JP4393605B2 - セグメントの継手構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、相互に複数連結することにより掘削穴の軸方向に筒状壁体を構成するセグメントの継手構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネルを構築する方法としては、掘削穴の内面側にセグメント(主にコンクリート製あるいはスチール製)を組み立てて筒状壁体を構築する、いわゆるシールド工法が一般的である。
このシールド工法に用いられるセグメントとしては平面視長方形状で円弧版状のものが主流であり、これらセグメント同士をボルトによって接合していた。
このボルトでセグメント同士を接合する構造としは、セグメントの接合面の近傍に、セグメントの接合面同士を当接させた際に、互いに連通する孔部を有する継手板を埋め込んでおき、これら継手板の孔部へボルトを挿通させ、このボルトへナットを締結させて接合させる構造が一般的である。また、相互のセグメントにナット部材であるインサート金具を埋め込んでおき、隣接するセグメントに貫通させたボルトを締結させて互いに接合させる構造もある。
【0003】
しかしながら、上記構造では、構築現場にて継手板の孔部へボルトを挿通させ、このボルトへナットを締結させたり、相互のセグメントに埋め込んだインサート金具へボルトを締結させるという極めて煩雑な作業を要するため組立時間の短縮には限界があり、また、ロボットによる自動組み付けへの適応が困難であった。
さらには、二次覆工を省略する場合にもボルト・ナットを取り付けるためにセグメントに形成したボルトボックスの閉塞作業を行わなければならず、施工の高速化、省力化を目指す上で新たな継手構造の開発が急務となっているのが現状であった。
【0004】
ここで、本発明者らは、極めて容易に接合することができ、しかも、内面側が平滑なセグメントを開発した。
図20及び図21に示すように、セグメント1は、一方の接合端面1aに設けられた雄継手2と、他方の接合端面1bに設けられた雌継手3とを有するもので、雌継手3に雄継手2を接合させることにより、セグメント1の接合端面1a、1b同士が接合されるようになっている。
【0005】
具体的には、雌継手3の側部に形成された凹部4内に、雄継手2を構成するボルト5を挿入した状態にて接合端面1a、1b同士を当接させ、この状態にてセグメント1同士を互いにスライドさせて、雄継手2のボルト5を雌継手3を構成する係止板6の切欠部7に嵌入させ、このボルト5のヘッド8を係止板6の裏側へ入り込ませることにより、雄継手2と雌継手3とが互いに接合され、これにより、セグメント1同士が接合されるようになっている。
【0006】
なお、雄継手2のボルト5は、接合端面1aに埋め込まれたベース板11の裏面側に溶接固定された袋ナット12に締結固定されている。
また、雄継手2のベース板11及び雌継手3の係止板6には、側板13を介してアンカー筋14が溶接固定されており、これらアンカー筋14によってセグメント1を構成するコンクリートとの一体化が図られている。
【0007】
なお、上記構成の継手構造には、ボルト5に所定長さに形成された円筒形状のスペーサ15が取り付けられており、このスペーサ15によってヘッド8とベース板11との間隔が所定寸法に確保されている。
また、係止板6の裏面側へのボルト5のヘッド8の入り込みを円滑にするために、ボルト5に平ワッシャを設けたものもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構造の継手構造にあっては、ボルト5のヘッド8を係止板6の裏側へ入り込ませる際に、係止板6の切欠部7とボルト5との中心位置がずれていたり軸線が傾いていると、ボルト5のヘッド8が係止板6の裏側へ入りづらくなるばかりかボルト5が切欠部7の中心に確実に導かれないという問題があった。そして、この状態にて雄継手2と雌継手3とを接合させると、ボルト5のヘッド8によって係止板6の裏面側が削れてしまう等の不都合を生じる恐れがあった。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、極めて容易にかつ確実にセグメント同士を相互に接合させることが可能なセグメントの継手構造を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載のセグメントの継手構造は、セグメントの互いの接合端面同士をスライドさせることにより、これら接合端面同士を接合させるセグメントの継手構造であって、一方の接合端面には、ベース板と、このベース板に立設された棒体と、この棒体の先端部に設けられた前記棒体よりも大径に形成された係止部とからなる雄継手を有し、他方の接合端面には、前記棒体が側方から嵌合可能な切欠部が形成され、該切欠部に前記棒体をスライドさせて嵌合させながら、前記棒体の係止部と前記ベース板との間へ嵌入することにより、前記係止部を裏面側に係止させる係止板からなる雌継手を有し、前記係止板には、前記係止板の端面、裏面及び前記切欠部の内面からなる角部を湾曲した凹状に形成した案内面が設けられ、前記係止部は、前記棒体の先端部に設けた大径部と該大径部の前記ベース板側に設けられた平ワッシャとの間に弾性部材が設けられ、前記平ワッシャは該平ワッシャと前記ベース板との間に装着されたスペーサによって保持され、前記スペーサは案内面端部における係止板の厚みより長く且つ前記係止板の切欠部の裏面側での厚みより短く形成されていてその内周面には前記棒体を係止する複数の突条が設けられ、前記雄継手と前記雌継手との接合時に、前記雄継手の棒体の係止部が前記案内面に案内されて、前記棒体が前記切欠部の中心に位置決めされることを特徴としている。
【0011】
このように、雌継手の係止板の切欠部近傍における裏面側に、湾曲した凹状の案内面が形成され、この案内面によって雄継手の棒体の係止部が案内されて、棒体が切欠部の中心へ位置決めされるので、これら雄継手の棒体を雌継手の係止板の切欠部へ係合させることにより、雌継手と雄継手とを精度良く位置決めした状態にて係止部における大径部と平ワッシャとの間の弾性部材を圧縮させることで互いに引き寄せて、セグメント同士を極めて強固に接合させることが可能となる。つまり、雄継手と雌継手との接合時に、係止板の切欠部と棒体との中心位置がずれていたり軸線が多少傾いていたとしても、係止部によって係止板を削ってしまうような不都合なく、棒体が確実に係止板の切欠部の中心位置に案内されて、雄継手と雌継手とが円滑に接合される。しかも、スペーサによって棒体が確実に保持され、組み立て時にスペーサが棒体から抜け落ちるのを確実に防止できて組み立て作業を良好に行える。
【0012】
請求項2記載のセグメントの継手構造は、請求項1記載のセグメントの継手構造において、前記雄継手の前記係止部は、前記雄継手と前記雌継手との接合時に、前記平ワッシャが前記案内面に案内されることを特徴としている。
つまり、棒体の係止部を構成する平ワッシャが案内面によって案内され、棒体が切欠部の中心位置に精度良くかつ円滑に位置決めされるので、雄継手と雌継手とが確実に位置決めされた状態に引き寄せられた状態に接合され、これにより、セグメントが強固にかつ正確に接合される。
【0013】
請求項3記載のセグメントの継手構造は、請求項2記載のセグメントの継手構造において、前記大径部と前記平ワッシャとの間に設けられた前記弾性部材の弾性力によって前記係止板が前記平ワッシャと前記ベース板との間に挟持されることを特徴としている。
このように、雄継手を構成する係止部が、弾性部材によって係止板を挟み込むものであるので、多少の寸法誤差があったとしてもその誤差が許容され、さらには、接合箇所における地震等による振動が吸収される。
【0014】
請求項4記載のセグメントの継手構造は、請求項3記載のセグメントの継手構造において、前記弾性部材が、互いに重ね合わされた複数の皿バネから構成されていることを特徴としている。
つまり、互いに重ね合わされた複数の皿バネの弾性力によって、係止板が平ワッシャとベース板との間に確実に挟持される。
【0015】
請求項5記載のセグメントの継手構造は、請求項4記載のセグメントの継手構造において、前記皿バネが、互いにテーパ方向が逆向きとなるように配設されていることを特徴としている。
即ち、複数の皿バネが、そのテーパ方向を逆向きにして設けられているので、それぞれの皿バネの弾性力が確実に得られ、これにより、寸法誤差の許容量及び振動の吸収量がさらに大きくされる。
【0016】
請求項6記載のセグメントの継手構造は、請求項1〜5のいずれか1項記載のセグメントの継手構造において、前記平ワッシャが、前記係止板との接触箇所が、円弧状の湾曲面とされて前記案内面との接触抵抗が低減されていることを特徴としている。
このように、雄継手の係止部を構成する平ワッシャの、係止板との接触箇所が円弧状の湾曲面とされているので、接合時における、係止部と案内面との接触抵抗が大幅に低減され、これにより、係止部が係止板裏面側の係止位置へ極めて円滑に導かれる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセグメントの継手構造の実施の形態を図によって説明する。
図1において、符号21はセグメントである。このセグメント21は、平面視矩形状に形成された円弧版状のコンクリート製のセグメントであり、掘削穴の周方向への接合端面22同士を接合させるとともに掘削穴の軸方向への接合端面23同士を接合させることにより、これらセグメント1からなる筒状壁体が掘削穴内に構築されるようになっている。
【0018】
このセグメント21の一方の周方向への接合端面22aには、図2に示すように、複数の雄継手24が設けられ、他方の周方向への接合端面22bには、図3に示すように、雄継手24と同数の雌継手25が設けられている。
【0019】
雄継手24は、図4及び図5に示すように、略中心に孔部26が形成されたベース板27と、このベース板27の裏面側における前記孔部26との連通位置に固定された袋ナット28と、ベース板27の裏面側に固定された一対の側板29と、ベース板27の表面側から孔部26へ挿通されておねじ部30aを袋ナット28のめねじ部28aへ締結させることによりベース板27から突出された状態に固定されたボルト(棒体)30とを有するもので、側板29には、この雄継手24をセグメント21へ固定するアンカー31が設けられている。
【0020】
また、ボルト30には、ベース板27側から順に、円筒状に形成されたスペーサ32、平ワッシャ33、複数の皿バネ(弾性部材)34が設けられており、平ワッシャ33、皿バネ34及びボルト30のヘッド(大径部)35から、後述する雌継手25の係止板43へ係止する係止部36が構成されている。
そして、上記構造の係止部36の平ワッシャ33とベース板27の表面との間隔がスペーサ32によって所定寸法hとされている。
【0021】
係止部36を構成する平ワッシャ33は、ベース板27側における外縁端部が丸くされた円弧状の湾曲面とされている。つまり、この平ワッシャ33は、打ち抜き加工時における打ち抜き側をベース板27へ向けて取り付けられている。
平ワッシャ33とヘッド35との間に設けられた複数の皿バネ34は、互いにそのテーパ方向が逆向きとなるように配設されている。
【0022】
ここでは、それぞれの皿バネ34の外縁端部が互いに軸方向へ離間するように配設されている。
雌継手25は、切欠部42が形成された係止板43を有するもので、この係止板43の裏面側には一対の側板44が固定され、これら側板44間には、断面L形状の底板45が設けられている。
【0023】
また、側板44には、この雌継手25をセグメント21へ固定するアンカー46が設けられている。この雌継手25の係止板43の切欠部42は、その内面42aにおける端部近傍が端部へ向かって次第に広がるテーパ面42bとされている。また、切欠部42の端部近傍における係止板43の裏面43b側には、案内面47が形成されている。
【0024】
この案内面47は、図6及び図7に示すように、係止板43の端面43a、係止板43の裏面43b、テーパ面42bが形成された切欠部42の内面42aからなる角部を、湾曲した凹状に形成したものであり、係止板43の端面43a側における案内面47同士の最外縁部間の寸法がL1とされ、雌継手25に雄継手24を接合させる際に、最外縁部間寸法L1内に配置された平ワッシャ33を、切欠部42の中心Xへ案内するようになっている。
【0025】
そして、この案内面47の端部における係止板43の厚さ寸法L2が、前記雄継手24の係止部36の平ワッシャ33とベース板27の表面との間の寸法hよりも小さくされている。
この雌継手25が設けられた接合端面22bには、雌継手25の、係止板43の切欠部42側に凹部48が形成されている。
【0026】
次に、上記継手構造において、スペーサ32は、次のような加工工程を行うことにより成形されている。
(1)まず、図8に示すように、所定厚さ(約2〜3mm)の金属板Tを、打ち抜き用下型枠51と上型枠52との間に配置させ、これら下型枠51及び上型枠52によって、打ち抜き加工を行い、金属板Tから図9に示すような円板状のワークWを形成する。
【0027】
(2)次いで、図10に示すように、この円板状のワークWを、鍛造用下型枠53と上型枠54との間へ配置させ、これら下型枠53及び上型枠54によって鍛造加工を行い、このワークWを、図11に示すような内径がボルト30の外径よりも僅かに大きな有底円筒状に形成する。
なお、図12に示すように、下型枠53の内周面には、突条部53aが形成されており、また、上型枠54の外周面には、溝部54aが形成されている。これにより、これら下型枠53と上型枠54とによってワークWを鍛造成形すると、図13に示すように、ワークWには、溝部54aと突条部53aとによって、その円筒部分における内周面に、上下方向へわたって複数の突条32aが周方向へ間隔をあけて形成される。
【0028】
(3)その後、この有底円筒状のワークWを、図14に示すような鍛造用下型枠55内に配置させ、その上部から上型枠56を下ろす。このようにすると、ワークWがさらに鍛造加工されるとともに、底部が打ち抜かれて、図15に示すような円筒状に形成される。
ここで、この鍛造加工では、円筒状に形成したワークWの高さ寸法を、所定の高さhよりも僅かに大きい寸法h+αとする。
【0029】
(4)そして、このワークWを、図16に示すようなプレス用の下型枠57と上型枠58との間に配置させ、上下からプレス加工を施すことにより、その高さ寸法を寸法α分だけ小さくして所定寸法hとする。
【0030】
上記加工(1)〜(4)を行うことにより、平板状の金属板Tから、内周面に複数の突条32aが上下方向へわたってかつ周方向へ間隔をおいて形成された、所定高さ寸法hのスペーサ32が得られる。
【0031】
そして、上記工程によって得られたスペーサ32によれば、組み立て時に、このスペーサ32へボルト30を挿入すると、このスペーサ32の内周面に形成された突条32aがボルト30に係止することにより、このスペーサ32がボルト30に確実に保持される。
これにより、組み立て時におけるスペーサ32のボルト30からの抜け落ちが防止され、組み立て作業を良好に行うことができる。
【0032】
次に、上記構造の雄継手24と雌継手25とを接合させる場合について説明する。
上記構造の雄継手24と雌継手25とを接合させる際には、雌継手25の側部に形成された凹部48に雄継手25のボルト30を配設させるように、セグメント21の接合端面22aと接合端面22bとを互いに当接させた状態にてスライドさせて、雌継手25を構成する係止板43の切欠部42に雄継手24を構成するボルト30を嵌合させる。
【0033】
このようにすると、ボルト30の係止部36を構成する平ワッシャ33が係止板43の案内面47に当接し、この案内面47によって案内されて係止板43の裏面側へ入り込む。
【0034】
ここで、この係止板43の案内面47が、湾曲した凹状に形成されたものであるので、平ワッシャ33が案内面47同士の最外縁部間寸法L1内に配置されている場合には、この平ワッシャ33が案内面47によって切欠部42の中心Xへ確実に案内され、これにともない、雄継手24のボルト30が切欠部42の中心Xへ位置決めされ、雄継手24と雌継手25とが正確に位置決めされる。
【0035】
その後、係止部36を構成する平ワッシャ33が係止板43の裏面側へ入り込むと、この平ワッシャ33がボルト30のヘッド35方向へ押し上げられ、この平ワッシャ33とヘッド35との間に配設された皿バネ34が押圧される。
そして、このボルト30とともに雄継手24が雌継手25側へ引き寄せられ、接合端面22a、22bが、図17及び図18に示すように、互いの接合端面22a、22bが強固に圧接された状態に接合される。
【0036】
ここで、雄継手24の係止部36は、皿バネ34が、図19に示すような特性を有している。
つまり、図に示すように、皿バネ34には、変形量δの変化に比べて弾性力Pの変化の小さい領域Aを有しており、上記の継手構造では、雄継手24の係止部36とベース板27との間へ雌継手25の係止板43を係合させた際に、皿バネ34が領域Aの状態となるように、ボルト30の突出長さ寸法、係止板43の厚さ寸法が設定されている。
【0037】
以上、説明したように、本実施の形態のセグメントの継手構造によれば、雌継手25の係止板43に形成された切欠部42へ、雄継手24に設けられたボルト30を差し込むことにより、極めて容易に、ボルト30の係止部36を係止板43の裏面側へ係止させて、その係止力によって接合させることができる。
【0038】
これにより、従来のボルト・ナットによる締結構造あるいはインサート金具へボルトを締結させる接合構造と比較して、セグメント21同士の接合作業にかかる労力を大幅に低減させることができるとともに、ロボットによる自動組立の容易化を図ることができ、さらには、ボルトボックス等がないので、ボルトボックスの閉塞作業を省略することができる。
【0039】
また、雌継手25の係止板43の切欠部42近傍における裏面側に、湾曲した凹状の案内面47が形成され、この案内面47によって雄継手24のボルト30の平ワッシャ33が案内されながら係止板43の裏面側へ導かれ、これにより、ボルト30が切欠部42の中心Xへ位置決めされるので、雄継手24のボルト30の係止部36を雌継手25の係止板43の切欠部42へ係合させることにより、雌継手25と雄継手24とを精度良く位置決めした状態にて、互いに引き寄せて、セグメント21の接合端面22a、22b同士を極めて強固に接合させることができる。
【0040】
つまり、雄継手24と雌継手25との接合時に、係止板43の切欠部42とボルト30との中心位置がずれていたり軸線が多少傾いていたとしても、係止板43を削ってしまうような不都合なく、ボルト30を確実に係止板43の切欠部42の中心Xに案内して、雄継手24と雌継手25とを円滑に接合させることができる。
【0041】
しかも、雄継手24を構成する係止部36は、複数の皿バネ34を重ね合わせた弾性部材を有するものであるので、多少の寸法誤差があったとしてもその誤差を許容することができ、さらには、接合箇所における地震等による振動を吸収することができ、耐震性に優れた筒状壁体を構築することができる。
また、雄継手24の係止部36を構成する平ワッシャ33の、係止板43との接触箇所が円弧状の湾曲面47とされているので、接合時における、係止部36と係止板43との接触抵抗を大幅に低減させることができ、これにより、係止部36を係止板43の裏面側の係止位置へ極めて円滑に導くことができる。
【0042】
また、上記のセグメントの継手構造によれば、金属板Tを円盤状に形成して鍛造加工することにより円筒状に形成されたスペーサ32としたものであるので、内径がボルト30の径に合った十分な肉厚を有するスペーサ32とすることができ、これにより、ボルト30の径に対して大きすぎるようなことがなく、ワッシャ33が傾いて、係止板43を削ったり係止板43との係止状態に不具合を生じさせるような不都合を防止させることができる。
【0043】
また、多大な労力を要する切断作業を省略することができるので、作業の簡略化を図ることができる。
さらには、スペーサ32の高さ寸法を、プレス加工により所定寸法hに形成するものであるので、切断して所定寸法hにする場合と比較して、極めて高精度に高さ寸法を所定寸法hにすることができる。
【0044】
しかも、スペーサ32の内周面に、複数の突条32aを周方向へ間隔をあけて上下方向へわたって形成したので、組み立て時に、このスペーサ32へボルト30を挿入した際に、このスペーサ32の内周面に形成された突条32aによって、このスペーサ32の突条32aをボルト30に係止させて確実に保持させることができる。
これにより、組み立て時におけるスペーサ32のボルト30からの抜け落ちが防止され、組み立て作業を良好に行うことができる。
【0045】
なお、上記の例では、ボルト30に平ワッシャ33、皿バネ34を設けたが、皿バネ34を省いた構造にも適応することができるのは勿論である。また、平ワッシャ33及び皿バネ34の両者を省いて、ボルト30のヘッド35を係止板43の案内面47へ直接接触させて案内させて接合させるようにしても良い。
なおまた、セグメント21としては、コンクリート製に限らず、スチール製であっても良いことは勿論である。
また、上記の例では、雌継手25にL形状の底板45を設け、雄継手24のボルト30のヘッド35が入るスペースを形成するようにしたが、この底板45をなくし、セグメント21を形成する型枠に、ヘッド35が入るスペースを形成する中子等を取り付けても良い。
【0046】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明のセグメントの継手構造によれば、下記の効果を得ることができる。
請求項1記載のセグメントの継手構造によれば、雌継手の係止板に、その端面、裏面及び切欠部の内面からなる角部を湾曲した凹状の案内面が形成され、雄継手の係止部は、棒体の先端部に設けた大径部と該大径部のベース板側に設けられた平ワッシャとの間に弾性部材が設けられ、平ワッシャは平ワッシャとベース板との間で棒体に装着されたスペーサによって保持され、スペーサは案内面端部における係止板の厚みより長く且つ係止板の切欠部の裏面側での厚みより短く形成されていてその内周面には前記棒体を係止する複数の突条が設けられ、案内面によって雄継手の棒体の係止部が案内されて、棒体が切欠部の中心へ位置決めされるので、これら雄継手の棒体を雌継手の係止板の切欠部へ係合させることにより、雌継手と雄継手とを精度良く位置決めした状態にて、互いに引き寄せて、セグメント同士を極めて強固に接合させることができる。つまり、雄継手と雌継手との接合時に、係止板の切欠部と棒体との中心位置がずれていたり軸線が多少傾いていたとしても、係止部によって係止板を削ってしまうような不都合なく、棒体を確実に係止板の切欠部の中心位置に案内して、雄継手と雌継手とを円滑に接合させることができる。しかも、スペーサ内周面の突条によって棒体が確実に保持されるから、組み立て時にスペーサが棒体から抜け落ちるのを確実に防止できて組み立て作業を良好に行える。
【0047】
請求項2記載のセグメントの継手構造によれば、雄継手の係止部は、雄継手と雌継手との接合時に平ワッシャが案内面に案内され、棒体の係止部における平ワッシャが案内面によって案内され、棒体が切欠部の中心位置に精度良くかつ円滑に位置決めされるので、雄継手と雌継手とを確実に位置決めした状態に引き寄せて接合させることができ、これにより、セグメントを強固にかつ正確に接合させることができる。
【0048】
請求項3記載のセグメントの継手構造によれば、大径部と平ワッシャとの間に設けられた弾性部材の弾性力によって係止板が平ワッシャと前記ベース板との間に挟持されるので、多少の寸法誤差があったとしてもその誤差を許容することができ、さらには、接合箇所における地震等による振動を吸収することができ、耐震性に優れた筒状壁体を構築することができる。
【0049】
請求項4記載のセグメントによれば、互いに重ね合わされた複数の皿バネの弾性力によって、係止板を平ワッシャとベース板との間に確実に挟持させることができる。
【0050】
請求項5記載のセグメントによれば、複数の皿バネが、そのテーパ方向を逆向きにして設けられているので、それぞれの皿バネの弾性力を確実に得ることができ、これにより、寸法誤差の許容量及び振動の吸収量をさらに大きくすることができる。
【0051】
請求項6記載のセグメントによれば、雄継手の係止部を構成する平ワッシャの、係止板との接触箇所が円弧状の湾曲面とされているので、接合時における、係止部と案内面との接触抵抗を大幅に低減させることができ、これにより、係止部を係止板裏面側の係止位置へ極めて円滑に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明する互いに接合されるセグメントの接合箇所の断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明するセグメントの雄継手が設けられた接合端面の斜視図である。
【図3】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明するセグメントの雌継手が設けられた接合端面の斜視図である。
【図4】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明する雌継手及び雄継手の斜視図である。
【図5】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明する雌継手及び雄継手の接合箇所の断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明する雌継手を構成する係止板の一部の裏面図である。
【図7】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明する雌継手を構成する係止板の一部の正面図である。
【図8】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を構成する雄継手のスペーサの成形の仕方を説明する打ち抜き型の断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を構成する雄継手のスペーサの形成の仕方を説明する打ち抜き加工されたワークの斜視図である。
【図10】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を構成する雄継手のスペーサの成形の仕方を説明する鍛造用型の断面図である。
【図11】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を構成する雄継手のスペーサの形成の仕方を説明する鍛造加工されたワークの断面図である。
【図12】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を構成する雄継手のスペーサの成形の仕方を説明する鍛造用型の横断面図である。
【図13】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を構成する雄継手のスペーサの形成の仕方を説明する鍛造加工されたワークの横断面図である。
【図14】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を構成する雄継手のスペーサの成形の仕方を説明する鍛造用型の断面図である。
【図15】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を構成する雄継手のスペーサの形成の仕方を説明する鍛造加工されたワークの断面図である。
【図16】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を構成する雄継手のスペーサの成形の仕方を説明するプレス用型の断面図である。
【図17】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明する互いに接合されるセグメントの接合箇所の断面図である。
【図18】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明する接合箇所の断面図である。
【図19】 本発明の実施の形態のセグメントの継手構造を説明する雄継手に設けられた皿バネの弾性と撓みとの関係を示す図である。
【図20】 セグメントに設けられ雄継手及び雌継手の構成及び構造を説明するセグメントの接合部分の断面図である。
【図21】 セグメントに設けられた雄継手及び雌継手の構成及び構造を説明する雄継手及び雌継手の斜視図である。
【符号の説明】
21 セグメント
22、22a、22b 接合端面
24 雄継手
25 雌継手
27 ベース板
30 ボルト(棒体)
33 平ワッシャ
34 皿バネ(弾性部材)
35 ヘッド(大径部)
36 係止部
42 切欠部
42a 内面
43 係止板
43a 端面
43b 裏面
47 案内面
X 中心
Claims (6)
- セグメントの互いの接合端面同士をスライドさせることにより、これら接合端面同士を接合させるセグメントの継手構造であって、一方の接合端面には、ベース板と、このベース板に立設された棒体と、この棒体の先端部に設けられた前記棒体よりも大径に形成された係止部とからなる雄継手を有し、
他方の接合端面には、前記棒体が側方から嵌合可能な切欠部が形成され、該切欠部に前記棒体をスライドさせて嵌合させながら、前記棒体の係止部と前記ベース板との間へ嵌入することにより、前記係止部を裏面側に係止させる係止板からなる雌継手を有し、
前記係止板には、前記係止板の端面、裏面及び前記切欠部の内面からなる角部を湾曲した凹状に形成した案内面が設けられ、
前記係止部は、前記棒体の先端部に設けた大径部と該大径部の前記ベース板側に設けられた平ワッシャとの間に弾性部材が設けられ、前記平ワッシャは該平ワッシャと前記ベース板との間で棒体に装着されたスペーサによって保持され、
前記スペーサは案内面端部における前記係止板の厚みより長く且つ前記係止板の切欠部の裏面側での厚みより短く形成されていてその内周面には前記棒体を係止する複数の突条が設けられ、
前記雄継手と前記雌継手との接合時に、前記雄継手の棒体の係止部が前記案内面に案内されて、前記棒体が前記切欠部の中心に位置決めされることを特徴とするセグメントの継手構造。 - 前記雄継手の前記係止部は、前記雄継手と前記雌継手との接合時に、前記平ワッシャが前記案内面に案内されることを特徴とする請求項1記載のセグメントの継手構造。
- 前記大径部と前記平ワッシャとの間に設けられた前記弾性部材の弾性力によって前記係止板が前記平ワッシャと前記ベース板との間に挟持されることを特徴とする請求項2記載のセグメントの継手構造。
- 前記弾性部材は、互いに重ね合わされた複数の皿バネから構成されていることを特徴とする請求項3記載のセグメントの継手構造。
- 前記皿バネは、互いにテーパ方向が逆向きとなるように配設されていることを特徴とする請求項4記載のセグメントの継手構造。
- 前記平ワッシャは、前記係止板との接触箇所が、円弧状の湾曲面とされて前記案内面との接触抵抗が低減されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載のセグメントの継手構造。
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