができる。
このとき、エアバッグユニット20が第2位置に位置し、エアバッグユニット20と乗員間の距離が小さいため、エアバッグ31を後方へ第2展開状態で比較的小さく展開させることができる。つまり、エアバッグ31の展開力を小さくして、エアバッグ31を小さく且つ迅速に展開させることができ、そのエアバッグ31により乗員を受け止めることができる。これにより、エアバッグ31を展開させるガスを発生するインフレータ32を小型化することも可能性となる。
車両衝突時にエアバッグ移動機構21に作用する衝撃力を、エアバッグユニット20を第2位置から第1位置へ移動させることで吸収する衝撃吸収機構49を設けたので、車両衝突時に、ステアリングホイール2(エアバッグユニット20)が乗員から受ける衝撃力がエアバッグ移動機構21に作用し、このエアバッグ移動機構21が乗員からの衝撃を吸収しながらエアバッグユニット20を第2位置から第1位置の方(前方)へ移動させるため、乗員が受ける衝撃を軽減することができる。
車両衝突時にエアバッグユニット20が第1位置に位置している場合、エアバッグ31を第1展開状態に展開させ、車両衝突時にエアバッグユニット20が第2位置に位置している場合、エアバッグユニット20と乗員間の距離が小さくなるので、エアバッグ31を第1展開状態よりも小さな第2展開状態に展開させ、そのエアバッグ31により乗員を受け止めることができ、また、車両衝突時の衝撃力が小さな場合、車両衝突時にエアバッグユニット20が第1位置に位置している場合でも、エアバッグ31を第2展開状態に展開させるので、エアバッグユニット20の位置に関わらず、エアバッグ31を第2展開状態に展開させることができる。このように、エアバッグユニット20の位置、衝撃力の大きさに応じて、エアバッグ31を適切な大きさに展開させることができる。
車両衝突時の衝撃力を確実に推測することができ、その衝撃力が所定値よりも小さな場合に、エアバッグユニット20の第2位置への移動を禁止するので、推測された衝撃力が小さい場合に、不必要にエアバッグユニット20を第2位置へ移動させることなく、ステアリングホイール2の操舵による衝突回避操作の操作性を確保することができる。
車両の衝突を予知したとき、ステアリングホイール2の操舵角が所定値以上の場合に、エアバッグユニット20の第2位置への移動を禁止するので、車両の衝突を回避するためのステアリングホイール2の回避操舵中に、車両の衝突が予知された場合、その回避操舵の妨げにならないように、エアバッグユニット20の第2位置への移動を禁止し、エアバッグユニット20を第1位置に保持することができる。
車両の衝突予知が誤予知であるか否か検出し、誤予知の場合に、所定の復帰条件が成立している場合に、第2位置に位置するエアバッグユニット20を第1位置へ復帰移動させるので、車両の衝突誤予知の検出後、運転に支承をきたさず安全性を確保して、エアバッグユニットを第1位置へ自動的に復帰させることができる。
前記所定の復帰条件は、ステアリングホイール2の操舵角が所定値よりも小さいという条件、更に、車速が所定値よりも小さいという条件を含むので、車両の衝突誤予知が検出された場合、ステアリングホイール2の操舵角が所定値よりも小さな場合、また、車速が所定値よりも小さな場合に、エアバッグユニット20を第1位置へ復帰させることができ、ステアリングホイール2の操舵中、車両高速走行時は、エアバッグユニット2を第1位置へ復帰させないように構成できる。
車両の衝突を予知した場合、エアバッグユニット20の第2方向への移動開始後は、ステアリングホイール2と非連結とされた前輪3の転舵角を保持するように構成したので、衝突直前の急激な車輪の転舵角の変更により、車両を不安定な状態とすることを防止することができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更形態について説明する。
1]車両衝突時にエアバッグ移動機構21に作用する衝撃力を吸収する衝撃吸収機構として、図16に示すように、前記衝撃吸収機構49にダンパー用アキュムレータ50を油路45cに接続して追加した衝撃吸収機構49Aとしてもよい。この場合、切換バルブ48を図5−1の状態と図5−3の状態、更には、図5−2の状態に亙って高速で切り換えてダンピングを行い、更にこの場合、ステアリングホイール2を第1方向へ徐々に移動させるように、切換バルブ48を制御することが好ましい。この衝撃吸収機構49Aでは、衝撃吸収能力を高めることができる。
2]衝撃吸収機構49,49Aにおいて、オリフィス40を流れる油の流量を調節可能な可変オリフィスとし、乗員の重量等に応じて流量を調節するようにしてもよい。
3]エアバッグ移動機構21においては、通常時、車内に設けたボタンの操作により作動させて、ステアリングホイール2を移動させ、ステアリングホイール2のポジションを調節できるようにしてもよい。この場合、ステアリングホイール2を第2位置へ位置させた状態では、車両衝突の際に、例えば、推測される車両衝突時の衝撃力が小さい場合等、必要に応じてステアリングホイール2を第1位置へ移動させるようにしてもよい。
4]エアバッグ31を第1展開状態と第2展開状態の何れかに択一的に展開させる構成としては、テザー固定・解除機構33を省略し、インフレータ32が発生するガス量を、第1ガス量と第1ガス量よりも少ない第2ガス量の何れかに択一的に選択できるようにして、実現するようにしてもよい。
5]エアバッグ31を、例えば大中小の3段階(或いは、4段階以上の複数段階)の何れかの大きさに択一的に展開させるように構成して、そのうちから、前記第1展開状態と第2展開状態を設定するようにしてもよい。
6]エアバッグ移動機構21のアクチュエータとして、油圧シリンダ22の代わりに電動モータを適用してもよい。この場合、油圧供給装置23を省略でき、ステアリングホイール2を移動させる応答性を高めることができる。
7]エアバッグユニット20をステアリングホイール2から分離可能に構成し、エアバッグ移動機構21はエアバッグユニット20のみを第1位置と第2位置とに亙って移動させるように構成してもよい。この場合、このエアバッグ装置5を運転席用としてだけでなく、助手席用、後部座席用として適用可能となる。
8]車内に乗員の大きさや座席位置や姿勢等を検知可能な乗員状態センサを設けてECU6に電気的に接続し、特に、図6のS10において、ステアリングホイール2を第2方向へ移動させる場合、この乗員状態センサからのセンサ信号に基づいて、ステアリングホイール2を移動させる最大値、ステアリングホイール2の第2方向への移動速度を設定するようにしてもよい。また、シート前後位置検出センサを設け、シートの前後位置に応じて前記最大や移動速度を設定するようにしてもよい。
9]その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を付加して実施することが可能であり、また、自動車以外の種々の車両にも適用可能である。