本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
複数のページを有し搬送方向に断続的に搬送される媒体にインクを吐出するための複数のインク吐出部を有し、前記媒体が一度に搬送される搬送量、及び、前記複数のインク吐出部のうちインクを吐出可能とするインク吐出部の少なくともいずれか一方が互いに異なる複数種類の印刷シーケンスにて、前記ページの端部を印刷可能な印刷システムにおいて、前記媒体のページ情報を管理するページ管理部を有し、前記複数の印刷シーケンスのうち、前記各ページの端部を印刷するための印刷シーケンスを、前記ページ管理部によって管理される前記ページ情報に基づいて選択することを特徴とする印刷システムである。
このような印刷システムによれば、媒体のページ情報を管理するページ管理部のページ情報に基づいて、印刷シーケンスを選択するので、複数のページを有する媒体の各々のページに適した印刷シーケンスにて端部を印刷することが可能である。すなわち、印刷すべきページの端部に適した、印刷シーケンスにて印刷することにより、印刷速度が遅くなる端部の印刷シーケンス、たとえば、フチ無し印刷における端部の印刷処理や、インターレース方式による印刷の微少送りによる端部印刷処理をなどのシーケンスを無用に実行しない。このため、複数のページを有する媒体に複数の画像を隙間無く並べて高速にフチ無し印刷することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記媒体を前記インク吐出部と対向する位置にて支持可能な支持部材を備え、前記支持部材は、前記媒体を支持する部位より低く凹設された溝部を有し、前記ページ情報に基づいて、印刷すべきページが、最初のページであることが検出された場合には、前記最初ページにおける前記搬送方向の下流側の端部を、前記溝部と対向する前記インク吐出部のみからインクを吐出させて印刷する前記印刷シーケンスを選択することが望ましい。
このような、印刷システムによれば、媒体の最初のページにおける前記搬送方向の下流側の端部は、媒体の端部となるので、溝部と対向するインク吐出部のみからインクを吐出させて印刷することにより、媒体の外側の領域に吐出されたインクは溝部に収容されて支持部材における媒体を指示する部位には付着しない。このため、媒体における搬送方向の下流側の端部のフチまで確実に印刷しつつ、媒体の裏面にインクが付着することを防止することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記媒体を前記インク吐出部と対向する位置にて支持可能な支持部材を備え、前記支持部材は、前記媒体を支持する部位より低く凹設された溝部を有し、前記ページ情報に基づいて、印刷すべきページが、最後のページであることが検出された場合には、前記最後のページにおける前記搬送方向の上流側の端部を、前記溝部と対向する前記インク吐出部のみからインクを吐出させて印刷する前記印刷シーケンスを選択することが望ましい。
このような印刷システムによれば、媒体の最後のページにおける前記搬送方向の上流側の端部は、媒体の端部となるので、溝部と対向するインク吐出部のみからインクを吐出させて印刷することにより、媒体の外側の領域に吐出されたインクは溝部に収容されて支持部材における媒体を指示する部位には付着しない。このため、媒体における搬送方向の上流側の端部のフチまで確実に印刷しつつ、媒体の裏面にインクが付着することを防止することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記ページ情報に基づいて、印刷すべきページが、最後のページでないことが検出された場合には、当該ページを印刷する際に前記媒体を搬送する搬送動作のうち最後の搬送動作において、当該ページにおける前記搬送方向の上流側の端縁を、前記搬送方向の最上流側のインク吐出部と最下流側のインク吐出部との中央に向けて搬送する前記印刷シーケンスを選択することが望ましい。
印刷すべきページが最後のページでない場合とは、印刷すべきページの搬送方向上流側には次のページを有している場合である。そして、上記印刷システムによれば、印刷すべきページが、最後のページでないことが検出された場合には、当該ページを印刷する際に前記媒体を搬送する搬送動作のうち最後の搬送動作において、当該ページにおける前記搬送方向の上流側の端縁を、前記搬送方向の最上流側のインク吐出部と最下流側のインク吐出部との中央に向けて搬送している。すなわち、印刷すべきページの印刷が終了する際には、印刷すべきページの搬送方向上流側の端縁は、最上流側のインク吐出部と最下流側のインク吐出部との中央近傍に位置することになる。このため、印刷が終了した時点にて、次のページの下流側の端縁が、最上流側のインク吐出部と最下流側のインク吐出部との中央付近に位置することになる。このため、次のページに対する印刷開始時において、当該次のページの下流側の端縁より下流側に、複数のインク吐出部のうちの半数が配置されることになる。このため、次のページの印刷において、媒体の搬送ピッチが異なる様々な印刷シーケンスに対応することが可能であり、かつ、印刷すべきページにおける印刷終了時のインク吐出部と媒体との相対位置を変更することなく印刷を開始することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記ページ情報に基づいて、最初のページでないことが検出された場合には、前記印刷すべきページを印刷する際に、前記搬送方向の下流側の端縁を、前記搬送方向の最上流側のインク吐出部と最下流側のインク吐出部との中央に向けて搬送された前記ページに印刷するための前記印刷シーケンスを選択することが望ましい。
このような印刷システムによれば、印刷すべきページが最初のページでない場合には、印刷すべきページの搬送方向上流側には前のページを有している。このため、前のページの印刷終了時には、印刷すべきページの搬送方向下流側の端縁が、前記搬送方向の最上流側のインク吐出部と最下流側のインク吐出部との中央付近に位置している。よって、印刷すべきページの搬送方向の下流側の端縁を、搬送方向の最上流側のインク吐出部と最下流側のインク吐出部との中央に向けて搬送されたページに印刷するための印刷シーケンスにて印刷することにより、複数のインク吐出部と媒体との相対位置を変更することなく印刷すべきページを印刷を開始することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記ページ情報は、印刷すべきページが、前記媒体のどの位置に設けられたページであるかを特定するための情報であることが望ましい。
このような印刷システムによれば、ページ情報として印刷すべきページが媒体のどの位置に設けられているかを特定することが可能でなので、特定した印刷すべきページに適した印刷シーケンスにて印刷することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記ページ情報は、前記媒体が有するページの数と、既に印刷したページ数とであることが望ましい。
このような印刷システムによれば、媒体の位置を検出するための、特段の検出手段をもうけることなく、媒体が有するページ数からすでに印刷したページ数を減算することにより、印刷すべきページの位置を検出することが可能である。よって、ページを管理する処理が煩雑にならず、かつ、安価にてページを管理することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記媒体の先端及び後端を検出するための検出部を有し、前記ページ管理部は、前記検出部にて検出された信号に基づいて前記ページ情報を管理することとしてもよい。
このような印刷システムによれば、検出部により記媒体の先端及び後端を直接検出するので、より正確にページを管理することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記媒体は、各ページの境界を示す境界情報を有しており、前記ページ管理部は、前記検出部にて検出された境界情報に基づいて前記ページ情報を管理することとしてもよい。
このような印刷システムによれば、各ページの境界を検出することにより、ページを1ページごと管理することが可能であり、検出における先端からの累積誤差を排除してさらに正確にページを管理することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記境界情報は、前記媒体に設けられた切欠部であり、 前記検出部は、前記切欠部を検出可能なセンサであることが望ましい。
このような印刷システムによれば、境界情報を切欠部とし、検出部を切欠部が検出可能なセンサとしたので、簡単構造により確実に各ページの境界を検出することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、各ページを印刷するための印刷データは、前記搬送方向と交差する方向の両側において、前記各ページより大きく生成されることが望ましい。
このような印刷システムによれば、各ページの搬送方向と交差する方向の両側において、各ページより大きな領域にインクを吐出して、各ページの両側に余白が形成されることなく印刷することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記最初のページを印刷するための前記印刷データは、前記搬送方向の下流側においても、前記最初のページより大きく生成されることが望ましい。
このような印刷システムによれば、最初のページの搬送方向の下流側においても最初のページより大きな領域にインクを吐出して、最初のページの搬送方向の下流側に余白が形成されることなく印刷することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記最後のページを印刷するための前記印刷データは、前記搬送方向の上流側においても、前記最後のページより大きく生成されることが望ましい。
このような印刷システムによれば、最後のページの搬送方向の上流側においても最後のページより大きな領域にインクを吐出して、最後のページの搬送方向の上流側に余白が形成されることなく印刷することが可能である。
かかる印刷システムにおいて、前記媒体は、各ページの境界にて折り曲げられることにより、冊子状となることが望ましい。
このような印刷システムによれば、ページ管理部により各ページに各々画像等を全域に印刷し、印刷後に各ページの境界にて折り曲げることより、各ページに画像等が印刷された冊子を容易に形成することが可能である。
また、複数のページを有し搬送方向に断続的に搬送される媒体にインクを吐出するための複数のインク吐出部を有し、前記媒体が一度に搬送される搬送量、及び、前記複数のインク吐出部のうちインクを吐出可能とするインク吐出部の少なくともいずれか一方が互いに異なる複数種類の印刷シーケンスにて、前記ページの端部を印刷可能な印刷システムにおいて、前記媒体のページ情報を管理するページ管理部と、前記インク吐出部と対向する位置にて前記媒体を支持可能な支持部材とを備え、前記支持部材は、前記媒体を支持する部位より低く凹設された溝部を有し、前記媒体は、各ページの境界にて折り曲げられることにより、冊子状となり、前記ページ情報は、印刷すべきページが、前記媒体のどの位置に設けられたページであるかを特定するための、前記媒体が有するページの数と、既に印刷したページ数とであり、前記ページ情報に基づいて、印刷すべきページが、最初のページであることが検出された場合には、前記最初ページにおける前記搬送方向の下流側の端部を、前記溝部と対向する前記インク吐出部のみからインクを吐出させて印刷する前記印刷シーケンスを選択し、前記印刷すべきページが、最後のページであることが検出された場合には、前記最後のページにおける前記搬送方向の上流側の端部を、前記溝部と対向する前記インク吐出部のみからインクを吐出させて印刷する前記印刷シーケンスを選択し、前記印刷すべきページが、最後のページでないことが検出された場合には、前記搬送方向の最上流側のインク吐出部と最下流側のインク吐出部との中央に、当該ページにおける前記搬送方向の上流側の端縁を位置させて印刷を終了するための前記印刷シーケンスを選択し、前記印刷すべきページが、最初のページでないことが検出された場合には、前記印刷すべきページを印刷する際に、前記搬送方向の最上流側のインク吐出部と最下流側のインク吐出部との中央に、前記印刷すべきページにおける前記搬送方向の下流側の端縁を位置させて印刷を開始するための前記印刷シーケンスを選択し、各ページを印刷するための印刷データは、前記搬送方向と交差する方向の両側において、当該ページより大きく生成され、最初のページを印刷するための印刷データは、前記搬送方向の下流側においても前記最初のページより大きく生成され、前記最後のページを印刷するための前記印刷データは、前記搬送方向の上流側においても前記最後のページより大きく生成されることを特徴とする印刷システムである。
このような印刷システムによれば、既述のすべての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
また、複数のページを有し搬送方向に断続的に搬送される媒体にインクを吐出するための複数のインク吐出部を有し、前記媒体が一度に搬送される搬送量、及び、前記複数のインク吐出部のうちインクを吐出可能とするインク吐出部の少なくともいずれか一方が互いに異なる複数種類の印刷シーケンスにて、前記ページの端部を印刷可能な印刷システムに、前記複数の印刷シーケンスのうち、前記各ページの端部を印刷するための印刷シーケンスを、前記媒体のページ情報を管理するページ管理部によって管理される前記ページ情報に基づいて選択する機能を実現するためのコンピュータプログラムも実現可能である。
また、複数のページを有し搬送方向に断続的に搬送される媒体のページ情報を管理するページ管理部がページ情報を管理するステップと、前記ページ管理部によって管理される前記ページ情報に基づいて、前記媒体が一度に搬送される搬送量、及び、インクを吐出するための複数のインク吐出部のうちインクを吐出可能とするインク吐出部の少なくともいずれか一方が互いに異なる複数種類の印刷シーケンスのうち、前記各ページの端部を印刷するための印刷シーケンスを選択するステップと、選択した印刷シーケンスにより前記媒体に印刷するステップと、を有することを特徴とする印刷方法も実現可能である。
===印刷システムの構成===
<全体構成について>
次に、印刷システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態の記載には、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体等に関する実施形態も含まれている。
図1は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。この印刷システム700は、印刷装置としてのプリンタ10と、コンピュータ710と、表示装置720と、入力装置730と、記録再生装置740とを備えている。プリンタ10は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピュータ710は、プリンタ10と電気的に接続されており、プリンタ10に印刷させるための画像に応じた印刷データをプリンタ10に出力する。表示装置720は、ディスプレイを有し、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等におけるのユーザーインタフェースの操作画面等を表示する。入力装置730は、例えばキーボード730Aやマウス730Bであり、表示装置720に表示されたユーザーインタフェースの画面に沿って行われるアプリケーションプログラムの操作やプリンタドライバの設定等の操作に用いられる。記録再生装置740は、例えばフレキシブルディスクドライブ装置740AやCD−ROMドライブ装置740Bが用いられる。
コンピュータ710にはプリンタドライバ711(図2)がインストールされている。プリンタドライバ711は、表示装置720にユーザーインタフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラム713(図2)から出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバ711は、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタドライバ711は、インターネットを介してコンピュータ710にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
なお、「印刷システム」とは、ここに示すように狭義にはプリンタ10とコンピュータ710とを含むコンピュータシステムを意味するが、広義には各種処理プログラムがインストールされたプリンタ10等の印刷装置をも意味する。
<プリンタドライバについて>
図2は、プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
コンピュータ710では、コンピュータ710に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ712、アプリケーションプログラム713、プリンタドライバ711などのコンピュータプログラムが動作している。
ビデオドライバ712は、アプリケーションプログラム713やプリンタドライバ711からの表示命令に従って、例えばユーザーインタフェース等の操作画面を表示装置720に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム713は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム713のユーザーインタフェースを介して、アプリケーションプログラム713により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム713は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ711に画像データを出力する。
プリンタドライバ711は、アプリケーションプログラム713から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換する。ここで、印刷データとは、プリンタ10が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドと画素に関するデータ(画素データ)とを有するデータである。
プリンタドライバ711は、アプリケーションプログラム713から出力された画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理などを行う。以下に、プリンタドライバ711が行う各種の処理について説明する。
解像度変換処理は、アプリケーションプログラム713から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体に印刷する際の解像度に変換する処理である。例えば、媒体としての紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム713から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。以下、画像データを解像度変換処理したRGBデータをRGB画像データと呼ぶ。
色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。なお、CMYKデータは、プリンタが有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB画像データの階調値とCMYK画像データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ711が参照することによって行われる。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。以下、RGB画像データを色変換処理したCMYKデータをCMYK画像データと呼ぶ。
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンタが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などを利用して、プリンタがドットを分散して形成できるように画素データを作成する。プリンタドライバ711は、例えばディザ法によるハーフトーン処理を行う場合にはディザテーブルを参照し、γ補正を行う場合にはガンマテーブルを参照し、誤差拡散法を行う場合は拡散された誤差を記憶するための誤差メモリを参照する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば720×720dpi)を有している。ハーフトーン処理されたデータは、例えば、各画素につき1ビット又は2ビットのデータから構成される。以下、ハーフトーン処理されたデータのうち、1ビットデータのものを2値データと呼び、2ビットデータのものを多値データと呼ぶ。
ラスタライズ処理は、マトリクス状の画像データを、プリンタに転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、印刷データに含まれる画素データとして、プリンタに出力される。
図3は、プリンタドライバのユーザーインタフェースの説明図である。このプリンタドライバ711のユーザーインタフェースの操作画面は、ビデオドライバ712を介して、表示装置720に表示される。ユーザーは、入力装置730を用いて、プリンタドライバ711の各種の設定を行うことができる。
ユーザーは、この画面上から、印刷モード等を設定することができる。例えば、ユーザーは、印刷モードとして、高速印刷モード又はファイン印刷モード、さらには用紙の全域にわたって余白無く印刷する所謂フチ無し印刷モードを設定することができる。そして、プリンタドライバは、設定された印刷モードに応じた形式になるように、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度(印刷するときのドットの間隔)を設定することができる。例えば、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度として720dpiや360dpiを設定することができる。そして、プリンタドライバ711は、設定された解像度に応じて解像度変換処理を行い、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷に用いる媒体としての印刷用紙を設定することができる。例えば、ユーザーは、印刷用紙として、カット紙、ロール紙、連帳用紙や、普通紙、光沢紙、マット紙などを選択して設定することができる。ここで連帳用紙とは、芯等には巻き付けられてはいないが帯状をなし、特に所定の長さ毎に印刷領域が設定されている用紙であり、見た目上は1枚の用紙であるが、例えば各印刷領域が1ページとして設定されており、複数のページが連なっているとみなすことが可能な用紙である。このため、連帳用紙が選択された場合には、選択された連帳用紙に対応付けられた印刷領域の数(ページ数)や、各印刷領域のサイズ(ページサイズ)が自動的に設定される。この連帳用紙の印刷領域間の境界部にミシン目等の加工を施すことにより、一度用紙をセットすると、複数の画像の連続して印刷することができ、印刷終了後に各画像を容易に切り離すことが可能となる。図4は連帳用紙の一例を示す図である。図示するように、連帳用紙は、各ページの境界部にて、隣接するページの画像面が対向するように折り曲げることにより、冊子状に形成することも可能である。
印刷モード、紙の種類(紙種)等が異なれば、印刷シーケンス、すなわち各印刷モード、紙種に適した用紙の搬送量やインクの吐出を可能とするノズル等も異なるため、プリンタドライバは、選択された印刷モードや紙種に応じて、画像データを印刷データに変換する。
このように、プリンタドライバは、ユーザーインタフェースを介して設定された条件に従って、画像データを印刷データに変換する。
プリンタドライバ711は、画像データを印刷データに変換するとともに、アプリケーションプログラムを介して、ユーザーが入力した設定条件に基づいて、プリンタ10にて印刷するための印刷情報を必要に応じて生成する。この印刷情報は、たとえば上述した連帳用紙に印刷する印刷命令が入力された際に、各ページの境界や、連帳用紙の後端を認識するための情報である。この情報は、たとえば、連帳用紙に印刷する印刷指令とともに入力された、連帳用紙が有するページの数、各ページのサイズ等の印刷条件に基づいて、コンピュータの処理部の演算処理により生成され、印刷データとともにプリンタ10に送出される。
===カラープリンタの概略構成===
まず、図5を参照して本実施の形態に係る印刷装置としてのプリンタの主として外部の概略構成について説明する。図4は本実施の形態のプリンタの概略構成を示した図である。なお、このプリンタ10は、取り外し可能に装着されたロール紙ユニット24とを有している。
プリンタ10は、カラー画像の出力が可能なプリンタであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクを、媒体としての印刷用紙等に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いてもよい。
図5に示すように、カラープリンタ10は、背面から供給された印刷用紙等の媒体を前面から排出する構造を備えており、前面には操作パネル11、排紙部12が備えられ、背面には給紙部13が備えられている。操作パネル11には、各種操作ボタン111、表示ランプ112が設けられている。排紙部12は、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー121が備えられている。給紙部13には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー131、ロール紙ユニット24を保持するロール紙ユニットホルダ34、35が備えられている。ロール紙ユニット24には、搬送方向に長く形成された印刷用紙が芯材にロール状に巻き付けられており、この給紙部13から供給される。
===カラープリンタ10の内部構成===
次に、図6〜図8を参照してプリンタ10の内部構成について説明する。図6は本実施の形態に係るカラープリンタ10の内部構成を示した図、図7は印刷ヘッド9周辺の配置を示した説明図、図8は印刷用紙搬送機構の駆動部を説明するための説明図である。
プリンタ10は、図示するように、キャリッジ3に搭載された印刷ヘッド9を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、このキャリッジ3をキャリッジモータ4によって印刷用紙の搬送方向と直交する方向(以下、CR移動方向という)に往復移動させる機構と、紙送りモータ(以下、PFモータともいう)1によって第1給紙経路及び第2給紙経路から供給される印刷用紙32を搬送する機構と、制御回路50とを有している。
インクの吐出及びドット形成を行う機構は、インク吐出部としての複数のノズルを備えた印刷ヘッド9と、印刷ヘッド9を駆動するためのヘッドドライバ16とを備え、印刷指令信号に基づいて所定のノズルからインクを吐出させる。印刷ヘッド9の下面9aには、印刷用紙32の搬送方向に沿って、複数のノズルが列状に配置された複数のノズル列33(図11)が、CR移動方向に複数列設けられている。印刷ヘッド9及びノズル配列の詳細は後述する。
キャリッジ3を往復移動させる機構は、キャリッジ3を駆動するキャリッジモータ(以下、CRモータともいう)4と、キャリッジモータ4を駆動するCRモータドライバ5と、CR移動方向に設けられ、キャリッジ3を摺動可能に保持する摺動軸44と、キャリッジ3に固定されたリニア式エンコーダ17と、所定の間隔にスリットが形成されたリニア式エンコーダ用符号板19と、キャリッジモータの回転軸に取付けられたプーリ30と、プーリ30によって駆動されるタイミングベルト31から構成されている。
キャリッジ3には、印刷ヘッド9と、印刷ヘッド9と一体に設けられたカートリッジ装着部が固定され、このカートリッジ装着部には、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)等のインクが収容されたインクカートリッジが装着される。
給紙トレー131に収容されたカット紙、及び、第2給紙経路から供給されるロール紙や連帳用紙を搬送する機構は、前記印刷ヘッド9と対向して配置され、印刷用紙32と印刷ヘッド9とが適切な距離となるように印刷用紙32を支持する支持部材としてのプラテン25と、このプラテン25に対し印刷用紙32の搬送方向の上流側に設けられ、供給された印刷用紙32をプラテン25に所定の角度にて接触するように搬送する搬送ローラ7と、プラテン25に対し印刷用紙32の搬送方向の下流側に設けられ、搬送ローラ7から外れた印刷用紙32を搬送して排紙するための排紙ローラ8と、搬送ローラ7及び排紙ローラ8を駆動するためのPFモータ1と、PFモータ1を駆動するための紙送りモータドライバ2と、印刷用紙32の搬送量を検出するためのロータリ式エンコーダ15と、印刷用紙32の有無及び印刷用紙32の先端・後端を検出するための用紙検出センサ20、キャリッジ3に搭載され搬送された印刷用紙32の幅を検出するための紙幅センサ54を有している。紙幅センサ54は、用紙検出センサより高精度にて印刷用紙32の先端及び後端を検出することが可能である。
PFモータ1は、紙送りモータドライバ2により搬送指令値に基づいて駆動され、必要に応じて補正データテーブルにより与えられる補正値を用いて回転量が補正されることにより印刷用紙32の搬送量が補正される。
搬送ローラ7は印刷用紙32の搬送経路下側に設けられており、その上側には搬送ローラ7と対向させて印刷用紙32を保持するための従動ローラ7aが設けられている。排紙ローラ8も印刷用紙32の搬送経路下側に設けられて、その上側に排紙ローラ8と対向させ手印刷用紙32を保持するための従動ローラ8aが設けられているが、排紙ローラ8と対向する従動ローラ8aは薄板でなり外周部に細かな歯が設けられたローラであり、印刷後の印刷用紙32の表面と接触してもインクが擦れないように構成されている。
また、搬送ローラ7と印刷用紙32との接触位置は、プラテン25と印刷用紙32との接触位置より高くなるように配置され、搬送ローラ7から搬送された印刷用紙32はプラテン25と所定の角度にて接触し、さらに搬送されることにより、印刷用紙32はプラテン25に沿わされて搬送される。即ち、印刷用紙32をプラテン25に押し付けるように所定の角度をもって当接させることができるため、プラテン25によって印刷用紙32をノズルから適正な位置に維持させて良好な画像を得ることができる。プラテン25に沿わされて搬送された印刷用紙32は、自ずと排紙ローラ8へと導かれるように、プラテン25と排紙ローラ8とは配置されている。
また、搬送ローラ7と排紙ローラ8とは、ギア列6により繋げられ、PFモータ1の回転が伝達されて回動され、両ローラ7,8による印刷用紙32の搬送速度は一致している。
プラテン25は、印刷用紙32が搬送される際に支持される支持手段である。前述した「フチ無し印刷モード」にて印刷する場合には、印刷用紙32より大きな印刷データを生成し、印刷用紙32の外側の領域までインクを吐出させることにより、印刷用紙32の周縁部に余白を形成することなく印刷用紙32の全域に画像を印刷する。このとき印刷用紙32の外側の領域に吐出されたインクがプラテン25に付着すると悪影響を及ぼす虞がある。このため、プラテン25には、印刷用紙32をノズルと対向させて支持する支持部25aより低く凹設された溝部25bを有し、印刷用紙32の外側の領域に吐出されたインクを溝部25bにて回収している。
図9及び図10は、溝部25bの一例を示したものである。図9は、溝部25bを示す断面図であり、図10は、溝部25bを示す平面図である。具体的には図9に示すように、プラテン25上に断面凹形の溝部25bが形成されている。溝部25bは、図9に示すように、キャリッジ3が移動した際に、ノズル列33の一部のノズル(ここでは、第1ノズル#1〜第3ノズル#3)と対向する位置に、キャリッジ3の移動方向に沿って設けられ、さらに、搬送される印刷用紙32の側端部が通過する位置に、すべてのノズルと対向する位置に設けられている。溝部25b内には、印刷用紙32の外側の領域に吐出されたインクを吸収する吸収材74が設けられている。この吸収材74は、発砲ウレタン等のスポンジなどをはじめとしてインクを吸収可能な各種材料により形成されている。
CR移動方向に沿って設けられた溝部25bにより回収されるインクは、印刷ヘッド9に設けられたノズル#1〜#8のうち、溝部25bと対向して配置された第1ノズル#1〜第3ノズル#3から吐出されるインクのみである。他のノズル、即ちノズル#4〜#8については、CR移動方向に沿って設けられた溝部25bに対向して配置されていない。このため、「フチ無し印刷」において、印刷用紙32の先端及び後端を印刷する際には、ノズル#4〜#8は使用せず、ノズル#1〜#3のみにて印刷が行われる。
なお、溝25bについては、図9又は図10では1箇所のみであるが、本発明にあってはこのような場合に限らず、例えば搬送方向またはCR移動方向に沿うなどして複数箇所に設けられていても良い。
用紙検出センサ20は、搬送ローラ7より搬送方向の上流側に設けられ、印刷用紙32の搬送経路より高い位置に回動中心を持つレバー20aとその上方に設けられ、発光部と受光部とを有する透過型光センサ20bとで構成されている。レバー20aは、自重によって搬送経路に垂れ下がるように配置され給紙トレー131から供給された印刷用紙32によって回動される作用部20cと、作用部20cと回動中心を挟んで反対側に位置し、発光部と受光部との間を通過するように設けられた遮光部20dとで構成されている。そして、用紙検出センサ20は、供給された印刷用紙32によりレバー20aが押され、印刷用紙32が所定位置に達すると遮光部20dは発光部が発した光を遮るため、印刷用紙32が所定の位置に達したことが検出される。その後、搬送ローラ7により印刷用紙32が搬送されて、印刷用紙32の後端が通過すると、レバー20aは自重によって垂れ下がり、遮光部20dが発光部と受光部との間から外れ、発光部の光が受光部に受光され、印刷用紙32の後端が所定の位置に到達することを検出する。したがって、遮光部20dが発光部の光を遮っている間は、少なくとも搬送経路内に印刷用紙32が存在することが検出される。
紙幅センサ54は、キャリッジ3に搬送方向の上流側に取付けられている。紙幅センサ54は、光学センサであり、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、印刷用紙32の有無を検出する。そして、紙幅センサ54は、キャリッジによって移動しながら印刷用紙32の端部の位置を検出し、印刷用紙32の幅を検出する。また、紙幅センサ54は、状況に応じて、印刷用紙32の先端も検出できる。紙幅センサ54は、レバー等を介さず印刷用紙32による反射光を直接検出するので、紙検出センサ53よりも位置検出の精度が高い。
===制御回路50の内部構造===
制御回路50は、ホストコンピュータ710から供給された信号を受信するバッファメモリ21と、印刷データを格納するイメージバッファ22と、プリンタ10全体の動作を制御するシステムコントローラ26と、メインメモリ27と、EEPROM23とを備えている。転送された印刷データは、一旦、バッファメモリ21に蓄えられる。プリンタ10の操作パネル11や接続されたホストコンピュータ710から印刷指令信号が入力されると、プリンタ10内では、印刷指令信号と共に送信された印刷データが、一旦、バッファメモリ21に蓄えられ、システムコントローラ26が、バッファメモリ21の印刷データの中から必要な情報を読み取り、これに基づいて、CRモータドライバ5、PFモータドライバ2、ヘッドドライバ10に対して制御信号を送る。イメージバッファ22には、バッファメモリ21で受信された複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッドドライバ16は、システムコントローラ26からの制御信号に従って、イメージバッファ22から各色成分の印刷データを読出し、これに応じて印刷ヘッド9に設けられた各色のノズルを駆動する。
===ノズルの構成について===
図11は、印刷ヘッド9の下面9aにおけるノズルの配列を示す説明図である。
印刷ヘッド9の下面9aには、ブラックインクノズル列33(K)と、シアンインクノズル列33(C)と、マゼンタインクノズル列33(M)と、イエローインクノズル列33(Y)が形成されている。各ノズル列33は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では8個)備えている。なお、各ノズル列33に付した符号のアルファベットはインク色を意味している。
各ノズル列33の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、用紙32に形成されるドットの最高解像度での間隔)であり、例えば、解像度が720dpiであれば1/720インチ(約35.3μm)である。また、kは、1以上の整数である。
また、各ノズル列33のノズルは、搬送方向の下流側のノズルほど小さい番号が付され、それぞれ第1ノズル#1〜第8ノズル#8とする。各ノズルには、各ノズルを駆動してインクを吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。
なお、印刷時には、印刷用紙32が搬送ローラ7及び排紙ローラ8によって断続的に所定の搬送量Fで搬送され、その断続的な搬送の間にキャリッジ3がCR移動方向に移動して各ノズルからインクが吐出される。
===印刷ヘッドの駆動===
次に、印刷ヘッド9の駆動について、図12を参照しつつ説明する。図12は、ヘッドドライバ16(図6)内に設けられた駆動信号生成部の構成を示すブロック図である。
図12において、駆動信号生成部は、複数のマスク回路204と、原駆動信号発生部206と、駆動信号補正部230とを備えている。マスク回路204は、印刷ヘッド9のノズル#1〜#8をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子に対応して設けられている。なお、図12において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。原駆動信号発生部206は、ノズル#1〜#8に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、一画素分の主走査期間内に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。駆動信号補正部230は、マスク回路204が整形した駆動信号波形のタイミングを復路全体で前後にずらし、補正を行う。この駆動信号波形のタイミングの補正によって、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のズレが補正される、すなわち、往路と復路におけるドットの形成位置のズレが補正される。
図12に示すように、入力されたシリアル印刷信号PRT(i)は、原駆動信号発生部206から出力される原駆動信号ODRVとともにマスク回路204に入力される。このシリアル印刷信号PRT(i)は、一画素当たり2ビットのシリアル信号であり、その各ビットは、第1パルスW1と第2パルスW2とにそれぞれ対応している。
そして、マスク回路204は、シリアル印刷信号PRT(i)のレベルに応じて原駆動信号ODRVをマスクするためのゲートである。すなわち、マスク回路204は、シリアル印刷信号PRT(i)が1レベルのときには原駆動信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとしてピエゾ素子に供給し、一方、シリアル印刷信号PRT(i)が0レベルのときには原駆動信号ODRVの対応するパルスを遮断する。
===エンコーダ===
次に、キャリッジ3に取付けられたリニア式エンコーダ17、及び、PFモータ1用のロータリ式エンコーダ15について説明する。図13は、キャリッジ3に取付けられたリニア式エンコーダ17の構成を模式的に示した説明図である。
図13に示したエンコーダ17は、発光ダイオード17aと、コリメータレンズ17bと、検出処理部17cとを備えている。検出処理部17cは、複数(例えば4個)のフォトダイオード17dと、信号処理回路17eと、例えば2個のコンパレータ17fA、17fBとを有している。
発光ダイオード17aの両端に抵抗を介して電圧VCCが印加されると、発光ダイオード17aから光が発せられる。この光はコリメータレンズ17bにより平行光に集光されて符号板19を通過する。符号板19には、所定の間隔(例えば1/180インチ(1インチ=2.54cm))毎にスリットが設けられている。
符号板19を通過した平行光は、図示しない固定スリットを通って各フォトダイオード17dに入射し、電気信号に変換される。4個のフォトダイオード17dから出力される電気信号は信号処理回路17eにおいて信号処理され、信号処理回路17eから出力される信号はコンパレータ17fA、17fBにおいて比較され、比較結果がパルスとして出力される。コンパレータ17fA、17fBから出力されるパルスENC−A、ENC−Bがエンコーダ17の出力となる。
図14Aは、CRモータ正転時におけるエンコーダ17の2つの出力信号の波形を示したタイミングチャート、図14Bは、CRモータ逆転時におけるエンコーダ17の2つの出力信号の波形を示したタイミングチャートである。
図14A、14Bに示すように、CRモータ正転時及び逆転時のいずれの場合も、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度だけ異なっている。CRモータ4が正転しているとき、即ち、キャリッジ3が主走査方向に移動しているときは、図14Aに示すように、パルスENC−AはパルスENC−Bよりも90度だけ位相が進み、CRモータ4が逆転しているときは、図14Bに示すように、パルスENC−AはパルスENC−Bよりも90度だけ位相が遅れる。そして、パルスENC−A及びパルスENC−Bの1周期Tは、キャリッジ3が符号板12のスリット間隔を移動する時間に等しい。
一方、PFモータ1用のロータリ式エンコーダ15はロータリ式エンコーダ用符号板14がPFモータ1の回転に応じて回転する回転円板である以外は、リニア式エンコーダ17と同様の構成となっており、2つの出力パルスENC−A、ENC−Bを出力する。インクジェットプリンタにおいては、ロータリ式エンコーダ用符号板14に設けられている複数のスリットのスリット間隔は1/180インチであり、PFモータ1が上記1スリット間隔だけ回転すると、1/1440インチだけ紙送りされる。したがって、ロータリ式エンコーダ15の出力をカウントした値と、1/1440インチとを掛け合わせることにより、印刷用紙32の搬送量を検出することができる。
そして、プリンタ10は、用紙検出センサ20により印刷用紙の後端が所定の位置に到達したことを検出することができ、紙幅センサ54により印刷用紙の先端が所定の位置に到達したことを検出することができる。そして、用紙検出センサ20及び紙幅センサ54と搬送ローラ7との距離はプリンタの構造により決定されており、印刷すべき印刷用紙のサイズはコンピュータ710側から供給される。このため、用紙検出センサ20により印刷用紙の後端を検出することにより、印刷用紙32の有無を検出し、紙幅センサ54により印刷用紙32の先端を検出し、検出した時点からのロータリ式エンコーダ15の出力により検出される搬送量に基づいて、印刷用紙の先端、後端の到達位置を検出することが可能である。
===印刷動作の概要===
本実施形態では、複数のページを有する媒体として、各ページ間に折り目が形成され6ページ分が連なって1枚に形成されている前述した連帳用紙を用いるものとする。そして、この連帳用紙には、6つの画像を、各ページに1画像ずつフチ無し印刷する例について説明する。また、各ページの先端部および後端部をのぞく領域に印刷する各画像は、ノズルのピッチや吐出特性のばらつきを、印刷画像上で分散させることにより、これらの影響を緩和して良好な画像を得るための、いわゆるインターレース方式にて印刷するものとする。
図15は、本実施形態におけるインターレース方式の印刷処理の基本動作を説明するための図である。
インターレース方式による印刷は、連帳用紙の端部、及び、ページの端部を除く部分を印刷する際に実行される印刷方法であり、印刷ヘッド9のノズル列33がキャリッジ3の移動によりCR移動方向に移動しつつインクを吐出することにより印刷用紙32に多数のドットがライン状に形成され、ライン状のドットでなるラスタラインがノズル毎に形成される。そして、後の印刷ヘッド9の移動にて形成される新たなラスタラインが、既に形成されているラスタラインの間に形成されることにより、印刷用紙32の空白部が埋められる。このとき、印刷用紙32を戻すことなく一定の方向にのみ搬送し続けて印刷するために、所定のラスタラインより用紙搬送方向の上流側に新たなラスタラインを形成する際には、前記所定のラスタラインを形成したノズルより下流側に位置するノズルにてインクを吐出する。
図15では、説明の便宜上、ノズル列33は、1色分の8個のノズルのみを有するものとしている(つまり、n=8)。また、同様に連帳用紙32aがノズル列33の移動方向にも移動しているかのように示されているが、実際には、連帳用紙32aは紙搬送方向に移動するだけであってCR移動方向には移動しない。
また、図15において、各ノズル列33のノズルピッチk・Dは、印刷する画像のドットピッチDの4倍である(つまり、k=4)。なお、ノズル列33の中において、縦長の長方形にてノズル列33を示し、黒く塗りつぶした正方形がインクを吐出するノズルを示し、丸の中に示されている数字1〜8は、ノズル番号を意味している。図15に示した通り、ノズル番号が小さいノズルほど、紙搬送方向の下流に設けられている。
連帳用紙32aは、ノズル列33がCR移動方向に1回移動した(以下、『パス』ともいう)後に、紙搬送機構によって、搬送方向に基準搬送指令値に基づく搬送量F=L・D(Lは整数、Dはドットピッチ)だけステップ移動する。このとき、連帳用紙32aは、紙搬送機構によって目標搬送量と一致する搬送量9・Dまたは5・D(つまり、L=9またはL=5)だけ搬送される。なお、所定の搬送量F(=L・D)で連帳用紙32aの搬送を行う場合、整数Lが、整数Lを整数kで割ったときの余りが(k−1)になるような値を採用することが好ましい。
図15では、連帳用紙32aに対し、黒く塗りつぶした位置にてドットが形成される。また、図15では、キャリッジ3の1回のパス毎に、各ノズルが1回インクを吐出するかのように示されているが、実際には、ノズル列33がCR移動方向に移動しながら断続的にインクを吐出するので、CR移動方向に沿ってラスタラインが形成される。すなわち、黒く塗り潰された部分にはラスタラインが形成されていることになる。図15の例では、キャリッジ3の9回のパスにより第1ラスタラインから49ラスタラインの間がドットにて埋め尽くされることになる。
図15の印刷方式では、連帳用紙32aが搬送方向に搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで記録されたラスタラインのすぐ上流側のラスタラインを記録する。したがって、各ラスタラインは、搬送方向に同一間隔にて形成される。ここで説明した印刷動作は、『インターレース方式による印刷』の一例である。
ところで、図15に示すようなインターレース方式による印刷だけでは、連帳用紙32aにフチ無し印刷をすることはできない。また、媒体として複数のページが繋がった形態の連帳用紙32aを用いているので、インターレース方式による印刷だけで、隣接するページに印刷された2つの画像間に隙間なく、かつ、連帳用紙32aを一定の方向にのみ搬送して各ページに画像等を印刷することはできない。このため、印刷システム700では、連帳用紙32aの端部、及び、各ページの端部を印刷する際に、その端部に応じて異なる印刷シーケンスにて印刷している。
===端部を印刷するための印刷シーケンス===
本実施形態の印刷システム700では、端部を印刷するための印刷シーケンスとして、互いに異なる4種類の印刷シーケンスにて印刷することが可能である。連帳用紙32aにおける搬送方向の上流側の端部と及び下流側の端部を印刷するための印刷シーケンス(先端フチ無し印刷処理、後端フチ無し印刷処理)と、各ページにおける搬送方向の上流側の端部と及び下流側の端部を印刷するための印刷シーケンス(先端連続画像印刷処理、後端連続画像印刷処理)とである。すなわち、連帳用紙32aの最初のページの先端部を印刷する際には、搬送方向下流側に、最初のページより大きな領域に相当する印刷データを生成し、最後のページの後端部を印刷する際には、搬送方向上流側に、最後のページより大きな領域に相当する印刷データを生成して、プラテン25に設けられた溝部25bと対向するノズルのみからインクを吐出させて、連帳用紙32aの全領域において余白が発生しないような印刷シーケンスのフチ無し印刷を実行する。また、連帳用紙32aの最初のページ、及び、最後のページを除くページを印刷する際には、搬送方向には、各ページの搬送方向の長さと同等の長さを有する領域に相当する印刷データを生成し、隣接するページ上に配置されたノズルからはインクを吐出しない印刷シーケンスにて印刷シーケンスにて印刷する。さらに、すべてのページを印刷する際において、CR移動方向には連帳用紙32aの幅より大きな領域に相当する印刷データを生成し、連帳用紙32a領域外に設けられた溝部25bと対向する位置にノズルが到達したときからインクを吐出し始めることにより、CR移動方向においてもフチ無し印刷を実行する。
図16は、連帳用紙にフチ無し印刷するための印刷データを説明するための図である。コンピュータ710のプリンタドライバ711では、印刷すべき6つの画像データが、連帳用紙32aの各ページのサイズに基づいて縦横比を変更することなく、ページのサイズより全周にわたって大きくなるように印刷データに変換される。そして、連帳用紙32aの最初のページに印刷する画像は、後端側のデータが削除され、先端側とCR移動方向の両側とにおいてページより外側の領域まで印刷可能な印刷データが生成されてプリンタ10に送出される。2ページ目から5ページ目に印刷する各画像は、先端側と後端側とのデータが削除され、CR移動方向の両側においてページより外側の領域まで印刷可能な印刷データが生成されてプリンタ10に送出される。連帳用紙32aの最後のページに印刷する画像は、先端側のデータが削除され、後端側とCR移動方向の両側とにおいてページより外側の領域まで印刷可能なデータが生成されてプリンタ10に送出される。
===印刷動作の具体例===
上記4種類の異なる印刷シーケンスの印刷処理を実行し、連帳用紙32aにフチ無し印刷する印刷動作を、各印刷シーケンスとともに説明する。
図17は、本発明に係る印刷動作の概要を説明するためのフローチャートである。図18は、連帳用紙の先端部を印刷する先端フチ無し印刷処理の印刷シーケンスを説明するための図である。
本実施形態においては、説明の便宜上、一つのノズル列33が有するノズル数は8個として説明する。また、プラテン25の溝部25bは、搬送方向の下流側から1番目、2番目、3番目のノズルと対向する位置に設けられている。
ユーザーは連帳用紙32aを第2給紙経路から挿入してプリンタ10にセットし、コンピュータ710を操作して印刷する画像を指定し、設定条件を入力するとともに印刷指令を実行させる。このとき、ユーザーが入力した設定条件には、印刷用紙の種類として連帳用紙32aを示す情報や、セットされた連帳用紙32aの各ページサイズ、連帳用紙32aが有するページ数N、印刷する画像数n等を示す情報が含まれている。コンピュータ710のプリンタドライバ711は、取得した情報のうち、セットされた連帳用紙32aが有するページ数Nと、印刷する画像数nとを比較する(S101,S102)。このとき、印刷する画像数nの方が多い場合には、印刷システム700が備える表示装置720にその旨を示す情報を表示して報知する(S103)。表示された情報には、印刷を継続するか、中止するかをユーザーに選択させるための機能を有しており、ユーザーの選択により印刷を継続又は中止する(S104)。
また、プリンタドライバ711は、入力された連帳用紙が有するページ数N、印刷する画像数nをコンピュータ710のメモリに記憶し(S105)、1つの画像を印刷する毎に、ページ数Nと画像数nとを1ずつ減算する処理を実行し(S110,S111)、連帳用紙32aのページ情報を管理している。すなわち、この例では、プリンタドライバ711が、ページ管理部として機能している。
プリンタ10のシステムコントローラ26は、コンピュータ710からの印刷指令信号を受信すると、プリンタドライバ711は、連帳用紙32aの最初のページであることを検出し(S106)、CRモータドライバ5によりキャリッジモータ4を駆動し、キャリッジ3を連帳用紙の外側の領域である所定の位置に移動させる。
その後、紙送りモータドライバ2により紙送りモータ1を駆動し、連帳用紙32aを所定の位置に搬送して停止させる。このとき、連帳用紙32aの先端(搬送方向の下流側の端部)が、第1ノズル#1と第3ノズル#3との間に位置する初期位置、すなわち、連帳用紙32aの最先端が、溝部25b上に至る位置に向けて連帳用紙を搬送する(S107)。図18の例では、第1ノズル#1と第2ノズル#2との間に、連帳用紙32aの先端が位置している。
<<<先端フチ無し印刷処理>>>
連帳用紙32aの先端部(搬送方向の下流側の端部)への印刷シーケンスを、図18を参照して詳述すると、以下の通りである。連帳用紙32aが初期位置にて停止すると、印刷ヘッド9は最初の移動を開始しつつ、溝部25bと対向する3つのノズル(#1〜#3)からインクを吐出させる先端フチ無し印刷処理を実行する(S108)。このとき溝部25bと対向する3つのノズル(#1〜#3)のうち、連帳用紙32a上に位置しているのは、第2ノズル#2と第3ノズル#3なので、2本のラスタラインが形成され、第1ノズル#1から吐出されたインクは溝部25bの吸収材74に吸収される。このとき、第4ノズル#4〜第8ノズル#8は、ヘッドドライバ16のマスク回路204によりマスクされ、インクを吐出しない。また、連帳用紙32aは、CR移動方向の両端縁が搬送方向に沿って設けられた溝部25b上に位置するように搬送され、キャリッジ3は連帳用紙32aの幅より十分に長い距離を往復移動する。そして、キャリッジ3が移動する際には、連帳用紙32aの一方の端縁より外側からインクを吐出可能とし、また、他方の端縁より外側までインクを吐出可能とすることにより、連帳用紙32aにおけるCR移動方向の両側端部についてもフチ無し印刷可能としている。
キャリッジ3の1回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが1ドットピッチ分搬送され、2回目の移動が実行され、第1〜第3ノズル(#1〜#3)からインクが吐出され、第2ノズル#2及び第3ノズル#3にて2本のラスタラインが形成される。このとき、1回目の移動により形成されたラスタラインと2回目の移動によって形成されたラスタラインとは搬送方向に互いに隣り合う位置に形成される。その後、連帳用紙32aが1ドットピッチ分搬送され、3回目の移動が実行される。3回目の移動では、第1〜第3ノズル(#1〜#3)からインクが吐出されて3本のラスタラインが形成される。さらに、連帳用紙32aが1ドットピッチ分搬送され、4回目の移動が実行される。4回目の移動でも、第1〜第3ノズル(#1〜#3)からインクが吐出されて3本のラスタラインが形成される。そして、キャリッジ3の4回目の移動が終了すると、すべてのノズル(#1〜#8)が連帳用紙32a上に位置することになる。すなわち、キャリッジ3の4回目の移動が終了すると、その後は溝部25bと対向する3つのノズル(#1〜#3)のみからインクを吐出して印刷する必要はなくなる。したがって、キャリッジ3の4回目の移動までが先端フチ無し印刷処理となる。
ところが、ここまで3つのノズルのみからインクを吐出していたため、連帳用紙32aには先端から11ラスタライン目に空白ラスタが存在する。すなわち、この時点から、上述したインターレース方式の印刷処理、すなわち、9ドットピッチの搬送を3回と、5ドットピッチの搬送を繰り返しつつ、キャリッジ3を移動して印刷する印刷動作では、ページの全域をドットにて埋め尽くすことはできない。このため、上述したインターレース方式の印刷処理にて印刷可能な位置に連帳用紙32aが搬送されるまで、インターレース移行処理を実行する。
インターレース移行処理では、まず、キャリッジ3の4回目の移動が終了すると、連帳用紙32aを1ドットピッチ分搬送し、5回目の移動を実行する。この5回目の移動では、すでに形成されたラスタライン上に配置されるノズル(#1,#2)は、ヘッドドライバ16のマスク回路204によりマスクされ、インクを吐出しない。キャリッジ3の5回目の移動が終了すると、連帳用紙32aをさらに1ドットピッチ分搬送し、6回目の移動を実行する。この6回目の移動でも、すでに形成されたラスタライン上に配置されるノズル(#1,#2)は、ヘッドドライバ16のマスク回路204によりマスクされ、インクを吐出しない。キャリッジ3の6回目の移動が終了すると、連帳用紙32aを5ドットピッチ分搬送し、7回目の移動を実行する。この7回目の移動でも、すでに形成されたラスタライン上に配置されるノズル(#1)は、ヘッドドライバ16のマスク回路204によりマスクされ、インクを吐出しない。その後、連帳用紙32aを5ドットピッチ分搬送し8回目の移動、9ドットピッチ分搬送し9回目の移動、9ドットピッチ分搬送し10回目の移動、5ドットピッチ分搬送し11回目の移動、5ドットピッチ分搬送し12回目の移動、を実行する。このとき、9回目の移動の際には、第1ノズル#1〜第3ノズル#3が、10回目の移動の際には、第1ノズル#1がマスク回路204によりマスクされ、インクを吐出しない。キャリッジ3の12回目の移動が終了すると、上述した9ドットピッチの搬送を3回と、5ドットピッチの搬送を繰り返しつつ、すべてのノズルからインクを吐出するインターレース方式の印刷処理が可能となる。このキャリッジ3の12回目の移動まで、すなわち、インターレース移行処理を含めて先端フチ無し印刷処理としてもよい。
そして、キャリッジ12回目の12回目の移動が終了した後に、インターレース方式の印刷処理を実行する(S109)。インターレース方式の印刷処理は、上述したとおりである。インターレース方式の印刷処理は、連帳用紙32aの各ページにおける後端部にて印刷シーケンスが変更されるまで継続される。連帳用紙32aの後端部への印刷は、印刷すべきページが、連帳用紙32aの最後のページであるか否かにより相違する。すなわち、印刷すべきページが連帳用紙32aの最後のページであることがプリンタドライバ711により検出されると(S112)、最後のページの後端部をフチ無し印刷するために、溝部25bと対向するノズルのみからインクを吐出させる後端フチ無し印刷処理を実行する(S116)。
一方、印刷すべきページが最後のページではないことがプリンタドライバ711により検出されると(S112)、ノズル列33のノズルのうち印刷中に次のページ上に位置したノズルからはインクが吐出しないように制御しつつ、次ページを早く印刷し且つ印刷処理の制御を容易にすることを可能とするために、後端連続画像印刷処理を実行する(S113)。後端連続画像印刷処理は、印刷中のページの印刷処理における最後の搬送動作により、印刷が終了したページの端縁を、ノズル列33の最上流側のノズル#8と最下流側のノズル#1との中央に向けて搬送するように制御する印刷処理である。すなわち、連帳用紙32aの先端部と後端部との間の部分をインターレース方式にて印刷している際に、ページ管理部としても機能するプリンタドライバ711は、印刷すべきページが最後のページであるか否かを検出し、最後のページの場合には、後端フチ無し印刷処理を実行し、最後のページでない場合には後端連続画像印刷処理を実行するための印刷データを生成する。
プリンタドライバ711は、後端フチ無し印刷処理、及び、後端連続画像印刷処理を実行しつつ、次に印刷すべき画像データの有無を判定する(S114,S117)。後端フチ無し印刷処理の後に、さらに印刷すべき画像データが検出された場合には、連帳用紙32aが無い旨の情報を表示装置720に表示し(S118)、印刷すべき画像データが検出されなかった場合には、連帳用紙32aを排紙して、待機状態となる。一方、後端連続画像印刷処理の後に、印刷すべき画像データが検出された場合には、連帳用紙32aを搬送することなく、次のページに先端連続画像印刷処理を実行した後に(S115)、前ページと同様に通常のインターレース方式印刷処理から繰り返し実行する(S109〜S118)。また、後端連続画像印刷処理の後に、印刷すべき画像データが検出されなかった場合には、連帳用紙32aを排紙して、待機状態となる。
<<<後端フチ無し印刷処理>>>
図19は、連帳用紙の後端部を印刷する後端フチ無し印刷処理の印刷シーケンスを説明するための図である。
プリンタドライバ711により、印刷すべきページが最後のページであることが検出されると、インターレース方式の印刷処理は、連帳用紙32aの後端部をプラテン25の溝部25bと対向するノズルのみにて印刷可能な後端フチ無し印刷処理に移行するフチ無し印刷移行処理を実行する。図19に示す例では、インターレース方式の印刷処理は、連帳用紙32aの後端が、第1ノズル#1から35ドットピッチ分搬送方向の上流側に位置するまで実行される。ここで、連帳用紙32aの後端が、第1ノズル#1から35ドットピッチ分搬送方向の上流側に位置して実行されるキャリッジ3の移動をp回目の移動とする。
フチ無し印刷移行処理のシーケンスを説明する。キャリッジ3のp回目の移動が終了した後には、連帳用紙32aの最終のページは、連帳用紙32aの後端から26ラスタライン目より下流側の領域はドットによって埋め尽くされ、さらに、連帳用紙32aの後端から7,11,15,16,19,20,21,23,24,25番目のラスタラインが形成されている。キャリッジ3のp回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが9ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のp+1回目の移動にて第1〜第5ノズル#1〜#5からインクが吐出されて、連帳用紙32aの後端から10,14,18,22,26番目のラスタラインが形成される。キャリッジ3のp+1回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが9ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のp+2回目の移動にて第1,第2ノズル(#1,#2)からインクが吐出されて、連帳用紙32aの後端から13,17番目のラスタラインが形成される。キャリッジ3のp+1回目及びP+2回目の移動により、フチ無し印刷移行処理が終了する。キャリッジ3のp+2回目の移動が終了すると、後端フチ無し印刷処理を実行する。
後端フチ無し印刷処理のシーケンスを説明する。キャリッジ3のp+2回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが5ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のp+3回目の移動にて溝部25bと対向する第1〜第3ノズル#1〜#3のみからインクが吐出されて、連帳用紙32aの後端から4,8,12番目のラスタラインが形成される。キャリッジ3のp+3回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが3ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のm+4回目の移動にて溝部25bと対向する第1〜第3ノズル#1〜#3のみからインクが吐出されて、連帳用紙3の後端から1,5,9番目のラスタラインが形成される。キャリッジ3のp+4回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが3ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のp+5回目の移動にて溝部25bと対向する第1〜第3ノズル#1〜#3のみからインクが吐出されて、連帳用紙3の後端から2,6番目のラスタラインが形成される。このとき、第3ノズル#3は、連帳用紙32aの外側の領域に位置しており、第3ノズル#3から吐出されたインクは溝部25bの吸収材74に吸収される。キャリッジ3のp+5回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが3ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のp+6回目の移動にて溝部25bと対向する第1〜第3ノズル#1〜#3のみからインクが吐出されて、連帳用紙3の後端から3番目のラスタラインが形成される。このとき、第2ノズル#2、及び、第3ノズル#3は、連帳用紙32aの外側の領域に位置しており、第2ノズル#2、及び、第3ノズル#3から吐出されたインクは溝部25bの吸収材74に吸収される。
<<<後端連続画像印刷処理>>>
図20は、隣接するページにおいて前のページの後端部(搬送方向の上流側の端部)を印刷する後端連続画像印刷処理の印刷シーケンスを説明するための図である。
プリンタドライバ711により、印刷すべきページが最後のページでないことが検出されると、このページの印刷処理における最後の搬送動作により、印刷が終了したページの端縁を、ノズル列33の最上流側のノズル#8と最下流側のノズル#1との中央に向けて搬送するように、連帳用紙32aと印刷ヘッド9との相対位置を調整可能な位置までインターレース方式の印刷処理が続けられる。図20に示す例では、連帳用紙32aの後端が、第1ノズル#1から35ドットピッチ分搬送方向の上流側に位置するまで実行される。ここで、連帳用紙32aの後端が、第1ノズル#1から35ドットピッチ分搬送方向の上流側に位置して実行されるキャリッジ3の移動をm回目の移動とする。
後端連続画像印刷処理のシーケンスを説明する。キャリッジ3のm回目の移動が終了した後には、連帳用紙32aの最終のページは、連帳用紙32aの後端から30ラスタライン目より下流側の領域はドットによって埋め尽くされ、さらに、連帳用紙32aの後端から7,11,15,16,19,20,23,24,25,27,28,29番目のラスタラインが形成されている。キャリッジ3のm回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが5ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のm+1回目の移動にてすべてのノズル#1〜#8からインクが吐出されて、連帳用紙32aの後端から2,6,10,14,18,22,26,30番目のラスタラインが形成される。キャリッジ3のm+1回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが9ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のm+2回目の移動にてすべての第1〜第6ノズル#1〜#6からインクが吐出されて、連帳用紙32aの後端から1,5,9,13,17,21番目のラスタラインが形成される。キャリッジ3のm+2回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが5ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のm+3回目の移動にて第1〜第4ノズル#1〜#4からインクが吐出されて、連帳用紙32aの後端から4,8,12,16番目のラスタラインが形成される。キャリッジ3のm+3回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが1ドットピッチ分搬送され、キャリッジ3のm+4回目の移動にて第2〜第4ノズル#2〜#4からインクが吐出されて、連帳用紙32aの後端から3,7,11番目のラスタラインが形成される。このとき、m+2回目の移動の際の第7ノズル#7および第8ノズル#8と、m+3回目、及び、m+4回目の移動の際の第5〜第8ノズル#5〜#8は、次のページ上に位置するため、マスク回路204によりマスクされ、インクを吐出しない。キャリッジ3のm+4回目までの移動に連帳用紙32aの最初のページがドットにより埋め尽くされ、隣接するページの前側のページの印刷処理が終了する。この例では、キャリッジ3のm+3回目の移動の際に、ページの境界位置が第6ノズル#6上に位置し、第6ノズルにて形成したドットの半分が次のページに印刷されているが、実際には、ドットのサイズは極めて小さいため、見た目上問題はなく、次のページの画像は、当該ドットの隣に形成されるため、隣接する2つの画像が重なることはない。
<<<先端連続画像印刷処理>>>
図21は隣接するページのうち後のページの先端部(搬送方向の下流側の端部)を印刷する先端連続画像印刷処理の印刷シーケンスを説明するための図である。
連帳用紙32aの最初のページ以外のページは、印刷する前に既に前のページを後端連続画像印刷処理にて印刷している。このため、最初のページ以外のページでは、印刷を開始する際に、連帳用紙32aのページの先端、すなわちページの境界部が、ノズル列33の最上流側のノズル#6と最下流側のノズル#1との中央に位置している。このため、連帳用紙32aと印刷ヘッド9との相対位置を変更することなく、前ページの印刷が終了した状態から、そのまま、次ページの印刷を実行することが可能である。
先端連続画像印刷処理の印刷シーケンスについて説明する。前のページの後端連続画像印刷処理が終了し、システムコントローラ26の処理により次のページに印刷すべき画像の印刷データが送信されると、図21に示すように連帳用紙32aが搬送されることなく、印刷ヘッド9は新たなページに対する最初の移動を開始しつつ、新たなページ上に位置する4つのノズル(#5〜#8)からインクを吐出させる。このとき、前ページ上に位置する第1〜第4ノズル#1〜#4は、ヘッドドライバ16のマスク回路204によりマスクされ、インクを吐出しない。
キャリッジ3の1回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが5ドットピッチ分搬送され、2回目の移動が実行され、新たなページ上に位置する5つのノズル(#4〜#8)にて5本のラスタラインが形成される。このとき、1回目の移動により形成されたラスタラインと2回目の移動によって形成されたラスタラインとは搬送方向に互いに隣り合う位置に形成される。その後、連帳用紙32aが5ドットピッチ分搬送され、3回目の移動が実行される。3回目の移動では、第3〜第8ノズル(#3〜#8)からインクが吐出されによって6本のラスタラインが形成される。キャリッジ3の3回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが5ドットピッチ分搬送され、4回目の移動が実行され、新たなページ上に位置するすべてのノズル(#1〜#8)にて8本のラスタラインが形成される。キャリッジ3の4回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが9ドットピッチ分搬送され、5回目の移動が実行され、第3〜第8ノズル(#3〜#8)にて6本のラスタラインが形成される。このとき、第1ノズル#1及び第2ノズル#2は、すでに形成されたラスタライン上に位置するため、ヘッドドライバ16のマスク回路204によりマスクされ、インクを吐出しない。キャリッジ3の5回目の移動が終了すると、連帳用紙32aが9ドットピッチ分搬送され、6回目の移動が実行され、第2〜第8ノズル(#2〜#8)にて7本のラスタラインが形成される。このとき、第1ノズル#1は、すでに形成されたラスタライン上に位置するため、ヘッドドライバ16のマスク回路204によりマスクされ、インクを吐出しない。キャリッジ3の6回目の移動が終了すると、上述したインターレース方式の印刷が可能となる。したがって、キャリッジ3の6回目以降の移動においては通常のインターレース方式印刷処理を実行する。すなわち、キャリッジ3の3回目の移動までの印刷処理が先端連続画像印刷処理となる。
そして、連帳用紙32aの印刷において、後端連続画像印刷処理と、先端連続画像印刷処理とにて、ページの境界部を印刷することにより、連帳用紙32aを逆方向に移動させる必要がない。また、前のページを印刷した後に連帳用紙32aと印刷ヘッド9との相対位置を変更しない。このため、連帳用紙32aを精度良く搬送することが可能である。また、連帳用紙32aの最初のページ及び最後のページを除くページにおいては、先端連続画像印刷処理、インターレース方式の印刷処理、後端連続画像印刷処理を繰り返し実行することにより、画像を各ページに各々連続して印刷することが可能である。このため、連帳用紙32aの各ページに、余白が形成されることなく高画質の画像をより早く印刷することが可能である。また、連帳用紙32aの最初のページ及び最後のページを除くページにおいては、印刷開始時には印刷ヘッド9と連帳用紙32aの各ページの先端との相対位置が常に同じ位置となるので、各ページに対し同様の印刷制御を繰り返すことにより印刷できるため印刷制御が容易になるという効果を奏する。
また、連帳用紙3aの最初のページを除いては、印刷ヘッド9の最初の移動の際に連帳用紙32aが搬送されされる位置、所謂初期位置を、連帳用紙32aにおける各ページの先端が、前記搬送方向の最上流側のノズルと前記最下流側のノズルとの中央となる位置を目標位置としている。これにより、各ページの印刷開始時には、各ページの先端より下流側に、ノズル列33が有するノズルのうち半数のノズルが配置されることになる。よって、用紙の先端側の領域や後端側の領域において、1ラスタライン毎の微小送りをしつつ同一ノズルにて印刷して空白の部位を埋める必要がない。このため、用紙の先端や後端の領域においても高画質の画像を印刷することが可能となる。特に、ノズル列の中央という特定の位置を初期位置とすることにより、用紙の搬送ピッチが異なる様々な印刷モードであっても初期位置を変更することなく印刷することが可能となり、印刷モードにかかわらず高画質の画像を印刷することが可能となる。
本実施形態においては、最初のページの先端の目標位置を、第1ノズル#1と第8ノズル#8との中央としなかったが、目標位置を第1ノズル#1と第8ノズル#8との中央としてもよい。この場合には、ノズル列33の中央付近に配置されたノズルが溝部25bと対向することになる。よって、ノズル列33の中央付近に配置されたノズルにより最初のページの先端をフチ無し印刷した後に、連帳用紙32aの外側の領域に、ノズル列が有するノズルの約半数が配置されていることになる。このため、連帳用紙32aの外側の領域に配置されたノズルにてインターレース移行処理を実行するため、インターレース移行処理にかかる時間を短縮することが可能である。
===その他の実施の形態===
以上、一実施の形態に基づき本発明に係る印刷システム等を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
上記実施形態においては、プリンタドライバ711をページ管理部とし、1ページ印刷する毎に、連帳用紙が有するページ数から1を減算して、ページを管理する例について説明したが、ページ管理部は必ずしもプリンタドライバとする必要はない。例えば、紙幅センサ54にて検出された連帳用紙32aの先端位置と、プリンタ10の紙搬送モータ1を駆動制御する信号とにて、連帳用紙32aの搬送量を把握することが可能である。このため、ユーザーにて入力された連通用紙32aサイズ、ページのサイズ、及びページ数と、連帳用紙32aの搬送量とから、連通用紙のページを管理してもよい。また、図4に示すように、連帳用紙32aの各ページの境界に切欠部32bやスリット、または、バーコード等を設け、用紙検出センサ20や、紙幅センサ54を用いて、切欠部32bの出力を検出することにより連通用紙のページを管理してもよい。この場合には、連帳用紙の位置、及び、ページの境界を直接検出するので、累積誤差が除去され、高精度に連帳用紙の位置を検出することが可能である。すなわち、ページ管理部は、プリンタドライバ711のみならず、用紙検出センサ20や紙幅センサ54の出力に基づいて、プリンタ10の制御部50にて実現することも可能である。前記センサは反射型、透過型の光センサや、接触式のメカニカルセンサなど、媒体に設けられた情報を検出可能であれば構わない。
図22は、本発明における他の実施例を説明するための図である。上記実施形態においては、ノズルピッチ間に3つのドットが形成される例について説明したため、ページの先端の目標位置となる第1ノズル#1と第8ノズル#8との中央がドットの真ん中となりページ境界にて、隣接するページ間にドットが跨ってしまったが、図22に示すように、ノズルピッチ間に形成されるドットの数が偶数である場合には、ページの先端の目標位置をドット間として、隣接するページ間にドットが跨ることなく印刷することが可能である。
また、上記実施形態においては、コンピュータと、このコンピュータと接続されたプリンタとを有する印刷システムについて説明したが、プリンタ10が入力部、及び、プリンタドライバを有しており、コンピュータによって実行していた処理をプリンタ10の制御部にて処理してプリンタのみにて実現することも可能である。
また、媒体として印刷用紙を例にとって説明したが、媒体として、フィルム、布、金属薄板等を用いてもよい。
また、上記実施の形態においては、印刷装置の一例としてカラーインクジェットプリンタについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、モノクロインクジェットプリンタについても適用可能である。