JP4399572B2 - ニッケル−亜鉛母合金の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−亜鉛母合金およびその製造方法に関し、特に、鋼材表面の耐食性の向上のために行う溶融亜鉛めっきの際にめっき浴の溶製とその浴組成の調整を行うために使用する、ニッケル−亜鉛母合金およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鋼材表面の腐食防止のために、溶融亜鉛めっき処理を施すことが行われている。しかし、亜鉛のみが溶解しためっき浴または亜鉛とアルミニウムが溶解しためっき浴によってめっき処理を行った場合には、鉄と亜鉛の合金層の異常成長によって、表面の光沢がなくなる黒色変化、いわゆるヤケ現象が生じ、品質の低下を招く場合がある。また、めっき処理品の表面に付着する亜鉛の量が部分的に増加する現象も見られる。この様な現象を防止するために、めっき浴にニッケルを添加してめっき処理を施すことが効果的であることが知られている。このニッケルの添加方法としては、ニッケル単体の融点が1455℃と高温であるため、通常はめっき浴にニッケル−亜鉛母合金を添加する方法を採っている。
【0003】
このニッケル−亜鉛母合金の製造方法としては、0.1〜0.5質量%のニッケルを含み且つ残部が亜鉛と不可避不純物よりなる亜鉛合金を650〜900℃に加熱溶融した後に冷却する方法(例えば、特許文献1参照)や、2.5質量%以下のニッケルを含み且つ残部が亜鉛と不可避不純物よりなる溶融亜鉛めっき浴用ニッケル−亜鉛母合金を製造する方法(例えば、特許文献2参照)のように、ニッケル含有量の少ないニッケル−亜鉛母合金の製造方法が提案されている。また、冷却時の温度条件を限定することにより、10質量%以下の高い含有率のニッケルと所定量の鉄およびカドミウムを含むニッケル−亜鉛母合金を製造する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−282435号公報(第2頁、左下欄第7−13行)
【特許文献2】
特公平3−13296号公報(第2頁、左上欄第2−12行)
【特許文献2】
特開平10−183267号公報(段落番号0007−0011)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般には、2質量%未満のニッケルを含むニッケル一亜鉛母合金を使用してめっき浴の調整を行っている。この様なニッケル一亜鉛母合金には、γ相(15質量%ニッケル−85質量%亜鉛)と言われるニッケル−亜鉛の化合物が存在している。この化合物の融点は約880℃であり、このニッケル一亜鉛母合金を亜鉛浴中に投入した場合には、ニッケル地金単体をめっき浴中に投入した場合と同様に、ニッケルを均一に分散させることは容易ではなく、目標とするニッケル濃度に調整することは困難である。また、ニッケルの添加時にニッケル−アルミニウム母合金を使用する場合があるが、亜鉛浴に溶解する場合には、融点が高いために溶解時間が長くなり、ドロスへの移行が増大する欠点がある。
【0006】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、亜鉛浴中のニッケル濃度を均一にし且つ溶解時間を短縮することができる、ニッケル−亜鉛母合金およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ニッケルの溶解時に亜鉛溶湯温度を高めにして溶解を行い、高温度(600℃以上)のまま鋳造して得られるニッケル−亜鉛母合金により、亜鉛浴中のニッケル濃度を均一にし且つ溶解時間を短縮することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明によるニッケル−亜鉛母合金の製造方法は、3〜15質量%のニッケルを含み且つ残部が亜鉛と不可避不純物からなる亜鉛合金を大気雰囲気中において600〜850℃の温度で加熱溶解することを特徴とする。
【0009】
また、本発明によるニッケル−亜鉛母合金は、3〜15質量%のニッケルを含み且つ残部が亜鉛と不可避不純物からなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明によるニッケル−亜鉛母合金の製造方法の実施の形態は、溶融亜鉛めっき浴調整用の母合金またはめっき浴組成のインゴット製造時の母合金として使用され、3〜15質量%のニッケルを含み且つ残部が亜鉛と不可避不純物からなる亜鉛合金を大気雰囲気中において600〜850℃の温度で加熱溶解することを特徴とする。
【0011】
大気中でニッケルを亜鉛溶湯に溶解する場合、亜鉛の沸点(906℃)より低い850℃付近が上限である。ニッケルの溶解時には高周波炉を使用しており、溶湯の外部撹拌はあえて必要ないため、溶湯表面には酸化膜が張った状態で静かに保持され、過度の酸化を防いでいる。一方、600℃以上で溶解を行うことにより合金中に存在するγ相を消失させ、亜鉛中のニッケル濃度を均一にすることが可能となる。また、鋳造温度を高温(600℃以上)にした理由は、ニッケル溶解終了後の鋳造時に溶湯の温度を600℃より低くすると、流動性の低下が見られ、鋳造作業に支障をきたすためである。
【0012】
このようにして得られたニッケル−亜鉛母合金は、ニッケルが均一に分散され且つ溶解時間が短く、ボトムドロスの発生がなく、亜鉛浴の調整に最適である。
【0013】
【実施例】
以下、本発明によるニッケル−亜鉛母合金およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0014】
[実施例1]
黒鉛ルツボ中で4N電気亜鉛地金を溶解し、600℃に達した時点でニッケルを入れて溶解を行い、5質量%Ni−Zn母合金を製造した。得られたニッケル−亜鉛母合金約10kgを500℃の亜鉛浴に投入し、ニッケル濃度が0.1質量%になるよう調整して溶解した。亜鉛浴には黒鉛ルツボを使用し、溶湯の量を500kgとした。ニッケル−亜鉛母合金の溶解終了後に、鋳型によって鋳造を行った。その際、ルツボ内の溶湯の上部、中間部および下部からサンプリングしてニッケル濃度を分析した結果および溶解時間を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
また、鋳造時における溶湯表面の浮遊ドロス、鋳造ドロスおよびボトムドロスを採取して重量を計量し、全体の溶湯重量に対する割合から、これらのドロスの発生率を算出した。その結果を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】
[実施例2]
実施例1と同様の方法により、7.5質量%Ni−Zn母合金を製造し、得られたニッケル−亜鉛母合金約7kgを500℃の亜鉛浴に投入し、ニッケル濃度、溶解時間およびドロスの発生率を確認した。これらの結果を表1および表2に示す。
【0019】
[実施例3]
実施例1と同様の方法により、10質量%Ni−Zn母合金を製造し、得られたニッケル−亜鉛母合金約5kgを500℃の亜鉛浴に投入し、ニッケル濃度、溶解時間およびドロスの発生率を確認した。これらの結果を表1および表2に示す。
【0020】
[比較例1、2]
20質量%Ni−Al母合金を500℃の亜鉛浴に投入し、ニッケル濃度が0.1質量%になるように調整して溶解した。亜鉛浴には黒鉛ルツボを使用し、溶湯の量を500kgとした。母合金の溶解終了後に、鋳型によって鋳造を行った。その際、ルツボ内の溶湯の上部、中間部および下部からサンプリングしてニッケル濃度を分析した結果および溶解時間を表1に示す。表1に示すように、20質量%Ni−Al母合金の溶解時間が20分の時(比較例2)には、Niがほとんど検出されておらず、未溶解の状態であった。また、鋳造時における溶湯表面の浮遊ドロス、鋳造ドロスおよびボトムドロスの発生率を確認した結果を表2に示す。
【0021】
表1および表2の結果から明らかなように、実施例1〜3により得られたニッケル−亜鉛母合金を使用することにより、亜鉛溶湯内でニッケルが均一に分散していることが確認できる。また、比較例1と比べて母合金の溶解時間を大幅に短縮することもできる。また、溶解時間が短くなったことにより、発生するドロス量も低減し、ボトムドロスの発生率は0%であった。
【0022】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、3〜15質量%のニッケルを含むニッケル−亜鉛母合金を亜鉛溶湯内で溶解した場合でも、ニッケルが均一に分散し、ドロスへの移行が認められないことが確認でき、溶解時間も大幅に短縮できることから、コストを低減し、作業効率を向上させることができる。
Claims (1)
- 3〜15質量%のニッケルを含み且つ残部が亜鉛と不可避不純物からなるニッケル−亜鉛合金の製造方法において、亜鉛を溶解した後、600℃に達した時点でニッケルを加えて、大気雰囲気中において600〜850℃の温度で加熱溶解することにより、3〜15質量%のニッケルを含み且つ残部が亜鉛と不可避不純物からなる亜鉛合金を製造することを特徴とする、ニッケル−亜鉛母合金の製造方法。
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