JP4086220B2 - 電動車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動車両に関し、特に、外観を良好に維持しながら、良好に冷却可能な、充電器(チャージャ)等の発熱部品の取り付け構造を有する電動車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動車両の駆動モータ用電源として、化学的作用により再充電を行い、繰り返し利用することができる二次電池(バッテリ)が用いられる。このバッテリを充電するチャージャを搭載したスクータ型電動車両の一例が、特開平5−112270号公報に開示されている。この電動車両では、シートの下後部に設けられたスペースにチャージャが収容され、充電を行う際にはリッドを開けて内部のコードを引き出し、これを商用電源に接続して通電できるように構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
チャージャは発熱体であり、冷却を考慮する必要があるが、上記従来の車両では、外気に触れにくいスペースにチャージャが収納されているため、冷却性能の点では、車体側部等、外気に触れやすい位置にチャージャを配置したいという要望もある。その場合、シート下の収納スペースを確保できるというメリットもある。また、冷却性能をより高めるために、チャージャに冷却フィンを設けることも考えられるが、冷却フィンが目立つような外観は好まれないこともある。したがって、外観および冷却性能が共に良好で搭載性の優れたチャージャの取り付け構造が望まれる。
【0004】
さらに、電動車両にはチャージャ以外にも発熱部品であるダウンコンバータが搭載されるが、このダウンコンバータの冷却性能を向上させたいという要望もある。
【0005】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、外観および冷却性能が共に良好で搭載性に優れたチャージャの取り付け構造を有するとともに、ダウンコンバータの冷却性能をも向上させることができる電動車両を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、後輪前方に配置されるモータから後輪に動力を伝達する変速機を車体の片側に配設した電動車両において、前記車体を挟んで前記変速機の反対側に配置された充電器と、前記充電器の上部に設けられた充電器冷却ファンと、前記充電器冷却ファンを覆うように下端位置が設定されたサイドカバー部分を有するボディカバーとを備えた点に第1の特徴がある。
【0007】
第1の特徴によれば、充電器と変速機が車体を挟んでバランス良く配置されるとともに、外観が繁雑になりやすい充電器冷却ファンと充電器との接続部分が、サイドカバー部分で覆い隠されるので、外観の繁雑さをなくすることができる。
【0008】
また、本発明は、前記モータが、モータ軸を略水平にして車体幅方向に延在しており、前記充電器が、前記後輪の軸より上方にその最下端が位置し、前記後輪の前後長内に収まるように配置されている点に第2の特徴がある。
【0009】
第2の特徴によれば、充電器が、モータとの干渉を避けて配置されるとともに、後輪の軸より上に設けられるので、車体のバンク角も十分に確保され、充電器の搭載性が良好となる。
【0010】
また、本発明は、前記充電器冷却ファンが、下方から空気を取り込んで上方へ放出するよう設定されている点に第3の特徴があり、前記充電器を車体に取り付けるためのステーを備え、該ステーが、前記充電器との間に上下方向に延在する導風路の一壁部を形成するように形成されるとともに、前記導風路の上部に前記充電器冷却ファンが配置されている点に第4の特徴がある。さらに、本発明は、前記充電器が、前記導風路に臨む面に冷却フィンを備えている点に第5の特徴がある。
【0011】
第3〜第5の特徴によれば、温度の上がっている空気の流れにさからわず、導風路の中に、上方に向けた空気の流れを形成できる。この空気の流れは、フィンに当たる冷却風となり、効果的に充電器を冷却できる上に、冷却ファン自体も小型のものが採用でき、システムのコンパクト化が図れる。また、フィンが外側に露出しないので、外観性も良好である。
【0012】
また、本発明は、後輪の上部を覆うリヤフェンダを備え、前記冷却ファンの上部が、平面視で前記リヤフェンダによって覆われている点に第6の特徴がある。第6の特徴によれば、冷却ファンの排風口がリヤフェンダによって保護されファンの冷却効率を維持できる。
【0013】
さらに、本発明は、車体後部に配置されたダウンコンバータを備え、前記ダウンコンバータが、軽合金製の車体フレーム上に載置され、後部ボディカバー内に収容されている点に第7の特徴があり、前記ダウンコンバータが、少なくとも前記車体フレームとの当接面に、車体前後方向に延在する冷却フィンを備えた軽金属製の函体に収納されている点に第8の特徴がある。
【0014】
第7,8の特徴によれば、充電器が存在しない車体後部のボディカバーに囲まれたスペースを利用してダウンコンバータ及びその冷却フィンを形成することができる。また、ダウンコンバータは熱伝導性の高い車体フレームに接しているので、効果的に熱放出することができる。特に、第8の特徴によれば、冷却フィンによって、さらに冷却性能を高められる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」は運転者から見た方向を示し、前側Fr、後側Rr、左側L、右側Rは車両の進行方向に対する位置を示す。
【0016】
図10は本発明に係るチャージャ等の取付態様を有する自動二輪車の側面図である。スクータ型車両である自動二輪車10は、車体フレーム11と、車体フレーム11のヘッドパイプ11aに取付けたフロントフォーク12と、フロントフォーク12に取付けた前輪13と、フロントフォーク12に連結したハンドル14と、車体フレーム11の後部に上下スイング可能に取付けたパワーユニット15と、パワーユニット15に取付けた後輪16と、パワーユニット15の後端部を車体フレーム11に懸架したリヤクッションユニット17と、車体フレーム11の後部上部に取付けた収納ボックス(ラゲッジボックス)18と、収納ボックス18の上に配置されて開閉可能に取付けられたシート19とを有する。ラゲッジボックス18には、ヘルメット等が収容される。
【0017】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ11aを一体成型したアルミニューム合金等、軽合金のダイキャスト製である。パワーユニット15は、モータ21と遠心クラッチ付きベルト式無段変速機22とからなる。モータ21は、車幅方向に略水平に延在するモータ軸211を有し、このモータ軸211の回転はベルト式無段変速機22および減速機構を介して後輪16の軸(リヤアクスル)161に伝達される。モータ21としては、高出力が得られる三相のブラシレスモータを使用するのが望ましく、このモータ21の軸方向端部には、ブラシレスモータの給電制御用の半導体スイッチング素子を含むコントローラ(図示せず)を設けることができる。
【0018】
車体フレーム11はボディカバー24で覆われる。ボディカバー24は、ヘッドパイプ11aの前部を覆うフロントカバー31と、ヘッドパイプ11aを挟みフロントカバー31の後部を覆うとともに運転者の脚部前方を覆うレッグシールド26と、運転者の足を載せるステップフロア(低床式足載板)27と、ステップフロア27の外縁から下方へ延ばした左右一対のフロアサイドカバー28と、これらフロアサイドカバー28の下縁間を覆うアンダカバー29と、シート19下周りの前部を覆うシート下部カバー36と、シート19下後部と後輪16の上方を覆うリヤカバー32と、左右一対のサイドカバー33とからなる。
【0019】
ステップフロア27の下にはバッテリ装置35が配置される。バッテリ装置35は、ステップフロア27の下にあって車体の前後方向に略水平に延びている部分(ロアフレーム)11Lに、連結手段としてのステー355,356ならびに支持軸35aで支持される。支持軸35aは前記パワーユニット15を車体フレーム11に固定するスイングアームのピボット軸と同軸で取り付けられる。ロアフレーム11Lは車体左右に枝分かれしており、バッテリ装置35は、その枝間のスペースを利用して配置される。
【0020】
バッテリ装置35の前部および後部にはバッテリ冷却用のファン38,39が設けられる。前部ファン38はバッテリ装置35の直前に設けられ、後部ファン39はバッテリ装置35の上部の後端近くに設けられる。特に、後部ファン39には、冷却風をバッテリ装置35の各バッテリに給送するためのダクト41が設けられる。ファン38,39は同じサイズのものであり、バッテリ装置35をこれら二つのファンで冷却するので、一つ一つのファンの小型化を図ることができる。小型化が図られたファン39は、前記収納ボックス18下方のスペースを有効に利用して格納できる。
【0021】
車体の後部にはバッテリ装置35のバッテリに充電を行うためのチャージャ37が設けられる。チャージャ37は、車体フレーム11の右側、つまりベルト式無段変速機22が配置される側と反対側で、ステー42によって車体フレーム11に懸架させられる。チャージャ37の上部には冷却ファン43が設けられる。チャージャ37は、その最下端がリヤアクスル161よりも上方に位置し、側面視で後輪16の前後長内に収まるよう、配置およびサイズが設定される。このようなサイズや配置により、後輪16の前方に位置するモータ21との干渉を防ぎ、バンク角を確保して、スペースを有効に利用することができる。
【0022】
車体フレーム11の後部にはダウンコンバータ44が搭載され、車体フレーム11にあって、前記支持軸35aの上方位置にはブレーカ45が搭載される。充電用プラグ34がチャージャ37から収納ボックス18内に引き込まれ、収納ボックス18内に設けられるフック(図示せず)に引っかけられる。前記ダウンコンバータ44の上部はリヤカバー32によって覆われる。
【0023】
車体フレーム11の後上部には、シート19に設けられるフック19aに対応してシートキャッチ46が設けられる。後輪16には、リヤフェンダ47aが設けられ、さらにその外周に、車体フレーム11から下後方に延びる第2のリヤフェンダ47bが設けられる。
【0024】
図3は、チャージャの斜視図、図4はチャージャの平面図、図5はチャージャの側面図(一部断面)である。これらの図において、チャージャ37は、アルミニューム合金などの軽金属からなる函状の本体371と樹脂製の蓋372とからなる。本体371の一面(蓋372とは反対側の面)には、本体371と一体で空冷用のフィン373が形成される。本体371にはフィン373に対向してボルト374によりステー42が固定される。ステー42は、上部に、車体フレーム11への取り付け用孔375が設けられるとともに、チャージャ37との間に導風路50を形成するよう立体的に成型される。
【0025】
チャージャ37の上部には設けられる冷却ファン43は下方から空気を取り込んで上方に放出するよう設定される。冷却ファン43が駆動されると、導風路50には下方から空気が取り込まれ、上方に通り抜ける。このときの空気の流れ(冷却風)CAによって、フィン373は、冷却性能をより一層高められ、効果的にチャージャ37の本体371が冷却される。
【0026】
図1は、チャージャ37の搭載態様を示す自動二輪車10の後部斜視図、図2は、同後部側面図である。図1において、チャージャ37は、車体中央寄りで、前記ステー42によって車体フレーム11に固定される一方、車体前方側の面ではブラケット52によって車体フレーム11に固定される。チャージャ37の上部に設けられた冷却ファン43は、前記導風路50から効率よく空気を取り込むように形成されたスカート431を有する。
【0027】
第2のリヤフェンダ47bは、車体後端側から車体前方上方に延びる部分RFDと、それから水平前方に延びる部分RFHとを有し、水平部分RFHは、平面視で、冷却ファン43の排風口の上方に被さる位置に設定される。これにより、冷却ファン43の排風口が保護される。車体フレーム11の後部に搭載されるダウンコンバータ44は、第2のリヤフェンダ47bによって、後方および側面の一部が覆われている。
【0028】
図2に示すように、サイドカバー33を取り付けた状態では、チャージャ37の上部および冷却ファン43は、このサイドカバー33で覆われる。したがって、チャージャ37は、その下部つまり直線的な外形だけが人の目に触れることになり、外部に露出させたにもかかわらず、繁雑にならず簡素な外観を呈するチャージャの搭載構造が提供される。
【0029】
図6はダウンコンバータ44の斜視図、図7はダウンコンバータの側面図である。ダウンコンバータ44の本体は、チャージャ37と同様、アルミニューム等の軽金属で成型される函体441に収納される。函体441には樹脂製の蓋442が設けられる。そして、函体441には、車体前後側および下面にわたって延びる空冷用のフィン443が形成される。
【0030】
図8は、車体後部の左側面図、図9は、後方から見た車体後部の斜視図である。両図において、ダウンコンバータ44は、前記フィン443を車体フレーム11に当接させた状態で車体後部に搭載される。ダウンコンバータ44で発生した熱は、フィン443によって放出されるが、特に、熱伝導性の良い車体フレーム11がフィン443が接触しているとにより、熱の放散は一層促進される。
【0031】
なお、ダウンコンバータ44の前部を跨ぐようにして強度の高い鋼等の支持メンバー52が設けられ、ボルト53,54で車体フレーム11に取り付けられる。支持面メンバー52には、前記シートキャッチ46を構成するプレート461が固定される。
【0032】
このように、車体後部に形成されるスペースをダウンコンバータ44の格納場所として十分に活用できるので、ダウンコンバータ44に広い面積の冷却フィン443を設けることができる。この結果、軽金属製の車体フレーム11による高い放熱効果と相まって、ダウンコンバータ44を効果的に空冷することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなとおり、請求項1〜8の発明によれば、充電器を車体に対して重量バランス良く配置できるし、配線などで繁雑になりがちな冷却ファンをボディーカバーで覆い隠して、外観を良くすることができる。また、請求項3〜請求項6の発明によれば、充電器を効果的に冷却することができる。
【0034】
さらに、請求項7,8の発明によれば、車体後部のスペースを有効利用して、十分に大きい冷却フィンを形成した函体を有するダウンコンバータを搭載できる。特に、熱伝導性の高い車体フレームを通じての熱拡散もあいまって、高い冷却性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る自動二輪車を右後方から見た要部分解斜視図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る自動二輪車の右後部側面図である。
【図3】 チャージャの斜視図である。
【図4】 チャージャの平面図である。
【図5】 チャージャの側面図である。
【図6】 ダウンコンバータの斜視図である。
【図7】 ダウンコンバータの側面図である。
【図8】 本発明の一実施形態に係る自動二輪車の後部構造を示す要部分解左側面である。
【図9】 本発明の一実施形態に係る自動二輪車を後方から見た要部分解斜視図である。
【図10】 本発明の一実施形態に係るチャージャとダウンコンバータを搭載したスクータ型車両の側面図である。
【符号の説明】
10…自動二輪車、 11…車体フレーム、 12…フロントフォーク、 13…前輪、 14…ハンドル、 15…パワーユニット15、 16…後輪、 21…モータ、 22…変速機、 33…サイドカバー、 35…バッテリ装置、 37…チャージャ、 43…冷却ファン、 44…ダウンコンバータ
Claims (8)
- 後輪前方に配置されるモータから後輪に動力を伝達する変速機を車体の片側に配設した電動車両において、
前記変速機の反対側の車体側部に配置された充電器と、
前記充電器の上部に設けられた充電器冷却ファンと、
前記充電器冷却ファンの側部を覆うように下端位置が設定されたサイドカバー部分を有するボディカバーとを備えたことを特徴とする電動車両。 - 前記モータが、モータ軸を略水平にして車体幅方向に延在しており、
前記充電器が、前記後輪の軸より上方にその最下端が位置し、前記後輪の前後長内に収まるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の電動車両。 - 前記充電器冷却ファンが、下方から空気を取り込んで上方へ放出するよう設定されていることを特徴とする請求項1記載の電動車両。
- 前記充電器を車体に取り付けるためのステーを備え、
該ステーが、前記充電器と車体との間の充電器裏面に上下方向に延在する導風路の一壁部を形成するように形成されるとともに、
前記導風路の上部に前記充電器冷却ファンが配置されていることを特徴とする請求項3記載の電動車両。 - 前記充電器が、前記導風路に臨む面に冷却フィンを備えていることを特徴とする請求項4記載の電動車両。
- 後輪の上部を覆うリヤフェンダを備え、
前記冷却ファンの上部が、平面視で前記リヤフェンダによって覆われていることを特徴とする請求項3記載の電動車両。 - 車体後部に配置されたダウンコンバータを備え、
前記ダウンコンバータが、軽合金製の車体フレーム上に載置され、後部ボディカバー内に収容されていることを特徴とする請求項1記載の電動車両。 - 前記ダウンコンバータが、少なくとも前記車体フレームとの当接面に、車体前後方向に延在する冷却フィンを備えた軽金属製の函体に収納されていることを特徴とする請求項7記載の電動車両。
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