JP4397302B2 - 水素用電磁バルブのガイドチューブ及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば燃料電池に燃料として水素ガスを供給するに際して、水素ガスの供給を断続するのに使用される電磁バルブに係わり、より詳細には磁性を備えたフェライト系ステンレス鋼と非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼とを溶接した異材溶接構造を有する水素用電磁バルブのガイドチューブに関するものである。
図1は、上記した水素用電磁バルブの構造例を示すものであって、図に示す電磁バルブ1は、CNG(圧縮天然ガス)用の電磁バルブと同様に、非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼から成る円筒部材2aと、磁性を有するフェライト系ステンレス鋼から成り、上記円筒部材2aの基端側に溶接部2cで固定された固定鉄心2bにより構成されるガイドチューブ2と、該ガイドチューブ2の外周部に形成された電磁コイル3と、上記ガイドチューブ2の円筒部材2aの中に移動自在に収納されたフェライト系ステンレス鋼製の可動鉄心4を備えており、上記電磁コイル3の消磁状態において、水素ガスの流通が遮断される一方、当該電磁コイル3への通電によって当該コイル3が励磁されると、可動鉄心4が図中上方側に移動して、入口側流路5と出口側流路6とが連通し、水素ガスの流通が可能となるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−32955号公報
しかしながら、このような構造を有する従来の水素用電磁バルブ1のガイドチューブ2においては、バルブを作動させるための磁気回路を形成しつつ、当該ガイドチューブ2の内部で可動鉄心4を上下作動させる必要があるため、固定鉄心2bは、上記したように円筒部材2aの基端側に嵌合された状態で、溶接によって当該円筒部材2aに固定されている。
ところがこの溶接は、熱膨張率が互いに異なるフェライト系ステンレス鋼(約1.1×10−7/℃)とオーステナイト系ステンレス鋼(約1.7×10−7/℃)との異材溶接になることから、高い残留応力が発生することによって、高圧水素ガスと接した際に、溶接金属中に水素が拡散して水素脆性による亀裂が発生することがあるという問題点があった。
本発明は、水素用電磁バルブに用いられる従来のガイドチューブにおける上記のような課題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、上記のようなフェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼との溶接構造を有するにも拘らず、高圧水素ガスとの接触による水素脆性亀裂の発生を防止することができる水素用電磁バルブのガイドチューブと、当該ガイドチューブの製造方法、さらにはこのようなガイドチューブを備えた水素用電磁バルブを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく、溶接方法や溶接材料、溶接条件などについて鋭意検討した結果、溶接金属の組織と硬さを制御することによって、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の水素用電磁バルブのガイドチューブは、フェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼とを溶接して成るものであって、溶接金属の組織がオーステナイトの単一組織、あるいはオーステナイト量が50%(体積比)以上であって残部がフェライト若しくはマルテンサイト組織、又はフェライト及びマルテンサイトの混合組織を有すると共に、当該溶接金属の硬さが150〜320HVであることを特徴としている。
本発明のガイドチューブ製造方法においては、ガイドチューブを構成するフェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼とを溶接するに際して、C:0.005〜0.08%、Si:0.1〜0.6%、Mn:1.2〜2.5%、Ni:20〜22.5%、Cr:25〜28%を含有するフィラーメタルを用いて溶接したり、この溶接後に、550〜650℃×2〜4時間の焼鈍処理を施したりするようにしており、本発明の水素用電磁バルブは、上記のガイドチューブを備えことを特徴としている。
そして、本発明の水素用電磁バルブは、本発明の上記ガイドチューブを備えて成るものである。
本発明によれば、水素用電磁バルブのガイドチューブにおけるフェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼との異材溶接金属の組織をオーステナイト一相、又はオーステナイト組織が体積比で50%以上であって、残りの部分がフェライト若しくはマルテンサイト組織、又はフェライトとマルテンサイトの混合組織であって、さらに上記溶接金属の硬さを150〜320HVとしたことから、水素脆化に鈍感な組織となり、高圧水素ガスとの接触が避けられない水素用電磁バルブにおいても、水素脆性によるガイドチューブの亀裂発生を防止することができる。
そして、上記ガイドチューブの製造に際して、高Ni含有量のフィラーメタルを用いて溶接することにより、溶接金属のNi含有量が増加してオーステナイト組織が安定化することから、溶接トーチの位置調整に頼ることなく溶接金属のオーステナイト量を増すことができ、溶接の溶け込み深さを大きくすることができる。
さらに、上記ガイドチューブの製造に際して、溶接後に所定条件の焼鈍処理を施すことによって、溶接金属の硬さを低下させることができると共に、溶接残留応力の低減と均一化を図ることができ、水素脆性による亀裂の発生を防止することができる。
そして、本発明によれば、上記のようなガイドチューブを用いて水素用電磁バルブとしているので、水素脆性によるガイドチューブの亀裂発生が防止され、当該水素用電磁バルブの長期に亘る使用が可能なものとなる。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲の記載において、「%」は特記しない限り質量百分率を意味するものとする。
本発明の水素用電磁バルブのガイドチューブは、上記したように、フェライト系ステンレス鋼(固定鉄心)とオーステナイト系ステンレス鋼(円筒部材)との異材溶接構造を有し、その溶接金属がオーステナイトに富んだ組織と、所定硬度を有するものであって、溶接金属のオーステナイト量を50%以上とすることが必要である。これは、オーステナイト量が50%未満、言い換えるとフェライトやマルテンサイトが支配的な溶接金属組織となると、水素脆性に対する感受性が高くなって、水素拡散による亀裂発生を防止することが難しくなることによる。
また、溶接金属の硬度を150HV〜320HVの範囲とすることが必要であるが、これは溶接金属硬度が150HVに満たない場合には、ガイドチューブ部材として必要な接合強度が得られず、逆に320HVを超えた場合には、オーステナイト量が50%以上であっても水素脆性に対する感受性を低下させることができず、亀裂発生の可能性が高くなることによる。
本発明の上記ガイドチューブの固定鉄心として使用するフェライト系ステンレス鋼としては、0.08%以下のC、0.70〜2.50%のSi、0.4%以下のMn、12.50〜15.00%のCrを含有し、さらに必要に応じて0.20〜0.35%のAlを含有したものであることが望ましい。
ここで、Cは、侵入型元素であって、強度の向上に寄与するが、Crと結合して炭化物を形成して固溶Cr量を低下させ、耐酸化性を劣化させるため、また磁気特性上もこのましくないため、多量の含有は好ましくなく、C含有量として0.08%以下の範囲のものが望ましい。
Siは、製鋼時の脱酸剤として添加し、且つ磁気特性と電磁バルブの応答性の向上に寄与する元素であるが、多量に添加すると加工性が損なわれる傾向があると共に、フェライト生成元素であることから、溶接金属のフェライト組織を安定化させてオーステナイト量を低下させる傾向があるので、0.70〜2.50%のSi含有量範囲のものを使用することが望ましい。
Mnも、製鋼時の脱酸剤として添加する元素であり、オーステナイト生成元素の一種であるが、多量に添加すると、Siと同様に加工性が損なわれる傾向があるので、Mn含有量としては0.4%以下のものが望ましい。
Crは、耐食性、耐酸化性を向上させると共に、フェライト生成元素として機能する元素であって、ステンレス鋼には不可欠な成分であるが、過剰に含有すると加工性が損なわれることがあるので、12.50〜15.00%の範囲で含有していることが望ましい。
Alは、フェライト組織を安定化させたり、耐食性、強度、電磁バルブの応答性、磁気特性を向上させたりするのに有効な元素であるが、多すぎると加工性が損なわれる傾向があることから、必要に応じてフェライト系ステンレス鋼中に0.20〜0.35%の範囲で添加することができる。
また、上記ガイドチューブに使用するオーステナイト系ステンレス鋼としては、0.005〜0.03%のC、0.1〜1.0%のSi、0.1〜2.0%のMn、8〜13%のNi、18〜20%のCrを含有したものであることが望ましい。
すなわち、Cは上記したように侵入型元素であって、強度の向上に寄与すると共に、オーステナイト生成元素として機能する元素であるが、Crと結合して炭化物を形成して固溶Cr量を低下させ、耐酸化性を劣化させるため、多量の含有は好ましくなく、ここでは0.005〜0.03%のC含有量のものが望ましい。
Si及びMnの作用及びこれらの成分範囲については、上記したフェライト系ステンレス鋼の場合と同じなので省略する。
Crは、上記のように耐食性、耐酸化性を向上させるステンレス鋼には不可欠な成分であるが、過剰に含有すると加工性が損なわれる傾向がある共に、フェライト生成元素として機能する元素であるから、オーステナイト生成元素であるNiの共存下において18〜20%の範囲で含有することが望ましい。
Niは、オーステナイト生成元素として作用すると共に、強度、耐食性、靭性などを確保するために、オーステナイト系ステンレス鋼に必須の成分であるが、高価な元素であることから、Niを8〜13%の範囲で含有するものであることが望ましい。
なお、溶接金属のオーステナイト組織をより安定化させてオーステナイト量を増し、水素脆性に対する感受性を一層低下させるためには、24〜26%のCrと共に、19〜22%のNiを含有する高Niのオーステナイト系ステンレス鋼をガイドチューブ材料として用いることが望ましく、これによって、後述するように溶接トーチの位置をオーステナイト系ステンレス鋼の側に偏らせなくても、溶接金属のオーステナイト量を50%以上にすることができるようになり、溶接トーチをフェライト系ステンレス鋼との接合部の中心近傍に位置させることによって、溶け込み深さのより大きい溶接が可能となる。この場合、高Niのオーステナイト系ステンレス鋼のC含有量は、Cがオーステナイト生成元素であることから、その上限値が0.08%まで許容される。また、高Niオーステナイト系ステンレス鋼の熱伝導率が悪い場合は、適宜オーステナイト側に溶接トーチを位置させてもよい。
本発明のガイドチューブ製造するに当たっては、上記フェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼とを溶接するに際して、溶接トーチをフェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の接合部からオーステナイト系ステンレス鋼の側に位置させた状態で溶接することが望ましい。これによってオーステナイト系ステンレス鋼の溶融比率が増加し、オーステナイト組織が支配的で、しかも硬さが低い溶接金属を得ることができ、水素脆性による亀裂発生の防止が可能になる
すなわち、図2は、プラズマアーク溶接によって、フィラーメタルを用いることなく、図3に示すように、オーステナイト系ステンレス鋼(0.01%C、0.4%Si、0.5%Mn、12%Ni、20%Cr)から成る円筒部材2aとフェライト系ステンレス鋼(0.01%C、0.8%Si、0.2%Mn、14%Cr、0.3%Al)から成る固定鉄心2bとを溶接するに際して、溶接トーチを図3の上方から下方側に移動させることによって、オーステナイト系ステンレス鋼の溶接金属Wへの溶込み比率を変化させた場合の溶接金属組織と硬さの変化を示すものであって、溶接金属Wへのオーステナイト系ステンレス鋼の溶込み比率が増加するほど、すなわち溶接トーチがオーステナイト系ステンレス鋼(円筒部材2a)の側に変位するほど、溶接金属Wのオーステナイト量が増加することが判る。
また、硬さについては、オーステナイト系ステンレス鋼の溶込み比率が40%程度のとき、約450HVのピーク値を示し、溶接トーチがフェライト系ステンレス鋼との境界からオーステナイト系ステンレス鋼の側に変位するにしたがって、低下することが確認された。
なお、図2によれば、上記成分組成のオーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼を用いた場合には、溶接トーチをオーステナイト系ステンレス鋼の側に位置させることによって、溶接金属Wへのオーステナイト系ステンレス鋼の溶込み比率が約60%程度となるように溶接することによって、溶接金属Wのオーステナイト量が50%以上、硬さが320HV以下となり、水素脆化によるガイドチューブの亀裂を防止できることが判る。
また、本発明のガイドチューブの製造方法においては、上記フェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼とを溶接するに際して、0.005〜0.08%C、0.1〜0.6%Si、1.2〜2.5%Mn、20〜22.5%Ni、25〜28%Crを含有するフィラーメタルを用いて溶接することができ、これによって溶接金属中のオーステナイト量を増加させると共に、その硬さを低下させることができ、水素脆化に対する感受性を低いものとすることができる。
したがって、高Niのオーステナイト系ステンレス鋼をガイドチューブ材料として用いた場合と同様に、溶接トーチの位置をオーステナイト系ステンレス鋼の側に偏らせることなく、溶接金属のオーステナイト量を増し、亀裂発生を防止することができるようになり、溶接トーチをフェライト系ステンレス鋼との境界部中心に位置させることによって、溶け込み深さの大きい溶接が可能となる。また、上記したように、高Niオーステナイト系ステンレス鋼の熱伝導率が悪い場合は、適宜オーステナイト側に溶接トーチを位置させてもよい。
なお、この場合、溶接部にあらかじめ開先を形成してから溶接することもでき、これによって、溶接金属へのフェライト系ステンレス鋼の溶込みを減らして、当該フィラーメタルの比率を高めることができ、オーステナイト相をより一層安定化させることが可能になる。
また、溶接金属中のNi含有量の増加に伴って、熱膨張率が低下し、溶接金属の熱膨張率がオーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼との中間値となるため、溶接残留応力を低下させることもできる。
なお、上記フィラーメタルにおける各成分の作用及び限定理由は、上記した高Niオーステナイト系ステンレス鋼の場合と基本的に同じであるが、Ni及びCrをやや高い範囲に設定すると共に、フェライト生成元素であるSiを減少させ、オーステナイト生成元素であるMnを高い範囲に設定することによって、オーステナイトの安定化を図るようにしている。
さらに、本発明のガイドチューブの製造方法においては、上記フェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼とを溶接したのち、所定条件、すなわち550〜650℃で、2〜4時間の焼鈍処理を施すことができる。これによって溶接金属の硬さが低下し、溶接後に最も高くなる溶接終点部の溶接残留応力の低減と均一化を図ることができ、水素脆性感受性を低下させて、ガイドチューブの亀裂発生を防止することができる。
本発明のガイドチューブの製造方法は、上記したように、高Niフィラーメタルを使用したり、溶接後に焼鈍処理を施したりするものであるが、これらの手法に、溶接トーチ位置をオーステナイト系ステンレス鋼の側に移動させる方法を組合わせて実施することも可能であって、これによってガイドチューブにおける水素脆化亀裂の防止効果をさらに高めることができるようになることは言うまでもない。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。
(実施例1)
表1に示すフェライト系ステンレス鋼Sfから成る固定鉄心2bと同じく表1に示すオーステナイト系ステンレス鋼Sa1から成る円筒部材2aを、フィラーメタルを用いることなく、図3に示したようにプラズマアーク溶接して水素用電磁バルブのガイドチューブを作製するに際し、溶接トーチの位置を変えることによって、溶接金属W中へのフェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の溶込み比率を変化させ、得られた溶接金属の組織と硬さを測定すると共に、35MPaの水素加圧条件下で水素加圧試験を500時間行い、水素脆性亀裂の有無を調査した。この結果を表2に示す。
Figure 0004397302
Figure 0004397302
この結果、オーステナイト量が50%以下で、硬さが336HV以上であるNo.6〜10のガイドチューブにおいては、異材溶接による溶接残留応力と水素ガス内圧によって、脆性亀裂の発生が認められ、溶接金属のオーステナイト量が50%以上であって、しかも溶接金属の硬さが320HV以下である場合には、亀裂が発生しないことが確認された。
(実施例2)
表1に示すフェライト系ステンレス鋼Sfから成る固定鉄心2bと同じく表1に示す高Niオーステナイト系ステンレス鋼Sa2から成る円筒部材2aを、溶接トーチを上記両ステンレス鋼Sf及びSa2の境界部に位置させた状態で同様に溶接し、得られたガイドチューブにおける溶接金属の組織及び硬さを同様に測定すると共に、同様の水素加圧試験を実施した。この結果を表2中に併せて示す(No.11)。
この結果、オーステナイト系ステンレス鋼Sa2の溶込み比率が低下しているにも拘わらず、溶接金属のオーステナイト量が高くなると共に、硬さが大幅に低下し、水素脆性亀裂の発生が防止できることが確認された。
(実施例3)
上記実施例1におけるNo.6と同じ条件のもとに得られたガイドチューブについて、溶接後に、600℃×3時間の焼鈍処理を施した結果、表2中に併せて示すように(No.12)、硬さが280HVに低下し、亀裂発生を防止できることが確認された。
(実施例4)
表1に示すフェライト系ステンレス鋼Sfから成る固定鉄心2bと同じく表1に示すオーステナイト系ステンレス鋼Sa1から成る円筒部材2aを、溶接トーチを上記両ステンレス鋼Sf及びSa1の境界部に位置させた状態で溶接するに際し、表1に示すフィラーメタルMfを使用して溶接し、得られたガイドチューブにおける溶接金属の組織及び硬さを同様に測定すると共に、同様の水素加圧試験を実施した。この結果、表2中に併せて示すように(No.13)、溶接金属のオーステナイト量が極めて高くなると共に、溶接金属の硬さも極めて低いものとなり、水素脆性亀裂の発生が防止できることが確認された。
水素用電磁バルブ及びガイドチューブの構造を示す断面図である。 トーチ位置を変えてオーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼との境界部を溶接した場合の溶接金属組織と硬さの変化を示すグラフである。 図1に示したガイドチューブの溶接部分を示す拡大図である。
符号の説明
1 水素用電磁バルブ
2 ガイドチューブ
2a 円筒部材(フェライト系ステンレス鋼)
2b 固定鉄心(オーステナイト系ステンレス鋼)
W 溶接金属

Claims (8)

  1. フェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼とを溶接して成る水素用電磁バルブのガイドチューブであって、溶接金属がオーステナイト組織、又はオーステナイト量が体積比で50%以上であって残部がフェライト及び/又はマルテンサイトから成る組織を有すると共に、当該溶接金属の硬さが150〜320HVであることを特徴とする水素用電磁バルブのガイドチューブ。
  2. 上記フェライト系ステンレス鋼が、C:0.08%以下、Si:0.70〜2.50%、Mn:0.4%以下、Cr:12.50〜15.00%を含有し、残部Fe及び不可避不純物から成ることを特徴とする請求項1に記載のガイドチューブ。
  3. 上記フェライト系ステンレス鋼が、C:0.08%以下、Si:0.70〜2.50%、Mn:0.4%以下、Cr:12.50〜15.00%、Al:0.20〜0.35%以下を含有し、残部Fe及び不可避不純物から成ることを特徴とする請求項1に記載のガイドチューブ。
  4. 上記オーステナイト系ステンレス鋼が、C:0.005〜0.03%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜2.0%、Ni:8〜13%、Cr:18〜20%を含有し、残部Fe及び不可避不純物から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のガイドチューブ。
  5. 上記オーステナイト系ステンレス鋼が、C:0.005〜0.08%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.0%、Ni:19〜22%、Cr:24〜26%を含有し、残部Fe及び不可避不純物から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のガイドチューブ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のガイドチューブを製造するに際して、C:0.005〜0.08%、Si:0.1〜0.6%、Mn:1.2〜2.5%、Ni:20〜22.5%、Cr:25〜28%を含有し、残部Fe及び不可避不純物から成るフィラーメタルを用いて溶接することを特徴とするガイドチューブの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のガイドチューブを製造するに際して、溶接ののち、550〜650℃×2〜4時間の焼鈍処理を施すことを特徴とするガイドチューブの製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のガイドチューブを備えたことを特徴とする水素用電磁バルブ。
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