JP5021873B2 - 延性に優れたチタン板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、延性に優れたチタン板およびその製造方法に関する技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
JIS H 4600に規定されるチタン(Ti)は、耐食性に優れるものであり、かつ軽量でもあることから、熱交換器等の化学工業設備や、カメラボディー、時計、眼鏡、レジャー用品等の民生品にも用途が広がってきている。これらの製品は板から塑性加工して製造されるため、チタン板は強度・延性、成形性等の機械的性質に優れていることが要求される。
【0003】
チタン板の延性を向上させる試みは、これまで種々なされ、検討されており、例えばFe量、O量を或る量以下に抑制したり、結晶粒径を粗大化させたりすることにより延性の改善がなされてきている(例えば、特開平10−30160号公報参照)。一方、チタン板の要求特性として強度レベルもあり、Fe、Oは強度を増大させる目的で添加されているが、添加しすぎると延性が劣化し、所望の特性を満たし得なくなる。つまり、添加元素増大による強度向上と延性向上とが両立することは、現状の技術レベルでは難しかった。
【0004】
また、成形性という観点では、上記強度・延性の特性の面内異方性も影響因子であり、従来のチタン板では圧延方向の特性と圧延垂直方向(圧延方向と垂直な方向、即ち、板幅方向)の特性との異方性が強く、例えば耐力は圧延方向の方が低いため、圧延方向の耐力レベルが要求特性を満たさない場合、予ひずみを加えることで耐力レベルを上げることがなされているが、その場合、予ひずみによって延性が劣化することによって成形性が劣化する問題があり、成形性の向上にも限界があった。さらに、成形部品によっては深絞り性も要求され、そのための深絞り性指標であるr値の向上に関しても従来の技術では不充分であった。
【0005】
このような中で、延性向上の要求はますます厳しくなってきており、強度と延性とを高次のレベル(高水準)で両立させることが要求されるようになってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に着目してなされたものであって、その目的は、チタン板の強度を低下させることなく延性を向上させ、強度と延性とを高次のレベルで兼ね備えたチタン板およびその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るチタン板およびその製造方法は、請求項1,2記載のチタン板、請求項3,4記載のチタン板の製造方法としており、それは次のような構成としたものである。
【0008】
即ち、請求項1記載のチタン板は、H,O,N,Fe量がJIS H 4600の1種または2種に規定される量であり、C:50〜800質量ppm、Al:100〜5000質量ppmを含有し、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする延性に優れたチタン板である。
【0010】
請求項2記載のチタン板は、溶解法としてコールドクルーシブル誘導溶解法が用いられて製造された請求項1記載の延性に優れたチタン板である。
【0012】
請求項3記載のチタン板の製造方法は、VAR法あるいはコールドクルーシブル誘導溶解法による溶解、鋳造をすることにより、H,O,N,Fe量がJISH 4600の1種または2種に規定される量であり、C:50〜800質量ppm、Al:100〜5000質量ppmを含有し、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有するチタン材を得、次に、このチタン材を熱間加工および/または冷間加工を施して板形状に加工し、この後、最終焼鈍することを特徴とする延性に優れたチタン板の製造方法である。
【0013】
請求項4記載のチタン板の製造方法は、前記溶解をするに際し、Al炭化物を溶湯中に添加する請求項3記載の延性に優れたチタン板の製造方法である。
【0014】
ここで、ppmは、質量ppm(質量比でのppm)、即ち、質量百万分率であり、以下、単にppmと記載することもある。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、例えば次のような形態で実施する。
コールドクルーシブル誘導溶解法による溶解をし、この後、鋳造をすることにより、H,O,N,Fe量がJIS H 4600の1種または2種に規定される量であり、C:50〜800ppmを含有し、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有するチタン材(鋳塊)を得る。次に、このチタン材を熱間加工および/または冷間加工を施して板形状に加工し、この後、最終焼鈍する。そうすると、本発明に係る延性に優れたチタン板が得られる。このとき、更にAl:100〜5000ppmを含有するようにすると、深絞り性指標であるr値にも優れたチタン板が得られる。
【0016】
かかる形態で本発明に係るチタン板の製造方法が実施され、そして本発明に係る延性に優れたチタン板が得られる。
【0017】
本発明は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、得られた新規な知見に基づき完成されたものである。この詳細を以下説明する。
【0018】
本発明者らは、前記目的を達成するために研究を重ねた結果、JIS H 4600の1種または2種に相当するチタン板においてCを50〜800ppm添加することにより、特にチタン板の圧延垂直方向の延性を低下させることなく、圧延方向の強度・延性のレベルを向上させ、強度と延性とを高次のレベル(高水準)で両立させることができることを見出した。このメカニズムは明らかではないが、Cの効果についてこれまで調査された例はなく、ましてや上記の如き知見は従来得られておらず、新規な知見である。
【0019】
Cの効果についてこれまで検討されてこなかった理由は、以下の通りである。従来、Ti(チタン)の溶解は消耗電極式アーク溶解法といわれる方法により行われている(例えば、日刊工業新聞社、「金属チタンとその応用」、草道英武 編集、p.16 〜参照)。この消耗電極式アーク溶解法は、Ti溶解原料そのものを押し固めて断面の大きい大型の電極(消耗電極)を作り、水冷銅ルツボにつり下げ、先端で銅ルツボ中の溶湯との間に直流アークを発生させ、電極それ自体が溶け落ちて溶湯プールを作り、溶滴が集まった溶湯プールは下側から冷却されて凝固し、一方向凝固に近い方式で鋳塊を製造する方法である。この方法では、スポンジチタンを合金原料と共にプレス成形してブリケットとし、これを溶接して消耗電極とする。従って、消耗電極の場所毎に合金成分の量(濃度)が異なってくるため、その均質化が必要となるが、この方法では前述したように消耗電極全体を一度に溶融するのではなく、部分的に溶融した部分だけで再凝固するために合金成分の均質化は不充分になる。そこで、通常は初回溶解で得た鋳塊を消耗電極として再度溶解する二重溶解が行われている。しかし、数百ppmレベル以下のCの均一分散化は、上記の如き溶解方法でも非常に困難であったため、C添加の発想自体がこれまでなく、C添加の効果については検討されてこなかった。
【0020】
これに対して新しい溶解方法としてコールドクルーシブル誘導溶解法という方法が実用化されつつある(例えば、草道龍彦他、神戸製鋼技報、Vol.49、No.3、1999年、p.13 〜14参照)。これは、真空誘導溶解法での耐火ルツボを、水冷銅製の多数のセグメントで構成されるルツボに置き換えた溶解方法である。この溶解方法では、消耗電極式アーク溶解法と異なり、溶解原料全てを一括溶融する方式であるため、消耗電極式アーク溶解法の場合のような不均質化が起こり難く、また、溶湯成分の調整が容易となるため、微量添加元素の調整が可能となり、その均一分散化が可能となる。
【0021】
そこで、コールドクルーシブル誘導溶解法によりCを添加した組成のチタン材を製造し、これを用いてチタン板を製造した。その結果、Cの添加量が数百〜数十ppmレベルの如く微量であっても、数ppmの如く極微量であっても、Cの均一分散化が可能であることが確認されると共に、C:50〜800ppmの添加により、特にチタン板の圧延垂直方向の延性を低下させることなく、圧延方向の強度・延性のレベルを向上させ、強度と延性とを高次のレベルで両立させることができることがわかった。
【0022】
さらに、従来はJIS H 4600の1種または2種に相当するチタン板においてAlを添加することは延性を劣化させるものであり好ましくないとの考え方が一般的であったのであるが、本発明者らの更なる研究および検討により、CとAlを微量に複合添加することによって深絞り性指標のr値が向上することが明らかになった。このメカニズムは現在のところ明らかではないが、CとAlの複合添加の効果についてはこれまで調査された例はなく、ましてや上記の如き知見は従来得られておらず、新規な知見である。また、このようなAlとCの複合添加に際し、これをAl4C3 等のAl炭化物の形で添加することで、添加量を増大しても、溶解時の不均質化を低減させることができることも見出した。従って、Al炭化物の形でAlとCを複合添加添加すれば、通常の量産方法であるVAR法でも添加が容易となることがわかった。
【0023】
本発明は、かかる知見に基づき完成されたものであり、本発明に係るチタン板は、前述のように、H,O,N,Fe量がJIS H 4600の1種または2種に規定される量であり、C:50〜800質量ppmを含有する。従って、本発明のチタン板は、強度と延性とを高次のレベルで兼ね備えたチタン板であることとなる。
【0024】
また、本発明に係るチタン板は、前述の如く、更にAl:100〜5000質量ppmを含有する。即ち、このチタン板は、H,O,N,Fe量がJIS H 4600の1種または2種に規定される量であり、C:50〜800質量ppm、Al:100〜5000質量ppmを含有し、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするものである。従って、このチタン板は、強度と延性とを高次のレベルで兼ね備えると共に、深絞り性指標のr値が向上して優れたチタン板であることとなる。
【0025】
ここで、C:50〜800質量ppmとしているのは、C:50質量ppm未満の場合にはチタン板の圧延方向の延性向上の効果が小さくて不充分であり、C:800質量ppm超の場合にはチタン板の強度が上昇しすぎて延性が劣化して不充分となるからである。尚、従来のチタン板の場合、一般的には30質量ppm以下のCが不可避的に含まれているが、この程度のC量では延性を改善し得ない。
【0026】
Al:100〜5000質量ppmとしているのは、Al:100質量ppm未満の場合にはr値の向上効果が小さくて不充分であり、Al:5000質量ppm超の場合にはチタン板の強度が上昇しすぎて延性が劣化し、成形性が劣化するからである。尚、通常JIS H 4600の1種または2種に規定されるチタン板においては、Alは積極的に添加される元素ではなく、何らかの形で混入したとしても大抵は検出限界以下の程度であった。
【0027】
H,O,N,Fe量がJIS H 4600の1種に規定される量であることとは、H:0.013質量%以下,O:0.15質量%以下,N:0.05質量%以下,Fe:0.20質量%以下であることである(但し、いずれの場合も0質量%を含む)。H,O,N,Fe量がJIS H 4600の2種に規定される量であることとは、H:0.013質量%以下,O:0.20質量%以下,N:0.05質量%以下,Fe:0.25質量%以下であることである(但し、いずれの場合も0質量%を含む)。
【0028】
上記元素(H,O,N,Fe)の中、OもFeも強度を向上させる働きがあるが、これらはいずれも添加しすぎると強度が上昇しすぎて延性が劣化する。かかる点から、O,Fe量はJIS H 4600の1種または2種に規定される量としており、このO,Fe量の範囲において前記C添加(C:50〜800ppm)の効果は同等である。H及びNは不可避的不純物に属する元素であり、チタン板の機械的性質等の特性を劣化させる働きがあるので、少ない方がよいが、JIS H 4600の1種または2種に規定される量であれば前記特性の劣化といった支障はないことから、かかるH,N量としている。
【0029】
本発明に係るチタン板においてCは極めて重要な添加元素であり、前記の如くC:50〜800ppmとしているが、C:120〜600ppmとすることが望ましく、そうすると強度と延性とをより高次のレベルで兼ね備えることができる。更に、C:250〜500ppmとすることは一層望ましく、強度と延性とをさらに高次のレベルで兼ね備えることができる。
【0030】
本発明に係るチタン板は、歩留まり等の問題を考慮しなければ、従来の通常の製造プロセス(消耗電極式アーク溶解法による溶解、再溶解、鋳造、熱間鍛造、熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍)によっても製造することができる。即ち、従来の通常の製造プロセスにおいて、溶解時に適当量のCを含有させて製造すれば、Cは均一には分散しないものの、得られるチタン板の部位を細かく分析すれば、チタン板はあたかも様々なC量を持ったチタン片の集合のようなものであり、場合によっては必要なC量範囲を有する箇所も存在しうる。このようなC量範囲を有する領域のものが使用可能な用途であれば、歩留まりはともかく、この領域からチタン板を切り出し、使用することが可能である。従って、このような場合も考えれば、本発明に係るチタン板を製造する際の条件や方法は特には定める必要はない。
【0031】
しかしながら、Cの均一分散化を効率よく達成すると共に歩留まりを向上するためには、チタン板の製造の際の溶解法としてコールドクルーシブル誘導溶解法を採用することが推奨される。コールドクルーシブル誘導溶解法によれば、前述の如くCの添加量が微量であってもCの均一分散化が可能であるからである。
【0032】
このような点から、本発明に係るチタン板は溶解法としてコールドクルーシブル誘導溶解法が用いられて製造されたものであることが望ましい。このチタン板はCの均一分散化がなされ、機械的特性の均一性に優れている。
【0033】
一方、本発明に係るチタン板の製造方法としては、溶解をコールドクルーシブル誘導溶解法により行う方式のものを採用することが望ましい。このような
製造方法として、より具体的には次のような製造方法を挙げることができる。即ち、その製造方法は、コールドクルーシブル誘導溶解法による溶解をした後、鋳造をすることにより、H,O,N,Fe量がJIS H 4600の1種または2種に規定される量であり、C:50〜800ppmを含有し、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有するチタン材を得、次に、このチタン材を熱間加工および/または冷間加工を施して板形状に加工し、この後、最終焼鈍することを特徴とするものである。この製造方法によれば、Cの均一分散化がなされ、高度の歩留まりで、本発明に係るチタン板を得ることができる。
【0034】
Alも含有するチタン板の製造方法としては、VAR法により行う方式のものも採用することができる。このような製造方法として、より具体的には次のような製造方法を挙げることができる。即ち、その製造方法は、VAR法あるいはコールドクルーシブル誘導溶解法による溶解、鋳造をすることにより、H,O,N,Fe量がJIS H 4600の1種または2種に規定される量であり、C:50〜800ppm、Al:100〜5000ppmを含有し、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有するチタン材を得、次に、このチタン材を熱間加工および/または冷間加工を施して板形状に加工し、この後、最終焼鈍することを特徴とするものである。
【0035】
尚、AlとCの複合添加に際し、Al炭化物の形でAlとCを複合添加すれば、通常の量産方法であるVAR法においても添加が容易となる。
【0036】
このようなAl炭化物の添加は、溶解の際にAl炭化物を溶湯中に添加する方法により行うことができる。また、VAR法により溶解をする場合には、その原料の電極中に予め混在させ、これをVAR溶解することによっても行うことが可能である。
【0037】
【実施例】
本発明の実施例及び比較例を以下説明する。尚、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0038】
〔C含有チタン材に関する参考例及び比較例〕
原料をコールドクルーシブル誘導溶解法により溶解をし、溶湯温度を1700℃程度に保持してからC粉末(カーボン粉末)を添加し、30分間保持した後に鋳造してチタン材(チタン鋳塊)を得た。次に、このチタン材を950℃に加熱して40.0mmの厚さになるまで熱間鍛造をした後、850℃の温度にて厚さ4.0mmになるように熱間圧延した。次に、熱間圧延後のものをスケールを除去してから、圧下率86%の冷間圧延をし、この後、最終焼鈍して厚み:0.5mmのチタン板を作製した。
【0039】
このチタン板は、Fe,O,C量が表1に示す量であり、H量が0.013質量%以下,N量が0.05質量%以下であり、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有するものである。また、最終焼鈍後のものにおいて平均結晶粒径は80μm であった。
【0040】
このようにして得られたチタン板について、JIS13号B型試験片による引張り試験を行い、圧延方向及び圧延垂直方向の耐力及び全伸びを測定した。尚、一部(試験No.9)のものについては、予ひずみを付与した後、引張り試験を行った。
【0041】
上記引張り試験の結果を表2に示す。本発明の参考例に係るチタン板(本発明参考材:表1および表2には本発明材と記載)は、同レベルの耐力を有する比較例に係るチタン板(比較材)に比べて伸びに優れていることがわかる。即ち、本発明参考材と比較材とを同レベルの耐力を有するもの同士で比較すると、本発明参考材は比較材に比べて伸びが大きく、延性に優れていることがわかる。従って、本発明参考材は、比較材に比べて伸び/耐力の値が大きく、強度と延性とを高次のレベルで兼ね備えたチタン板であることがわかる。
【0042】
〔C及びAl含有チタン材に関する実施例及び比較例〕
Al4C3 というAl炭化物の形でAl及びCを混合した原料をVAR法により溶解し、鋳造してチタン材(チタン鋳塊)を得た。次に、このチタン材を950℃に加熱して40.0mmの厚さになるまで熱間鍛造をした後、850℃の温度にて厚さ4.0mmになるように熱間圧延した。次に、熱間圧延後のものをスケールを除去してから、圧下率86%の冷間圧延をし、この後、最終焼鈍して厚み:0.5mmのチタン板を作製した。
【0043】
このチタン板は、Fe,O,C量、及び、Al量が表3に示す量であり、H量が0.013質量%以下,N量が0.05質量%以下であり、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有するものである。また、最終焼鈍後のものにおいて平均結晶粒径は70μm であった。
【0044】
このようにして得られたチタン板について、JIS13号B型試験片による引張り試験を行い、圧延方向及び圧延垂直方向の耐力および全伸びを測定した。また、圧延方向のr値の測定も行った。このr値の測定は、ひずみ10%で測定した。
【0045】
上記引張り試験の結果およびr値の測定結果を表4に示す。本発明の実施例に係るチタン板(本発明材)は、同レベルの耐力を有する比較例に係るチタン板(比較材)に比べてr値に優れていることがわかる。即ち、本発明材と比較材とを同レベルの耐力を有するもの同士で比較すると、本発明材は比較材に比べてr値が大きいことがわかる。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
本発明に係るチタン板は、伸び/耐力の値が大きく、強度と延性とを高次のレベルで兼ね備えており、このため、強度と延性とを高次のレベルで両立させることができると共に、深絞り性指標のr値が向上して、ひいては、成形性の向上がはかれ、また、これが使用される機器、部品等の品質・特性の向上がはかれ、更にはチタン板の新規用途開発に寄与し得るようにもなるという顕著な作用効果を奏する。
【0051】
本発明に係るチタン板の製造方法は、上記の如き顕著な作用効果を奏するチタン板を、Cの均一分散化がなされ、高度の歩留まりで得ることができるようになるという顕著な作用効果を奏する。
Claims (4)
- H,O,N,Fe量がJIS H 4600の1種または2種に規定される量であり、C:50〜800質量ppm、Al:100〜5000質量ppmを含有し、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする延性に優れたチタン板。
- 溶解法としてコールドクルーシブル誘導溶解法が用いられて製造された請求項1記載の延性に優れたチタン板。
- VAR法あるいはコールドクルーシブル誘導溶解法による溶解、鋳造をすることにより、H,O,N,Fe量がJIS H 4600の1種または2種に規定される量であり、C:50〜800質量ppm、Al:100〜5000質量ppmを含有し、残部がチタン及び不可避的不純物からなる組成を有するチタン材を得、次に、このチタン材を熱間加工および/または冷間加工を施して板形状に加工し、この後、最終焼鈍することを特徴とする延性に優れたチタン板の製造方法。
- 前記溶解をするに際し、Al炭化物を溶湯中に添加する請求項3記載の延性に優れたチタン板の製造方法。
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