JP4394045B2 - コンクリート造梁及びその製造方法 - Google Patents
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梁に貫通孔を設ける場合、そのままでは断面減少、孔周囲への応力集中等により、梁のせん断体力が低下するので、その貫通孔周囲を、鉄筋や溶接金網等のせん断補強部材で補強する手法が一般的に用いられている。
例えば、図8及び図9(a)(b)に示すように、梁1に設けた貫通孔4の周囲に四辺形状のせん断補強筋(せん断補強部材)5が配置される。これは、梁1にせん断応力が作用した場合に生じる初期のせん断ひび割れ7,8が、図9(c)(d)に示すように、貫通孔4の中心付近を通る45度方向のラインに沿って進展するため、そのひび割れ7,8に対して直交する方向に向くせん断補強部材5を配置して、その補強効果を高めるためである(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、梁に設けた貫通孔周囲に、その貫通孔の長さ方向に並列する複数のせん断補強部材を配置したコンクリート造梁において、前記並列する複数のせん断補強部材を同一の形状、大きさとして上記貫通孔に臨む梁の正面視同一の向きに配置し、且つ上記各せん断補強部材の対応する部材同士を前記貫通孔の中心からの距離が異なる位置に配置したものである。
このようにすれば、梁に生じるせん断ひび割れが、その梁の表裏両面において、貫通孔中心周り異なる位置に生じるので、その両側のせん断ひび割れが幅方向に貫通し難いようになる。このため、梁は、より高いせん断応力にも対応できるようになる。
すなわち、梁に設けた貫通孔周囲に、その貫通孔の長さ方向に並列する複数のせん断補強部材を配置するコンクリート造梁の製造方法において、前記並列する複数のせん断補強部材を同一の形状、大きさとして上記貫通孔に臨む梁の正面視同一の向きに配置し、且つ上記各せん断補強部材の対応する部材同士を前記貫通孔の中心からの距離が異なる位置に配置するコンクリート造梁の製造方法である。
このようにすれば、梁に生じるせん断ひび割れが、その梁の表裏両面において、貫通孔中心周り異なる位置に生じるので、そのせん断ひび割れが幅方向に貫通し難いようになる。このため、梁は、より高いせん断応力にも対応できるようになる。
また、図2は、その柱11及び梁10の配筋状態を示したものである。図2で示す符号21は梁10の主筋を、符号22はあばら筋を示している。
この並列する二つのせん断補強筋15,16は、その素材はもとより、形状・大きさ(例えば、鉄筋部材の径、寸法等)は同一のものとなっており、図2(b)に示すように、梁10の表裏面12,13から所定の被りWを確保して配置されており、それぞれ対応する側のあばら筋22に固定されている。
なお、両せん断補強筋15,16を構成する前記各部材15a,15b,16a,16bは、図示するように、それぞれ各部に複数本ずつ設けてその補強の効果を高めてもよい。
なお、その両せん断補強筋15,16の前記相反する方向への各移動距離は、前記正面視一致した位置からそれぞれ梁軸方向へ10mmよりも大きくすることが望ましい。また、配置した各せん断補強筋15,16は、その閉鎖形状内に貫通孔14が位置し、且つ各せん断補強筋15,16と貫通孔14の内壁との間に所定の離隔を有するように設定することが望ましい。
また、両せん断ひび割れ17,18は、同時に梁幅方向、すなわち、貫通孔14の長さ方向にも進展していくが、図3(c)(d)に示すように、両せん断ひび割れ17,18の位置は、梁軸方向に異なった位置となっているので、両せん断ひび割れ17,18は繋がらず、すなわち、梁10を梁幅方向には貫通することなくさらに進展する。このため、梁10は、より高いせん断応力に対しても耐え得るようになる。
また、そのほか、せん断補強筋15,16の一方、又は両方を、梁10の表裏面12,13に対して傾斜させる手法も考えられる。
このようにすれば、せん断ひび割れ17,18は、図7に示すように、梁軸方向に異なった位置に生じるので、その両せん断ひび割れ17,18が梁10を梁幅方向に貫通することなくさらに進展する。このため、梁10は、より高いせん断応力に対しても耐え得るようになる。
2,12 表面
3,13 裏面
4,14 貫通孔
5,6,15,16 せん断補強筋(せん断補強部材)
7,8,17,18 せん断ひび割れ
11 柱
20 誘導手段
21 主筋
22 あばら筋
Claims (4)
- 梁10に設けた貫通孔14周囲に、その貫通孔14の長さ方向に並列するよう前記梁10の正面側と背面側とにそれぞれせん断補強部材15,16を配置したコンクリート造梁10において、
上記梁10にせん断応力が作用した際に生じるせん断ひび割れ17,18を誘導するひび割れ誘導手段20,20を前記梁10の正面側と背面側とに設け、その各ひび割れ誘導手段20,20の位置を、前記貫通孔14周囲の異なる方位に配置したことを特徴とするコンクリート造梁。 - 梁10に設けた貫通孔14周囲に、その貫通孔14の長さ方向に並列する複数のせん断補強部材15,16を配置したコンクリート造梁10において、
上記並列する複数のせん断補強部材15,16を異なる形状又は大きさとしたことを特徴とするコンクリート造梁。 - 梁10に設けた貫通孔14周囲に、その貫通孔14の長さ方向に並列するよう前記梁10の正面側と背面側とにそれぞれせん断補強部材15,16を配置するコンクリート造梁10の製造方法において、
上記梁10にせん断応力が作用した際に生じるせん断ひび割れ17,18を誘導するひび割れ誘導手段20,20を前記梁10の正面側と背面側とに設け、その各ひび割れ誘導手段20,20の位置を、前記貫通孔14周囲の異なる方位に配置することを特徴とするコンクリート造梁の製造方法。 - 梁10に設けた貫通孔14周囲に、その貫通孔14の長さ方向に並列する複数のせん断補強部材15,16を配置するコンクリート造梁10の製造方法において、
上記並列する複数のせん断補強部材15,16を異なる形状又は大きさとすることを特徴とするコンクリート造梁の製造方法。
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