JP4394379B2 - 電動車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動輪に制動装置を備えた電動車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動車両として、電動モータを強制冷却するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3385639号公報(第4−5頁、図3)
【0004】
特許文献1の図3を以下の図19で説明する。なお、符号は振り直した。
図19は従来の電動車両の後部側面図であり、電動モータ301の出力軸を後輪302のアクスルシャフト303と一体にすることにより、電動モータ301で後輪302を直接駆動するダイレクトドライブ方式の電動車両を示す。
【0005】
電動モータ301を収納するケース本体305は、ケースカバーとで冷却空気通路306を形成する部材であり、この冷却空気通路306にダクト307を連結し、このダクト307の上流側にファン(不図示)を配置する。
例えば、電動モータ301の温度が高くなるとファンが作動し、外気をダクト307、冷却空気通路306を通じて電動モータ301に供給し、電動モータ301を冷却する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した後輪302にはブレーキ装置が備えられるため、ブレーキ装置を作動させた場合に、ブレーキ装置は発熱し、この熱がアクスルシャフト303及びケース本体305を通じて電動モータ301に伝わる。電動モータ301自体も作動中は発熱するから、電動モータ301の温度が過度に上昇することが考えられる。従って、ブレーキ装置から電動モータ301への伝熱を抑え、電動モータ301自体を冷却できれば、電動モータ301の過度の温度上昇を防止できる。
【0007】
また、上記の電動車両では、電動モータ301を冷却するために、冷却空気通路306、ダクト307、ファンを設けた構造であるから、構造が複雑になり、部品数も多くなってコストアップとなる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、電動車両の放熱構造を改良することで、電動モータを効果的に冷却し、また、冷却のために要するコストを抑えることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、後輪側が揺動可能に車体フレームに支持される電動車両であって、電動機を収納するユニットケースと、このユニットケースに後輪を制動するドラムブレーキ装置が取付けられ、これらのユニットケースとドラムブレーキ装置とで後輪の車軸が支持される電動車両において、ユニットケースとドラムブレーキ装置との連結部近傍でユニットケースを構成するケース本体にドラムブレーキ装置側に向けて電動機とドラムブレーキ装置とを冷却する第1フィンが設けられ、ユニットケースの内部に電力制御部が設けられ、この電力制御部の一部を外部に露出させる窓部がユニットケースに後輪に近接して形成され、窓部を貫通する第2フィンが設けられることを特徴とする。
【0010】
第1フィンによって電動機自体を冷却することができるとともに、ドラムブレーキ装置で発生した熱を第1フィンで奪うことができ、ドラムブレーキ装置の熱を電動機に伝わり難くすることができる。
【0011】
請求項2は、第1フィンは車両進行方向に沿って形成され、前記第2フィンは前記第1フィンが形成された範囲の上下方向中央部分に指向して湾曲形成されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る電動の側面図であり、電動車両10は、車体フレーム11の前部に回転可能に取付けたハンドル軸12と、このハンドル軸12の上部に取付けたハンドル13と、ハンドル軸12の下部に取付けたフロントフォーク14と、このフロントフォーク14の下端に取付けた前輪16と、車体フレーム11の中央部に設けたフロアステップ17と、このフロアステップ17の下方に配置したバッテリ18,18(手前側の符号18のみ示す。)と、車体フレーム11の後部を構成するシートポスト21の下部に上下スイング自在に取付けたスイング式のパワーユニット22と、このパワーユニット22の後部に取付けた駆動輪としての後輪23と、パワーユニット22の上部とシートポスト21側とに渡したリヤクッションユニット24と、シートポスト21の中間部に取付けた充電器としての充電・電圧変換装置25と、この充電・電圧変換装置25の後方に配置したテールランプ26と、シートポスト21の上端部に取付けたシート27とからなる。
【0013】
車体フレーム11は、前部に、ハンドル軸12を回転自在に支持するヘッドパイプ31を備える。
ハンドル13は、ハンドル軸12の上端に取付けたアーム33と、このアーム33から上方へ延ばしたハンドル支持部材34と、このハンドル支持部材34の上端に取付けたハンドルバー35とからなり、ハンドル支持部材34を備えることで、ヘッドパイプ31を低位置に配置することができ、車体フレーム11を小型にすることができて、車体フレーム11の重量軽減を図ることができる。
【0014】
バッテリ18は、複数の円柱状のバッテリセルを樹脂製のシュリンクパック (shrink pack:熱で縮ませて包む包装材料)で包み込んだものである。
【0015】
充電・電圧変換装置25は、商用電源を直流に整流し所定の電圧に降圧してバッテリ18に電流を流す充電器と、電動機駆動用に高電圧としたバッテリ電圧をテールランプ等の電装部品用として低電圧に変換するDC−DCコンバータとからなるものである。
【0016】
即ち、充電・電圧変換装置25は、充電器とDC−DCコンバータとで一体的に構成したものである。なお、以後、本実施の形態では、充電・電圧変換装置25は、充電器とDC−DCコンバータとの一体型として説明するが、もちろん、充電器とDC−DCコンバータとは別体に構成されてもよい。例えば、充電器をバッテリ18に近接させ、DC−DCコンバータをテールランプ等の電装部品に近接させてもよい。
【0017】
ここで、41,42は車体フレーム11の前部に取付けたヘッドランプ及びメインスイッチ、43は前輪16の上方を覆うフロントフェンダ、44はフロアステップ17の下方を覆うアンダカバー、47はサイドスタンド、48は後輪23の上方を覆うリヤフェンダ、51はテールランプ26の下部に取付けたライセンスプレート、52はシート27の下方に収納したヘルメットである。
【0018】
図2は本発明に係る電動車両の車体フレームを示す側面図であり、車体フレーム11は、前述のヘッドパイプ31と、このヘッドパイプ31からほぼ下方に真直ぐに延ばしたダウンパイプ61と、このダウンパイプ61から下方、そして後方更に上方へ延ばした左右一対の下部パイプ62,62と、これらの下部パイプ62,62に取付けた前述のくの字状としたシートポスト21と、このシートポスト21の上端部から後方へ延ばしたシートフレーム63と、シートポスト21の中間部から後方へ延ばした中間フレーム64とからなる。なお、66,66,67,67,68,68(それぞれ手前側の符号66,67,68のみ示す。)は補強部材、71はパワーユニット22(図1参照)のスイング軸を取付けるためにシートポスト21の下端部に取付けたパワーユニット支持部材である。
【0019】
このような車体フレーム11のヘッドパイプ31、ダウンパイプ61、下部パイプ62,62及びシートポスト21をほぼU字状に形成することで、図1に示したように、U字の端部でハンドル13及びシート27を支持するとともに、U字の底でフロアステップ17を支持しつつバッテリ18を収納するという、電動車両10に必要な機能を備えつつ最も単純にした車体フレーム11とすることができる。
【0020】
図3は本発明に係る電動車両の平面図であり、ほぼ四角形としたフロアステップ17の下方に車体フレーム11の下部パイプ62,62を配置し、これらの下部パイプ62,62間にバッテリ18,18を左右に並べて配置したことを示す。なお、77は電動機(後述する。)の出力を調整するグリップ、78,78はテールランプ26の左右に取付けたウインカである。グリップ77は、通常の自動二輪車等に用いられるグリップ自体を握って回転させるもの、又はATV(All Terrain Vehicle:不整地走行用車両)等に用いられるレバー式のもの(サムスロットル)で構成してもよい。
【0021】
図4は本発明に係る電動車両の車体フレームを示す平面図であり、車体フレーム11のシートフレーム63を円形、楕円形、あるいはこれらに近い形状にすることで、ヘルメット52(図1参照)の縁をシートフレーム63の内側に掛け、ヘルメット52をシートフレーム63で保持しておくことができるようにしたことを示す。なお、81…(…は複数個を表す。以下同じ。)は下部パイプ62,62にフロアステップ17(図3参照)を固定するために下部パイプ62,62に取付けた第1ブラケット、82…は下部パイプ62,62にフロアステップ17及びアンダカバー44(図1参照)を固定するために下部パイプ62,62に取付けた第2ブラケットである。
【0022】
図5は本発明に係る車体フレームの前部及びフロアステップを示す断面図であり、車体フレーム11の下部パイプ62,62に第2ブラケット82,82を取付け、これらの第2ブラケット82,82の上部にフロアステップ17を取付けるとともに、第2ブラケット82,82の側部にアンダカバー44の側面44a,44aを取付けたことを示す。なお、44bはアンダカバー44の底面である。
【0023】
このように、アンダカバー44はバスタブ状に形成した部材であり、フロアステップ17とで密閉空間85を形成し、この密閉空間85にバッテリ18,18を収納するため、跳ね上げた泥水や塵埃等にバッテリ18,18が晒されるのを防止することができる。
【0024】
図6は本発明に係る電動車両に搭載したバッテリを示す断面図であり、図中の矢印(front)は車両前方を表す(以下同じ)。
バッテリ18は、複数の円柱状としたニッケル水素バッテリセル18a…を俵積みし、前述のシュリンクパック18bで包んだものであり、バッテリケース88内に収納した状態で、フロアステップ17の下方に配置する。なお、91は一方の下部パイプ62にブラケット92を介して取付けたウインカ用リレー、93…はフロアステップ17を第2ブラケット82…に取付けるためにフロアステップ17に設けた取付部である。
【0025】
図7は本発明に係るパワーユニットの第1側面図であり、パワーユニット22に対して後輪23(図1参照)とは反対の側から見た図を示す。
パワーユニット22は、後半部に電動機100を収納するとともにこの電動機100の出力軸101を後輪23(図1参照)の車軸102に連結し、前半部に、電動機100に供給する電力を制御する、即ち電動機100の駆動を制御する電力制御部103及びこの電力制御部103に付設した平滑用コンデンサ104を取付けたものである。
【0026】
なお、このパワーユニット22における動力伝達方式は、電動機100からの出力を減速機構(後述する。)を介して後輪23に伝達するリダクションタイプである。また、電力制御部103は、パワーFET (FET:Field E-ffect Transistor(電界効果トランジスタ))等のスイッチング部材で構成したものである。
【0027】
ここで、106は後輪23を制動するドラムブレーキを構成するブレーキアーム、107はブレーキアーム106の先端に取付けた調整部材、108は調整部材107に連結するとともにブレーキレバー(不図示)に連結したしたワイヤ、111はワイヤ108を移動自在に収納するアウタケーブルであり、ブレーキレバーを握ることにより、ワイヤ108、調整部材107を介してブレーキアーム106をスイングさせ、ブレーキアーム106の回転軸となるブレーキシャフト109の先端に設けたカム部材を回転させ、カム部材でブレーキシュー(詳細は後述する。)をブレーキドラム(詳細は後述する。)に押し当て、後輪23を制動する。調整部材107はブレーキアーム106の初期の角度を調整する部材である。
【0028】
なお、本実施の形態では、電動機100の出力軸101を車軸102の上方斜め後方にオフセットさせて配置した構成にした。このように出力軸101と車軸102とを配置することにより、車体の前後方向の長さを短くすることができ、車体の小型化が可能になる。また、出力軸101を車軸102の上方斜め前方に配置してもよい。
【0029】
図8は図7の8−8線断面図であり、パワーユニット22は、電動機100を収納するケースとしてのユニットケース121と、このユニットケース121の側面に取付けた制動装置としてのドラムブレーキ装置122と、このドラムブレーキ装置122に取付けた前述の車軸102とを備える。
【0030】
ユニットケース121は、後輪23側のケース本体125と、このケース本体125の開口側にボルト126…(図中には1本のみ図示した。)で取付けたケースカバー127とからなる2分割とした部材である。
【0031】
電動機100は、ケース本体125に取付けたステータ131と、ユニットケース121にベアリング132,132を介して回転可能に取付けた前述の出力軸101と、この出力軸101にスプライン結合にて取付けたロータ134とからなるアウタロータ形式のものである。なお、137は出力軸101の先端に形成した歯部、138はダストシールである。
【0032】
ドラムブレーキ装置122は、ケース本体125の内側面125aにボルト144…で取付けた装置であり、ケース本体125と共に車軸102をベアリング145,145で回転可能に支持する基部146と、この基部146に回転可能に取付けるとともに一端部にブレーキアーム106を取付けた前述のブレーキシャフト109と、このブレーキシャフト109の他端部に取付けたカム部材(不図示)と、このカム部材の回転により押圧されて径外方に開くブレーキシュー151と、このブレーキシュー151を内面に当てるカップ状のブレーキドラム152と、前述のブレーキアーム106とからなる。
【0033】
車軸102は、出力軸101の歯部137に噛み合う歯部155と、後輪23を結合するための雄スプライン156とを形成した部材である。なお、157は基部146と車軸102との間に設けたダストシールである。
上記歯部137を備えた出力軸101と歯部155を備えた車軸102とは、減速機構158を構成する部材である。
後輪23は、車軸102に取付けたホイール部161と、このホイール部161の外周部に装着したタイヤ162とからなる。
【0034】
ホイール部161は、車軸102の雄スプライン156に結合した雌スプライン165を形成したボス部166及びカップ状のドラム部167から構成した前述のブレーキドラム152と、このブレーキドラム152の外周面152aに取付けたディスク部168と、このディスク部168の外周部に取付けたリム部171とからなる。なお、173,174は車軸102に後輪23を取付けるためのワッシャ及びナットである。
【0035】
図8に示されたパワーユニット22の構成について更に詳しく説明する。
ホイール部161は、その中心側(即ち、ドラム部167側)が後輪23の車幅方向の中心から電動機100とは反対側に突出するように構成した部材である。即ち、後輪23における回転中心部となるボス部166がオフセットした状態にある。
【0036】
また、上記のようにオフセットしたホイール部161内に、電動機100と後輪23との間に設けた減速機構158をめり込むように配置したことで、いわゆる、リダクションタイプのパワーユニット22を採用しても、後輪23に対するパワーユニット22の車体側方への突出量を小さくすることができる。そのため、重量物であるパワーユニット22と後輪23とを車幅方向の略中心に配置することができるので、車体の重心バランスが向上し、走行性能等を向上させることができる。
【0037】
次に、電動機100から後輪23に対する動力伝達について説明する。
電力制御部103からの制御によりステータ131に駆動電流が供給される。 駆動電流の制御は、例えば、PWM (Pulse Wide Modula-tion:パルス幅変調)制御にてなされる。
【0038】
PWM制御とは、電動機100にパルス状に電圧を加えるとともにそのパルスのオンとオフの間隔の比率(デューティ比)を変化させて、電動機100の回転数(及びトルク)を制御する方式である。
【0039】
上記のPWM制御によって、ステータ131の回りに生じる回転磁界によりロータ134が回転し、それに伴い出力軸101が回転する。出力軸101からの動力は、歯部137及び歯部155を介して減速され、車軸102に対して伝達される。このように、電動機100からの動力は、減速されて後輪23に対して伝達される。
【0040】
なお、本実施の形態では、出力軸101と車軸102とを用いた減速比が固定である減速機構について例示したが、電動機100からの動力が別の変速機で変速されて後輪23に対して伝達されるものでもよい。そのような減速機構として、例えば、無段変速機を用いてもよい。
【0041】
更に、本実施の形態に係る電動車両は、回生充電機構も有する。即ち、ドラムブレーキ装置、フロント用ブレーキ、エンジンブレーキ等を作用させて電動車両10を減速させた場合に、電動機100は発電機として駆動し、減速時に後輪23から電動機100に伝わる回転力を電気エネルギーに変換してバッテリ18,18に蓄積する機能を有する。
【0042】
図9は本発明に係るパワーユニットの第2側面図であり、後輪23側から見た図を示す。
パワーユニット22は、ケース本体125の内側面125aに冷却手段(及び冷却フィン)としての放熱用の第1フィン181…を形成し、前半部に電力制御部103のケース182に設けた第2フィン183…を外部に露出させる矩形の窓部184を形成し、この窓部184より前方に平滑用コンデンサ104を取付け、車軸102(図8参照)を通す穴部186を開けたものである。なお、188は平滑用コンデンサ104を収納するコンデンサケース、191はリヤクッションユニット24(図1参照)の下端を取付けるためにユニットケース121に設けたクッション下端取付部である。
【0043】
図中に想像線で示したほぼ五角形の部材は、前述のドラムブレーキ装置122(図8参照)の基部146であり、193…はケース本体125の内側面125aに基部146を取付けるためにケース本体125に設けた基部取付部である。
【0044】
図10は図7の10−10線断面図であり、ユニットケース121のケース本体125の内面125bに電力制御部103をボルト196…で取付け、電力制御部103のケース182をケース本体125の窓部184から外部に露出させ、第2フィン183…を後輪23のタイヤ162に近接させたことを示す。なお、198,198は車体フレーム11(図2参照)側のパワーユニット支持部材71(図2参照)にスイング軸を介して取付けるフレーム取付部である。
【0045】
図11は図7の11−11線断面図であり、ケース本体125の内側面125aの前部に平滑用コンデンサ104を取付け、この平滑用コンデンサ104を、外周面に第3フィン201…を形成したコンデンサケース188内に収納し、コンデンサケース188を後輪23、詳しくはタイヤ162に近接させたことを示す。なお、コンデンサケース188はビスでケース本体125に取付ける。
【0046】
以上に述べたパワーユニット22の冷却の作用を次に説明する。
図12は本発明に係るパワーユニットの冷却について示す第1作用図であり、走行風及び後輪23(想像線で示す。)の回転により発生する空気流による冷却について説明する。
電動車両が走行中は、走行風が矢印(1),(1)で示すように流れ、そして、後輪23が白抜き矢印で示すように回転するために、後輪23の近傍に車輪23の回転方向に発生する空気流が加わることによって、走行風は、矢印(2),(3)で示すように、コンデンサケース188の第3フィン201に沿って流れるとともに下方へ向かい、コンデンサケース188を介して平滑用コンデンサ104から熱を奪う。
【0047】
また、走行風は矢印(4),(4)で示すように、上記空気流と共に電力制御部103の第2フィン183…に沿って流れるため、電力制御部103から熱を奪う。
更に、走行風は、矢印(5),(5)で示すように、ケース本体125の第1フィン181…の近傍を流れ、また、矢印(6),(6)で示すように、第1フィン181…に沿って流れ、矢印(6)の走行風の一部は矢印(7)で示すように、基部の取付部を回り込んで第1フィン181の近傍を流れる。
【0048】
図13は本発明に係るパワーユニットの冷却について示す第2作用図であり、電動機100側とドラムブレーキ装置122側との冷却について説明する。
電動機100を作動させると、特にコイルを備えるステータ131側に多くの熱が発生する。また、走行中に、ドラムブレーキ装置122によって後輪23を制動させると、ブレーキシュー151とブレーキドラム152との摩擦で熱が発生する。
【0049】
これらの熱は、電動機100側からは矢印(8),(8)で示すようにケース本体125の第1フィン181…に流れ、ドラムブレーキ122側からは矢印(9),(9)で示すようにブレーキドラム152→車軸102→基部146→ケース本体125の第1フィン181…に流れる。この結果、第1フィン181…から熱が大気に逃げる。これによって、電動機100及びドラムブレーキ装置122を冷却することができ、更に、電動機100とドラムブレーキ装置122との間に第1フィン181…が位置するため、ドラムブレーキ装置122から電動機100へ熱を伝わり難くすることができる。
【0050】
以上の図8、図9及び図13で説明したように、本発明は第1に、電動機100の動力で回転する後輪23にドラムブレーキ装置122を備えた電動車両10(図1参照)において、電動機100にドラムブレーキ装置122を取付けるとともに、これらの電動機100とドラムブレーキ装置122との連結部近傍、詳しくはケース本体125の内側面125aに、電動機100及びドラムブレーキ装置122を冷却する第1フィン181を設けたことを特徴とする。
【0051】
第1フィン181によって電動機100自体を冷却することができるとともに、ドラムブレーキ装置122で発生した熱を第1フィン181で奪うことができ、ドラムブレーキ装置122の熱を電動機100に伝わり難くすることができる。従って、電動機100をより効果的に冷却することができる。
【0052】
本発明は第2に、電動機100の動力で回転する後輪23にドラムブレーキ装置122を備えた電動車両10において、電動機100のユニットケース121にドラムブレーキ装置122を取付けるとともにユニットケース121を二分割とし、分割したケース本体125及びケースカバー127の少なくとも一方に第1フィン181を設けたことを特徴とする。
【0053】
第1フィン181で電動機100で発生した熱を放熱させることができるとともに、ドラムブレーキ装置122で発生した熱をも電動機100のユニットケース121を介してして第1フィン181で放熱させることができる。従って、電動機100の温度上昇を効果的に抑えることができる。
また、ユニットケース121に第1フィン181を設ける簡単な構造であるから、冷却に要するコストを抑えることができる。
【0054】
本発明は第3に、第1フィン181を設けたケース本体125に、後輪23の車軸102が貫通する穴部186を備えることを特徴とする。
ケース本体125の穴部186で車軸102を支持することができ、また、車軸102を介して第1フィン181側のケース本体125と後輪23との位置決めを行うことができる。
【0055】
本発明は第4に、冷却手段をフィンで構成したことを特徴とする。
フィンによって走行風による自然冷却を行うことができ、ファン等の強制冷却手段を用いるのに比べて、コスト、重量を低減することができる。
【0056】
図14は本発明に係る電力制御部の冷却構造の別の実施の形態を示す断面図であり、図10に示した実施の形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
電力制御部210は、ケース211内に設けたFETに放熱板212を取付け、この放熱板212に形成した第4フィン213…をケース211を貫通させて外部に露出させ、後輪23、詳しくはタイヤ162に近接させたものである。
【0057】
このように、放熱板212の第4フィン213…を外部に露出させることで、FETで発生した熱を放熱板212の第4フィン213…から直接に大気に逃がすことができ、FET、ひいては電力制御部210をより効果的に冷却することができる。
【0058】
図15は本発明に係る電動車両の後部側面図(一部断面図)であり、シートポスト21に取付けたヘルメット支持部材216及びシートフレーム63で外面がほぼ半球状のヘルメット52の縁を掛けることにより保持し、シートポスト21の中空部217に、充電・電圧変換装置25に接続したカール形状の充電コード218を収納し、中空部217が外部に開口する開口部221及びヘルメット52の上方をシート27で覆ったことを示す。
【0059】
ヘルメット52は、外殻部材223と、この外殻部材223内に設けた緩衝材224とからなり、ヘルメット52の縁部52aを広げたものであって、上記したヘルメット支持部材216及びシートフレーム63に掛けることができる。
【0060】
ここで、225は充電コード218のプラグ、226はプラグ225に嵌めたキャップ、227はシートポスト21の上端部に取付けた縁取り部材、228はシートフレーム63にシート27を開閉自在に取付けるシートヒンジ、231はシートクッション材、232はシート底板、233はシート底板232に着脱自在に取付けることで書類等を収納するトレーである。
【0061】
以上のように、シート27の下の空間は、物品としてのヘルメット52を収納する物品収納空間234であり、この収納空間234は外部と隔てる隔壁を有しない開放した空間である。
【0062】
このような物品収納空間234を、シート27の直下に配置したことにより、雨が降ってもヘルメット52が濡れることがなく、特別に雨避けを設ける必要がない。
【0063】
また、本実施の形態に係る電動車両10のシート27の下方は剥き出し空間になっているにもかかわらず、シート27下にヘルメット52を収納することから、一見してはシート27下にヘルメット52を収納しているとは見えない斬新な印象を与えることができ、電動車両10の商品魅力を高めることができる。
【0064】
充電・電圧変換装置25は、車体フレーム11側への車体側取付部236,236(一方の符号236のみ示す。)及び車体側取付部237,237(一方の符号237のみ示す。)を備え、車体側取付部236,236を補強部材68に取付け、車体側取付部材237,237を中間フレーム64の側面に取付けることでシートポスト21にほとんど接するように近接させた装置であり、下面25aに第5フィン238…を設けたものである。
【0065】
このように、充電・電圧変換装置25は、車体フレーム11に剥き出しの状態で取付けたものであるから、従来のような車体カバー内に配置するのに比べて、充電・電圧変換装置25をより効果的に冷却することができる。つまり、充電・電圧変換装置25をシート27下の剥き出しの空間に配置したので、充電・電圧変換装置25で発生した熱をそのまま大気に逃がすことができ、より放熱性を向上させることができる。
【0066】
ここで、241,242はテールランプ26から延びる導線243,243を接続する端子、244は中間フレーム64にテールランプ26を取付けるためにテールランプ26に一体に設けたランプ取付部、246はリヤクッションユニット24(図1参照)の上端を取付けるために補強部材68に設けたクッション上端取付部である。
【0067】
つまり、充電・電圧変換装置25とテールランプ26とを略一体的に設けたので、充電・電圧変換装置25とテールランプ26との間の結線距離を短くすることができる。また、充電・電圧変換装置25とテールランプ26とを同一のカバーで容易に覆うことができるので、このようなカバーを設けた場合に、製造コスト等を削減することができる。
【0068】
図16は本発明に係るシートを開けたときの作用図である。
シート27をシートフレーム63にロックしておく図示せぬシートロック装置を外し、シート27を上方へスイングさせる、即ちシート27を開ける。本実施の形態では、シート27は、シートフレーム63の後部に設けたシートヒンジ228によって回転自在に支持したものである。
【0069】
このようにシート27を開ければ、容易にヘルメット52を上方へ取り出すことができ、また、容易にシートポスト21の中空部217から充電コード218を上方へ取り出すことができ、充電コード218のプラグ225からキャップ226を外してコンセントに差し込むことができる。
また、シート27下のトレー233を外して、容易に書類、マニュアル等を取り出すことができる。
【0070】
図17(a),(b)は本発明に係るシート下の物品の収納方法の変形例を示す側面図である。
(a)はシートフレーム63にネット251を取付け、このネット251に物品252,253を収納したことを示す。
(b)はシートフレーム63にフック256…を取付け、フック256に、例えば、袋257を掛け、この袋257内に物品258を収納したことを示す。
【0071】
図18(a),(b)は本発明に係る充電・電圧変換装置の説明図であり、(a)は図15の18−18線断面図、(b)は作用図である。
(a)において、充電・電圧変換装置25の下面25aに、下方に突出するとともに中間フレーム64の両側に配置した第5フィン238…を設けたことを示す。なお、261,261は中間フレーム64と充電・電圧変換装置25との間に介在させたクッションラバーである。
【0072】
(b)において、空気が矢印の向きに流れると、充電・電圧変換装置25で発生した熱は第5フィン238…から逃げる。これにより、充電・電圧変換装置25の温度上昇を抑えることができる。
【0073】
尚、本実施の形態では、第1フィンをユニットケースに設けたが、これに限らず、ドラムブレーキ装置の基部に設けてもよい。
【0074】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の電動車両は、ユニットケースとドラムブレーキ装置との連結部近傍でユニットケースを構成するケース本体にドラムブレーキ装置側に向けて電動機とドラムブレーキ装置とを冷却する第1フィンが設けられ、ユニットケースの内部に電力制御部が設けられ、この電力制御部の一部を外部に露出させる窓部がユニットケースに後輪に近接して形成され、窓部を貫通する第2フィンが設けられるので、第1フィンによって電動機自体を冷却することができるとともに、ドラムブレーキ装置の熱を第1フィンで奪うことができ、ドラムブレーキ装置で発生した熱を電動機に伝わり難くすることができる。従って、電動機をより効果的に冷却することができる。
【0075】
請求項2の電動車両は、第1フィンは車両進行方向に沿って形成され、前記第2フィンは前記第1フィンが形成された範囲の上下方向中央部分に指向して湾曲形成されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電動車両の側面図
【図2】 本発明に係る電動車両の車体フレームを示す側面図
【図3】 本発明に係る電動車両の平面図
【図4】 本発明に係る電動車両の車体フレームを示す平面図
【図5】 本発明に係る車体フレームの前部及びフロアステップを示す断面図
【図6】 本発明に係る電動車両に搭載したバッテリを示す断面図
【図7】 本発明に係るパワーユニットの第1側面図
【図8】 図7の8−8線断面図
【図9】 本発明に係るパワーユニットの第2側面図
【図10】 図7の10−10線断面図
【図11】 図7の11−11線断面図
【図12】 本発明に係るパワーユニットの冷却について示す第1作用図
【図13】 本発明に係るパワーユニットの冷却について示す第2作用図
【図14】 本発明に係る電力制御部の冷却構造の別の実施の形態を示す断面図
【図15】 本発明に係る電動車両の後部側面図(一部側面図)
【図16】 本発明に係るシートを開けたときの作用図
【図17】 本発明に係るシート下の物品の収納方法の変形例を示す側面図
【図18】 本発明に係る充電・電圧変換装置の説明図
【図19】 従来の電動車両の後部側面図
【符号の説明】
10…電動車両、11…車体フレーム、23…後輪、100…電動機、102…車軸、103…電力制御部、121…ユニットケース、122…ドラムブレーキ装置、125…ケース本体、181…第1フィン、183…第2フィン、184…窓部、186…穴部。
Claims (2)
- 後輪側が揺動可能に車体フレームに支持される電動車両であって、電動機を収納するユニットケースと、このユニットケースに前記後輪を制動するドラムブレーキ装置が取付けられ、これらのユニットケースとドラムブレーキ装置とで前記後輪の車軸が支持される電動車両において、
前記ユニットケースと前記ドラムブレーキ装置との連結部近傍でユニットケースを構成するケース本体にドラムブレーキ装置側に向けて電動機とドラムブレーキ装置とを冷却する第1フィンが設けられ、
前記ユニットケースの内部に電力制御部が設けられ、この電力制御部の一部を外部に露出させる窓部が前記ユニットケースに前記後輪に近接して形成され、前記窓部を貫通する第2フィンが設けられることを特徴とする電動車両。 - 前記第1フィンは車両進行方向に沿って形成され、前記第2フィンは前記第1フィンが形成された範囲の上下方向中央部分に指向して湾曲形成されていることを特徴とする請求項1記載の電動車両。
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