JP4398369B2 - aPC非中和抗体 - Google Patents

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Description

本発明は活性化プロテインCの非中和抗体に関する。
下肢関節置換術、あるいは開腹手術後には高頻度で静脈血栓症が発症する。現在その治療は主として低分子ヘパリンおよびワーファリンにより予防的に行われている。しかし低分子ヘパリンは連日の皮下投与が必要であり、ワーファリンは経口投与であるがタンパク結合率が非常に高いため他薬との相互作用により併用には制限がある。またいずれの薬物も出血傾向を呈する。したがって、作用が長時間持続し出血傾向を呈さない抗血栓薬があれば、術直後および退院直前に投与する事により、血栓症を予防しかつ患者のQOLを向上させることができる。その他の血栓症についても、特に作用持続の長い抗血栓薬の開発が望まれている。
血栓は血小板と血液凝固系が活性化することにより形成され、一般には動脈血栓には血小板が、静脈血栓には凝固系が主として働くと考えられている。血液凝固系が活性化され生成されたトロンビンは血栓網の主体となるフィブリンを生成するとともに、血管内皮上に存在するトロンボモデュリンと結合して性質が変化し、プロテインC(protein C;PC)を活性化させる。活性化されたPC(activated protein C;aPC)はプロテインS(protein S)を補酵素として、Factor VaおよびVIIIaを不活化し凝固系の回転を抑制する方向に働く。またaPCはPAI−1(Plasminogen Activator Inhibitor−1)やTAFI(Thrombin Activatable Fibrinolysis Inhibitor)などの線溶阻害物質抑制作用も有するため、線溶系を促進する。したがってPCおよびaPCは活性化した血液凝固系に対するネガテイブフィードバック機構として重要な働きをすると考えられており、実際、先天性PC欠乏症、あるいはFactor Va変異によるaPC不応症は血栓症の発現因子の一つであることからもaPCは血栓症の治療および予防に有効であると考えられる。
一方、敗血症にはこれまで効果的な薬剤が存在しなかったが、最近になってリコンビナントaPCが敗血症の治療に有効であることが報告されている(N.Engl.J.Med.2001,344:699−709)。また、aPCが血管内皮に作用し抗炎症作用を有することが示唆されており(J.Biol.Chem.2001,276:11199−11203)、敗血症モデルにおいてトロンビンの産生抑制以外の作用で抗炎症作用を発揮することも報告されている(J.Clin.Invest.1987,79:918−25)。
しかしながらaPCは血中半減期が20〜30分と非常に短いために、静脈内持続投与や長期にわたる連続投与が必要である。半減期が短い理由は、aPCが生体内の生理的な阻害物質、すなわちプロテインCインヒビター(protein C inhibitor;PCI)やα1アンチトリプシン(α1−antitrypsin;AAT)により非可逆的に不活化されることによる。また、もしaPCの前駆体であるPCを製剤化したとしても生体内半減期は6〜8時間と短く、持続あるいは頻回投与が必要となり医療経済学的に非効率である。
前述の通り、aPCは血液凝固系のフィードバックとして機能するため、その生成と作用は凝固系が活性化されている局所に限定されている。したがってaPCを全身投与する場合には、必要とされる局所へ供給し、かつ不活化による消費を補うために大量持続投与せざるを得ない。局所で内因性に生成されるaPCの作用を増強する薬物があれば、作用は限定的で、しかも通常は薬物そのものは消費されないため、少量かつ一度の投与で作用が持続することになり効率的である。そこで本発明者らは、aPCの不活化を抑制し半減期を延長することにより内因性aPCの作用を増強することができる薬剤の開発を行った。
このために本発明者らは、aPCに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのクローニングを行った。そしてハイブリドーマの大規模なスクリーニングにより、血中におけるaPCの不活性化を抑制する抗体をスクリーニングした結果、aPCの不活性化を強く抑制する抗aPC抗体を単離することに成功した。これらの抗体は、PCIによるaPCの不活性化も抑制することが確認された。本発明の抗体は、aPCの不活性化の抑制を通して血液凝固系の働きを抑制するため、血栓症の治療および予防のために極めて有用である。また本発明の抗体は、敗血症等の治療において、aPCと併用して、あるいは単独で用いることにより、血中におけるaPCの不活化を抑制することによりaPCの作用を増強し、治療する薬剤として利用することができる。
すなわち本発明は、aPCの不活性化を抑制する抗aPC抗体およびその利用に関し、より具体的には、
(1)プロテインCもしくは活性化プロテインC(aPC)に対する抗体であって、生体内において活性化プロテインCの作用を増強する活性を有する抗体、
(2)プロテインCもしくは活性化プロテインCに対する抗体であって、生体内での活性化プロテインCの不活性化を抑制する活性を有する抗体、
(3)プロテインCもしくは活性化プロテインCに対する抗体であって、(a)血液による活性化プロテインCの不活性化、または(b)活性化プロテインCの生理的な阻害物質による活性化プロテインCの不活性化、あるいはそれらの両方を抑制する活性を有する抗体、
(4)活性化プロテインCの生理的な阻害物質がセリンプロテアーゼインヒビター(SERPINs)である、(3)に記載の抗体、
(5)セリンプロテアーゼインヒビター(SERPINs)がプロテインCインヒビターまたはα1−アンチトリプシンである、(4)に記載の抗体、
(6)(1)から(3)のいずれかに記載の抗体であって、以下の(a)から(f)のいずれかのアミノ酸配列からなる相補性決定領域またはこれと機能的に同等の相補性決定領域を有する抗体、
(a)配列番号:9、10、および11に記載のアミノ酸配列、
(b)配列番号:21、22、および23に記載のアミノ酸配列、
(c)配列番号:31、32、および33に記載のアミノ酸配列、
(d)配列番号:24、25、および34に記載のアミノ酸配列、
(e)配列番号:15、16、および17に記載のアミノ酸配列、
(f)配列番号:27、28、および29に記載のアミノ酸配列、
(7)抗体がヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、抗体断片、一本鎖抗体、およびダイアボディーからなる群より選択される、(1)から(3)のいずれかに記載の抗体、
(8)(1)から(3)のいずれかに記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む組成物、
(9)さらにプロテインCおよび/または活性化プロテインCを含む、(8)に記載の組成物、
(10)活性化プロテインCの活性の低下ないしは不足によって発症および/または進展する疾患の予防または治療に用いられる医薬組成物である、(8)または(9)に記載の組成物、
(11)疾患が血液凝固反応の亢進および/または炎症反応の亢進によって惹起される疾患である(10)に記載の組成物、
(12)血液凝固反応の亢進および/または炎症反応の亢進によって惹起される疾患が、敗血症、播種性血管内凝固症候群、動脈血栓症、および静脈血栓症からなる群より選択される、(11)に記載の組成物、
(13)(1)から(3)のいずれかに記載の抗体をプロテインCまたは活性化プロテインCに接触させる工程を含む、不活性化が抑制されたプロテインCまたは活性化プロテインCの製造方法、
(14)活性化プロテインCの活性の低下ないしは不足によって発症および/または進展する疾患を予防または治療する方法であって、(a)プロテインCおよび/または活性化プロテインC、並びに(b)(1)から(3)のいずれかに記載の抗体、を投与する工程を含む方法、
(15)活性化プロテインCの活性の低下ないしは不足によって発症および/または進展する疾患の予防または治療に使用されるキットであって、(a)プロテインC、活性化プロテインC、および(1)から(3)のいずれかに記載の抗体からなる群から選択される少なくとも一つ、および(b)治療有効量のプロテインCおよび/または活性化プロテインCと該抗体とを併用することの記載または該記載へのリンクを含む記録媒体、を含むキット、に関する。
本発明は、aPCの不活性化を抑制し、半減期を延長するaPCの非中和抗体を提供する。本発明者らは、aPCの非中和抗体の中には、血中においてPCIまたはAATによりaPCの抗血液凝固作用が不活性化されるのを防止することによりaPCの生体内での寿命を延長させて活性を増強することが可能な抗体が存在することを見出した。ここでaPCの不活性化とは、aPCの生物学的活性の低下または喪失を言う。具体的には、aPCの不活性化とは、血液あるいはPCIまたはAAT等の生体内の生理的な阻害物質によりaPCが非可逆的に不活性化されることを言う。具体的には、例えばaPCの抗血液凝固作用が不活性化されることである。aPCは、例えばaPCを血漿中でインキュベートすることにより不活性化される。また、PCIまたはAAT等の生体内の阻害物質と接触させることによっても不活性化される。本発明の抗体は、血漿および/またはaPCの生理的阻害物質(PCIなど)によるaPCの不活性化を抑制する抗体である。本発明の抗体を用いれば、生体内でのaPCの不活性化を抑制し、生体内における活性化プロテインCの作用を、該抗体がない場合に比べて相対的に増強することが可能である。aPCの不活性化の抗体による抑制は、実施例に記載されたような方法またはその他の方法により測定することができる。具体的には、例えば被検抗体とaPCとをインキュベートし、その後または同時に、該aPCを血漿またはPCI等のaPC阻害物質とインキュベートした後、aPCの活性を測定する。該抗体とインキュベートしないaPCを血漿またはaPC阻害物質とインキュベートした対照に比べ、aPCの不活性化の程度を減少させる抗体は、aPCの不活性化を抑制する活性を有すると判断される。aPCの活性としては、抗血液凝固作用が挙げられ、例えば公知の方法によりAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を測定して定量することができる。あるいは発色基質pyroGlu−Pro−Arg−pNA・HCl(S−2366)などの低分子化合物を用いてaPC活性をアッセイすることも可能である。
aPCの生理的な阻害物質としては、例えばセリンプロテアーゼインヒビター(SERPINs)が挙げられ、特にプロテインCインヒビター(PCI,Suzuki,K.et al.,J.Biol.Chem.1983,258:163−168;Suzuki,K.,Fibrinolysis Proteolysis 2000,14:133−145 Suzuki,K.et al.,J.Biol.Chem.1987,262:611−616;Zechmeister−Machhart,M.et.al.,Gene,186,61−66,1997;Wakita,T.et.al.,FEBS Lett.,429,263−268,1998;Yuasa,J.et.al.,Thromb.Haemost.83,262−267,2000)およびα1−アンチトリプシン(AAT,Heeb,M.J.and Griffin,J.H.,J.Biol.Chem.1988,263:11613−11616)を例示することができる。
また本発明は、aPCに対する抗体であって、
i)aPCに対する抗体を結合させたまたは結合させていないaPCの、血液による不活性化を測定する工程、
ii)該抗体を結合させていないaPCに比べ、該抗体を結合させたaPCの該不活性化が抑制されるような抗体を選択する工程、により得ることができる抗体を提供する。
また本発明は、aPCに対する抗体であって、
i)aPCに対する抗体を結合させたまたは結合させていないaPCの、aPC不活性化因子による不活性化を測定する工程、
ii)該抗体を結合させていないaPCに比べ、該抗体を結合させたaPCの該不活性化が抑制されるような抗体を選択する工程、により得ることができる抗体を提供する。
血液としては、全血または血漿であってよい。またaPC不活性化因子としては、aPCの生理的な阻害物質が挙げられ、例えばPCIおよびAATが例示できる。aPCに対する抗体をaPCに結合させるには、両者を溶液中で共存させればよく、例えば両者を含む溶液を5分〜数時間、例えば1時間程度インキュベートすることができる。血液またはaPC不活性化因子によるaPCの不活性化は、例えば血液またはaPC阻害物質とaPCとを共存させることにより実施することができ、例えば両者を含む溶液を5分〜数時間、例えば1時間程度インキュベートすることにより実施することができる。
本発明の抗aPC抗体は、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、またはそれらの抗体の変異体であってもよい。均質な抗体を安定に生産できる点でモノクローナル抗体が好ましい。
本発明における「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体の集団、即ち、集団を構成する個々の抗体が、天然において起こり得る少量で存在する変異体を除いては均一である抗体集団から得られた抗体を指す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して作用するものである。さらに、異なる抗原決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含む慣用なポリクローナル抗体調製物と比べて、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の抗原決定基に向けられる。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンにより汚染されていないハイブリドーマ培養により合成される点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体の集団より得られた抗体の特性を示唆するものであって、抗体が特定の方法により製造されることを限定するものではない。例えば、本発明において用いられるモノクローナル抗体を、例えばハイブリドーマ法(Kohler and Milstein,Nature 256:495(1975))、または、組換え方法(米国特許第4,816,567号)により製造してもよい。本発明において使用するモノクローナル抗体はまた、ファージ抗体ライブラリーから単離してもよい(Clackson et al.,Nature 352:624−628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991))。本発明におけるモノクローナル抗体には、特に、重鎖(H鎖)及び/または軽鎖(L鎖)の一部が特定の種、または特定の抗体クラス若しくはサブクラス由来であり、鎖の残りの部分が別の種、または別の抗体クラス若しくはサブクラス由来である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、抗体変異体、並びに抗体の断片が含まれる(米国特許第4,816,567号;Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855(1984))。
本発明において、「抗体変異体」とは、1またそれ以上のアミノ酸残基が改変された、抗体のアミノ酸配列バリアントを指す。例えば、抗体の可変領域を、抗原との結合性等の抗体の生物学的特性を改善するために改変することができる。このような改変は、部位特異的変異(Kunkel,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488(1985)参照)、PCR変異、カセット変異等の方法により行うことができる。このような変異体は、抗体の重鎖若しくは軽鎖の可変領域のアミノ酸配列と少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、そして、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列の同一性を有する。本明細書において配列の同一性は、配列同一性が最大となるように必要に応じ配列を整列化し、適宜ギャップ導入した後、元となった抗体のアミノ酸配列の残基と同一の残基の割合として定義される。
具体的には、塩基配列およびアミノ酸配列の同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877,1993)によって決定することができる。このアルゴリズムに基づいて、BLASTNおよびBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul et al.J.Mol.Biol.215:403−410,1990)。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(NCBI(National Center for Biotechnology Information)のBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)のウェブサイトを参照;http://www.ncbi.nlm.nih.gov)。
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は当業者に周知の方法により作製することができる。例えば以下の方法により作製することができる。
動物の免疫に用いるaPCとしては、組換えDNA法又は化学合成により調製したaPCのアミノ酸配列の全部若しくは一部のペプチドなどが挙げられる。ヒトおよびその他の哺乳動物のaPCのアミノ酸配列は公知である(Mather,T.et al.,EMBO J.15:6822−6831(1996);Foster,D.C.,Proc.Natl.Acad.Sci.82:4673−4677(1985))。例えば、市販のaPC(protein C activated,from human plasma(ヒト血漿由来),SIGMA,#P2200)を抗原として用いることができる。抗原としてはaPCまたはその部分ペプチド自体を用いることもできるし、キャリアー蛋白質に結合させて免疫することもできる。キャリアー蛋白質を用いる場合は、例えば抗原であるaPCをキャリアー蛋白質(例えばサイログロブリン)に結合させた後、アジュバントを添加する。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイントの不完全なアジュバント等が挙げられ、これらの何れのものを混合してもよい。
上記のようにして得られた抗原を哺乳動物、例えばマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウマ、サル、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどの哺乳動物に投与する。免疫は、既存の方法であれば何れの方法をも用いることができるが、主として静脈内注射、皮下注射、腹腔内注射などにより行う。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔で、好ましくは4〜21日間隔で免疫する。抗原蛋白質の免疫量は1回にマウス1匹当たり、例えば10〜100μg(例えば20〜40μg)を用いることができるが、これに制限されない。
初回免疫前および2回目以降の免疫から3〜7日後に動物から採血し、血清を抗体力価について分析する。また、免疫応答を増幅するため、ミョウバン等の凝集剤が好ましくは用いられる。選択された哺乳動物抗体は通常、抗原に対して十分に強い結合親和性を有する。抗体の親和性は、飽和結合、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、及び競合分析(例えば、放射性免疫分析)により決定することができる。
ポリクローナル抗体のスクリーニング法としては、Antibodies,A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratoriey、Harlow and David Laneedit.(1988))に記載されるような慣用の交差結合分析を行うことができる。また、代わりに、例えば、エピトープマッピング(Champe et al.,J.Biol.Chem.270:1388−1394(1995))を行ってもよい。ポリペプチドまたは抗体の効力の測定方法として好ましいのは、抗体結合親和性の定量化を用いた方法であるが、その他の態様では、それに加えて、または結合親和性測定に代えて抗体の1若しくはそれ以上の生物学的特性を評価する方法を含む。このような分析法は特に、抗体の治療的な有効性を示すので有用である。通常、必ずしもではないが、このような分析において改善された特性を示す抗体はまた、結合親和性も増幅されている。
モノクローナル抗体の調製におけるハイブリドーマの作製は、例えば、ミルステインらの方法(Kohler,G.,and Milstein,C.,Methods Enzymol.1981,73,3−46.)等に準じて行うことができる。抗体産生細胞と融合させるミエローマ(骨髄腫)細胞として、マウス、ラット、ヒトなど種々の動物に由来し、当業者が一般に入手可能な株化細胞を使用する。使用する細胞株としては、薬剤抵抗性を有し、未融合の状態では選択培地(例えばHAT培地)で生存できず、融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが用いられる。一般的に8−アザグアニン耐性株が用いられ、この細胞株は、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼを欠損し、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地に生育できないものである。ミエローマ細胞は、既に公知の種々の細胞株、例えばP3x63Ag8.653(J.Immunol.(1979)123:1548−1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81:1−7)、NS−1(Kohler,G.and Milstein,C.,Eur.J.Immunol.(1976)6:511−519)、MPC−11(Margulies,D.H.et al.,Cell(1976)8:405−415)、SP2/0(Shulman,M.et al.,Nature(1978)276:269−270)、F0(de St.Groth,S.F.et al.,J.Immunol.Methods(1980)35:1−21)、S194(Trowbridge,I.S.,J.Exp.Med.(1978)148:313−323)、R210(Galfre,G.et al.,Nature(1979)277:131−133)、P3U1(J.Exp.Med.1979;150:580;Curr Top Microbiol.Immunol.1978;81:1)等が好適に使用される。また、ヒトミエローマ、及び、マウス−ヒトheteromyclomaセルラインも、ヒトモノクローナ抗体の産生に用いることができる(Kozbar,J.Immunol.133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Application,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。抗体産生細胞は、例えば最終の免疫日から2〜3日後に犠牲死させた動物から採取する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞が挙げられるが、一般に脾臓細胞が用いられる。具体的には、前記各種動物から脾臓、リンパ節等を摘出又は採取し、これら組織を破砕する。得られる破砕物をPBS、DMEM、RPMI1640等の培地又は緩衝液に懸濁し、ステンレスメッシュ等で濾過後、遠心分離を行うことにより目的とする抗体産生細胞を調製する。
次に、上記ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを細胞融合させる。細胞融合は、MEM、DMEM、RPMI−1640培地などの動物細胞培養用培地中で、ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを、混合比1:1〜1:20で融合促進剤の存在下、30〜37℃で1〜15分間接触させることによって行われる。細胞融合を促進させるためには、平均分子量1,000〜6,000(Da)のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール又はセンダイウイルスなどの融合促進剤や融合ウイルスを使用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることもできる。
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。その方法として、選択培地における細胞の選択的増殖を利用する方法等が挙げられる。すなわち、細胞懸濁液を適切な培地で希釈後、マイクロタイタープレート上にまき、各ウェルに選択培地(HAT培地など)を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。その結果、生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
また別の態様として、McCaffertyら(Nature 348:552−554(1990))により記載された技術を用いて製造された抗体ファージライブラリーより抗体、または抗体断片は単離することができる。Clacksonら(Nature 352:624−628(1991))、及びMarksら(J.Mol.Biol.222:581−597(1991))は、各々、ファージライブラリーを用いたマウス及びヒト抗体の単離について記載している。また、高親和性(nM範囲)ヒト抗体のチェーンシャッフリングによる製造(Marks et al.,Bio/Technology 10:779−783(1992))、そして、巨大なファージライブラリーを構築するための方法としてのコンビナトリアル感染、及びin vivo組換え(Waterhouse et al.,Nucleic Acids Res.21:2265−2266(1993))などが知られている。これらの技術も、モノクローナル抗体の単離のために従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に代えて利用し得る。
本発明の非中和抗aPC抗体は、例えば以下のスクリーニングにより選択することができる。
・1次スクリーニング
抗体の結合特異性を、公知技術、例えばEIA(エンザイムイムノアッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素連結イムノソルベントアッセイ)、HTRF(homogenous time−resolved fluorescence)、または蛍光免疫法等(Antibodies A Laboratory Manual.Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)により測定し、aPCへ結合するものを選択する。
・2次スクリーニング
ヒト血漿を用いてAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を測定し、aPCの抗血液凝固作用を増強する抗体を選択する。または、aPCにAATまたはPCIを添加しaPCの不活化を測定し、AATおよび/またはPCIによるaPC不活化を阻害する抗体を選択する。例えば、ハイブリドーマなどの抗体産生細胞から得られた抗体を用いてアッセイしているならば、目的の活性を有する抗体を産生する抗体産生細胞を同定し、クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により生育させる(Goding,Monoclonal Antibodies:Principals an Practice,pp.59−103,Academic Press,1986)。培養培地としては、例えばD−MEMまたはRPIM−1640培地を用いることができる。スクリーニングを繰り返して、より強いaPC不活化抑制抗体を産生する抗体産生細胞(ハイブリドーマなど)を選択することにより、抗体産生細胞のクローニングを行うことが可能である。
本発明の抗体は、血液またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を抑制する抗体である。このような抑制レベルは不活性化抑制率(%)と定義され、血液またはaPC阻害物質により不活性化した場合のaPCの活性と同レベルのaPC活性を0%、しない場合のaPC活性と同レベルのaPC活性を100%とした相対値で表される。
不活性化抑制率は適宜抗体の用量を変えながら至適条件で測定すればよく、具体的には、以下の手順で決定することができる。10μg/mLのaPC(SIGMA、P−2200など)溶液10μLと40μLの抗体溶液(ハイブリドーマのスクリーニングであれば、例えばハイブリドーマ培養上清)あるいはコントロールとして抗体を含まない溶液(例えばミエローマ細胞の培養上清またはHAT培地など)を混合し、室温で一定時間(例えば60分)インキュベートする。この混合液に血漿(例えばヒト標準血漿)を50μL添加し、さらに室温で一定時間(例えば60分)インキュベートする。APTT試薬(例えばDADE BEHRING、GAA−200A)50μLを添加する。血漿とインキュベーションを行わないaPCの血液凝固時間は、APTT試薬添加直前に血漿に加えて測定する。例えば37℃で3分間インキュベートした後、20mmol/L CaCl(例えばDADE BEHRING、GMZ−310)50μLを添加し、凝固までの時間を測定する。血液凝固時間は、血液凝固自動測定装置(例えばAmelung、KC−10A)などにより測定することができる。
血漿とインキュベートしなかったaPCを加えた場合の凝固時間(a)を100%、コントロールとして抗体を含まない溶液(例えば上記のようにミエローマ細胞の培養上清など)とインキュベート後に血漿とインキュベートしたaPCを加えた場合の凝固時間(b)を0%とし、ハイブリドーマ培養上清などの抗体溶液とインキュベート後に血漿とインキュベートしたaPCを加えた場合の凝固時間(c)から、ハイブリドーマ培養上清などの抗体溶液の凝固時間延長に対する作用を求める(不活性化抑制率(%)={(c−b)/(a−b)}×100)。この値が大きいほど、aPC不活性化に対する抑制作用が強いと判断される。S−2366等の基質化合物を用いてaPC活性を測定する場合でも、上記と同様に抗体とインキュベートせずに血漿で不活性化させたaPC、および血漿とインキュベートしないaPCを比較に用いてaPC活性を測定し、不活性化抑制率(%)を算出することができる。本発明の抗体は、この不活化抑制率(%)が、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、より好ましくは18以上、より好ましくは20以上、より好ましくは25以上、より好ましくは30以上、より好ましくは35以上、より好ましくは40以上、より好ましくは45以上、より好ましくは50以上である。
あるいは、本発明の抗体は、好ましくはPCIまたはAATなどのaPC阻害物質のaPC不活化に対する阻害作用を有している。この作用は、低分子基質を用いたchromogenic assayにより測定することができる。一例を挙げれば、精製抗体溶液40μLと10μg/mLのaPC溶液10μLとを室温で60分間反応させる。aPCと抗体の混合液50μLをヘパリン10Uを含むbuffer(最終濃度:70mmol/L Tris pH8.0,125mmol/L NaCl,10mmol/L CaCl,0.1% BSA)に加え180μLとする。組み換えPCI(Flagタグ付き)100μg/mLを20μL添加し、37℃で30分間反応させる。低分子基質S−2366(2mmol/L)50μLを添加し、60分後の吸光度(405nm)を測定する。
PCI未添加aPCを用いた場合の吸光度に比べ、PCIを添加すると吸光度は低下する。PCIの添加によるaPC活性を0%、PCI未添加のaPC活性を100%として、抗体の相対活性を吸光度の平均値を基にもとめる。本発明の抗体は、この相対値が好ましくは1以上、より好ましくは2以上、より好ましくは3以上、より好ましくは5以上、より好ましくは7以上、より好ましくは10以上、より好ましくは12以上である。
本発明の抗体は、例えば、上記の血漿を用いたAPTT測定による抗血液凝固作用または上記のPCIのaPC不活化に対する阻害作用のどちらかを有しているものであってよいが、より好ましくは、これらの両方の活性を有している。すなわち本発明の抗体は、好ましくは血液およびaPC阻害物質によるaPCの不活性化を抑制する抗体である。
本発明の抗体は、例えばaPCの生理的阻害物質と相互作用するaPC部位に結合する抗体であってよい。そのようなaPCのアミノ酸としては、例えばE215、S216、またはS336が同定されている(Shen,L.,Biochemistry 39:2853−2860(2000))。本発明の抗体は、aPC中のこれらのいずれかのアミノ酸あるいはその近傍(例えば10アミノ酸以内の部位)に結合する抗体であってよい。このような抗体を作製するには、目的のaPC部分を含むオリゴペプチドを合成し、それを抗原として動物に免疫して抗体を産生させればよい。なお、aPC活性部位として、H211、D257、およびS360が知られている(Foster,D.C.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:4673−4677(1985))。これらのアミノ酸を含む領域に結合する抗体は、aPCの活性を阻害する可能性があることから好ましくないと考えられる。
取得したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法としては、通常の細胞培養法や腹水形成法等が挙げられる。細胞培養法においては、ハイブリドーマを10〜20%ウシ胎児血清含有RPMI−1640培地、MEM培地、又は無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば37℃、5%CO濃度)で2〜14日間培養し、その培養上清から抗体を取得する。腹水形成法においては、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種の動物の腹腔内にハイブリドーマを投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜4週間後に腹水又は血清を採取する。腹水形成を促進するために、例えばプリスタン(2,6,10,14−tetramethylpentadecane)などを予め腹腔内投与することができる。
本発明で使用される抗体は、プロテインA−セファロース、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、硫黄塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜選択して、又はこれらを組み合わせることにより精製することができる。
また、本発明では、上記の方法にしたがって得られた抗体の遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた遺伝子組換え型抗体を用いることができる(例えば、Carl,A.K.Borrebaeck,James,W.Larrick,THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES,Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD,1990参照)。本発明は、本発明の抗体をコードする核酸および該核酸を有するベクターを提供する。具体的には、ハイブリドーマのmRNAから逆転写酵素を用いて抗体の可変領域(V領域)のcDNAを合成する。目的とする抗体のV領域をコードするDNAが得られれば、これを所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターへ組み込む。または、抗体のV領域をコードするDNAを、抗体C領域のDNAを含む発現ベクターへ組み込んでもよい。発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。本発明は、本発明の抗体を発現する細胞を提供する。本発明の抗体を発現する細胞としては、このような抗体遺伝子で形質転換された細胞、およびハイブリドーマが含まれる。
本発明の抗体としては、実施例において単離されたいずれかのモノクローナル抗体(表1)とエピトープが重複する(または同一の)抗体が特に好ましい。このような抗体を、本発明においては実質的に同じ部位に結合する抗体と呼ぶ。例えば、実施例に記載のモノクローナル抗体のエピトープを、aPCの部分ペプチドなどを用いた公知のエピトープマッピング法により解析し、同定されたエピトープを含むペプチドを抗原に用いて、これに結合する抗体を調製することにより、上記モノクローナル抗体のaPC結合部位と実質的に同じ部位に結合する抗体を得ることができる。このような抗体は、aPC活性の低下に対して実施例で単離した抗体と同様の抑制作用を発揮することが期待される。2つの抗体が抗原蛋白質と実質的に同じ部位に結合するかどうかは、例えば競合実験により決定することができる。具体的には、第一の抗aPC抗体とaPCとの結合が、第二の抗aPC抗体によって競合阻害を受けるとき、第一の抗体と第二の抗体は実質的に同じ抗原部位に結合していると判断される。このように、実施例で単離した抗体のaPC結合部位と実質的に同じ部位に結合する抗体であって、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有する抗体は本発明に含まれる。
また本発明の抗体には、実施例において単離されたいずれかのモノクローナル抗体(表1)の相補性決定領域(CDRs)またはこれと機能的に同等の相補性決定領域を含む抗体が含まれる。機能的に同等とは、実施例において単離されたいずれかのモノクローナル抗体のCDRsのアミノ酸配列と類似したアミノ酸配列を有し、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有することを言う。CDRとは抗体の可変領域(V領域とも言う)に存在する抗原への結合の特異性を決定している領域であり、H鎖とL鎖にそれぞれ3箇所ずつ存在し、それぞれN末端側からCDR1、CDR2、CDR3と命名されている。CDRを挟むようにフレームワークと呼ばれるアミノ酸配列の保存性の高い4つの領域が介在する。CDRは他の抗体に移植することが可能であり、所望の抗体のフレームワークと組み合わせることにより組み換え抗体を作製することができる。また抗原に対する結合性を維持しながら1または数個のCDRのアミノ酸を改変することが可能である。例えば、CDR中の1または数個のアミノ酸を、置換、欠失、および/または付加することができる。
変異するアミノ酸残基においては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが望ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ離(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。これらの各グループ内のアミノ酸の置換を保存的置換と称す。あるアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている(Mark,D.F.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1984)81,5662−5666、Zoller,M.J.&Smith,M.Nucleic Acids Research(1982)10,6487−6500、Wang,A.et al.,Science 224,1431−1433、Dalbadie−McFarland,G.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1982)79,6409−6413)。変異するアミノ酸数は特に制限されないが、通常、各CDRのアミノ酸の40%以内であり、好ましくは35%以内であり、さらに好ましくは30%以内(例えば、25%以内)である。アミノ酸配列の同一性は本明細書に記載したようにして決定すればよい。
本発明に含まれる抗体には、実施例に記載した#79、#123、#281、または#285のCDRsと機能的に同等の相補性決定領域を含む抗体が含まれる。このような抗体としては、例えばDSYMN(配列番号:9)、EVYPETGNSYYNEKFKG(配列番号:10)、およびGGTGFDY(配列番号:11)のアミノ酸配列からなる3つのCDRまたはこれらと機能的に同等のCDRを有する抗体が挙げられる。それぞれのアミノ酸配列は、抗体H鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3に対応する。これらのCDRを、所望のH鎖可変領域のフレームワークの間のCDR1、CDR2、およびCDR3に相当する位置に挿入すれば、本発明の抗体を作製することができる。上記の各CDRのアミノ酸は、適宜置換などにより改変してもよい。例えば、各CDRのアミノ酸を保存的に置換された抗体は本発明の抗体に含まれる。これらの抗体は、クローン#79と同等の活性を有することが期待される。
上記のH鎖CDRを含む抗体には、適宜抗体L鎖の可変領域を組み合わせて用いることができる。L鎖CDRとしては、例えばTASSSVSSSYLH(配列番号:21)、STSNLASGAPT(配列番号:22)、およびYHRSPFT(配列番号:23)のアミノ酸配列からなるCDRまたはこれらと機能的に同等のCDRを組み合わせることが好ましい。それぞれのアミノ酸配列は、抗体L鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3に対応する。また、これらのL鎖CDRsは、上記のH鎖とは独立に用いてもよい。これらのCDRは、所望のL鎖可変領域のフレームワークの間のCDR1、CDR2、およびCDR3に相当する位置に挿入される。上記の各CDRのアミノ酸は、適宜置換などにより改変してもよい。例えば、各CDRのアミノ酸を保存的に置換された抗体は本発明の抗体に含まれる。
具体的には、本発明の抗体には、以下のH鎖相補性決定領域を有する抗体であって、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有する抗体が含まれる。
(a)配列番号:9、10、および11に記載のアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(b)配列番号:9、10、および11の任意のアミノ酸を保存的置換した配列からなる相補性決定領域。
(c)配列番号:9の2個以内、配列番号:10の8個以内、および配列番号:11の3個以内のアミノ酸が、置換、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(d)配列番号:9、10、および11とそれぞれ70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
ここで(c)におけるアミノ酸の改変数は、好ましくは配列番号:9のうち1個である。また好ましくは配列番号:10の7個以内、さらに好ましくは6個以内、さらに好ましくは5個以内、さらに好ましくは4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2または1個である。また好ましくは配列番号:11の2個以内、さらに好ましくは1個である。また(d)における同一性は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
また本発明の抗体には、以下のL鎖相補性決定領域を有する抗体であって、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有する抗体が含まれる。
(a)配列番号:21、22、および23に記載のアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(b)配列番号:21、22、および23の任意のアミノ酸を保存的置換した配列からなる相補性決定領域。
(c)配列番号:21の5個以内、配列番号:22の5個以内、および配列番号:23の3個以内のアミノ酸が、置換、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(d)配列番号:21、22、および23とそれぞれ70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
ここで(c)におけるアミノ酸の改変数は、好ましくは配列番号:21の4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2個以内、さらに好ましくは1個である。また好ましくは配列番号:22の4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2個以内、さらに好ましくは1個である。また好ましくは配列番号:23の2個以内、さらに好ましくは1個である。また(d)における同一性は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。特に、これらのH鎖相補性決定領域とL鎖相補性決定領域の両方を有する抗体は、本発明の抗体として好適である。
また本発明の抗体としては、(S/R)SWMN(配列番号:31)、RIYPGDGD(T/S)(N/I)YNGKF(R/K)G(配列番号:32)、およびWG(I/S)(T/S)(T/G)(A/S)(A/S)WFAY(配列番号:33)のアミノ酸配列からなるCDRまたはこれらと機能的に同等のCDRを有する抗体が挙げられる。上記と同様に、それぞれのアミノ酸配列は、抗体H鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3に相当する。このような抗体のH鎖CDRとして好ましいアミノ酸配列をより具体的に例示すれば、CDR1としてはSSWMN(配列番号:12)またはRSWMN(配列番号:18)、CDR2としてはRIYPGDGDTNYNGKFRG(配列番号:13)またはRIYPGDGDSIYNGKFKG(配列番号:19)、CDR3としてはWGITTAAWFAY(配列番号:14)またはWGSSGSSWFAY(配列番号:20)が挙げられる。具体的には、モノクローナル抗体#123または#285のH鎖のCDR1,2,および3の組み合わせを用いることができる。これらの抗体は、#123または#285と同等の活性を有することが期待される。この場合はL鎖CDRsとして、例えばRTSENIYSYLA(配列番号:24)、NAKTLAEGVPS(配列番号:25)、およびYYG(T/S)P(P/Y)T(配列番号:34)のアミノ酸配列からなるCDRまたはこれらと機能的に同等のCDRを組み合わせることが好ましい。それぞれのアミノ酸配列は、抗体L鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3に対応する。また、これらのL鎖CDRsは、上記のH鎖とは独立に用いてもよい。L鎖CDR3として好ましいアミノ酸配列をより具体的に例示すれば、YYGTPPT(配列番号:26)またはYYGSPYT(配列番号:30)が用いられるが、これらの配列には制限されない。
具体的には、本発明の抗体には、以下のH鎖相補性決定領域を有する抗体であって、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有する抗体が含まれる。
(a)配列番号:31、32、および33に記載のアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(b)配列番号:31、32、および33の任意のアミノ酸を保存的置換した配列からなる相補性決定領域。
(c)配列番号:31の2個以内、配列番号:32の8個以内、および配列番号:33の5個以内のアミノ酸が、置換、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(d)配列番号:31、32、および33とそれぞれ70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
ここで(c)におけるアミノ酸の改変数は、好ましくは配列番号:31の1個である。また好ましくは配列番号:32の7個以内、さらに好ましくは6個以内、さらに好ましくは5個以内、さらに好ましくは4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2または1個である。また好ましくは配列番号:33の4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2個以内、さらに好ましくは1個である。また(d)における同一性は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
また本発明の抗体には、以下のL鎖相補性決定領域を有する抗体であって、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有する抗体が含まれる。
(a)配列番号:24、25、および34に記載のアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(b)配列番号:24、25、および34の任意のアミノ酸を保存的置換した配列からなる相補性決定領域。
(c)配列番号:24の5個以内、配列番号:25の5個以内、および配列番号:34の4個以内のアミノ酸が、置換、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(d)配列番号:24、25、および34とそれぞれ70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
ここで(c)におけるアミノ酸の改変数は、好ましくは配列番号:24の4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2個以内、さらに好ましくは1個である。また好ましくは配列番号:25の4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2個以内、さらに好ましくは1個である。また好ましくは配列番号:34の3個以内、さらに好ましくは2個以内、さらに好ましくは1個である。また(d)における同一性は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。特に、これらのH鎖相補性決定領域とL鎖相補性決定領域の両方を有する抗体は、本発明の抗体として好適である。
また本発明の抗体としては、DYSLH(配列番号:15)、WINTETGEPTYADDLKG(配列番号:16)、およびGITLDY(配列番号:17)のアミノ酸配列からなるCDRまたはこれらと機能的に同等のCDRを有する抗体が挙げられる。上記と同様に、それぞれのアミノ酸配列は、抗体H鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3に相当する。これらの抗体は、#281と同等の活性を有することが期待される。この場合はL鎖CDRとして、例えばKSSQSLLSSSNQKNFLA(配列番号:27)、SWASTRHSGVPD(配列番号:28)、およびYYRYPLT(配列番号:29)のアミノ酸配列からなるCDRまたはこれらと機能的に同等のCDRを組み合わせることが好ましい。それぞれのアミノ酸配列は、抗体L鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3に対応する。
具体的には、本発明の抗体には、以下のH鎖相補性決定領域を有する抗体であって、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有する抗体が含まれる。
(a)配列番号:15、16、および17に記載のアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(b)配列番号:15、16、および17の任意のアミノ酸を保存的置換した配列からなる相補性決定領域。
(c)配列番号:15の2個以内、配列番号:16の8個以内、および配列番号:17の5個以内のアミノ酸が、置換、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(d)配列番号:15、16、および17とそれぞれ70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(c)におけるアミノ酸の改変数は、好ましくは配列番号:15の1個である。また好ましくは配列番号:16の7個以内、さらに好ましくは6個以内、さらに好ましくは5個以内、さらに好ましくは4個以内、さらに好ましくは3個以内である。また好ましくは配列番号:17の4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2個以内、さらに好ましくは1個である。また(d)における同一性は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
また本発明の抗体には、以下のL鎖相補性決定領域を有する抗体であって、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有する抗体が含まれる。
(a)配列番号:27、28、および29に記載のアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(b)配列番号:27、28、および29の任意のアミノ酸を保存的置換した配列からなる相補性決定領域。
(c)配列番号:27の8個以内、配列番号:28の5個以内、および配列番号:29の3個以内のアミノ酸が、置換、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(d)配列番号:27、28、および29とそれぞれ70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる相補性決定領域。
(c)におけるアミノ酸の改変数は、好ましくは配列番号:27の7個以内、さらに好ましくは6個以内、さらに好ましくは5個以内、さらに好ましくは4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2個以内、さらに好ましくは1個である。また好ましくは配列番号:28の4個以内、さらに好ましくは3個以内、さらに好ましくは2個以内、さらに好ましくは1個である。また好ましくは配列番号:29の2個以内、さらに好ましくは1個である。また(d)における同一性は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。特に、これらのH鎖相補性決定領域とL鎖相補性決定領域の両方を有する抗体は、本発明の抗体として好適である。
また本発明の抗体としては、配列番号:1、2、3、または4のアミノ酸配列からなる抗体H鎖可変領域またはこれらと機能的に同等の可変領域を有する抗体が挙げられる。この場合はL鎖として、それぞれ配列番号:5、6、7、または8のアミノ酸配列からなる可変領域またはこれらと機能的に同等の可変領域を持つL鎖を組み合わせることが好ましい。具体的には、本発明の抗体には、以下のH鎖可変領域を有する抗体であって、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有する抗体が含まれる。
(a)配列番号:1、2、3、または4に記載のアミノ酸配列からなる可変領域。
(b)配列番号:1、2、3、または4の任意のアミノ酸を保存的置換した配列からなる可変領域。
(c)配列番号:1、2、3、または4において1または複数のアミノ酸が置換、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなる可変領域。
(d)配列番号:1、2、3、または4とそれぞれ70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる可変領域。
(c)におけるアミノ酸の改変数は、好ましくは30個以内、さらに好ましくは25個以内、さらに好ましくは20個以内、さらに好ましくは15個以内、さらに好ましくは10個以内、さらに好ましくは5個以内である。また(d)における同一性は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
また本発明の抗体には、以下のL鎖可変領域を有する抗体であって、血液および/またはaPC阻害物質によるaPCの不活性化を阻害する作用を有する抗体が含まれる。
(a)配列番号:5、6、7、または8に記載のアミノ酸配列からなる可変領域。
(b)配列番号:5、6、7、または8の任意のアミノ酸を保存的置換した配列からなる可変領域。
(c)配列番号:5、6、7、または8において1または複数のアミノ酸が置換、欠失および/または付加されたアミノ酸配列からなる可変領域。
(d)配列番号:5、6、7、または8とそれぞれ70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる可変領域。
(c)におけるアミノ酸の改変数は、好ましくは30個以内、さらに好ましくは25個以内、さらに好ましくは20個以内、さらに好ましくは15個以内、さらに好ましくは10個以内、さらに好ましくは5個以内である。また(d)における同一性は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。特に、これらのH鎖可変領域とL鎖可変領城の両方を有する抗体は、本発明の抗体として好適である。
アミノ酸配列を改変するには、例えばアミノ酸配列を改変した可変領域をコードする複数のオリゴヌクレオチドを合成し、これらを基にPCRにより可変領域をコードする核酸を生成させる。これを適当な発現ベクターに組み込んで発現させることにより、所望のCDRを有する抗体を得ることができる。例えば、オリゴヌクレオチドの合成時に塩基を混合させて、CDRの特定の位置に様々なアミノ酸を有する抗体をコードするDNAライブラリーを作製する。このライブラリーから、aPCに結合しその活性抑制を阻害する抗体をコードするクローンを選択することによって、本発明の抗体を得ることができる。本発明は、本発明の抗体をコードする核酸、該核酸を含むベクター、および該核酸または該ベクターを含む宿主細胞に関する。核酸はDNAであってもRNAであってもよい。ベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルスベクター等の公知のベクターであってよい。宿主細胞は、バクテリア、酵母、昆虫、植物細胞、および哺乳動物細胞などが含まれる。
本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体などを使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。キメラ抗体は、抗体の可変領域と定常領域が互いに異種である抗体などが挙げられ、例えばヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体が挙げられる。このような抗体は、マウス抗体の可変領域をコードするDNAをヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体などの非ヒト抗体の重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域に置き換えたものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(例えば、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Reichmann et al.,Nature 332:323−329(1988);Presta Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)参照)。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400、国際特許出願公開番号WO 96/02576参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。ヒト化抗体は、レシピエント抗体に導入させたCDRまたはフレームワーク配列のどちらにも含まれないアミノ酸残基を含んでいてもよい。通常、このようなアミノ酸残基の導入は、抗体の抗原認識・結合能力をより正確に至適化するために行われる。例えば必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato,K.et al.,Cancer Res.(1993)53,851−856)。
また、ヒト抗体の取得方法も知られている。例えば、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、抗原への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878参照)。また、ヒト抗体遺伝子の一部または全てのレパートリーを有するトランスジェニック(Tg)動物を抗原で免疫することで所望のヒト抗体を取得することができる(Nature Genetics 7:13−21(1994);Nature Genetics 15:146−156(1997);Nature 368:856−859(1994);国際特許出願公開番号WO 93/12227,WO 92/03918,WO 94/02602,WO 94/25585,WO 96/34096,WO 96/33735参照)。このようなTg動物は、具体的には、非ヒト哺乳動物の内在性免疫グロブリン重鎖および軽鎖の遺伝子座が破壊され、代わりに酵母人工染色体(Yeast artificial chromosome,YAC)ベクターなどを介してヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖の遺伝子座が導入された遺伝子組み換え動物を、ノックアウト動物およびTg動物の作製、およびこれらの動物同士の掛け合わせにより作り出す。免疫グロブリン重鎖遺伝子座の機能的な不活性化には、例えば、J領域またはC領域(例えばCμ領域)の一部に障害を導入することにより達成でき、免疫グロブリン軽鎖(例えばκ鎖)の機能的不活性化には、例えば、J領域若しくはC領域の一部、またはJ領域及びC領域にまたがる領域を含む領域に障害を導入することにより達成可能である。
また、遺伝子組換え技術により、そのようなヒト化抗体の重鎖及び軽鎖の各々をコードするcDNA、好ましくは該cDNAを含むベクターにより真核細胞を形質転換し、遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体を産生する形質転換細胞を培養することにより、この抗体を培養上清中から得ることもできる。ここで、該宿主は例えば所望の真核細胞、好ましくはCHO細胞、リンパ球やミエローマ等の哺乳動物細胞である。
さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を有する適当な発現ベクターを作製し、適当な宿主に導入して発現させることによりヒト抗体を取得することができる。これらの方法は既に衆知であり、WO 92/01047,WO 92/20791,WO 93/06213,WO 93/11236,WO 93/19172,WO 95/01438,WO 95/15388を参考に実施することができる。
抗体遺伝子を一旦単離した後、適当な宿主に導入して抗体を作製する場合には、適当な宿主と発現ベクターの組み合わせを使用することができる。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を用いることができる。動物細胞としては、(1)哺乳類細胞、例えば、CHO,COS,ミエローマ、BHK(baby hamster kidney),HeLa,Vero,(2)両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、あるいは(3)昆虫細胞、例えば、Sf9,Sf21,Tn5など、あるいはカイコなどの個体が挙げられる。植物細胞としては、ニコティアナ(Nicotiana)属、例えばニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)、糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、例えばアスペスギルス・ニガー(Aspergillus niger)などが知られている。原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E.coli)、枯草菌が知られている。これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子を形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより抗体が得られる。
本発明の抗体のアイソタイプとしては制限はなく、例えばIgG(IgG1,IgG2,IgG3,IgG4)、IgM、IgA(IgA1,IgA2)、IgDあるいはIgE等が挙げられるが、好ましくはIgGまたはIgMである。また本発明の抗体は、抗体の抗原結合部を有する抗体の断片又はその修飾物であってもよい。「抗体断片」とは、全長抗体の一部を指し、一般に、抗原結合領域または可変領域を含む断片のことである。例えば、抗体の断片としては、Fab、F(ab’)、Fv、または重鎖および軽鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)、diabody(diabodies)、線状抗体、及び抗体断片より形成された多特異性抗体などが挙げられる。従来、抗体断片は天然の抗体のプロテアーゼによる消化により製造されてきたが、現在では、遺伝子工学的に組み換え抗体として発現させること方法も公知である(Morimoto et al.,Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992);Brennan et al.,Science 229:81(1985);Co,M.S.et al.,J.Immunol.,1994,152,2968−2976;Better,M.& Horwitz,A.H.,Methods in Enzymology,1989,178,476−496,Academic Press,Inc.;Plueckthun,A.& Skerra,A.,Methods in Enzymology,1989,178,476−496,Academic Press,Inc.;Lamoyi,E.,Methods in Enzymology,1989,121,663−669;Bird,R.E.et al.,TIBTECH,1991,9,132−137参照)。
「Fv」断片は最小の抗体断片であり、完全な抗原認識部位と結合部位を含むものである。この領域は1つの重鎖および軽鎖の可変領域が非共有結合により強く連結されたダイマーである(V−Vダイマー)。各可変領域の3つの相補性決定領域(CDR)が相互作用し、V−Vダイマーの表面に抗原結合部位を形成する。即ち、重鎖と軽鎖をあわせて6つのCDRが抗体の抗原結合部位として機能している。しかしながら、1つの可変領域(または、抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、全結合部位を含む場合よりは低い親和性ではあるものの、抗原を認識し、結合する能力を有していることが知られている。従って、本発明における抗体断片はFv断片が好ましいが、これに限定されるものではなく、重鎖または軽鎖のCDRが保存され抗原を認識し、結合する能力を有する抗体の断片を含むポリペプチドであってよい。
また、Fab断片(F(ab)とも呼ばれる)はさらに、軽鎖の定常領域および重鎖の定常領域(CH1)を含む。例えば抗体のパパイン消化により、Fab断片と呼ばれる、1つの抗原結合部位を形成する重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗原結合断片、及び、残りの容易に結晶化するために「Fc」と呼ばれる断片が生じる。Fab’断片は、抗体のヒンジ領域からの1またはそれ以上のシステインを含む重鎖CH1領域のカルボキシ末端由来の数個の残基を付加的に有する点でFab断片と異なるが、1つの抗原結合部位を形成する重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗原結合断片である点で構造的にFabと同等である。本発明においては、プロテアーゼによる消化で生成した抗体断片と同一でなくても、パパイン消化により得られるものと同等な、1つの抗原結合部位を形成する重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗原結合断片をFab様抗体と称する。Fab’−SHとは、定常領城の1またはそれ以上のシステイン残基が遊離のチオール基を有するFab’を示すものである。F(ab’)断片は、F(ab’)のヒンジ部のシステインにおけるジスルフィド結合の切断により製造される。化学的に結合されたその他の抗体断片も当業者には知られている。抗体をペプシンで消化すると、2つの抗原結合部位を有し、抗原を交差結合し得るF(ab’)断片、及び、残りの別な断片(pFc’と呼ばれる)が得られる。本発明において、ペプシン消化により得られるのも同等な、2つの抗原結合部位を有し抗原を交差結合し得る抗体断片をF(ab’)様抗体と称する。例えば、これらの抗体断片は組換技術により製造することも可能である。例えば、上述の抗体ファージライブラリーから抗体断片を単離することもできる。また、大腸菌等の宿主より直接F(ab’)−SH断片を回収し、F(ab’)断片の形態に化学的結合させることもできる(Carter et al.,Bio/Technology 10:163−167(1992))。さらにまた別の方法としては、F(ab’)断片を直接、組換宿主培養物から単離することもできる。
さらに、本発明で使用される抗体は多特異性抗体であってもよい。多特異性抗体は、少なくとも2種類の異なる抗原に対して特異性を有する抗体である。通常このような分子は2個の抗原を結合するものであるが(即ち、二重特異性抗体(bispecific antibody))、本発明における「多特異性抗体」は、それ以上(例えば、3種類)の抗原に対して特異性を有する抗体を包含するものである。多特異性抗体は全長からなる抗体、またはそのような抗体の断片(例えば、F(ab’)二特異性抗体)であり得る。二重特異性抗体は2種類の抗体の重鎖と軽鎖(HL対)を結合させて作製することもできるし、異なるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを融合させて、二重特異性抗体産生融合細胞を作製し、得ることもできる(Millstein et al.,Nature 305:537−539(1983))。さらに、遺伝子工学的手法により二重特異性抗体を作製することも可能である。具体的には、結合特異性を有する抗体の可変領域を免疫グロブリンの定常ドメイン配列に融合する。該定常ドメイン配列は、好ましくは免疫グロブリンの重鎖の定常領域の内、ヒンジ、CH2及びCH3領域の一部を少なくとも含むものである。好ましくは、さらに軽鎖との結合に必要な重鎖のCH1領域が含まれる。免疫グロブリン重鎖融合体をコードするDNA、及び、所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAをそれぞれ別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に形質転換する。別々の発現ベクターに各遺伝子を挿入することにより、それぞれの鎖の存在割合が同じでない方が、得られる抗体の収量が上がる場合に、各鎖の発現割合の調節が可能となり都合が良いが、当然ながら、複数の鎖をコードする遺伝子を一つのベクターに挿入して用いることも可能である。
ダイアボディ(diabody;Db)は、遺伝子融合により構築された二価(bivalent)の抗体断片を指す(P.Holliger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)、EP404,097号、WO93/11161号等)。一般にダイアボディは、2本のポリペプチド鎖から構成されるダイマーであり、ポリペプチド鎖は各々、同じ鎖中で軽鎖可変領域(V)及び重鎖可変領域(V)が、互いに結合できない位に短い、例えば、5残基程度のリンカーにより結合されている。同一ポリペプチド鎖上にコードされるVとVとは、その間のリンカーが短いため単鎖V領域フラグメントを形成することが出来ず二量体を形成するため、ダイアボディは2つの抗原結合部位を有することとなる。このとき2つの異なる抗原(a、b)に対するVとVをVa−VbとVb−Vaの組合わせで5残基程度のリンカーで結んだものを同時に発現させると二種特異性Dbとして分泌される。本発明の抗体としては、このようなDbであってもよい。
一本鎖抗体(scFvとも記載する)は、抗体の重鎖V領域と軽鎖V領域とを連結することにより得られる。scFvの総説については、Pluckthun『The Pharmacology of Monoclonal Antibodies』Vol.113(Rosenburg及びMoore編、Springer Verlag,New York,pp.269−315(1994))参照。一本鎖抗体を作成する方法は当技術分野において周知である(例えば、米国特許第4,946,778号、米国特許第5,260,203号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,455,030号等を参照)。このscFvにおいて、重鎖V領域と軽鎖V領域は、リンカー、好ましくはポリペプチドリンカーを介して連結される(Huston,J.S.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,1988,85,5879−5883)。scFvにおける重鎖V領域および軽鎖V領域は、同一の抗体に由来してもよく、別々の抗体に由来してもよい。V領域を連結するペプチドリンカーとしては、例えば12〜19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる。scFvをコードするDNAは、前記抗体の重鎖または重鎖V領域をコードするDNA、および軽鎖または軽鎖V領域をコードするDNAのうち、それらの配列のうちの全部又は所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を鋳型とし、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにペプチドリンカー部分をコードするDNA、およびその両端が各々重鎖、軽鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合わせて増幅することにより得られる。また、一旦scFvをコードするDNAが作製されると、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いることにより、常法に従ってscFvを得ることができる。これらの抗体断片は、前記と同様にして遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。本発明における「抗体」にはこれらの抗体も包含される。
得られた抗体は、均一にまで精製することができる。抗体の分離、精製は通常の蛋白質で使用されている分離、精製方法を使用すればよい。例えばクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析、調製用ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組み合わせれば、抗体を分離、精製することができる(Strategies for Protein Purification and Charcterization:A Laboratoy Course Manual,Daniel R.Marshak et al.eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996);Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)が、これらに限定されるものではない。クロマトグラフィーとしては、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる。これらのクロマトグラフィーは、HPLCやFPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、プロテインAカラム、プロテインGカラムが挙げられる。例えばプロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D,POROS,Sepharose F.F.(Pharmacia)等が挙げられる。また抗原を固定化した担体を用いて、抗原への結合性を利用して抗体を精製することも可能である。
本発明は、本発明の抗体を含む、PCまたはaPCの不活性化の抑制剤を提供する。また本発明は、本発明の抗体の、PCまたはaPCの不活性化の抑制のための使用に関する。本発明の抗体をPCまたはaPCと接触させることにより、PCIまたはAAT等のaPC阻害物質の存在下におけるPCまたはaPCの不活性化、または血中におけるPCまたはaPCの不活性化を抑制することができる。本発明は、本発明のaPC抗体をPCまたはaPCと接触させる工程を含む、該PCまたはaPCの不活性化を抑制する方法に関する。本発明の抗体を投与する場合、抗体は単独で投与することも可能であり、また、PCおよび/またはaPCと併用することも可能である。さらに、in vitroで本発明の抗体で処理したPCまたはaPCを投与することも可能である。また本発明は、本発明の抗体をPCまたはaPCに結合させる工程を含む、不活性化が抑制されたPCまたはaPCの製造方法、および該方法により製造された、不活性化が抑制されたPCおよびaPCを提供する。
aPCは血液凝固および炎症を抑制する作用が知られており、本発明のaPC非中和抗体を投与する工程により、血液凝固または炎症を抑制するaPCの効果を高めることが可能となる。本発明は、本発明の抗体を投与する工程を含む、血液凝固または炎症を抑制する方法に関する。該方法においては、さらにPCおよび/またはaPCを投与する工程を含んでもよい。この場合、PCおよび/またはaPCに予め本発明の抗体を結合させておき、それを投与することが好ましい。本発明の抗体を有効成分として含有するaPC不活性化の抑制剤を用いることにより、aPCによる処置(例えば血栓症および敗血症等の予防および治療)におけるaPCの効果をより高めることが可能となる。なお本発明の抗体を「有効成分として含有する」とは、本発明の抗体を活性成分の少なくとも1つとして含むという意味であり、本発明の抗体の含有率を制限するものではない。本発明の抗体は、活性化プロテインCの活性の低下ないしは不足によって発症および/または進展する疾患の予防または治療に有用であり、その中でも血液凝固反応の亢進および/または炎症反応の亢進によって惹起される疾患の予防および/または治療に特に有効である。そのような疾患としては、具体的には例えば動脈血栓症、静脈血栓症、播種性血管内凝固(Disseminated Intravascular Coagulation;DIC)症候群、敗血症等が挙げられる。
また本発明は、(a)本発明の抗体、および(b)PCおよび/またはaPCを含むキットを提供する。このキットは、活性化プロテインCの活性の低下ないしは不足によって発症および/または進展する疾患の予防または治療に使用することができる。さらに本発明は、活性化プロテインCの活性の低下ないしは不足によって発症および/または進展する疾患の予防または治療に使用されるキットであって、(a)PC、aPC、および本発明の抗体からなる群から選択される少なくとも一つ、および(b)治療有効量のPCおよび/またはaPCと該抗体とを併用することの記載または該記載へのリンクを含む記録媒体、を含むキットを提供する。このような疾患としては、上記のように血液凝固反応の亢進および/または炎症反応の亢進によって惹起される疾患が挙げられ、具体的には動脈血栓症、静脈血栓症、DIC、敗血症等が含まれる。本キットは、内因的aPCあるいは生体外から投与したPCまたはaPCの体内における活性を相対的に上昇させるために有用であり、これにより上記疾患の予防および治療を行うことができる。記録媒体としては、紙およびプラスチックなどの印刷媒体、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体など所望の記録媒体が挙げられる。典型的には、キットに添付される指示書などが挙げられ、そこに治療有効量のPCおよび/またはaPCと該抗体とを併用することが記載されているものであってよい。リンクとは、直接には治療有効量のPCおよび/またはaPCと該抗体とを併用することは記載されていないが、印などによって該記載と関連付けられていることを言い、その印を通して該記載にたどり着ける場合である。例えば指示書には別紙またはURLなどを参照するように指示または示唆する記載があり、別紙またはURLに該記載がある場合などが含まれる。
本発明の抗体は、経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身または局部的に投与することができる。また、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001〜100000mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明の抗体はこれらの投与量に制限されるものではない。
本発明の抗体は、常法に従って製剤化することができ(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science,latest edition,Mark Publishing Company,Easton,U.S.A)、医薬的に許容される担体および/または添加物を供に含むものであってもよい。本発明は、本発明の抗体、ならびに医薬的に許容される担体および/または添加物を含む組成物(試薬および医薬を含む)に関する。例えば界面活性剤(PEG、Tween等)、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤(リン酸、クエン酸、他の有機酸等)、キレート剤(EDTA等)、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等が挙げられるが、これらに制限されず、その他常用の担体を適宜使用することができる。具体的には、軽質無水ケイ酸、乳糖、結晶セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリン等の蛋白質、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン及びリシン等のアミノ酸を含んでいてもよい。注射用の水溶液とする場合には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えば、D−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO−50)等と併用してもよい。
また、必要に応じ本発明の抗体をマイクロカプセル(ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリ[メチルメタクリル酸]等のマイクロカプセル)に封入したり、コロイドドラッグデリバリーシステム(リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル等)とすることもできる(″Remington’s Pharmaceutical Science 16th edition″,Oslo Ed.(1980)等参照)。さらに、薬剤を徐放性の薬剤とする方法も公知であり、本発明の抗体に適用し得る(Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277(1981);Langer,Chem.Tech.12:98−105(1982);米国特許第3,773,919号;欧州特許出願公開(EP)第58,481号;Sidman et al.,Biopolymers 22:547−556(1983);EP第133,988号)。
また、本発明の抗体をコードする遺伝子を遺伝子治療用ベクターに組込み、遺伝子治療を行うことも考えられる。投与方法としては、nakedプラスミドによる直接投与の他、リポソーム等にパッケージングするか、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、HVJベクター等の各種ウイルスベクターとして形成するか(Adolph『ウイルスゲノム法』,CRC Press,Florid(1996)参照)、または、コロイド金粒子等のビーズ担体に被覆(WO93/17706等)して投与することができる。しかしながら、生体内において抗体が発現され、その作用を発揮できる限りいかなる方法により投与してもよい。好ましくは、適当な非経口経路(静脈内、腹腔内、皮下、皮内、脂肪組織内、乳腺組織内、吸入または筋肉内の経路を介して注射、注入、またはガス誘導性粒子衝撃法(電子銃等による)、添鼻薬等粘膜経路を介する方法等)により十分な量が投与される。ex vivoにおいてリポソームトランスフェクション、粒子衝撃法(米国特許第4,945,050号)、またはウイルス感染を利用して細胞に投与し、該細胞を動物に再導入することにより本発明の抗体をコードする遺伝子を投与してもよい。
図1は、aPC不活化を抑制する抗aPC抗体のH鎖及びL鎖の可変領域のアミノ酸配列を示す図である。図中のアミノ酸配列は、aPC#79、aPC#123、aPC#281、およびaPC#285、のVH領域のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:1〜4、aPC#79、aPC#123、aPC#281、およびaPC#285、のVL領域のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:5〜8とした。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本明細書に引用された文献は、全て本明細書の一部として組み込まれる。
[実施例1] 抗ヒトaPCモノクローナル抗体の作製
aPC(Sigma P−2200)を抗原としてBALB/cマウスに腹部への皮下投与にて免疫を行った。血清抗体価が上昇したことを確認した後、最終免疫として抗原を20μg/mouseで尾静脈投与した。最終免疫の3日後に脾臓を摘出し脾臓細胞を調整した後P3U1細胞とfusionを行い、2648ウェルの融合細胞を得た。
fusion当日をDay0としてDay1,2,3,5にHAT培地(RPMI1640,10% FCS,0.1% penicillin−sreptomycin,2% BM−Condimed H1,およびHATを含む)への培地交換を行い、HAT培地によるハイブリドーマの選別を行った。Day8に培養上清を回収しELISAによる1次スクリーニングを行った。
[実施例2] 1次スクリーニング
1次スクリーニングはaPC(SIGMA P−2200)を抗原としたELISAにより行った。aPCはcoating buffer(100mmol/L NaHCO pH9.6,0.02w/v% NaN)で0.5μg/mLの濃度に希釈した後、ELISA用96wellプレート(Nunc、Maxisorp)に100μL/wellづつ分注し固相化した。プレートをmicro plate washer(Bio−Rad、Model 1550)を用いてrinse buffer(PBS(−),0.05% Tween20)で洗浄し、diluent buffer(1w/v% BSA,50mmol/L Tris−HCl pH8.1,150mmol/L NaCl,1mmol/L MgCl,0.05% Tween20,0.02w/v% NaN)を200μL/well添加し室温で1時間放置した。Diluent bufferを除いた後、ハイブリドーマ培養上清を100μL/well添加し室温で1時間反応させた。プレートをrinse bufferで洗浄し、アルカリホスファターゼ標識抗マウスIgG抗体(Zymed 62−6522)を100μL/well添加し室温で1時間放置した。プレートをrinse bufferで洗浄し、substrate buffer(50mmol/L NaHCO pH9.8,10mmol/L MgCl)で1mg/mLに調製した基質(p−nitrophenyl phosphate disodium)(Sigma104)を100μL/well添加し、1時間後にmicroplate reader(Bio−Rad Model 3550)でOD405/655nmを測定した。
陽性対照としてaPCへの結合を示す市販の抗aPC抗体(SIGMA P7058)を用いた。陽性対照濃度が111ng/mLで示した吸光度よりも高値を示した培養上清を陽性とした。2648wellのハイブリドーマ培養上清を検討した結果、308wellを陽性として選択した。
[実施例3] 2次スクリーニング
aPCは抗凝固作用により血漿凝固時間を延長させる作用を持つが、aPCは血漿中で経時的に不活化されるため、血漿とインキュベートされる時間が長いほどこの作用は減弱する。抗体にこのaPC不活化を抑制する作用があれば、血漿とインキュベートする前にaPCに加えることでaPCの抗凝固作用は保持される。逆に抗体がaPC中和作用を持っていれば、aPCの抗凝固作用は失われる。ここでは凝固時間の指標としてAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を用い、ハイブリドーマ培養上清によるaPC不活化抑制作用を検討した。
10μg/mLのaPC(SIGMA、P−2200)溶液10μLと、40μLのハイブリドーマ培養上清(37℃、5%COで3日間培養)またはP3U1の培養上清とを混合し、室温で60分インキュベートした。この混合液にヒト標準血漿(DADE BEHRING、GCH−100A)50μLを添加し、さらに室温で60分間インキュベートした。血液凝固自動測定装置(Amelung、KC−10A)にセットし、APTT試薬(DADE BEHRING、GAA−200A)50μLを添加した。血漿とインキュベーションを行わないaPCはAPTT試薬添加直前に血漿に加えた。37℃で3分間インキュベートした後、20mmol/L CaCl(DADE BEHRING、GMZ−310)50μLを添加し、凝固までの時間を測定した。
上記の血漿とインキュベートしなかったaPCを加えた場合の凝固時間(A)を100%、P3U1培養上清とインキュベートした後に血漿とインキュベートしたaPCを加えた場合の凝固時間(B)を0%とし、ハイブリドーマ培養上清とインキュベート後に血漿とインキュベートしたaPCを加えた場合の凝固時間(C)からハイブリドーマ培養上清の凝固時間延長に対する作用を求めた(不活化抑制率(%)={(C−B)/(A−B)}x100)
実験は2回行い(実験1および2)、20%以上の凝固時間回復が2回とも認められた場合を陽性とした。19株のハイブリドーマ培養上清が陽性とみなされた。
Figure 0004398369
[実施例4] 抗体精製及びPCIによるaPC不活化に対する作用検討
ウェル番号19,41,64,79,281,298のハイブリドーマを10% ultra low IgG FCS含有HAT培地で培養した培養上清よりIgG画分をprotein G columnにより精製し、PCIのaPC不活化に対する作用を低分子基質を用いて測定した。
具体的には、10% ultra low IgG FCS含有HAT培地50mLで培養したハイブリドーマの培養上清を回収した。培養上清はprotein G column(Amersham Pharmacia Biotech、HiTrap protein G column)に吸着させた。Binding buffer(20mmol/L phosphate buffer pH7.0)10mLで洗浄した後、Elution buffer(0.1mol/L Glycine buffer pH2.7)で溶出した。回収したIgG画分はCentriprep(Millipore、YM−30)を用いて濃縮した後、TBSにbufferを置換した。得られたIgG画分40μLと10μg/mLのaPC溶液10μLを室温で60分間反応させた。aPCと抗体の混合液50μLをヘパリン10Uを含むbuffer(最終濃度:70mmol/L Tris pH8.0,125mmol/L NaCl,10mmol/L CaCl,0.1% BSA)に加え180μLとした。組み換えPCI(Flagタグ付き)100μg/mLを20μL添加し、37℃で30分間反応させた。低分子基質S−2366(2mmol/L)50μLを添加し、60分後の吸光度(405nm)を測定した。
Figure 0004398369
PCI未添加aPC(表中の″−PCI″)では吸光度が0.707となるところがPCIの添加により0.262まで減少した(表中の″対照″)。PCIの添加によるaPC活性を0%、PCI未添加のaPC活性を100%として各ハイブリドーマ由来の抗体の相対活性を吸光度の平均値を基にもとめたところ、ウェル番号79で21%、281で17%、41で12%とPCIによるaPC不活化を抑制した。aPC不活化を全く抑制しなかった298は培養上清のアイソタイピングによりIgMである可能性が示唆された。そのため、IgG精製では活性画分が得られなかった可能性がある。以上の精製抗体と低分子基質を用いたchromogenic assayにより、血漿凝固時間延長作用を有するaPC不活化抑制抗体は、PCIによる不活化も抑制することが明らかとなった。
[実施例5] 抗aPC不活化抑制抗体のH鎖及びL鎖の解析
各抗体を産生するハイブリドーマ約1×10個の細胞よりRneasy Plant Mini Kits(QIAGEN、Cat.No.74904)を用いてtotal RNAの抽出を行った。SMART RACE cDNA Amplification Kit(Clontech、Cat.No.Kl811−1)を用いて、total RNAからcDNAの合成を行った。#281、#285はIgG1の定常領域特異的なprimer、また#79、#123はIgG2bの定常領域特異的なprimerを用いてAdvantage2 PCR Kitにて5’−RACEによるPCRを行い、H鎖及びL鎖の増幅を行った。増幅されたH鎖及びL鎖のDNA断片はpGEM−T easy vector(Promega、Cat.No.A1360)を用いてクローニングし、塩基配列の決定を行った。
得られた塩基配列を解析した結果、H鎖及びL鎖の可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ図1に示したようになった。#123と#285は類似した配列を有しておりこれら2クローンはお互いのエピトープが近傍にあることが予測された。
産業上の利用の可能性
本発明により、aPCの不活性化を抑制する非中和抗aPC抗体が提供された。本発明の抗体は、aPCの不活性化を抑制することを通してaPCの活性を維持し、血液凝固系の活性化の抑制または抗炎症作用などのaPCの生理活性の効果を持続させる働きを有する。本発明の抗体は、活性化プロテインCの活性の低下ないしは不足によって発症および/または進展する疾患または傷害の予防または治療に用いることができ、特に血栓症および敗血症などのaPCによる予防および治療において有用である。

Claims (9)

  1. プロテインCもしくは活性化プロテインC(aPC)に対する抗体であって、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列として、配列番号:1および5、2および6、3および7、または、4および8の組み合わせを有する抗体または該抗体と同一のエピトープに結合する抗体。
  2. 請求項1に記載の抗体であって、活性化プロテインCの作用を増強する活性を有する抗体。
  3. 請求項1に記載の抗体であって、活性化プロテインCの不活性化を抑制する活性を有する抗体。
  4. 請求項1に記載の抗体であって、(a)血液による活性化プロテインCの不活性化、または(b)活性化プロテインCの生理的な阻害物質による活性化プロテインCの不活性化、あるいはそれらの両方を抑制する活性を有する抗体。
  5. 活性化プロテインCの生理的な阻害物質がセリンプロテアーゼインヒビター(SERPINs)である、請求項4に記載の抗体。
  6. セリンプロテアーゼインヒビター(SERPINs)がプロテインCインヒビターまたはα1-アンチトリプシンである、請求項5に記載の抗体。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の抗体であって、以下の(a)から(c)のいずれかのアミノ酸配列からなる相補性決定領域を有する抗体。
    (a)重鎖CDR1、2、および3が、それぞれ配列番号:9、10、および11に記載のアミノ酸配列であって、軽鎖CDR1、2、および3が、それぞれ配列番号:21、22、および23に記載のアミノ酸配列。
    (b)重鎖CDR1、2、および3が、それぞれ配列番号:31、32、および33に記載のアミノ酸配列であって、軽鎖CDR1、2、および3が、それぞれ配列番号:24、25、および34に記載のアミノ酸配列。
    (c)重鎖CDR1、2、および3が、それぞれ配列番号:15、16、および17に記載のアミノ酸配列であって、軽鎖CDR1、2、および3が、それぞれ配列番号:27、28、および29に記載のアミノ酸配列。
  8. 抗体がヒト化抗体、キメラ抗体、抗体断片、一本鎖抗体、およびダイアボディーからなる群より選択される、請求項1から7のいずれかに記載の抗体。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む組成物。
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