JP4395415B2 - 複速レゾルバ - Google Patents

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Description

本発明は、複速レゾルバに関し、特に、遊星ギアを用いて減速機構を構成することにより,大きい減速比を得ると共に小型化を達成するための新規な改良に関する。
従来、用いられていたこの種の複速レゾルバとしては後述の特許文献1に示される構成を、図3及び図4に示す。
従来においては、回転軸と、この回転軸の回転を減速させた減速軸に、取り付けられた軸の1回転中の回転角を検出可能なレゾルバを配置することによって、回転軸の回転角を
複数の回転、例えば数百回転にわたって検出することができるアブソリュートリラクタンス型レゾルバが知られている。図3は、3つのリラクタンス型レゾルバを同心軸上に配置したアブソリュートエンコーダの一例を示す軸方向断面図であり、図4はそのI−I断面図である。ステータ1、2、3とロータ4、5、6から成る3つのレゾルバは同心軸上に配置され、巻線用のスペーサの確保とレゾルバ間の磁気干渉を避けるためにアルミダイキャスト又は、樹脂製のスペーサ7、8、9により間隔を置いて配置されている。入力軸10は軸受け11、12を介してケーシング13、14に支持されている。非磁性体の歯車15とロータ4が入力軸10に嵌着されている。前記入力軸10に対して並設された軸16は図示されない軸受けを介してケーシング13とケーシング14に支持されている。非磁性体の歯車17と非磁性体の歯車18、19が軸16に嵌着されている。
非磁性体の歯車20とロータ5は軸受け21を介して入力軸10に取付けられている。非磁性体の歯車22とロータ6は軸受け23を介して入力軸10に取付けられている。歯車15と歯車17、歯車18と歯車20、歯車19と歯車22のかみ合いによって減速歯車機構が構成されている。歯車20とロータ5、歯車22とロータ6は接着されており、前記減速歯車機構により、入力軸10が24回転するとロータ5が1回転し、入力軸10が25回転するとロータ6が1回転するように構成されている。
図4に示すように、ステータ2とロータ5はどれも薄板の磁性材料を打ち抜き、積層したものからできており、ロータ5は円筒形状を成し、かつ回転中心に対して偏心して回るように構成されている。ステータ2には4つの極歯30から33を有しており、これらの極歯30から33には4つの巻線34から37が巻装され、ロータ4、5、6の回転により、ロータ4、5、6とステータ1、2、3の極歯30から33とのエアーギャップの変化によって磁気抵抗が変化する。
この変化を各巻線のインダクタンスの変化により検出し、入力軸10の25回転までをアブソリュート位置が検出できる。また、ステータ1、3とロータ4、6から成る2つのレゾルバもステータ2、ロータ5と同様の構造をしており、それぞれ入力軸1回転と24回転をアブソリュートの位置が検出でき、これらの3つのレゾルバによる3つのアブソリュートの位置検出値をさらに数値処理することで入力軸10の600回転を高精度に位置検出することができる。
特開平10−146033号公報
従来の複速レゾルバは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、複速のレゾルバを得るためには、回転軸を複数設け、減速用のギアを多数設けなくてはならず、構造が複雑で、小型化が困難であり、軸方向の全長を短くすることが難しく、偏平型の構造を得ることが、困難であった。
また、各レゾルバ間の磁気的な遮断を行うためのスペーサ等を必要とし、構造の簡略化及び小型化への障害となっていた。
本発明による複速レゾルバ構造は、ケーシングの前板に設けられた第1軸受により回転自在に支持された回転軸と、前記回転軸に設けられ前記ケーシング側に固定された第1輪状ステータと対応して第1レゾルバを形成するための第1輪状ロータと、前記回転軸と噛合して遊星回転する複数の遊星ギアと、前記ケーシング側に第2軸受を介して回転自在に設けられ前記遊星ギアと噛合すると共に第2輪状ロータを有する回転部材と、前記ケーシング側に固定して設けられ前記第2輪状ロータと対応して第2レゾルバを形成するための第2輪状ステータとを備え、前記第2レゾルバの第2輪状ロータは前記遊星ギアを介し前記第1輪状ロータよりも減速回転するように構成するとともに、
前記ケーシングの前板には輪状固定板が設けられ、前記輪状固定板の内面には前記第1輪状ステータが設けられ、前記回転部材の外面には前記第2輪状ロータが設けられ、
前記第1輪状ステータ及び第1輪状ロータは、前記回転軸の軸方向において、前記前板と前記遊星ギアとの間に位置し、前記第2輪状ステータ及び第2輪状ロータは、前記回転軸の軸方向において、前記遊星ギアと前記ケーシングの後部ケーシングとの間に位置している構成である。
本発明による複速レゾルバ構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、図1及び図2の構成の場合には、多回転を検出する側のnx型の第2レゾルバは、複数の遊星ギアを介して減速回転されているため、従来構成に比較すると軸は1本のみで、ギアの数も少なく、かつ大きい減速比を得ることができ、複速レゾルバの全体形状の小型化に寄与できる。
また、図1の構成の場合には、特に、遊星ギアと噛合する回転部材の内面にnx型の第2レゾルバの第2輪状ロータを設けていると共に、輪状固定板の外面に第2輪状ステータを設けているため、第1、第2レゾルバをケーシングの半径方向に沿って直線配置することができ、従来構成と比較すると軸方向の全長を短くすることができ、偏平化、小型化、低コスト化によって自動車、ロボット等への搭載性が向上する。
本発明は、遊星ギアを用いて大きい減速比を得ることにより、構造が簡単で、かつ、小型化することである。
以下、図面と共に本発明による複速レゾルバ構造の好適な実施の形態について説明する。尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号50で示されるものは、前板13及び後部ケーシング14とからなるケーシングであり、このケーシング50には第1、第2軸受11、12が設けられている。
前記第1軸受11はダブル軸受で構成され、この第1軸受11には回転軸10が回転自在に設けられている。
前記回転軸10の周面には、第1輪状ロータ4及び回転軸ギア15が設けられており、前記前板13に固定された輪状固定板72は、前記回転軸10と後述の回転部材60の他端60bとの間に位置し、かつ、前記回転軸10と同軸状に配設されている。すなわち、前記回転部材60の他端60bは輪状固定板72の外側に位置している。
前記輪状固定板72の内面72aには、前記第1輪状ロータ4に対応してステータ巻線75を有する第1輪状ステータ1が設けられており、この第1輪状ステータ1と第1輪状
ロータ4によって1x(xは軸倍角)、すなわち、回転軸10の1回転の角度を検出する第1レゾルバ73を構成している。
前記後部ケーシング14の後部位置には、前記第2軸受12を介してほぼカップ型をなす回転部材60の一端60aが回転自在に設けられ、この回転部材60の他端60bは前記後部ケーシング14の内面14a近傍に沿って前板13側へ延設されている。
前記回転部材60の段部60eの内面には内面ギア61が設けられていると共に、前記他端60bの内面60fには、第2輪状ロータ5が設けられている。
前記輪状固定板72の外面72bには、ステータ巻線75を有し、前記第2輪状ロータ5に対応する第2輪状ステータ2が設けられ、この第2輪状ステータ2と第2輪状ロータ5とによって回転軸10の多回転検出を行うためのnx型の第2レゾルバ74を構成している。
前記各輪状ステータ1、2及び各輪状ロータ4、5は、回転軸10の軸方向には同一位置で、かつ、ケーシング1の半径方向に沿って重ねて一直線状に配設されている。また、前記各輪状ステータ1、2及び各輪状ロータ4、5は、回転軸10の軸方向において、前記前板13と遊星ギア70との間に配設されている。
前記回転軸10と回転部材60との半径方向における間には、前記回転軸ギア15と内面ギア61に噛合する遊星ギア70が配設され、この遊星ギア70を一対のギア用軸受80、80を介して回転自在に支持する枠状のギア支持部材71は前記輪状固定板72と回転軸10の外周との間で移動できるように取付けられていることにより、図面には1個しか示していないが、例えば3個からなる周知のスター型遊星ギアが構成されている。
前述の構成において、回転軸10がロボット又は自動車等の回転体の回転によって回転すると、この回転軸10の1回転内の回転角度は第1レゾルバ73で検出され、この回転軸10の回転に連動して1/nの減速比で減速回転する遊星ギア70により輪状の回転部材60がさらに減速して回転し、第2輪状ロータ5(多回転が検出できるようにその周知のギャップパーミアンスが変化するように形成されている)の回転によって第2レゾルバ74により回転軸10の多回転が検出される。
次に、図2で示す本発明の他の形態について説明する。尚、図1と同一又は同等部分には同一符号を付し、その説明は省略すると共に、異なる部分についてのみ説明する。
図2における回転部材60は、図1の形状とは異なり、前記段部60eが省略された形状で形成されている。
前記回転部材60の外面60cには、第2輪状ロータ5が設けられていると共に、前記後部ケーシング14の内面14aの前記第2輪状ロータ5に対応する位置にはステータ巻線75を有する第2輪状ステータ2が設けられている。
前記第1輪状ステータ1及び第1輪状ロータ4は、回転軸10の軸方向において、前記前板13と遊星ギア70との間に位置し、前記第2輪状ステータ2及び第2輪状ロータ5は、前記回転軸10の軸方向において、前記遊星ギア70とケーシング50の後部ケーシング14との間に位置している。
従って、図1及び図2において、前記第1、第2輪状ステータ1、2は、固定側であるケーシング50側に固定した状態で設けられている。
本発明は、レゾルバの代わりに発光素子と受光素子を用いた回転符号板によって回転検出する構造に適用可である。
本発明による複速レゾルバ構造の第1の形態を示す半断面図である。 本発明による複速レゾルバの第2の形態を示す半断面図である。 従来の複速レゾルバ構造を示す縦断面図である。 図3のI−I断面図である。
符号の説明
1 第1輪状ステータ
2 第2輪状ステータ
4 第1輪状ロータ
5 第2輪状ロータ
10 回転軸
11 第1軸受
12 第2軸受
13 前板
14 後部ケーシング
15 回転軸ギア
50 ケーシング
60 回転部材
60a 一端
60b 他端
61 内面ギア
70 遊星ギア
71 ギア支持部材
72 輪状固定板
73 第1レゾルバ
74 第2レゾルバ
75 ステータ巻線
80 ギア用軸受

Claims (1)

  1. ケーシング(50)の前板(13)に設けられた第1軸受(11)により回転自在に支持された回転軸(10)と、前記回転軸(10)に設けられ前記ケーシング(50)側に固定された第1輪状ステータ(1)と対応して第1レゾルバ(73)を形成するための第1輪状ロータ(4)と、前記回転軸(10)と噛合して遊星回転する複数の遊星ギア(70)と、前記ケーシング(50)側に第2軸受(12)を介して回転自在に設けられ前記遊星ギア(70)と噛合すると共に第2輪状ロータ(5)を有する回転部材(60)と、前記ケーシング(50)側に固定して設けられ前記第2輪状ロータ(5)と対応して第2レゾルバ(74)を形成するための第2輪状ステータ(2)とを備え、
    前記第2レゾルバ(74)の第2輪状ロータ(5)は前記遊星ギア(70)を介し前記第1輪状ロータ(4)よりも減速回転するように構成するとともに、
    前記ケーシング(50)の前板(13)には輪状固定板(72)が設けられ、前記輪状固定板(72)の内面(72a)には前記第1輪状ステータが設けられ、前記回転部材(60)の外面(72b)には前記第2輪状ロータ(5)が設けられ、
    前記第1輪状ステータ(1)及び第1輪状ロータ(4)は、前記回転軸(10)の軸方向において、前記前板(13)と前記遊星ギア(70)との間に位置し、前記第2輪状ステータ(2)及び第2輪状ロータ(5)は、前記回転軸(10)の軸方向において、前記遊星ギア(70)と前記ケーシング(50)の後部ケーシング(14)との間に位置している
    ことを特徴とする複速レゾルバ。
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