JP4397600B2 - 薬液容器の中栓 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえばうがい薬のような薬液を規定回数の振出し動作によりほぼ一定量だけ排出させることができる薬液容器の中栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
うがい薬のような薬液は、規定量を水に稀釈して使用する。
【0003】
一方、定量の薬液を排出させるために、定量カップを口部に組み込んだ薬液容器が知られている(たとえば特開平2−205566号公報)。このものは、可撓性の容器本体を押して変形させると、容器本体内の押上げパイプを介して薬液が定量カップに流出するから、容器本体をそのまま傾けることにより、定量カップ内の薬液だけを外部に排出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術によるときは、薬液容器の口部に組み込む定量カップは、その構造が複雑であり、外形サイズや製造コストが過大になりがちであるばかりでなく、容器本体が可撓性でなければならないという問題があった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、吐出ノズルに絞り部を設けることによって、きわめて簡単な構造でありながら、可撓性の容器本体に限定されず、規定回数の振出し動作によってほぼ一定量の薬液を排出させることができ、製造コストを低減することができる薬液容器の中栓を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための請求項1の発明の構成は、容器本体の口部に装着する中栓であって、容器本体に加わる振出し動作ごとに薬液をエアと置換して流出させる上向きの吐出ノズルと、吐出ノズルの基部側に形成する絞り部とを備えてなり、絞り部の内面には、軸方向の筋目を設け、絞り部の下部は、放射状のリブを有するボスとして下向きに突出させることをその要旨とする。
【0007】
請求項2の発明の構成は、容器本体の口部に装着する中栓であって、容器本体に加わる振出し動作ごとに薬液をエアと置換して流出させる上向きの吐出ノズルと、吐出ノズルの基部側に形成する絞り部とを備えてなり、絞り部の内面には、軸方向の筋目を設け、絞り部は、吐出ノズルに対し、断面積比0.2〜0.6に設定することをその要旨とする。
【0008】
なお、請求項2の発明において、絞り部は、吐出ノズルと同軸状に形成し、吐出ノズルの内面との間に、共通の軸心に対する傾き角が90°以下の段差を形成することができる。
【0009】
請求項4の発明の構成は、容器本体の口部に装着する中栓であって、容器本体に加わる振出し動作ごとに薬液をエアと置換して流出させる上向きの吐出ノズルと、吐出ノズルの基部側に形成する絞り部とを備えてなり、絞り部の内面には、軸方向の筋目を設けており、薬液に対する接触角が80°以上のプラスチックス材料により一体成形することをその要旨とする。
【0010】
なお、請求項1、2、4の各発明において、吐出ノズルは、先端部の内径を滑らかに拡大させて最先端にエッジを形成してもよい。
【0011】
【作用】
かかる発明の構成によるときは、吐出ノズルは、容器本体に加わる振出し動作ごとに、容器本体内の薬液をエアと置換して外部に流出させ、吐出ノズルに形成する絞り部は、内面に設ける筋目を介して薬液との接触面積が増大するから、振出し動作ごとに吐出ノズルに流出する薬液をほぼ一定量に規制するとともに、吐出ノズルに流出する薬液を分断してその連続性を断ち、薬液のぼた落ちを防止して薬液の切れをよくすることができる。すなわち、絞り部、吐出ノズルは、振出し動作ごとにほぼ一定量の薬液を外部に排出させることができる。なお、吐出ノズルは、容器本体を傾けたり倒立させたりしても、容器本体内の薬液が自然流出しない最大径、すなわち内径3.0〜5.0mm程度に設定するものとする。
【0012】
容器本体に加える振出し動作は、たとえば容器本体を下向きに把持した手を上下に振り、容器本体の急激な下向き運動を瞬時に上向き運動に変更することにより、容器本体内の薬液を上下に相対移動させて実現することができる。ただし、容器本体は、振出し動作の下端において下向きとなるように、直線状または円弧状に上下運動させるものとする。
【0013】
放射状のリブを有する下向きのボスとして絞り部の下部を形成すれば、絞り部に流入する薬液がリブを介して分断され、振出し動作ごとの薬液の排出量のばらつきを抑えることができる。また、リブは、キャップを介して吐出ノズルの先端を封止する際に、中栓を補強し、中栓の変形を防止するとともに、ボス内に残る薬液量を少なくすることができる。
【0014】
絞り部は、吐出ノズルに対して断面積比0.2〜0.6に設定することにより、振出し動作ごとの薬液の排出量を一層均一に抑えることができる。なお、断面積比が0.6より大きいと、薬液の切れが悪くなり、絞り部を設ける意味がない。また、断面積比が0.2より小さいと、振出し動作ごとの薬液の排出量が少なくなり過ぎ、実用性に乏しくなる。
【0015】
絞り部は、吐出ノズルと同軸状に形成することにより、容器本体の把持方向に拘らず、鉛直方向に対する絞り部、吐出ノズルの相対位置関係を一定に保ち、振出し動作ごとの薬液の排出量の変動を少なくすることができる。また、絞り部は、吐出ノズルの内面との間に、共通の軸心に対する傾き角が90°以下の段差を形成することにより、薬液の切れを一層良好にすることができる。段差は、絞り部から吐出ノズルに柱状に流出する薬液の流れに対してアンダカットとなり、薬液の流出方向に沿うようなうずを薬液の全周に生じさせることにより、薬液の連続性を一層確実に断つことができるからである。ただし、このときの傾き角とは、軸心に対する段差の表面の絞り部側の傾き角をいう。
【0016】
吐出ノズルは、先端部の内径を滑らかに拡大させ、最先端にエッジを形成することにより、薬液を最先端から円滑に分離させることができる。
【0017】
薬液に対する接触角が80°以上のプラスチックス材料は、薬液に対するぬれが少なく、薬液の切れが一層良好である。なお、このようなプラスチックス材料として、たとえばポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン(三井石油化学工業(株)製の商品名TPX)などの成形性が良好な耐薬品性の材料が好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0019】
薬液容器の中栓10は、容器本体20の口部21に装着され、同軸状の吐出ノズル11、絞り部12を備えてなる(図1、図2)。
【0020】
容器本体20は、片手で容易に把持し得るように、やや偏平な角形に形成され、上部に雄ねじ21a付きの口部21が形成されている。また、口部21の上端には、外向きの係合リング21bが形成されている。
【0021】
中栓10は、たとえば低密度ポリエチレンにより一体成形されている。中栓10は、口部21に適合するスカート13、係合リング21bに係合する内向きの係合リング14を有し、スカート13を口部21に挿入し、係合リング14を係合リング21bに弾発的に係合させることにより、一挙動により口部21の上端に装着するとともに、振出し動作による外れを防止することができる。
【0022】
中栓10の中央部には、絞り部12付きの吐出ノズル11が上向きに突設されている(図1、図3)。ただし、図3(A)は、中栓10の下面図であり、同図(B)は、同図(A)のB−B線矢視相当断面斜視図であり、同図(C)は、同図(A)の要部拡大図である。
【0023】
絞り部12は、吐出ノズル11の基部側に形成されており、吐出ノズル11の内径より十分小径の多角形の星形断面に形成されている。すなわち、絞り部12の内面には、軸方向の山形の筋目12d、12d…が全周に亘って均等に形成されている。なお、絞り部12の上端は、リング状の段差12cを介して吐出ノズル11の下端に連続しており、絞り部12の下部は、スカート13内の放射状のリブ12a、12a…を有するボス12bとして、中栓10の天面から下向きに突出している。一方、吐出ノズル11の先端部は、内径が滑らかに拡大し、最先端にエッジ11aが形成されている。また、中栓10の上面には、吐出ノズル11と同心の低い補強用のガードリング15が上向きに突設されている。
【0024】
容器本体20には、ねじ式のキャップ30が付属している(図1、図2)。キャップ30は、容器本体20側の雄ねじ21aに適合する雌ねじ31を有し、中栓10を押えるスカート32、吐出ノズル11の先端を閉じる栓部33、補助リング33aが天面に下向きに形成されている。キャップ30は、容器本体20の口部21に装着することにより、スカート32を介して、中栓10の外れを防止するとともに、中栓10と容器本体20の口部21との密着性を高めることができる。また、キャップ30は、栓部33を吐出ノズル11の先端に挿入し、吐出ノズル11の先端部分を栓部33、補助リング33aの間のリング状の凹溝に挿入することにより、吐出ノズル11を水密に封止することができる。
【0025】
かかる中栓10は、キャップ30を取り外した容器本体20を手で下向きに把持し(図4)、上下に繰り返し振るようにして振出し動作を加えることにより(同図の矢印方向)、絞り部12、吐出ノズル11を介し、振出し動作ごとにほぼ一定量の薬液を外部の容器Yに排出させることができる。吐出ノズル11は、振出し動作ごとに容器本体20内の薬液をエアと置換して流出させ、絞り部12は、このときの薬液の流出量をほぼ一定量に規制することができるからである。ただし、吐出ノズル11の内径は、薬液の表面張力に基づき、薬液によって閉塞される径であって、容器本体20を倒立させても、薬液が自然流出しない最大径に設定するものとする。
【0026】
図5〜図7に、中栓10の振出し動作による薬液の排出特性を示す。ただし、図5(A)は、図1〜図3に図示されている吐出ノズル11、絞り部12の詳細図であり、同図(B)は、絞り部12に筋目12d、12d…を設けない比較例である。
【0027】
図5(A)において、吐出ノズル11の内径a、長さbは、それぞれ3.8mm、7.5mmであり、絞り部12の長さcは、2.9mmである。また、絞り部12の最大径d1 、最小径d2 は、それぞれ2.8mm、2.4mmである。なお、図5(B)の絞り部12の内径dは、2.8mmである。一方、図6(A)、(B)は、それぞれ図5(A)、(B)の形態の薬液の排出特性を示しており、図6の横軸、縦軸は、それぞれ振出し動作を3回ずつ繰り返した場合の繰返し回数(回)、3回の振出し動作ごとの薬液の排出量(mL)である。また、図7には、図6の排出量のデータが3回ずつの振出し動作の繰返し回数の10回ごと(30回の振出し動作ごと)の平均値としてまとめて示されている。
【0028】
これらのデータによれば、3回の振出し動作ごとの薬液の排出量は、1.2mL前後のほぼ一定量になっていることがわかる。なお、このときの容器本体20は、底から、口部21を形成する肩部の中間までの有効高さが約60mmのポリエチレンテレフタレート製の成形容器であり、当初の薬液量60mLとしたため、繰返し回数が約40回を超えると、容器本体20内の薬液の残量が少なくなり、振出し動作ごとの排出量が減少している。
【0029】
中栓10は、薬液に対する接触角が80°以上のぬれ難いプラスチックス材料を使用することにより、絞り部12の内面の形状に拘らず、良好な排出特性を実現し得ることがわかった。すなわち、絞り部12の内面に形成する筋目12d、12d…は、その形状や条数を適宜変更してもよく(たとえば図8(A)、(B))、深さが異なる筋目12d、12d…を適宜混在させてもよい(図示せず)。ただし、絞り部12の断面積は、吐出ノズル11のそれに対し、0.2〜0.6倍に設定することが好ましい。また、吐出ノズル11と同軸状の絞り部12は、吐出ノズル11の内面との間に、共通の軸心Cに対する傾き角θ≦90°の段差12cを形成してもよい(図9)。さらに、絞り部12は、吐出ノズル11の基部側に代えて、吐出ノズル11の内径が変化しない範囲の中間位置に形成してもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、吐出ノズルと、吐出ノズルに形成する絞り部とを備えることによって、吐出ノズルは、振出し動作ごとに薬液をエアと置換して流出させ、絞り部は、薬液の流出量をほぼ一定量に規制することができるから、全体としてきわめて簡単な構造でありながら、振出し動作ごとの薬液の排出量を実用上一定に抑えることができ、したがって、規定回数の振出し動作によってほぼ一定量の薬液を排出させることができる上、容器本体が可撓性のものに限定されず、製造コストの低減を図ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 使用状態説明図(1)
【図2】 使用状態説明図(2)
【図3】 全体構成説明図
【図4】 使用状態説明図(3)
【図5】 要部拡大断面説明図
【図6】 排出試験データを示す線図
【図7】 排出試験データを示す図表
【図8】 他の実施の形態を示す図3(C)相当説明図
【図9】 他の実施の形態を示す要部拡大断面図
【符号の説明】
C…軸心
θ…傾き角
10…中栓
11…吐出ノズル
11a…エッジ
12…絞り部
12a…リブ
12b…ボス
12c…段差
12d…筋目
20…容器本体
21…口部

Claims (5)

  1. 容器本体の口部に装着する中栓であって、容器本体に加わる振出し動作ごとに薬液をエアと置換して流出させる上向きの吐出ノズルと、該吐出ノズルの基部側に形成する絞り部とを備えてなり、該絞り部の内面には、軸方向の筋目を設け、前記絞り部の下部は、放射状のリブを有するボスとして下向きに突出させることを特徴とする薬液容器の中栓。
  2. 容器本体の口部に装着する中栓であって、容器本体に加わる振出し動作ごとに薬液をエアと置換して流出させる上向きの吐出ノズルと、該吐出ノズルの基部側に形成する絞り部とを備えてなり、該絞り部の内面には、軸方向の筋目を設け、前記絞り部は、前記吐出ノズルに対し、断面積比0.2〜0.6に設定することを特徴とする薬液容器の中栓。
  3. 前記絞り部は、前記吐出ノズルと同軸状に形成し、前記吐出ノズルの内面との間に、共通の軸心に対する傾き角が90°以下の段差を形成することを特徴とする請求項記載の薬液容器の中栓。
  4. 容器本体の口部に装着する中栓であって、容器本体に加わる振出し動作ごとに薬液をエアと置換して流出させる上向きの吐出ノズルと、該吐出ノズルの基部側に形成する絞り部とを備えてなり、該絞り部の内面には、軸方向の筋目を設けており、薬液に対する接触角が80°以上のプラスチックス材料により一体成形することを特徴とする薬液容器の中栓。
  5. 前記吐出ノズルは、先端部の内径を滑らかに拡大させて最先端にエッジを形成することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載の薬液容器の中栓。
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