JP4393293B2 - 浚渫装置 - Google Patents

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Description

本発明はダム湖、湖沼、河川、港湾等の水底に堆積した土砂(砂、泥、へどろなど)を浚渫するための浚渫装置に関し、より詳細には、吸引法により土砂を浚渫する際に発生する濁りの拡散を最小限に抑制しながら、水底の土砂や埋没物を除去するための浚渫装置に関する。
湖沼、河川、海では、水底汚染土壌の除去や水深維持による航路の確保等を目的として浚渫による水底の土砂の除去が行われる。
またダムなどでは貯水量を回復するために定期的に浚渫が行われる。これはダム湖などでは水の流れがほとんどなくなるため流入した水が長時間貯まり、湖底には土砂が沈降して堆積しやすく、特にウォッシュロードと呼ばれる細粒土はそのほとんどが湖底に堆積し、徐々にダム湖の貯水量を減少させるためである。
現在水底の土砂は、ポンプを用いて吸引したり、クレーン船などに取り付けたバケット等によって掬い取ることで除去されている。
ポンプによって水底からスラリー(土砂と水との混合物)を吸引する場合には、吸い上げたスラリーを土砂と水とに分離するため、これを沈殿池に導入し、沈降促進剤をそこに投入して土砂を沈殿分離させるか、フィルターやサイクロン方式によって土砂と水とを強制的に分離して、分離した水をもとの水源に還流させている。
ここでバケット等によって土砂を掬い取る浚渫方法では、一度に大量の土砂を除去することができるものの、浚渫装置が大掛かりとなり、またその掬い取り作業に伴って発生する濁水が工事対象水域の周囲を汚濁することが問題となっている。
一方、ポンプによって水底からスラリーを吸引して沈殿池で土砂を沈殿させる方法では、沈殿池を設けるための広大なスペースを要するため、港湾の埋め立てなどのように広いスペースを水域と分離・区画して設定できる場合にのみその実施が限定されており、従って狭隘な場所ではこの方法を利用することはできず、また、沈降促進剤を用いるため薬害の発生を危惧する下流域の住民との折衝が難航し、工事が困難となることも多い。
そのため、沈殿池を設けるための広大なスペースを確保することができないダム湖や湖沼等では、フィルターやサイクロン方式によって土砂と水とを分離し、分離した水をもとのダム湖、湖沼等に還流させる方法が一般に用いられる。しかしながら分離した水は土砂成分が含まれる濁水であり、これを単にもとの場所に流入させると濁りがその水域の周囲に広がってしまう。
そこで特許文献1の「筏式泥回収装置」では、分離した濁水を水底まで誘導して吸引口の近くに放流することで濁水の拡散を抑制する手段が提案され、また、特許文献2の「浚渫工法および装置」では、分離した水の一部で土砂を噴き上げるとともに、残りの水を吸引口に向けて噴出する手段が提案されている。
特開平01−322030号 特開2002−266369
しかし上記特許文献1および2に記載の装置/工法では、一定の効果があるものの、循環する水(濁水)が運動エネルギ等により徐々に暖められていくため、吸引口から吸引されずに漏れ出た濁水が対流し、結局汚濁水域が広まってしまうことが多かった。
これらのことからダム湖や湖沼などでは、沈殿池を設置するための広いスペースを必要とせず、かつ、濁りをほとんど生じさせずに土砂や埋没物などの採取を行うことができる技術の開発が切望されている。
本発明は上記課題を解決するために提案されたもので、主として沈殿池を設置することができない狭隘なダム湖や湖沼などにおいて、貯水量の回復や水質改善等を目的とした土砂および埋没物の除去を、ほとんど濁りを生じさせずに行うための浚渫装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の浚渫装置は、ダム湖、湖沼、河川、港湾等の水底に堆積した土砂(2)を浚渫する際に発生する濁水の拡散を抑制しながら浚渫を行うための浚渫装置(10)であって、前記水底から土砂を吸引するための吸引管(12)と、該吸引管の先端の吸引口(12a)から土砂を吸引するためのサクションポンプと、吸引した土砂から濁水を分離するための遠心分離機(18)と、該遠心分離機で土砂から分離した濁水を冷却するための冷却機(22)と、冷却した濁水を水底に戻すための戻水管(24)と、を備えた、ことを特徴とする。
請求項2に記載の浚渫装置は、前記吸引管(12)が、ダム湖、湖沼等の岸に設置された一対の支持ポスト(26)間に張り渡された索道ワイヤ(28)に支えられ、かつ、索道ワイヤに沿って移動可能な状態で水底まで垂下される、ことを特徴とする。
請求項3に記載の浚渫装置は、前記戻水管(24)が、ダム湖、湖沼等の岸に設置された一対の支持ポスト(26)間に張り渡された索道ワイヤ(28)に支えられ、かつ、索道ワイヤに沿って移動可能な状態で水底まで垂下される、ことを特徴とする。
請求項4に記載の浚渫装置は、前記浚渫装置(10)が、浚渫したい箇所の水面上方に設置された堤体通路(30)上を移動し、または、船上に搭載されて浚渫したい箇所の水上まで運搬される、ことを特徴とする。
請求項5に記載の浚渫装置は、前記吸引管(12)の吸引口(12a)および戻水管(24)の吐出口(24a)を取り囲み、かつ、浚渫時に水底を含む一定の水域を他の水域と分離するために水底と対向する面を開口するカバー体(34)を更に備えた、ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、土砂を水底の吸引口から水とともに吸引し、吸引した土砂を遠心分離機よって水と分離するため、沈殿池を設置することができない狭隘なダム湖や湖沼などにおいても土砂と水とを分離させて浚渫を行うことができる。また、土砂から分離した水(濁水)を冷却することで濁水の比重を水底の水の比重よりも大きくした後に、冷却した濁水を水底近傍の吐出口からゆっくりと放出すれば、濁水は対流することなく沈降して水底に液層を形成し、濁水中の濁り成分も短時間のうちに容易に沈殿する。これにより、水中にほとんど濁りを生じさせずに土砂を除去することが可能となる。
請求項2および請求項3に記載の発明によれば、吸引管や戻水管が岸に設置された一対の支持ポストに張り渡された索道ワイヤに伸び、そこから索道ワイヤに支えられて水底まで垂下されるため、吸引管や戻水管の長さを調節することにより浚渫装置が置かれた場所からある程度離れた水底の浚渫を行うことが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、浚渫したい箇所近傍の水面上に堤体通路を設置しその上を浚渫装置を移動させるか、船に浚渫装置を搭載してその船を移動しながら浚渫を行うことで所望範囲の水底の浚渫を行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、吸水口および吐出口を含む一定の水域をカバー体によって他の水域と分離することで、吐出口から放出される濁水が分離された水域外へ漏れ出ることがほとんどなくなり、水中に濁りが拡散することを効率的に抑制しながら浚渫を行うことができるようになる。また冷却された濁水が、分離した水域内で効率的に循環するため、冷却に要するエネルギを節約することができる。
本発明は、主として沈殿池を設置することができない狭隘なダム湖や湖沼などにおいて、貯水量の回復や水質改善を目的とした土砂の除去を、ほとんど濁りを生じさせずに行うための浚渫装置に関するものである。
図1はダム湖の断面図である。土壌が整備されたダム湖の湖底には上流から押し流されてきた比較的粒径の小さな砂や泥(土砂2)が広範囲にわたって同じような厚さで堆積しており、土砂が堆積した湖底は比較的平坦な状態をなしている。また上流から流されてきた木の枝などの埋没物36も、その全部または一部を堆積した土砂中に埋もれて存在している。
ダム湖の湖底に堆積する土砂2を除去するための方法としては、洪水時にバイパストンネルから土砂をダム湖を迂回して下流に流す方法や、洪水時に水の力を利用してダム湖に貯まった土砂を下流にフラッシュする方法などもある。しかしながら、洪水時に限らず年間を通して徐々に浚渫を行うことができ、下流へ与える影響もなく、また、湖底を均一かつ広範囲にわたって浚渫するために、本発明の浚渫装置では吸引法を採用する。以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳述する。
図1に示したようにこのダム湖上には、ダム壁とほぼ平行に後述する浚渫装置10や土砂を積載した土砂トレー13が行き来することができる幅を有する1本の堤体通路30(橋)が設けられている。この堤体通路30は固定構造物の橋であってもよいし、また、浮橋とすることもできる。なお浮橋とする場合には、浚渫装置および土砂を積載した土砂トレーを支えるだけの浮力を有することが必要であるが、浮橋自体を適宜浚渫したい箇所に移動させることで広い範囲にわたって浚渫を行うことができる。
図1に示した浚渫装置10は、動力台車11上に搭載されたサクションポンプ(図示せず)、遠心分離機18、冷却機22等と、そこから伸びる吸引管12、戻水管24を備えている。
サクションポンプは湖底において開口させた吸引管12の吸引口12aにより湖底の土砂2を水とともに吸引し、かつ、湖底近傍において開口させた戻水管24の吐出口24aから、土砂から分離した後の水(濁水)を放流するための動力を発生する。
遠心分離機18にはサクションポンプの動力により湖底から吸引したスラリーが導入され、このスラリーを高速回転させることで比重の重たい土砂を水から分離する。しかしながら遠心分離機18によってもコロイド状の微細な土砂までは分離することができないため、分離された水は土砂コロイドが混入した濁水となる。なお水分(濁水)が分離された土砂は、遠心分離機に並べて配置することができる台車上の土砂トレー13に向けて排出される。
冷却機22は遠心分離機18と隣接して配置されており、遠心分離機で土砂から分離した濁水の冷却を行う。濁水の温度が比較的温かい場合には、冷却機は濁水の温度と湖底の水温とが一定の温度差(例えば5℃程度)を持つように濁水を冷却し、湖底の水温が冷たい(およそ10℃以下)時は濁水の温度をセ氏4度程度に冷却する。なお湖底の水温がセ氏4度よりも冷たい場合には、濁水は例外的にセ氏4度に温められる。これは水がセ氏4度までは温度が低下するに従ってその比重を増加する一方、セ氏4度を境に比重を減少させるためである。
吸引管12および戻水管24はその末端付近の部分を除いて平行に連結されており、巻取装置15によってその長さを変更することができるようになっている。吸引管および戻水管はその末端近傍において分岐している。
吸引管12の先端には湖底に配置されて土砂の吸引を行う吸引部12a(吸引口)が取り付けられている。吸引部は吸引しようとする土砂2の性質に適したものが選択される。すなわち、吸引部には吸引管の先端の開口(吸引口12a)そのものを用いることもできるが、比較的粘度が低い砂状の土砂を吸引する場合には図2に示したような側方から土砂を吸引する吸引部を、粘土の高い泥状の土砂を吸引する場合には図1及び図3に示したような上方から土砂を吸引する吸引部を用いることが好ましい。
一方、吸引管12から分岐した戻水管24は、(1)濁水の流速を減少させるためにその先端の吐出口をラッパ状に拡径して湖底に対向して配置し濁水を湖底に沈滞させるもの(図示せず)、(2)吸引部の吸引口の近くでゆっくりと濁水を放流して濁水の一部を循環させるもの(図2(a)および図3(a))の他、図2の吸引部では、(3)戻水管の先端に設けたノズル17から噴出した濁水を、吸引口の内面に形成したスロートを通過させることで濁水のほとんど全てを循環させるとともに、エゼクタ効果により吸引口から土砂を吸引するもの(図2(b))や、図3の吸引部では、(4)吸引部の内部において湖底の土砂に濁水を噴出して土砂を軟化させるもの(図3(b))、の中から適当なものを選択することができる。
図3(b)の吸引部の内部において湖底の土砂2に濁水を噴出して土砂を軟化させる方式を採用する場合には、戻水管24の先端にはノズル17が取り付けられ、ノズルからは遠心分離機18で分離され冷却機22で冷却された濁水が、吸引口12aの近くの湖底に向かって噴出される。噴出された濁水は湖底の土砂を軟化させて、吸引口12aからの土砂の吸引を容易化する。
また図4に示したように、分岐した吸引管12および戻水管24の先端近傍に、吸引管12を中心軸として、吸引口12a(吸引部)および吐出口24aを取り囲むように、直径数メートル程度の円筒型状の空間を画定する金属製のフレーム19と底面以外の面を覆うシート材21からなるカバー体34を取り付けてやることもできる。このカバー体34は巻取装置15による吸引管および戻水管の上下動とともに一体的に上下動するようになっている。フレーム19の側面を覆うシート材21の下端はスカート状になっており、平坦な湖底では、吸引部が着底した状態で、吸引口12aおよび吐出口24aを含む水域を他の水域と分離する。シート材にはある程度の通水性を有する細かい網目構造のものが用いられる。細かい網目構造のシート材を用いることで、シート材21に覆われたカバー体34を湖底に下ろす際の水の抵抗を低減させること等ができるとともに、浚渫の際に吐出口24aから放出される濁水の拡散を抑制することができる。ここで、シート材にはビニールやゴムなどの通水性のないシートを用いることも可能であるが、その際には円筒形のフレーム19を覆うシート材に、水の抵抗によって開く開閉窓23を設けてやることが好ましい。このカバー体34は浚渫水域を他の水域と分離することで、濁水を放流し又は噴出する際に舞い上がる土砂や濁りを外部に漏れ出ることを抑制し、冷却された濁水の循環を効率化する。
なお濁水が分離した水域の下面から漏れ出ることもありうるが、濁水は予め冷却されているため湖底に沈降して周囲に拡散することなく、沈降した濁水中の微細な土砂は、時間の経過とともに湖底に速やかに沈殿する。
浚渫装置10は以上のように構成されており、ダム湖に設置された堤体通路30上を移動しながら湖底の浚渫を行う。ここでこの浚渫装置10による浚渫可能な範囲を拡大するために、以下に説明する支持ポストおよび索道ワイヤ等が利用される。
図1に示したように、ダム湖の対向する岸には一対の支持ポスト26が設置されており、索道ワイヤ28はこの支持ポストを用いて堤体通路30と一定の距離をあけてこれとほぼ平行にダム湖上に張り渡されている。この索道ワイヤ28は吊り滑車25をこれに沿って移動させるとともに、後述するレーキ装置の一部を構成するものである。
連結された吸引管12及び戻水管24はリング状の支持リング27に挿通されており、吊り滑車25はこの支持リング27と長さが調節可能なワイヤ29によって結合されている。吸引管12及び戻水管24はワイヤ29につながれた支持リング27に支えられ、ここから湖底まで垂下して土砂の吸引や濁水の放流を行う。
なお吸引管12及び戻水管24と支持リング27とは固定されておらず、吸引管及び戻水管は支持リングに対して摺動することができるため、巻取装置15によって垂下される長さを調節することができるようになっている。
ここで吊り滑車25は浚渫装置10を移動することにより吸引管12及び戻水管24からの張力によって索道ワイヤ28上を動かすものとすることもでき、また、吊り滑車25に操作ワイヤ(図示せず)を取り付けて、この操作ワイヤをダム湖の岸若しくは堤体通路30上から操作することによって索道ワイヤ28上を動かすものとすることもできる。
この支持ポスト26間に張り渡された索道ワイヤ28上を吊り滑車25を移動させ、また吊り滑車25と支持リング27とを繋ぐワイヤ29の長さを調節することにより、広い範囲に吸引管12及び戻水管24を垂下することができるようになり、堤体通路30近傍に限らず広い範囲の浚渫が可能となる。
また支持ポスト26を移動可能とし、又は、支持ポストを複数対設置し、選択した一対の支持ポスト26に索道ワイヤ28を張り渡すことで、より広い範囲での浚渫が可能となる。なお、本実施例では索道ワイヤ28は宙に張り渡しているが、これを水中や水面に張り渡すことも可能である。
上述した浚渫装置10による土砂の浚渫作業に先立っては、通常は堆積した土砂中にその全部又は一部が埋没した埋没物の除去作業が必要となる。埋没物36の除去作業には以下に説明するレーキ装置が用いられる。
このレーキ装置20は、図1に示したように上述した支持ポスト26およびこれに張り渡される索道ワイヤ28を利用し、けん引ワイヤ42の先端に取り付けたレーキ38を、索道ワイヤ28上を移動可能な第2滑車35を介して操作して湖底を浚わせることで土砂中の埋没物36を除去する。
ここで一方の支持ポスト26に近接する位置にはけん引ワイヤ42の巻取り・開放を行う第1ウィンチ(図示せず)が設置され、他方の支持ポスト26の近接位置には、第2滑車がけん引ワイヤ42からの張力によって不用意に移動しないように第2滑車35に繋がれた操作ロープ37を操作するための第2ウィンチ(図示せず)が取り付けられている。なおけん引ワイヤ42を巻き取るとともに操作ロープ37を緩めることで、第2滑車35を操作ロープを緩めた分だけ第1ウィンチ側に移動させることができる。逆に、けん引ワイヤ42を緩めるとともに第2ウィンチにより操作ロープ37を引き寄せることで、レーキ38を適当な位置まで移動させることができる。
ここで、けん引ワイヤ42に取り付けられたレーキ38は、略L字の櫛型形状をしている。このレーキ38による掻き取り動作は、湖底のレーキが埋没物36を掻き取りながら移動する際に、できるだけ濁りを発生・拡散させないように充分低速に行われる。その速度は例えば毎秒1cm程度とする。
しかしこの速度は土砂2の性質に合わせて調節することが好ましい。すなわち湖底に堆積している土砂の粒径が大きく、レーキ38による埋没物36の掻き取りに動作よっても土砂の舞い上がりが少ない場合には、レーキの作動速度を速めることができ、逆に土砂の粒径が小さく、掻き取り動作の際の土砂の舞い上がりが多い場合には、レーキの作動速度を遅くすることが好ましい。このようにレーキをゆっくりと作動させて埋没物の掻き取りを行うことで、下準備としての埋没物の除去を、水中での土砂(濁り)の舞い上がり・拡散を最小限にすることが可能となり、また舞い上がった土砂も容易に再び湖底に沈降することができる。さらに土砂を掻き取りによって軟化させることで、後に行うサクションポンプによる土砂の吸引を行いやすくすることができる。
次に本実施例の浚渫装置による土砂の浚渫方法について順に説明する。図5は浚渫方法の流れを示したフロー図である。
本実施例の浚渫方法では、土砂の吸引に先立ち湖底の土砂中にその全部又は一部を埋没している埋没物36をレーキ38によって予め取り去る作業が行われる。
この段階では、まず第1、第2ウィンチによりけん引ワイヤ42の先端に取り付けられたレーキ38を、けん引ワイヤ42と操作ロープ37の長さを調節して第2滑車35を操作することにより水面上方の宙に浮かせた状態で所定の位置まで移動させ、その後けん引ワイヤ42のみを緩めることでレーキ38を垂下し、湖底の土砂に濁りを発生させないようにゆっくりと着底させる。
次に、操作ロープを緩めながらけん引ワイヤ42を第1ウィンチで巻き取ることにより第2滑車を第1ウィンチ側に引き寄せて、着底させたレーキ38によって湖底の木枝などの埋没物36の掻き取りを行う。このときけん引ワイヤ42の巻き取りは毎秒1cm程度とする。
レーキ38により掻き取られた木枝等の埋没物36は最終的には岸まで引き寄せられ、その後有用なものは置物や各種加工材料として利用され、不要なものは適正に廃棄処分される。
なお図は省略するが、レーキが巨大な堆積物などに引っ掛かりその引き上げが不能な状況に陥った場合のために、第1ウィンチによるレーキの巻き取りの方向と反対側の方向にレーキを引き戻すための引き戻しワイヤをL型レーキの背の部分に設けてやってもよい。また引き戻しワイヤを用いる代わりに、L字型のレーキの櫛歯に一定以上の負荷がかかった場合にその屈曲を開放する機構を設けてやることによって、レーキの引き上げ不能な事態の発生を回避することができる。この屈曲を開放する機構には例えば、櫛歯をバネが取り付けられたヒンジとする構成や、櫛歯を板バネによって構成するものなどが考えられる。
上述の作業により湖底の埋没物36を除去した後は、水底の濁り成分を十分に沈降させるため、1日程度の時間を置いてから次の作業が行われる。
この作業ではまず、堤体通路30上を浚渫装置10および土砂トレー13を、浚渫を行いたい位置の近くまで移動する。このとき吊り滑車25と支持リング27を介して、連結された吸引管12と戻水管24もこれに伴って浚渫位置まで移動される。
次に連結された吸引管12および戻水管24を、巻取装置15から送り出すことで吸引口12aおよび吐出口24aを湖底まで下ろす。
次に水と混合してスラリー状となった土砂2を吸い上げ、これを遠心分離機18にかけることによって土砂から水分を除去する。水分が除去された土砂は土砂トレー13に排出される。一方、土砂から除去された水分(濁水)は、遠心分離機18に隣接して配置された冷却機22に送られ、一定の温度だけ冷却される。冷却機にはコンプレッサーを利用した冷却装置や、夜間電力を利用して作った氷などが充填された冷却塔などを使用することができる。
冷却後の濁水は、戻水管24を通じて湖底まで運ばれ、吸引口12aの近くに配置された吐出口24aから放出される。なお戻水管24は内部の濁水の温度上昇を防ぐために、断熱構造を有するものを用いることが好ましい。
放出される濁水は、上述した吸引部(吸引口)のタイプに応じて、広い面積の吐出口からゆっくりと放出される場合と、狭い面積の吐出口から勢いよく放出される場合とがある。
吐出口24aは吸引部の近くに配置されているため、吐出口から放出された濁水の一部又は全部は、吸引口12aから土砂2とともに再び吸引されて循環することになる。また吸引口12aから吸引されなかった濁水も、その温度が周囲の水温よりも低いため、速やかに沈降する。沈降した濁水中の微細な土砂は、時間の経過とともに湖底に速やかに沈殿する。
浚渫箇所を移動する場合には、まず吐出口24aからの濁水の放出を止めた後に、吸引部を湖底から少しだけ引き上げて、吸引管12および戻水管24を吊り滑車25により次に浚渫したい箇所に平行移動し、吸引部を再び湖底に下ろした後に、吸引を行って浚渫を続行する。
なお、例えば一定量の吸引したスラリーもしくはスラリーから分離した濁水を一時的に蓄えることができるバッファータンク(図示せず)を浚渫装置10に備えてやってもよい。バッファータンクを用いれば、例えばカバー体34を用いて分離した水域内で、濁水を湖底の土砂に噴出して軟化させる場合などに、ノズルからの濁水の放出を止めたあとに、カバー体に囲まれた水域の濁水を吸引し、これをバッファータンクに一時的に蓄えることで、分離した水域の濁りが落ち着くのを待つことなく、迅速に次の浚渫箇所に吸引部を移動させて浚渫を続行することができる。
このように水底から土砂を吸引し、吸引した土砂から分離した濁水を冷却し、これを湖底に戻すことで、濁水は対流することなく沈降して水底に液層を形成し、濁水中の濁り成分も短時間のうちに容易に沈殿する。これにより、水中にほとんど濁りを生じさせることなく吸引によって土砂を除去することができるようになる。
なお本発明の浚渫装置は、吸引法により土砂の浚渫を行う際に発生する濁りの拡散を抑制するために、スラリーから分離した濁水を冷却してから水底に戻すもの、または、一定の水域を他の水域と分離し、その水域において土砂の吸引及び濁水の還流を行うものであれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
上述したように本発明によれば、ダム湖などの沈殿池を設置するための広いスペースをとることができない場所で浚渫を行う際に、土砂から分離して水底に戻した濁水が、広範囲に拡散することを防止することができる。
なお、沈殿池を設置するための広いスペースをとることができる場合であっても、沈殿池を設けたくない場合などには当然に本発明の浚渫方法を用いることができる。
本発明の浚渫装置およびレーキ装置の使用の状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 本発明の浚渫装置に用いられる吸引部の一例を示した側面透視図である。 本発明の浚渫装置に用いられる吸引部の他の例を示した側面透視図である。 吸引口および吐出口を覆うカバー体の側断面透視図である。 本実施例の浚渫方法の流れを示したフロー図である。
2 土砂
10 浚渫装置
11 動力台車
12 吸引管
12a 吸引口
13 土砂トレー
15 巻取装置
17 ノズル
18 遠心分離機
19 フレーム
20 レーキ装置
21 シート材
22 冷却機
23 開閉窓
24 戻水管
24a 吐出口
25 吊り滑車
26 支持ポスト
27 支持リング
28 索道ワイヤ
29 ワイヤ
30 堤体通路
34 カバー体
35 第2滑車
36 埋没物
37 操作ロープ
38 レーキ
42 けん引ワイヤ

Claims (5)

  1. ダム湖、湖沼、河川、港湾等の水底に堆積した土砂(2)を浚渫する際に発生する濁水の拡散を抑制しながら浚渫を行うための浚渫装置(10)であって、
    前記水底から土砂を吸引するための吸引管(12)と、
    該吸引管の先端の吸引口(12a)から土砂を吸引するためのサクションポンプと、
    吸引した土砂から濁水を分離するための遠心分離機(18)と、
    該遠心分離機で土砂から分離した濁水を冷却するための冷却機(22)と、
    冷却した濁水を水底に戻すための戻水管(24)と、
    を備えた、ことを特徴とする浚渫装置。
  2. 前記吸引管(12)が、ダム湖、湖沼等の岸に設置された一対の支持ポスト(26)間に張り渡された索道ワイヤ(28)に支えられ、かつ、索道ワイヤに沿って移動可能な状態で水底まで垂下される、ことを特徴とする請求項1に記載の浚渫装置。
  3. 前記戻水管(24)が、ダム湖、湖沼等の岸に設置された一対の支持ポスト(26)間に張り渡された索道ワイヤ(28)に支えられ、かつ、索道ワイヤに沿って移動可能な状態で水底まで垂下される、ことを特徴とする請求項1に記載の浚渫装置。
  4. 前記浚渫装置(10)が、浚渫したい箇所の水面上方に設置された堤体通路(30)上を移動し、または、船上に搭載されて浚渫したい箇所の水上まで運搬される、ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の浚渫装置。
  5. 前記吸引管(12)の吸引口(12a)および戻水管(24)の吐出口(24a)を取り囲み、かつ、浚渫時に水底を含む一定の水域を他の水域と分離するために水底と対向する面を開口するカバー体(34)を更に備えた、ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の浚渫装置。
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